第13話「オバケクラゲだ!血車潜水艦だ!!」(1972年6月30日)
勢いだけの、なんとなくヤケクソみたいなサブタイトルである。
ま、視聴率が存外にふるわなかったらしいから、実際に、スタッフがヤケ気味になっていたことは考えられる。
今回はのっけから、南洋のクック諸島が舞台である。

おそろいの民族衣装をまとい、半裸の男たちの叩く太鼓のリズムに合わせ、たわわなおっぱいをプルンプルンさせて踊りまくっている原住民の女性たち。
一見、行川アイランドのショーダンサーたちのようにも見えるが、これは誰がなんと言おうと情熱的なクック島の風景なのである。
ナレ「日本を遥か離れた異国、クック島、ここで新型爆弾を仕入れた血車党」
ナレーションに合わせて、血車党の下忍数人が、一見、勝浦の海岸のように見える岩場を、爆弾(火薬?)の入った樽を神輿のように担いで運んでいる姿が映し出される。
しかし、まさかクック諸島で新型爆弾を作っている訳ではないだろうから、「仕入れた」と言うのは、ポルトガルかどっかの野蛮な国が作ったものを発注し、その島で受け取ったと言う意味なのだろう。

骸骨丸「この爆弾が手に入れば日本を征服したも同然だ」
その運搬を監督している骸骨丸、悔しいほどに前向きな台詞を放って部下を督励する。
下忍「骸骨丸様、爆弾は無事に血車潜水艦に運びました」
骸骨丸「ようし、それじゃ出発だ。オバケクラゲ!」
部下の報告を聞いた骸骨丸、近くの木陰で休んでいた今回の怪人オバケクラゲの名を呼ぶ。

怪人「ふぇい? はえー……きええーっ!」
寝惚け眼をこすりながら、間の抜けた声を上げるオバケクラゲ。
胴体の巨大な一つ目のほかに、頭部にびっしりとゼリービーンズのような小さな目が埋まっているのが相当気持ち悪い怪人である。
オバケクラゲが眠気覚ましに素っ頓狂な雄叫びを上げると、

毎度おなじみ、孔雀ショーの孔雀たち……じゃなくて、クック島に住む孔雀たちが、びっくりして一斉に飛び立つ。

踊り子「キャーッ!」
踊り子の一人も、振り向いてオバケクラゲの不気味な姿を見て、安い芝居を臆面もなく披露する。

オバケクラゲがそのまま踊り子に抱きついたので、全国のお父さんお待ち兼ねの壮絶セクハラタイムが始まるのかと言う期待が戦慄のように園内、いや、島内を駆け巡り、

フラミンゴ「アオー、アオーッ!」
それに感応したのか、色とりどりのオウムやフラミンゴも、興奮気味に騒ぎ出す。
いや、オウムはともかく、クック島にフラミンゴはいないのでは?
骸骨丸「やめろ、オバケクラゲ、新型爆弾は手に入った。急いで日本に持ち帰るのだ」
だが、意外と真面目な骸骨丸に促され、名残惜しそうに踊り子の体を突き放すのだった。
先端にドクロのマークが入った、アルカディア号みたいな血車潜水艦に乗り込むと、骸骨丸たちは一路日本を目指す。
ちなみにその動力は、下忍たちが手で回す歯車であった。
つまり、ゼンマイで動くオモチャみたいな潜水艦であり、ハイテクなんだかローテクなんだか良く分からないメカであった。

骸骨丸「わが血車潜水艦は房州勝浦に向かう。そこのドクロ館へ新型の爆弾を運び込むのだ」
下忍「……」
骸骨丸の命令に、今その勝浦にいたような気が物凄くする下忍たちであったが、余計なことを言うと潜水艦から放り出されそうな気がしたので、黙々と仕事を続けるのだった。
ちなみに骸骨丸の説明によると、新型爆弾はニトログリセリンのようにちょっとした振動でも爆発してしまう不安定な物質らしい。
しかし、山がちで起伏の多い日本では、そんなデリケートな扱いを要する爆弾など使い物にならないのではないだろうか?
ともあれ、骸骨丸は、オバケクラゲに到着予定地の勝浦に先行して、土地の住民をひとり残らず片付けておくよう命じる。
同じ頃、偶然ではないと思うが、勝浦の海岸にハヤテたち4人が腰掛けて、握り飯を食べていた。

タツマキ「こりゃ、ツムジ、ほどほどにせんかい、腹も身の内じゃよ」
カスミ「そうよ、太っちゃってさ、今にダルマみたいになっちゃうから」
際限なく握り飯を詰め込んでいるツムジを、父と姉がたしなめれば、ハヤテも、海で仕事をしている海女たちを示して、
ハヤテ「ツムジ、あれを見ろ、海女たちの体はなぁ、ああして鍛えられているんだ。お前のように食ってばかりいては一人前の忍者にはなれんぞ」
と、説教するが、口だけは達者なツムジは、
ツムジ「なんだーい、あんなことぐらい、おいらにだって出来らぁ」

カスミ「あーら、ほんと、じゃあやって見せて、さあ早く」
ツムジ「ああ、いいよ」
カスミ、立ち上がると、すぐにその場でツムジの言葉が嘘かほんとか、実演させようとする。
それにしても、カスミのホワイトロースハムのようなフトモモが、相変わらず美味しそうである。
カスミ、ツムジを海の際まで連れて行き、突き落とさんばかりにせき立てるが、
ツムジ「あっ!」
不意にツムジが叫び、前方を指差す。
見れば、さっきまで普通に仕事をしていた海女たちが、全員、仰向けになって海面にぷかぷか浮かんでいるではないか。
しかも、顔や手足に水色の不気味な斑点が浮かび上がっていた。
もっとも、死んでいるわけではなく、人形のように体が硬直しているだけらしい。
被害は彼女たちだけではなく、村全体に広がっていた。
無論、それは骸骨丸の命を受けたオバケクラゲの仕業であった。
唯一その毒牙から免れていたトヨと正太と言う母子がいたが、その前にもオバケクラゲがあらわれ、たちまち息子を人形同然に変えてしまう。
オバケクラゲは母親にも襲いかかろうとするが、トヨが投げた竹筒の中に液体に触れると、その腕がみるみる溶けてしまう。さらに、悲鳴を聞きつけたハヤテたちも駆けつける。

怪人「ハヤテめ、現れおったな、いずれ料理してくれるわ」
オバケクラゲ、そんな捨て台詞を吐いて海に飛び込む。

トヨが、さっきの竹筒の中の液体を正太に飲ませると、あっという間に正太の体は元通りになる。
しかし、なんかムカつく顔しとるな……
にしても、血車潜水艦の到着予定地にハヤテたちがいて、おまけにその土地にオバケクラゲの毒の特効薬を持っている女性がいたなんて、いくらなんでも偶然の度が過ぎるのでは?
タツマキ「こりゃあ奇跡じゃ」
トヨ「ご先祖様より代々伝えられてきた家の守り薬です。クラゲに刺された時など不思議と良く効くんです」
ハヤテ「ありがたい、これで人形にされた人たちを元に戻せる」
一方、潜水艦に逃げ帰ってきたオバケクラゲを、おっかない上司たちが声を荒げて叱り飛ばしていた。
骸骨丸「なに、海女の持ってた毒消し薬でやられた?」
怪人「へえぇええ……」
魔神斎「ええい、愚か者めが、村で残るはその海女と正太のみ。早く始末せねばせっかく人形にした村人を生き返らせてしまうわ。
ハヤテともども直ちに殺せ、消すのだ」
魔神斎、どさくさ紛れに至難の業の任務をオバケクラゲに押し付ける。
そんな簡単にハヤテが殺せるなら、苦労しないっつーの。
そもそも、村人を人形にするなどと言う生温いことをせずに、最初から皆殺しにしておけば、こんな面倒なことにならずに済んだのではないだろうか?
さて、トヨはひとまず夫を元通りにしようとするが、

トヨ「ないっ」
さきほどオバケクラゲに投げた際、薬はほとんど零れてしまっていた。
ハヤテ「大丈夫だ。あなたには毒消し薬が作れる」
タツマキ「ど、何処行くんじゃい?」
トヨ「薬の原料、オニテングサと青海苔のワカメを採りに……」
タツマキ「おい、ひとりじゃ危ない」
ハヤテの言葉にすぐにその場から走り出したトヨを、タツマキ親子が慌てて追いかける。
案の定、その途中、砂浜に潜って待ち伏せしていたオバケクラゲたちに襲撃され、タツマキとツムジが敵に捕まってしまう。

カスミはひとりで逃走するが、

視聴者の期待を裏切らず、豪快に転んで、まるで蓼科高原に吹く薫風のように爽やかなパンチラを披露するのだった。
ま、正直、これがなかったらスルーしてただろうなぁ。
カスミ、敵に囲まれるが、素早く涼風を取り出して吹き鳴らし、ハヤテに助けを求める。
正太のそばに残っていたハヤテ、その音を聞きつけるや否や嵐に変身してカスミのもとへ急行する。

だが、嵐とて一瞬で飛んで来れる訳ではないので、カスミもあえなく縛られて敵に囲まれる。
カスミ「あっうう……」
膝を突き、巨乳をふるわせて悶えるカスミの映像に続いて、

怪人「どうだ、カスミ、動けまい。お前たちは人形となって血車党の
慰みものになるのだっ!」
と言う台詞を聞くと、めちゃくちゃスケベなことを妄想してしまいそうになる管理人であった。
しかし、「慰みもの」って、子供向けヒーロー番組では滅多に聞けないアダルティな単語だよね。
勿論、実際にカスミが悪人たちの「慰みもの」にされるところなど放送できる訳がないので、ここで嵐が到着し、間一髪でタツマキ親子を救う。
嵐とオバケクラゲの一騎打ちとなるが、オバケクラゲ、やたら弱点の多いやつで、太陽の照りつける砂浜の上で戦っている間に体が乾燥してしまい、
怪人「か、体が乾く、体が乾くのだ」
嵐(気の毒に……) 怪人がヒーローに同情されるようになったら終わりである。
怪人「嵐、勝負はこの次に預ける、だが、海女は貰ったぞ。あの女がいなければ俺様の毒は消せまい」
嵐「卑怯な」
一話で二回も捨て台詞を残す怪人も珍しいが、オバケクラゲは去り際にそう言うと、再び海の中へ逃げ込む。
これがゲドンやデスパーだったら、100パーセント処刑されているところである。
同じ頃、いつの間にかトヨは、骸骨丸に捕まっていた。

骸骨丸「伊賀のタツマキ、この女は貰ったーっ!」
タツマキ「待てーっ!」
それにしても、このトヨさん、なかなか良いスタイルしてるんだよね。
これが、もうちょっと露出度の高い衣装だったらサイコーだったのだが……
CM後、一人で何処かへ行こうとする正太を、カスミが必死に引き止めている。

カスミ「正太ちゃん、行っちゃダメ」
正太「じっとしていられないんだぁ、おいらも母ちゃん探しに行くんだ」
カスミ「分かるわ、正太ちゃんの気持ち、でもね、血車党は血も涙もない悪魔の集団よ。子供だからって容赦しないわ」
ちなみに画面右側に見えているのは、かなり存在感のある地縛霊ではなく、人形にされた村人である。運悪く、窓から身を乗り出したところで人形にされてしまったらしく、その姿勢を維持するのがとてもつらそうであった。

正太「いいんだ、それでもいいんだ」
カスミの説得にも耳を貸さず、正太は母親を探しに山の中へ踏み込む。
……って、今やっと気付いたけど、この子役、「仮面ライダー」のミツルこと山田芳一さんではないか。
「仮面ライダー」の時と服装があまりに違うので、全く分からなかった。
ちなみにスルーした4話には、ナオキの矢崎知紀さんもゲスト出演されている。
この後、色々あって、正太はドクロ館(要するにアジト)を発見するものの、母親ともども骸骨丸に捕まってしまう。
骸骨丸「オバケクラゲ、こやつらもお前の毒で人形にしてしまえ!」
やたら人形にすることにこだわる骸骨丸。お前はデーモン小暮か?
でも、さっきは殺せって言ってなかった?

トヨ「待って、私は覚悟が出来ています。でも、この子だけは助けてください」
迫り来るオバケクラゲに対し、トヨが母親らしく息子の命乞いをするが、
怪人「血車党には大人も子供も区別はないわい!」 ある意味、開明的な理由で却下される。
それにしても、このトヨ役の女優さん、スタイルだけじゃなくて、お顔もなかなか綺麗だよね。
真樹汐織と言う、アイドルみたいな名前の人だが、どっかで見たことがあるような気がする……
この後、色々あって、嵐とオバケクラゲとの決戦が、船の上、水中、海岸と次々場所を変えて行われる。
最後は、海に飛び込んだ嵐が、オバケクラゲの逃げ込んだ血車潜水艦に
蹴りを入れ、その振動で、例の敏感な新型爆弾が爆発してしまい、オバケクラゲは潜水艦もろとも木っ端微塵に吹っ飛び、海の藻屑と消えるのだった。
ここでもう一度骸骨丸の冒頭の台詞を思い出していただきたい。

骸骨丸「この爆弾が手に入れば日本を征服したも同然だ」
……
同然ねえ(遠い目)
以上、はっきり言って面白くもなんともないエピソードであった。

せめて最後に、浜辺をハヤブサオーに乗って疾走する嵐の画像を貼っておこう。
なんだかんだで、馬に乗って走る嵐のビジュアルって、かなりカッコイイのである。
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