「ケータイ刑事 THE MOVIE2 石川五右衛門一族の陰謀〜決闘!ゴルゴダの森」 は、2007年公開の、「ケータイ刑事」シリーズ劇場版第2作である。
銭形雷の小出早織と、1年以上ぶりに銭形零を演じることになった夏帆のWヒロイン体制で、相棒も、雷の相棒・岡野警部補こと国広富之と、初登場となる、松山刑事こと松崎しげるのコンビである。
ちなみに松山刑事はこの翌年、「銭形海」の3rdシリーズから相棒としてレギュラー出演している。
冒頭、広大な杉林の中をマタギのような珍妙な格好で歩いている岡野。
彼は、厄払いを受けに、とある霊験あらたかなお寺を訪ねている所なのである。
道に迷い、ちょうどそこにいた地元の人らしい男性に道案内を頼むが、その男は、今回の悪役・石川小百合の腹心、佐々木浩介であった。
佐々木は岡野を散々引っ張りまわした挙句、
佐々木「睦月地蔵尊なんてありません。葉書は私が出したんですから」
岡野「どういうことですか?」
佐々木「はぁーっはっはっはっはっ」
佐々木が笑うと、どこからともなく影の軍団っぽい男たちがあらわれ、岡野の周りを取り囲み、

ついで、鎌倉時代からタイムスリップしたような、臈たけた美少女があらわれ、にこやかに微笑みかける。
小百合「こんにちは、岡野さん」
岡野「誰だ?」
小百合「28代目石川五右衛門」
実に魅力的な悪役を演じるのは、後に恋愛泥棒マリンとしてテレビ版にも登場することになる星野真里さん。ヒロインたちに負けずとも劣らぬ可愛らしさである。

岡野「ふざけるな、私は警視庁捜査一課の岡野警部だ」
例によって、色んな検定カードのついた警察手帳を突き出すが、後ろの男に後頭部を痛打され、あえなく気絶する。
小百合、手帳を拾い上げると、
小百合「警部補じゃない……」 冷ややかな目付きで岡野を見下ろす。
ちなみに佐々木浩介と言う役名は、シリーズ監督の鈴木浩介氏と佐々木浩久氏との名前を合体させたものだろう。
このタイミングでOPタイトルとなるが、林和義さんのナレーションにあわせて、雷と零、二人が一緒に警視総監からケータイを受け取り、それぞれポーズを決めるというシンプルなもの。

ナレ「銭形雷17才、銭形零15才、警視総監を祖父に持ち、いとこにしてデカ、事件が起きればいかなる時でも現場に走り、人並み外れた推理で謎を解く。しかし彼女たちがデカであることは誰も知らない」
ちなみに今回、二人ともその並外れた推理を働かせる機会はほぼありません。
劇場版1作目もそうだったが、テレビシリーズ版の、ライトミステリーとしての楽しさがまったく味わえないのが今作の欠点である。
まぁ、1作目よりは面白いけどね。
続いて、自転車にまたがって赤坂にあるゴルゴタの森へ岡野を探しにやってきた雷。
しばらく森の中を進むと、意外な光景にでくわす。

それは、とても商売の成り立ちそうにない、森の中のレンタルビデオショップであった。
これはコメディとして撮ってるからそうでもないが、現実にこんな状況があったら、かなり怖いと思う。
とにかく雷が岡野の写真を見せて店主のおばあさんに尋ねると、すぐ反応があった。

とめ「ああ、この人なら知ってるよ」
雷「知ってる? このお店に来たんですか」
とめ「三日ほど前だったかなぁ……」
店主とめを演じるのは、「雷」の1stシリーズ最終エピソードでも名演を見せていた花原照子さん。
もっとも、その時の優しいおばあちゃんキャラとはだいぶ違う性格である。
彼女によれば、全身ずぶ濡れのスーツ姿の岡野があらわれ、替えの服はないかと助けを求めてきたと言う。
岡野は近くの橋を渡る途中、池に落ちてしまったらしい。
同情したとめは、亡くなった亭主の着物を(3万円で)貸してやったと言う。それが、冒頭で岡野が着ていたマタギ風の衣装だったのだ。
そして、岡野はそこから歩き出した途端、クマ用の落とし穴に落ちたと言う。
とめ「ついてない人だよ、全く」
雷「それからどうしたんですか?」
雷がさらに尋ねると、とめは急にドライな顔になって右手を差し出す。

とめ「5000円」
雷「え」
とめ「まっさっかぁ、一番肝心なとこ聞くのに、ただってつもりはないよねー、まさかにー」
雷「あっはは、まさかぁ」
一瞬ポカンとした雷だったが、作り笑いを浮かべて調子を合わせ、
ヤケクソに雷マークの付いたカバンから、がま口財布を取り出し、なけなしの稲造を渡す。
ちなみにこないだ「西部警察」見てたら、若き日の花原さんがアパートの大家か何かの役で出てて、同じように容疑者についての情報を提供する代わりに金をふんだくってました。
情報屋としての年季が違うのである!
もっとも、ここではそれ以上付け加えることはほとんどなく、
とめ「あのね、その道を右へ曲がって行ったよ」
雷「右ですね」

雷「今月のお小遣い、全部飛んじゃったよ」
情けない顔でぼやきながら、歩き出す雷。
セレブ(?)の癖に意外とつつましい金銭感覚をしていることが判明するが、仮にも警視監(テレビ版最終話で警視正から昇進)なんだから、かなりの給料貰ってる筈なんだけどね。
ま、子供が大金持つのは良くないと言う教育方針から、給料は全部強制的に貯金させられ、それとは別に親からお小遣いを貰っているのかも知れない。
しかし、親から小遣い貰ってる刑事ってヤだなぁ……
雷、とめの情報を信じて、そこから右へ進み、さらに森の中へ分け入るが、

雷「ふぞろいの林檎たち検定3級、岡野さんのだ!」
いかにも「ケータイ刑事」らしいギャグめいた手掛かりが見付かり、岡野がここに来たのは確実となる。
念の為、国広さんは「ふぞろいの林檎たち」に出演しているのである。見たことないけど。
その周辺には他にも色んな検定カードが落ちていたが、

突然、何者かが雷に接近して、その首筋を棒で殴りつけ、岡野と同じく気絶させてしまう。
この殴られた瞬間の雷が、鬼太郎っぽくて可愛いと思いました。

零「待って、待って、待ちなさい!」
それに続けて、「銭形零」のOPテーマをバックに、もう一人のヒロイン零が颯爽と登場する。
ひったくり犯を自転車で追いかけているのだが、体を動かすたびに、もはや制服の薄いシャツではその存在感を隠し切れなくなりつつある、立派に成長したバストがゆさゆさ揺れて、なんというか、胸が締め付けられるようなトキメキを感じる管理人であった。
なにしろ、「銭形零」の最初の頃は、中学生と言うより、小学生みたいな幼さだったからね。
そんな子が、ほんの数年でこんな立派な女性に……と思うと、なんか、久しぶりに会った姪の成長にドキッとする親戚のおじさんのような気持ちになってしまうのだ。
AVでは、たいてい、その姪と一緒にお風呂に入ってエッチなことが始まるんだけどね。

それと、スカートを履いて思いっきりペダルを漕いでいるのを、真正面からとらえたアングルも、パンツが見えて当たり前のような気がして、我々をワクワクさせてくれる。
……ま、見えなかったんだけど。
と言うか、最初からブルマのようなものをつけて撮影してるのかなぁ?
夢のない時代になったものだ……
続いて、路地に逃げ込んだ犯人を自転車から降りて追いかけるのだが、

当然、さっきよりも激しく体が上下して、制服ごしにくっきりそのアウトラインが見える胸や、制服のしわが実にエロティックなのである。
正直、この映画で一番好きなシーンかもしれない。
それはともかく、零はとうとう犯人を細いの路地の行き止まりに追い詰め、

零「午前0時の鐘の声」

零「諸行無常の響きあり……」
ケータイを手に、余計な効果付きでいつもの決め台詞を放とうとするが、途中で後ろから走ってきた男に突き飛ばされ、お仕置きを発動できない。

松山「大人しく観念しろよ!」
その男こそ、劇中、零の相棒となるボンクラ刑事、松山進であった。
松山「女子高生の癖に何やってんだ?」
零「中学生です」
松山「余計悪いだろ!」
松山に女子高生と言われてしまうほど、背が高い零。
なにしろ、劇場版1作目の時点で、ずっと年上の黒川芽以さんより高かったくらいだからね。
で、松山が犯人を放置して説教している間に、まんまと犯人にフェンスを乗り越えて逃げられてしまう。

松山「待てーっ!」
慌てて追いかけようとするが、ちっちゃいのでフェンスを越えられないのが悲しい。
松山「バカ、タコ!」
零「だから、待てと言って待った犯人はいないんだって……」
零に八つ当たりしながら来た道を引き返す松山に、零がぼそっとつぶやく。
そこへいつもの緊急入電が入るが、

麻耶「港区赤坂のゴルゴタの森で、銭形雷警視監が消息を絶った模様、ただちにコントロールルームに急行せよ」
劇場版と言うことで、声だけでなく小林麻耶アナウンサーも婦警のコスプレをしてケータイの画面に登場する。

零「えっ、雷が?」
零、ただちに警視庁のコントロールルームへ向かう。
まず、初対面となる柴田とのからみがあるが、どうでもいいのカット。

零「それより、雷が消息を絶ったってどういうことですか? 先週、雷とは高村さんに会いにロスに行って来たばかりなのに」
零、そう言って、ケータイに保存された記念写真を柴田に見せる。
分かりやすい合成写真だが、これだけで、クレジットに
草刈正雄(友情出演)と堂々と書いちゃう厚かましさが好き!
難波「詳しくは私のほうから」
零「難波副総監!」
横合いから声を掛けてきたのは、劇場版1作目にも出ている、難波副総監(宍戸錠)であった。
これを書いたのは2019年の夏ごろだったと思うが、その頃はまだ宍戸さん、生きてたんだよなぁ。

難波「多聞殺のことをご存知ですか?」
零「多聞殺?」
難波「多聞殺とは、四柱大推命と、極天星占いから算出された世にも不吉な星回りのことを言います」
零「天中殺みたいなものですか?」
難波「そうです」
柴田「この多聞殺に入ってしまった人間は、まるで疫病神に取り付かれたようにやることなすことすべてうまくいかず、幾多の災難に見舞われるそうなんです」
零「まさか、雷が?」
難波「いいえ、多聞殺は岡野警部補です」
零「岡野警部補って、雷の相棒だった?」
難波は、一週間前、冒頭で描かれたように、岡野が厄払いの為にゴルゴダの森へ単身向かい、行方不明になったこと、岡野を捜索に行った雷も同じく消息を絶ったと説明する。
零、姉のように慕っている雷の為ならと、迷わず自分がゴルゴタの森へ行こうと言うが、難波は、部下にたくさんの寿司桶を運ばせ、零にその中のひとつにたっぷりワサビを塗らせ、それから入場してきた松山に自由に寿司を選ばせ、松山がそのワサビ入りの寿司を食べてひどい目に遭うのを見せてから、

難波「松山君も、今年多聞殺、そこで、零お嬢様、松山君と一緒に雷お嬢様と岡野警部補の二人の捜索をお願いしたい」
零「今の人と一緒にですか? でも、どうして?」
怪訝な顔をする零に、難波は、岡野と同じ多聞殺に入っている松山は、岡野とまったく同じ行動を取るだろうから、彼と行動を共にすれば岡野の消息を辿れるのではないかと言う。
零「そんな乱暴な……」
柴田「しかも岡野さんと松山さんは昔、富士見署で相棒同士だったんです。ですから、松山さんも無碍に断ることは出来ない」
難波「これは銭形警視総監自らがお考えになったことです」
零「おじいちゃまが?」
と言う訳で、零はしぶしぶ松山との同行を承諾するが、いつもと違って、今回は零が銭形警視総監の孫であり、警視正であることは松山には伏せられたままである。
難波の要請によるもので、松山はヒラ刑事なので、ひがむからと言う理由らしい。
でも、それなら松山が、岡野の身内でもない女子中学生と同行するなどと言うことを承諾する筈がないと思うんだけどね。
あと、柴田は
「無碍に断れない」と言ってるが、岡野のことがなくとも、松山が副総監じきじきの命令を断る訳がないから、余計な一言であろう。
ここは、
柴田「しかも岡野さんと松山さんは昔、富士見署で相棒同士だったんです。ですから、松山さんも岡野さんと同じ行動パターンを取る可能性が高い」
の方がベターだったと思う。

零「銭形零って言います、よろしくお願いします」
その後、二人でエレベーターで移動中、零が丁寧に頭を下げて挨拶するが、松山の機嫌は当然よろしくない。
松山「何で俺がお前みたいな中学生と一緒に捜査しなくちゃ行けないんだ?」
零「それは、なりゆきって言うか、運命って言うか」
松山「なりゆき、運命? 俺はね、トミーのためにこの仕事を引き受けたんだよ、長い付き合いだから」
零「トミー?」
松山「岡野のことだよ、俺は岡野のことをトミー、岡野は俺のことをマツ、そう呼んでた」

零「トミーとマツ?」
何処かで聞いたことのある名前に、小首を傾げる零。
ま、実際は、夏帆さんの世代がそんな大昔のドラマを知ってる訳がないのだが。
そういう管理人も、実はあまり見たことがないのだ……
……ったが、下書きを書いた後、今年、やっとテレビで見ることが出来た。
……あんまり面白くなかった(ボソッ)
でも、結構エロいシーンがあるのが収穫だった。
松山「あ、捜査は俺の車で行く。昨日、車検から戻ってきたばっかりだ」
松山の台詞に続いて、その車が山道でエンコしているシーンとなる。

零「これ、ほんとに車検から戻ってきたばっかりなんですかぁ?」
松山「どうなっちゃってんだろうなぁ、これ」
無論、松山が、多聞殺という最悪の星回りに入っているせいである。
二人は車を捨てて歩き出すが、学校の制服にスーツ姿と言うのは、どう見ても山に人を探しに来た人間の格好ではないよね。
その後、岡野が落ちた汚い泥池にかかった橋をひょいひょい渡る零。

零「松山さーん、どうぞー」
続いて松山が渡ろうとするが、

途中、岡野と全く同じように、杭につかまろうとして池に落ちてしまう。
零「だいじょぶですか?」
松山「大したことはない、よくあることだ」
零「レレレ、どんな人生?」
んで、二人が辿り着いたのが、あのけったいなレンタルビデオショップなのだった。

松山「ばあちゃん、あのさ、この店にあの、着替えのね、パンツとか、それからシャツ、売って……ないよね」
とめ「うちはご覧の通りの店だからねえ」
……
なんか、さっきから同じようなシーンを何度も見せられているような気がする。
映画の構成としても、こういうのは観客を飽きさせてしまうので、良くないと思う。
雷と同じく、零も、とめに服代3万と情報料5000円を払って、岡野が松山と同じ状態でこの店にやってきたことを聞き出す。

とめ「帰り際にそこの落とし穴に落ちて、右の道を上がって行ったよ」
零「右ですね」
とめ「その後、あんたと同じ制服を着た人が来て、あんたと同じこと聞いていったけど……」
そこへ岡野と同じくマタギ風の格好に着替えた松山が奥から出てくる。

零「松山さん、どっちへ行けばいいと思いますか?」
松山「俺の勘が正しければ、右だな」
零「当たってる」
意気揚々と歩き出した松山、案の定、クマ用の穴に落ちる。
その後、林道を歩きながら、刑事にとって一番大切なのは「勘」だと力説する松山。
松山「分かったか? 勉強になったところで、これから私のことを先生と呼びなさい」
零「先生?」
松山「お手本を聞いてもらおう。こうだ……
松山先生っ!」
零「松山先生」
松山「小さい」
零「松山先生!」
松山「もっと心を込めて大きな声で」
零、ほとんどヤケ気味に、
零「松山先生っ!」 生まれてこの方出したことのないような甘ったるい声で叫ぶ。
実際、夏帆さんって、クールor暗い役と言うイメージが強いので、実に新鮮である。
その後、林道をそれて森の中に踏み入った二人は、雷のカバン、そして、

松山「岸辺のアルバム検定2級、こりゃトミーんだ」
さらに分かりにくいギャグめいた手掛かりを発見する。
念の為、国広さんは、この伝説的なテレビドラマ「岸辺のアルバム」に出ており、しかもゴールデンアロー賞を取っているのだ。
2級と、岡野にしては級位が高いのはそのせいだろうか。
検定カードは他にもたくさん落ちていた。

零「ほら」
松山「おお」
カードを松山に見せる零の、髪がグシャグシャになってるところが可愛いのである!
二人が別れて周辺を探していると、

木立の奥から雷があらわれ、零の前に立つ。
思わず歓声を上げる零だったが、その様子がおかしいことに気付き、

零「どうしたの、雷?」

雷「……」
雷、無表情、無言のまま、銃を構えて零に向ける。
零「なに、なんなの?」
訳が分からず混乱する零に、雷は迷わず銃を撃ってくる。
零、とにかく
弾をよけながら反対側に走って逃げ出す。
しかし、雷って確か銭形家姉妹の中では一番射撃がうまい筈なのに、いくら洗脳されているとはいえ、この至近距離で当たらないと言うのは変である。
零、走っているうちに転んで、雷に撃ち殺されそうになるが、さいわい、そこで弾切れになる。
と、雷、銃を投げ捨て、零と距離を取ると、いつもの雷マークのスティックを取り出し、
雷「雷鳴轟く積乱雲……」
零「えっ」
雷「私の稲妻でしびれなさい!」
その場でお仕置きを発動させて零に雷を落とす。
零「腹巻とおへそ、抜けちゃってるじゃない! ぼふっ……雷っ」
いつもの決め台詞より簡略化されていることを突っ込んでから、口から煙を吐いて倒れる零。
それを見届けて、小百合と佐々木が出てくる。

小百合「ごくろうさまでした」
雷「トドメを」
小百合「あとのことはお任せください。佐々木、例のものを」
佐々木「承知しました」
佐々木、零のそばにしゃがむと、注射で緑色の液体を零の体に注入する。
小百合「いよいよ始まるのね、私たち一族の復讐が」
雷「……」
その2へ続く。
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