第44話「不思議ランプ物語」(1980年12月6日)
忘れた頃にやってくる、「デンジマン」のお時間です。
冒頭、街角の食料品店で好物のアンパンをしこたま買い込み、その香りを鼻の穴一杯に吸い込んでいる青梅。

青梅「ああ、良い匂いだ、生きていて良かった~って感じだな」
その後、公園に行き、ベビーカーの上ですやすや眠っている赤ん坊を目にすると、

青梅「可愛いなぁ、俺も赤ちゃんが欲しくなっちゃったなぁ……男の子だったら、俺が大五郎だから……」

青梅「大十郎……青梅大十郎……強くて良い名前だ」
自分そっくりの顔をした赤ん坊の姿を思い浮かべ、その名前で赤ん坊をあやしてひとり悦に入る青梅であったが、いかにも迷惑そうな顔をしていた母親に、

母親「ねえちょっと、勝手に変な名前つけないで、この子、
人形です」
青梅「ヒイイッ!」 じゃなくて、
母親「この子、女の子です」
と、冷ややかに告げられる。
ちなみにこの、大十郎と大五郎と言う名前の組み合わせだが、後年の「スピルバン」の小山大五郎とその師匠の大野大十郎のネーミングの元ネタかもしれない。
どっちも上原さんが書いてるし。

青梅「大ちゃんだって……」
それはさておき、青梅が橋のたもとに座ってさっきのことを思い出して、くふくふ笑っていると、そこへ、どう考えても場違いなアラビアンなナイト風の衣装をまとった老人がよたよたと近付いてきて、

老人「……」
ものすごーくメッセージ性の強い眼差しを、青梅に向けてくる。
普通のドラマでも、これだけ
「目が雄弁に物語っている」表情って、なかなか見られないよね。
さすが名優・岩城力也さんである。

既にアンパンを齧っていた青梅は、気まずそうに目を泳がせ、背中を向けて、じじいの「アンパンプリーズ」攻撃をかわそうとするが、

老人「お恵み下さらんか、三日間、何も食べておらんのじゃ」
青梅「ええっ、三日間も?」
そう聞いては無視も出来ず、青梅は気前良く、数個のアンパンを老人の手に持たせる。
老人「慈悲深いお方じゃ、まるで神様のようなお方じゃ」
青梅「神様?」

その瞬間、青梅の脳裏にこんなビジョンが浮かび上がる。
大五郎、それ、神様とちゃう、キリストや。 青梅「よせやい、じいさん」
老人「お、そうじゃ、お礼にこれを進ぜよう」
感激した老人は、手に持っていたズタ袋を青梅にプレゼントすると、
老人「アブラカタブラ……」
呪文を唱えてよたよたと去っていく。
袋の中に入っていたのは、古びたランプであった。

青梅「なんだ、古いランプじゃないか」
しかし、これ、良く見たら、ランプと言うより水差しみたいだね……
自宅マンションに帰った青梅は、半信半疑で「アブラカタブラ……」と唱えてみるが、果たして、ランプの中からアンパンが出てくる。

青梅「ありゃ、あー、アンパンほんとに出てきちゃったよ、こりゃ驚いたねー、となると、これは本物? 魔法のランプ? ほなアホな……」
青梅、もう一度ランプを擦ってから同じ呪文を唱えると、

今度は、これまたアラビアンなナイト風の美女が、ランプの中から飛び出してくる。

アラジン「お呼びでございますか、ご主人様?」
青梅「はい?」
右手で額を触って、うやうやしくアラビア式(?)のお辞儀をする妙齢の美女。
演じるのは武田美智子さんである。
まあ、この手の衣装は、もうちょっとグラマラスなボディーじゃないとサマにならないのだが、「貧乳は貧乳でありだな」と管理人は思ったことでした。

アラジン「このランプは夢をかなえる魔法のランプでございます」
青梅「で、君は?」
アラジン「アラジン、ランプの精です」
で、髪も真っ黒で、顔も思いっきり和風なのだが、そのミスマッチ感がたまらんのです!

青梅「ランプの精? 人間が月に行く時代に、おとぎ話のような……こりゃ嘘だ、まやかしだ」
アラジン「まやかしかどうか、もう一度お試しになってはいかが?」
青梅「試す?」
アラジン「はい、たとえば、空飛ぶ魔法の絨毯なんか如何でしょう?」
青梅「おいおい、そんな絨毯があるわけないでしょ」
アラジン「うふっ、まずはお試しあれ」
青梅「うん、お試しありましょう」
なおも半信半疑の青梅、言われるがままにランプを擦って呪文を唱えると、

今度もほんとに空飛ぶ絨毯が出現し、青梅はアラジンちゃんと一緒にその上に座り、ついでに青梅もマハラジャ風の衣装になる。

アラジン「さ、参りましょう」
青梅「は、はぁ……」
狐につままれたような顔になる青梅であったが、

絨毯は、そのまま窓から外へ出て、新宿副都心の上空に舞い上がる。
これも、切り抜いた写真を背景に合成しているだけだが、ちゃんとアニメのように人間が動いている。

青梅「おわ、すげえ……」
美女と一緒に数百メートルの高さから見る景色に、思わず感嘆の声を上げる。

ちなみに、ちゃんと青梅たち目線の空撮映像も出てくるが、1978年に竣工した新宿野村ビルがまだ建設中なので、これは、放送よりずっと前に撮った映像だと思われる。
このシーンがあまり長くなるとスタッフが困るので、アラジンちゃんは、割とすぐ遊覧飛行を切り上げて、青梅の部屋に戻ってくる。

アラジン「信じていただけますね?」
青梅「信じちゃう……信じます!」
いいなぁ、この平べったい胸……

アラジン「では、御用のときにお呼びくださいね」

アラジンはにこやかに言うと、ウィンクをしてランプの中に入る。

青梅「おっとっとっ……ははっ、かぁわいい~」
思わずそのランプを抱き締め、頬擦りせんばかりにニタニタする青梅。
これが他のメンバーなら、そう易々と騙されなかっただろうが、なにしろバ……いや、少年のような心を持つ青梅である、本気でそれが魔法のランプだと信じ込んでしまったようである。
無論、それらはすべてベーダーの仕掛けた計略であった。
そんな青梅の様子をモニターで見ながら、

ヘドリアン「ふっふっふっふっはっはっはっはっ……うまくやれよ、アラジンラー、狙いはダイデンジンじゃ」

怪人「はっ、青梅大五郎にとって魔法のランプは命の次に大事なものとなりました。きっと肌身離さず持ち歩くものと思われます」
ヘドリアン女王の掛け声に、ランプの中に潜んでいるアラジンラーが自信たっぷりに答える。
そう、あの美女はアラジンラーが化けたものだったのである。
ちなみにヘドリアンたちが見ている青梅の映像は遊覧飛行から戻ってきた直後なので昼間なのに、アラジンラーが答えるシーンでは既に夜になっているのはちょっと変である。
翌日、青梅は三太たちを集め、魔法のランプで彼らの願いを叶えてやろうとする。

青梅「さあ、何でも欲しい物言ってみろ」
三太「俺、ゼロ戦のプラモデル!」
ゆみ子「私、日本人形!」
浩「俺、グローブ!」
勝男「俺、天丼! はらぺこだーっ!」
青梅の言葉に、口々に欲しいものを叫ぶ子供たち。
前のレビューでも書いたと思うが、昔の子供は可愛げがあるよね。
青梅「ようし、まとめて面倒見てやるからな……アブラカタブラ」

と、ランプの中で、リクエストされた品物がアラジンラーの手にパッ、パッと出現し、それがランプから出てきて、子供たちの手に次々とおさまる。
これが魔法のランプの正体だったのだ……と言いたいところだが、じゃあ、アラジンラーが好きなものを出現させている原理は一体なんだってことになるよね。
よって、あらかじめ、ランプの中に色んな品物が用意されている……と言う方が現実的だったと思う。
ともあれ子供たちは大喜びであったが、そこへ愛しのあきらが青梅を呼びに来る。

あきら「なあに、これ?」
青梅「アラジンの魔法のランプだ」

あきら「えーっ?」
いいなぁ、この、分かりやすいリアクション。
怪人「いよいよデンジランド行きか」
ランプの中で武者震いするアラジンラーであったが、青梅と違って極めて現実的なあきらは、
あきら「怒ってたわよ、レッド、当番なのに30分も遅刻だって」
青梅「おっ、これを見せれば納得するさ」
あきら「こんな子供騙ししまっときなさい」
青梅の言うことなど耳を貸さず、アスレチッククラブのロッカーの中にランプを放り込んでしまう。
だが、賢明なヘドラー将軍は、ちゃんとパターンBを用意していた。
ヘドラー「アラジンラー、第二戦略に切り替えるぞ」
怪人「はーっ」
青梅は手ブラ、いや、手ぶらでデンジランドに行くと、他の仲間にもランプのことを話す。
黄山「なんだってえ、アラジンの魔法のランプ?」
青梅「おう」
赤城「ほんとうか?」
青梅「おおっ」
緑山「へーっ、イマドキねえ」
青梅「あ~あぁっ!」
腕組みをしてふんぞり返り、赤城たちの質問に、ほとんど唸り声で応じてから、

青梅「俺だって最初は信じられなかったさ」
しみじみと、自分の身に舞い降りた幸運を噛み締めるが、

あきら「マユツバよ!」
最初から全く信じていないあきらが、離れたところで自分の眉に触りながら一言で片付ける。
最近はとんと見掛けなくなったが、昔のドラマではたまに出てくる仕草である。
言うまでもないが、自分の唾を眉につけると、狐に化かされないという迷信である。

赤城「だろうな」
黄山「あーーーっ」
青梅「お前ら、俺の人間性まで疑うつもりか」
あきら「そんなことないけどぉ」
結局、赤城の提案で、実際にそのランプの力を見せてもらおうじゃないかと言うことになる。
それにしても、一般的にはロマンティックと思われている女性のあきらのほうが、男たちより全然現実的な考え方をするという描写はいかにもリアルで鋭く、さすが上原さんと言った感じである。
5人はアスレチッククラブの事務室へ移動する。

青梅「聞いてびっくり、見てびっくり、これがアラジンの魔法のランプ……アブラカタブラ……」
それでもあきら以外の三人は、ひょっとして……と、それなりに興味を持ってなりゆきを見守っていたが、青梅が何度ランプを擦り、呪文を唱えても、アンパンひとつ出て来ないのを見て、

黄山「……」
緑川「……」

赤城「……」
「あちゃー」と言うような顔になり、必死で笑いを堪えるのだった。
しかし、何度見ても、赤城が鼻をつまんでいるのが謎である。
その後、木枯らしに吹かれながら、しょんぼりと家路を歩いている青梅。
青梅「とんだ恥掻いちまったなぁ」

ところが、部屋の鍵を開けようとすると、それより先にドアが開き、そこにアラジンちゃんがにこやかに立っているではないか。

青梅「あーっ」
アラジン「お帰りなさいませ、ご主人様」
青梅「なんだよ、どうして出てきてくれなかったのぉ?」
アラジン「あんまり短時間に使い過ぎると魔法の威力がなくなってしまうんです」
青梅「はぁーん、なんだ、そうだったのか」
無論、アラジンが出てこなかったのは、赤城たちに姿を見せると正体がバレてしまうからだったのだが、すっかり魔法のランプだと信じきっている青梅は、アラジンちゃんの説明を受け入れて、疑う素振りすら見せない。
テーブルには子豚の丸焼きなど、豪勢な料理が並べてあった。

アラジン「お風呂も沸いております」
青梅「おおー、なんだかお嫁さん貰っちゃったみたいね、僕ね。いや、アラジン王国の王様だ」

青梅の台詞に合わせて、立派なヒゲをたくわえ、マハラジャ風の格好をした青梅の姿が映し出される。
この調子で「魔法のランプ物語~夜の営み編」なんてのも見たかった……

アラジン「……」
と、夢中で果物を食べている青梅の顔を見ていたアラジンちゃんの目付きが、急に険しいものになる。

窓際に立ち、振り向いて青梅の様子を観察するが、
青梅、ほとんどチンパンジーと化していた。 青梅がすっかり夢見心地になっているのを確かめたアラジンちゃんは、ここでアラジンラーの姿になると、
怪人「記憶投射装置出ろ、アブラカタブラー」
自分でランプを撫でて、なにやら複雑な装置を取り出す。
青梅はアラジンラーの存在には全く気付かず、コードのついたヘルメットのようなものを頭に被せられる。

怪人「青梅大五郎、君は正義のデンジマンだな」
青梅「そうだ……」
怪人「ならば尋ねる。たとえばデンジ姫をデンジランド内に案内するとしよう、その時、君ならどのルートを使う?」
青梅「デンジ姫なら、シークレットルートナンバー7……」
催眠状態にある青梅は、アラジンラーの仮定の質問に素直に答えるが、それにあわせて青梅がエレベーターを使っている映像が映し出される。
「投射」と言ってるくらいだから、青梅の記憶が映像化されたということなのだろう。
怪人「シークレットルートナンバー7はエレベーターか」
……
いや、そんなこと聞き出すより、無防備の状態にある青梅をこの場で殺せば良いのでは?
あくまで今回の作戦の目的はダイデンジンを奪うことにあるのだが、アラジンラーが絶好の機会をみすみす逃しているように見えるのである。
ともあれ、アラジンラーは戦闘員を引き連れ、直ちにそのルートでデンジランドへの侵入を図るが、当然、デンジランドには厳重な警戒網が張り巡らされており、ただちに赤城たちの知るところとなる。

緑川「ベーダーがシークレットルートへ!」
あきら「ナンバー7」
赤城「ピンク、入り口をチェンジせよ」
あきら「オッケイ」
ここで、エレベーターから出てきたアラジンラーたちを、デンジマンに変身した赤城たちが攻撃するが、シャッターが閉じてアラジンラーたちが再びボックスの中に入り、降下を続けるシーンとなるのだが、正直、見てて混乱してしまうので、なかった方が良かったと思う。

怪人「ふっふっふっふっ、いよいよデンジランド、敵の本陣だ」
終点が近くなり、意気込むアラジンラーたちであったが、

店員「いらっしゃいませ、こちらスポーツ用品売り場でございます」
あきらがルートを変更したので、彼らが着いたのは、デンジランドではなく、全く関係のないデパートのフロアであった。
しかし、そんな仕掛けを施すには、デパート側とも協力しないと無理だと思うんだけどね。
つーか、そんな危険な連中をデパートの中に放り込んで大丈夫なのか?
次のシーンでは、

黄山「バカヤロウ!」
青梅「いったぁ……」

黄山「デンジランドが襲撃されていたってのに、一体何やってたんだ?」
黄山が青梅を思いっきりぶん殴り、激しく罵っている。
OPタイトルクレジットでは、科学者および三枚目キャラのイメージの黄山だが、実はかなりの熱血漢で、その肉体も赤城や緑川よりずっと逞しいのである。
青梅「あれ、おかしいな」
あきら「ブルー、しっかりしてよ!」
青梅のマンションから引き揚げる途中、

黄山「全く弛んでるよな、あいつ」
緑川「おかしいな、少し」
あきら「変な感じね」
赤城「グリーンにピンク、青梅を見張れ」
あきら「ええ」
最近の青梅が明らかにおかしいことに気付いた赤城が、二人に監視を命じる。
どうでもいいが、こうして並ぶと、なんとなく背の高いイメージのある赤城が、それは青梅と比較すればの話であって、実は青梅以外のメンバーとは大差ないことが分かってしまう。
ブーツを履いているとは言え、あきらより低いくらいだからね。

寒風の吹く中、青梅のマンションの向かいのビルの屋上に立ち、青梅の部屋を双眼鏡で覗くあきら。
やっぱり、あきらは奇麗だなっと。

青梅「もしかして、あのランプはベーダー? 叩き潰してやる」
青梅も、やっとランプに疑いを抱き、金属バットを手にランプに近付こうとするが、機先を制して、ランプの中からアラジンちゃんが飛び出してくる。

あきら「煙の中から出てきたわ、あの娘! ブルーの言ったこと、ほんとだったわ」
だが、部屋が見張られていることを知らなかったのがアラジンラーの痛恨のミス、遂に、青梅以外のメンバーに姿を見られてしまう。

まだ魔法のランプの虜になっているのか、青梅が金属バットを持った手をぶるぶる震わせているのを、アラジンちゃんが、下から掬い上げるような、蛇のような目で見据え、

アラジン「乱暴はいけません、ご主人様……」
その心の隙間に入り込もうとでもするように優しく囁きかける。
青梅「お前は何者だ?」
アラジン「私はランプの精です」
青梅「違う……」
が、青梅、よほどアラジンちゃんに惚れていたのか、結局彼女の甘言にたぶらかされ、金属バットを手放して、唯々諾々とその体をマッサージして貰う。
緑川「デンジスパーク!」

グリーン「デンジスコープ、ズーム!」
ここで緑川がいきなりスパーク(変身)すると、デンジスコープでアラジンちゃんを調べ、その正体がベーダー怪人であることを暴き出す。
グリーンとピンクが飛び込んできたのを見て、さすがのアラジンちゃんも観念し、

ベールで顔を覆うと、一瞬でアラジンラーの姿になる。
……
ブラカップから少しだけはみ出ている、下乳がいやらしいのである!
アラジンラーは何の成果も得られずベーダー城に逃げ戻る。
これがデスパーやゴズマだったら、アラジンラーは即座に処刑されているところだが、
ヘドラー「諦めるのはまだ早いぞ、アラジンラー」
怪人「と、申しますと?」
ヘドラー「待つのだ」
アットホームな「悪の組織」であるベーダーでは、アラジンラーは責任を追及されることもなく、それどころか新たな作戦を伝授されるのだった。
一方、デンジマンは再度の襲撃に備え、シークレットルームの総点検を行っていたが、青梅だけは司令室に軟禁されていた。
別に懲罰のためではなく、またベーダーに利用されてはいけないと言う仲間たちの気遣いであった。
その青梅、イライラした様子で司令室の中を行ったり来たりしていたが、
青梅「頼む、出してくれ」
アイシー「ダメだ」
青梅「このワン公めぇ」
どうにも我慢できなくなったように、電子犬アイシーの前に両手を突いて直訴するが、アイシーはにべもなく却下する。
と、そこへ赤城とあきらが戻ってくる。
管理人、てっきり、自分を騙したアラジンラーへの怒りと闘志を抑えがたく、自分も戦いたいので出してくれと言ってるのかと思いきや、
赤城「どうしたんだ、ブルー?」
青梅「俺さあ、アンパンがないとイライラするんだよ」
ただのアンパン中毒かいっ! 思わず脱力してしまったが、こういうヒーローらしからぬ人間臭さが青梅の、ひいては「デンジマン」の魅力でもあるんだけどね。
で、代わりにあきらがロッカーの中のアンパンを取りに行くことになるが、その直前、ヘドラー将軍の指示で、アラジンラーと戦闘員たちがランプの中に入ったうえで、アンパンに化け、アンパンの詰まった紙袋の中に紛れ込む。

あきら「アンパンなんてそんなに美味しいのかしら……気が知れないわ」
ぶつぶつ言いながら事務室に下りてくるあきら。
今ならアンパン業界から批判を受けて大炎上しそうな台詞だが、こういうシーンを見ると、些細なことでいちいち過敏に反応するSNSの存在が、最近のドラマのつまらなさの一因になっているのではないかと言う気がする。

あきら「アンパンね……」
あきら、一番上に乗っていた剥き出しのアンパンをしげしげと眺めてから、紙袋の中に放り込むが、

怪人「いたっ」
あきら「!」
そのアンパンが声を出したので、思わずハッとするが、深く気にせず紙袋をデンジランドに持ち帰る。
いや、深く気にしましょうよ……
怪人「トロイの木馬作戦、うまくいったぞぉ」
青梅、待ち兼ねたように紙袋の中のアンパンをテーブルにぶちまけると、アラジンラー入りのアンパンを真っ先に手に取り、

青梅「お、袋を被ってないからちょうどいいや、あげないもん」
緑川「あーあ」
青梅の度外れたアンパン好きに、ウンザリする赤城たち。
青梅「あれ? あ、ぐ……このアンパンには骨がある」
青梅、アンパンが硬くて噛み切れず、放り投げるが、その途端、アンパンが爆発して煙が朦々と立ち込める。
それこそ、デンジランドを破壊する絶好の機会だと思うのだが、

あくまで当初の目的に固執するアラジンラーたちは、煙にむせている赤城たちを尻目に、司令室から出て行ってしまう。

怪人「我々はデンジタイガーの強奪に成功した。さらばデンジマンたちよ」
それでも、易々とデンジタイガーの操縦席に乗り込み、デンジランドからデンジタイガーを発進させ、さらにはダイデンジンまで起動させてしまったのだから、大したものである。
ただ、単にダイデンジンを壊せばいいものを、欲張ってダイデンジンを奪取しようとしたのが運の尽きで、ダイデンジンのセキュリティーシステムによって操縦席から排出されてしまう。
せめて、本部に連絡して、デンジランドの位置を知らせておけば良かったのだが、それもならず、惜しいところでベーダーの作戦は何の成果も上げられずに潰え去る。
もっとも、その様子をヘドリアンたちもモニターで逐一見ているのだから、デンジランドの位置ぐらいは分かりそうなもんだけどね。
事件解決後、不思議な老人に出会った同じ場所に腰掛け、アンパンを食べている青梅。

青梅「可愛い子だったなぁ、アラジンとか言ったなぁ……」
全てはベーダーの仕掛けたまやかしと知った後も、アラジンちゃんの顔を思い浮かべてニヤニヤしていたが、

ふと、見れば、あら嬉しや、そのアラジンちゃんが目の前に立ってにこやかに微笑みかけているではないか。

青梅「あら、アラジンちゃん、アラジンちゃーん!」
学習能力ゼロの青梅、アラレちゃんのようなポーズで、何の躊躇いもなくアラジンちゃんに突進するが、それはアラジンではなく、あきらのコスプレに過ぎなかった。
あきら「私よ」
青梅「なんだ、あきボン君か……」
あきら「しっかりしてよ、ブルー」
青梅「いやいやいや、もう懲りました」
自分の肩を押さえてシャレを言う青梅に、赤城たちが笑う。
せっかくアラビアンな衣装を披露してくれたあきらだが、なにしろ冬場なのでほとんど肌は見せてくれず、

せいぜい、走りながら振り返った時にチラッと見える豊満なおっぱいぐらいしか貼るべき画像がない。
無論、貧乳もいいけど、こういう衣装は、やっぱりある程度巨乳のほうが映えるなぁ。
以上、摩訶不思議でユーモラスなストーリーに、綺麗な女性ゲスト、そしてダイデンジンを巡るデンジマンとアラジンラーの攻防戦も見応え十分の、文句なしの傑作であった。
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