第12話「危険な子供スパイ」(1980年4月19日)
おそらく、これが最後になるかと思います、「デンジマン」のお時間です。
冒頭、ゆみ子たちレギュラー子役5人が、ジャンケンで負けたものがみんなのランドセルを持って歩くと言う、平安時代から行われている由緒正しいゲームをしながら下校している。
ゆみ子「頑張ってよ、男の子でしょ?」 体中にランドセルをぶら下げて今にも倒れそうな源一であったが、ゆみ子が放った、男を奮い立たせずにはおかない殺し文句に押されてなんとかノルマを果たす。
この年にして、男心を言葉ひとつで操るテクを身につけているとは、ゆみ子、末恐ろしい逸材である。
だが、そんな子供たちの様子を路上に停めた車の中からじっと見詰めているものたちがいた。

普通の服が着られて舞い上がるほど嬉しいミラーとケラーであった。
たぶん、電柱と電柱の間が区切りになっているのだろう、もう一度ジャンケンをするが、今度はそのゆみ子が負ける。

ゆみ子「あーあー、負けちゃった」
三太たちは待ってましたとばかりにランドセルをゆみ子に押し付けるが、
ゆみ子「残念でした、私んちはこっちのほうです!」
わざと、してやられた顔を見せてから、4人とは別の道を行くので罰ゲームは無効だと宣言する。

源一「ああっ」
勝男「ずるいよーっ!」
当然源一たちは口々に文句を言うが、ゆみ子は男の子たちのランドセルを汚いものでも触れるように押し退けると、
ゆみ子「じゃ、あとでね。ばいばーい」
いけしゃあしゃあと手を振って別れるのだった。
が……、
【ストレートニュース】 本日午後3時ごろ、文京区の路上で学校から帰宅中の女子小学生A子さんが、同じ小学校に通う児童4人に集団で暴行されると言う事件が起きました。
警察の調べに対し、主犯格の少年は、「あいつがランドセル持とうとしなかったから……」などと供述しており…… なんてことにもなりかねないので、これを読んでる女子小学生(註1)のみんなもズルはやめようね!
註1……女子小学生がこんなもん読むようになったら、日本も終わりだ。
ミラー「バーラー、バーラー、娘がそっちへ行ったぞ」
それはさておき、ゆみ子が一人で別の道に入ったのを見て、ミラーは無線機で、先回りしているバーラーと言う怪人に連絡する。
その名の通り、大きな赤いバラに化けて途中の生垣に咲いていたバーラーを見て、ゆみ子は思わず手を伸ばすが、

そのトゲに指を刺されて思わず顔を顰めていると、赤い花吹雪の中、バラが怪人の姿に変わる。
ゆみ子「ああっ」
怪人「バーラバラバラバラ……」
そのトゲに毒が塗ってあったのかどうかは不明だが、怪人の眠気を誘うような声を聞いているうちに、ゆみ子の足がもつれ、陶然とした表情になると、そのままばったり倒れてしまう。
てっきり、その場でゆみ子に催眠術でも掛けるのかと思ったが、抜け目のないベーダーは、ショッカーと違ってそんな不確実な方法は取らず、

一旦ゆみ子を倉庫の中のアジトに連れて帰り、綿のようなものが敷き詰められた箱の中に寝かせると、その中(註2)に種を埋め込み、さらに緑色の液体を注ぐ。
註2……ゆみ子ちゃんの中ではなく、綿の中である。お間違いのないよう。

やがて、綿の中から「ジャックと豆の木」のように、ツタがするすると伸びてきて、バーラーが化けていたような赤いバラを咲かす。
それにしても、ミラーのコスチューム、尻が丸出しで恥ずかしいなぁ。
もうちょっと食い込みが激しいとなお良かったのだが。

花はあっという間に枯れるが、それが、巨大な赤い実に成長する。

んで、それを桃太郎の桃のように割ると、その中からもうひとりのゆみ子が出てくるという仕掛け。
いささかまどろっこしいが、バイオテクノロジーを駆使してゆみ子のコピー人間を作り出したと言うことで、実に説得力のある描写である。
ケラー「瓜二つだ」
ミラー「ゆみ子、お前の使命は桃井あきらを殺すことだ」
無論、ニセのゆみ子は悪の心に染まっており、ミラーたちに命じられるまま、赤い薔薇の花束を手にアジトを出て行く。
一方、ゆみ子の母親は、いつまで経っても娘が帰らないので当然ながら心配し、警察の少年課に電話する。

千恵子「え、お嬢さんがまだ帰らない?」
母親「そうなんですか、お友達とはうちの近くで別れてるんです」
で、その電話を受けたのが、愛しのチーコこと松尾千恵子巡査なのだった。
知らせはアスレチッククラブにも届き、赤城たちは、誘拐でもされたのではないかと色めき立つが、

そこへ、いつもよりアイラインとアイシャドウを濃くしたゆみ子が、赤い薔薇を抱えて、しゃなりしゃなりと階段を降りてくる。

赤城「ゆみ子」
あきら「ゆみちゃん!」
青梅「どこへ行ってたんだ?」
ゆみ子「ごめんなさい、知らないおばあさんに道を聞かれてさ、連れて行ってあげたのよ、見てー、お礼にこんなにたくさんお花を貰っちゃった」
コピー人間と言うだけあって、ニセゆみ子は本物のゆみ子と同じ知能を持っており、咄嗟に、いかにもありそうな理由を口にして赤城たちを納得させる。
なお、この手の話のお約束として、登場人物は、決してニセモノと本物のメイクの違いには気付かないようになっている。
科特隊が、ウルトラマンとニセウルトラマン(ザラブ星人)の違いに意地でも気付かないのと同じ原理である。

ゆみ子「お詫びにこのクラブをお花で飾ってあげる」
さらに、ゆみ子がそう言って薔薇をアスレチッククラブのあちこちに飾ったのも実に自然な流れで、赤城たちも全く怪しまない。
それにしても、ちょっとメイクを濃くしただけで普段とは見違えるような美人になったゆみ子ちゃん。
成長して、さぞや美しい女性になったことであろう。
その上で、ゆみ子は、ターゲットであるあきらに近付く。

ゆみ子「あきら先生、私、先生にお願いがあるんだ」
あきら「なあに?」
ゆみ子「私にピアノ教えてください」
あきら「いいわよー」
ゆみ子「わあ、嬉しい」
あきら「1時間5000円ね」
ゆみ子「金取るんかいっ!」 と言うのは嘘だが、あきらたちは子供たちに空手や水泳を教えて月謝を貰い、それで生活しているのだから、ピアノのレッスン料を取ってもおかしくはないんだけどね。

ゆみ子「さあ、早く教えて」
赤城「ジャンケンポイ、あんたバカね」
で、ゆみ子が早速あきらを促して事務室を出て行く様子や、暇を持て余した赤城と青梅が「あっちむいてホイ」して遊んでいる様子が、ベーダーのアジトのモニターに音声付で映し出されていた。
そう、ゆみ子が至るところに飾った薔薇には、小型の盗聴器&隠しカメラが組み込まれており、アスレチッククラブの内部の様子が、ミラーたちに筒抜けになる仕掛けであった。

一方、そんな陰謀が企まれているとも知らず、緑川はギターを手に部屋を出ると、遊園地のベンチに腰掛けて気の向くまま掻き鳴らしていた。

と、そこへ拍手しながらニコニコとあらわれたのが、千恵子巡査であった。

緑川「おお、チーコ!」
千恵子「ミドちゃん」
緑川「ああ、久しぶりだなぁ」
千恵子の顔を見るなり、嬉しそうに駆け寄る緑川。
そう、迂闊にもこのシーンを見るまで気付かなかったが、千恵子は今回が初登場だったのである。
もっとも、千恵子がここへ来たのは恋人(?)に会うためではなく、

緑川「チーコ、相変わらず分からず屋だな、レッスン中なんだよ、ゆみちゃんは」
千恵子「この目で確かめなきゃね、とにかく一緒に来てもらいます」
緑川「参ったなぁ」
捜索願の出ているゆみ子の安否を自分の目で確かめにきたのであった。
なお、「参った」と言いつつ、緑川が満更でもない顔をしているのがお分かり頂けるだろうか?
少々そそっかしいところもあるが、こんなイイ女に惚れられてるんだから、悪い気がしなくて当然だよね。
だが、薔薇の花は遊園地にも置いてあり、ミラーたちは二人があきらのマンションに行こうとしているのを見て、バーラーたちに妨害を命じる。
新キャラクターと言うことで、ミニパトで移動中、ナレーションによって緑川と千恵子の関係が簡単に説明される。

ナレ「緑川達也は、池袋のイメクラ・城南テクノポリスの元常連客であった。そこで今も働いている千恵子とは金と性欲だけで結ばれた間柄である」
……すいません、もう言わないので許してください!
ナレ「緑川達也は、元城南署の刑事であった。少年課の松尾千恵子巡査とは旧知の間柄である」
と、ちびっ子向け特撮だけに、かなりオブラートに包んだ説明となっているが、二人がほとんど恋人同士のような関係であることは、物語が進むに連れて明らかになる。
でも、戦隊シリーズで、メンバーの一人にだけヒーローや「悪の組織」とは関係のない一般人の恋人がいて、それが準レギュラーも務めていると言うのは、この「デンジマン」がほかの作品と異なる大きな特徴だよね。
こういうパターンって、自分で知る限り、「デンジマン」だけだと思うが……
途中、正面からトラックが突っ込んできて、千恵子は何とかかわそうとするが、ミニパトを壁にぶつけて気絶してしまう。
無論、バーラーたちの仕業であった。
緑川は車から出ると、デンジグリーンに変身してバーラーや戦闘員たちと戦うが、

その様子を、すぐに意識を取り戻した千恵子に見られてしまう。
ただし、変身するところは見ていないので、完全に正体がバレた訳ではない。

一方、あきらとニセゆみ子は、歩いてあきらのマンションに向かっていたが、踏み切りに引っかかって電車が通過するのを待っていると、
ミラー「さあ、早く突き飛ばすのだ」
ケラー「お前には強い力を与えてある」
モニターで見ていたミラーたちがニセゆみ子に指示する。

ゆみ子「……」
ニセゆみ子、そろりそろりとあきらの背後に回り、思いっきり突き飛ばそうとするが、まさに押そうとしたところで電車が通過してしまう。
あきら「さあ、行きましょう」
しかし、せっかく暗殺者としてニセゆみ子を送り出しておきながら、殺傷力の高い武器……猛毒を仕込んだ指輪とか……をミラーたちが与えておかなかったのは、手抜かりのように思える。
まあ、一番確実なのは、その体内に強力な爆弾を仕掛けておき、事務所に入ったところで起爆させることだったと思うが、多分、(デンジランドだけでなく)アスレチッククラブの施設にも爆弾などの探知機が仕掛けられているだろうから、ちょっと無理だったかもしれない。

あきら「いいわね」

あきら「まず右手から始めましょ。ド、レ、ミ、ファ……」
何事もなくマンションに着くと、真面目なあきらは直ちにピアノのレッスンを開始する。
なんか、こうしていると、あきらがまるっきり小学校の先生みたいに見える。
それも、低学年時代の担任で、男子生徒の初恋の対象になりがちな先生のようである。
ミラー「窓際へ誘って突き落とすのだ」
ケラー「早くするのだ」
ミラーたちの指示を受けたゆみ子は、不意に立ち上がると、
ゆみ子「先生、難しいね、ピアノって」
あきら「そうねえ」
ゆみ子「ちょっと休ませてください」
あきら「甘ったれんじゃないわよ! そんなに休みたかったら、永遠に休ませてあげましょうかぁ?」 ゆみ子「ヒイッ!」
見掛けと違って超スパルタンなあきら先生の指導に青褪めるニセゆみ子であったが、嘘である。
ゆみ子「ちょっと休ませてください」
あきら「うん」
ゆみ子、ベランダに出て手摺を掴んでいたが、不意にあきらを呼び、

ゆみ子「先生、富士山はどっちの方?」
あきら「え、富士山って何?」 ゆみ子「……」
見掛けと違って超おバカなあきら先生の答えに固まるニセゆみ子であったが、嘘である。
あきら「富士山はねえ、あそこにビルが見えるでしょう、あのビルの右側あたり……」
あきらがゆみ子の前に出てあれこれ説明している間に、ニセゆみ子はその背後に回り、さっきと同じく突き飛ばそうとするが、

あきら「どうしたの、大丈夫?」
今度も、ちょうど良いタイミングであきらが振り向いたため、空振りに終わる。
あきら「お腹、空かない? ホットケーキでも食べようか」

で、あきらが実際にホットケーキを焼いてくれるのだが、これが妙にまずそうというか、具の少ないお好み焼きみたいな質感なのが何回見てもツボなのである。

まあ、でも、ピンク色のエプロンをつけた新妻or妊婦風あきらが焼いてくれたと言うだけで、舌がとろけるほど美味しかったに違いない。
懲りないニセゆみ子、今度はテーブルの上にあった果物ナイフを手に取り、それを構えながらゆっくりあきらの背後に近寄り、

今度こそあきらの命を奪おうとするが、

その瞬間、ドアの開く音がしたので、思わず振り向くと、

緑川「良い匂いだ」
そこに緑川が立っていた。
しかし、ニセゆみ子の殺し方が、全部背後からの不意打ちと言うのは、いささか芸がないな。

あきら「あらっ、一緒にどう、美味しいわよ」
緑川「いいねえ」
ゆみ子「……」
何も気付かないあきらが弾むような声で緑川を誘うが、緑川はニセゆみ子から一瞬も目を離さず答える。
ゆみ子、疑われていると察すると、ナイフを壁に投げつけ、部屋を飛び出す。
あきら「ゆみちゃん!」

あきら「どうしたのかしら」
緑川「君を刺そうとしてた」
あきら「ええっ、まさか? 何故ゆみちゃんが私を?」
緑川「それは知らん、だが君は狙われてる」
抜け目なくニセゆみ子が飾った薔薇を通して、ミラーたちはそんな彼らの会話もばっちり聞いていた。
ミラー「ふふふ、だが、コピー人間を見破ることは出来まい」
夜、ニセゆみ子は家を抜け出して、なんとベーダー城まで打ち合わせにやってくる。

ヘドリアン「生温いぞ、ヘドラー将軍」
ヘドラー「桃井あきらの暗殺に失敗した以上、今度狙うのはデンジランド。アスレチッククラブにはデンジランドへ通じる秘密のルートがある筈です。仲間を増やせ」
これも以前書いたと思うが、レギュラー子役が、それもひとりで「悪の組織」の幹部たちと会うシーンなんて、戦隊シリーズ通してもこれだけだよね。
翌日の放課後、ニセゆみ子は言葉巧みに三太たちを誘い、例のアジトまで連れて行く。

源一「あっ? ゆ、ゆ、ゆみちゃん」
三太「二人いる!」
4人が、箱の中で寝ている本物のゆみ子を見て、愕然としたのは言うまでもない。
と、突然目の前にバーラーがあらわれて三太たちを怖がらせるのだが、何故か、仲間であるニセゆみ子まで怯えているように見えるのは、ちょっと変である。
4人はたちまちゆみ子と同じ状態にされ、コピー人間が新たに4つ作られる。
ミラー「よいか、アスレチックへ潜り込み、デンジランドへの秘密ルートを探り出せ」
ミラーは手榴弾付きのベルトを5人に装着させ、命令を与える。

千恵子「ミドちゃんが事故の瞬間何かに変わった、そ、変わったわ……なんだったんだろう、アスレチッククラブを探る必要がある」
同じ頃、千恵子巡査も緑川およびアスレチックラブに疑惑を抱き、その調査に乗り出していた。

人目を避けながら、エッチなお店に入ろうとしている源一と三太……ではなく、アスレチッククラブ内部を探索している源一と三太。
だが、探知機などの力を借りずに秘密ルートを探し出すことは困難で、ここでもミラーたちの詰めの甘さが露呈してしまう。
さっきも言ったけど、わざわざそんなことせずとも、単にクラブの中で爆発を起こせば、それだけで十分デンジマンに打撃を与えられると思うんだけどね。

一方、千恵子も子供たちの後を追って建物の中に入り込み、抜き足差し足で、生足を露出しながら地下室に続く階段を降りていたが、

千恵子「きゃっ」
足元に何かを発見して思わず悲鳴を上げる。

だがそれはベーダーではなく、電子犬アイシーであった。
正直、可愛いと思っても怖がるようなものではないと思うのだが、千恵子はチャウチャウを見たことがなかったのか、

千恵子「かっ、怪獣! キャーッ!」
叫びながら反対方向へ向かって走り出し、そのまま緑川たちのいる事務所に飛び込んでしまう。

緑川「どうしたんだ?」
千恵子「か、か、怪獣!」
気配に気付いて物凄い勢いで振り向くと、いつの間にか足元にアイシーがちょこんと座っている。
千恵子「キャーッ!」
緑川「お、おいっ」
千恵子、恐怖のあまり緑川に抱き付き、緑川の背中が薔薇を差した花瓶に当たって落ちる。
青梅「はっはっはっ、怪獣はよかったなぁ」
緑川「いや、これはアイシーって言って、僕たちのペット、犬なんだよ」
千恵子「これで犬? 私はまたライオンかと思った」

赤城「……」
何気なく花瓶を拾い上げて元の場所に置こうとした赤城だったが、その時、初めて盗聴器などが仕掛けられていることに気付く。
緑川「人騒がせだなぁ、どうして地下室へなんか行ったんだよ」
千恵子「子供たちが行くもんだから……」
赤城「子供たち?」
千恵子「ええ、ほら、誘拐事件の子だとかぁ」
あきら「ゆみちゃん?」
5人の面上を俄かに緊張感が走り、素早く互いの目を見交わす。
赤城「よし、行ってみよう」
千恵子も一緒に行こうとするが、またしてもアイシーに邪魔されて出遅れる。

赤城「おい、俺たち見張られてるぞ」
黄山「なんだって?」
赤城「花瓶の薔薇は隠しカメラだ」
緑川「そう言えば……」
一時行方不明になっていたゆみ子が戻ってきた時、手にたくさんの薔薇を持っていて、それをあちこちに飾っていたことを思い出す緑川。
緑川「まさしくこれはベーダーだ」

だが、子供たちは既に彼らの頭上……天井に逆さまになって張り付いていた。

そして一斉に飛び降りる。

……
安心してください、これはスタントです。誰がなんと言おうとスタントです。
あきら「何をするの、あなたたち?」
子供たちはマンツーマンで赤城たちに襲いかかり、その首を絞めにかかる。
いや、彼らの任務は秘密ルートを探ることじゃなかったっけ?
仮に命令が変更になったのだとしても、殺すつもりなら手榴弾を使うべきであろう。
今回のベーダーの作戦、着想は良いのだが、実行段階での杜撰さが目立つのである。
赤城たちも相手が子供では本気で戦えなかったが、

赤城「植物人間!」
やがてその正体に気付いた赤城の指示で、デンジマンに変身して子供を抱えて外へ連れ出すが、
ケラー「今だ、爆弾を使え!」
いや、使うならさっきでしょ!
変身した後に爆発させたって殺せる筈があるまい。
デンジマンは慌てて子供を放り出すが、子供たちは手榴弾をデンジマンに向かって投げつけてから、自分たちも爆発して消える。
いや、手榴弾で自爆するのなら分かるけど、手榴弾を投げた後で自分たちも爆発するって変だろう。
ま、いくらコピー人間でも、子供が手榴弾で自爆するような映像はNGだったのかもしれない。
爆発音に気付いて千恵子が駆けつけるが、

赤城「子供たちの悪戯ですよ」
緑川「花火だよ」
赤城たちは適当に誤魔化して逃げるように行ってしまう。
千恵子「臭い、どうも秘密の匂い……」
再び追いかけようとするが、またしても目の前にアイシーがふんぞり返っていた。
千恵子「キャッ! もういやんっ!」
事務室に戻った赤城は、ハプニングを装って隠しカメラを潰す。

青梅「おお、隠しカメラだったとはな」
黄山「これぐらいの発信機なら3キロ以内だ」
赤城「うん、そこにベーダーのアジトがある。行くぞ」
5人は手分けしてアジトを捜索するのだが、これも、もう少し頭使えよと言いたくなる。
何故なら、他にも隠しカメラはあるのだから、そこから発信されている電波を辿れば、簡単にアジトを突き止められるからである。
色々あって、あきらはバーラーに捕まり、

千恵子「ああっ!」
アジトの周りをうろうろしていた千恵子も、バーラーに襲われて固まる。
しかし、全く偶然にアジトに近付いてしまうとは、運の悪いお方である。
あれこれ不満もあるが、

ミラー「即刻死刑!」
ベーダーのえらいところは、管理人が常日頃提唱している
「キャッチ&キル」を現場の判断で実践しようとするところである。
もしこれがショッカーだったら、とりあえず二人を丁重に保護して、
地獄大使「ようし、こいつらを人質にしてほかの4人をおびき出し、一網打尽にしてやるのだ!」
欲張って出来もしないことを満面の笑みでのたまっているところである。

あきらは電気椅子に座らされても、常に死を覚悟しているのか、それとも仲間を信頼しているのか、眉ひとつ動かさなかったが、

千恵子「助けてーっ!」
彼女のクールな顔に続いて、恥も外聞もなく命乞いする千恵子巡査の顔を映すことで、そのアホっぽさがますます引き立つようになっている。
ミラー「死刑用意」
千恵子「やめてーっ!」
ミラー「スイッチ!」
レッド「待てい!」
だが、戦闘員がレバーを下ろそうとした瞬間、レッドの雄叫びと共にデンジスティックが飛んできて、間一髪二人を助け、ついで本物のゆみ子たちも解放する。
こうなればもう詳述の必要もない。
長いぜ長いぜ長くて死ぬぜ的なラス殺陣&巨大ロボバトルをこなして事件解決。
エピローグ。
アスレチッククラブのプールで子供たちが泳いでいるのをあきらたちが応援していると、再び千恵子がやってくる。

緑川「よう、チーコ、元気か」
千恵子「どうも臭うのよね、あなたたちぃ」
緑川「臭う?」
千恵子「そ、クサいのよねえ」
青梅「クサい? それはその、お犬ちゃんじゃない?」
青梅に言われて振り向くと、いつの間にかすぐ後ろにアイシーが鎮座していた。
千恵子「キャーッ! あああ……」
アイシーから逃げようとして、思わずプールに飛び込んでしまう千恵子。
千恵子「もう、逮捕しちゃうから!」 どっかで聞いたような台詞を放ちながらむくれる千恵子が可愛いのである!

それにしても、内田直哉さん、いい笑顔してはりますねえ!
ラスト、千恵子の手を掴んだ緑川が、千恵子に引っ張られて仲良くプールに落ちたところで幕となる。
以上、念入りに仕掛けられたスパイ&暗殺作戦に、千恵子巡査の可愛らしい冒険を絡めた、見所たっぷりの快作であった。
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