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「仮面ライダーX」 第14話「アポロガイスト くるい虫地獄」


 第14話「アポロガイスト くるい虫地獄」(1974年5月18日)

 冒頭、GODの秘密警察室本部にて、白衣を着た青田と言う男が、戦闘員たちに無理矢理金属製の椅子に座らされ、拘束される。

 続いて銀色の奇麗な箱を手に、塵ひとつない真っ白なスーツで決めたアポロガイストが入ってくる。

 
 青田「あ、アポロガイスト、いいところへ来てくれた、こいつらを止めてくれ。俺はGODのために古代ギリシャの伝説の虫を蘇らせたんだ」
 アポロガイスト「……」

 「地獄に仏」とばかり、アポロガイストに助けを求める青田であったが、アポロガイストは押し黙ったまま。

 青田「助けてくれ、何とか言ってくれアポロガイスト」

 
 アポロガイスト「青田博士、GODはもう君を必要としなくなった。だから処刑する」
 青田「貴様と言う奴は……」

 アポロガイスト、恐ろしい言葉を放って青田のそばに立つと、箱の中から赤と黒のだんだら模様をした不気味な甲虫を取り出し、

 
 青田「ああっ、くっ……」

 全身で拒否反応を示している青田の体に容赦なく這わせる。

 青田「やめろ、やめてくれ!」
 アポロガイスト「刺せーっ!」
 青田「うっ」

 不気味な虫「くるい虫」は、自分を蘇らせてくれた恩人とも言うべき青田博士の首筋に、青黒い舌のような器官を突き立て、毒液を注入する。

 
 青田「ひっひっひっひっひっひっ……俺は無敵の戦士だ、不死身の戦士だ、殺す、殺して殺して殺しまくる!」
 アポロガイスト「そうだ、人間はすべてお前の敵だ。ゆけ、たたかえ、古代ギリシャの戦士よ!」

 青田はたちまちにして、顔に青白い筋を走らせた狂人と化し、自分を古代ギリシャの戦士だと思い込んでしまう。

 要するに、パッパラパーになってしまった訳である。

 ただ、「くるい虫」の効果はこれでもう確かめられたのだから、青田を無理に解き放つ必要はなかったと思う。

 のちのちGODが、この青田の口を封じるのに多大な労力を費やすことを思えば、完全なマッチポンプ的行為であり、その意味では、前回のやらずもがなの大予言と一脈通じるところがある。

 総司令「アポロガイスト」

 青田が連れて行かれた後、総司令の声がしたので、アポロガイストは内ポケットから、エチケットミラーにアンテナをくっつけただけのように見える通信アイテムを取り出す。

 
 アポロガイスト「総司令、通信機をオンにする前に喋るのはやめてください」
 総司令「すまん」

 じゃなくて、

 アポロガイスト「総司令、くるい虫の化石は20世紀の今、完全に蘇りました」
 総司令「その昔ギリシャの兵士はフルチンで戦ったそうだ」
 アポロガイスト「ド変態ですね」

 でもなくて、

 総司令「その昔ギリシャの兵士は戦争の恐怖を忘れるためにくるい虫に噛まれて戦場に赴き、殺し合ったと伝えられる」

 つーか、古代ギリシャの兵士って、そんなに腰抜け揃いだったのだろうか?

 それに、いくら恐怖を忘れて勇猛になっても、上官の命令を聞かなくなるから戦争には勝てないのでは?

 総司令「人間が人間を憎み殺す、GODにとっては素晴らしい虫だ」
 アポロガイスト「そうです、このくるい虫はちょうどゴキブリのように凄い殖え方をするのです。日本中がこのくるい虫で埋まり尽くし、狂った人間になる筈です」
 総司令「日本キチガイ作戦と名付けよう。アポロガイスト、お前のことだ、言うまでもあるまいが……」
 アポロガイスト「分かっております、Xライダーには絶対邪魔はさせません」

 青田博士、くるい虫の化石から生きたくるい虫を蘇らせることに成功したらしいが、他の動物にも応用できる素晴らしいテクノロジーだと思うのだが、なんでその逸材を裏切ってもいない段階でわざわざ殺さねばならないのか、理解に苦しむアポロガイストの行為であった。

 ともあれ、人間社会に放り出された青田博士は、手始めにタクシー運転手を殺してタクシーを奪い、細山団地に向かって暴走中との報告が入る。

 アポロガイスト「予定通りだ」

 ……いや、キチガイのすることがなんで予想できるのだろう?

 おまけに、横断歩道を渡っている団地の子供たちに青田のタクシーが突っ込むところに敬介が居合わせたため、早くも敬介が青田と接触する羽目になったのだから、アポロガイストの完全な失敗であろう。

 なんでそんな余計なことをせずに、粛々とくるい虫をばら撒いて計画を推し進めようとしなかったのか?

 
 敬介に助けられ、緑のおばさんと一緒に胸を撫で下ろしている子供たち。

 どうでもいいが、左端の子がちょっと可愛い。

 そう、今回はこんなのを貼らないといけないほど、女性ゲストに恵まれていないのである。

 怒りに燃える敬介はバイクで暴走タクシーを追いかける。

 
 敬介「おい、車を止めろ! おっ、俺まで殺そうと言うのか」

 敬介、タクシーの真横にバイクをつけながら、車の中に乗り移り、無理矢理車を停めさせて青田を運転席から引き摺り下ろす。

 
 敬介「警察に突き出してやる、このキチガイ運転手め」
 青田「人間はすべて敵だーっ」
 敬介「まさか本当に狂っているのでは?」

 敬介、無茶苦茶な運転をする奴と言う意味で「キチガイ」だと罵るが、相手の様子がガチでおかしいのに気付いて、ひとまず当身を食らわせて気絶させる。

 
 彼らを見下ろす丘の上から、ひとりの戦闘員が青田をスナイパーライフルで狙撃しようとするが、横からあらわれたアポロガイストに蹴られて邪魔される。

 
 アポロガイスト「出過ぎた真似をするな」
 戦闘員「しかし、神敬介が青田の秘密を知れば……その前に殺して口を封じたほうが」
 アポロガイスト「バカァ! 今青田を殺してみろ、神敬介に逆にGODの工作だと分かる。青田はごく自然に殺すのだ。日本キチガイ作戦は神敬介には分からせぬ!」
 戦闘員「……」

 「だったら最初から青田を解き放つなよ」と思う戦闘員であったが、余計なことを言うと処刑されるので何も言わないのだった。

 と、敬介の前に救急車が来て、緑のおばさんの通報を受けたともっともらしいことを言って青田を回収する。

 敬介も、すっかりそれを信じ切っている様子であったが……

 案の定、救急車はGODの差し向けたニセモノで、走り出して間もなく、患者のそばにいた救急隊員が戦闘員の姿に変わる。

 いや、変わらなくても良いと思うんですが……

 
 戦闘員「さすがにアポロガイスト、GODの秘密警察第一室長だな」
 戦闘員「することにぬかりはない」

 自分たちの上司の手際を褒めそやしてから、毒薬の入った注射を青田に打とうとする。

 うーん、一見手が込んでるようだが、これじゃあ過去のショッカーやデストロンがやってきたのと全く同じ手口で、まるっきり進歩がない。

 そもそも青田はキチガイになっているのだから口封じもへったくれもなく、本物の救急車に精神病院に運ばせた方が手間も省けるし、よっぽど確実な処理ではなかっただろうか?

 仮に敬介が怪しんで青田の素性を調べたとしても、GODの計画に気付くとは思えないのだから。

 まあ、それでも、確実に青田の息の根を止めていれば文句はないのだが、

 戦闘員「待てよ、尾行されてはいないと思うが」

 と、何故か急に心配になってわざわざハッチを開けてしまい、既に救急車に取り付いていた敬介に中に入られてしまう。

 これなんか、まさにやらずもがなの行為で、その間抜けぶりに見ていてイライラしてしまう。

 

 
 敬介に尻を蹴飛ばされ、アホみたいなポーズで路上に舞う戦闘員。

 
 敬介「あまりタイミングが良過ぎると逆に疑ってみたくなるもんだ、さあ、言え、この男はGODのなんなんだ?」

 もうひとりの戦闘員の胸倉を掴んで吐かせようとするが、運転席との仕切りからピストルの銃口が覗き、戦闘員を撃ち殺してしまう。

 ……

 この手のシーンを見るといつも思うのだが、なんで仲間じゃなくて敬介を撃たないの?

 残りの戦闘員たちは、救急車を置いてスタコラサッサと逃げてしまう。

 敬介「この人物の意識を戻せば、GODの動きが分かる筈だ」

 
 アポロガイスト「ふっふっふっふっ、さすがだな、神敬介!」

 と、背後の小山の上に、アポロガイストが颯爽とあらわれる。

 
 敬介「お前に褒められると妙な気持ちになる。なあにこれも、GOD、特にお前との付き合いをはじめたお陰だ。簡単に人間が信用できなくなったんでな!」

 敬介、「仮面ライダー」らしからぬ気取った言い回しで応酬するが、序盤の涼子と霧子の二人の女性に翻弄されたことを思い返せば、余計に実感の篭った台詞に聞こえる。

 それを踏まえて、すっかり女性不信に陥った敬介が、代わりに惹かれたのが美青年アポロガイストであり、二人が敵味方を超えた禁断の愛に堕ちる……などという腐女子的な妄想も、あながち飛躍した発想ではないと思う。

 しかも、怪人のモチーフになっているギリシャ神話を生んだ古代ギリシャでは、同性愛が公然と行われていたことを思い合わせると、なおさらそんな連想が働くのである。

 アポロガイスト「それで、その男を連れて行く積もりか」
 敬介「当然だろう」
 アポロガイスト「言っておくが、その男はもうGODにとって何の利用価値もないのだ。それでも連れて行くかね?」

 アポロガイストの台詞が、地中に宝物を埋めた男が、その秘密を守るために「この下には宝物は埋まっていません」と言う立て札を立てたと言う寓話を思い出させて、なんとなく悲しい。

 敬介「GODになくとも俺にはある。みすみす殺される人間を残していけるか」
 アポロガイスト「それではやるか」
 敬介「望みとあればお相手しよう」
 アポロガイスト「神敬介、アポロガイストはGOD秘密警察第一室長であると同時にGODの殺人マシーンとも言われている。死んでもらうか!」

 ここから、お互いにバイクにまたがって擦れ違ったり壊れない程度にぶつかったりする、どうでもいいチェイスシーンとなるが、

 
 互いに決定打を与えられぬまま、バイクから飛び降り、改めて向かい合う両雄。

 
 こうして並べると、昭和ライダーシリーズの中では、群を抜いて「絵」になるライバル同士である。

 おまけに、どちらも負けず劣らぬ美声の持ち主である。

 基本的に「悪の組織」の大幹部っておっさんが多いから、敵味方のライバルが二人とも若くてハンサムと言う事例は、ちょっと他では思いつかない。

 城茂の宿敵タイタンこと浜田さんもダンディーだったが、間違っても美青年とは言えないからね。

 まぁ、強いて挙げれば、「Black」の光太郎と信彦だろうか?

 そう言えば、あの二人も、一緒にお風呂に入ってキャッキャッ言ってるような、妖しい雰囲気を漂わせていたが、あちらはそもそも信彦役の俳優の出番がほとんどなかったからなぁ。

 閑話休題、

 
 アポロガイスト「アポロチェーンジ!」
 敬介「セッターップ!」

 気合を入れて変身ポーズを決め、戦闘スタイルになる二人。

 そう言えば、大幹部で変身ポーズがあると言うのも、アポロガイストが最初で最後ではあるまいか?

 ある意味、平成ライダー以降で当たり前のようにうじゃうじゃ登場するようになった、主人公と敵対する悪のライダーのはしりのようなキャラでもあるんだよね。

 アポロガイスト「食らえ、アポロショーット!」

 アポロガイスト、いきなりアポロショットをぶっ放すが、その狙いはライダーではなく、

 
 まだ青田の乗っている救急車であった。

 救急車は一撃で大爆発を起こし、紅蓮の炎に包まれる。

 オイルショック時代の作品にしては金が掛かっているが、今回は怪人が登場しない分、予算に余裕があったのだろう。

 ライダー「卑怯者、とうとう殺したなアポロガイスト」
 アポロガイスト「今頃気がついたのか、甘いぞ、Xライダー」

 アポロガイスト、物腰は紳士的で、敵に対する敬意も持ち合わせているのだが、その手口は冷酷かつ卑劣で、ひたすら悪に徹しているのだが、それこそが彼のスタイリッシュな魅力を支えているのだと思う。

 少なくとも、80年代後半以降の悪役のように、終盤で改心してイイ奴になっちゃう腑抜けよりはよっぽど潔くて男らしい。

 また、このシーンに関しては、兵は詭道と言うように、これはスポーツやゲームではなく喰うか喰われるかの殺し合いなのだから、卑怯だのなんだのと無用な倫理観を当て嵌めようとするライダーの方こそ間違っているのである。

 しばらく格闘した後、ライダーは必殺「Xキック」を放つが、アポロガイストの盾(ガイストカッター)で受け止められてしまう。

 
 そのまま空中で回転して燃え盛る車体の前に着地すると、

 
 何を思ったか、炎の舌に舐められながら、その向こうへ消えてしまう。

 これ、実際に肩口に炎が触れるくらいのところを駆け抜けているのが、かなりの迫力である。

 
 戦闘員「Xライダーの最後だ」
 アポロガイスト「間抜けーっ、Xライダーは自分であの中に飛び込んだのだ。一時姿を隠すためだ、奴は機会を窺って必ず向かってくる」

 楽観的な戦闘員たちは、それでライダーが死んだものと思い込むが、アポロガイストは舌鋒鋭く否定して、ライダーの再起を予言する。

 CM後、アポロガイストの睨んだとおり、ライダーは車の真下の地中に埋まって、暫時追撃の手をかわしたことが判明する。

 ま、そんなことしないで、普通に走って逃げれば良かったのではないかと言う気もするが。

 ライダー「恐るべき相手だ、青田さんをみすみす死なせてしまった。あのアポロガイストを倒すチャンスは……それにしてもGODは何を目的にしてるんだ?」

 今気付いたけど、なんで敬介は、青田の名前を知ってるの?

 アポロガイストも戦闘員も、敬介の前では青田とは一度も言ってない筈なのに。

 そのアポロガイスト、あっという間に増えた「くるい虫」のひとつを例の箱に入れて、戦闘員の一人に持たせ、とある場所に行かせる。

 
 案の定と言うべきか、そこは、珍しく客で席が埋まっている喫茶店コルであった。

 客を装ってカウンターに座っていた戦闘員は、箱の中から「くるい虫」を取り出して床に放ち、金を置いて出て行く。

 だが、お釣りを貰わなかったせいで、律儀なおやっさんが追いかけて店から出て来てしまう。

 それこそ、「釣りは要らないよ」と、寅さんみたいなことを言えば問題なかったのに、この辺はやはり戦闘員の限界であろうか。

 立花「おかしな客だなぁ」

 おやっさんがブツブツ言いながら店に戻ると、

 
 既にそこは地獄絵図と化していた。

 ……

 いや、「くるい虫」に刺されたら発狂して暴れ出すのであって、即死する訳ではないと思うのだが。

 仮にみんなキチガイになってお互いに殺し合ったにしては、おやっさんがその騒ぎに気付かなかったのは変だし、そもそも30秒足らずの間に全員が殺し合って死亡するなんてことはありえないだろう。

 その後、敬介が店に行くと、その前に人だかりができていた。

 敬介「何かあったんですか」
 女性「この店の中で人が死んだんですよ」
 敬介「人が死んだ? おやっさん……」
 女性「マスターは参考人だって警察に連れて行かれましたよ」

 そのおやっさん、地下牢のようなところに有無を言わさずぶちこまれる。

 立花「おい、取り調べもしないで俺を犯人扱いするのか? それが警察のやり方か?」

 だが、敬介が東京中の警察を探し回っても、おやっさんが拘留されている事実はなかった。

 いや、簡単に「東京中の警察」って言うけど、めちゃくちゃ時間がかかるのでは?

 
 立花「アポロガイスト! お巡りさん、こいつを捕まえろ、こいつはGODの秘密警察第一室長だ。日本を狙ってる悪の手先だ!」

 目の前にアポロガイストと警官が現れたので、思わず警官に向かって叫ぶおやっさんだったが、

 アポロガイスト「ふっふっふっふっ」
 警官「はっはっはっはっ」
 立花「貴様、笑ってる場合か!」

 アポロガイストが笑うと、背後の警官まで一緒になって笑い出す。

 
 アポロガイスト「頭の回転の鈍い男だ。まだ気がつかないようだな、ここは警察は警察でも24時間笑ってはいけない秘密警察だ!
 声「アポロガイスト、警官、アウト!」
 アポロガイスト&警官「しまったーっ!」

 じゃなくて、

 アポロガイスト「頭の回転の鈍い男だ。まだ気がつかないようだな、ここは警察は警察でもGOD秘密警察、東京分署だ!」

 アポロガイストが合図すると、警官が戦闘員の姿に変わる。

 ここ、アポロガイストの顔が半分影に隠れ、警官がただのシルエットになっているあたりが、ファシズムや独裁主義下の秘密警察の不気味さを巧みに表現した秀逸な演出である。

 
 立花「騙したな、俺をどうするつもりだ?」
 アポロガイスト「立花、お前が望んでいたように神敬介を呼んでやるつもりだがね……その前にお前に二、三質問があるが」
 立花「GODの秘密警察にも黙秘権はあるのかね」
 アポロガイスト「ふっ、認めてもいいが、さあて、いつまで黙っていられるかな」
 立花「拷問しても無駄だ。その前に舌噛んで死んでやる!
 アポロガイスト(奥女中か、お前は?)

 じゃなくて、

 立花「拷問しても無駄だ。貴様の質問になんか答えるもんか!」
 アポロガイスト「立花を痛めつけろ!」

 戦闘員が牢の中に入り、おやっさんをボコボコにする……と言いたいところだが、逆に戦闘員のほうがやられそうになったので、アポロガイストが割り込んでその腹を蹴り上げる。

 
 立花「あ、にゃ、へげぐご……」

 アポロガイストに頬をむぎゅっと捕まれ、変な擬音を発していたおやっさんだが、やがて意識を失う。

 一方、コルに「くるい虫」を放った男が再び店に戻ってきて「くるい虫」を回収しようとするが、待ち受けていた敬介に捕まり、おやっさんの居所を吐いてしまう。

 うーん、別に回収する必要ないと思うんだけどなぁ。

 放っておけば勝手に繁殖するらしいから、その調子でどんどん街に放せば良いではないか。

 再び秘密警察。

 おやっさんが目を覚ますと、冒頭で青田博士が座らされていた金属製の椅子に拘束されていた。

 立花「俺は何も喋りゃせんぞ」
 アポロガイスト「時間はたっぷりある」

 アポロガイストは悠然と構え、「くるい虫」がうじゃうじゃ蠢いている培養ケースを頼もしそうに眺める。

 
 立花「あ、その虫は? 俺の店にいた」
 アポロガイスト「その恐ろしさも見た筈だ。刺された人間は殺人鬼になる」

 その一匹を掴むと、おやっさんの体に這わせ、

 
 アポロガイスト「一生殺人鬼として生きるかね。このくるい虫の解毒剤は地上にはないのだ。それとも俺の質問に答えるか、だ」
 立花「あ、あああ……」
 アポロガイスト「簡単な質問なのだが、いいかね、もう二度と正常な人間として生活できない。神敬介にも会えない、それどころかグランプリレーサーを育てるのも夢になる」
 立花「夢でも良い、俺はその夢を抱いて死んで行く。殺せ、俺は何も喋りゃせんぞ!」
 アポロガイスト「望みどおりにしてやる。狂って死ね!」

 それにしても、結局最後までアポロガイストがその質問内容を教えてくれないのが、すげーイライラする。

 と言うか、どう考えても、アポロガイストがそんなにまでして知りたがるような情報(Xライダーの弱点とか)をおやっさんが握っているとは思えないんだよね。

 あるいは、「敬介に彼氏はいるのか?」みたいなプライベートな質問がしたかったのかもしれないが。

 立花「ああ、敬介、後は頼んだぞ」
 アポロガイスト「すぐに後を追わせてやる!」

 「くるい虫」が肩口まで登って来たので、おやっさんは身震いしながら観念の目を閉じるが、無論、おやっさんがむざむざ殺される筈がなく、背後から飛んで来たライドルロープが間一髪で虫を払い落とす。

 アポロガイスト「む、ライドルロープ!」
 ライダー「そのとおり!」

 もっとも、映像ではどう見てもライドルスティックorロングポールで払っている。

 アポロガイスト「どうしてここが?」
 ライダー「くるい虫の恐ろしさにお前の部下が白状したのだ」
 アポロガイスト「あのバカめが!」

 しかし、アポロガイストくらい頻繁に部下や同僚を罵る悪の大幹部も珍しいよね。

 ライダーによっておやっさんが助け出され、「くるい虫」もあえなく全滅させられ、「日本キチガイ作戦」は一瞬で瓦解する。

 ただ、ライダーがスティックで培養ケースを叩いただけで全滅するというのは、あまりに安直だと思う。

 ついでに東京分署も破壊され、踏んだり蹴ったりのアポロガイスト。

 
 外へ出て、遂にXライダーとの決戦となる。

 だが、銃をメイン武器とするアポロガイストには、ライダーとのクローズドコンバットは荷が重かったようで、アポロショットを叩き落され、ガイストカッターも失い、文字通り丸腰になってしまう。

 
 アポロガイスト「おふっ」

 顔面にまともにパンチを喰らい、よろめいたところに「X必殺キック」を叩き込まれ、あえなく爆死する。

 
 ただし、大幹部と言うことで、爆発の後も人間態として何とか立ち上がる。

 アポロガイスト「Xライダー、俺の負けだ。君はよきライバルであり、好敵手だった。最後の握手を」

 
 ライダー「アポロガイスト、私も敵に回すのが惜しかった」

 アポロガイストが悪の大幹部らしからぬ爽やかな言辞を述べて手を差し出すと、ライダーも賛辞を惜しまず、快くそれに応じる。

 だが、

 
 アポロガイスト「アーム爆弾で一緒に死ねえ!」

 アポロガイスト、いきなり握った右手を切り離すと、体を一回転させて飛び退く。

 
 ライダー「あっ、くそ、離れない」

 そう、最後の最後にアポロガイストは執念の罠を仕掛けてきたのである。

 ただ、そのアーム爆弾で殺すつもりなら、何もしないで見ていれば良いのに、いったん離れてからまたライダーの体に抱きついたのが、いささか不可解な行為に映る。

 一緒に死ぬつもりだったのなら、最初からライダーに抱きついていれば良いのだから。

 まあ、映像的にはそっちの方が分かりやすくてインパクトがあるからね。

 二人が抱き合ったまま、地面を転がり、低い丘の向こうに消えると、再び爆発が起きる。

 そこへおやっさんが駆けつけ、ライダーが死んだものと思い、落胆するが、

 
 振り返れば、クルーザーに乗ったライダーが後方からやってくる。

 ……

 さすがに無理じゃね?

 ここは普通に丘の向こうから立ち上がる……で良かったと思うが。

 
 立花「Xライダー」
 ライダー「重傷を負ったアポロガイストのタイミングが少し遅れたのです。ですが、敵ながら見事な最後だった」

 最後の最後にらしくない真似をして晩節を汚したようにも見えるアポロガイストだったが、前記したように「兵は詭道」、悪としてはむしろ褒められるべき筋の通った行為だったかもしれない。

 以上、ライダーとアポロガイストの虚虚実実の戦いは見応えがあったものの、肝心の「日本キチガイ作戦」のほうはどうなってるのー? 右舷弾幕薄いよーっ! などとブライトさんに文句言われても仕方のない体たらくが残念なエピソードであった。

 そもそも、「くるい虫」の件と、アポロガイストの最期とがあまり関係ないように見えるんだよね。

 ともあれ、要所要所の台詞にセンスの感じられる力作ではあった。

 どうでもいいが、店で大量死を出してしまった喫茶店コル、これでは今後の経営が立ち行かなくなるのは確実と思われたが、次回以降も、特に何の支障もなく客がやってきてめでたしめでたしなのでした。

 つーか、それどころじゃなくて、まだ本物の警察の取調べを受けていないおやっさん、この後、ほんとに殺人の疑いを掛けられてもおかしくないんだけどね。

 無実を証明してくれる「くるい虫」も、ライダーが全滅させちゃったし……
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コメント

ジャギ「どんな手を使っても勝ちゃぁいいんだ」

>兵は詭道と言うように、これはスポーツやゲームではなく喰うか喰われるかの殺し合いなのだから、卑怯だのなんだのと無用な倫理観を当て嵌めようとするライダーの方こそ間違っているのである。
最終決戦のゼネラルモンスターの「ほざけ、これが作戦というものだ」も僕は好きですね。

順番めちゃくちゃでいまいち

Xが順番めちゃくちゃで楽しめなかったのは以前にもコメントしました。それの弊害がもろにでたのがこの話でした。
途中を端折ってここにとんだものだからいまいち楽しめなかったです。97年にスカイの全話鑑賞を終えて初代V3と続いて鑑賞しました。スカイと初代、V3の全話鑑賞を終えた後でなければ疲労感だけが残っていたことでしょう。

キマイラはもう死んだよ

うーん、くるい虫作戦とアポロガイストとの決戦が噛み合ってないのは、元々別のエピソードだったところに急遽アポロガイスト退場回の要素を繋ぎ合わせたのかもしれません
管理人様が指摘していたように武器が格闘戦に向いていないことが現場で指摘されたので立ち回りがしやすい新武器を急遽作成し、武器が変わる事に説得力を持たせるため一度退場して強化改造された事にした、なんてところでしょうかね

日本キチガイ作戦

 1974年のこの放送の数週間後に、《きちがい》を含む所謂“差別的表現”の規制が始まったみたいです。

これはこれで良い

アポロガイストも色んな手段でXライダーを追い詰めたようですが、後一息でしたね😅
これはこれで良い作品でした。唯一残念なのは序盤で青田博士をさっさと始末するべきでしたね😖

>もう君を必要としなくなった。だから処刑する

安定のテンプレ展開だけど、兵器だとシステムにバグが発生・・・とかは考えんのか?
ま、今回は兵器じゃねぇが・・・
「秘密保持」の面があるとはいえ、見境なく処刑したらしっぺ返しを喰らいますよ。ね、アポロさん?

キチガイねぇ…

このエピソードを再放送すると吹き替えが入るとか?
「怪奇大作戦」の「狂気人間」が再放送されなくなるのも、この頃からでしたっけ。

映画「ルパン対クローン」は地上波ロードショーでは殆ど言葉狩りで
WOWOW放送ですら「キチガイ」だけは規制が入りました。

「恐怖新聞」の文庫版では往年の単行本時代の
キチガイ⇒異常、ドカタ⇒労務者
といった感じで変更が入っています。

No title

GOD怪人は一切登場しない話でしたね。

Re: ジャギ「どんな手を使っても勝ちゃぁいいんだ」

一方で、ヒーローにはそれなりの節度が求められるのが特撮ですね。

Re: 順番めちゃくちゃでいまいち

このあたりは話が連続してますから、続けて見ないと意味ないですよね。

Re: キマイラはもう死んだよ

アポロガイストも初登場時は素手の戦いもやってましたけどね。

変身すると、両手が自動的に塞がっちゃうのが難点ですね。

Re: 日本キチガイ作戦

そうなんですか。その頃から始まってたんですね。

Re: これはこれで良い

まあ、大幹部としては善戦してるほうですよね。

Re: >もう君を必要としなくなった。だから処刑する

どう考えても処刑する必要ないですよね。

Re: キチガイねぇ…

> 「恐怖新聞」の文庫版では往年の単行本時代の
> キチガイ⇒異常、ドカタ⇒労務者
> といった感じで変更が入っています。

昔読んだ「恐怖新聞」のプロ野球選手の話には「労務者」って書いてありましたが、既にそれは手直しされたものだったのかなぁ?

Re: No title

経費節減のためでしょうか。

色々と過激な時代

>「恐怖新聞」のプロ野球選手
そう、改訂されたのは正にこのエピソードでしたね。
「キチガイ」は亭主の恨みを晴らしたい奥さんに
手首を釘で打ち抜かれた鬼形君が漏らした台詞。
ガキの頃に読んだ時には「ドカタ」の意味が解らなかった。

70年代後半に初版なので80年を過ぎた頃には改訂されていたのでしょうか。
私は兄が友人から借りた単行本だったと思うので結構、古い?
球界丑の刻参りのエピ等は中盤のまだ結末が真っ当な部類。
終盤は小学生の時に読むには後味が悪過ぎる…。

カッコイイ!

やっぱり、アポロガイストって格好イイですねぇ…私の中ではXライダーって、すっかり忘れ去った存在でしたけど…やっぱり、キングダークが立ち上がった姿を見て子供心にXライダーの事は忘れようと思ったのかしら?(^∇^)

面白かったです!

こんばんは。あゆみかんさんの文章を初めてちゃんと拝見したんですけど、アホほど笑かして頂きました。ツッコミが鋭すぎ!!小ネタがマニアックすぎ!!
(^~^ )

昭和ライダー、あんまりちゃんと見たことないんですけど、アポロガイストってこんな間抜けな終わり方するんですね……昔の特撮って、幹部キャラが尺一話分であっさり死んじゃったりして、今思うとめちゃめちゃビックリなシナリオ構成だったりしますもんね……。

Xも見てないんだけど、幼少期にカッコイイからいつかちゃんと見たい!!と思ってました(当時ビデオなんてなかった)。今なら見れるのかな。

すみません!間違えたみたいです!!

他の方のブログ記事と勘違いしてしまいました……!!申し訳ありません!!

けど記事はめちゃめちゃ面白かったです!!また読みに伺いますね!!すみませんでした!!

白倉P「「Ⅹ」はキャラ最高。文芸最低」

GODが何をしたいのか?がよくわからないのが今作の迷走を象徴してますよね。
次作で十面鬼ゴルゴスの目的が「ギギの腕輪を奪う」だけなのも今作の反省か?

Re: 色々と過激な時代

返信ありがとうございます。

> そう、改訂されたのは正にこのエピソードでしたね。
> 「キチガイ」は亭主の恨みを晴らしたい奥さんに
> 手首を釘で打ち抜かれた鬼形君が漏らした台詞。
> ガキの頃に読んだ時には「ドカタ」の意味が解らなかった。

やっぱりそうだったんですね。でも、労務者と言うのも、今では若干差別的な響きがありますよね。

> 終盤は小学生の時に読むには後味が悪過ぎる…。

後味悪いけど、だからこそ傑作になったんだと思います。

Re: カッコイイ!

> キングダークが立ち上がった姿を見て子供心にXライダーの事は忘れようと思ったのかしら?(^∇^)

あれはちょっとねえ……萎えますよね。

Re: 面白かったです!

コメントありがとうございます。

そんなに喜んで頂いて、管理人冥利に尽きるというものです。

> 昭和ライダー、あんまりちゃんと見たことないんですけど、アポロガイストってこんな間抜けな終わり方するんですね……昔の特撮って、幹部キャラが尺一話分であっさり死んじゃったりして、今思うとめちゃめちゃビックリなシナリオ構成だったりしますもんね……。

まあ、アポロガイストはすぐ復活してもうしばらく活躍するんですけどね。

Re: すみません!間違えたみたいです!!

> 他の方のブログ記事と勘違いしてしまいました……!!申し訳ありません!!

いえいえ、よくあること……でもないですが、お気になさらずに。

> けど記事はめちゃめちゃ面白かったです!!また読みに伺いますね!!

ありがとうございます!!

Re: 白倉P「「Ⅹ」はキャラ最高。文芸最低」

後半はそれなりに統一感がありますけどね。

棒術

X対アポロガイスト決戦の殺陣はいつ見てもかっこいいと思います。
しかしアポロガイストはマッハアキレスの事を瞬間湯沸し器と言えないほど短気ですね

Re: 棒術

> X対アポロガイスト決戦の殺陣はいつ見てもかっこいいと思います。

燃えますよね。

しかし本当に立花に対する質問はなんだったんでしょうねぇ
Xライダーの弱点でもなければ他のライダーの所在とかですかねやはり

Re: タイトルなし

脚本家は何も考えてなかったと思います。

日本国憲法第9条改正案

>つーか、古代ギリシャの兵士って、そんなに腰抜け揃いだったのだろうか?

日本の戦国時代の武士は、戦争の直前に “酒” を飲んだそうです。
理由は『 酔っぱらう事で死の恐怖を紛らわせる為 』

いつの時代だろうと誰だって死ぬのは怖いんです!
「昔の兵士はお国の為勇敢に戦って死んだ」なんて、お偉方が自分たちに都合よく美化した瞞しに過ぎないんです・・・ッ!!(爆)

今じゃ無理

流石に今の時代はキ◯ガイと言う言葉は放送禁止用語で使用出来ない模様ですね😓改めて見るとアポロガイストは紳士的に見えて割と短気な性格でもあるようですね😅

Re: 日本国憲法第9条改正案

> 日本の戦国時代の武士は、戦争の直前に “酒” を飲んだそうです。
> 理由は『 酔っぱらう事で死の恐怖を紛らわせる為 』

そうなんですか。酔っ払い同士の殺し合いだったんですね。

> いつの時代だろうと誰だって死ぬのは怖いんです!
> 「昔の兵士はお国の為勇敢に戦って死んだ」なんて、お偉方が自分たちに都合よく美化した瞞しに過ぎないんです・・・ッ!!(爆)

まあ、そうでしょうねえ。

Re: 今じゃ無理

意外と器が小さいんですよね。

順番が違う

何故敬介を射殺しないで戦闘員を始末してしまったのでしょうか?順番が違うようですね😅

Re: 順番が違う

射殺すると番組が終わりますからねえ。

口封じ

わざわざ戦闘員を始末する必要性は無いと思うのですがね😅それにしても速水さんのアクションシーンは見事ですね😅アポロガイストとのやりとりも💮ですね

Re: 口封じ

絵になりますよね。

V3とのつながり

この回はエグい回だからか予告の段階で、テロップが出ていました。
青田博士は初代ライダーエジプタスの回に出ていた奥野匡さんです。奥野さんと打田さんの演技が熱く、V3の陰惨なシーンに流れていた暗めの曲が流れています。

>細山団地に向かって暴走中
名前の元ネタは「川崎市麻生区細山」、当時の多摩区細山でしょう。シーラカンスキッドの回に出てきた年賀状の住所と同じです。
青田博士をさらったにせ救急隊員の一人は、第一話の黒服を演じていた大野剣友会の双子メンバー中本さんでしょう。
敬介とアポロガイストが小山で語り合うシーンの曲はデストロン首領が結城丈二を罵倒したシーンの曲でストロンガーにも流用され心理戦のシーンで度々使用されています。
ラス殺陣には、「突撃!仮面ライダーX」のメロオケと歌入りが使用されました。1番の歌い出しに笑ってしまいます。「ふかせエンジン全開スタート」やばすぎでしょ。
V3最終回で純子さんが吊された橋をバックにした激闘は熱いですね。V3以後では一番熱い大幹部戦かと思います。ライダーの客演がないエピソードではここまで激しいのはないでしょう。

Re: V3とのつながり

> 名前の元ネタは「川崎市麻生区細山」、当時の多摩区細山でしょう。シーラカンスキッドの回に出てきた年賀状の住所と同じです。

ご教示ありがとうございます。気付きませんでした。

> V3最終回で純子さんが吊された橋をバックにした激闘は熱いですね。V3以後では一番熱い大幹部戦かと思います。

燃えますよね。アポロガイストはこのまま退場した方が良かったかな。

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