第5話「暴走エンジン怪獣」(1988年3月26日)
冒頭、パトロールの途中だろう、勇介たち三人が道端にバイクを停めてハンバーガーを食べていると、小学低学年くらいの可愛らしい男の子がその前に立ち、おずおずとリーゼント勇介に話しかけてくる。

武志「天宮勇介さんでしょう?」
勇介「そうだけど、君は?」
武志「矢野武志、矢野卓二の弟です」
勇介「卓二の?」

その名を聞いた途端、三人の顔色が変わる。
同時に、数年前、ドクター・ケンプこと月形剣史に撃ち殺された彼らの親友、卓二と麻理のことがありありと三人の胸に去来する。
勇介「卓二の弟……君が?」
次のシーンでは、早くも小さな自動車整備工場のようなところへ連れて来られている勇介たち。
何の説明もないが、この後、勇介たちが勝手に作業していることから見て、武志の実家なのだろう。
武志は、生前、兄・卓二が書いたという特別な車の設計図を見せると、
武志「どれだけこの車を作りたがっていたか……でも、兄ちゃんは戻ってこなかった」
勇介「……」
武志「作って欲しいんだ、兄ちゃんの代わりに」
卓二の一番の親友である勇介にそんなお願いをするのだった。
そばで聞いていためぐみは「ちょっと……」と、勇介の腕を引っ張って武志に聞こえないところまで移動すると、

めぐみ「気持ちは分からないではないんだけど……私たち、そう言うことしてる暇ないでしょ?」
勇介(女の子の言うことはいつももっともなんだけど……)
ここは、心を鬼にして断るべぎだと主張するめぐみであったが、男気に溢れる勇介がそんな忠告に従う筈もなく、武志を助手にして、早速その車の作製を始めるのだった。
なにしろ、勇介はジェットファルコンを一から自分の手で作り出してしまうほどの卓越したエンジニアである。既にある設計図をもとに車両を作ることなど朝飯前であったろう。
一方、その卓二の仇でもあるボルトの幹部ドクター・ケンプも地上に降り、車のスクラップ置き場へガッシュと共にやってくると、

そこに転がっていた車のエンジンを素材にして、頭脳獣エンジンヅノーを作り出す。
ケンプ「エンジンヅノーよ、お前にふさわしい車を探しに行け」
エンジンヅノー「任せておけ!」
ケンプ「……」
ヒラの怪人にフツーにタメ口を利かれて、ちょっと泣きそうになるケンプであったが、必殺技「聞こえなかったフリ」で、このピンチを切り抜けるのだった。
で、エンジンヅノーが選んだのが、案の定、完成間近の卓二設計の車なのだった。
エンジンヅノー、その車のエンジンをビームを放って消すと、エンジンが納まるべき部分に、自分がエンジンとなって潜り込む。

丈「まったくもう、ひでーよなー、俺たちにばっかりパトロールさせてさあ」

めぐみ「今日と言う今日は、首に縄をつけてでも連れ戻しますからね」
翌朝、丈とめぐみは、ブツブツ文句を言いながら勇介のいる工場へ向かっていた。
任務とは関係のないマシンの製作にかまけてライブマンの仕事を疎かにしている勇介にお灸を据えに行くところなのだ。
それはそれとして、めぐみのミニのタイトスカートの奥が真っ正面に見えて、今日こそめぐみのパンチラをゲットしてやるぜと意気込んだ管理人であったが、スカートの中の濃い影と、ちょうど大切な部分を隠す位置に来たハンドルバーとステムに遮られて、全く見えずじまい。
ちくしょう。
それはさておき、ちょうどその頃、勇介たちは遂に、卓二設計の車両を完成させていた。
パッと見、ただのピックアップトラックにしか見えなかったが、回想シーンで卓二が弟に自慢げに話していたことから、普通の車両にはないさまざまなハイテクメカが組み込まれていたと思われる。
ところが、勇介が試運転を始めようとすると、またエンジンをかけてないのに勝手に車が走り出す。

工場を飛び出すと、ちょうどこちらに向かっていためぐみたちに突っ込んでいき、危うく二人を轢き殺しそうになる。

この時、自転車と一緒に倒れためぐみを、足元から捉えたため、今度こそめぐみのチラをゲットしてやるぞと鼻息を荒くして、目を血走らせながらキャプボタンを連打する管理人。
これは女優とキャプ職人との、一対一の真剣勝負なのである!

そして遂に、派手に尻餅をついためぐみのミニスカの奥に、五月の空のように爽やかな青いパンツが……って、これ、
オーバーパンツ(見せパン)じゃねえかっ! 「オーバーパンツ」or「見せパン」、それは人類(主に男)にとっての三大悪夢のひとつと呼ばれて忌み嫌われている存在なのである。
ちなみに他の二つはキュロットスカートとモザイクである。
とにかく、本物の下着ではないようなのである。
ドちくしょう。
せめて、さやかみたいに白だったらなぁ……

でも、まあ、たとえ見せパンだとしても、こんなに可愛い女の子の見せパンなのだから、何とか頑張って続けてみよう。
一旦通り過ぎた車は、引き返してきてなおも丈たちを追いかける。

丈「勇介、俺を殺す気か?」
勇介「バカ野郎、俺だってお前の汚ねえ尻なんて追いかけたくねえんだっ」
まるでアメリカ映画のような台詞で応酬する二人。
勇介「でも、言うこときかねえんだよ」
エンジンヅノー「当たり前だ、誰も俺も止められん、ふっふふふっははっ」
何とかハンドルを操ろうとする勇介だったが、足元のあたりから、誰かの声が聞こえてくる。
結局、丈を追いかけながら猛スピードでコーナーを曲がった際、勇介も座席から放り出されてしまう。

めぐみ「勇介、これは一体どういうことなのぉ?」
折り重なって倒れている二人に、めぐみが駆け寄って問い質す。
さっきの仕返し(?)に、この画像で、めぐみの青いジャケットをミニスカ、白いタイトスカートをパンツだと見立てて、めぐみがしゃがんだ瞬間、白いパンツに包まれたお尻が剥き出しになっているのだという妄想を描いてみたが、空しい……何もかもが空しい。
やっぱり、特撮にはパンチラ、それも白いパンツが必要にして不可欠なのだと言うことが、この一連のシーンを見ていると良く分かる。
いや、むしろパンチラこそが、特撮そのものだと言っても過言ではあるまい(註・んなわけあるかっ!!)

それはさておき、問題の車は、いささかトウの立った暴走族風の若者たちの前で停まり、彼らがあれこれ言いながら車に乗り込んだところで再び走り出し、激しく蛇行運転しながら次々と放り出していく。

その車が暴走し、あちこちで混乱と破壊を引き起こしている様子を、ヅノーベースのモニターに映して楽しんでいるビアスたち。
ビアス(最後にちらっと映ったのは、なんなのかしら?) それは、この手のスペクタクルシーンで嫌と言うほど使いまわされている「ジャイアントロボ」の1シーンです!(読者様の情報によれば)
しかし、もう1988年だと言うのに、1967~68年に放送されたドラマの映像を使い回さなくても、もっと新しいバンク映像がいくらでもあるんじゃないと言う気がする。
オブラー「エンジンヅノーは車を走る悪魔と化すのだ」
マゼンダ「人間社会は車社会と呼ばれている、ドクター・ケンプはたった一台の悪魔の車でその車社会を混乱させようとしている」
珍しくライバルのマゼンダたちが、ケンプの作戦を褒めるような発言をするが、今のところは単に車が一台暴走してるだけなので、それだけで「車社会が混乱」すると言うのは、いささかオーバーなのでは?
が、基本、褒めて伸ばすタイプのビアスは、
ビアス「見事な作戦だ、ドクター・ケンプよ、大いにアクセルを吹かしたまえ」
と、いかにもビアスらしい表現でケンプを鼓舞する。
一方、ボルトの仕業とは知らないめぐみたちは、勇介があんなものを作るからだと散々責め立てるが、

武志「勇介さんのせいじゃないよ」
めぐみ「えっ」
武志「兄ちゃんは勇介さんのことをドジな人だと言ってた」
めぐみ「ふんふんふん」
武志「でも、最後には頼りになる人だって……兄ちゃんが一番信じてる人だって」
勇介「卓二が俺のことを?」
仲間に叱られて凹んでいた勇介であったが、武志の発言にたちまち目に生気を蘇らせる。

勇介「おい、聞いたか」
めぐみ「は、はひ」
勇介「信じるものの言葉、汚れなき少年の魂……それに比べて」
勇介「丈、めぐみーっ!」 めぐみ「は、はいっ、はい」
形勢逆転、今度は勇介が今までのお返しとばかり、めぐみたちを叱る番となる。

勇介「仲間を疑うとは……」
めぐみ「いやいや……」
リーゼントを尖らせて迫る勇介の怒気に、消え入りそうな顔で否定しつつ、顔の前で右手を何度も振るめぐみが可愛いのである!
あと、めぐみの後ろに隠れている丈が情けないのである!

勇介「お前らの目は濁ってる」
めぐみ(丈に)「濁ってる、濁ってる」
勇介「心まで濁ってる!」
めぐみ「ああーっ、ごめんなさい、ごめんなさい、まーまーまー」
いつもは二人を叱り飛ばすのことの多いめぐみが、ここではひたすら低姿勢で小さくなっているのが、普段とのギャップも相俟って、萌え死にしそうなほど可愛いのである!
あと、森恵さんのコミカルな演技も素晴らしい。
さすが大映ドラマの現場で鍛えられているだけのことはある。
なにしろ、大映ドラマでは、役者がいい加減な芝居をすると、監督がマシンガン撃ってくるそうだからねえ……
ともあれ、勇介は武志に必ず車を取り戻すと約束してCMです。
CM後、レッドファルコンに変身した勇介は、なおもあのチンピラたちを乗せて走っている車にモトファルコンで追いつき、その運転席に入り込む。
ファルコン「エンジンがおかしい」
ファルコン、ボンネットを開けてから、

窓から身を乗り出し、

ライブラスターでじかにエンジンを撃つ。
漸く車が停まり、エンジンが車から飛び出して、エンジンヅノーの姿に変わる。
ファルコン「頭脳獣の仕業か」
そこへケンプがあらわれ、
ケンプ「頭脳獣エンジンヅノーだ。エンジンヅノーを止めることはできんぞ」
エンジンヅノーと共に、何処かへ瞬間移動してしまう。
しかし、ボルトのすべての怪人がこの能力を持っているとしたら、危なくなったらこうやって逃げれば良いのだから、ライブマンに勝てなくても、負けることはなくなるのではないかと言う気がする。
その後も別の車に乗り移ったエンジンヅノーの暴走は続き、勇介たちは、グラントータスに戻ってその対抗策に取り掛かる。

勇介「あいつらの車に対抗するには、もっと新しい車が必要なんだ。卓二の設計した車は素晴らしいものだ。だからこれを原型にしてもっとパワーアップするんだ」
めぐみ「勇介、本当は凄いのね」
勇介「当然だろ、だってジェットファルコン作ったんだぜ」
丈「よし、急いで作ろうぜ」
つまり、今回のエピソードは、80年代後半の戦隊シリーズでは一種の定番となる、劇中で新たな専用マシンが誕生すると言うものだったのである。
ちなみに、卓二の車をパワーアップしたと言う車の設計図が、卓二の車とは似ても似つかぬ車種なのが、格好の突っ込みどころとなっております。
色々あって、ケンプが最初の車と同じようなピックアップトラックの荷台に乗って、何故か、狭苦しい洞窟のようなトンネルの中を進んでいると、

その行く手を塞ぐように、早くも完成したライブマンのニューマシーンがその全貌をあらわにする。
ケンプ「ライブマン、な、なんだ、その車は?」
ファルコン「ライブクーガー」
ケンプ「ライブクーガー?」
ファルコン「お前に殺された矢野卓二の車を元に俺たちが(原型をとどめぬほどに)改造、パワーアップした車だぁっ! 兄を慕う少年の思いと友情が作り上げた挑戦を受けてみろ!」
こうして、新生マシンとエンジンヅノー車とのカーチェイス&バトルとなるが、三人が、いや、卓二と武志を含めて5人が心血を注いで作ったライブクーガーのパワー&火力は凄まじく、あえなくエンジンヅノーの車は破壊され、ケンプも吹っ飛ばされる。
エンジンヅノー「おお……」
ファルコン「エンジンヅノー、暴走の青春は終わったぜ」
この後、既に戦意喪失しているエンジンヅノーをトリプルライブラスター及びバイモーションバスターで惨殺し、巨大ロボットバトルをこなして一丁上がり。

武志「すげーや、兄ちゃんの車がこんなになって……」
ラスト、勇介たちと並んで塀の上に腰掛け、完全に別の車種になってしまった兄の車を見詰めて感嘆とも落胆ともつかぬ声を上げる武志少年。

勇介「卓二兄ちゃんの設計図があればこそさ」
本文では触れなかったが、この武志役の子役が、女の子みたいで実に可愛らしいのである。

やがて勇介たちはそこから降りるのだが、それをかなりのローアングルで捉えたカメラに、再びめぐみのパンチラ(追い風参考記録)が起きるかと期待したが、

めぐみがよっこらしょと立ち上がった次の瞬間、

カメラは無情にも上からのアングルに切り替わるのだった。
ドちくしょう。
武志「あの車、勇介さんたちに使ってもらうのが一番だ。みなさん、兄ちゃんの分も頑張って!」
めぐみ「ばいばい」
最後に聞かれもしないのに自分から車の所有権を勇介たちに譲ることを表明する武志だったが、考えたら、元々の車は、武志の家の工場にあった材料で作ってるんだろうから、当然、それを改造して作ったライブクーガーも武志のものになる筈なんだよね。
で、今回のシナリオが、勇介たちの掛け合いを除いてあまり面白くないのは、この武志と言う少年があまりに素直で聞き分けのよいところに起因していると思う。
つまり、「僕、卓二の弟です」→「兄ちゃんの設計した車を作ってください」→勇介が車を完成→車が暴走→「勇介さんは悪くない」→勇介たちがライブクーガーに改造→「その車は勇介さんたちが使って下さい」と言う風に、武志の不気味なほどの物分りのよさと、勇介の男気によって、話がぜんぜんよじれることなく進んでしまうのが、逆に物足りなく感じてしまうのではないかと。
だから、最初は武志が卓二の死について勇介に責任があると思い込み、勇介に悪戯したり反発したりするが、最後は真相を知って和解し、勇介と一緒にライブクーガーを作る、みたいな展開にしたほうがドラマとしては絶対面白くなっていたと思う。
しかし、まあ、25分枠だから、無理かなぁ。
無論、なんでも尺のせいにすれば免罪されるわけではないが、ドラマパートの作り手が大変苦労していたであろうことは想像できる。

ラスト、車の上に顔を出した三人が楽しそうに話しているシーンで幕となるが、男二人に女ひとりという、戦隊シリーズでも唯一無二のメンバー構成が、5人の時と比べて一層メンバー間の親密度が増す結果に結びついていることをビジュアルで証明しているようにも見え、この三人構成と言うのも悪くないなと思った次第である。
結局、この番組も途中で5人に増えてしまい、それ以降のシリーズも5人以上になることはあってもそれ以下になることはなかったのは、やはり、スポンサーのおもちゃ会社のせいかなぁ?
単純に考えて、3人より5人の方が、それだけたくさんキャラクター商品を展開できると言うことになるだろうから。
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