再び野上家。
白井がみや子に線香を上げていると、パジャマから外出着に着替えた愛子があらわれる。

白井「もうくよくよしないんだよ、いいね?」
愛子「はい」
白井「それじゃ今日から稽古のやり直しだ、姉さんにそう報告してください」
愛子が白井に言われるまま、改めて姉の遺影に向かって手を合わせていると、玄関のほうから「野上さん、小包です」と言う声がする。
母親が受け取りに出るが、それが愛子宛ての、差出人のない四角い小包だと知るや、たちまち愛子が泣き出しそうな顔になる。
白井「どうしたの」
愛子「お姉さんのところへ来た小包とおんなじ」
白井「ええっ?」
愛子は小包に触れようともせず、白井に頼んで開けてもらうが、果たして、箱の中から出てきたのは、みや子に送られたものと同じピエロの人形であった。
しかも、その右手には「死」と書かれた旗が握られていた。

街頭で「グランドキャバレー キャスル」のプラカードを掲げたピエロ姿のサンドイッチマンが飛んだり跳ねたりして通行人の気を引こうとしている。

明智「……」
無論、事件とは何の関係もないピエロであったが、明智さんはそれをじっと見詰めていた。

文代「警部、綿貫の犯行としても可能よ、ホテルの食事を7時半に済ませたとして、ホテルからフェリーの発着場までは20分、カーフェリーで神戸まで1時間25分、そうすればぎりぎり9時半の新幹線に乗れるでしょう」
警部「うーん、よし、アリバイ崩しの作戦に切り替えるか」
明智事務所では、波越が文代さんたちと一緒に、時刻表と地図を並べて綿貫の犯行当日のアリバイに穴がないかを検証していた。
ちょうどそこへ帰ってきた明智に、
波越「綿貫以外に犯人は考えられないんだけどね」 論理的に考えて、綿貫が犯人である筈がないのだが、波越は論理よりも自分たちの見込みを優先させて、是が非でも綿貫を犯人に仕立て上げるつもりらしい。
こういう警察の体質が、数々の冤罪事件を生んできたのである。
もっとも、聡明な文代さんも綿貫犯人説には乗り気で、

明智は「動機は?」
文代「アケミと言うモデルと結婚するんで邪魔になったんです」
明智の問い掛けに、憶測だけで言い切ってしまう。
それこそ、女にルーズだと自他共に認めているような男が、そんなことで人を殺すだろうか?
波越「本人は否定してるが、みや子とは親密な関係があったに違いないんだよ」
いや、「違いない」じゃなくて、それが事実かどうかを調べるのがお前らの仕事だろうがっ!!
小林「でも、みや子は白井と婚約中だったんでしょう」
横から、小林少年がもっともな疑問を呈するが、
波越「そうなんだよ、白井がまた臭いんだよね!」
波越はそれには直接答えず、今度は白井にまで疑いの目を向けると言う、支離滅裂な言動を見せる。
波越「明智君、君はどう思う?」
明智「僕がこの事件で一番ポイントにしているのはピエロです」
波越「そうなんだよ、このピエロの人形が何を意味するのかね、僕にはさっぱり分からないんだよねえ」
明智はそのうち現実のピエロが(事件の中に)あらわれるのではないかと予言めいたことを言うと、

明智「今も街でサンドイッチマンのピエロを見てきたんですけどね」
波越「なんかヒントを掴んだの?」
明智「あの滑稽で、おどけて奇妙で、そしてグロテスクなマスク。それでいてどこか淋しさを秘めてますねえ……ただ、分かったことは……」
波越「なんだね、それは?」
明智「脇見運転すると事故ると言うことですね」 文代「あーっ、先生、またやったんですかーっ?」
明智「すまん」
じゃなくて、
明智「誰がなってもピエロのメーキャップをすれば分からないと言うことだけです」
波越「たったそれだけ? ふーん」
期待した明智の意見がそんなものだったので、あからさまにがっかりしてしきりに唸る波越。
だが、さすが名探偵の明智さん、波越警部は知る由もなかったが、そのさりげない一言が、今度の事件の核心を衝いていたのである。
などとやってると、その白井が、切迫した様子で事務所に飛び込んでくる。
持参したピエロの人形を見せて縋るように助言を求める白井を、明智はともかく応接セットにいざなって、腰を据えて話し合うことにする。

明智「みや子さんが家出をする日の午後、あなたに会いましたね。その直後でしょう、僕は偶然みや子さんに会ってるんです」
白井「そうでしたか」
明智「何かしら思い詰めて、ただならぬ様子でした。恐らくひどいショックを受けたと思われる」
明智はそう前置きして、あの日、喫茶店でみや子とどんな話をしたのか、腹を割って打ち明けてくれないかと頼む。
最初は言いよどんでいた白井だったが、眼光鋭い明智に全て見抜かれていると悟ると、観念して話し始める。
やはり、そこで交わされたのは「別れ話」だった。

白井「あの約束は忘れてください。8年も昔のことですから……あなたのお父さんには大変お世話になりました、その頃、将来の約束をしたことは確かです。でもあれから二人の環境も心境もすっかり変わってしまった。みや子さん、はっきり言って僕はあなたと結婚する気はありません。申し訳ないと思ってます」
白井がみや子に男らしくきっぱりと告げると、

みや子「分かりました。多分そう仰るだろうと……私、人に好かれるタチじゃないから」
白井「……」
みや子「いや、そこはマッハで否定しろよ!! リーゼント燃やすぞ!!」 白井「ヒイイッ!」
じゃなくて、
みや子「もうひとつ、隠さずに言って、妹を好きなの?」
白井「ええ、そうです」
みや子、薄々予想していたこととはいえ、かなりのショックを受けた様子であったが、最後に白井の本心を聞くと、
みや子「これでお別れね……」
未練がましく婚約履行を迫ることもせず、悲しそうな顔でつぶやき、それがみや子と会った最後になったのだと言う。
その後、明智から最近何か変わったことはないかと聞かれ、白井は、愛子が庭で見たと言うピエロの話をする。

白井「その時は幻覚に違いないといってたんですが……」
波越「へーっ、さすが明智君だねえ、たった今それを予告してたんだよ」
波越、感に堪えたように明智の神懸かり的な慧眼を讃える。
波越「いくつぐらい、背格好は?」
白井「それが、恐ろしさが先に立ってよく覚えてないらしいんですが、ただ、一言喋ったようなんです」
文代「なんて言ったんですか?」
白井「ええ……世の中に絶望した人間の気持ちは、お前には分からんだろうと……」
明智「世の中に絶望した人間……
タンスの角に小指でもぶつけたんでしょうかねえ」
ピエロ「ちゃうわっ!!」 明智「えっ?」

その夜……かどうかは不明だが、野上家の電話が鳴る。
あれ以来すっかり臆病になってしまった愛子は電話に出るのも怖いようで、母親に出てくれるよう頼む。
母親「野上でございますが」
声「白井です」
母親「いつもお世話様になりまして」
電話の主は白井だと名乗り、愛子に大至急稽古場に来るようにとのことだった。
もっとも、それは偽電話で、犯人が白井の名を騙って愛子をおびき出そうとしたのだが、女である真犯人が、白井の声をそっくり真似るというのは、さすがに無理なんじゃないかなぁ?
これも、原作のように真犯人が金で男の協力者を雇っていたとしたほうが分かりやすかっただろう。
相手が白井と言うことで、愛子も何の疑いも持たずに迎えの車に乗るが、やがて、車が人気のない山の中の淋しい道を走っているのに気付き、
愛子「ねえ、道が違うんじゃない? ちょっと」
そう言って運転手の肩を叩くと、

ピエロ「ふふふふふっ」
愛子「はあっ!」
ピエロ「迷っちゃった」 愛子「……」
途中から嘘だが、振り向いたその顔には、不気味なピエロの面が張り付いているではないか。

ピエロ「お前に分かるか、この世の中に絶望した人間の気持ちが? ぐふふふふっ」
愛子「あーっ、前、前っ!!」
ピエロ「え゛っ?」 この後、ピエロの車は見事に追突事故を起こし、相手の人にめちゃくちゃ怒られたそうです。
みんなも脇見運転はやめような!! 管理人との約束だぜ?
嘘はさておき、意外とアグレッシブな愛子タン、いきなり後部座席のドアを開けると車から飛び降りるというスタントマンまがいの挙に出る。

愛子「……」
奇跡的に無傷であったが、すぐに車も停まって、ピエロがこちらに近付いてくる足音がする。
美女シリーズで、こういう「13金」みたいなシーンは珍しいのだが、狙われているのが国宝級の美女・岡田奈々さんと言うのが、このシーンに極上の彩りを添えている。
やっぱり、殺人鬼に追われるのは、とびきりの美女じゃないとサマにならないよね。
相手が男だと思い込んでいる愛子は、ひたすら怖がって逃げるだけで抵抗しようとせず、あっという間に切り立った崖まで追い詰められる。

さらに、足元の地面が崩れて、崖から落ちそうになるが、木の根っこか何かにつかまって、なんとか耐える。
愛子「誰か、助けてーっ!」

愛子「どうして私をこんなひどい目に……」
ピエロ「お前は落ちて死ぬのさ、教えてあげようか、何故俺がこんなことをするのか……」
愛子「もう、だめ……」
薄れていく意識の中で愛子が最後に見たのはなんだったのか、視聴者に明かされないまま、次のシーンとなる。
新聞にでかでかと、愛子の失踪事件が書き立てられている。
五日後、相沢病院の住宅部分の居間。
相沢麗子の父親が経営している大きな病院である。

白井「愛子さんが行方不明になってもう五日が経ちました。ま、いつまでもオデットを決めないでおくことも出来ませんので、明日、お嬢さんのオデットと言うことで発表します」
以前よりさらにリーゼントを尖らせた白井が、相沢院長と麗子にそんな報告をしている。

相沢「ま、愛子さんにはお気の毒だが、麗子、決まった以上、しっかりやってくれ」
相沢院長を演じるのは、名優・高橋昌也さん。
美女シリーズには、これが初めての登場となる。
麗子「はいっ!」 父親の言葉に、親友が目下行方不明で、既に殺されているかもしれないと言う心配や不安を
まったく感じさせない、少女漫画のヒロインのようなキラキラした目で元気に頷く麗子。
お前は腐れ外道か? 白井から告白されても、死んだ姉に悪いと俯いた愛子を少しは見習え。

麗子「先生、よろしくお願いします」
相沢「あ、白井君、それから切符その他で金の要ることがあったらいつでも言ってくれたまえ」
いかにもお大尽という感じの鷹揚さを見せる相沢に対し、

白井「ありがとうございます!」
これまた恋人が目下行方不明中とは思えない満面の笑みを浮かべる白井であった。
ここは腐れ外道の巣窟か? 実際、劇中で、白井が愛子のことを心配している素振りを一秒たりとも見せないのは、人としてどうかと思う。
ま、その辺は、原作の白井も同じで、愛子がいなくなった途端、たちまち麗子に乗り換えてしまうクソ野郎なのであるが。
だが、そんな彼らの腐れ外道ぶりにカツを入れるようなタイミングで、またしても差出人不明の小包が麗子に届けられる。
ちなみに、小包を開けようとした人の反応を並べてみると、
※みや子宛て みや子「愛ちゃん、ハサミ頂戴」
※愛子宛て 白井「すいません、ハサミありますか」
※麗子宛て 白井「あ、すいません、ハサミを」
……
ハサミぐらい自分で取って来いっ!! と、意味もなく怒鳴りつけたくなる管理人であった。
でも、「ハサミ取って下さい」が三回も出てくるドラマって、なかなかないよね。
余談はともかく、小包の中から出てきたのは、言うまでもなくピエロの人形であった。
他方、まだ綿貫を犯人扱いして警察署に呼び出し、しつこく犯行当日の行動を尋問する波越たち。

波越「確かにあんたは7日から淡路島に行ってた、しかしみや子さんがいなくなった日、一番のフェリーで神戸に行ったものを見たものがいるんだよ」
刑事「何処行ってたんだよ?」
綿貫「神戸をぶらぶら……」
刑事「神戸の何処だ?」
綿貫「い、いやぁ……」
綿貫が即答できないでいるのを見た波越は、
波越「やっぱりみや子さんを殺したのはお前なんだよ!」 またしても暴言を吐く。
もはや「冤罪製造マシーン」と化しつつある波越であったが、
綿貫「待ってくださいよ! ……もう、いいや、50万で殺人犯人でっちあげられちゃかなわないよ」
綿貫はやむなく、その日、神戸で例の贋作を売ったと告白し、相手の名前も明かす。
綿貫「これでアリバイがはっきりする。神秘の謎も解けますよ!」
しかし、波越は犯行当日のことばかり気にしているが、肝心の、石膏像の運搬を依頼した日のアリバイは確かめなくて良いのだろうか?
運送屋への電話は関西からでも出来るかもしれないが、石膏像は当日に玄関の前に出しておかないと駄目だろうから、その日も東京に戻っていたことになるが、殺人鬼が、何度も東京と淡路島を行ったり来たり、わざわざそんな面倒臭いことをするだろうか?
ま、繰り返しになるが、ほんとに犯跡をくらますつもりなら、自分の名前で電話したり、自分のアトリエから死体の入った石膏像を運ばせたり、その上で堂々と自宅に帰ってきたりする筈がなく、綿貫が犯人でないことは分かりきっているのだが、どうやら波越警部、長いこと明智に頼りきりだったので、明智さんにそうだと言われないと絶対に自分の誤りに気付かない難儀な体質になってしまったらしい。
もっとも、今回の場合は、柄にもなく時刻表のトリックなどを思いついて波越を援護射撃した文代さんにも責任があるのだが。

それはともかく、つやつやしたレオタードをつけて、マンツーマンで白井の指導を受けている麗子。
ブラジャーのラインや乳首の位置などがかなりはっきり見える、なかなかエロいレオタードである。

極めつけは、麗子が体を動かすたびにパツンパツンに張り詰めた筋肉が躍動する、実に美味しそうな果物のようなお尻!
ただし、これは白都さんではなく、プロのバレリーナさんのお尻のようであるが、誰のお尻だろうと良いものは良いのである!

レッスン室には明智と文代さんの姿があり、文代さんがいかにも興味なさそうに頬杖ついて麗子の踊りを見ていたが、この10数年後に、同じ「白鳥の湖」のオデットを演じていた宮沢りえにシンクロを仕込むことになろうとは、夢想だにしていなかったであろう。

白井「さ、終わろうか……だいじょぶだよ、立派に務まるよ」
麗子「はい、頑張ります」
白井に太鼓判を押されて、満面の笑みで応じる麗子。
さっきも言ったけど、親友が行方不明だってのに、この曇りのない笑顔はどうかと思う。
ちなみに練習の後、ロッカールームに行った麗子本人のお尻が見えるのだが、上の画像と比べると明らかにレオタードからはみ出ている尻肉の量が多く、プロが吹き替えていたことがはっきりする。
やっぱり、日々鍛えられているだけあって、バレリーナのお尻って引き締まってるんだね。
白井「何か手掛かりは?」
明智「いや」
白井「あれからもう五日も経ってますねえ」
明智「ひとつだけはっきりしてることは被害者はあなたを愛した女性二人……つまり犯人はあなたの近くにいるということです」
明智は世間話のようにそう言うのだが、ちょっと暴論のように聞こえる。
これが、麗子が狙われた後なら分かるが、現時点では、むしろ野上家に恨みを抱くものの犯行と見るのが普通ではないだろうか。
明智はさらに、今度の事件は白井を中心に回っており、白井にも動機があると、波越警部も顔負けのめちゃくちゃことを言い出す。
これには当然白井も憤慨して、
白井「ちょっと待ってください、僕にみや子さんや愛子さんを殺す動機があるわけないじゃありませんか」
少し声を荒げて反論する。
つーか、愛子はもう殺されたことになってるの?
原作もそうだけど、この愛子ちゃん、乱歩の作品に出てくる被害者の中でもかなり不幸な人だよね。
白井と言う恋人を得たと思ったら、○○に殺され、誰にも知られることなく冷たい墓の中に埋められていたのだから……

文代「あのー、ちょっとお伺いしたいんですけど、オデットは、最初からあの相沢麗子さんに決まってたんじゃありません?」
白井「いや、それは……」
文代「相沢病院ではそれを条件に融資してあるってそう仰ってましたよ」
文代さんにやんわり指摘されると、白井もあっさりそれを認める。
それでも白井がオデット役を決め兼ねていたのは、バレエ指導者としての良心が邪魔をしていたからなのだろう。
つまり、実力では明らかに愛子の方が上だったが、経済的事情で麗子を指名せねばならないことに忸怩たるものを覚え、それでなかなかふんぎりがつかなかったのであろう。
白井「明智さん、みや子さんの死、愛ちゃんの失踪、僕はひどいショックを受けてるんですよ、被害者の僕を容疑者扱いするなんて不愉快ですよ。何が名探偵ですか」
痛いところを衝かれたせいか、白井は再び声を荒げ、最後には明智を侮蔑するような捨て台詞を吐いて部屋を出て行く。
文代「先生、犯人は白井清一ってこともありえますね」
明智「うむ」
「うむ」じゃねえよ! 今回の明智さん、妙に歯切れが悪いと言うか、やる気というものが感じられない。
やっぱり、「美女」がいないからかなぁ。
それはさておき、麗子はドキドキのシャワーシーンを披露してくれるが、

これが胸から下は絶対に映してくれない、シャワーシーンの風上にも置けないがっかりなシーンとなっており、管理人は大変遺憾である。
ピエロも同じ気持ちだったのか、シャワールームの隅にある小窓から顔を覗かせると、長い棒の先につけたナイフをそろりそろりと伸ばして、麗子の背中に傷を付ける。
明智と文代さんはひとまず引き揚げようとしていたが、ちょうどその時、変事の発生を知らせる複数の声が聞こえてきたのでスタジオに取って返そうとするが、明智さんは建物の裏手から出てきたピエロが逃げていくのを見て、そちらを追いかける。
かなり長い間走った明智さんだったが、最後は車に乗って逃げられてしまい、骨折り損となる。
これも、明智さんらしからぬ失態であった。

明智「逃げられてしまったよ、何があったんだい?」
文代「シャワーを浴びていたら窓からこのナイフが飛び出してきたんだそうです」
明智「ええっ」
文代「傷はかすり傷で大したことはありません」
なお、明智さんが「ええっ」と言ってるのは、シャワーを浴びてたのなら、ピエロなんてほっといて早く麗子のもとに駆けつけるんだったなぁという、悔しい気持ちが思わず口から出たものであろう。
明智「白井さんは?」
女性「車でお帰りになりました」
明智「車で? あなたのパンティーの色は?」
女性「白です」
間違えました。
明智「車で? 白井さんの車の色は?」
女性「白です」
それを聞いてもしや白井がピエロ? などと、波越レベルの推理をしてしまう明智さん。
いや、ピエロはかなりの距離を走ったあとに、あらかじめ停めてあった車に乗ったのだから、スタジオから車で帰った白井の訳がないだろう。
そもそも、白井が二重人格の変態殺人鬼でもない限り、みや子はともかく、相思相愛の愛子や、大事なプリマの麗子を殺そうとする筈がないではないか。
やがて、その波越たちが知らせを聞いて駆けつける。
みんな揃ってシャワー室へ行って調べると、あの小窓の外に、ピエロの人形と手紙が残してあった。

波越「明智君……あれ、君宛てだよ……お節介はよしたまえ、君がどんな知恵を絞ってみても、この事件の謎が解けるはずがない、それは地獄の秘密だ。理屈を越えた神秘の謎だ。地獄の道化師より」
波越警部はその手紙を読み上げると、
波越「うん、神秘の謎?」
何処かで聞いたことのあるフレーズに首を傾げる。
などとやってると、白井が予想外に早く駆けつける。
麗子の奇禍を知って目を丸くすると、
白井「途中でね、引き返してきたんだよ、明智さんをつい罵ってしまって謝ろうと思ってね」
きまり悪そうに言い訳する。
と、ここで、波越、性懲りもなく、犯人はやはり綿貫創人だと言い出す。
文代「どうして?」
波越「ここに『神秘の謎』とあるだろう? これは綿貫の口癖なんだよ。うまくとぼけていたがやっとボロを出した。よし、しょっぴくぞ」
……
じゃあ、なにか、犯人の残した手紙にガチョ~ンって書かれてたら犯人は谷啓なのか? ポテチンって書いてあったら鳳啓助なのかっ? もう、呆れて物も言えない。
それに、すべては自分を陥れるための策略だと言う綿貫のもっともな指摘を、綺麗さっぱり忘れているところも致命的である。
これがフィクションだからいいようなものの、現実にこんな警部がいたら日本もおしまいである。

白井「それでなんともないのかね」
麗子「背中を掠ったんですけど、大したことありません」
白井「踊りの方は?」
麗子「だいじょうぶです、どうせ吹き替えですから」
白井「えっ?」
麗子「えっ?」
と言うのは嘘だが、そんな白井のを背中にじっとりとした疑いの眼差しを向ける明智さん。
劇中、明智さんがこんな凡ミスを犯すのは極めて異例……と言うより、ほとんど空前絶後のことではないかと思うのだが、考えたらこの話って、トリックの性質上、真犯人が絶対に明智の前に素顔で出られないのだから、明智も見当違いの相手を睨むしかなかったのかもしれない。
ま、あと、一応、視聴者に対するひっかけにもなってるんだろうなぁ。
荻島さんは一度犯人を演じたことがあるし……
と言う訳で、いよいよ、あの伝説のシーンがやって来たのです!
つらく苦しいレビューをこつこつ書いてきたのも、このシーンを思う存分貼る為だと言っても過言ではない、あのシーンである。
そう、アケミのシャワーシーンなのです! これだけだと、さっきの麗子の生殺しシャワーと同じなのだが、

ロマンポルノ出身の北原さんは何の惜しげも衒いもなく、いきなりおっぱいを見せてくれるのであった。
ドン! 
もひとつおまけに、
ドン!! 雄大な美巨乳のうえを、シャワーの水が滑り落ちて光沢のある膜を作ったり、乳の断崖を滝のように滴り落ちる様子が、くっきりはっきりと見える、美女シリーズのヌードシーンの中でも、三本の指が入る、いや、三本の指に入る名場面と言えるだろう。
ちなみにこの角度から見ると、なんとなくアンヌに似てる気がする……

さらにカメラは横乳、ついで、

ちょっと申し訳なさそうなぺたんとしたお尻を映し、

ワキフェチが泣いて喜ぶ、なめらかなワキを全開にすると、

やや下から仰ぎ見るようなアングルで、右、

中央、

左と言うように、まんべんなく色んな角度から国宝級のおっぱいを心行くまで堪能させてくれる。
おっぱい自体も素晴らしいのだが、その魅力を余すところなく後世に残したカメラマンの仕事も賞賛に値する。
ま、どうせなら、蟹江さんと熱烈なラブシーンを演じて乳を揉みまくられて欲しかったところだが、贅沢は言うまい。
考えたら、美女シリーズで裸は一杯出てくるけど、直接的なセックスシーンってあんまりないんだよね。
もうお腹一杯だが、

至れり尽くせりのスタッフは、今度は上から見下ろしたアングルで、アケミの肉感的で、まさに「生きたビーナス」と言った感じのムチムチボディを見せてくれる。
それにしても、この、水平方向に張り出した乳の迫力と言うか、重量感・存在感はどうだ!
ま、尻フェチの管理人としては、おっぱいに比べてお尻が小さいのが残念であるが……
しかし、見てるほうは楽しいが、つけてるほうは、常時メロンか小ぶりのスイカを二つぶら下げているようなものだろうから、さぞや肩が凝ったことであろう。
シャワーを終え、フーッと息をつきながら白いバスローブをまとって居間に出てきたアケミ。
言い忘れていたが、ここは綿貫のアトリエである。
とりあえず椅子に腰掛けて一服吸い付けるアケミであったが、

アケミ「うっ、誰ぇ?」
いきなり背後からロープのようなものを首に巻かれ、

アケミ「あ……」
ほとんど抵抗する間もなく、絞め殺されてしまう。
死ぬ瞬間まで、我々におっぱいを恵んでくださったアケミさんに敬礼!
犯人は勿論ピエロであった。
波越たちが綿貫を逮捕しにやってきたのは、そのすぐ後であった。
令状もないのに勝手に上がり込んだ波越たちは、

そこにおっぱい剥き出しで死んでいるアケミを発見してギョッとする。
脈を取って、既に手遅れであることを確認する波越。
波越「綿貫の奴、愛人を殺してずらかったな」

アケミの死に顔は、絞め殺されたようには見えないほど穏やかであったが、ま、あまりリアルにやると視聴者が引くからね。

カメラはご丁寧に、死体となったアケミのおっぱいまで大写しで撮るのだった。
死んだ後まで、我々におっぱいを恵んでくださったアケミさんに改めて敬礼!
死体のそばには、あのピエロの人形が置いてあった。
波越「またピエロか、どういう意味だ?」
その3へ続く。
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