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「ウルトラマンA」 第16話「夏の怪奇シリーズ 怪談・牛神男」


 第16話「夏の怪奇シリーズ 怪談・牛神男」(1972年7月21日)

 岡山県牛窓町、牛窓町観光協会、国民宿舎・牛窓荘、オリーブマノン化粧品本舗などの協力のもと撮影された「夏の怪奇シリーズ」(と言うより隊員帰郷シリーズと言った方が分かりやすい)の第二弾である。

 なお、第一弾の15話はスルーさせていただいたが、別に今野隊員のことが嫌いだからではない。

 冒頭、父親の法事と言うことで、久しぶりの休暇を貰って新幹線で郷里・岡山は牛鬼伝説のある牛窓町へ向かっている吉村隊員。

 
 かた膝を立てながら弁当を食べるというお行儀の悪いことをしていると、その横に、もっとお行儀の悪そうなヒッピー風の男が断りもせずに腰掛け、吉村隊員にポップコーンをすすめる。

 高井「食べる?」
 吉村「いえ、結構です」

 男はあれこれと無遠慮に話しかけていたが、吉村が襟につけていたTACのバッジに気付く。

 
 高井「あんた、TACの人?」
 吉村「ええ、まあ」
 高井「へー、こりゃおもしろいや、岡山で大事件発生ですかな」
 吉村「いやぁ、盆なもんで、休暇を取ってね……」

 高井を演じるのは、名優・蟹江敬三さん。

 さすがに若い! 笑っちゃうほどに若い!

 新幹線は何事もなく岡山駅に着くが、高井は一緒に名所見物に行こうとしつこく吉村に絡んでくる。

 
 高井「吉備津ってとこはさ、どっか見物するところはあるかい?」
 吉村「ええ、まあね」
 高井「よーし、よしよし、ディスカバージャパンだよ、レッツゴー!」

 人の良い吉村隊員、高井の図々しさに苦笑しつつ、それぞれレンタカーを借りて吉備津の名所を一緒に巡ることになる。

 で、吉村が連れて行ったのが吉備津神社近くにある食用牛の供養塚として有名な「鼻ぐり塚」であった。

 
 吉村「これが鼻ぐりって言いましてね、牛の鼻につける輪なんです」
 高井「一体何頭分の鼻ぐりなんだい?」
 吉村「600万頭だそうです」
 高井「ひゃーっ、600万?」

 無数の鼻ぐりが積まれて、文字通り山となった供養塚の前で、思わず感嘆の声をあげる高井。

 高井「しかし、虚しいね、こうやって祀るくらいならさ、最初から食わなきゃいいんだよ、殺しといてから祀るなんてインチキ窮まるよ」
 吉村「ま、そりゃそうだけど、せめてもの心やりと言う奴でしょう」

 高井が、いかにもヒッピーらしく穿った見方をして、この施設の存在意義そのものを否定するような発言をするが、吉村はあくまで穏やかに応じる。

 ロケに協力してもらっておきながら、役者にそんなこと言わせて良いのかしらんと少しヒヤッとする台詞だが、この後、施設の人も納得できるストーリー展開となるので無問題。

 高井「俺ぁ牛肉や豚肉は大好きだ、しかし、と言って、牛や馬を可哀想だとは思わんねえ。こいつらは人類に食われる為にのみ生存してるんだからね」

 高井、塚の前に置いてある牛の銅像に無作法に触りながら、なおも持論を並べ立てるが、

 
 その合間に、何の説明もなく雲水の姿が映し出されるのが、かなりの不気味さである。

 まあ、その正体がすぐ発覚してしまうのはアレだが……

 高井、意外とあっさり吉村と別れて行こうとするが、足元に落ちていた鼻ぐりを拾い上げ、持って帰ろうとするのを、吉村が真剣な顔で止める。

 
 高井「祟りがあるとでもいうのかね?」
 吉村「まあ、そうだ」
 高井「何を言ってるのかね、TACの人が……牛どころか散々超獣を殺してきたTACの人が」
 吉村(言えないよなぁ、一度も超獣倒したことないなんて……)

 高井に指摘されて曖昧な笑いを顔に貼り付ける吉村であった。

 結局高井は腕輪代わりに右手に鼻ぐりを嵌めたまま、自分のレンタカーで走り去ろうとするが、走り出して間もなく、その鼻ぐりが勝手に右手を締め付けたので、それを取ろうとしてあたふたしているうちにハンドル操作を誤り、松の木に真っ正面からぶつかってしまう。

 放っておく訳にも行かず、吉村が駆け寄るが、幸い高井は無傷であった。

 と、寺の方から牛のような不気味な唸り声が聞こえてきたので、吉村は鼻ぐりを返しに行ったほうがよいと勧めるが、高井は頑として聞こうとしない。

 そのお寺では、さっきの雲水が紫色の派手な袈裟をまとい、供養塚の前に立ち、

 雲水「牛よ、牛の怨霊よ、あの男に取り憑け。そしてTACの男を踏み殺してしまうのだ」

 そう、雲水の正体はヤプールだったのである。

 吉村は、実家の化粧品店に高井を連れて帰る。

 店のあちこちに掲げてある「オリーブマノン特約店」と言う金看板を、意味もなく画面に映し込みながら、

 
 吉村「母ちゃん、うまかったよ」
 母親「そりゃあ良かったなー、で、いつまでおられんの?」
 吉村「今年はオヤジの13回忌の年でもあるしさ、隊長がゆっくりしろとさ」
 母親「そう、ほんなら明日一緒に牛窓にお父さんのお墓参りに行こうかねー」

 久しぶりの母親との会話を楽しむ吉村隊員であった。

 ちなみに吉村隊員の母親役の磯村千花子さんは、「タロウ」でも南原隊員の母親を演じていたな。

 母親「あの人はなんする人?」
 吉村「汽車の中で知り合っただけなんだよ」

 吉村の視線の先には、

 
 高井「おーっぷっ」

 初対面の相手の実家に上がり込んでたらふく食った挙句、満足げに横たわってゲップをしている、高井のひたすら太平楽な姿があった。

 
 高井「お、お、お! なんだこれ?」

 ところが、ふと右手を見ると、取れなくなった鼻ぐりのあたりから、茶色い毛のようなものが生えているではないか。

 引き抜こうとするが、痛くてとても抜けない。

 高井はそのまま吉村の実家に泊まることになるが、夜中に錫杖をふるような奇妙な音や、牛の唸り声のようなものが聞こえてきて、高井のみならず、吉村親子にまで不吉な予感を抱かせる。

 翌朝、吉村親子は予定通り父親の墓参りに行こうとするが、高井は一向に起きてこない。

 
 吉村「僕らこれから海岸の牛窓に行くんですよ、万葉集にも歌われている、古い港なんです。君のディスカバージャパンには最適の場所ですよ。オリーブ園もあるし、魚もうまいし」

 吉村、高井の寝床に向かって、「へっ、タイアップの臭いがプンプンしやがるぜぇっ!!」的な声をかけるが、高井は布団にくるまったまま背中を向けてしまう。

 高井「このまま休ませてくれよ」
 吉村「そうですか、じゃあ食事はあっちに出ていますから」

 底抜けにお人好しの吉村は、食事の支度まで整えて、見ず知らずのヒッピーに留守番を頼む。

 
 高井が誘いに応じなかったのも道理、吉村がいなくなったあと、高井が寝返りを打つとその右手全体が茶色い毛に覆われているではないか。

 二人が仲良く出掛けた後、

 
 高井の寝床の隣の部屋に、じゃっかん中原誠似の雲水が音もなくあらわれ、気合を入れて錫杖を向けると、ひとりでに襖が開き、蚊帳の中で横になっていた高井がむっくりと上半身を起こす。

 それと同時に雲水の姿は再び消える。

 高井、なんとなく違和感を覚えて頭に手をやると、

 
 高井「はっ、うっ……一体どういうことだっちゃっ?」

 今度は頭に角が生え、おまけに変な語尾までつくようになったが、後半部分は嘘である。

 高井、恐怖のあまり布団の上で文字通り七転八倒転げ回り、蚊帳を頭から被って蓑虫のような格好になる。

 かと言って、誰かに助けを求める訳にも行かず、医者に行くことも出来ず、気が狂いそうになる。

 それでもお腹はペコるので、廊下を這うようにして居間に行き、用意してある食事に顔を近付けるが、

 
 高井「ふが、ふが……嫌な臭いだっ!」

 動物のように鼻を蠢かせると、嫌悪感も露わに顔を顰め、毛むくじゃらの右手で、せっかく吉村のお母さんが作ってくれた手料理を卓袱台から払い落としてしまう。

 しかし、メシ食ってて、いきなりこんなのが廊下の置くから這って来たら、死ぬほどビビるよね。

 この後の着ぐるみはそんなに怖くないが、人間の体が中途半端に牛化しているあたりが、悪夢的なおぞましさである。

 
 庭に出た高井は、本能の赴くままに庭に植えられていたオリーブの木の葉っぱをむしゃむしゃ食べる。

 高井「うまい……」

 しばし陶然となるが、まだ人としての理性が残っているのか、急にそれを吐き出し、

 高井「いやだよ、葉っぱが旨いなんていやだよ!」

 泣きそうな顔で叫ぶと、帽子とコートで体の一部を隠しつつ、おこりにかかったような奇妙な歩き方で吉村家をあとにするのだった。

 一方、そんなことが起きているとは夢にも知らない吉村親子は、由緒正しいタイアップの作法にのっとり、600年以上の歴史を持つ水蓮寺と言うお寺を訪ねていた。

 タイアップの都合で、急遽吉村の父親の墓がそこに改葬されたのである(註・違いますっ!!)

 二人が門を潜ろうとしていると、境内から出てきた立派な紳士と鉢合わせする。

 
 母親「こりゃあ社長さん」
 吉村(む、タイアップからの刺客か?)
 社長「おお、吉備津の吉村さん」
 母親「いつもご厄介になりまして……」
 社長「すると、この立派な青年はTACに行っていると言う息子さんかな」
 吉村(なんだ、おかんの知り合いか……ほな、タイアップと違うかぁ)
 母親「はい、さようでございます。公三、マノンの社長さんよ」
 吉村「タイアップやないかいっ!」

 じゃなくて、

 吉村「いつも母がお世話になっています」

 
 社長「そう、お盆で墓参りに帰って来たのか?
 吉村「はい」(タメ口……)

 ちなみに社長は「吉備津の」と言っているが、吉村の実家は牛窓にあるんじゃないの?

 まあ、吉村が吉備津にある鼻ぐり塚を案内したのも、そこが地元だったとしたら納得できるが。

 でも、二人はどう見ても家からぶらぶら歩いて墓参りに向かっており、吉備津からでは遠過ぎるから、やっぱり牛窓かな?

 ま、そんな些事はともあれ、社長を演じるのは名優・守田比呂也さん。

 
 高井「呼ぶなー、呼ぶなー、俺は人間なんだよ」

 一方、徐々に牛男になりつつある高井は、どっかの牧場で立派な赤牛を相手に遊んでいた。

 
 変な格好をした四つん這いの生き物がいきなり両手を広げたので、マジでびびってあとずさる牛さん。

 高井「牛じゃないんだよ、呼ぉぶなぁよぉ~」
 牛「モォオオ~」
 高井「よ、呼ぶな、人間なんだぁ、俺は」

 蟹江さんにもこんな下積み時代があったんだなぁと思わず目頭が熱くなるが、この体当たりの熱演があってこそ、後に「ウルトラマンレオ」において、生涯の当たり役とも言うべきブニョ役を射止めることが出来たのだから、この苦労も決して無駄にはならなかった筈である。

 そんな蟹江ウェスト敬三の苦労をよそに、墓参りを済ませた吉村親子は、せっかくなので社長と一緒に名所見物としゃれ込んでいた。

 
 社長「こういう古墳がここにはたくさんあるんですよ。だいたい5世紀ごろのものといわれてますがね」

 しかし、仮にも吉村たちは地元の人間なんだから、わざわざそんなとこに行くかなぁ?

 
 社長「この山にオリーブを植えたのが戦争中だから、もうかれこそ30年になるかなぁ」
 吉村「そうですか、ちょっと日本離れした風景ですね」
 社長「ああ、この柱を背に写真を撮ってね、ギリシャへ行ってきたって嘘をついた奴がいたよ」
 吉村&母親「あっはははっ……」

 相手が世話になってる社長なので、クソしょうもないギャグにも笑わねばならない、宮仕えのつらさが滲み出た「大人」のシーンである。

 ちなみに撮影地の牛窓オリーブ園が、戦争中にとある商人がオリーブ作りを初めたのが濫觴と言うのは事実であるが、それとオリーブマノン化粧品との関係は良く分からない。

 無論、このパルテノン神殿みたいな柱は、観光客向けに作ったレプリカであろう。

 さて、蟹江さんの熱演をもっと見たかったところだが、

 
 次のシーンでは、既に頭部まで完全に牛になってしまっており、これでは着ぐるみを着て演じているのと変わりなくなるので、蟹江さんが演じる必要性も薄れてしまうのが残念だ。

 あと、こんなもんが昼間から街中を歩き回っているのに、誰にも気付かれず、何の騒ぎも起きないというのはいささか不自然のような気もする。

 高井はあの供養塚の前まで戻って来ると、

 高井「許してくれよ、牛にしないでくれ、お願いだよ~」

 あの牛の銅像にぺこぺこ頭を下げて許しを乞うが、そこへあの雲水があらわれ、

 雲水「超獣カウラになれ。人々は獣の呪いの恐ろしさを思い知れ、えいっ」

 高いに向けて気合を放つと、

 
 その体が一気に巨大化して、超獣カウラに変化する。

 つまり、高井という罰当たりな人間を憑代にして、塚に眠る牛たちの霊を蘇らせて合体させ、一匹の超獣に仕立ててしまったのだろう。

 ヤプールの恐るべき科学力(妖術?)であった。

 神主「超獣だ、今度は牛に人間が食われる番だ!」

 超獣の姿に気付いたどっかの神主が、咄嗟に気の利いた台詞を吐く。

 吉村親子はオリーブマノン本店に立ち寄り、お土産まで貰って引き揚げようとしていたが、そこで超獣出現の騒ぎを聞きつける。

 
 吉村「あ、ちょっと、その超獣はどこに現れたんですか?」
 男「吉備津神社近くの鼻ぐり塚だそうだ」
 吉村「特徴は?」
 男「右の前足に白い輪をつけた、ぼっこい超獣だぜっ!」
 吉村(いや、そっち、左手やん……)

 こんな場合ながら、ツッコミを入れるのを忘れない吉村隊員であったが、嘘である。

 
 男「牛みてえな超獣があらわれたそうじゃのう」
 男「ほーん、じゃあ、ビフテキ食ってると狙われるかのう?」

 CM後、ビルの中にあるレストランで暢気に食事をしているモテない男二人。

 ちなみに、この二人の声、この前ウルトラ兄弟の声を当てていた、池水通洋さんと山下啓介さんのようである。

 さっきの男性の声も、なんとなく怪人の声っぽかったが、良く分からない。

 男「まさか、牛は食われるためにおるんじゃろ」
 男「うっははははっ」

 二人が高井と同じようなことを言ってると、案の定と言うべきか、そのカウラの巨体が近付いてきたので、他の客も含めてみんな店から逃げ出す。

 
 誰もいなくなったレストランの中を窓の外からギョロッと覗き込む。

 どうせなら、人がいる映像に合成して欲しかったところだが、やっぱり大変なのだろう。

 
 興奮したように豪快な鼻息を吹いた後、

 
 鋭い角でビルの壁を突き破り、ビルの中に顔を突っ込ませるカウラちゃん。

 
 頭を引き抜くと、その口に、さっきの男性客と思しき二人の人間が挟まれ、神主の言ったことが現実になる。

 ちなみによーく見ると、人形の服が、俳優のそれに合わせてあることが分かるだろう。

 尋常ではないこだわりである。

 吉村は直ちに本部に連絡する。

 吉村「隊長、どう言う訳かその超獣は牛窓のオリーブ園に向かって進んできます」
 竜(もう~っ、わかってるくせにぃ)

 ロケ先であらわれた怪獣or怪人が、観光名所ばかり狙ってくるのは、タイアップの基本中の基本なのである。

 ま、一応、カウラはオリーブの葉が好物だと言う設定になってるんだけどね。

 TACは各戦闘機でただちに現地へ急行する。

 吉村は超獣の正体が高井ではないかと考えて呼びかけるが、完全に人の心を失った高井には通じない。

 あれこれやっているうちに、吉村はカウラに追われてさっきの古墳の中に逃げ込む。

 カウラはなおも古墳の入り口に顔をくっつけて吉村を食おうとするが、入り口が狭いので中まで届かない。

 正直、カウラの図体なら古墳ぐらい簡単に吹き飛ばせそうなものだが、やはり神聖な場所と言うことで、観光協会に気兼ねして控えているのだろうか?

 
 カウラがその山にもたれるようにして座り込んでしまったので、吉村隊員は古墳の中に閉じ込められる形となる。

 竜隊長は大事を取って攻撃を中止し、国民宿舎・牛窓荘に泊まり込んで持久戦の体制を固める。

 
 社長「最近分かったことなんですが、このオリーブの山に散在している古墳は地底で一本に繋がってるんです」
 竜「なるほど、では、このオリーブ山全体が巨大な古墳と言うわけですね」

 この土地の地図を見ながら、およそストーリーとは関係のなさそうなタイアップ台詞を交わす二人。

 北斗「吉村隊員のことですから、奥の方の安全な場所へ退避してると思うんですが」
 竜「古墳を壊さないで超獣をやっつける方法を何とか考え出さんといかんなぁ」

 続けて「ウルトラマンAが出るまで待つか……」と言いそうになった竜隊長であったが、部外者の手前、何とか踏み止まる。

 母親「あのー、隊長さん、あの超獣の本体は実は東京の観光客で高井言う人じゃないかと思います。牛の鼻ぐりを盗んで牛たちの霊の恨みをこうたんじゃと思います」
 今野「まさか」

 その場にいた吉村の母親の説を、今野は言下に否定するが、

 竜「そこにヤプールがつけこんだということか」
 母親「超獣の右腕の輪ぁ見られましたかな、あれが何よりの証拠です」
 竜「この世にはまだまだ科学だけでは計ることのできない神秘がたくさんある。牛神の呪いか……ありうることだな」

 竜隊長は考え深げにつぶやいて、あっさりその可能性を認める。

 しかし、TACの隊長ともあろうものが、公然と「呪い」だの「神秘」だの言い出すのは、ちょっとまずいのではないかと思う。

 別に牛の怨霊が絡む必要はないのだから、「ヤプールの仕業か……」だけで十分ではないか。

 翌朝、各地の神社などで、何人もの修験者が即席の護摩壇を焚いて、真言を唱え、ほら貝までサービスで吹いて怨霊調伏の祈願を行う。

 さすがに竜隊長がそんなことを依頼するとは思えないから、地元民が率先して始めたものであろう。

 ま、その様子を、観光客の女性が嬉しそうに見物しているのが、超獣が近くにいるという緊張感をごっそり削いでくれてどうもありがとう。

 TACは、目を覚ましたカウラに麻酔段を撃ち込むが、ぜんぜん利かない。

 いつものことだけど、TAC、つかえねーなーっ!

 

 

 
 お返しとばかり、額から紫色の高速収束ビームを放ってオリーブオイルの貯蔵タンクを豪快に吹っ飛ばすカウラちゃん。

 社長「竜隊長、超獣がオリーブオイルタンクを……タンクの油が流れ出したら、牛窓は火の海になってしまう!」
 竜「……」

 社長が危機感を露わに訴えるが、竜隊長には手の打ちようがない。

 多分、「ちくしょーっ、もったいぶらないで早く来いよ、A!」と、心の中で全力で叫んでいたに違いない。

 と、竜隊長の願いが天に通じたのか、ここで漸く北斗と夕子のウルトラリングが光り、二人はウルトラマンAに変身し、カウラと戦う。

 その隙に、吉村隊員は無事古墳を出て、仲間たちと合流する。

 カウラは強く、Aも相手が元人間だと知っているので本気で戦うことも出来ず苦慮していたが、

 母親「公三、あの鼻ぐりじゃ、あの鼻ぐりに牛の呪いが篭っとるんじゃ!」

 吉村の母親の叫びが聞こえたのか、相手の右手を蹴り上げ、問題の鼻ぐりを弾き飛ばす。

 うーん、高井の手首にがっちり食い込んでいた鼻ぐりが、蹴っただけで外れると言うのは嘘っぽいが……

 
 その上で、Aは、ビームを放って新たな鼻ぐりをカウラの鼻につける。

 
 鼻ぐりを嵌められた途端、本物の牛のように大人しくなってしまうカウラちゃん。

 
 カウラに近付き、鼻ぐりを掴んでその頭を「おー、よしよし、良い子だ、よしよし……」とでも言うように撫でてやると、

 カウラ「ムォッッ~」

 カウラも嬉しそうに鳴き声を上げる。

 ここで、相手を油断させておいてから、いきなりAが鼻ぐりを思いっきり引き千切っていたら、ウルトラシリーズ史上最低の動物虐待シーンになっていたであろうが、無論、そんな非道はせず、その体を持ち上げてブン投げる……って、やってることほぼ同じだね~っ!by小峠 と言うオチとなる。

 ともあれ、地面に叩きつけられたカウラは、

 
 高井「いてっ、ああーっ、いてっ」

 そのショックであっさり高井の姿に戻る。

 
 高井「もう、あちこちしないでここで働くことに決めました。吉村さん、どうもすいませんでした」
 吉村「ほんとに無事で良かったよ」

 ラスト、高井も今度の一件で懲りて、ヒッピーから足を洗ってこの土地で真面目に働くことにしたと、実に教育的な結末となる。

 また、ストーリー全体が、牛だって、人間に食われるためだけの存在ではなく、れっきとした生き物なのだから、大事にしなければいけないし、食べる時も食べた後も感謝の気持ちを忘れてはいけない、そうしないとバチが当たりますよと言う子供たちへのメッセージになっていることは言うまでもない。

 で、これで終わりにすれば良かったのだが、

 母親「高井さん、オリーブの実にゃ油がようけあるでのう、牛を食べんでも脂肪はオリーブで十分じゃ」
 高井「いやぁ、共食いになっちゃかなわないですからね!」

 最後の最後にオリーブの栄養価の高さを不器用に伝える母親のタイアップ台詞が飛び出し、物語の余韻を台無しにしてくれる。

 でも、考えたら高井は、超獣でいる間に人間をバリボリ食ってるんだよね。

 つまり、その胃の中にはまだ人間の死体が入ってる訳で……

 想像するとゲロゲロだが、あれは口に咥えただけで、食べたのではなかったのかもしれない。

 以上、人間が徐々に怪物になっていく過程が強烈な印象を残す怪作だが、ストーリー自体は割りと平凡だったというのが率直な感想である。

 女性ゲストもおらず(隊員が帰省したら、見違えるほど綺麗になった幼馴染の女の子が出てくるのがお約束でしょおおおっ?)、夕子と美川隊員の出番が少ないのも淋しい。

 特に夕子など、ろくに台詞もない、ただいるだけのような扱いなのが哀れであった。

 
 だから、せめて最後に、引き揚げながら高井を見て微笑む夕子タンの画像を貼ってお開きとしよう。
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コメント

石堂脚本

SF的な面白さやアクションの爽快さに背を向けての「土着」のお話。
これはこれで評価する人は多いみたいですが、僕は好きになれないなぁ・・・

タイアップ&出身地

今回は100%タイアップ化の作品でしたね😅今回の吉村隊員といい今野隊員といい北斗&夕子も出身地が関西以西の人達が多いようですが、(恐らく偶然だと思います)何か採用基準でもあるのでしょうか?

牛になるのはモ~懲り懲り

鼻ぐりを盗んだ呪いによって人間が超獣になるというアイデアが出るあたり、放送当時鼻ぐり塚から鼻ぐりを盗んでいく不届き者が実際にいて問題になってたんでしょうかね

No title

>蟹江さんにもこんな下積み時代があったんだなぁと思わず目頭が熱くなるが、この体当たりの熱演があってこそ、後に「ウルトラマンレオ」において、生涯の当たり役とも言うべきブニョ役を射止めることが出来たのだから、この苦労も決して無駄にはならなかった筈である。

この回を演出した山際監督が蟹江氏を気に入っていて、それが「レオ」でのウルトラシリーズ再出演につながったみたいですね。たぶん「ウルトラシリーズも終わりだから、蟹江さんまた出てよ」と山際監督が依頼したのでしょう。ほかにも面白い話が掲載されているので、乞うご一読。「レオ」の蟹江氏出演の回が、同じ石堂氏の脚本であるのも、たぶん偶然ではないのでしょう。

https://livedoor.blogimg.jp/hokutochoitiro/imgs/1/b/1bdf5817.jpg

余談ではありますが、ウルトラシリーズって、夏休みは視聴率が厳しいので、この時期地方ロケの回を放送しますよね。「レオ」でも、フェリー会社の看板がけっこう露骨に出ていて、「そこまでやるか」と苦笑しました。岡山、宮崎ロケはそうでもないかもですが、「レオ」の北海道ロケは、梅雨を避けるといった効果あったはず。

連続撮影かな?

>15話はスルーさせていただいたが、今野隊員のことが嫌いだからではない。
この一言でカブトガニの話だったのを思い出す…。
「帰ってきた」は割と東北方面だったと思うので本作は瀬戸内海方面?

ところでカウラはラスボス超獣の一部として
再登場する訳ですが一応の因果なのでしょうかね。

シェルターがいます

15話がA初のスルーになってしまいましたか。個人的にキングクラブが好きですし、顔からの火炎や尻尾での締め上げなど見応えのある場面もあったので、ちょっと残念です。

ところでカウラってそんなに強かったですか?確かカラータイマーも点滅しなかったし、レーザーもAには全然効かなかったし、せいぜい分身の術でAを翻弄するくらいだったはずですが。

最後に史上最低の動物虐待ですが、ウルトラマンタロウのシェルターが断トツでしょう。海底に住んでいただけなのにZATの水中ミサイルが歯に挟まって痛くなるわ、強引にミサイルを抜かれるわ、挙げ句の果てに殺されていますからね。これ以上のものはないはずです。

No title

吉村隊員を除くTAC全隊員の出番は物語Bパートだけでしたね。でも何故か全隊員一人ずつの台詞のうち、南、美川の両女性隊員のいずれも台詞の出番は全くありませんでした。脚本の石堂淑朗さんが女性隊員の台詞を書いて欲しかった。

地方ロケ

活字で見た限りでは岡山弁が正確のようです。しかし吉備津と牛窓が近いようないい加減な地理感は…キカイダーの山陰編はもっといい加減でしたが。
西部警察2の地方ロケなども数十km離れた場所に瞬間移動とかめっちゃいい加減なのがありましたね。
見てる人は自分の在住地に来たら嬉しい反面突っ込みどころの多さに疲れるでしょう。

Re: 石堂脚本

妖怪や怨霊と、ウルトラシリーズは相性悪いですね。

Re: タイアップ&出身地

まあ、色々あったんでしょうね。

Re: 牛になるのはモ~懲り懲り

なるほど、そうかもしれませんね。

Re: No title

> この回を演出した山際監督が蟹江氏を気に入っていて、それが「レオ」でのウルトラシリーズ再出演につながったみたいですね。たぶん「ウルトラシリーズも終わりだから、蟹江さんまた出てよ」と山際監督が依頼したのでしょう。ほかにも面白い話が掲載されているので、乞うご一読。

オススメありがとうございます。

> 「レオ」でも、フェリー会社の看板がけっこう露骨に出ていて、「そこまでやるか」と苦笑しました。岡山、宮崎ロケはそうでもないかもですが、「レオ」の北海道ロケは、梅雨を避けるといった効果あったはず。

そうなんですか。「レオ」の地方ロケって、全体的に寂しいというか、ワクワク感がないような気がします。

Re: 連続撮影かな?

怪奇シリーズは全体的につまらないので、これからもどんどんスルーしますよ!!

Re: シェルターがいます

> 15話がA初のスルーになってしまいましたか。個人的にキングクラブが好きですし、顔からの火炎や尻尾での締め上げなど見応えのある場面もあったので、ちょっと残念です。

すいません。正直、怪奇シリーズは16話以外全部スルーしたいところです。

> 最後に史上最低の動物虐待ですが、ウルトラマンタロウのシェルターが断トツでしょう。海底に住んでいただけなのにZATの水中ミサイルが歯に挟まって痛くなるわ、強引にミサイルを抜かれるわ、挙げ句の果てに殺されていますからね。これ以上のものはないはずです。

ああ、ありましたね。

Re: No title

まあ、吉村隊員が主役とは言え、女子の扱い悪過ぎますよね。

隊長自ら

今回も竜隊長自らやれ神秘的だの、科学では分からない事もあるだのほざいていますが、結局のところA頼みのようですね😅

Re: 地方ロケ

> しかし吉備津と牛窓が近いようないい加減な地理感は…キカイダーの山陰編はもっといい加減でしたが。

まあ、こればっかりはねえ……

当時はネットもないので地元民以外、大して気にしないだろうとタカをくくってたのかも。

この辺りから

市川森一さんの「ヤプール=悪魔は人の心に宿る」と「超獣」のコンセプトが瓦解開始かな?
初期3作で、円谷プロ文芸室として金城さんや上原先生がシナリオをチェックしていた
というのは「シリーズ構成」「総監督」的な役割を先取りしていたのかも?

17話は数少ない夕子の話じゃないですか。

No title

本放映日は日本テレビ(通称:日テレ)の代表作刑事ドラマ「太陽にほえろ!」が夜8時時報と共に放映開始した日で、まさに最多刑事部門作品です。

Re: 隊長自ら

まあ、そう言う番組だから仕方ないですけどね。

Re: この辺りから

統一感のない作品ではありますね。

Re: タイトルなし

でも、つまらないし、女の子もあんまり可愛くないからぁ。

Re: No title

そうなんですか。こんな昔に始まったとは知りませんでした。

好きな回

『A』の中で好きな回の一つです。

カウラに喰われる若者の声は池水通洋さんと山下啓介さんで、吉村隊員に呼び止められる男は峰恵研さんです。

レストランの外の景色も合成ですね。

Re: 好きな回

> カウラに喰われる若者の声は池水通洋さんと山下啓介さんで、吉村隊員に呼び止められる男は峰恵研さんです。

情報ありがとうございます。

牛男のビジュアルは強烈ですね。

No title

前回の第15話「夏の怪奇シリーズ 黒い蟹の呪い」を入れて欲しいけど、一体、いつ入れるの?

Re: No title

やる予定はありません。

No title

今から50年前の今日、放送されました。なお、この日は、日本テレビの代表作である最多放送刑事ドラマ「太陽にほえろ!」が放送開始されました。

Re: No title

そんな昔からやってたんですね。

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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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