第23話「恐怖怪談!呪いの狼男は誰だ!!」(1972年9月15日)
この23話と次の24話は(つまんないので)一度スルーしたのだが、読者様からのリクエストにより急遽レビューすることになったものである。
よって、レビューの方もつまんなくなると思うが、ご容赦願いたい。
冒頭、飛騨の霧ヶ峰にて探索中の伊賀忍者・黙兵衛が、遂に悪魔道人の根拠地・大魔神像を発見する。

黙兵衛「とうとう発見したぞ、タツマキから知らせのあった西洋怪人の住処を……大魔神像の在り処をなんとしてでも知らせなければ」
黙兵衛、役立たず揃いの伊賀忍者の中では例外的にそこそこ有能な忍者であったが、仲間を連れず単独行動していたのが裏目に出る。
その場で大魔神像の位置を示す地図を書くが、その存在は早くも悪魔道人の知るところとなる。
魔法の水鏡に黙兵衛の顔を映しつつ、
悪魔道人「日本忍者めえっ!!」
と、言うのだが、忍者って、日本にしかいないのでは?

悪魔道人「生きて帰さんわ、てあっ!! ああーっ……」

悪魔道人「うぃううーっ!!」
やにわに天を睨んだ悪魔道人、相変わらずのオーバーアクトで気合を入れるのだが、どう見ても、便器に座って全身全霊で踏ん張ってる人にしか見えないのがNGです。
悪魔道人「おおわぁっわあおぁ、ぶりぶりぶりぶり!!」
おまけに表記不能の奇妙な唸り声の最後に、自分でウンコしてるって告白しちゃってるし(註・してません!!)
大体、別に悪魔道人が妖術で黙兵衛を倒そうというのではなく、部下を差し向けるだけなんだから、そんなにムキになって気張らなくても良いと思うのダス。
それはさておき、タツマキに匹敵するほどの実力の持ち主である黙兵衛、襲って来た血車党の下忍たちを難なく倒す。
だが、狼の遠吠えが聞こえて来たかと思うと、

その頭上に、まんまショッカーの怪人みたいな怪物が顔を覗かせる。
黙兵衛「狼か」
狼男「狼が人間の言葉を喋るかな?」
黙兵衛「それでは貴様」
狼男「悪魔道人に率いられ、日本征服にやって来た」
黙兵衛「西洋怪人?」
狼男「その名は狼男」
うーん、このもたもたしたやりとりの時点で、駄作の臭いがプンプンしやがるぜぇえええっ!!
黙兵衛は崖崩れに巻き込まれて斜面を落ちていくが、ちょうど目に付いた民家に入り、そこに住んでいる子供たちに地図を託し、江戸四谷にある伊賀屋敷に届けるよう頼むと、外へ出て自ら狼男の餌食となり、その隙に子供たちを逃がす。

で、次のシーンでは、早くも街道を歩いている旅支度の姉弟の姿が映し出される。
いや、費用の点は別にしても、こんな小さな子供たちが、見ず知らずの人間に頼まれて、わざわざ江戸まで届けに行こうとするかなぁ?
しかも、恐ろしい怪物がそれを狙っていることを知った上で、だ。
普通に飛脚に頼めばいいやん。
せめて、狼男が姉弟を襲う→それを黙兵衛が助ける→瀕死の重傷を負う→地図を届けてくれと頼む、と言うような流れなら、「命の恩人の頼みだから……」と、子供たちがあえて自分たちの足で届けようとしても不思議はないのだが。
ともあれ、江戸に行くまでもなく、途中で伊賀忍者を名乗る男たちがあらわれ、姉娘から地図を受け取ろうとするが、

ハヤテ「渡してはいけない、伊賀忍者とは真っ赤なニセモノ、実は血車忍者ども!!」
近くの樹上にいたハヤテが間一髪で邪魔をして、地図が血車忍者に渡るのを防ぐ。
ここでハヤテと忍者たちとのチャンバラタイムとなるが、

意味も泣く二刀流になったハヤテと忍者たちとの斬り合いが、意味もなくスローモーションをまじえて描かれるという、謎演出になる。

こんなシーン、時間を掛けて丹念に撮られてもなぁ……
管理人がこのエピソードをスルーしたくなった気持ち、読者の皆さんにも少しはお分かりいただけたかと思う。
一方、タツマキは狼煙を上げて5人の仲間を呼び集める。

ゲンキ「伊賀のゲンキ」
ミミヘイ「同じくミミヘイ」
藤内「藤内だ」
平九郎「平九郎」
市助「市助」
タツマキ「ハヤテ殿の知らせによれば、血車の根城を書いた地図を持つ木こり兄弟がナガワ宿へ向かった。その地図さえ受け取れば根城を叩ける」
タツマキはそれぞれ別個にナガワ宿へ向かうよう指示してその場で散る。
ちなみに、このへっぽこ伊賀忍者たち、顔と名前が一致しないし、一致させようとも思わないので、以下、必要な場合を除いて全部「忍者」と呼ぶことにする。
呼んでもらえるだけありがたいと思え。
と、6人が散らばった直後、

ゲンキ「黙兵衛、死んだのでは?」
黙兵衛「そうだ、俺を殺したのはこんな奴だ」
狼男に噛み殺された筈の黙兵衛が、土から顔だけ出した状態で、ゲンキと言う、いかにも元気いっぱいの若い忍者をつかまえ、

黙兵衛「……」
ゲンキ「……」
土から這い出すと、いきなり忍び装束を脱いで上半身裸になり、たるんだお腹をさらけだす。
二人の間を、ものすごーーーーーく気まずい空気が流れたのは言うまでもない。
ほんと、スタッフ、視聴者がこんなもん見せられて喜ぶと本気で思っているのか? もし思っているのなら、いっぺんショッカーに捕まって、脳味噌こねくりまわしてもらえっ!!
無論、黙兵衛が服を脱いだのは、ゲンキを犯すためではなく、

その体と顔が、徐々に狼男のそれに変わって行くと言う、この番組にしてはかなり凝った特殊メイクをより一層効果的に見せるための、製作サイドの都合によるものだった。
……
頑張ってるのは分かるけど、こんなもんねっちり見せられてもなぁ。
それはともかく、特殊メイクをされながら突っ立っている役者さんの、なんともいえない悲しそうな顔が、割りとツボである。
あと、三枚目が長門裕之さんに見える……

狼男「貴様を殺す!! 貴様に成り変わって、伊賀忍者たちを殺す~」
狼男、ゲンキをあっという間に撲殺すると、

その体に入り込み、ゲンキになり済まして走り出す。
で、その走っていく後ろ姿と、

こんな、意味不明の人型の映像が何度かカットバックされるのだが、どうにも意味が分からない。
まあ、ゲンキ本人の体がどろどろに溶けて地面に染みを作っている……と言うことなんだろうが、映像的には狼男がゲンキの体に乗り移っているようにしか見えないので、はっきり言って要らないカットだったと思う。
そう言えば、狼男、一度倒されて後に復活した時も、伊賀忍者の体内に入り込んで伊賀忍者に成り済ましてるんだよね。
伊賀忍者、進歩ねーなーっ!!
CM後、ナガワ宿の奈良屋と言う旅籠にて、タツマキと偽ゲンキが、あの姉弟に頭を下げて地図を渡してくれるよう頼んでいるが、

弟「絶対誰にも渡すもんかい」
姉「伊賀忍者と言う証拠を見せて」
タツマキ「いや、だから、ワシがその……弱ったのう」
偽ゲンキ「血車忍者に一度騙されてるからのう」
二人はタツマキたちのことを伊賀忍者と認めてくれず、遂には追い払われる羽目となる。
それこそ、非情の忍者なんだから、力尽くで奪えばいいものを、善玉と言うことでそんな乱暴なことは逆立ちしても出来ないのが歯痒いタツマキたちであった。
ともかく、全員で二人の護衛をする一方、タツマキは、カスミとツムジにあの姉弟そっくりの格好をさせ、囮の役目を担わせる。
タツマキ「悲しいことじゃが、ワシはお前たちを守ってやれん」
タツマキは心苦しそうに二人を送り出すが、

カスミ「あたしも忍者の娘よ、いざと言うときの覚悟は出来ているわ」

ツムジ「おいら囮になって血車の西洋怪人迷わせてやるよ」
二人は、努めて明るい笑顔を見せ、親に心配かけまいと殊勝な言葉を口にする。
と言っても、囮作戦を、悪の張本人の偽ゲンキに見られているので、彼らが襲われることは最初からないと分かりきっているので、いまひとつ感動的なシーンになってないのが残念である。
視聴者としても、最初からネタばらしされているようで面白くなく、ここはタツマキが仲間にも内緒でカスミたちに囮の役をさせ、一度は血車党に襲われる展開にすべきだったと思う。
夜が訪れ、タツマキたちは厳重な警戒網を姉弟のまわりに張り巡らせるが、その一方で、

ツムジ「姉ちゃん、変だぜ」
カスミ「西洋怪人、ちっとも姿を見せないわね」
ツムジ「ひょっとしてバレたのかなぁ」
カスミ「そんな筈ないわよ」
二人に扮したカスミたちは、無駄な囮作戦を続けているのだった。
いや、夜中になっても子供が歩き回ってるってめちゃくちゃ不自然なので、こちらも宿に泊まらないとおかしいのでは?
深夜、宿のまわりで狼の遠吠えを耳にした姉弟は、危険を察知して夜のうちに宿を抜け出そうとする。
また、見張りをしていた伊賀忍者の一人が狼男に襲われてあえなく死亡する。
もし姉弟がその場にいれば、その死体を見せて、
タツマキ「どうじゃ、こんなに弱っちい忍者がワシらの他にいるかの?」
姉「では、あなたたちは本物の伊賀忍者?」
弟「道理でクソ弱え筈だっ!!」
と、二人を説得できていたであろうに……
もっとも、姉弟が部屋を出ようとしたところ、障子に狼の影が映ったので出るに出られず身構えていると、

狼男「わおーっ!!」
意表をついて、部屋の内側、畳の下から狼男が飛び出してくる。

ハヤテ「この二人を守るのはタツマキたちだけではない」
だが、同時にハヤテもあらわれ、二人を守って狼男の前に立ちはだかる。
狼男「くそう、己がハヤテか」
姉「狼男よ」
弟「こいつが黙兵衛さんを殺したんだ」
ハヤテ「さ、早く逃げるんだ」
狭い部屋の中でハヤテと狼男の戦いとなるが、
暗くて何やってんだかわかんねえんだよっ!! 管理人、昔の特撮のナイトシーンが大嫌いである。
この話をスルーしたのは、これも影響していたのかもしれない。
あと、天井に逆さまになってぶら下がっているハヤテに、
狼男「狼破壊叫びーっ!! ほぉおおーっ!!」
狼男が超音波のような雄叫びを放って爆発を起こすのだが、それをまともに受けた筈のハヤテが、そのままの姿勢でフツーの顔してるのも、実にいい加減なシーンと言えよう。
しかも、まだハヤテが目の前でピンピンしてるのに、
狼男「見たか、伊賀忍者どもめ、貴様たちひとり残らず殺してやる」
その場にいないタツマキたちにアピールして逃げ出すのも、ほとんど編集ミスかと見紛うほどに杜撰なシーンとなっている。
その後、宿の外で偽ゲンキと会ったタツマキたちは、

忍者「あの姉弟は?」
偽ゲンキ「間道に向かった。それを知らせようと思うての」
タツマキ「良し、行こう」
偽ゲンキの言葉を信じて走り出そうとするが、
嵐「はっはははははっ」
タツマキ「誰じゃい」
頭上から笑い声が聞こえて来たので振り仰げば、宿の屋根に嵐が立っていた。

嵐「その手に乗ってはいかんぞ」
タツマキ「嵐殿」
偽ゲンキ「どういう意味だね?」
嵐「伊賀忍者・進藤ゲンキ、その胸に聞くことだな」
偽ゲンキ「ふっ、なんのことか、さっぱり」
嵐「しらばっくれるつもりか、まず貴様は伊賀の黙兵衛を殺して黙兵衛になり、ゲンキに近づいてゲンキを殺し、ゲンキになって平九郎を殺した!!
なんで、伊賀忍者ってすぐ死ぬんだーっ?」
偽ゲンキ(聞かれても……)
じゃなくて、
嵐「どうじゃ、ゲンキ、いや、狼男」
偽ゲンキ「ば、ばかな、何を証拠に」
嵐「証拠は人工的な光線を浴びて大地に伸びるお前の影だ」
嵐、いわゆる強盗提灯をかざして偽ゲンキの影を作り出し、それが異形の怪物の影であることを示す。
偽ゲンキ、観念して正体をあらわすが、

狼男「俺は噛み殺した男の技術をすべて吸い取る。まずは平九郎の柳生新陰流じゃ!!」
なんか、一度戦った相手の技を完コピできるケンシロウみたいな特技を披露するが、なにしろ吸い取った相手がその弱きこと赤子のごとしと恐れられた伊賀忍者たちだったので、あんまり意味がないのだった。
つーか、忍者が柳生新陰流とか使うな。
タツマキたちは宿を逃げ出した姉弟を追いかけ、嵐は狼男と戦うが、狼男は不死身の体を持っており、刀でどんなに斬りつけてもダメージを受けない(正確には、傷付けてもすぐ治ってしまう)
狼男「嵐、無駄なことだ、素手の戦いなら俺の勝ちだ」
刀を叩き落され、一方的に攻められるが、
月ノ輪「嵐、この、俺の刀を使え」
例によって忽然と現れた謎の剣士・月ノ輪の刀を借りて戦うと、

嵐「とおりゃあっ!!」
狼男「おおーんっ!!」
実にあっけなく、狼男は斬り殺されるのだった。
これもねえ、あんまりあっけないので見てるほうがポカンとしてしまう。
せめて狼男に「そ、そんなバカなーっ!!」みたいな台詞を言わせないと……
それはともかく、これには斬った嵐も驚き、
嵐「どうしてお前の刀で狼男が斬れた?」
月ノ輪「狼男は銀に弱い、俺の刀は銀作り、ただそれだけのことだ。悪魔道人はまだ狙う、十分きょうつける(ママ)ことだ」
月ノ輪、こともなげに説明すると、刀を嵐に渡したまま「クラーイ」とか言いながら空に向かって飛び上がる。
ちなみに銀の刀と言うのは、狼男は銀の弾でしか殺せないという、有名な設定を和風にアレンジしたものである。
以上、ひょっとしたら面白くなるかもと思って書いてみたけど、やっぱり面白くならなかったエピソードでした。
うう、まだもう1話あるのか……
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