第24話「恐怖怪談!フランケンの首が笑う」(1972年9月22日)
前回から引き続き、大魔神像の在り処を書いた地図を巡る争奪戦が繰り広げられるエピソードである。
冒頭、悪魔道人は新たな妖怪フランケンを甦らせる。

悪魔道人「フランケンよ、大魔神像への地図を持つきこりの姉弟、伊賀忍者に守られて江戸に向かって行く、ゆけ、フランケン、ひとり残らず殺すのだ」
姉弟を護衛しつつ街道を進んでいたタツマキたちを、血車忍者たちが待ち伏せしようとするが、

今回の伊賀忍者は妙に強く、敵の動きを察知して、逆に襲撃を仕掛け、散々に打ち破る。
市助は、逃げた下忍を追って仲間たちと離れるが、下忍は峠道で何者かに殺されていた。
市助「誰が?」
市助の問いに答えるように、忽然とひとりの雲水があらわれる。

フランケン「何の役にも立たぬ血車忍者は始末した、この俺が」
市助「貴様」
それこそ、悪魔道人が差し向けた新たな刺客フランケンであった。
それにしても、仲間からも見放される血車忍者って一体……
考えたら、血車党ってもう化身忍者がおらず、魔神斎と謹慎中の骸骨丸以外には、役立たずの下忍しかいないんだよね。
なのに、戦力でまさる西洋妖怪軍団が血車党を駆逐しようとせず、悪魔道人が、あくまで魔神斎とパートナーシップを保っているのは、悪にしてはいささかお行儀が良すぎるような気もする。
それに二つの「悪の組織」が並存しているのは見ていてもややこしいので、魔神斎は第2クールでとっとと殺して、西洋妖怪との戦いに全面的に切り替えるべきだったのではあるまいか。
閑話休題、フランケンと市助の戦いとなり、

市助の一撃でフランケンは首を刎ねられ、伊賀忍者、まさかの大金星と思いきや、

首だけになったフランケンはオカリナを吹いて胴体を操り、市助の背後から襲わせ、
フランケン「体中の骨を全部へし折ってやる!!!」 と、実際にやろうと思ったら、意外とたぁいへんっ!! な宣言をして市助を絞め殺す。
弱っ……
しかも、その死ぬところさえ映してもらえず、

次のシーンでは、既に墓に埋葬されて、タツマキたちに合掌されているという、いかにも負けることに慣れた伊賀忍者らしい仕事の速さを見せ付ける。
タツマキ「最後の一人になってもあの姉弟を守る、市助、安心してくれ」
と、横からそれを見ていた姉弟が、

姉「タツマキさん」
タツマキ「おお、これをワシらに渡してくれるのか?」
姉「皆さん命懸けで私と弟を守って下さったわ」
弟「俺も姉さんも間違ってたよ、受け取っておくれ」
タツマキ「ありがたい、良く守ってくれた」
その比類ない弱さから、遂にタツマキたちのことを伊賀忍者だと認めてくれ、地図を進んで渡してくれるのだった。
タツマキたちは直ちに地図を開き、大魔神像が飛騨の霧ヶ峰にあることを知る。
んで、そこへあらわれたハヤテに子供たちのことを任せ、タツマキたちはその場から霧ヶ峰に向かうことになるのだが、どう考えてもタツマキたちだけで悪魔道人に勝てる訳がないので、この役割は逆にすべきだったろう。
つーか、どうせ姉弟も飛騨に帰らねばならないのだから、みんなで一緒に行けば良いのでは?
もっとも、タツマキたちは霧ヶ峰に辿り着く前に、フランケンの妨害を受ける。
タツマキたちの頭上から、文字通り、岩をちぎって投げつけ、

フランケン「アイ・アム・ア・フランケン、伊賀忍者の生き残り、こっから先は一歩も進ませんぞ!!」
忍者「貴様が市助を殺したのか?」
フランケン「それがどうした?」
忍者「いや、別にどうも……」
と言うのは嘘だが、ほんと、それがどうしたんだって話ですよね。
伊賀忍者なんて、殺されるために出てくるような存在なんだから、むしろフランケンに感謝しても良いくらいである。

タツマキたちは、フランケンの体に同時に刀を突き刺すが、不死身のフランケンは涼しい顔。
しかし、二週続けて不死身キャラが出てくるというのは、芸がないなぁ。
笑っちゃうくらい弱い伊賀忍者たちは、フランケンの炎を浴び、ちょっと首を絞められただけで次々に死んでいく。
タツマキも追い詰められるが、

タツマキ「貴様にやられるぐらいなら、伊賀忍者の最期を見せてやる」
と、おやっさんみたいなことを言って、自ら喉を掻っ捌いて死のうとする。
潔いんだか、女々しいんだか……
ハヤテ「待て、タツマキ」
そこへ颯爽とあらわれ、タツマキの自害を止めたのがハヤテであった。
フランケン「出たな、ハヤテ、貴様の出るのを待っていた、戦え、フランケン様と」
ハヤテ「あいにくだが、今は怪我をしたタツマキを救うのが先だ」
ハヤテ、フランケンの足元に火薬玉を投げつけて煙幕を張り、その隙にタツマキを救出する。
ハヤテはタツマキを担いで、あの姉弟と共に立派な山門を持つ、由緒ありげな寺を訪ねるが、

姉「キャッ!!」
寺男「あ、う、ああ……」
最初に彼らを出迎えたのは、セムシ……と言うより、体全体が歪み、顔も半分溶けかかったような不気味な寺男であった。
今だったら、プロデューサーの首が飛ぶほどの大NG表現である。
ハヤテ「怪我人で困っている。少し休みたいのだが」
寺男「ああ、あ、ついてきなされ……」

弟「ハヤテさん、バケモンじゃないだろうね?」
ハヤテ「だいじょぶだ、タツマキを寝かせなくては」
弟が、ハヤテの手を引っ張って失礼千万な疑惑を口にするが、ハヤテは気にせず寺に入る。
まあ、これではいかにも怪し過ぎて、視聴者も、逆にフランケンではないと思うところだが……
寺男に案内された部屋にひとまずタツマキを寝かせ、ハヤテたちが一息ついていると、

和尚「怪我人かな、この山奥ではさぞお困りなされたことじゃろう」
ハヤテ「はあ、怪我人を抱えて野宿と諦めておりました、助かります」
和尚「何のもてなしも出来んが」
ハヤテ「いや、そんな心配はご無用です」
様子を見に来た住職が、いかにも有徳そうな品のある老人だったので、
姉「親切なお坊さんね」
弟「やれやれ、一安心だ」
子供たちもやっと安堵したように肩の力を抜く。
……
寺男には一言の感謝もないんかいっ!! 人を外見だけで判断する、嘆かわしいお子様たちであった。
タツマキはうわごとで自分の子供の名を呼ぶが、

ツムジ「おやじ、どうしてるかな」
カスミ「だいじょうぶよ、お父さんは日本一の忍びだもの」
その頃、カスミたちは、呆れたことに、まだ姉弟の身代わりの役を続け、当てもないのにひたすらその辺をぐるぐるぐるぐる歩き回っていたのである!!
誰か、もうその必要はないって教えてやれよ……
しかも宿場を出発した時点で敵に見抜かれていたことを思い合わせると、週またぎでこんなことをしている二人がどうしようもないバカに見えてしまうではないか。
深夜、やっとタツマキが目を覚ます。
正直、そんな大した怪我じゃないと思うのだが、目が醒めるまでそんなに掛かるって、どう考えても「日本一の忍び」とは言えんよなぁ。
タツマキ、目だけ動かして暗い室内を見回し、
タツマキ「ここは……地獄でござるか?」
ハヤテ「地獄へも極楽へも行けるところだ」
タツマキ「えっ、では、
ぼったくりキャバクラ?」
ハヤテ「ちゃうわっ!!」 じゃなくて、

タツマキ「えっ」
姉「お寺よ」
タツマキ「ミミヘイや、藤内は?」
ハヤテ「ダメだった」
タツマキ「江戸を発つときには6人、それが、今はワシひとりになってしまった」
ハヤテ「いつものことだろーが」 タツマキ「そうですね……って、
オイッッッ!!」
じゃなくて、

ハヤテ「タツマキ、今は仲間のことは忘れるんだ、傷に良くないぞ」
タツマキ「だが、ハヤテ殿」
ハヤテ「タツマキ、心配しないで寝ていろよ」
タツマキ「役に立つ筈のワシがかえってハヤテ殿の足手まとい、ワシにかまわず、一刻も早く飛騨へお発ちくだされ」
ハヤテ「怪我人を置いていけると思うのか? さあつまらんことは考えずに早く元気になるんだ」
ハヤテの優しい言葉に、思わず涙ぐむタツマキであった。
まあ、丁寧に描いてあると言えばそうなのだが、こんなおっさん同士の愁嘆場を長々と見せられても、ちっとも楽しくないのである!!
管理人がこの話を一度スルーしたのも、こういう鬱陶しいシーンを嫌ったせいかもしれない。
その癖、そのやりとりをきっちり書いてる管理人、ほんとエライと思う(自分で言うな)
その後、タツマキはハヤテたちが寝静まったのを見て、そっと布団を抜け出し、境内に出る。
タツマキ「今のワシはハヤテ殿の足手まとい、必ず傷を治して後を追います」 そして建物の中のハヤテに向かって頭を下げるのだが、それ、直接言わなきゃ相手に伝わらないよね。
第一、ハヤテの性格からして、タツマキが急にいなくなったらタツマキのことを必死で探すのは目に見えているのだから、むしろ飛騨行きを遅らせることにしかならず、自己犠牲と言うより、ただの迷惑行為に近く、熟練の忍者らしからぬ軽率さであった。
あと、ハヤテがタツマキが抜け出るのに全然気付かないというのもなぁ……
それはさておき、タツマキの前に再びフランケンが現れる。

フランケン「この寺までハヤテや貴様が辿り着いたのはすべて俺の筋書きよ、大魔神像さまの秘密を知る奴は、ひとりも生かしておけん」
ただでさえ勝てないのに、手負いのタツマキがフランケンにかなう筈もなく、

火炎放射攻撃を浴びたタツマキ、火ダルマになって石段を転げ落ちていく。
この後のシーンから、これは変わり身の術ではなく、実際に、タツマキの体が燃えていたことが推測できるのだが、それでも死なないんだから、タツマキ、タフ過ぎね?
まあ、他の伊賀忍者たちが虚弱過ぎるとも言えるのだが……
あと、これだけ派手に戦っているのに、ハヤテが全然起きてこないというのもねえ。
色々あって、寝込みを襲われたハヤテは、逆にフランケンの首を切り落とすが、

首は、何故か一旦寺男の顔になってから、胴体ともども逃げ出してしまう。
これもちょっと分かりにくいのだが、要するに、フランケンは子供たちが睨んだとおり、あの醜い寺男に化けていたということを示しているのである。
翌朝、朝霧が立ち込める中、ハヤテがとぼとぼと寺に戻ってくる。
一晩中、タツマキの行方を探していたのだろう。

弟「タツマキさんは?」
ハヤテ「……」
和尚「生あるものは必ず滅す、これが世の中じゃ、諦めなさることじゃのう」
姉弟とともに迎えに出た和尚は、分別顔でもっともらしいことをつぶやく。

弟「やだい、やだい、おいら、諦めるもんか、姉ちゃん、二人でタツマキさんを呼ぶんだ」
姉&弟「タツマキさーん!!」
ハヤテ&和尚(呼ぶだけかいっ!!) いかにも現代っ子な行動に、心の中で揃ってツッコミを入れる大人たちであった。
にしても、この女の子、なかなか可愛いのだが、ろくに見せ場もアップもないあたり、スタッフ、わかってねえなぁと言う感じが濃厚なのである。
管理人がスルーした一因は、明らかにそれである。
その後、とにかく落ち着いてお茶を飲もうということになるが、

和尚「あの寺男が恐ろしい化け物とはのう……こまめに働き、体があのようで不憫だと思って
タダでこき使っていたが、いや恐ろしいことじゃ」
弟「ハヤテさん、ほんとにタツマキさんは死んじゃったの?」
ハヤテ「怪我さえしていなければむざむざやられるタツマキではないのだが……」
ハヤテ、作法どおり茶を喫しようとするが、その時、天井の羽目板が動いて、何者かが顔を出す。フランケンではなく、幽鬼のような顔をしたタツマキであった。
タツマキ「その茶には毒が!!」
タツマキ、力尽きたように天井から落ちてくる。

タツマキ「和尚の部屋の天井から、この天井まで人の足跡があり申す。と言うことはお分かりか?」
ハヤテ「なにっ」
和尚「……」
タツマキ、片膝立ちになった和尚を鋭く睨みつけると、
タツマキ「こやつも、覗き魔!!」 ハヤテ「おおっ、同志よ!!」
そう、忍びたちは職業柄、ほぼ全員覗き魔(&ロリコン)なのである!!
……と言うのは嘘だが、和尚もそういって誤魔化せば良かったのに、
タツマキ「こやつも、フランケン!!」
和尚「ふふ、タツマキの最期の息の根を止めなかったのが失敗だが、この場で4人とも殺す」
実際は、あっさり正体を明かしている。
なお、どうやってこの場所を突き止めたのか謎だが、カスミとツムジも忍び装束で駆けつけるのだが、「こやつも、フランケン!!」の直後にカメラの外から飛び込んでくると言うもので、タイミング的には最悪で、盛り上がらないどころか、肝心のクライマックスを邪魔してるようにさえ見えるのである。
それはともかく、怪物の正体が、いかにも怪しい寺男と見せかけて実は善人そうな和尚だったというのは、この連続エピソードでほとんど唯一褒めて上げられるプロットである。
もっとも、寺男が無実だったわけではなく、

正体を暴露する際、わざわざ、寺男の顔を見せていることから、

寺男も和尚も、どちらもフランケンが化けたもので、要するに一人二役(三役?)だったことが分かる。

ハヤテ「カスミ、ツムジ、タツマキを連れて逃げろ」
カスミ&ツムジ「はいっ」
ストーリーとは関係ないが、カスミの衣装、あまりに色気がなくて萎える。
最初のめちゃくちゃ派手なコスチュームは、いくらなんでも忍者らしくないということで、この地味なものに変わったようだが、元々荒唐無稽な時代劇ヒーロー番組なんだから、余計なところで中途半端にリアリティーを追及しないで欲しいものだ。
第一、このコスではチラが発生しないではないか。
この後、嵐とフランケンの一騎打ちとなり、その不死身の体に苦戦する嵐であったが、「嵐・稲妻縛り」と言う技で胴体の動きを封じてから、

胴と首を別々に斬って、漸く息の根を止めるのだった。
が、この決着も、嵐は普通に斬ってるだけなのに、なんで不死身の相手を倒せているのか良く分からず、すっきりしないこと甚だしいオチであった。
なお、ラストでハヤテたちは大魔神像目指して旅立ち、それを姉弟が見送るのだが、彼らも飛騨に帰らなきゃいけないんだから、一緒に行くのが自然だろう。
とにかく、この作品、一事が万事この調子で、その完成度の低さにイライラさせられることもしばしばだ。
ま、その点では「仮面ライダー」も似たようなものだが、あちらはキャラクターが魅力的だから、何とか見れるんである。
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