第23話「恐るべき死の爆弾人形!!」(1985年10月17日)
の続きです。
CM後、学校から帰宅中のゆかりに、麗巳が優しく話しかける。

麗巳「木村ゆかりちゃんでしょ?」
ゆかり「……」
麗巳「プレゼント預かってきたの」
ゆかり「プレゼントぉ?」
それにしても、この子役、なかなか男前の面構えしてるよね。
以前、HPでレビューした時は、ぜんぜん気にならなかったが。

麗巳「そう、はいこれ」
ゆかり「わあ、ミカちゃん人形」
麗巳「誰からだと思う?」
ゆかり「……」
麗巳「ヒント、外国にいる人!」
ゆかり「パパぁ?」
麗巳「御名答! うっふふ、お姉ちゃんねえ、パパの下で働いてるんだけど……」
麗巳、自分はゆかりの父親の部下だが、今度日本に帰国することになったので、ゆかりの父親からこれを預かってきたのだと、まことしやかな嘘をつく。
この辺は、さすが美也子を手玉に取ったことのある麗巳だけあり、相手の家庭事情まで調べ上げた上での見事な手際だった。
麗巳「その人形、お話も出来るのよ」
ゆかり「知ってる」
麗巳に言われて、ゆかりが早速人形の背中についている紐を引っ張ると、「こんにちは、私ミカちゃん、あなたはどなた?」と、内蔵された音声が流れる。
ここで、サキがアラレちゃんのようなノリでやってきて、
サキ「よっほっほーいっ、ゆかりちゃん、何してるの? 麻宮サキだよーん!」
麗巳「ウギャアアアアアアーッ!」 なんてことになったら面白いなと思いました。

ゆかり「ミカちゃん、ミカちゃん」
サキ「ゆかりちゃん、良かったわねえ、パパの贈り物」
ゆかり「うん」
すっかり人形が気に入ったゆかりは、帰宅してからもずーっとその人形を相手に遊んでいた。
サキ「でも、もうそろそろお風呂に入る時間なんじゃない?」
サキの言葉に全国のロリコン戦士たちがざわつくが、
ゆかり「いや、もっとミカちゃんと遊ぶの!」

サキ「聞き分けのない子はお尻三つって約束よね」
駄々をこねるゆかりに対し、サキが少しだけ怖い顔をして思い出させる。
つまり、言うことを聞かなかったら斉藤由貴さんに尻を三回叩かれるということで、この年を境に、日本の成人男性の聞き分けが顕著に悪くなったのは、このサキの台詞が原因だという説が専らである。

サキ「お風呂に入んなさい!」
指で目の端を持ち上げて無理矢理タレ目を吊り目にして怒るサキがめっちゃ可愛いのである!
ゆかり「いやだもん」
サキ「よおし!」
それならばと、拳に息を吐きかけてほんとにお尻を打とうとするサキと、それから逃げようと楽しそうに部屋の中をぐるぐる回るゆかりの様子が、珍しくコメディータッチで描かれる。
麗巳が指摘したように、全編通しても、サキがこれだけ心の底からくつろいだ姿を見せるのは、最初にして最後のことであった。

サキ「つかまえた! どうだ?」
ゆかり「降参」
サキ「うふふ」
最後はゆかりの体をつかまえ、一緒に畳の上に寝転がる二人。
元々斉藤さんって、母性的なイメージの強い人なので、こういうことをやらせても、全然わざとらしさがないんだよね。
だが、一時の興奮が鎮まると、遊び疲れたように、二人はいつしか無言となり、寝そべったまま揃って天井を見上げていた。
ゆかり、むっくりと起き上がると、

ゆかり「お姉ちゃん」
サキ「ん?」
ゆかり「和美お姉ちゃん、まだ、怪我、治らないのかなぁ」

サキ「……」
ぽつりとつぶやいたゆかりの淋しそうな横顔に、ハッと胸を衝かれるサキ。
いくら仲良くなっても、所詮、サキはゆかりの本当の姉ではなく、その代役に過ぎないのである。
ゆかり「いつになったら会えるの?」
サキ「お姉ちゃんね、今は面会謝絶といって、誰も会えないの」
ゆかり、沈んだ様子でベッドの上に移動すると、人形の紐を引っ張ってサキに挨拶させる。
さらに、麗巳たちにとって願ってもないことに、

ゆかり「お姉ちゃんもミカちゃんに御挨拶して」
サキ「……」
ゆかり「ゆかりとサキお姉ちゃんとミカちゃんと三人でお姉ちゃん待ってるんだから、ね?」
ゆかりがそんなことを言い出す。

サキの声「はじめまして、私は麻宮……」
盗聴器から聞こえてくる彼らの会話を、まさに固唾を呑んで聴き入っている麗巳と溝口。
だが、麗巳にとって不運なことに、
三平「サキぃーっ!」 突然、戸を叩くけたたましい音ともに、三平のサキを呼ぶ声が聞こえてきて、サキの自己紹介を邪魔してしまう。
まさに間一髪のタイミングであり、誰にも気付かれなかったが、三平の大手柄であった。

三平「サキ、開けてくれ」
サキ「三平?」
三平「木村君が……」
サキ「どうしたの?」
三平「呼んでるんだ、ゆかり、ゆかりって」
麗巳&溝口(リモコンにしとくんだった……) 今更悔やんでもザッツ後の祭り!
練りに練った精緻な暗殺計画が、とんだ邪魔者によって阻止されたことを知った麗巳は怒り狂い、自らサキを殺しに行こうとするが、

溝口「サキが人形に名乗る機会はまだある」
麗巳「待てないのよ! まだあの女と同じ空気を吸い続けなければならないと思うと、気が狂いそうになる!」 麗巳さん、暗殺の前に、一度クリニックを受診されたほうが良いと思うんですが……

溝口「ここで待てばいいんだ」
麗巳「……」
溝口「サキが死んだ時は人形が確実に教えてくれる。待つ手立てはいくらでもある」
麗巳「……」
溝口「憎悪に身を焦がしている君はとても素敵だ」
溝口、麗巳を引き止めると、自分の体に抱き寄せ、その首筋に唇を這わせ、麗巳もそれに身を委ねるような様子を見せるが、次の瞬間、溝口の目がくわっと見開かれたかと思うと、

溝口はその場にどさっと倒れる。
その胸には、麗巳の刺したナイフが突き立っていた。
それを冷然と見下ろしながら、

麗巳(血を見たお陰で冷静になれたわ、だけど、あなたは戦う人間としては失格、もう要らないわ)
そう心の中でつぶやくと、死体を放置してさっさと部屋から出て行く。
いや、さすがに自分の泊まってる部屋に他殺死体を残して行っちゃうのはまずいと思うんですが……
まあ、どうせ麗巳も指名手配されているのだろうが、たぶん、麗巳はもうサキを殺すことしか頭になく、自分の身がどうなろうと知ったことではない捨て鉢な気持ちになっているのだろう。
ただ、わざわざ野越え山越え海越えアメリカから来てくれた協力者を、特に意味もなく殺しちゃうというのは、人の上に立つ者として、麗巳に致命的な欠陥があるとしか思えない。
ありていに言えば、
バカにしか見えない。
これでは、たとえサキに邪魔されなかったとしても、麗巳が子供の頃からの夢を叶えるのは無理だったと言わざるを得ない。
それに、本気で目的を果たしたいのなら、男に自分の体を与えるくらいのことはしなければね。
要するに、エラソーなことを言っても所詮麗巳は生まれた時から何不自由なく甘やかされて育った「悪のお嬢様」に過ぎず、海槌財閥と言うよりどころを失えば、6才の頃から辛酸を舐め続けてきた上に、それでも己を見失うことのなかったサキの敵ではなかったということか。
その後、サキと三平、ゆかりが治療中の和美に会いに行くが、和美は目を開けてゆかりの名を呼ぶと、再び意識を失ってしまう。
お姉ちゃんが死んじゃうと泣きじゃくるゆかりを、「お姉ちゃん必ず元気になるから!」と、力強く抱き締めてやるサキであった。
サキが泣き疲れて眠ったゆかりをおんぶして帰宅中、橋の上で、必要以上に濃い顔をした大男が待っていた。
神恭一郎である。
サキ「神……」
神「指令だ」
サキ「いやっ、私はスケバン刑事を解任されたはずよ、もうどんな指令も受けない」
神「サキ、聞くんだ」
サキ「聞きたくない、今の私にはこの子しかいないの、この子の夕飯を作ってあげて着る物を洗濯して、この子をお風呂に入れて髪を梳かしてあげて……少しでもこの子を元気付けることしか考えられないっ」
身を震わせて叫ぶサキであったが、正直、何もそこまで入れ込まなくてもいいんじゃね? と言う気がしなくもない。
長い間家族の愛に飢えていたサキが、ひとりぼっちのゆかりに同情して本当の娘のような感情を抱くのも分からなくはないが、前回、実に12年ぶりに自分の母親と再会し、改めて同居を始めた矢先なので、サキがやるべきことは、まず自分の母親に孝行することではないだろうかと思ってしまうのだ。
だから、この話を描くのなら、サキが母親と再会する以前にやるべきだったんじゃないかと思う。

神「木村和美の事故は単なる事故ではない」
それはさておき、神はサキの感傷など一切無視して、話を続ける。

サキ「言わないで、神!」
神「海槌麗巳の配下がある人物と和美を誤認して襲ったんだ」
サキ「ある……人物ぅ?」
心底どうでもいいことだが、神サマの締めてるネクタイ、きっとクソ長いよね。
普通の人間が締めたら、その先が膝まで届くんじゃないかと。
それはともかく、察しの良いサキ、和美が自分の身代わりとなってあんな目に遭ったのだと気付いて慄然とする。

神「再びお前をスケバン刑事に任じるとの指令だ」
サキ「……」
神、内ポケットからヨーヨーを取り出して、サキに渡す。
しかし、このヨーヨーも、神が持つと、持つというより指の先でつまむような感じになって、いかに中さんの手がでかいか、良く分かる。
まあ、斉藤さんも女性としては割りと高い方(161)だから、二人が並んでもそんなに違和感はないんだけどね。
これが151の浅香唯さんだったら、たぶん、中さんは起用されなかっただろうなぁ。
それにしても、暗闇指令、前回あんなこと言っておきながら、またサキをスケバン刑事に任命するなど、朝令暮改も度が過ぎると言うものだろう。
つーか、残るは麗巳ひとりなんだから、それくらい、サキの力を借りずにおまいらで捕まえろよと思ってしまう。
色々あって、セーラー服に着替え、二度と嵌めることはないと思っていたグローブを嵌めたサキ、闘志を新たに木村家から出て行こうとするが、
サキ(あれ……私、何処に行けばいいんだろう?) 肝心の、麗巳の居場所を知らないことに気付くという、まるで寅さんのようなボケをかましてしまう。
……と言うのは嘘だが、ほんと、何処に行くつもりだったのだろう?
そんなサキを呼び止めたのが、目を覚ましたゆかりだった。
サキ、和美が意識を回復したといってゆかりを安心させてから、自分も必ず帰ってくると約束する。
ゆかり「絶対よ、ミカちゃんにも約束して」
サキ「約束するわ、
サキお姉ちゃんは必ず……」
麗巳も半ば諦めていたのではないかと思うが、このタイミングで、遂に「サキ」と言う言葉が起爆装置を作動させてしまう。
これで、作動即爆発と言うシステムにしておけば、麗巳の逆転サヨナラ満塁ホームランだったと思われるが、あいにくと、管理人が指摘したように、作動すると人形の目が光るという、被害者にも親切な謎仕様だったので、サキもすぐに気付いて人形を取り上げて部屋の隅に放り投げると、

ゆかりの体を抱き上げて家から飛び出す。
そして麗巳たちの二つ目のミスが、爆発までの時間を無駄に長く設定していたことで、

サキがなんとなく笑いながらゆかりの家の庭から出ても、まだ爆発しない。

ゆかりを抱いたまま、たまたま家の真ん前にあった空き地に入ったところで、

人形が爆発し、

ゆかりの家が木っ端微塵に吹っ飛び、

ゆかりの上に覆い被さるようにして倒れたサキの背後が、まさにナパーム弾でも落とされたかのように、文字通り火の海と化す、ド迫力ショットが生まれる。
このシーンは、特番のメイキングでかなり詳しく扱われていたが、このゆかりはダミーではなく、本当に子役が演じているのである。
斉藤さんも、何があってもこの子だけは守らねばと、劇中のサキと同じような心境で撮影に臨んだことだろう。
また、空き地の周囲には人の住んでる民家が立ち並んでいて、今ではまず無理な撮影だったろうなぁと思う。
しかし、これだけ頑張って撮ってるのに、視聴率がワーストに近い数字と言うのはね……
やっぱり、脂ぎったおっさんじゃなく、亜悠巳や久巳タンを出すべきだったんじゃないかと。
と、ほとんど間をおかず、黒煙の向こうから、「あっはっはっはっはっ、あっはっはっはっはっはっ」と、亜悠巳を髣髴とさせるような哄笑が聞こえてくる。
サキが視線を上げれば、いつの間にか、空き地の真ん中に麗巳が立っていた。

麗巳「惜しいところだったわ、サキ、せっかくその子と一緒に地獄に行けるところだったのに」
サキ「きたねえ、子供を巻き込むなんて……許さない、絶対に許せない」
ゆかりをしっかり抱いたまま、怒りに声を震わせるサキだったが、
麗巳「ふふふふ、はっはっはっはっ、お前をめちゃめちゃにしてやると言った筈よ、せいぜい気を付けるのね。私はどんなことしてでも、どんな手段を使ってでも必ずお前を倒す! あっははははっ、あっはははは、あーっはははははっ……あー、苦しい、お腹が痛い……」
……と言うようなギャグを、もう一度亜悠巳ちゃんでやりたかったな、と。
麗巳はなおも笑い続けながら、振り向いて闇の中に溶けていく。
サキ「今度と言う今度は怒ったよ、心の底からお前を憎んだよ!」 悪逆無道の麗巳への激しい怒りをカメラに向かって叫んでいるサキの姿を映しつつ、24話へ続くのだった。
次回、いよいよ最終回である!
- 関連記事
-
スポンサーサイト