第27話「妖怪!毒ぐもタランチュラ!!」(1972年10月6日)
前回、伊賀の里を舞台に、あれやこれやあって、嵐は西洋妖怪スフィンクスの呪いの箱の中に閉じ込められて滝壺に沈められ、月ノ輪も、伊賀忍者の棟梁・百地仙人の孫娘・千秋と共に、毒ぐもタランチュラの巣に追い詰められ、二人のヒーローが危機的状況に陥っていると言うスリリングな状態からスタートする第27話である。
※26話は特に書くことがないのでスルーしました。何卒ご理解頂きたい。

ちなみに、飛騨国から消えた大魔神像は、伊賀の国の大きな滝の上に移動していた。
キャプでははっきり見えないと思うが、目を凝らせば、画面中央、滝の上にスフィンクスのような石造りの建物があるのが分かると思う。
なんとなく、板に絵を描いただけのハリボテのように見えなくもないが、それは気のせいである。
その滝壺の底に、箱に入れられたまま沈んでいく嵐。
箱にはスフィンクスの呪いが掛けられており、嵐の超能力も通じないのだ。

嵐「スフィンクスは呪いの箱と言った、その呪いさえ解けば脱出できるはずだが……」
嵐、四方の壁にびっしり彫り込まれた古代エジプト文字のなかに、明らかにクモと思われる象形文字を発見する。
一方、月ノ輪は、タランチュラの脳天に刀を突き刺し、相手が怯んだ隙に、千秋と共に瞬間移動して難を逃れる。
どうせなら、そのショックで呪いの箱の効力も消える……と言う風に処理したほうがスマートだったかもしれないが、
嵐「スフィンクスはクモを操っていた。もしかすると……これが呪いの原因なのか?」
嵐、四方の壁すべてにクモの模様があるのを見て、
嵐「嵐、四方破り! とぉりゃああーっ!」
四つの壁を同時に壊し、なんとか箱から抜け出す。
……
えーっと、箱の中では超能力が使えなかったんじゃないの?
その脱出の仕方も、クモとか関係なしに箱を内側から叩き壊しているようにしか見えず、週をまたいでのピンチの切り抜け方にしては、すっきりしないこと甚だしい。
それはともかく、滝壺から水柱が上がるのを見て、忍兵衛以下、伊賀の名立たるボンクラ忍者たちは嵐が死んだものと思い込むが、

嵐はピンピンしており、滝の上に颯爽と現れてから、彼らの前に飛び降りて剣を抜く。
飛沫を上げて流れ落ちてくる瀑布を背に、片手で剣を構える嵐の姿は実にカッコイイのだが、

肝心の相手がアホの集団・伊賀忍者たちなので、そのバトルも、いまひとつサマにならないのだった。
言い忘れていたが、彼らはスフィンクスとタランチュラによって全員西洋妖怪の手先にされているのである。
無論、彼らは嵐の敵ではなかったが、嵐も操られているだけの伊賀忍者を(ほんとは斬りたかったが)斬る訳にも行かず、峰打ちで次々と昏倒させていくが、彼らの身体から出て来たクモを退治すると、彼らはやっと正気に返る。

ハヤテ「どうやら正気に戻ったな」
忍兵衛「あ、あなたは?」
ハヤテ「タツマキと一緒に百地仙人を訪ねてきたハテヤです」
忍兵衛「百地大先生を?」
忍兵衛を演じるのは、灰地順さん。

同じ頃、百地仙人の屋敷では、昏睡状態の百地仙人の枕元に、スフィンクスが呪いの藁人形を手に現れる。
百地仙人はかなりの使い手ではあったが、前回、不覚にもスフィンクスの呪いを受けてしまい、それ以来ずーっと寝込んでいるのだ。
スフィンクス「聞こえるか、伊賀の百地仙人よ」
百地「おのれは……」
スフィンクス「ははははっ、悔しいか、さぞ悔しかろう、目は見え、言葉は聞こえても、自分の意思では体は勿論、喋ることも出来ぬとは、うーっはっはっはっはっはっ」
伊賀忍者の頭領のぶざまな姿を、心行くまで嘲笑ってから、
スフィンクス「今、その呪いの一部を解いてやる、アーバランダー」
百地「貴様は?」
スフィンクス「答えろ、この百地屋敷に隠してある、忍者大秘巻・天地二巻の巻物は何処だ?」
百地「知らん」
さすがにタツマキの師匠でもある百地仙人、スフィンクスの脅しにも屈しない気骨を見せる。
スフィンクス「とぼけるな、いやだといっても、俺が命令すれば巻物は出す」
が、スフィンクスが呪文を唱えて命令すると、

百地「うーん、なんじゃ、心に逆らって体が動いていく」
あっさりその命令どおりに上半身を起こすのだった。
まあ、この作品における伊賀忍者と言うのは、ウルトラシリーズにおけるやTACやMACなどの防衛隊と同じような存在であり、一言で言えばヒーロー(嵐)の引き立て役に過ぎないので、じじい以下、伊賀忍者が(タツマキを除いて)スットコドッコイの役立たずばかりなのは、ある意味仕方のないことなのである。
もっとも、百地仙人については、なにしろ演じているのが鞍馬天狗で有名なアラカンこと嵐寛寿郎さんなので、終盤でその面目を取り戻してるけどね。
それはともかく、百地仙人はその巻物をしまってある隠し部屋の入り口を教えると、再び布団の上に倒れて動けなくなる。
隠し部屋には、様々な忍者道具やエロ本(熟女系)などが並べてあったが、その中に、彼らの求める忍者大秘巻が二本、むき出しの状態で置いてあった。
だが、スフィンクスが手を伸ばした瞬間、天井から飛んできた鉤爪が巻物を掴んで引っ張り上げる。
無論、ハヤテの仕業であった。

ハヤテ「足が……」
スフィンクス「アーバランダー」
ハヤテ「くっ、スフィンクス!」
ハヤテ、巻物を手に屋敷から離れようとするが、外へ出たところでスフィンクスに術を掛けられ、その場に釘付けになる。

スフィンクス「動けまい、ハヤテ、天地二巻は俺のものだ。ぬぅはーっはっはっはっ」
しかし、スフィンクス(と言うか、これじゃあツタンカーメンだが……)が、日本の藁人形を手に迫ってくるというのは、アラカンがスマホをいじってるの同じくらいの、かなりレベルの高いミスマッチ感覚である。
が、ミスマッチだろうがなんだろうが、スフィンクスの呪力は極めて高く、ハヤテも百地仙人の二の舞を演じそうになるが、火薬玉を足元に投げて小爆発を起こし、その衝撃で術を破ることに成功する。
……
百地仙人すら防げなかった妖術が、
火薬玉一個で解けるって……
これではますます伊賀忍者の面目丸潰れと言う感じだが、

嵐「はっはっはっはっはっ、スフィンクス、帰って悪魔道人に伝えろ、忍者大秘巻はこの嵐が命に賭けて守り抜くとな」
一瞬姿を消したハヤテは、再び嵐の姿になって岩の上に仁王立ちする。
ちなみに25話、26話、そしてこの27話と、三話続けて、ハヤテが嵐に変身するシーンが出て来ない(22話~24話については未確認)
ハヤテの、いささか長ったらしい変身ポーズがちびっ子に不評だったのか、あるいは、アクションの流れが止まってしまうことを恐れて、あえて出さないようにしているのかもしれない。
と、スフィンクスの掛け声で、嵐の後ろにタランチュラが現れ、殴りかかってくる。

タランチュラ「ピーッ、ピーッ!」
タランチュラもかなりの実力者なのだが、声をモグラ獣人のサイカチさんが当てているせいか、なんとなく可愛いらしい。
嵐、川の中でスフィンクスの体を斬るが、タランチュラはスフィンクスの体を支えるようにして立たせ、爆弾を投げ付けてから退却する。
嵐「くそぉ、西洋妖怪め」
嵐、取り戻した巻物をとりあえず百地屋敷に持って行こうとするが、背後から「その必要はござらん」と、壮年男性の声が飛んでくる。
振り向けば、伊賀忍者とおぼしき、見知らぬ男が立っていた。

嵐「おぬしは?」
源太夫「はっはっはっはっ、伊賀忍者・百地仙人の息子源太夫と申す」
嵐「なに、百地先生の?」
源太夫「配下の忍者どもが苦しめられ、あまつさえ父・仙人が呪いに掛けられたと知り、急ぎ姫路より戻ったところ」
嵐「そうか」
源太夫を演じるのは、ご存知、近藤宏さん。
ちなみに26話には、スフィンクスの人間態として江見俊太郎さんも出ていて、この前後編、ゲスト俳優がなかなか豪華なのである。
ところが、信じがたいことだが、近藤宏さんの名前が
クレジットにないのである。
これだけのベテランが、しかもかなり重要な役だというのに、ノンクレジットって……それこそ切腹もののミスであろう。
あるいは、ミスではなくて、何か事情があって名前が出ていないのかもしれないが。

千秋「お父上様~」
源太夫「おう、千秋」
二人が話していると、源太夫の娘の千秋がやってきて、父親の胸に飛び込む。
千秋「心細かった、良かったわ、お父上様が戻ってくれて……使い鳩の手紙を見てくれたのね」
源太夫「……うん、見たぞ、父が戻ったからにはもう心配は要らん」
千秋の問い掛けに一瞬源太夫の返事が遅れたことに気付いてれば、嵐もその正体を見抜いていたであろうが、さすがの嵐にもそこまでの洞察力はなかったようだ。
嵐「疑って、すまん」
逆に、二人の仲睦まじい様子を見て、頭を下げて謝る嵐。
……
えーっとぉ、
いつ疑いましたっけ? まあ、心の中で疑ったと言うことなのだろうが、普通はそんなことまでいちいち謝罪しませんよね。
ともあれ、嵐は巻物を源太夫に渡し、みんな一旦百地屋敷に引き揚げることになる。
CM後、意識不明の百地仙人の枕元に侍っている源太夫。
源太夫「父上、ご安心ください、この源太夫が戻ったからには、きっと父上に掛かった呪いを取り払って見せます」
跡取り息子の到着に、沈んでいた伊賀のボンクラたちも、俄かに活気付く。

ツムジ「千秋さんのおやじって、さすがだなぁ。うちのおやじ、小さくなってる」
別の部屋で、カスミに傷の手当てをして貰っているハヤテのところに、ツムジが注進に来る。
ハヤテ「こらっ、また盗み聞きしたな」
カスミ「少しは落ち着きなさい」
ツムジ「これが落ち着いていられるかい、伊賀忍者全員で、スフィンクスや大魔神像を探し出すんだってさ」
ハヤテ「そうか……」
源太夫がタツマキたちに命令していると、ハヤテも顔を出して、協力を申し出る。

タツマキ「ハヤテ殿の手助けがあれば、百人力、いや、これは千人力じゃ!」
忍兵衛「ははは」
ますます意気揚がるタツマキたちであったが、要するに、
「伊賀忍者×1000」=「ハヤテ×1」 と言うことを言ってる訳で、暢気に笑ってる場合ではないのである!
忍兵衛「しかし、屋敷が空になると忍者大秘巻は誰が守る?」
源太夫「いや、天地二巻は百地家の秘宝、ワシが残って守ろう」
こうして、源太夫と千秋を残してタツマキたちはスフィンクスたちの捜索に出る。
一方、廊下を歩いていた千秋は、百地仙人の寝ている部屋の壁にクモの影が映っているのを見て、慌てて入り口の襖を開くが、部屋には仙人と源太夫しかいなかった。

源太夫「どうした、千秋」
千秋「今、壁に怪しい影が!」
この千秋役の女の子がなかなか可愛いのだ。松本うたかさん。
どっかで見たことあるなぁと思ったら、翌年の「イナズマン」11話にでていた子だった。

源太夫「ふっはっはっはっ、落ち着かぬか、女子と言えども忍者の名門の娘ではないか……父のほかには誰も怪しいものなどおらんぞ」
千秋「あんまり騒ぐものでつい幻が」
源太夫「そんなことでは本物が出た時どうする? しっかりしなさい」
千秋「やっぱり女ってダメねえ」
源太夫が優しく千秋を叱り励ますと、千秋も笑顔を見せて立ち去る。
しかし、
「やっぱり女ってダメねえ」って、(一応)武家の娘の言葉遣いじゃないよね。

その後、忍兵衛は、怪我をして鳴いている鳩を見付けて拾い上げるが、それは千秋の使い鳩であった。
忍兵衛「はてな、お嬢様が源太夫殿に送ったのはこの手紙ではないかな?」
しかも、その足には千秋が父に宛てた手紙まで残されていた。
と言うことは……
そう、さっき源太夫が千秋に言われて一瞬まごついたのは、その手紙のことを知らなかったからなのだ。
つまり、本物の源太夫は事件のことを知らず、引き続き姫路にいたのである。
まあ、どうせなら、最後に本物の源太夫にも駆けつけて欲しかったところだが……
それはそれとして、再び百地屋敷。

いつの間に、天井に背中向きにへばりついている源太夫。

そこから飛び降りて、

さっき自分のいたところに着地する。
……
意味ねえだろっ!! まあ、その正体がタランチュラと言うことで、つい意味もなくそんな行動をしてしまうのだろう。
源太夫、紐を引っ張って隠し部屋の入り口を開くと、その中に消える。

やがて、巻物を二つ手にして戻ってくるが、部屋の隅に、いつの間にか忍兵衛が座っていて、あからさまな疑惑の目を向けてくる。
ドキッとする源太夫であったが、何食わぬ風を装い、

源太夫「おお、忍兵衛、どうしたのだ、スフィンクスを発見したのか?」
忍兵衛「その前にお頭(かしら)様、御説明願いたい」
鳩「くるっくーっ」
源太夫「この鳩は?」
忍兵衛「御存じないのでござるか」
源太夫「忍兵衛、頭のワシに……」
忍兵衛、ふと、廊下側の障子にタランチュラの影が映っているのを見てギョッとするが、その隙を衝かれてあえなく源太夫に刺し殺されてしまう。
やっぱり伊賀忍者、使えない。
この後、ハヤテは嵐に変身して屋外で強敵スフィンクスと戦い、なんとかこれを撃破する。
同じ頃、ニセ源太夫はついでに百地仙人の息の根を止めようとしていたが、

源太夫「くたばれっ」

百地「のっ」
源太夫「どぉへぷっ!」
動けない筈の百地仙人、迫り来る刃を右手で受け止め、左手刀をニセ源太夫の顔にめり込ませる。
そう、絶妙のタイミングでスフィンクスが倒された為、間一髪で呪いが解けたのだ。

百地「源太夫になりすます、化け物めぇっ」
【朗報】アラカンはやっぱり強かった! この後、正体をあらわしたタランチュラを嵐が倒すが、死ぬ間際、「忍者大秘巻・天の巻」を次回の怪人メドーサに渡し、なんとか任務の一端を果たす。
ラスト、ハヤテとタツマキは休む間もなく、「天の巻」を奪還すべく、百地仙人と千秋に見送られて伊賀の里を後にするのだった。
こうして、第3クールは、二つの「忍者大秘巻」をめぐる争奪戦がメインテーマとなるのである。
ま、肝心の「忍者大秘巻」の内容がなんなのか、現時点ではさっぱり分からないのだが……
- 関連記事
-
スポンサーサイト