第11話「大激闘!!浜名湖決戦-静岡・後篇-」(1982年8月15日)
焼津港に駆けつけ、停泊中……と言うより遺棄された問題のクルーザーの中を調べている一兵たち。
当然ながら、クルーザーの中には弾薬ひとつ残されていなかった。
沖田「中西と山根たちがこれで密輸船を襲い、沖合いで武器を強奪したに違いありません」
大門「……」
さらに、聞き込みによって、中西たちがトラックに積荷を移し変え、日本平方面へ向かったとの情報が得られる。
沖田「中西ははなから自分たちを清水港にひきつけておいて、坂上たちの組織を壊滅させてその間に武器を強奪する計画だった」
大門「……」
沖田「なんか言えよ」 嘘はさておき、ここで真の黒幕と言うべき連中がやっと視聴者の前にあらわれる。
彼らは自分たちの部下に兵隊のような格好をさせて、山の中でM16やバズーカ砲をズンドコ撃たせまくっていた。

山根「例の中西ですが、どうしますか」
杉森「奴はサツがマークしてるんだよなぁ、予定通りやれ」
ボスの杉森を演じるのは、ワンパクでもいい田中浩さん。
ユージロウにも劣らぬ貫禄の持ち主である。
一方、大門軍団に乗っ取られた城南署に、中西の妹・節子が訪れ、ここでも「お兄ちゃん」「お兄ちゃん」を連呼して、刑事たちの心をメロメロにする。
彼女によると、とあるライター会社で、中西の幼馴染が働いているのだと言う。
大門から知らせを受けた沖田たちがその男に会いに行くが、

それが、UGMのイケダ隊員だったので、思わず吹いた管理人であった。
たぶん、81年になってパッタリ怪獣が出なくなったのでUGMがめでたく解散となり、イケダも転職を余儀なくされたのだろう。
ともあれ、彼の言によって、中西が日本平の山頂の土産物屋に身を隠していることが判明、大門軍団がただちに急行する。
だが、一足遅く、彼らが到着したのは、中西が山根たちに何発も銃弾を撃ち込まれた、その直後であった。
中西は「3億5千万のヤマ」と言い残して息絶えるが、沖田たちは逃げ遅れた大塚と言う男を捕まえる。

節子「お兄ちゃん、どうして……お金なんか外国(旅行)なんか何も要らなかったのよ! バカよ、お兄ちゃんのバカァッ!」
警察の死体安置室で、変わり果てた兄と対面して泣き叫ぶ節子タン。

浜「バカな男です。全ての過去を忘れて一緒に暮らしたいとただそれだけを願ってた妹をとーとーひとりぼっちにさせちまいやがって、まったくぅ」
大門「……」
浜「なんか言えよ」 嘘はさておき、そこがよその警察署だという遠慮を微塵も感じさせない、大門軍団による熱意溢れる取調べが大塚に対して行われる。

沖田「なるほど、山根の後ろにはさらに黒幕がいるって訳か」
大塚「しゃべらねえぞ、しゃべったら殺されちまう。死んだってしゃべらねえぞ……」
沖田、おもむろに馬鹿でかい銃を取り出すと、
沖田「じゃ、死ね」 ト、トモカズさんっ! 気を確かに!

大塚「な、なにすんだよぉ」
沖田「お前は中西を標的にした、今度はお前の番だ。これで公平になる」
大塚「じょ、冗談言うなよぉ」
それでも、半笑いで虚勢を張っていた大塚だったが、
沖田「嘘や冗談でこんなことが出来るかーっ!」 ト、トモカズさんっ!

沖田「脳味噌ぶっ飛ばしてやる」
大塚「やめろ、言うから!」 相手がマジだと気付いた大塚、必死の形相で叫ぶ。
で、この「言うから!」と言う言い方が、まるで、中学時代、「おめー誰が好きなんだよー?」系の話で盛り上がっていて、ひとりだけなかなか告白しようとしなかった奴が、悪乗りした友人たちにパンツを脱がされそうになって必死で叫んでいるようで、ちょっと笑える。
それにしても、トモカズさん、「アウトレイジ」でバリバリの悪役演じていたけど、はっきり言って、こっちのほうがよっぽど怖い。
同じ俳優が演じて、善玉のほうが悪役より怖いってどんだけやねん。
ほどなく、沖田たちが息を弾ませて刑事部屋に駆け込んでくる。
沖田「団長、落ちました!」 大門(どうせまた、めちゃくちゃなことしたんだろうなぁ……) ピンポーン!!
ともあれ、大塚の口から、黒幕が、浜松の中興開発と言う不動産会社の社長・杉森だということが明らかになる。
山根はその会社の副社長で、岩城、大塚がその部下であった。
勝手知ったる他人の管轄と言うことで、大門たちは城南署にはひとっことの相談もなく、浜松へ行って令状もないのに中興開発の家宅捜索を行う。
もっとも、既に杉森たちは風を食らって逃げ出した後で、会社はもぬけの空であった。
その後の調べで、杉森が、不動産会社を隠れ蓑にして金の密輸に手を染めているらしいことが判明する。
浜「確証があるわけじゃありません、ただ、6年前に大阪で発生した金塊強奪事件で当時大阪在住だったこの杉森が大阪府警の取調べを受け取るんですわ」
鳩村「しかし、証拠不十分で釈放、姿を消した、そして1年後、静岡にあらわれ、中興開発って言う看板を掲げたってことです」
大門「……」
ところで、今回レビューしてて気付いたのだが、団長、台詞が少なくね?
その後、色々聞き込みをした結果、一味が浜名湖競艇の売上金を狙っているのではないかと言うことになる。

一兵「明日最終日の売り上げ総額が約3億5千万、これは過去のデータからコンピューターが弾き出したものです」
鳩村「ところがですね、競艇場の話じゃ、払戻金やそのほかで、結局銀行に運ばれるのはその20パーセント、たった5000万だそうです」
団長「5000万?」
わあ、久しぶりに団長が喋った!
沖田「そいつはおかしいぜ、杉森の手元にはM16ライフルが100丁、バズーカ砲が5丁そろってんだ、それだけの武器使って5000万だなんて狙いが小さ過ぎる」
刑事たちは何か釈然としないもののを感じつつ、それでもとにかく競艇場に張り込むことにする。
翌日、大勢の客で足の踏み場もない浜名湖競艇場のあちこちに、大門軍団が散らばって油断なく周囲に目を配っていた。

一兵「パパは競艇、ママと僕は遊園地かー、今や競艇も家族団欒の場になってしまいましたね」
鳩村「呑気だなぁ、お前も」
一兵「いや、だからこそね、こういう平和な場所を乱しに来る敵はぼかぁ絶対に許せないわけですよ」
併設された遊園地を見下ろせる場所で、あれこれ喋っている一兵と鳩村。
無論、これもタイアップならではのヨイショ台詞であり、間違っても、
一兵「パパは競艇にのめりこんで借金こしらえて蒸発、ママはフーゾクでバイト、僕はシンナーかー、競艇場ってのは、人の不幸を大量生産する場になってしまいましたね」
鳩村「なに当たり前のこと言ってんだよ」
一兵「いや、家庭の平和を乱す施設は、ぼかぁ絶対に許せないわけなんですよ」
などという会話が交わされることはないのである。
で、半信半疑だったが、ほんとに武装した集団が現金輸送車に襲撃を仕掛けてきて、大門軍団と激しい銃撃戦となるのだが、

バズーカ砲の砲撃を受けた覆面パトカーが爆発炎上し、

その炎が近くにいた鳩村のスーツに燃え移り、

後退しながらなおも銃を撃っていた鳩村が柔道の受身を取るように一回転して背中をアスファルトに押し付けるが消えず、

そこへ、今回も調子こいて放水車に乗った大門が駆けつけ、

「あらよっ」と言う感じで鳩村の体に水を浴びせて助けるという、とんでもないスタントシーンとなる。
で、これを、スタントじゃなくて舘さん本人が演じているというのが、今ではまずありえない過激さである。
もっとも、ほんとに火が燃え移ったわけではなく、耐火性のスーツに別に火をつけて燃え移ったように演出しているだけなのだが、それでも凄い。
この後、杉森たちの真の狙いが浜松市内を通過中の金塊輸送車の強奪だったことが分かり、金塊を盗んだ杉森たちと大門軍団のカーチェイスが延々と描かれ、最後は浜名湖の中で、金塊を積んだ遊覧船を警察が空・海・陸から追いかけることになる。
ただ、今回はアクションシーンに偏りすぎているきらいがあり、正直、見ていてあまり面白いものではない。前回と比べて視聴率が5パーセントも落ちているのは、視聴者も途中で飽きちゃったからと思われる。
ラスト、包囲されてうろが来た杉森は、バズーカ砲で大門の乗っているヘリコプターを落とそうとするが、逆に大門に撃たれて、間違って自分の乗ってる船に向けて撃つと言う、ほとんど「ミスター・ビーン」みたいなドジをしでかし、

遊覧船が大爆発を起こして炎上する。
ちなみにこの遊覧船のお値段、400万円だそうです。

で、半分自分のせいで遊覧船を沈めさせちゃった大門さんは、

大門「……」
眉ひとつ動かさず、「それが何か?」的な顔をしておられました。チーン。
まあ、大門軍団にとっては、こんなの日常茶飯事だからね。
金塊も奪還し、ともかく事件は解決するのだが、部活の先生よろしく、みんなを集めた小暮っちが、
小暮「みんなごくろうさん、今夜は派手にパーッとやってくれ」 と、労うのが、いくらなんでも能天気過ぎるのだった。
また、プロデューサーのように手回しの良い小暮っちは、前回大門がサファリパークに置いてけぼりにした明子を浜松に呼び寄せて遊園地で遊ばせてもいたのだった。
この後、調子こいた大門たちは、事件の後始末や報告書の作成などは城南署に押し付け、明子と一緒に遊園地で遊びまくり、夜にはほんとにバーに繰り出して飲みまくるのだった。
……
そんな刑事がいるかぁーっ!! 
ラスト、真新しい兄の墓に手を合わせている節子と、それを離れたところから見守っている小暮と大門。
それこそ、節子が途中で杉森たちの人質にされるとか、彼女をストーリーの中に組み込むことをしなかったのが、視聴率が低下した原因ではないかと思う。
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