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「人造人間キカイダー」 第40話「危しジロー!機能完全停止!!」


 第40話「危しジロー!機能完全停止!!」(1973年4月14日)

 冒頭、洋一と言う実に味わい深い顔をした少年が、野原にイーゼルを立て、鉄塔の前で絵を描いている。

 
 声「チョンギース、チョンギース」

 どこからか、キリギリスのような声が聞こえてきたので不思議そうに周囲を見渡し、

 洋一「春だってのにキリギリスの声だなんて……今日はもう帰ろう」

 薄気味悪くなった洋一は、そそくさと道具を片付けて帰ろうとするが、あの声はしつこくつきまとい、さらには金属的な足音まで近付いてくる。

 洋一が車道に飛び出したところに来合わせのが、半平のスバル360であった。

 
 半平「危ないじゃないか、君」
 マサル「どうしたの、君?」
 洋一「なんかが、なんかが追って来るんだ」
 半平「なんかが? どうも近頃の子供は臆病でいかんな」

 などと言っていた半平だが、何処からか巨大なキリギリスの羽根のようなものが飛んできて地面に突き刺さるのを見るや、

 半平「諸君、逃げましょ!」

 一も二もなく逃走を開始する。

 ちなみに今回の半平、中国風の服を着て、うっすらと口ひげまで生やしていて、そのままジャッキー・チェンのカンフー映画に出れそうないでたちである。

 
 怪人「チョンギース」
 半平「出た、出た」
 怪人「ふっははははははっ、俺はダーク破壊部隊キリギリスグレイだ、そっちの小僧に用がある」

 だが、声の主キリギリスグレイは三人の先回りをして路上に立ちはだかる。

 
 マサル「そうだ、デスホイッスルがある」

 と、ここでマサルがサブローから貰ったデスホイッスルを取り出し、すべてのメカの動きを止めると言うランプを照射するが、

 
 怪人「チョンギース……へどもあっ!」

 そのビームの光学作画を省いて、単に静止画でその効果を表現するのは、さすがにビンボー過ぎるので是非やめていただきたかった。

 管理人からは以上です。

 半平「うん?」
 マサル「こうしておけば、コイツは動けないんだ、逃げろ」
 洋一「だけど君はどうする?」
 半平「さよう、マサル殿、いつまでもそうしてはおられんぞ」

 しかし、そのランプは対象に当て続けないとすぐに効き目が切れてしまうので、マサルはボタンを押したまま、その場から動くことが出来なくなる。

 半平「どうすんだ? どうすんだ?」
 マサル「そうだ」

 マサル、ボタンを押したまま、デスホイッスルを吹いて、サブローに助けを求める。

 待つほどもなく、そこにサブローがあらわれる。

 マサル「サブロー、助けて、こいつダーク破壊部隊なんだ」
 サブロー「なんだ、キカイダーを倒す時にだけ呼んでくれといったはずだぞ」
 マサル「だってぇ」
 サブロー「まあいい」

 相手がキカイダーじゃないと知ってサブローは露骨に不満の色を浮かべるが、とにかくその場を引き受ける。

 怪人「ええいっ、逃がしはせんぞ!」

 マサルたちを、自由を取り戻したキリギリスグレイが追いかけようとするが、

 
 サブロー「待て!」
 怪人「なにぃ、なんだお前は?」

 サブローは鋭く呼び止め、ナイフを顔の前に翳して、ハカイダーに変身する。

 ここに、飯塚昭三さん(ハカイダー)と渡部猛さん(キリギリスグレイ)と言う、昭和特撮の二大コワモテ声優の夢の競演が実現する。

 怪人「貴様、ハカイダー」
 ハカイダー「マサルたちに手を出すことは俺が許さん」
 怪人「なんだとぉ、貴様、それでもダークの戦士か」
 ハカイダー「俺はお前たちのように命令どおり動く低脳ロボットではない。あくまでもやるというなら、俺が相手になってやる。くるか?」
 怪人「くそぉ、このことは必ずプロフェッサーギルに報告するぞ!」

 さすがにハカイダーに喧嘩を売る度胸はなく、キリギリスグレイ、先生に言いつけてやると息巻く小学生のような、いささかみっともない捨て台詞を残して飛び去るが、

 ハカイダー「バカめ、プロフェッサーギルなど怖くはないわ」

 体に組み込まれた悪魔回路のせいか、ハカイダーはプロフェッサーギルへの叛意さえ仄めかす。

 こういう、支配者のコントロールさえ受け付けなくなる暴走ぶりはなかなか素敵なのだが……

 そのギル、モニターでさっきの鉄塔を見ながら、

 ギル「キリギリスグレイ、これがお前の市民キチガイ計画に使う、アンテナか」

 
 怪人「はい」

 ダーク破壊部隊の中でも一際ボディーランゲージ豊かなキリギリスグレイは、両手を左右に広げ、頭を地面にこすり付けんばかりに平伏して答える。

 怪人「私の腹のスピーカーから発したマッドサイクルをさらにこのアンテナから電波に乗せてテレビから流し、日本じゅうの市民をキチガイにしてしまう見事な計画です」(自分で言うな)
 ギル「ところで、この秘密のアンテナを子供に写生されたそうだな」
 怪人「それにつきましては今しばらくのご猶予を」
 ギル「なにっ、絵も子供もそのままだというのか?」
 怪人「申し訳ありません、なにぶん、ハカイダーめの邪魔が入った上に、やつら、ハカイダーから貰ったデスホイッスルを持っていますので……」
 ギル「うーむ、ハカイダーめ、このワシに反逆を企てるつもりかっ」

 しかし、そんなに秘密にしたいのなら、なんでそのあたり一帯を立ち入り禁止にするとか、誰も近付けないよう見張りを置くとか、しかるべき対策を講じなかったのだろう?

 それに、仮に子供に見られて絵に描かれたとしても、それを見てキチガイ電波の発信源だと気付く奴はいないのだから、血眼になって口封じをする必要は全くないように思う。

 それはともかく、マサルと半平は、洋一の家に上がって休んでいた。

 
 洋一「デスホイッスルか、君はこれを使って、あのサブローさんと一緒にジローって奴をやっつけるつもりなのか?」
 マサル「……」
 洋一「光明寺博士が殺された事件は新聞で読んだよ、ジローってすっごく悪い奴なんだな」

 洋一が、大人びた口調でマサルの気持ちを確かめ、ついでにジローの悪口を言うと、

 
 マサル「はーっ……」

 マサルはぽろぽろと涙をこぼし、つらそうに白い息を吐く。

 洋一「君ぃ、ほんとはジローが好きなんだね」
 マサル「でもジローは、ジローはお父さんを殺したんだ、今度会ったらこのデスホイッスルできっと仇を取ってやるんだ!」

 と、マサルの叫び声に目を覚ましたのか、安楽椅子で寝ていた半平が起き上がって外に小便をしに行くのだが、その家にはトイレがないんか?

 撮影上の都合であろうが、いくらなんでも不自然である。

 この後、色々あって、キリギリスグレイと戦闘員たちが屋外で洋一を捕まえてあの絵を渡せと脅すが、

 洋一「いやだ、いやだ、お前なんかに渡すもんかっ」

 こちらも不自然なほど威勢が良くて、恐れる色もなく拒絶する。

 と、ここで毎度おなじみジローのギターが聞こえてくるが、

 

 
 ジロー、今回はかなりの高さのある照明塔の上に立っていた。

 
 カメラが寄ると、伴さん本人のようでもあるのだが、まあ、スタントであろう。

 ジロー、そこから飛び降りてキカイダーに変身し、キリギリスグレイと戦うが、そこへあらわれたのが、デスホイッスルを手にしたマサルだった。

 キカイダー「マサル君、やめろ」

 キカイダーはマサルの意図を見抜いて叫ぶが、マサルは構わずランプを照射する。

 でも、ジローはまだデスホイッスルが使われるのを見たことがないし、マサルやミツ子からそれについて聞く機会もなかった筈なのに、なんでデスホイッスルのことを知っていたのだろう?

 
 それはともかく、ランプを浴びたキカイダーは、ジローの姿に戻って石像のように動かなくなる。

 ……

 今気付いたんだけど、なんでダークはこんな便利な装置を、対キカイダーとの戦いに活用しようとしなかったのだろう?

 こういうのを戦闘員全員に持たせておけば、ダークの楽勝であったろうに。

 あと、マサルがわざわざダーク破壊部隊と戦ってる最中に機能停止させるというのも謎である。

 下手をすれば、即座にキリギリスグレイに殺されていたかもしれないのだから……

 
 怪人「こらぁいい、動けないキカイダーなら怖くはないわい!」

 キリギリスグレイに殴り飛ばされても、マネキンのようにただなすがままに倒れるジロー。

 
 マサル「ああっ……」

 自分で招いたことながら、ジローが一方的に嬲り殺されている様子を直視できず、つらそうに目を背けるマサル。

 続いて笛を吹いてサブローを呼び寄せるが、

 
 マサル「サブロー!」
 サブロー「狙いはしっかりつけてなくちゃダメだな、見てみろ」

 サブローに言われてジローたちのほうを見ると、

 
 マサル「はっ!」

 キリギリスグレイが、

 
 怪人「へい、タクシー!」

 的なポーズで固まっており、ジローの姿は忽然と消えていた。

 マサル「あれ、ジローがいない」

 そう、サブローを目で探しているうちにランプの位置がずれ、ジローの代わりにキリギリスグレイの動きを止めてしまっていたのだ。

 その後、ハカイダーは、ギルのアジトの壁を突き破って戻ってくる。

 
 ギル「何の真似だ、ハカイダー?」
 ハカイダー「俺を呼んでいると聞いたのでな」
 ギル「うーむ、お前はキリギリスグレイの邪魔をしたそうだな」

 
 ハカイダー「ふっふっ、そんな話か、そんな話なら聞く必要はない」

 不遜極まるハカイダー、首領の話を途中で遮ると、

 
 ハカイダー「とぉーっ!」

 今度は天井を突き破ってアジトを出て行く。

 ギル「……」

 それを忌々しげに見送ったギルは、

 
 ギル「誰か、工務店に電話してーっ!!」

 じゃなくて、

 ギル「おのれ、ハカイダーめ!」

 しかし、ギルともあろうものが、ハカイダーに服従回路をセットしておかなかったのは、重大な手抜かりのように思える。

 それとも、悪魔回路とやらが服従回路さえも凌駕して、ギルのコントロールを受け付けなくなっているのか、あるいは、光明寺の心がいびつな形でハカイダーの行動に反映されているのかもしれない。

 一方、再び洋一の家。

 
 ミツ子「この絵をどうしてダークはあんなに欲しがるのかしら」
 洋一「コンクールに出すつもりだったんだ、でも小包で出したらきっとダークに奪われてしまう。僕の最高傑作なのに」
 マサル「洋一君、僕が持ってってあげるよ」
 洋一「君がー?」
 マサル「東京までハンペンの車で僕が運んでやる」

 と言う訳で、マサルたちは洋一の絵を持って東京へ向かうことになる。

 
 怪人「良いか、お前たち、この岩であの車をぶっ潰すんだ」

 その途中、崖の上で待ち伏せて、岩を落とそうとしているキリギリスグレイたち。

 ……

 いや、そんなどうでもいいことに時間を費やすより、さっさと市民キチガイ計画とやらを発動させた方が良いのでは?

 彼らの妨害工作はジローによって邪魔されるが、最後は遠距離からキリギリスグレイのマッドサイクルを浴びて、スバル360が止まってしまう。

 いつものことなので、ミツ子とマサルは大して怪しまず、ヒッチハイクをしようと、半平の車を降りてさっさと歩き出す。

 だが、その際、マサルは頼みの綱のデスホイッスルを落としてしまう。

 
 ミツ子「お父様はダーク基地の中で生きてる、そしてお父様の脳はハカイダーの頭の中にあるのよ」
 マサル「ジローがそう言っただけだろう」
 ミツ子「まだ信じられないの?」

 道々、ミツ子はすらりとした美脚を惜しげもなく披露しながら、ジローに対するマサルの誤解を解こうとするが、マサルは一向に聞く耳を持たない。

 ちなみにミツ子が何故そんなことを知っているのかと言うと、レビューでは省略したが、ジローがキリギリスグレイに殴り飛ばされて斜面を転がり落ちたところにミツ子が通り掛かるシーンがあって、たぶん、その際にジローから洗い浚い事情を聞かされたものと思われる。

 と、キリギリスグレイの巨大な羽根が飛んできて、彼らの頭上を掠める。

 マサル「何処だ、キリギリスグレイ、堂々と出て来い!」
 ミツ子「どうしたの、マサル?」
 マサル「ないんだ、デスホイッスルがないんだ」
 ミツ子「ええっ?」

 さっきまでの威勢は何処へやら、マサルたちはやがてあらわれたキリギリスグレイを見て慌てて逃げ出すが、

 
 マサル「あれえ、洋一君の絵にあるところだ」
 ミツ子「アンテナ、これがきっとダークの秘密基地なんだわ」

 二人はたまたま洋一が絵を描いていた場所に辿り着き、その鉄塔がダークのアジトだと見破ってしまう。

 ……

 ね? これで、キリギリスグレイが計画漏洩を阻止しようと打った手が、逆に計画の破綻を早めていることが良く分かるでしょ?

 敗北が約束されている「悪の組織」とはいえ、こういう頭の悪さを見せ付けられると、管理人、なんかムカムカしてくるのだ。

 キリギリスグレイが追いつき、羽根を飛ばしてくるが、

 
 ジロー「とあっ!」

 横から飛び出したジローが、空中でそれをキャッチして着地する。

 これは普通にカッコイイ。

 キリギリスグレイに一撃を加えてから、

 
 ジロー「マサル君」
 マサル「……」

 ジロー、デスホイッスルをマサルに渡す。

 その上で、

 
 ジロー「君が本当に僕を信じられず、お父さんの仇を討ちたいのなら好きなようにしたまえ」
 マサル「……」

 と、大胆な行動に出る。

 これは、ジローの「賭け」であった。

 
 ミツ子「ジロー!」
 ジロー「僕は随分考えた、だが、君にまで疑われて生きていたくない。バラバラにされたほうがいい」

 ジローは淡々と心境を語るが、それは紛れもない本音だったと思われる。

 特撮ではなかなかお目にかかれない、そんなハードでシリアスな人生の修羅場に、

 
 怪人「あのー、お取り込み中のところすみませんが……」

 じゃなくて、

 怪人「チョンギース」
 ミツ子「ジロー、後ろ!」

 思いっきり場違いな感じで割り込んで来たのが、存在を忘れられていたキリギリスグレイであった。

 ここも、狙ってないだけに、死ぬほど笑える「絵」になっている。

 だが、ジローは何を思ったか、キリギリスグレイには見向きもせず、

 ジロー「さあマサル君、そのデスホイッスルで」
 ミツ子「ジロー!」
 怪人「チョンギース!」

 なおもマサルの目を真っ直ぐ見詰めて語りかける。

 と、ナイフが飛んできて空気の読めないキリギリスグレイの足元に刺さる。

 無論、サブローの仕業であった。

 怪人「貴様ぁっ」
 サブロー「キカイダーの相手は俺がする」
 怪人「貴様ぁ、また邪魔する気か」

 
 サブロー「喚くな、ま、少し待て」
 怪人「おっ」

 サブロー、キリギリスグレイの攻撃をかわすと、素早くナイフを引き抜いてキリギリスグレイに突きつけ、

 サブロー「キカイダー、俺とやるかい?」

 だが、サブローがナイフをしまうと、キリギリスグレイは委細構わずジローに襲い掛かる。

 ジローもキカイダーに変身し、怪人と対峙する。

 サブロー「それで良い、キカイダー、待ってやる」

 人間態のときはそれなりに紳士的なハカイダーは、二人の戦いには手を出さず、崖の上に飛び上がって見物に回る。

 キリギリスグレイ、たちまち劣勢に追い込まれ、

 
 怪人「プロフェッサー・ギル、私にあなたのお力を!」

 いささか情けないことに、戦闘の最中に、ギルに助力を求める。

 すぐにギルの「悪魔の笛」が聞こえてくるが、既に変身済みのキカイダーには痛くも痒くもない。

 キカイダー「血迷ったか、キリギリスグレイ、そんな笛はキカイダーになった俺には効かない」

 
 怪人「ふっはははははっ、貴様、俺のスピーカーがあらゆる音を3000倍に増幅できることを忘れているぞ! チョンギース!」

 ところがギッチョン、キリギリスグレイには秘策があった。

 両胸に仕込まれたマッドスピーカーで「悪魔の笛」を増幅して、キカイダーに叩きつける。

 
 キカイダー「うっ、あっ、くっ、しまったぁ!」

 この攻撃にはさすがのキカイダーも耐えられず、頭を押さえて七転八倒してのた打ち回る。

 ギルの声「良いか、キカイダー、ダークに忠誠を誓い、立て! 立って右手を上げるのだ」
 キカイダー「……」

 ギルに命じられるまま、キカイダーは立ち上がって、ナチス党員のように右手を高々と上げる。

 ミツ子「ジロー!」
 ギルの声「それでいい、キカイダー、お前はダークの悪の戦士となったのだ、まず、サブローになっているハカイダーを殺すのだ」

 短気なギル、今度は、自分に逆らったハカイダーをキカイダーに倒させようと言う、ほとんど支離滅裂な命令を下す。

 そんなに天井に穴を開けられたのが悔しかったのだろうか?

 それにしても、つい最近作ったばかりの自慢の戦闘アンドロイドを、自らの手で始末せねばならなくなるとは、ギルもとうとう焼きが回ったようである。

 それはともかく、ギルの忠実な部下となったキカイダー、空を飛んでサブローのいるところに着地すると、激しく攻め立てる。

 サブローもハカイダーに変身し、真っ向から立ち向かう。

 
 マサル「お父さんの脳が……」
 ミツ子「あの笛よ、キリギリスグレイのスピーカーさえなんとかすれば」

 両雄の戦いを心配そうに見詰めているミツ子とマサル。

 マサルの言葉から、なんだかんだでジローの言ったことを信じていることがうかがえる。

 二人は、ものすごーく都合よくあった土砂運搬用のトロッコを押して、レールの上に立っていたキリギリスグレイにぶつけ、「悪魔の笛」を無効にする。

 正気に返ったキカイダー、ハカイダーとの戦いをやめてキリギリスグレイに追われているミツ子たちを助けに行こうとするが、ハカイダーショットに狙われて動きが取れない。

 と、ここでタイミングよくハカイダーの血液交換タイムが来たので、ハカイダーはやむなく引き揚げる。

 でも、考えたら、ハカイダーは一定時間ごとに光明寺の血液を輸血しなければならないと言うハンディを背負っているのだから、ギル、すなわちダークに背くことはあまり賢明なこととは思えない。

 ギルにしても、ハカイダーを抹殺したいのなら、血液交換を妨害するか、交換中に殺せば良いのだから、どうにもピントがずれている。

 

 
 ミツ子「早く!」

 
 一方、キリギリスグレイから必死で逃げるミツ子、ここで久しぶりのチラを披露するが、スカートの中に微かにベージュ色の布が見えるか見えないか……と言う程度のもので、管理人がひとりで設立した日本パンチラ協会からの認定は貰えなかった。

 
 怪人「はははは、もう逃げられん、小僧、その絵を渡すんだ!」

 この期に及んで、洋一の絵を奪取しようとするキリギリスグレイ。

 既にミツ子やマサル、ひいてはジローにもアンテナを見られているというのに、まだ洋一の絵にこだわるあたり、サブローの「命令どおり動く低脳ロボット」と言う評価もあながち不当ではなかったことが分かる。

 要するに、ギルの命令を墨守するだけで、自分で物事を判断し、臨機応変に対処することができないのだ。

 この後、キカイダーとキリギリスグレイの決戦となるが、

 
 キリギリスグレイ、何故かマッドサイクル+「悪魔の笛」の複合技を使おうとせず、まともにキカイダーと殴り合い、最後は皮肉にも、アンテナの真ん前で爆死する。

 一応、これは、アンテナもその爆発に巻き込まれて破壊され、市民キチガイ計画も頓挫したことを意味しているのだろうか?

 終わってみれば、ヒーローサイドが悪の計画の内容を知らぬまま計画を叩き潰すという、珍しいパターンであった。

 ラスト、ジローは再びマサルにデスホイッスルを渡して、自分の運命をマサルに委ねる。

 マサル、激しい葛藤の末、デスホイッスルを地面に叩きつけ、

 
 マサル「ジロー! ジロー!」

 泣きながら、ジローの体にしがみつくのだった。

 ミツ子「マサル、ジローを信じてくれるのね」
 マサル「ジロー!」

 二人の和解をミツ子は涙を流して喜び、

 
 ジロー「……」

 ジローも、涙こそ見せなかったが、強い感動をその面に刻んでいた。
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コメント

高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に

ギルの思考経路は恐らく
「良心回路の能力を上回りキカイダーのコントロールに成功した」
⇒「キカイダーはコントロール可能なので今となってはコントロール出来ないハカイダーの方が邪魔」
といったところでしょうか

ところでダークロボットの行動が無茶苦茶な理由がなんとなく想像付きました
恐らく命令の優先付けが緩いため、複数の命令をすると状況に応じて容易に優先順位が入れ替わってしまうのだと思われます
例えば第一命令の優先度が3、第二が2、第三が1となっている時に、「今なら命令を完遂できる(優先度+3)」という要素が入ると優先順位がひっくり返って最早どうでもよい第三命令を実行しようとする訳です

多分思考回路の基礎部分が作られたのはダークロボットに勝てる者がいない時代、つまり命令が「第一命令:○○を実行せよ」「第二命令:第一命令の障害になる者は排除せよ」で十分だった頃なんだろうと思います
キカイダーの登場で前提が崩れたけど根本的な設計変更が出来ないままズルズルとここまで来ちゃったんではないでしょうか

血液交換ねぇ…

原作は一通り読みましたが、こんな設定無かったですね。
勿論、アニメ(ちなみに飯塚氏は光明寺博士役)でも。

仮面ライダーとの差別化

仮面ライダー
レーシングクラブなどの「定点」で、立花・滝・ガールズたち「仲間」との触れ合い

キカイダー
博士を探して旅する「ロードムービー」で、ジロー・ミツ子・マサルの「家族」の絆

支離滅裂

どうもギルのやってることは一言で言うと“支離滅裂”に尽きますね😅これまで“打倒キカイダー”と言い続けたのに、今度は自ら開発したハカイダーを始末しようとは?ギルの思考についていけないですね😖

濃い×濃い

>飯塚昭三さん(ハカイダー)と渡部猛さん(キリギリスグレイ)と言う、昭和特撮の二大コワモテ声優の夢の競演が実現する。
デスゼロウ将軍とワーラー、ダロムと創世王 は台詞のやり取りがありませんでしたね。
メジャーではヘルサターン総統とイナズマギンガーですね。
お二人とも吉川P作で重宝されていた印象。

Re: 高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に

> ⇒「キカイダーはコントロール可能なので今となってはコントロール出来ないハカイダーの方が邪魔」
> といったところでしょうか

なるほど、いかにもギルらしい発想ですね。

Re: 血液交換ねぇ…

自分は原作読んだことないので分かりませんが……

Re: 仮面ライダーとの差別化

差別化が成功した例ですよね。

「嵐」は差別化し過ぎたのか。

Re: 支離滅裂

ほんとに狂いつつあるのかもしれませんね。

Re: 濃い×濃い

ま、ほんとは結構共演されてるんですけどね。

>光明寺の心がいびつな形でハカイダーの行動に反映されているのかもしれない。

石ノ森先生の漫画版ではそこをギルに見透かされます。
しかし、漫画版の最終回を小学生の時に読んだのはマズかった・・・
今でも一日一回は思い出すトラウマ最終回の極み。

Re: >光明寺の心がいびつな形でハカイダーの行動に反映されているのかもしれない。

自分は原作を全然読んでないのに、こんなレビューなんか書いていいのだろうかと悩みます。

お気になさらずに

「漫画版」であって「原作」ではないのでお気になさらないでください。
石ノ森先生自身が「別物。描き分け」と仰っていますし。

Re: お気になさらずに

返信ありがとうございます。

正直、いまだにその辺の関係が良く分かりません。

協業×メディアミックス

元は、石ノ森先生が強く推した自身の「スカルマン」を東映の渡辺亮徳氏が却下

東映=売れっ子漫画家「石森章太郎」のネームバリューが欲しい(だからタイトル後に出る)
石森プロ=折半でも安定した版権収入が欲しい(虫プロみたいに倒産なんてしたくない)

という両社の思惑が一致し、「漫画原作の映像化」ではなく

石森プロ=キャラクターデザインや基本設定、コミカライズなど
東映=番組制作 という「協業」体制が敷かれました。

石森プロは出版社に力を持ち、「仮面ライダー」の為に講談社が「TVマガジン」を創刊
また、高視聴率で東映が映画化、映画の告知を「TVマガジン」でする
(当時、僕はこれでワクワクしていました)
という「メディアミックス」(当時はそんな言葉はなかった)が行われていた・・・のです。

あと、石ノ森先生が述べているように、自作のアニメ化に消極的だったことで
実写の方に力を入れた(ここが手塚治虫先生と真逆)。
石ノ森先生が執筆したのはごく一部で、「映像では描けない」のを書いたワケです
(世界各国を旅した「仮面ライダーblack」がその典型)。

Re: 協業×メディアミックス

大変分かりやすい解説ありがとうございます。

これでは、どっちが管理人か分かりませんね(笑)

アニメや特撮の方が…

マサルを独立した個性として扱っているでしょうか。

そもそも「キカイダー」で二代目主役イチローの方が兄貴なのは
ジローが典型的弟属性の主人公だった事に起因します。
石ノ森氏が自身の経験からヒロインを姉属性で描きたがる事が大元の原因らしく、
(「平成版009」でもジョーよりフランソワーズが一つ上)
つまり漫画ではマサルはミツコの姉属性アイテム以上でも以下で無い存在!

おかげで漫画のミツコって結構、酷い。
自分達が仲良くなった熊ロボットとジローが仕方なく戦うと
「どうして壊したりするのよ!」と一方的に詰るんです。
ジローはやさぐれて(一時的ですが)海外出奔してしまいました…マジで。
アニメでは仲良しになったのはマサル一人で「ジロー兄ちゃんのバカバカ」と
泣き喚いた程度。ミツコもジロー寄りな態度で黙っていただけ。

血液交換はアニメ再見するとありました。
メンテシーンでサラッと描く程度だったので。

三つ巴

どうも今回はキカイダーVSハカイダーVS怪人(チョンギース)の三つ巴のような展開でしたね😅ギルも完全にイカれて先行きに暗雲が垂れ込めていましたな

Re: アニメや特撮の方が…

解説ありがとうございます。漫画版は読んだことがないので勉強になります。

Re: 三つ巴

そろそろダークも終わりですからね。

今回の怪人

今回の怪人(キリギリスグレイ)は存在感が余りないようですね😅初っ端から洋一少年に身動き出来なくなるスイッチを押されるわハカイダーに邪魔されるわキカイダー達からは無視されるわ必殺技を使わずにキカイダーに始末されるわでどうも不運なシーンが多かったようですね😑

Re: 今回の怪人

実力はありそうですけどね。

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