第20話「お化け!? 謎の蛇人間あらわる!!」(1974年6月29日)
生朗ちゃんの18話、19話に続き、真打ち登場と言う感じで島田真之閣下のお出ましじゃい!!
読者のみんなもフンドシを締め直して読んでくれい!!

冒頭、シリーズではお馴染みの、段々状に無数のお地蔵様(?)が並ぶ、無国籍風の広大な霊園。
その中にある首のないお地蔵様の上を、大きな蛇がのたくっていると言う、この滑り出しのビジュアル
だけは良かったのだが……
続いて、濃い霧をまとった鬱蒼とした森からそそり立つ、かなりの高さのある石塔。
実際はただの供養塔らしいが、劇中では、塔の下に大きな建物が広がっており、コウモリや蛇、トカゲ、ワニ、亀、サソリなど、主に女子が嫌がりそうな爬虫類などが無数に飼育されていることになっている。
その中を、黒いマントに白髪頭の、グリム童話に出てきそうな老婆が、作業着を来た若い男の体を引き摺って歩いてくると、

蛇のいるエリアの中に、男の体を投げ入れる。
老婆「蛇に食われろ、ひっひっひっひっ」

意識のない男性の体の上で、大小さまざまの蛇がぬらぬらした肌を光らせつつ、肉のバネのように蠢く不気味なシーン。
俳優さんは大変だったろうが、見ているほうはちっとも楽しくない。
これが恐怖におののくミニスカ美少女だったら、どんなに素晴らしいシーンになっていたことか……
続いて、場所も、この作業着の男性との関係も全く不明な若い男の部屋に、カメラが飛ぶ。
もう、この時点で支離滅裂である。

男「おっ、どっから入ったんだろう?」
一見、滝かと思いきや、全然違う人だった男性、鏡の割れる音に気付いて部屋の中を見回すと、いつの間にか蛇が一匹入り込んでいるではないか。

が、別にその蛇が怪人に化けるとかじゃなく、空中から今回の怪人サラマンドラがあらわれ、男性に襲い掛かる。
紫色の長い毛を持つ、夏場にはあまり会いたくない怪人サラマンドラ。
なお、最初に鏡が割れたのは、一応後の伏線にはなっているのだが、現場検証に来た敬介がそれを見る訳じゃないので、ほとんど意味のない描写なのが悲しい。
続いて、夜道をジープで走っていたおやっさんの前に、その男がふらふらとあらわれたので、思わず急ブレーキをかける。
立花「危ないじゃないか……おい、君、どうしたんだ?」
おやっさんが車から降りて、酔っ払いのようにふらふらしている男性に話し掛けるが、男性は両手を振り回しておやっさんを殴り飛ばす。

怪人「ヒャアアアアーッ!」
と、その横にサラマンドラが出現、威嚇するように叫ぶと、

怪人「……」
男の体を背中に抱え、

そのまま姿を消してしまう。
立花「そんだけかいっっっっっ!!」 その意表を突く行動に、おやっさんも思わず渾身のツッコミを入れるが、嘘である。
いやぁ、この脱力感、さすが島田さんと言う感じで、ちょっと余人には真似の出来ない味である。
それにしても、サラマンドラだっておやっさんの顔くらいは知ってるだろうに、なんでついでにおやっさんも攫おうとしなかったのだろう?
勝てないと思ったのかな?
ところで管理人、既にやる気がなくなってしまったが、つらいことにまだまだ話は始まったばかりなのである!!
誰か助けて!!

翌日、カメラを構えた本田と言う男と、その友人で黄色いシャツを着て木刀を持った青年とが、いかにも恐る恐ると言う感じでその霊園にやってくる。
本田「そうびくつくなって、俺たちはこの墓地に幽霊が出るって言うから、正体を確かめに来たんじゃないか。そうだろう」
青年「う、うん」
と、墓石の隙間から一匹の蛇が出てきたのを見て、
青年「へ、蛇だよ、おい!」
本田「お前は先に帰ってもいいよ、だが俺はうちで待ってるタカシとの約束があるからな。幽霊をカメラに収めてくるってな」
青年「お、おい……ちぇっ、嫌な弟さんだな、もう」
青年はすぐにでも帰りたい様子であったが、ぶつぶつ言いながら本田についていく。
この二人の青年のコミカルな面をもっと強調していれば、もう少し見られるドラマになったのではないかと思うが、この後、全く生かされることはなかった。
島田アニキィッッッ!!
一方、喫茶店コル。
敬介「おやじさん!」
立花「おお、なんか分かったか?」
いつものように敬介が喫茶店に駆け込むのだが、いつもと構図が違う。
一瞬、改装したのかと思ったら、敬介、入り口じゃなくて、トイレから出て来てるんだよね。
ってことは、トイレの中で踏ん張りながら、考え事をしていたのだろうか?
それはともかく、
敬介「ええ、あの人は相当なスポーツマンって言うことです。
いかにもGODが狙いそうな相手ですね」
そうなの? GODってそんな趣味があったの?

立花「くそう、あの幽霊化け物め」
敬介「しかし、これではっきりしましたね、三ヶ月前から起こっている謎の蒸発事件がGODの仕業であることが」
力道山のようなポーズを取りながら、そう断定する敬介。
しかし、三ヶ月前から起きているのに、今までGODの仕業だと分からなかったって、敬介にしてはあまりに鈍い気もする。
続いて、いくつものバツ印が付けられた地図をおやっさんに示し、

敬介「東京郊外のここで今、幽霊騒ぎが起こってます。近所の人たちは幽霊を恐れて一歩たりともこの霊園に踏み込めないと言われています」
立花(子供かっ!!) ……と言うのは嘘だが、あれ、前回も似たような嘘ツッコミを言わせた気がするなぁ。
つーか、今回は蛇人間の話じゃありませんでしたっけ?
まあ、幽霊が出ちゃいけないことはないが、肝心のその幽霊の映像が全く出て来ないのはいかにも物足りない。
敬介「臭いと思いませんか、オヤジさん? この科学の発達してる現代だってのに」
立花「GODの秘密基地か」
店を出ようとする敬介に、
マコ「敬介さん、コーヒー飲みますか?」
敬介「いや、いいんだ」
チコ「だって用意したのよ」

だが、二人が一瞬目を離した隙に、敬介の姿は忽然と消えていた。

マコ「まるで幽霊みたい」
チコ「うーん」
でも、ドアを押せば鐘が鳴るんだから、いくら素早くても、音も出さずに店を出るのは物理的に不可能なのでは?
今回も、見所はチコとマコの美貌だけかなぁと思った管理人だったが、残念なことに、二人の出番はこのシーンだけ。
ちくしょう。
この後、本田とその友人がサラマンドラに襲われ、一人だけ助かった青年は例の石塔のある建物に駆け込み、老婆に助けを求める。
老婆によると、別の誰かが助けを求めて逃げ込んでいると聞かされ、そこに案内してもらうが、

老婆「あ、あちらです」
青年「あ、ほ、本田、お前生きてたのか?」
後ろ姿から、てっきり本田だと思ってその背中に飛びつくが、
青年「すいません、人違いでしたーっ!」 じゃなくて、
青年「ヒヤアアアアーッ!」
それが骸骨だったので、青年は脱兎のごとく逃げ出す。
いやー、書いててちっとも面白くない。
不思議なのは、老婆が青年を捕まえようとせず、みすみす建物の外へ行かせてしまうことである。
一方で、本田はきっちり捕まえているのだから、一貫性に欠けること甚だしい。
その老婆に、いかにもやる気なさそうに総司令が話しかける。
総司令「サラマンドラよ、
どうでもいいけど、お前の血液を人間どもに注入しGODの意のままに動く蛇人間を作る人体実験はどうなっているのだ?」
老婆「実験はほぼ成功しました」
総司令「よろしい、蛇人間はその牙の猛毒で人間を蛇人間に出来る筈だ、今に日本中のものが蛇人間になる」
やる気なさそうなのも道理、実は後になって気付いたのだが、これが総司令の声(阪脩)の最後の出演だったのである。
しかし、最後の台詞が「蛇人間になる」って……
それはさておき、ここで、サラマンドラがワニやトカゲにエサをやったり、ビクビクしながらサソリを掌に乗せて可愛がったりする、心底どうでもいいシーンとなる。

そして、建物の地下には牢獄があり、既に蛇人間にされた人間たちが押し込められ、互いにいがみ合っていた。
そこに連れてこられた本田も、サラマンドラに首筋を噛まれ、たちまち蛇人間にされてしまう。

青年「ああ、悪魔だ、ここには悪魔が住んでる、怖い、助けてくれっ!」
一方、なんとか逃げ延びた青年だが、あまりの恐怖にパニック状態となり、タンカで運ばれていた。
しかし、この運んでいるおっちゃんたちは、何処から湧いたのだろう?
ちょうどそこへ駆けつけた敬介は、青年の様子を見て、
敬介(完全に恐怖で狂ってる……) と、心の中でつぶやくのだが、確かに極度に怯えてはいるけど、「狂ってる」と言う表現は、なんか違和感がある。
そこへ、本田の妹……だったら良かったのだが、残念、弟のタカシが駆けつけ、
タカシ「勝村さん、兄ちゃんは? 兄ちゃんはどうしたんだ?」
勝村「怖い~」
タカシの台詞で、青年の名前が勝村だと分かるが、管理人、最初見たときから勝村政信さんに似てるなぁと思っていたので、思わず吹いたことであった(詠嘆)
タカシは、大人たちが止めるのも聞かずに塔に向かって走り出すが、

敬介「行ってはいけない!」
タカシ「誰だ?」
敬介「俺の名は神敬介、Xライダーの友達だ」
タカシ「Xライダーの?」
敬介「君の兄さんは必ずXライダーが助けてくれる。だから危険な真似はよして帰るんだ。俺を信じろ、いいな?」
タカシ「……」
タカシ、仁王立ちした敬介に止められ、諭されると、険しい顔で頷いて、ほんとに帰っちゃうのである!!
これ、長坂さんとかのシナリオだったら、絶対言うこと聞かないでひとりで行っちゃうよね。
もっとも、タカシが帰ろうとすると周囲からサラマンドラと戦闘員とあらわれ、敬介はタカシの見ていないところでXライダーに変身し、サラマンドラたちと激闘する。
戦いの途中、サラマンドラは足元に落ちていた車のサイドミラー(?)を見て、
怪人「鏡だ~っ」
と、大変分かりやすい台詞を吐いて苦しみ出す。
そう、サラマンドラの弱点は鏡で、滝似の若者を襲ったときにまず鏡を割ったのは、その為だったのだ。
ライダー、果敢にサラマンドラを攻め立てるが、そこをいきなりアポロガイストがアポロマグナムを撃ってきて、敵味方とも爆発に巻き込まれ、ライダーは崖から転落してしまう。
タカシ「あっ、Xライダーが死んだ」
ちなみに、特に画像は貼らないが、タカシを演じるのは前年の「快傑ライオン丸」で、沙織さんのパンチラを間近で見ていた大変羨ましい小助を演じていた梅地徳彦さんである。

怪人「ぬわーっ、アポロガイスト、Xライダーだけではなく、俺までも殺そうというのか」
さて、危うく殺されかかったサラマンドラは当然、アポロガイストに食って掛かるが、アポやんは平然と、
アポロガイスト「俺はXライダーさえ殺せば良いのだ!」
怪人「なにぃ?」
アポロガイスト「まあ怒るな、俺の目的はただ一つ、Xライダーを倒すこと、Xライダーの死体を探して来い! あいつの体を姿も形もないほど切り刻んでやる!」
アポロガイスト、適当に怪人をなだめると、死体の捜索を命じる。
タカシ「Xライダーが、兄ちゃんを助けてくれるはずのXライダーが死んだ……」
CM後、

勿論、敬介は生きていた。
崖の下で、自分で足に包帯(どこにあったんだ?)を巻くと、
敬介「恐るべき怪人サラマンドラ……だが奴は何故あの時突然苦しがったのだ?」
敬介のつぶやきに合わせて、さっきのシーンが繰り返されるのだが、
怪人「鏡だぁ~っ!」
ご丁寧に怪人が大声で叫んでいるので、謎を解く楽しみと言うのがカケラもないのである!
島田アニキィッッッ!!
敬介「分かったぞ、奴の弱点は鏡だ。弱点が分かればこっちのものだ。オートバイのバックミラーだ」
ただ、なんでサラマンドラが鏡を怖がるのか、その説明が
全くないのが、いかにも島田さんらしい。
この後、色々あって、タカシは勇敢にもひとりで霊園に乗り込み、例の石塔に辿り着くが、老婆に騙されて、危険な爬虫類が放し飼いにされている中に誘導される。

クソでかいトカゲを前に、竦み立つタカシ。
まあ、大人しい性格のトカゲなんだろうが、子役にそんなことをさせるとは、今ではまずありえない撮影である。
タカシ、散々肝を冷やしつつ、なんとか地下室に降りるが、そこにいた兄は完全に理性を失っており、ほかの蛇人間たちと一緒にタカシに襲い掛かってくる。
そこへライダーが飛び込んできて、タカシを助け、建物の外へ出る。
蛇人間たちはなおも二人に向かってくるが、

女性「わうっ!」
紅一点の女蛇人間さんが、ちょっと恥ずかしそうにカメラに向かって威嚇するのが、ちょっと可愛いと思いました。
蛇人間たちは、何故かサラマンドラと同じ弱点を持っていて、庭園の池に映った自分たちの姿を見て、

本田「あっ、水鏡、苦しいー、助けてくれーっ!」
思いっきり人語を喋りながら悶え苦しむ。
しかし、この顔……「ジャンボーグA」の瀬戸山功さんのフィルモグラフィーの中でも、最低に情けない顔だろなぁ。
この後、やっとラス殺陣となる。
特に書くことはないのだが、

怪人「オオトカゲよ、Xライダーを食い殺せ!」
戦いの途中、ライダーが自分の体ほどもあるオオトカゲを抱きかかえるが、サラマンドラの殺伐とした掛け声とは裏腹に、されるがままになっているオオトカゲのとぼけた顔がちょっと可愛いと思いました。
他にもかなり大きな蛇とじゃれあったり、スーツアクターさんにしても、きつい仕事だったのではないかと思います。
で、最後の盛り上がりは、バイクのバックミラーを壊されたライダーが、どうやって鏡を手に入れるかと言うことになるのだが、タカシが持っていた鏡を投げるとか、ヘルメットの光沢にサラマンドラの姿を映すとか、そう言う常套的な手段は使わず、
たまたま足元に落ちていた鏡の破片で撃退するというのが、島田さんならではの秀逸な着想であった。

あと、倒されたサラマンドラが爆発せず、白骨死体になるのがちょっと珍しい。
まあ、どうでもいいんだけどね……
サラマンドラの死と共に、本田たちも元の姿に戻り、めでたし、めでたし。
そういや、アポロガイスト、何処行ったんだろう?
以上、支離滅裂なストーリー、無味乾燥の会話、全然生かされない設定と、三拍子揃った、いかにも島田さんらしい面白くもなんともないシナリオであった。
「V3」の17話&18話や、「キカイダー」の34話など、73年にはなかなか優れた作品を書いていた島田さんだが、74年になって、また元に戻ってしまったような感じで、とても残念である。
そう言えば、GODがスポーツマンを狙ったというのも、終わってみれば、全然意味なかったし……
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