第4話「男と男の誓い」(1974年5月3日)
前回の続きから、あえなくツルク星人にぶっ飛ばされ、海底に泡と没して敗退したレオ。
戦いを見守っていたトオルは、

トオル「カオル、父さんを殺したのはあいつなんだ」
カオル「じゃあウルトラマンレオじゃなかったのね」
と、妹に説明しているのだが、連続通り魔事件の犯人がレオだなんて、トオルも含めて誰も言ってないので、思いっきり台詞が空振りしている。
ま、一応、父親を殺された直後、トオルが憎しみを込めてレオの顔が彫られた鉱石を踏みにじっていたが、それっきりだったもんね。
ツルク星人はなおも好き放題に暴れていたが、

ダン「むざむざ負けてなるものか、見てろ」
唯一健在だったダンの戦闘機が、勇敢にも真っ向から突っ込んで行く。
と、同時に「セブン」の主題歌が流れ出すのが、特撮ファン的にはなかなか燃えるシーンとなっている……のだが、番組の主役であるレオの情けなさがますます目立ってしまう効果を生んでいるので、ここは何もせずにツルク星人が(エネルギーが尽きて)引き揚げる……と言う展開のほうが良かったかもしれない。
しかし考えたら、どっちも同じ宇宙人なのに、ウルトラ戦士にだけ活動限界が設定されてるのって、不合理じゃないか?
ともあれ、さすが歴戦の勇士である。

正面からミサイルを叩き込んでから、送電鉄塔のあるところまでツルク星人をおびきよせ、その高圧電流によってショックを与え、なんとか撃退することに成功する。
その後、隊員たち、および百子さんやトオルたちが、海辺で懸命にゲンの行方を探している。
……
いや、今回、MAC隊員としての仕事は一切していないゲンを、なんでそんな場所で探さねばならないのか?
表面的には、ゲンは雑木林での訓練中にいなくなったのだから、フツーは特訓がいやになって脱走したと見るのが自然だよね。
しかるに、これでは、まるで百子たちがゲン=レオであることを知ってるみたいではないか。

しかも、唯一それを知っているダンは、既にゲンのことは諦めたかのように、ただ沈み行く夕陽を見詰めていたが、「定時なんで帰ります」と言ってとっとと帰って行くのだった。
どうでもいいが、ダンって何処に住んでるんだろう?
MACステーションに独身者用の居住区があって、そこに寝泊りしてるのかな?
ちなみにダンがとぼとぼ帰って行く後ろ姿の映像が、中途半端な加工を施された上、実に三回も繰り返されるという、全く意味不明の演出がされていて、まるでこの番組の迷走ぶりを暗示しているかのようであった。
薄情な上司や同僚と違い、損得抜きでゲンのことを心配している猛たちは、深夜になっても懐中電灯の明かりを頼りに捜索を続けていた。

カオル「お姉ちゃん、私もう歩けない」
百子「しっかりして」
猛「もう3時だ」
疲れ果て、思わずその場にしゃがみこむカオルを百子がなおも励ますが、常識ある大人なら、子供たちは夜になる前にスポーツセンターなり百子さんのマンションなりに帰してやってる筈で、百子たちの態度にも疑問符が浮かぶのであった。
下手すりゃ、子供たちが海に落っこちかねない状況だもんね。
それはそれとして、百子さんの足の細いこと!!
子供のカオルとそんなに差がないほどだから、やっぱり痩せ過ぎだよね。
猛が捜索を打ち切ろうと言い出すが、
トオル「いやだ、僕は帰らない。オオトリさんは生きてるかもしれないじゃないか」
猛「僕だってそう思いたい。しかしな!!」
トオル「僕の周りの人がみんないなくなるなんて、僕は、僕は……」
最愛の父に続いて、兄のような存在であったゲンまで失ってしまうのかと、トオルは涙をぽとぽと落として言葉を途切れさせる。
それにしても、
「僕の周りの人がみんないなくなる」と言う台詞が、後の、路線変更に伴うメガデス(大量死)を予言しているようで、なんとなく不気味である。
猛「もう一度だけ探してみよう」
猛もトオルの涙に負けて、捜索を続行する。
で、その甲斐あって、ゲンは奇跡的に発見されたらしいのだが、その具体的な状況が映像でも台詞でも全く説明されないのは、イライラを通り越して怒りさえ覚えるほどである。
百子たちがとにかくゲンの体を温めようとしていることから、浜辺に打ち上げられているところを救出されたのだろうが……
話が前後したが、MACステーションに戻り、在りし日のゲンの暑苦しい笑顔などを思い浮かべ、ほとんど絶望しかけていたダンの元に、ゲンが生還したとの知らせが届く。
続いて、夜が明けようとしている高層ビル群の前を、ダンが杖をついて歩いてスポーツセンターに向かっているシーンとなる。
……車で行けよ。
んで、なんか少し前にも見たような気がするが、百子たちはゲンをスポーツセンターの彼の部屋に運び込み、ベッドに寝かせて手厚い看護を行う。
……病院に連れて行けよ。

それはともかく、その看護方法、頭に包帯巻いて氷嚢を載せる一方、体を擦ったり湯たんぽで温めたりしているところに、百子さんが砂糖水か何かを口にぶちこむという、いささかやり過ぎの感がしなくもない。
にしても、2週連続でヒロインから看護を受けるヒーローと言うのは、さすがにちと情けない。
百子さんは性格良し子だから、全然そんなことを気にしている様子がないのが救いである。
だが、ゲンには静かに療養することさえ許されず、

ゲン「隊長……」
意識朦朧となりながら、ゲンの耳は、どんなに離れていても猟師の足音を聞き逃さない野生の狼のように、遠くから近付いてくるダンの杖の音をキャッチしていた。

百子「オオトリさん?」
ゲン「隊長だ」
カオル「隊長さんはまだよ」
ゲン「ほら、聞こえるじゃないか」
などとやってると、ドアが開いてダンが飛び込んでくる。
ゲンの無事な姿を見て、ダンの胸には喜びと安堵が高波となって押し寄せてくるが、ダンは鉄の自制心でそれを抑え、

ダン「ゲン、私と一緒にくるんだ」
挨拶抜きでいきなり呼びかける。

百子「隊長さん、オオトリさんはまだ無理です。もうしばらくの間……
ダン「いや、だいじょぶです」 ゲン(隊長、それ、僕が言う台詞なんですけどっ!!) 百子さんのみならず、トオルたちもダンに抗議の声を上げるが、

ダン「……」
ゲン(あ、この人、ガチだ……) その尋常でない目付きから、やっとダンがどんな人間が悟ったゲンは、下手に逆らうと百子さんたちまで危ないと見て、ズタボロの体でベッドから起き上がり、ダンについていくのだった。
……
じゃあ、今まで瀕死の状態で唸っていたのは何なんだってことになるよね?
ひょっとして、レベル98くらいの仮病?
ともあれ、二人が向かったのは、画面4つぐらい使わないと撮れない高さの滝であった。

ダン「何故変身した?」

ゲン「……」
これからナニをさせられるか、大体読めちゃったので、魂が半分抜けて、問答どころではないゲン。
……と言うのは嘘だが、真夏さん自身は、まさにそんな心境だったのではあるまいか。
そう、以前にも紹介したBS番組で、

真夏「3月に滝」
と、一言で回想されていた、あの有名な特訓シーンがこれから始まるのである。
ダン「何故変身したと聞いてるんだ」
ゲン「MACが全滅しそうだったんですよ」
ダン「余計なことを言うなっ!!」
ゲン(えっ、ええっ~? 聞かれたから答えたのにぃ~) ダンの理不尽大王ぶりに困惑を隠せないゲンであった。
実際、このやりとりはわやくちゃである。
せめて、
ダン「何故変身したと聞いてるんだ」
ゲン「MACが全滅しそうだったんですよ」
ダン「余計なことをするな!!」
なら、分かるんだけどね。

ダン「星人はもうすぐ戻ってくる、今度は電気ショックなど通用しないだろう。この貴重な時間をお前は無駄に過ごしてしまったんだ。
何かと言えばウルトラマンレオに変身するお前の心を許せない」
ゲン「……」
なおも、ねちねちゲンを叱り、あまつさえ、巨大変身ヒーローの存在意義を否定するようなことまで言い出し、これでは特訓の前にゲンの心が折れてしまわないかと心配になる。
ダン「変身する前に必要なことをお前は忘れている」
ゲン「変身する前にすること? おしっこですね?」
ダン「そうだ!!」
じゃなくて(註・間違ったことは言ってない)、
ダン「技の完成だ!! この滝の水を斬れ」
ゲン「えっ、無理です」
ダン「無理です、じゃなくて斬るんだ!!」
ゲン「いや、だから物理的に無理です」
ダン「無理でも良いから斬るんだーっ!!」 途中から嘘だが、ダンなら言い兼ねない台詞ではある。
ダン「この滝の水を斬れ」
ゲン「えっ、この水を?」
ダン「やるんだ、お前なら出来る。この水を奴の手刀だと思え」
と、ここでまたしてもツルク星人出現の知らせが入る。
精勤やねえ。

ダン「いいか、どんなことがあってもその技を覚えるまで来るな」
ゲン「MACは?」
ダン「余計なことは考えるな!! 早く練習しろ」
ゲン「はい」
覚悟を決めてまだ寒い3月の滝壺の中に足を踏み入れるゲンであった。
しかし、まあ、意味不明の特訓だよね。
第一、前回まで言っていた三段攻撃と、全然関係ないじゃないか。
こんなカンフー映画に感化された中学生みたいな特訓より、

同BS番組で熱唱されていた水木アニキの「スカイライダー」でも聞いたほうが、よっぽど力が湧いてくると思うんだけどね。
今回、ストーリーはダメだが、

ツルク星人が巨大なビルをスカッと両断するシーンや、

走行中の電車を叩き潰すミニチュアワークと、逃げ惑う人たちの映像を合成したショットなど、ビジュアル的には頑張っている。
と、ここで、ツルク星人を親のカタキだと憎んでいるトオルがあらわれ、星人に向かって行こうとして猛に止められるのだが、それにあわせて、ツルク星人が体内に溜まった電気を骨組みだけとなったビルに流し、その高熱で鉄骨を飴の様に溶かしてしまう特撮が映し出されるので、てっきりトオルがその鉄骨の下敷きにでもなるのかと思ったのだが、全然そんなことはなく、思わず膝カックンとなる管理人であった。

とりあえず、念力集中すればブラのラインが見えそうな百子さんの画像を貼っておこう。

ゲン「えい、やーっ、であーっ!!」
一方、隊長の言いつけを守り、ひたすら滝を斬る訓練に励んでいるゲン。
ひょっとして、ダンの命令を逆手にとって、今後もずーっと「技が完成しないので現場には行きません」とサボるつもりなのではあるまいな?
さて、逃げ遅れたトオルと猛に気付いた機上のダンは、

ダン「あっ、二人が危ない」
またしても「ウルトラ念力」を発動させる。
ナレ「トオルと猛のピンチを見て、最後の切り札『ウルトラ念力』の体勢に入った」
と、ナレーターが解説するのだが、こうしょっちゅう使っていては、「最後の切り札」と言う謳い文句もありがたみがなくなると言うものだ。
つーか、怪獣を足止めする武器くらい持ってないの?
それはともかく、今回も「ウルトラ念力」の作用は、初代ウルトラマンが使っていたものと同じようなものとして描かれている。
ぶぅうううーんと言う、特有の効果音と共に、画面全体が赤く染まり、

催眠状態にあるように棒立ちになっていたツルク星人の体が、目に見えないカプセルのようなものに包まれてふわりと宙に持ち上げられる……
滝壺で特訓を続けるゲンであったが、
ゲン「えいっ、やーっ!! ……って、こんなことできるわけねえだろっ!!」 とうとうそのことに気付いてしまう。
じゃなくて、
ゲン「えいっ、やーっ!! ……できなぁああいっ!!」 思わず全力で弱音を吐いてしまう。
ゲン「俺には出来ない、ちくしょおおおっ!!」
自分の両手を見詰めて絶叫していると、背後からダンの杖が飛んでくる。
ゲン、空中で杖をキャッチして、岩の上に着地する。

ゲン「隊長!!」
見上げれば、死人のような顔色をしたダンが岩壁にもたれるようにして立っていた。
ダン「その顔はなんだ? その目はなんだ? その涙はなんだーっ?」 戸惑うゲンに対し、またしてもダンの理不尽砲が炸裂するが、ここで流れる音楽が、緊迫したシーンにそぐわない、ほのぼのしたバラード調のBGMなのが相当変である。
こればっかりは実際に聞いてもらわないと分からないが。
疲労困憊のダン、思わずその場に倒れ込み、助けようとするゲンの手を邪険に押し戻すと、なんとか自力で立ち上がる。
つーか、そんな状態でよくこんな山の中まで来れたな。

ゲン「隊長、また、ウルトラ念力を?」
ダン「うるさぁあいっ!!」
ゲン「あれを使うと命が縮むんでしょ?
どんどん使ってください!!」
じゃなくて、
ゲン「あれを使うと命が縮むんでしょ? やめてくださいっ!!」
ダン「バカヤローッ!!」 自分のことを気遣う部下を、思いっきり張り倒す隊長。
もう、めちゃくちゃ。
ダン「人のことなどどうでもいい、お前は何故俺の言われたことをやらん?」
ゲン「……」
人の邪魔しておいて、その言い草はないだろうと思うゲンであったが、口答えは許されない。
ゲン「僕には出来ない」
ダン「お前がやらずに誰がやる? お前の涙で奴が倒せるか、地球が救えるか?」
ゲン「……」
ダン「みんな必死で生きているのに、挫ける自分を恥ずかしいと思わんか?」
ゲン「く、く……」
ダン「81」 出た、熱血教師48の説得術のひとつ、「みんな頑張ってるのに~お前は」論法!!
同系統の技に、「苦しいのはお前だけじゃない」もある。
でもねえ、「それはそれ、これはこれ」だと思うんだけどねえ。
あと、「みんな」って言うけど、実際は、テキトーに生きてる奴のほうが多いと思うんだ。
かく言う管理人も、かなりテキトーに生きてます。
無論、そんな反論をしたら、問答無用で滝壺に放り込まれるのが分かっているので、ゲンは黙って耐えている。
ダン「もう一度やるんだ」
ゲン、逃げ道はないと腹を決め、再び滝壺に立つ。
……
今更だけど、ウルトラ戦士だったら、格闘技じゃなくてビーム技とか開発すればいいのに。
あと、なんでわざわざ敵の得意な土俵で戦おうとするのか?
これが武術大会なら分かるけど、彼らが行うのはルール無用の殺し合いなんだぜ?
で、いい加減にしろと言いたくなるが、またしても星人出現の知らせが入る。
これだけ頻繁に出たり引っ込んだりする敵って珍しいよね。
まるでイボ痔のようだ。 ダン「いいか、流れに目標を見つけるんだ」
ゲン「流れに目標を?」
ダン「そうだ、早く掴んでくれ。それまで私が星人を食い止めておく」
立ち去る前に、ゲンに具体的なアドバイスを贈るダン。
「そー言うことは先に言え」と思ったゲンだが、勿論、口に出しては何も言わない。

ゲン「イヤーッ、デヤーッ!!」
ダンの声「いいか、流れに目標を見つけるンだ」
流れる水に向かって何度も拳を突き出すゲンの胸に、ダンのアドバイスがリフレインする。
色々あって、ゲンは滝を流れてくる桜の花びらを見て、

ゲン「これだっ!! 流れに目標があったぞ!!」
遂にダンの言っていたことを理解し、

その場でジャンプして飛び蹴りを放ち、滝を真っ二つに切り裂くのだった。
……って、
蹴ってんじゃねえよっ!! 今までの突きの訓練してたんでしょおおおっ?
ゲン「やったぁあああああーっ!!」 両の拳を握り締め、雄叫びを上げるゲンであったが、
ゲン「え、撮ってない?」 せっかく再生回数を稼げると喜んだのも束の間、スタッフのありえないミスに落胆するユーチューバー・ゲンであった。
嘘はさておき、ダンとの約束を果たし、満を持してレオに変身するゲン。

カオル「お兄ちゃん、またウルトラマンレオよ」(註1)
トオル「うん、レオは生き返ったんだ」
ツルク星人の前にあらわれたレオを見て、目を輝かせるトオルたち。
いや、星人が暴れまわっているというのに、なんでそんなところで見物しとるんだ?
註1……その言い方、なんかGが出たみたいなのでやめて欲しい。
さて、時間もないので、勝負は短時間につく。
ツルク星人の繰り出す刃を両手で防ぐと、

さっきの滝を斬る要領で(?)ツルク星人の両腕を手刀で刎ね飛ばす。

ダルマさん状態にされたツルク星人は、「およよ」と言う感じで真後ろに倒れ、

そこに、自分の腕が落ちてきて、その刃でトドメを刺される。
結局、ツルク星人、一体何がしたかったのか?
一応、侵略に来たらしいのだが、やってることは殺戮と破壊だけで、故郷の星で何かイヤなこと(馬券が外れるとか)があって、その鬱憤を晴らしに来たとしか思えないのだった。
レオの顔メダルを現場に残しておく云々と言う小細工も、終わってみれば全然意味がなかったし……
ラスト、桜の花びらが舞い、学校のチャイムが鳴り響くのどかな公園で、ゲンと百子たちが話している。

百子「それで今度アパートを移って、トオル君とカオルちゃんと一緒に住むことになったんです。遊びに来てくださいね」
ゲン「うん、ありがとう」
結局二人は百子に引き取られることになったのである。
羨ましい……
ゲン「良かったな」
カオル「うん、もう寂しくないわ」
三人が行った後、

ダン「お前が彼らに喜びを与えたんだ。行こうか」
ゲン「はいっ」
訓練時とは別人のような穏やかな笑みを浮かべ、ゲンをねぎらうダンであった。
しかし、百子さん、急に二人の子供の面倒を見ることになった訳だが、生活費とかだいじょうぶなんだろうか?
スポーツクラブのインストラクターって、そんなに給料が良いとも思えないが……
まあ、いざとなれば、大村やゲンたちがカンパすれば済むことか。
以上、今回もドラマ性が低く、それでいて突っ込みどころの豊富なシナリオで、正直、書くのがしんどかった。
そう言えば、鈴木隊員の未亡人、一度も登場しないままだったなぁ。
働き盛りの夫をしょうもない事件で殺された奥さん、これからどうやって生きていくのか……
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