第38話「幽霊ベースボール」(1985年10月19日)
タイトルから分かるように、やや季節外れの幽霊ネタである。
ゴーストギルーク「ふふふふ、恨み重なる剣飛竜よ、地獄の底から迎えに来た」

ゴーストギルーク「恨みを晴らしてやる……殺してやるっ」
剣「うう、ああっ」
冒頭から、黒い血のような液体をしたたらせながら、得体の知れない影が電撃戦隊の基地の中に忍び込み、寝ている剣の枕元にセブンの上司のようにぬっと立ち、呪いの言葉を吐きかける。
管理人、てっきりこれが今回の怪人かと思ったのだが、これは宇宙墓場に追放されたギルークが、ある方法によって蘇った仮の姿なのである。
剣「何者だ?」
怪しい気配に気付いて剣が目を覚まして誰何するが、ゴーストギルークは空間に吸い込まれるように消えていく。
騒ぎに気付いて、他のメンバーたちも寝ぼけ眼でぞろぞろ起き出してくる。

疾風「どうしたー」
さやか「どうしたのー?」
勇馬「なんだよ、こんな時間にぃ」
剣「ゆ、幽霊が出たんだ」
麻衣「ええーっ、ああっ、ああっ、ああっ」
剣の言葉に、思わずその場に踏ん張って叫ぶ麻衣。
麻衣、見掛けによらず(?)その手の話が苦手らしい。
しかし、どうせなら、さやかタンのパジャマ姿が見たかったところだが、よりによって色気のかけらもないジャージ姿と言うのは、言語道断の所業である。
ただし、その幽霊騒動は今回の事件とは直接の関係はない。

ひろし「ホームランが打てますように、今日も勝ちますように」
次には、ユニフォーム姿の野球少年が、壁に飾られたユニフォームと遺影らしき若者の写真に手を合わせてお祈りをしているシーンに飛ぶ。

と、庭にいたドロンと言う宇宙獣士が口からガスを吐いて、壁のユニフォームに吹き付けると、

ユニフォームから、少年の兄の幽霊が作り出される。
ひろし「兄ちゃん」
兄「野球がやりたい」
ひろし「幽霊だーっ」
兄「ドラゴンボールが打ちたい」
ひろしはその場にひっくり返って気絶してしまうが、兄の霊はそうつぶやきながら何処かへ行ってしまう。
そう、ドラゴンボールとは、某ジャンプの大人気バトル漫画ではなく、第9話にも出て来た、野球選手だった剣の魔球のことである。
戦隊シリーズで、過去のエピソードのモチーフが、これだけ間隔を空けて再登場すると言うのは、異例のことであった。
その後、バイクで走っていた剣に、いきなり野球のボールが飛んできて爆発する。
ボールを打ってきたのは、あの幽霊であった。

剣「誰だ?」
兄「剣飛竜、会いたかったぞ。お前と戦いたかったんだ」
剣「なんだと?」
植え込みの中にはドロンが隠れていて、その命令で兄は剣目掛けて次々ボールを撃ち込んでくる。
実際の兄の霊は、剣と野球の勝負をしたかったのだから、その願望をドロンが捻じ曲げて操っているのであろう。
剣も石を投げつけるが、相手は幽霊なのでその体をすり抜けてしまう。
だが、そこへ疾風たちが駆けつけたので、ドロンはすぐに幽霊を退却させる。

さやか「剣さん!!」
どんな小さなパンチラも逃さずに皆様の下にお届けするのが、キャプ職人である管理人の務めなのです!!
剣にも、その青年に見覚えがあったのだろう、次のシーンでは早くもその実家を訪ね、ひろし少年から話を聞いている。

ひろし「兄ちゃんは甲子園に出て剣さんと試合をするのが夢だったんだ。でも、病気で死んじゃったんだ。一度で良いから甲子園で剣さんのドラゴンボールを打ちたいって言いながら……それが、今朝、僕の目の前で……」
ひろしはさっきの出来事を剣たちに語る。

疾風「夢にまで見た、剣との試合を出来ずに、どれだけ無念だったことか……」
しかつめらしい顔でつぶやきつつ、恐怖に震えているさやかと麻衣の肩をさりげなく抱き寄せる疾風であった。
剣「そうか」
さやか「そりゃ本当に幽霊だわね」
剣「妙だな、たとえ幽霊だとしても、野球やバットで俺を襲ったりするか?」
勇馬「じゃあゴズマの陰謀って訳か」
剣「おそらく」
一方、ゴズマードでは……

あらわれた星王バズーに対し、赤い陣羽織のようなマントで体を覆いながら、うやうやしくお辞儀をするアハメス様。

真上から見たアハメス様の顔が、これまた美しいのである。

アハメス、一礼して後ろを向くと、

アハメス「ええいっ」
気合を発し、たくさんの幽霊選手たちを出現させる。
アハメス「この選手たちはかつて剣飛竜と甲子園での試合を夢見たものなのですが、その夢が果たせず、死んでしまったのでございます」
バズー(つーか、死に過ぎじゃね?) ……と言うのは嘘だが、頑健な高校球児が、それも、剣と同世代と言う限られた年代の中で、これだけたくさん死んでいるというのは、明らかに異常である。
もっとも、それくらい頭数がないと、後半の試合が成立しなくなるからね……
あと、全銀河征服を狙うゴズマの遠征軍司令官が「甲子園」などというローカルな単語を口にすると、急に話のスケールが小さくなったように感じられるので、是非やめて頂きたかった。
ドロン「私、宇宙獣士ドロンはこのように無念の思いのこもったユニフォームの中に幽霊を蘇らせ、剣を攻撃するように操れるのです」
バズー「今度こそ必ずチェンジマンを倒して見よ」
「なんか、毎週同じこと言ってるよなぁ俺様……」と思いつつ、そう命令しなければならないのが「悪の組織」の首領のつらいところなのである。
しかし、高校球児たちの怨念でチェンジマンを倒すって、明らかに迫力不足の作戦だよね。
気のせいか、バズーの掛け声にもあまり覇気が感じられない。

アハメス「ははーっ」
いかん、「意味もなくアハメス様の画像を貼りたくなる病」が再発してしまった。
その後、5人一緒に幽霊選手たちを探していた剣たちに、ドロンの操る幽霊選手たちが奇襲をかけ、ボール爆弾で5人の体が跡形もなく吹っ飛んだ……かのように見えた。

ドロン「やったー、チェンジマンを倒したぞーっ」
ブーバ「良くやったぞ」
単細胞のブーバたちが、それを見て勝利を確信したのは不思議ではないが、アハメス様まで珍しく地上におみあしを下ろされ、

アハメス「驚いたわね、ドロン、あのチェンジマンが幽霊に倒されるなんて……」
白い百合のような容(かんばせ)をほころばせたのは、聡明なアハメス様にしては迂闊だった。
仮に5人が死んだとしても、その死体まで消えてしまう訳がないのだから……
やっぱり、ブーバたちと一緒に行動していると、そのアホが感染るのかも知れない。
無論、その程度でチェンジマンが死ぬ筈がなく、やがてピンピンした姿を植え込みの中からあらわす。

アハメス「チェンジマン!!」
剣「俺たちは幽霊じゃないぜ、幽霊を操ってるやつの正体を暴くために死んだように見せかけたんだ」
ドロン「おのれ~っ」
ブーバ「ヒドラー兵、やれい!!」
ブーバが直ちにヒドラー兵たちに命じるが、今更だけど、これって無意味な行為だよね。
ヒドラー兵をいくら繰り出そうと、剣たちに勝てる筈がないのだから……
だが、ゴズマにとっては無意味でも、管理人的には極めて有意義であることは、以下の画像を見てもらえばお分かり頂けると思う。

さやか「えいっ」

ヒドラー兵の腕を取り、その胴にチョップを叩き込むさやかタン。
そう、つまり、一見戦力としては無価値なヒドラー兵、いわゆる戦闘員たちは、生身の状態のヒーローたちにアクションさせるために存在しているのである!!
もっと、はっきり言えば、

さやか「やっ」

さやかタンの豪快パンチラを引き出すためには、彼らの存在が必要不可欠なのである!!
しかし、今回のアクションシーン、妙にさやかのアクションだけ時間が長い気がする。
ついでにもう一枚。

さやか「えいっ」
「パンチラタイムは終わりかい?」とでも言いたげに、ここでアハメス様がビームを放って爆発を起こし、5人が怯んだところでブーバたちに攻撃を命じる。
しかし、黒田さん、西本さんのパンチラとか見て、同じ女性としてどんな感想を抱いていたか、ちょっと興味があるなぁ。
ひそかに「私もやってみたい」とか思っていたなどと妄想するのもオツである。
と、急にあたりが暗くなり、雷鳴が轟いたかと思うと、

ゴーストギルーク「恨み重なるアハメスよ、地獄の底から迎えに来たぞ」
冒頭に出てきたゴーストギルークが再びあらわれ、アハメスに呼びかける。
剣「あれは俺の見た幽霊だ」
勇馬「な、なに?」
得体の知れない怪人の出現に、敵も味方も戸惑いを隠せず、

アハメス「……」
海千山千のアハメス様でさえ、茫然と目を見張るだけであった。
まあ、冷静にその顔を見、声を聞けば、ギルークであることは丸分かりなのだが、なにしろメイクも衣装も以前とまったく違っているので、咄嗟に誰も気付かなかったとしても不思議はない。
ただ、視聴者にはそれが誰か、一目で分かった筈である。
何故なら、
OPクレジットに「ギルーク司令官 山本昌平」と、はっきり書いてあったからである!! うっひゃあ、こいつは盲点だったぜい!!
ここは、俳優さんには失礼でも、名前は隠しておいて欲しかった。

ゴーストギルーク「よこしまな女、アハメスよ、この恨み、晴らさでおくものか」
アハメス「何者? 何者だ?」
ゴーストギルーク「ふっふっふっふっ……」
異形の怪物の出現に、アハメス様も日頃の落ち着きとたしなみを忘れ、
アハメス「ドロン、お前の仕業か?」
ドロン「何を仰います、私は知りません」
アハメス「黙れ、幽霊を出せるのはお前だけではないか」
なんと、部下であるドロンに疑いの目を向け、

アハメス「ええいっ」
ドロン「ぐわっ、おおーっ!!」
問答無用でドロンに電撃を浴びせる。
なお、このシーンで、ドロンに同情するどころか、羨ましそうな顔をして見ていたおっきなお友達がたくさんいたそうです。
やがてゴーストギルークは愉快そうな哄笑を響かせつつ、宙に吸い込まれるように消える。
とんだ邪魔者が入り、戦いどころではなくなったアハメスたちは、さっさと引き揚げる。
アハメス「一体あの幽霊は何者か?」
剣たちも本部に戻ると、伊吹長官とそのことについて話し合う。

伊吹「剣を呪ったのと同じ幽霊がアハメスを呪ったと言うのか」
さやか「あーっ、やだやだ、幽霊ばっかり」
元気娘のさやかタン、心底ウンザリしたようにぼやく。

疾風「幽霊野球選手のほうを操ってるのは宇宙獣士っちゅうことが分かったんだから、そいつを倒せばいいんだよ」
さやかと麻衣の間に立ち、話しながらどさくさ紛れに二人の肩に手を置く疾風。

麻衣「うふんっ」
さやか「うんっ」
麻衣たちは咳払いしながらその手を払うと、
さやか「どうやって?」
疾風「そりゃあ……」
疾風が言いかけたとき、フロアに続く階段を、他ならぬ幽霊選手たちが駆け下りてきたので、
さやか&麻衣「あ゛あ゛あ゛ーっ!!」 幽霊が苦手の二人は、思わず顎が外れそうなほど口を全開にして絶叫すると、

疾風「ああっ~」
乱暴に疾風の体を突き飛ばし、
さやか&麻衣「長官~っ!!」 意外なことに、勇馬ではなく、伊吹長官に抱きつくのだった。
うーん……(古畑のように額を突きながら)、これは、明らかに不自然ですねえ。
日頃からその体育会系のキャラと、ムッとするようなオヤジ臭さに辟易している女子たちが、いくら恐怖で理性を失っているからと言って、よりによって伊吹長官に抱きつくでしょーかっ?
従って、これは、そろそろ暮れのボーナスが近付いてきたので、この辺でさりげなくポイントを稼いでおこうと言う、二人の計算ずくの行為だった可能性が高くなりました。
それはともかく、彼らは幽霊選手ではなく、

剣「俺たちだよ」
その場にいなかった剣と、戦士団の男性隊員たちがユニフォームを着た姿に過ぎなかった。
勇馬「な、なんだよ、野球なんかしてる場合かよ」
剣「そう、やるのさ野球を」
勇馬「え~っ?」
剣の意外な言葉に、思わず大声を出す勇馬。
剣「あの幽霊選手たちは野球が好きで好きで仕方なかった若者たちだったんだ。病気や事故でこの世を去ってしまい、彼らは野球が出来なくなってしまったんです。その無念さをゴズマは悪いほうに利用してるんです」
つまり、自分たちが幽霊選手と試合をすることで、彼らの無念を晴らし、平たく言えば成仏して貰おうと言うのが剣のアイディアだった。
それを聞いて他のメンバーも乗り気になる。

伊吹「無念ささえ晴らせば二度とゴズマに操られることもあるまい、みんな、良い試合をして来るんだぞ」
一同「はっ」
その後、色々あって、剣たちは首尾よく幽霊選手たちをあらかじめ用意していたグラウンドまでおびき寄せることに成功する。
で、ゲキ嬉しいのが、プレーするのが剣たち男子だけでなく、

麻衣「はい、セカン」

さやか「はい、サード!!」
麻衣とさやかタンの二人も、ユニフォームをまとって参加してくれるのである!!
おまけに立ってるだけじゃなく、実際にプレーまでしてくれるのだから、言うことありません。
いやぁ、スタッフのこういう良心的な制作姿勢を目の当たりにすると、背筋がピンと伸びるような気持ちにさせられるね。
ま、どうせなら、下はショートパンツのほうが良かったが、贅沢は言うまい。
でも、これも、JACの大石さんは勿論、西本さんも抜群の運動神経の持ち主だからこそ出来る演出だよね。
さて、マウンドに立つのは当然剣で、早速魔球ドラゴンボールを披露して、

兄(ドラゴンボールだっ)
外野スタンドからその光景をぼんやり見ていた選手たちをうずうずさせる。
すかさず、
剣「磯野ーっ、野球やろうぜっ!!」 じゃなくて、
剣「野球やろうぜっ!!」
根っからの野球少年だった幽霊たちに大声で呼びかける。
勇馬「見たか、ドラゴンボールだ、かつて高校野球界でその名を知られた剣飛竜だっ」
疾風「君たちも一度は甲子園で剣飛竜と対決したかった筈だ、今、それが叶うんだよ」
あくまでドロンの支配下にある選手たちは、それでもすぐには動かなかったが、キャバレーの呼び込みのような勇馬たちの言葉に心を動かされ、同時に、生前憧れていた甲子園の様子を思い浮かべ、

ついでに、ちょっとエロいチアガールたちの姿も思い浮かべるのだった。
ちなみに、甲子園の映像も出てくるが、資料映像と言うより静止画、静止画と言うより、アサヒグラフか何かのグラビアをそのまま映しているような感じである。
ともあれ、やがて決然とかつての高校球児たちがグラウンドに向かって走り出し、剣の目論見どおり、戦いではなく野球の試合が行われることになる。

とりあえず、それを見ているさやかタンの可愛い顔でも貼っておこう。
いやぁ、こんなマネージャーがいたら、選手たちのやる気も50倍くらいになりそうである。
ただ、さすがに本格的な試合経過まで描くのは時間的にも難しく、剣が二人ほどバッターと対戦した後、ひろしの兄がドラゴンボールを見事に打ち返し、バックスクリーンに叩き込むと、

兄「やったぞー、ひろし」
ひろし「兄ちゃん、ドラゴンボールを打ったんだね」
兄「良い選手になるんだぞぉっ」
一周してホームベースを踏んだところで、駆けつけた弟のひろしに声を掛け、

それと同時に他の幽霊選手ともども姿を消す。
その直後、
審判「幽霊チームの試合放棄で電撃戦隊の勝ち!!」 剣「鬼かっ!!」 じゃなくて、ひろし、ホームベースの上に残されたユニフォームを拾い上げ、

ひろし「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
勇馬「やったな、剣」
剣「ああ」
そんなことはどうでも良くて、右端に立っている、野球帽を被ったさやかタンが可愛過ぎる!!
ちなみに、でかいこと言ってた割りにドラゴンボールがボカスカ打たれているが、これは剣が手加減したと言うより、長い間のブランクのせいだろう。
この後、ラス殺陣&巨大ロボットバトルをこなし、幽霊事件はひとまず解決する。
ラスト、今度はそのひろしが出ている試合を、剣たちが応援することになる。

剣「ひろし君はきっと兄さんみたいに良い選手になるぞ!!」
さやか「ところであの人、どんな選手だったの?」
剣「さあ」
さやか「覚えてないんかいっ!!」 ……と言うのは嘘だが、実際、剣が相手の名前を一度も呼ばないので、別に宿命のライバルでもなんでもなかった可能性が高いのは事実である。
ま、単に剣のドラゴンボールが打ちたかっただけなのなら、赤の他人でも不思議はないか。
以上、高校球児の霊を悪用しようとするゴズマと、いかにも元野球選手らしい奇抜な作戦でそれに対抗する剣たちとの戦い、そこに謎のキャラクターの登場まで加わった、密度の濃いエピソードであった。

最後は、見てるだけで幸せな気分になる、さやかタンの最高の笑顔で締めましょう!!
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