第49話「銃声一発! 風見志郎倒る!!」(1974年1月19日)
冒頭、飲み屋街のようなごたごたした裏通りをコートの襟を立てて歩いているライダーマンこと結城丈二。
それを物陰からカメレオンというデストロンの怪人が特殊な銃で狙っていたが、そこへ志郎がバイクで突っ込んできて、

志郎「結城、危ない!! だぁーっ!!」
結城「ああっ」
結城を庇い、代わりに自分の頭に弾丸を受けてしまう。
結城「風見!!」
志郎「結城、お前は狙われてるんだ、早く追え、ひょっとしたら新しいアジトが分かるかも知れん」
結城「俺の身代わりに……」
志郎「ぐずぐずするなっ!!」
志郎に叱咤されて走り出す結城だったが、結局見失ってしまったらしい。
つーか、狙われてる奴に追わせるなよ……
しかし、このシーン、志郎がしっかりヘルメットを被っているのに、それを貫通して弾丸がその脳の中まで食い込むと言うのは、感覚的にもなんか釈然としないんだよね。
その頃、それとは全く無関係に、いかにも田舎から出てきた家出娘と言ういでたちの女の子が、新宿駅に降り立っていた。

とりあえず新宿副都心に行き、高層ビルを見上げ、

ジュン「これが新宿副都心かぁ、父ちゃんや母ちゃんにも見せたかったなぁ。家出でもしなきゃ、こんな立派なもの見られなかったな」
東京に来て良かったとしみじみと感激していた。
家出娘ジュンを演じるのは「バロム1」の北原和美(戸島一実)さん。
「V3」のゲストの中では屈指の美形である。
ただ、その次のシーンで、
立花「まだ志郎から連絡はないのか?」

シゲル「まだです」
純子「……」
苛々したおやっさんの声に振り向いた純子さんが、それを遥かに上回る可愛らしさだったのが、北原さんにとっては不運だった。
……にしても、ほんと、こんなに可愛くてどうするつもりなんでしょう?

立花「チッ、昨夜から音信普通だなんて……こんな時に」
純子「こんな時にデストロンが来たらどうするんだっ?」 純子さん、口を尖がらさせておやっさんの台詞を横取りすると、
純子「そうでしょ?」 と、おどけた顔でおやっさんの顔を覗き込む。
お茶目な純子さんがめっちゃ可愛いのだが、それに対するおやっさんの反応がカットされているのが残念だ。
一方、志郎はヘルメットを肩に担いで、人込みの中をふらふらした足取りで歩いていた。

志郎(不思議だ、あれは幻だったのか? いや、確かに俺は何かの衝撃を受けて倒れた。夢じゃない、俺は生きてるんだ……)
脳に撃ち込まれた銃弾のせいか、さっきの出来事が、現実か夢なのかもさだかではなくなっていた。
自宅に帰り、何気なくドアのノブを掴むが、

力を入れたつもりはないのに、いともたやすくノブをドアから引っこ抜いてしまう。
ノブを足元に捨て、ぼんやりと部屋の中に踏み込むが、
志郎(待てよ、そうか、あの時受けた衝撃だ……あの衝撃が俺の脳を狂わす特殊な銃弾だったのか……改造人間である俺に、力のコントロールが出来なくなるように……くっそぉ)
心の中でつぶやきながらジャケットを脱ぎ、寒さを覚えたように自分の腕を抱くが、今度はシャツの左袖を引き千切ってしまう。

ナレ「風見志郎が頭部に受けた特殊な弾丸とは、バタル弾と言われるデストロンの特殊兵器で、改造人間である風見志郎の力のコントロールを妨げる恐るべき弾丸である」
ここで、志郎の頭部のレントゲン写真が映し出され、点滅する光点がバタル弾の位置を示す。
いや、バタル弾うんぬん以前に、ヘルメットを貫通した上に、頭の奥深くまで達する銃の威力、物凄くない?
だったら、それで普通の弾を志郎の体に撃ち込めば、簡単に殺せそうな気がするのだが……
一方、ジュンは東映系の映画館の前に立ち、

物珍しそうにケンさんやブンタさんの濃い顔が描かれた看板を見上げていたが、

看板の左端の、ケンさんの見返り顔にカメラがズームすると、

その目の部分がパカッと開き、

ヨロイ元帥「あの家出娘を利用してライダーV3とライダーマンをおびき寄せるのだ。いいな、カメレオン?」
カメレオン「はぁいー」
そこが、いつの間にかデストロンのアジトになっていたことが分かる。
しかし、アジトがそんなところにあったら、やかましくて仕事にならないんじゃないかと思う。
ちなみに以前のレビューでも書いたが、この覗き窓が開くシーン、本当の看板ではなく、看板の絵に似せた書割に過ぎないのである。
その後、ジュンが「絵里奈」と言うショップのショーウィンドウを物欲しそうに見ていると、

紳士「欲しければ私が買って差し上げよう」
いきなり、山高帽にステッキを持った、英国紳士風の男性が声を掛けてくる。
これはカメレオンが化けたものなのだが、いくらなんでも身も蓋もない引っ掛け方である。
たとえば、
紳士「お嬢さん、働き口を探していなさるのかね?」
ジュン「え? ええ……」
紳士「だったら私の秘書をしてみる気はないかね? いや、私は貿易会社を経営しているもので、決して怪しいものではない」
ジュン「わぁ、ほんとですか?」
紳士「ああ、しかし、その格好ではまずいな、よし、私があの服を買ってあげよう」
みたいな段取りを入れて欲しかった。
それはともかく、唐突な申し出に、さすがにジュンも警戒の色を面に浮かべていたが、次のシーンでは、
ジュン「わあ、嬉しい、こんなに早く幸せが来ると思わなかった!!」 120パーセントのテンションで喜んでいるジュンの姿が映し出される。
それを見ていた紳士は、
紳士(まずい、本物のバカだ……) じゃなくて、
紳士(これでこの娘はデストロンの言うとおりに動く)
でも、実際、これじゃあ、まるっきりジュンがバカに見えるよなぁ……
少なくとも義務教育は修了してるだろうに、うま過ぎる話には裏があるってことぐらい、想像が付きそうなものだが、それだけ純朴な、人を疑うことを知らない田舎娘だと言うことなのかもしれない。
さて志郎、街中を、声を喘がせ、両手を振り回しながら狂ったように走り回っていた。
正直、ほっといてもすぐ警察の厄介になると思うのだが、

紳士「やれ、あの男をやるんだっ」
毛皮のコート一枚で悪魔を魂に売り渡してしまったジュンは、紳士に押し出されるようにして、志郎に向かって走り出す。

ジュンは横断歩道の上でわざと志郎にぶつかり、その場に両手を付く。
と、待ってましたとばかり、目と鼻の先の派出所から二人の警官が飛び出してきて、

警官「だいじょぶか」
ジュン「あの人が、あの人が……」
警官「君……な、何をする?」
志郎、警官に腕を取られたのでそれを軽く振りほどくが、力加減が出来ず、警官を地面に突き倒してしまう。
警官「暴行傷害の現行犯で逮捕する」
もうひとりの警官が即座に志郎に手錠を掛けるが、志郎はそれをあっさり引き千切る。

警官「ああっ」
志郎「……」
自分がもう社会生活をまともに送れない体になっていることを知り、愕然と壊れた手錠を見詰め、立ち尽くす志郎。
抵抗する気も萎えたのか、そのまま警官に連行されていく。

城南警察署の留置所にぶちこまれ、女子高生のスカートの中を盗撮しようとして捕まった公務員のように、頭を抱えて座り込んでいる志郎。
このまま志郎を警察署に閉じ込めておけば、悠々と作戦を推し進めることが出来たと思うが、
怪人「風見志郎、バタル弾の威力が分かったか?」
志郎「誰だ、姿を現わせ!!」
留置場の中から何者かの声がしたかと思うと、闇の中に溶け込んでいたカメレオンが姿を見せる。
カメレオン、その名のとおり擬態能力の持ち主なのだが、この「そのまんまにもほどがある」ネーミングは、どうにかして頂きたかったところだ。
つーか、仮面ライダーシリーズのみならず、特撮ドラマ全般を通して、これだけ捻りのない怪人の名前って、他にないのではあるまいか?
警官たちも戦闘員の姿に変わり、

カメレオン「驚いたか、この警察はデストロンのものだ」
教えてなくてもいいことを教え、志郎にあっさりV3に変身されてしまう。
いつもながらデストロンはアホだなぁと呆れかけた管理人だったが、

ヨロイ元帥「君は変身した、これが君の最後だ」
V3「ぶぁかなっ」
ヨロイ元帥「君が変身すると、バタル弾は君の体の全エネルギーを放出させ、君を死に導くのだ。君は間もなく死ぬ」
それがヨロイ元帥の仕掛けた巧妙な罠だったことが判明する。
……
なんで急に志郎のことを「君」って呼び出したのだろう、ヨロイ元帥?
あと、変身させたいのなら、普通に怪人に攻撃させれば済むことなので、わざわざ家出娘を利用して警察に逮捕させるなんて面倒なことは必要なかったのでは?
それはともかく、ヨロイ元帥の言葉通り、V3の体からみるみる力が失われ、立っているのがやっとの状態となり、戦闘員に一方的にボコられて、やがて意識を失う。
しかし、バタル弾には改造人間の力の制御を失わせる効果があると言いつつ、ここではエネルギーを消耗させる働きがあることになっていて、いささか混乱させられる。
さて、遂に宿敵V3を倒したと聞き、首領もことのほかお喜びで、

首領「良くやった、ヨロイ元帥、それにカメレオン、デストロンの世界征服は
一歩近付いた」
ヨロイ元帥(え……………一歩?) V3の死が、デストロンの野望にとって「一歩」の価値しかないと知り、一瞬気が遠くなるヨロイ元帥であったが、嘘である。
嘘であるが、ここは「これでデストロンの世界征服は成ったも同然だ」くらいのことは言って欲しかった。
もっとも、仮にV3を倒しても海外にはダブルライダーがいるから、そこまで楽観的になれなかったとしても不思議はない。
首領のお褒めの言葉に、
ヨロイ元帥「近いうちに、ラァイダーV3とライダーマンを必ず!! 処刑して見せます」
首領「え……………まだ、処刑してないの?」 ヨロイ元帥の言葉に思わず固まる首領であったが、嘘である。
嘘であるが、「なんですぐにV3を殺さないのっ!!」(欽ちゃん風)と、管理人が叫びそうになったのは事実である。
ま、どうせならライダーマンと一緒に処刑しようと言う、どうでもいいヨロイ元帥のこだわりであったろうが、ここはデストロンのために、可及的速やかにV3の息の根を止めることを推奨したい。
さて、意識を失ったV3は牢獄にぶちこまれ、志郎の体に戻っていたが、靴音が近付いてきて、

目を覚ました志郎が見上げると、そこに戦闘員の服を着たジュンが立っていた。
前にも書いたけど、戦闘員の制服を着た女の子が、こんなに可愛いとは知らなかったと目から鱗が落ちるような鮮烈なショットである。

志郎「君はあの時の……」
ジュン「……」
それに、影のせいか、普通の格好をしている北原さんより、こっちの方が明らかに綺麗に撮れている。
そう言えば、北原さん、後に「アマゾン」でも、女性戦闘員の役を演じてるんだよね。

さらに、その体にフィットした制服のシルエットから、北原さんのスタイルがなかなか良いことも分かり、良いことずくめの戦闘員コスであった。
……
今年は来るぜぇええ、戦闘員女子がーっ!!(来るかハゲ)
あと、何の脈絡もないが、純子さんにもこの格好をして欲しかったと猛烈に思う管理人であった。
志郎「しかし、どうしてここに?」
ジュン「私はここで働いてます」
志郎「働く? 君はデストロンが悪の集団であることを知っているのか?」
ジュン「デストロンは私に大きな夢と希望を与えてくれたわ」
志郎のなじるような問い掛けにも、ジュンは悪びれずにデストロンを賛美する。
志郎「君はデストロンがどんなに恐ろしいかを、まだ知らない……今にきっと分かる」
ジュン「今の世の中の有様じゃ、クニにいたって何も出来ない、ここで一生懸命働いて、うんとお金貯めて、父ちゃんや母ちゃんに楽させるんだっ」
志郎「バカな、君はデストロンに騙されてるっ……」
思わず手を差し伸べる志郎だったが、鉄格子に触れた途端、激しい電流が流れる。
志郎「鉄格子に流れている電流を切ってくれ。そして俺と脱出するんだ。こんなところで働いてる君を両親が知ったらどんなに嘆き悲しむか……さぁっ」
なんとかジュンを説得しようとする志郎だったが、

ジュン「やだ、ここで働くんです!!」
戦闘員「キキーッ!!」
ジュン「キキッ!!」
戦闘員「交代だ」
そこへ戦闘員が来て交代するのだが、ジュンがちゃんと戦闘員っぽい鳴き声を出すのがめっちゃ可愛いのです!!
でも、ジュンの
「今の世の中の有様じゃ、クニにいたって何も出来ない」と言う台詞、おバカな田舎娘のタワゴトだと簡単に片付けられない重さがあるよね。
なにしろ当時はオイルショックの真っ只中であり、さらに、それ以前から複数の要因によって急速に物価高が進み、いわゆる「狂乱物価」と呼ばれる経済危機が日本じゅうを襲っていたのだから、貧しい農村(?)に暮らすジュンがそう思い詰めても無理はなかっただろう。
ちなみに1973年は異常なほど頻繁に石油化学コンビナートなどの施設で事故が起きた年だそうで、それによってもたらされた物資不足も、物価高の一因に挙げられているほどであるが、たぶん、その多くはデストロンの仕業だったんだろうなぁ。
それはともかく、絶体絶命のピンチに陥る志郎であったが、この後、ライダーマンによってあっさり助け出される。
……だから、早く処刑しろって言ったのにぃ。
結城は志郎を彼のマンションに連れて行き、ソファに寝かせる。
結城「ここを絶対に動いちゃいけない」
そう言いつけて出ようとすると、
志郎「結城」
結城「なんだ」
志郎「さっきの少女を何とかして救い出さねば……」
うつろな目で独り言のようにつぶやく志郎に、

結城「君ってやつは……俺の身代わりとなりそんな体で苦しみながらも不幸な少女のことを心配している。申し訳ない、苦しまねばならないのはこの私のほうだ」
心底感じ入ったように絶句し、何度も志郎に詫びると、志郎を治す手立てを求めて出て行く。
結城が出て行った後、

志郎が傍らにあったギターを手に取り、試しにそれを弾いてみるが、結局力が余って弦を切ってしまうのだが、このシーン、志郎がパワー制御できなくなってる描写がいささかくど過ぎて、要らなかったと思う。
CM後、近くの橋の上に立ち、ぼんやり考え込んでいる志郎。
……絶対に動いちゃいけないって言ったのにぃ。
そこへおやっさんが駆け寄って、

立花「志郎、心配したぞ」
志郎「おやっさん!! 俺に触っちゃいけない」
そう言って志郎の肩を叩こうとするが、志郎は弾かれたように一歩下がり、悲しそうな目で拒絶する。
うーん、でも、おやっさんが触る分には別に問題ないのでは?

志郎「力の……コントロールが出来ないんです」
立花「一体何があったんだ?」
志郎「カメレオンにやられたんです……今の俺はどうしたらいいか分からないっ」
両手で頭を掻き毟りながら、弱音を吐いてその場に膝を突く志郎。
立花「志郎、弱気を出すんじゃない、口が裂けてもそんなことは言うな」
おやっさん、いつものように厳しく志郎を叱咤すると、

立花「お前がつらいときは、この俺だってつらいんだ、
いや、むしろ俺のほうがつらいと言っても良い!!」
志郎(それは違うと思う……) じゃなくて、
立花「お前がつらいときは、この俺だってつらいんだ、このつらさは正義を守るつらさなんだ!!」
志郎「おやじさんっ!!」
おやっさんの勢いだけの励ましに、どん底の精神状態からなんとか這い上がる志郎であった。
と、そこへ結城があらわれ、

結城「あれほど出るなと言った筈だ」
立花「結城君、志郎の体はなんとか治らないのか」
結城「治せます。しかしそれだけの設備はたった一箇所しかないことが分かりました」
立花「何処なんだ、それは?」
結城「デストロンのアジトです」
立花「デストロンのアジト?」
志郎「行こう、そのデストロンのアジトへ」
立花「そんなバカな!!」
志郎「いや、俺は死ぬ訳にはいかないんだ。
俺の体は自分だけのものじゃない、日本中の、いや、世界中の人々の幸せが掛かってるんだっ」
志郎のいささか気負い過ぎの台詞を聞いた二人は、
「そんだけ図々しいことを真顔で言えるくらいだから、とうぶん死にゃしないだろう」とでも言いたげな目を見交わすのだった。
ともあれ、志郎と結城はその危険な賭けに挑むのだったが、あれほど気張っていたおやっさんが、彼らに同行しようと言う
素振りすら見せないのが、微妙にズッコケ感がある。
ま、小林さんのスケジュールなどの問題もあろうが、もしおやっさんが一緒だったら、もっと簡単に志郎の手術は成功していただろうから、直前の熱血台詞と引き比べても、いかにもちぐはぐな印象を受ける。
それはさておき、二人はジュンを尾行して簡単にアジトに潜入した……かに見えたが、

カメレオンの声「とうとう罠に嵌まったな、ここは貴様たちの死に場所だ」
ジュン「助けて、私はどうなるの?」
カメレオンの声「お前の役目はもう済んだ、一緒に死ね、どうせお前は風見志郎をおびき寄せる道具だったんだ」
案の定、それは罠で、二人は狭い部屋に閉じ込められ、左右の壁が動き出してジュンもろとも押し潰そうと迫ってくる。
でも、デストロン、たった一枚の毛皮のコートでジュンを操り、彼女を餌にしてライダーたちを二度も必殺の罠に陥れることに成功したのだから、外部の人間を利用した作戦としては極めてコスパに優れた成功例だったと言えるだろう。
結城、とにかくライダーマンに変身して、反対側の壁を押し戻しながら、

ライダーマン「やっ、俺が頑張る、絶対に変身するな、すれば手術が出来なくなるし、お前は死ぬ!!」

ジュン「許して、あなたの言ったこと、本当だったんだわ」
志郎「希望を失うんじゃない、最後まで頑張るんだ」
ジュン「死にたくない、死にたくないよう!!」
やっと目が覚めたジュンは、子供のように泣き喚いていたが、やがて気を失って倒れてしまう。
正直、こんな生きるか死ぬかの瀬戸際で気絶する奴ぁいないだろうと思いがちだが、これは、ジュンが見ていると志郎が変身できないからであろう。
ライダーマン「変身しては駄目だ、やめろっ」

ライダーマン、やむなく床に体を伏せると、その体で動く壁のストッパーになろうとするが、
ライダーマン「風見、俺の体で支える!!」
志郎「むんっ」
ライダーマン「風見!!」
志郎「変身、V3!!」
ライダーマン(聞いちゃいねえ……)
ライダーマンの命懸けの叫びも届かず、志郎はあっさりV3に変身する。

V3、その凄まじいパワーで壁を押し戻すと、ドアをエルボースマッシュで破壊し、なんとかそこから脱出する。
ヨロイ元帥「にぃがすなぁっ!!」 二度続けて勝利が手から転げ落ちそうになったヨロイ元帥、渾身の気迫で叫ぶ。
結城、変身したら死ぬとか言ってたが、次の場面では、なんのことはなく、人間の姿に戻った志郎をライダーマンが抱えて手術室のベッドに横たえる。
さっきの脅しは一体なんだったんだ?
どうでもいいが、部屋から出て手術室に移動するまでにV3→志郎になったことは明らかなので、V3が倒れる前にライダーマンに活を入れられて意識を取り戻したジュンは、当然、V3の正体が志郎であることも知っている筈である。
すぐ手術に取り掛かろうとするライダーマンであったが、

戦闘員が部屋に押し入ろうとするので、ドアを支えていなければならず、いつまで経っても開始できない。
いや、一旦外へ出て、戦闘員を片付ければいいのでは?
それにしても、前記したように、おやっさんがこの場にいれば簡単に戦闘員を排除できていたであろうから、おやっさんが同行しなかったことがますます悔やまれる。
まあ、威勢の良いことを言いつつ、肝心なときに姿を見せないと言うのは、仮面ライダーシリーズ通しておやっさんがしばしば見せる習性であるが……
やがて志郎も目を覚まし、状況を把握すると、自分の背中をドアに押し付け、

志郎「このドアは俺が命懸けで守る、立ったままやってくれ」
と、前代未聞の立位によるオペをリクエストする。
ライダーマン「立ったままでできる訳がない、気でも狂ったのか、死ぬぞ!!」
志郎「死んでも良い、1パーセントの可能性に賭ける」
志郎、医者でもないのに勝手に手術の成功率を決めてしまう。
ライダーマンも志郎の熱意に負け、

ライダーマン「ジュン、手伝ってくれ」
ジュン「うん」
ライダーマン「ジュン、スイッチだ」
ジュンを助手にして、そのままの状態で脳手術を始めるのだった。
うーん、さすがに無理とちゃう?
ましてや、ドアを戦闘員や怪人がガンガン叩いて、その振動で志郎の体もぐらぐら揺れている状態においてをや。
つーか、V3に変身したら手術できなくなるとか言ってたような気がするのだが……
あれは、V3に変身したままでは手術できないと言う意味だったのだろうか?
で、艱難辛苦を乗り越えて、手術は成功する(あっさり)
カメレオンがドアを蹴破って突入したときには、既に部屋は空っぽだった。

脱出口の梯子を登っている三人。
……
ここは是非、ジュンが登る様子もしっかり撮って欲しかったが、志郎が登ったところで、

あえなくアングルが変わってしまう。
(監督の)意気地なし!!
ちなみにこれは公園の遊具のようである。
この後、ラス殺陣となるが、カメレオンとの勝負がつかないまま戦いが終わると言う、異例の結末となる。
次回、カメレオンは吸血カメレオンと言う怪人にパワーアップして再登場するのだが、まあ、スーツ代の節約のためであることは明白である。
実際、不況の波は制作現場にも押し寄せていたんだろうなぁ。
こうして、番組始まって以来の大ピンチに陥った志郎であったが、結城のお陰でなんとか苦境を脱するのだった。

ラスト、都会の怖さ(?)を骨身に染みて思い知ったジュンが故郷に帰ろうとしているのを、志郎が駅前で見送っている。
ジュンの差し出した手を抑制された力でしっかり握ると、
志郎「お父さんやお母さんを大事にな」 シンプルだが、大変教育的な台詞で送り出す。

ジュン「うんっ」
以前の記事でも書いたかもしれないが、北原さん、この野暮ったいおさげ髪より、戦闘員のときのストレートヘアの方が絶対似合ってると思う。

雑踏の中に消えていくジュンのミニスカから伸びる足を見詰める志郎の姿に、重々しくナレーションが被さる。
ナレ「風見志郎、改造人間、暗躍するデストロンがいる限り、彼には帰る心のふるさとはない……」
以上、自分の力の制御が出来なくなって苦悩する志郎と、デストロンに利用された純朴な田舎娘との触れ合いを描いた佳作であった。
- 関連記事
-
スポンサーサイト