第41話「消えた星の王子!」(1985年11月9日)
さやかファン待望のエピソードである。
冒頭、ゴズマードに向かって球形の小型宇宙船が飛んでくる。
ゲーター「おお、来たで来たで、いらっしゃいましたで~」
航海士ゲーターの興奮した声にアハメスたちが振り向くと、

背後の空間に、大きな翼を背中に生やした、いかにも威厳に満ちた若者と、その従者と言った感じの宇宙獣士がテレポーテーションしてくる。

意味もなく貼ってしまう、アハメス様の美貌。
イカルス「星王バズーの王子、イカルス!!」
その若者の口からとんでもない言葉が飛び出す。
ええーっ、バズー、子供いたのぉ?
一体、誰と、どうやってまぐわって作ったのか大変興味があるが、残念ながら、実子ではなく養子なのである。
しかし、今まで何の伏線もなかったのに、いきなり首領の息子が出てくると言うのはあまりに唐突な感じがする。
それはともかく、
アハメス「イカルス様、お待ちしておりました」
普段はタカビーなアハメスも、相手がボスの息子とあっては畏まらざるを得ない。

イカルス「アハメス、スーパーパワーを身に付けても、まぁだチェンジマンを倒せぬのか」
手にした指揮棒で自分の左手を叩きながら、小馬鹿にしたように言うイカルス。

アハメス「……」
いきなり平手打ちされたような気分になるアハメスであったが、相手が相手だけに怒りの色を見せる訳にも行かず、悔しそうに視線を逸らすだけ。
イカルス「ふっ、まあ良いわ、チェンジマンは私とこの宇宙獣士ボーラが倒す」
当然ながら、イカルスが地球にやってきたのは、チェンジマンを倒すためであった。
遠征軍の度重なる敗北に業を煮やしたバズーが切り札として呼び出したのだろう。
サブタイトル表示後、イカルスは直ちに行動を開始する。
港をパトロールしている剣たちを発見すると、

イカルス「奴らがチェンジマンか」
アハメス「はい」
イカルス「よし、行け、ボーラ!!」
ジャンゲランに乗るアハメスと並んで飛びながら、忠臣ボーラに攻撃を命じる。
ボーラの攻撃で剣たちがマシンから出たところにイカルスがビームを浴びせ、その動きを封じてから、

自らコンテナの上に降り立ち、王者の風格を滲ませつつ、5人を睥睨する。
イカルスを演じるのは肉体派俳優の福田健次さん。
剣「貴様、誰だ?」
イカルス「はっはっはっはっ、星王バズーの王子イカルス」
勇馬「なにっ?」
イカルス、もう一度さっきのビームを浴びせてから彼らの前に飛び降り、ブーバ、ヒドラー兵も加わっての乱戦になる。
別にビームに変身を阻止する力がある訳ではないが、そのショックで変身する余裕がなく、生身のままの戦いを強いられる5人。

はい、ここで、早くもさやかタンのパンチラが炸裂するんですね~。

イカルスのパワーの前に手も足も出ず、指揮棒で喉をぐりぐり押さえられる剣。

さやか「剣さん!!」
ボーラの豪腕に耐えていた(註・冷静に考えたら、凄くないか?)さやか、剣のピンチに思わず叫ぶ。

麻衣「えいっ」
ボーラ「おあああっ」
ここで勇馬と麻衣が左右からボーラの足を払い、さやかを助ける。
剣(その前に俺を助けろっ!!) 自由になったさやか、

いかにも役者の緊張感が伝わってくる面持ちで勢い良く体を投げ出し、

再び豪快なチラを見せつつ地面を一回転すると、

太くて逞しいフトモモの間につつましやかなデルタを作りながら起き上がり、

さやか「えーいっ!!」
イカルスの体を押し飛ばそうとする。
……
いや、普通に走った方が速いのでは?
でも、普通に走るとチラは発生しないので、このスタッフの判断は120パーセント正しい!!
女の子に突き飛ばされたくらいで体勢を崩すイカルスではなかったが、

さやか「ううっ!! うっ」
美しい野獣のような目で向かってくる相手の顔を見た途端、

イカルス「お前は……」
全身を電流が駆け抜けたような激しいショックに襲われる。
さやか「みんな、早く変身して!!」
剣「さやか!!」
さやかの呼びかけに剣が漸く変身してイカルスにドラゴンキックを放つが、イカルスは空中に飛んでかわし、さやかがマーメイドに変身するのを見て、再び驚きに打たれる。
イカルス「渚さやか、チェンジマーメイド……みんな引けえっ!!」
腕を組んで戦いを見下ろしていたが、何を思ったか、不意に全軍撤退を命じる。
イカルス、別にさやかタンに一目惚れした訳ではなく、

イカルス「渚さやか……母上」
地球の夕陽を浴びながら、遠い日のことに思いを馳せる。
今は亡きイカルス星の王宮で、例のボーラと追いかけっこをして遊んでいる幼いイカルス。
彼はバズーの息子になる以前から、イカルス星の王子と言う高貴な生まれだったのだ。
そこへ、金髪に白い法衣のような服をまとった有翼の女性……イカルスの母親があらわれるが、

なんとそれは、さやかタンそっくりではないか。
無論、西本さんの一人二役なのだが、なんちゅう可愛らしさじゃ……
あと、なんか、渡辺満里奈に似てるな。

王女「イカルス……」
イカルスの母、すなわちイカルス星の王女は優しく微笑んで息子の体を抱き寄せる。
お母さんさやかも可愛いが、この、幼少時のイカルスを演じてる子役も、いかにもお坊ちゃんらしい福々とした顔立ちで実に可愛らしい。
さらに、撮影の合間に、西本さんがこの子役を相手にお母さんっぽいことを言ってる姿を想像するだけで、その人知の理解を超えた可愛らしさに萌死にしそうになる管理人であった。
同じ頃、

何か感応するものがあるのか、さやかも同じ夕焼け空を見上げながらひとり物思いに耽っていた。

さやか(あの時、イカルスはどうして私を攻撃しなかったんだろう? 一体、どうして?)
その後、イカルスが改めて作戦の趣旨をアハメスたちに伝えている。

イカルス「チェンジマンを倒す作戦はひとつ、5人をバラバラに分断して攻撃し、ひとりずつ血祭りに上げるのだーっ!!」
それは別に珍しくもない、分断・各個撃破と言うものだったが、特定のひとりを仲間から切り離して集中的に倒すと言うのではなく、いわばマンーツマンで5人同時に攻撃を仕掛けるというのがイカルスの作戦のミソであった。
確かに、それならば途中で仲間が救援に駆けつけることはなく、個々の能力ではチェンジマンを上回るゴズマにとって有効な作戦のように思える。
ま、そんなことはどうでも良くて、陣羽織風の衣装が、なんかマキシスカートみたいになってるアハメス様が可愛いのである!!

アハメス「……」
さらに、ひたすら唯々諾々と無言で目を伏せて頷きつつ、その底意を見抜くような油断ならぬ目を向けるアハメス様の、溜息が出るほど美しいお顔!!
思わず三枚も貼ってしまったが、後悔はしていない。
この後、イカルスたちの総攻撃に釣り出されたチェンジマン、作戦通りひとりひとり分断され、アハメスはドラゴン、シーマはフェニックス、ボーラはグリフォンと言うように、一対一の状況に追い込まれて、不利な戦いを強いられる。
そして、マーメイドの相手はイカルス自身であり、最初から、作戦にかこつけてさやかと二人きりなるのが真の狙いだったことが分かる。
イカルス、戦いもそこそこに、マーメイドの体に特殊なビームを浴びせて光の球に変え、それと一緒に何処かへ飛び去ってしまう。
アハメス「あれはまさか……」
まさか、なに?
正直、何を言おうとしたのか良く分からない。

しばらくして、さやかが意識を取り戻すと、いつの間にか変身が解け、岩だらけの見知らぬ惑星の上に倒れている自分に気付く。
しかもそばにはイカルスが立っていて、悠然と自分を見下ろしているではないか。
イカルス「気がついたか」
さやか「イカルス!!」
弾かれたように立ち上がり、ファイティングポーズを取るさやか。
イカルスがその気になれば、簡単にさやかを殺せていただろうに、よりによってさやかがイカルスの母親そっくりの容貌だったとは、つくづくバズーはツイてない。あと、モテない。
さやか「私をどうするつもりなの?」
イカルス「私の妻になってもらう」 父親と違ってモテる(のだろう)イカルス、初対面の相手に結婚を申し込むと言う、「スクール☆ウォーズ」の鶴見辰吾みたいなことをする。
うう、しかし、さやかタン、ただでさえ無敵なのに、そこにお嫁さん属性まで付いたら、手が付けられなくなるなぁ。
西本さんも、きっと良いお嫁さん、そしてお母さんになられたことであろう。
イカルスは、過去の映像をさやかに見せながら、自分の生い立ちを話す。
イカルス「我が母なる星、イカルス星だ。だが、私のイカルス星は燃え尽きた……そしてイカルス星人も滅亡した。私と忠僕のボーラを除いてな」
イカルス星がまるごと高熱に包まれて灼熱地獄と化す中、王女は息子イカルスをボーラに託して脱出させ、自身はイカルス星と運命を共にしたのである。
そして孤児となったイカルスはバズーに拾われ、息子として育てられたと言う。
うーん、でも、冷酷無比なバズーがそんな仏心を出すと言うのはちょっと信じがたい。
かと言って、イカルス星を滅ぼした贖罪のためにそんなことをするのは、ますますバズーらしくないし、第一イカルス星は別にゴズマの侵略によって壊滅したのではなく、地殻変動か何かの自然現象によるものみたいなので、贖罪もへったくれもないのである。
考えられることは、イカルスの能力を見込んで自分の片腕にしようとした、ぐらいだが、まだ幼児であるイカルスを見て、そこまで分かるだろうか?
話を戻して、

イカルス「私はいつか必ずイカルス星を再興する、その為に子孫が必要なのだ」
さやか「でもどうして(私なの?)」
さやかのもっともな質問に対し、イカルスは額に嵌め込んだ宝石(?)からまばゆい光を放ち、

その場所に、かつてのイカルス星の王宮を再現する。

驚いて周りを見渡すさやか、誰かが近付いてくる気配に振り向くが、

相手の顔を見てハッと息を呑む。
それもその筈、

髪や衣装は違えど、自分と瓜二つの顔だったからである。

まるで生きているかのように、さやかを見てにこやかに微笑みかける王女。
イカルス「私の母だ」

イカルスの母は、意思があるかのようにさやかに歩み寄ると、その顔をじっと見詰めていたが、やがてにっこり笑うと、さやかの手を取る。
その体から神秘的な光が放射され、さやかの体を満たすと、

王女の姿が消え、代わりにさやかの衣装が王女のものに変わる。
さやか「はっ」
今のはイカルスの超能力が作り出した、今で言うバーチャルキャラのようなものなのだろうか?

イカルス「とても良く似合う」(註・100パーセント同感です)
さやか「……」
イカルス「渚さやか、私と共にイカルス星を蘇らせるのだ」
さやか「そんなこと、出来ないわ」
イカルス「何故だ?」
改めてイカルスからプロポーズされるさやかだったが、無論、そんな申し出を受け入れられる筈がない。
でも、戦隊のメンバーが「悪の組織」の幹部と恋愛関係(イカルスの片思いだが)になると言うのは、後の「マスクマン」のタケルとイアル姫の関係の原型になってるような気もする。

さやか「私はチェンジマンよ、仲間と一緒に地球を守る使命があるわ!!」
断る理由はいくつもあった(註1)ろうが、さやかは一番優等生的な理由を挙げて断る。
註1……具体的には、
・顔が中途半端に濃いから
・本家イカルス星人と被ってるから
・バズーのことをお義父さんと呼ばなくてはならないから
・一緒にジェットコースターに乗れそうにないから
などが考えられる。
イカルス「私が他のチェンジマンを倒し、地球を征服し、ここを第二のイカルス星にすれば問題ない。これからやつらを倒す」
さやか「やめて、やめてください」
さやか、イカルスの手を取って嘆願するが、イカルスはその体を突き飛ばし、自分だけ元の世界に戻る。
無論、清く正しい戦隊シリーズのメンバーであるさやかがそんな提案に惑わされることは1ミクロンもありえないのだが、イカルスの目論見どおりに進めば、さやかは将来的には地球の王女になれた訳で、ちょっとは心が動くのが生身の人間と言うものではないだろうか?
我々ボンクラとしても、さやかタンに支配されるのなら喜んで支配されるというものだ。
CM後、さやかの行方を必死に探している剣たち。

剣「いたか?」
疾風「駄目だ……さやかーっ!!」
そこへ伊吹っちから通信が入る。

伊吹「剣、さやかは発見できたか?」
剣「いいえ、まだ……そちらに連絡は?」
伊吹「ない。彼女に以上があったことは確かだ、大至急探してくれ!!」
剣「ええ、今そうしてたとこだったんですが……」 伊吹「あ、そうなの? お邪魔だった?」
相変わらず、クソの役にも立たない伊吹っちであったが、途中から嘘である。
と、剣たちに何者かが攻撃を仕掛けてくるが、それはイカルスでもアハメスでもなく、

ましてや巨大なワラジムシなどではなく、お邪魔虫のゴーストギルークであった。
ギルーク「チェンジマン、宇宙の墓場で味わった苦しみお前たちにも味わわせてやる」
剣たちがとりあえずチェンジマンに変身すると、
ギルーク「マーメイドのことを知りたくないか?」
フェニックス「マーメイドのこと、知ってるのね?」
ギルーク「イカルスと一緒だ」
ドラゴン「なんだとぉ?」
ギルーク「イカルスはマーメイドを殺しはせん、何があってもな」
ギルークはイカルスとさやかの関係を知っているようであった。
イカルスのプライベートなことまでギルークが知っている筈がないので、次元の間を行き来するうちに、さっきのイカルスとさやかのやりとりを見てしまったのだろう。
イカルス「やめろ、ギルーク!!」
だが、自分の好きな子の名前をバラされてはかなわんとばかり、イカルスとボーラがあらわれ、
イカルス「亡霊め、とっとと墓場へ帰れ!!」
ギルークに特殊なビームを浴びせて本来の次元に送り返す。

フェニックス「イカルス、マーメイドは何処?」
イカルス「マーメイドはもう戻ってこない」
アハメス「イカルスがマーメイドを……」
彼らの様子を草陰から見ていたアハメス、そうつぶやいてその場を離れるのだが、その後、特に目立った動きは見せず、はっきり言って余計なシーンとなっている。
個人的にはこのエピソードは3話ぐらい使って丁寧に描いて欲しかったところだが、そうなれば、アハメスが、さやかのことでバズーに反抗しているイカルスを唆して、バズーに叛旗を翻させるとか、あるいは、イカルスと組んでバズーの追い落としを企む……なんて陰謀をサイドストーリーとして織り込むことも可能だったかもしれない。
とにかく、なにがなんでもバズーにはとっとと退場してもらって、名実共にアハメス様の天下にして欲しかったなぁと言うのが管理人の願いである。
イカルス「トドメだっ!!」

イカルス、ボーラと一緒に垂直に飛び上がると、二人同時にビームを放ち、

4人の周囲で凄まじい爆発を起こす。
……
Q.今更だけど、なんで爆発はヒーローの周りでしか起きないの?
A.足元で爆発すると、俳優が死ぬからです。
やや自信過剰気味のイカルス、4人の生死も確かめずにさやかのところへ戻ってくる。
しかし、一人欠けたチェンジマンはゴズマにとって格好の標的なのに、アハメス様がこの機に乗じて彼らを殲滅しようとしないのは、いくらイカルスが指揮を執っているとはいえあまりに消極的で、アハメス様らしくないように思える。
まあ、ほんとにアハメス様が彼らを倒してしまっては、番組が終わっちゃうからね。

イカルス「チェンジマンは私が倒した」
さやか「まさか!!」
いきなりの宣告に、顔面蒼白になるさやかタン。

イカルス「奴らは木っ端微塵に吹っ飛んだ、もうお前に仲間はいない」
さやか「……」
イカルス「私と一緒にイカルス星を再興するのだ」
さやか「……」
だが、芯の強いさやかは、それくらい(註・剣たち「オイッッッ!!!」)で取り乱すことはなく、
さやか「イカルス星の悲劇やあなたの気持ちは分かったわ……でも、仲間を倒したあなたを私は許さない!!」
首を横に振ると、強い口調で叫ぶ。

さやか「あなたはイカルス星や、イカルス星人が恋しいかもしれない。でも、そんなあなたがさまざまな星を侵略し、自分と同じ悲しみを持った人々を作り出しているのよ!!」
しかし、「イカルス星人が恋しい」って、なんか重度の「セブン」マニアみたいだね。
イカルス「強いものだけが生き残る、それがバズー様が作った宇宙の掟だ!!」
さやか「間違っているわ……」
傲然と言い放つイカルスの前に立つと、その目を真っ直ぐ見詰めながら、

さやか「どんなに小さな星でも、どんなに弱い星でも命の重さは変わらないわ。イカルス、あなたのお母さんだって、そう教えてくれた筈よ……」
それこそ母親のように優しく、そして毅然とイカルスに言い聞かせる。
イカルス「……」
亡き母に思いを馳せていたイカルスの目に涙が滲むが、そこへいきなりバズーがあらわれ、

バズー「イカルス、その女を処刑するのだ」
イカルス「父上、お願いです、この女を私の……」
バズー「黙れ!!」
短気なバズー、ラオウみたいなイカつい命令を下すが、イカルスがそれに従わないと見るや、いきなり電撃ビームを浴びせて二人ともを地上に落とす。
うーん、でも、他のチェンジマンが死んだのなら、無理にさやかを殺す必要はなく、むしろここは「ふふふ、お前の好きにするが良い」と、結婚を許し、父親らしい襟度を見せるべきではなかっただろうか。
さやかが応諾せずとも、彼女を地球から連れ去るだけで、もしチェンジマンが生きていても無力化できたのだから、このバズーの行為はあまりに短慮、且つ愚かであった。
それに、失敗続きのギルークさえ一思いには殺さなかったのに、手塩に育てた自分の息子がちょっと逆らったからってあっさり殺してしまうと言うのは、どう考えても変である。
ともあれ、二人はダメージを負いながらもまだ生きていた。

イカルス「ぐはっ、母上……」
イカルス、なんとか顔を起こすと、少し離れたところに倒れていたさやかに手を伸ばそうとする。
既に瀕死のイカルスには、さやかの姿が亡き母親に見えているのだろう。

さやか「う、うう……」

さやか、それに気付くと、なんとか立ち上がってその手を掴もうとするが、再び倒れてしまう。

イカルス「はは、ぐぅ……」

さやか「イカルス……」
さやかも必死に手を伸ばし、せめて死ぬ間際に母親としてイカルスに安らぎを与えてやろうとするが、

運命の神(別名・脚本家)は残酷で、二人の手が触れる寸前、イカルスはこときれ、その右手は力なく落ちる。
さやか「あ……イカルスーっ!!」 なんだかんだでイカルスに好意を抱き始めていたのか、さやかは思わず絶叫する。
バズー「イカルス、さらばだ……」
バズー、イカルスの死体にビームを浴びせ、光の球として吸い上げる。
ついでにさやかも殺せばいいのに……
正直、このシーンにおけるバズー、何がしたいのか分からん。
この辺の唐突な感じも、管理人がこのエピソードを複数回にして描くべきだったと考える理由のひとつである。
そこへ忠実な守役ボーラが「ウォーッ!! ウォーッ!!」といかにも悲しげな鳴き声を上げながら駆けてくる。
空を見上げ、主人の死を悼んで悲しそうに鳴き続ける姿は、宇宙獣士ながら哀れであったが、
ここでも運命の神(別名・脚本家)は、信じがたいほどに冷血で、
ブーバ「ボーラ、イカルス様をバズー様に殺させたのはそいつだーっ!!」
ブーバがボーラを焚き付け、無理やりボーラをラス殺陣の生贄に仕立てるのだった。
まさに、鬼か、悪魔か、大映ドラマのスタッフかと言う怖さがある。
こうしてめちゃくちゃ後味の悪い筈のラス殺陣&巨大ロボバトルをビジネスライクにこなして、事件は解決する。

ラスト、悲しそうな目で夜空を見上げているさやか。
そこへ仲間たちが来て、

麻衣「イカルスも可哀想な人ね」
剣「イカルスは宇宙の孤児となり、星王バズーに育てられたのが悲劇だったんだ」

さやか(私はもっと平和なときに、イカルス星の王子イカルスに会いたかった……)

さやかの目には、宇宙の彼方にイカルスの母親が両手を広げて観音様のように微笑み、それに向かってイカルスが飛んでいくのが見えた。

その笑顔は、幼い日のイカルスに戻ったように無邪気で、痛々しいほどに明るかった。

悲しそうなさやかの横顔に、
ナレ「さやかは思った、平和なときにイカルスに会えたら、きっと友達になれただろうと……」
しんみりしたナレーションが被さって「幕」となるのだが、最後の最後に「友達」に後退しちゃったのは、いくらちびっ子ヘの配慮とは言え、ちょっとつまらないと言うか、逃げてるような感じがする。
やっぱりここは「恋人」じゃないとね。
以上、戦隊シリーズ史上、これほど切ない結末があっただろうかというほどに胸が締め付けられる、実に悲しく美しい愛の物語であった。
と、同時にさやかタンの魅力をこれでもかと堪能できる、さやかファンにとっては、22話「鏡に消えた戦士!」や31話「暴け!バズーの謎」と並ぶ神回と言えるだろう。
前記したように、これをたった1話で片付けてしまったのが残念でならない。
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