遂にラストである。嬉しくって涙が出ちゃう。
第28話「流せ熱い涙心ゆくまで」
友子、草笛光子と楽しい夜を過ごした静夫パパはこっそりと部屋を抜け出し、東京の北川に電話をし、大山産業のことをくれぐれも頼むと伝える。
前回、似たようなシチュエーションでおもいっきり騙された北川は当然容易には聞き入れなかったが、
「今こそ昔からの仲間として心からお前に頼む」と言う言葉に、漸く納得し、静夫パパが収監された後の処理を引き受ける。
↓参考までに27話での静夫パパの北川へのお言葉。
「お前はやっぱりワシの仲間だ。同志だ。心から礼を言うぞ。ありがとう!」 この後、サクッと裏切る。
こんな奴の言うこと信用できるか?
翌朝、友子たちは静夫パパがいないことに気付き、秀夫とともに探し回る。

夜明けになって、小さな船で沖に漕ぎ出している静夫パパを発見する。自殺しようと言う設定なのだが、どう考えても彼らに発見して(助けて)欲しくてやってるとしか思えない。
彼は、漁師だった父親がぶつかって命を落とした岩肌に突撃して死のうとするが、秀夫が泳いで追い付き、彼を海に引きずり込んで無理矢理助けてしまう。
負け犬として惨めな目に遭いたくないと言う静夫パパを、これまで散々励まされてきた友子が逆に叱咤激励する。
秀夫も「俺もあんたが好きだ」と、愛の告白をしたので、静夫パパは自殺を諦め、男らしく罪に服することを決意する。
一方、北川と静夫パパの会話から、北川の所在を知った殺人犯・矢野は、JALで高知へ飛んでくる。

日本人離れした掘りの深い顔立ち(谷隼人)なのに、余裕で四国まで来れちゃう法治国家ジャパンであった。
で、まさかと思ったが、彼は静夫パパを射殺しようとするのだが、同じくJALで駆けつけてきた北川が静夫パパを庇い、銃弾に倒れる。

矢野も遂に必殺の
「友和パンチ!」を喰らい、死ぬ(註・死にません)。
北川は友子に手を握られながら大映ドラマ的ににぎにぎしく昇天する。
この矢野と言うキャラ、結局ただの殺人鬼になってしまって、もう少し奥行きのあるキャラにできなかったかなぁと思う。それに言ってみれば彼のお陰で全てのドラマが始まったのだから、ドラマ的には創造主みたいなもんだしね。
静夫パパはやっとこさ逮捕される。

で、笑ってしまうのだが、静夫パパ、それまでさんざん悪いことをしてきたのにここで180度人が変わって善人キャラになってしまうのだ。さすがにここまで完全に変身されると説得力がない。
大山産業の後始末は、序盤に買収したマロン製菓の社長に頼む。
気がついたら、友子の恋のライバル木内みどり、ただの脇役で終わってしまった。
静夫パパは、全財産を投げ出して、罪を償うと言う。
ゆたか「よく決心したね」
静夫「悪に強い奴は善にも強い。ワシは中途半端なことは嫌いだ。負けた以上、もう何の未練もない。全面的に降伏する」
こうして、あの大山邸も人手に渡るのだが、既に家を出ているゆたかや友子はともかく、家付きワガママ娘の政子(原知佐子)は、当然納得できない。それまでセレブ生活していたのにと、ぜんぶ友子が悪いのだと責め立てる。ま、確かにその通りなんだけどね。
29話「愛よ走れ!」
いよいよ最終回。
大黒柱を失った友子たちは、力を合わせてこの難局に立ち向かう。

友子の祖父(大坂志郎)も、駐車場の誘導か何かをして働く。すげえわざとらしいけど。

友子は、競技会に出るのだと秀夫とトレーニングに励む。
……働いたら?
それにしても、百恵さん、ムチムチと脂が乗ってて美味しそうなボディだ。

やけくそになった政子は、ホステスになるが、無論お嬢様育ちの彼女にそんな仕事がつとまるわけがない。つーか、よく雇ってくれたな。

で、女たらしで有名な悪い男に引っ掛かる。自分はこのシーンで思わずふいてしまったが、それを演じているのが若尾義昭だったからだ。彼を見るとついつい横溝正史シリーズ「仮面舞踏会」を連想してしまう。草笛光子とも共演してたしな。
友子は政子がそいつの車に乗るのを見て、必死に走って追い掛ける。
政子「友子、あたしを助けるために走ってくれたのね」 と言う訳で、あっさりと改心していい奴になってしまう政子であった。
死ぬ間際にいい奴になるんじゃねえ(byながいけん) 死なないけど。
こうしてオセロゲームのように悪い奴がどんどんいい奴に変身していく中、実は最後に残る物語上の悪役は、秀夫の母親、南田洋子だったことが判明する。
空気の読めない彼女は、頑なに友子と息子の結婚には反対する。

友子は彼女に会い、競技会に出て昔のように走れるようになったら、秀夫とはきっぱり別れると言う。つまり、友子が懸命にトレーニングに励んできたのは、彼女を下半身麻痺に追い込んだ秀夫の前で立派に走って見せることで、秀夫の罪悪感を消そうと言う深慮が隠されていたのだ。
ところで、ここで友子が
「半年前まであたしは走ることだけが生き甲斐でした……」と話すのだが、信じられないことに、彼女が銃弾を受けてからまだ半年しか経っていなかったのだ。まあ、ドラマの放送期間と合わせてあるのだろうが、半年の間にうんざりするほどいろんなイベントが発生したよなぁ。
友子の場合だけを見ても、銃撃に巻き込まれたのを皮切りに、何度も手術を受け、何度も街をさまよい、沖縄と箱根と高知へ行き、卒業式の答辞を読み、車の免許を取り、ギターの練習をし、秀夫と(Hのない)同棲をし、その部屋でボヤを出し、殺人犯に誘拐され、合宿先で秀夫の父親を見付け、自殺未遂をし、車椅子バスケットボールをやり、裁判で証言し、飛行機の中でも手術を受け、養父に二、三回親子の縁を切られ、実の父親の最期を看取り……
やっぱこれドラマだ(当たり前だ)。

えー、で、友子は競技会に出場する。名古屋章のはからいで、静夫パパもスタンドで彼女の姿を見守っていたが、途中で足が痙攣し、歩いて何とかゴールする。
南田洋子は、そのひたむきな姿に心を打たれ、遂にふたりの結婚を認めるのだった。
ラストは、やはりスプリンターとしてはダメだと諦めた友子が、思い出のためにと秀夫と一緒にグラウンドを走ると言う意外なシーンで幕となる。
しっかりとアディダスのロゴを見せながら…… ドラマはこれで終わるからいいよね。この後、ふたりは結婚してやがて子供が生まれ、その子供がグレて、夫婦の間にも倦怠期が訪れ、秀夫は若い女に手を出して友子は変な宗教に走り……なんてことには絶対ならないからね。
しかし、静夫パパ、あれだけコロコロと人格が変わると言うことは、シャバに出てきたらまた悪いことをして金持ちになるんだろうなぁ。
総括すると、やっぱり大映ドラマだなぁと言う作品であった。主役の男女ふたりが共に両親の間の子ではなく、しかも義理の兄妹と言うありえない設定からしてぶっ飛んでいる。
でも、思ったほどには人死にがなくて、その辺は良かった。合計すると病死1、他殺2であった。あと、百恵さんも色っぽいけど、別にもっと可愛い女の子がいたらなお良かった。岡まゆみさんはちょっとしか出てないからね。
と言う訳で、レビューは終わりです。