第20話「地震源Xを倒せ」(1968年2月18日)
冒頭、「国際核研究セソター」と言うプレートが映し出され、

岩村「バカモノ!!」
ダン&ソガ「……」
ついで、何者かに怒鳴りつけられ、先生に叱られている小学生のように竦み上がるダンとソガの仲良しコンビの姿。
実にキャッチーな導入部である。

岩村「帰れ、帰ってヤマオカ君に言いたまえ、急用ならそっちから来いと」
いかにも一徹そうな老科学者・岩村博士を演じるのは、寅さんでお馴染みの吉田義夫さん。
ヤマオカと言うのは、地球防衛軍のヤマオカ長官のことである。

ソガ「ですからお迎えに……」
ダン「岩村博士!!」
子供の使いではないので、二人も必死に食い下がるが、

岩村「分からん奴だなぁ、今は手が離せないんだ、分かったか」
ダン「はぁ、分かりました」
その眼光に睨まれると、さすがのウルトラセブンもたじたじで、思わず鸚鵡返ししてしまう。
ソガ「しかし、博士……」
岩村「分かったら帰れ」
ソガ「博士、ですからこうしてお迎えに……」
ソガがなおも言葉を継ぐが、博士は皆まで聞かずにピシャリとドアを閉めてしまう。
とりつく島がないとはこのことで、

眼前で激しくドアを閉められ、思わず固く両目をつぶる二人。

ダン「驚きましたねえ……あれで18才って言うんですから」
ソガ「マジで?」
じゃなくて、
ダン「驚きましたねえ」
ソガ「いやぁ、聞きしに優る頑固ものだ」
ダン「あぁ」
二人がほとほと困り果てていると、
榊「どうしたんです?」
振り向けば、白衣を着た若い男がにこやかに立っていた。

ソガ「いやぁ、どうもこうもないですよ」
榊「はっははっ、岩村先生の一喝を食らいましたね」
ダン「あのう、あなたは?」

榊「あ、申し遅れました、私、岩村先生の助手の榊です」
ソガ「えっ、あの頑固オヤジの助手を?」
こんな日活ニューフェイスみたいな爽やかな青年があの博士の助手を勤めていると聞き、心底感心する二人であった。
さて、報告を聞いたキリヤマは、

キリヤマ「はっははははは、やっぱりやられたか」
意外そうな素振りも見せずに愉快そうに笑う。

ソガ「ええっ?」
ダン「隊長、ご存知だったんですか?」
キリヤマ「有名な男だよ、だが、地球の核の研究者としては世界でも有数な学者だよ」
それにしても、男たちに囲まれたアンヌが、実際以上に小柄に見えて、実に可愛らしい。
キリヤマ、制服がパツンパツンのお腹を波立たせながら立ち上がり、
キリヤマ「しかし、弱ったなぁ、至急博士の意見を聞きたいんだが」
ダン「例の局発性地震のことですね」
キリヤマ「うん、ほとんど人体には感じない小地震だが、どうもおかしいんだ。普通の地震じゃない」
その地震が起きているのが青沢山岳地帯であったが、おりしも、1台のラリーカーが麓の街を通って、山の方へ向かっていた。

玲子「おかしいなぁ」
光子「玲子、しっかりしてよ、ラリーの勝敗は掛かって玲子にあるんだから」
玲子「ええ、でもおかしいんだ、何処走ってんだかわかんなくなっちゃった」
光子「そんな馬鹿な」
玲子「とにかくもうちょっと行ったところで三叉路へ出ればそれでオッケイよ」
しっかりもののドライバー光子と、頼りないナビゲーターの玲子の女子大生ペアであった。
しかし、「何処走ってるのか分からないの」のに、なんで「三叉路へ出ればオッケイ」なんてことが断言できるのだろう?
それでもしばらく走ると玲子の言うとおり三叉路があり、玲子の指示で左に進むが、

光子「玲子、道がなくなったわよ」
玲子「ごめん、私、方向音痴なの」 光子「……」
ナビゲーターが絶対言ってはいけない台詞を抜け抜けと口にする玲子を、思わず窓から放り投げたくなった光子であった。
光子「あーあ、これでラリー失格よ。でもどんなことをしてでも決勝点まで行き着くわ」
玲子「うん!!」
光子は光子で、ラリーを諦めたのか諦めてないのか、前後倒錯の台詞を口にする。
二人してラリッてるとしか思えない、まさにラリーレースにふさわしいコンビであった。
だがその直後、前方から眩しい光が差し込んだため、光子がハンドル操作を誤り、車が崖から滑り落ちそうになって動けなくなる。
光子「ダメだわ、ね、さっき光ったのなんだったんだろう」
玲子「稲妻よ、山の中では多いのよ」
光子「でも光っただけで音はなかったわ」
玲子「あら、これ見て!!」
玲子が指差したところに、赤い、奇妙な鉱物が落ちていた。

光子「わあ綺麗」
玲子「重いわ」
光子「なんて石?」
玲子「知らない」
と、急に地面が揺れはじめ、頭上から石が崩れて落ちてくる。
しかも、怪獣のような唸り声が聞こえてきたため、二人は怯えて抱き合う。
その地震をキャッチしたウルトラ警備隊では、キリヤマが再度ソガとダンに岩村博士に会って来るよう命じるが、

ソガ「もういっぺん行くんですか、ダメですよぉ、なぁ、ダン」
キリヤマ「何がダメだ」
ソガ「堪忍してくださいよ、隊長の命令なら、宇宙の果てだろうと地獄の果てだろうと喜んですっ飛びますが、岩村博士のところだけは……」
よほど怖かったのか、百戦錬磨のソガともあろうものが、泣き言を並べて命令を拒絶する。

キリヤマ「一応参考になる資料を岩村博士から頂いてくるんだ」
ダン「はい」
キリヤマがソガを無視してダンに命じていると、フルハシとアンヌが連れ立って入ってくる。
ソガは嬉しそうにキリヤマの肩を叩くと、

ソガ「隊長、フルハシ隊員が適任です」
キリヤマ「ええ?」
世にも嬉しそうな顔をしてフルハシを人身御供にしようと言い出すソガを見て、
キリヤマ(こいつ、サイコパスじゃあるまいな?) と、疑うキリヤマだったが、嘘である。

フルハシ「と、と、とんでもない」
フルハシが、おぞけをふるって拒否すると、

ソガ「そうだ、アンヌ隊員が最適任者です!!」
キリヤマ「……」
舌の根も乾かぬうちに、今度はアンヌを指名するソガの支離滅裂ぶりに言葉もないキリヤマであった。
だが、

ソガ「たのむよ、アンヌ隊員」
アンヌ「ええ、いいわ!!」
泣きそうな顔でソガに懇願されると、気軽に引き受けるアンヌであった。
ああ、かわええ……
アンヌ、ダンの前に進み出ると、

アンヌ「ねえ、ダン」
ダン「うん」
ダン、ここでは至極あっさり頷いているが、実際に再び国際核研究セソターを訪れ、博士の研究室の前まで来ると、

ダン「……」
アンヌ「ここね……」
まるで、母親に連れられて友達に謝りに来た子供のように意気地がなくなる。

アンヌ「さっ」
ダン「頼むよ」
アンヌ「うんっ、弱虫!! あっ、いたぁ……」
尻込みするダンを罵りながらアンヌがドアを開けて入ろうとするが、金属製のケースをいくつも抱えた榊とぶつかり、後ろの壁まで押し戻される。

榊「ああ、これはどうも」
ダン「榊さん!!」
アンヌ「あの、岩村博士は?」
榊「出発しました」
ダン「何処へ」
榊「青沢山岳地帯です」
アンヌ「えっ、もうイッちゃったの?」
榊「あのあたりで異常な地震が続いていることはあなた方もご存知でしょう」
ダン「ええ、我々もそのことで伺ったんです」
普通なら、これから博士のところへ行くと言う榊に同行を申し込むと思うのだが、何故か二人は一旦本部に戻ってくる。
アンヌ「……と言うわけなんです、隊長」
フルハシ「はははは、やられやがったね」
アンヌの報告の直後、フルハシたちが笑って何か言うのだが、正直、なんて言ってるかよく分からない。
つーか、そもそも別に笑うようなところじゃないと思うんですが……
キリヤマは、改めてフルハシを加えた三人に、調査と博士の警護のために出動を命じる。
ただ、後に彼らは博士が何処にいるのか知らないことが判明するので、一体どうやって警備するつもりだったのか、甚だ疑問である。
いや、常識で考えて、榊から博士の所在は聞いてる筈なんだけどね。
ともあれ、ホーク1号で青沢山岳地帯に赴いた三人は、崖崩れの現場付近で乗り捨てられたラリーカーを発見、ついで、近くの茂みに隠れていた光子たちと出会う。
フルハシ「どうしたんだ?」
光子「ラリーの車で、道が分からなくなって」
玲子「心細くなってどこかうちを探してたら、物凄い大きな唸り声がして怖くて」
ダン「唸り声?」
一瞬、それって博士の怒鳴り声じゃないのかと思うダンであったが、嘘である。
嘘だけど、そんな軽口を叩くシーンがあっても良かったかも。
フルハシ「まさか、岩村博士の怒鳴り声じゃあるまいな」
アンヌ「バカ言わないでよ」
ダン「いや、ありうる」
アンヌ「まあ、ダンまで!!」
みたいなね。
フルハシたちは、雑木林の奥に鬱蒼と佇む別荘風の建物に辿り着き、玄関の戸を何度も叩いて呼びかけていると、

岩村「誰だ、家をぶっ潰す気か」
フルハシ「おっ」
カンテラ片手に出てきたのは、他ならぬ岩村博士だった。
岩村「いい加減にせんか、この家は地震でガタガタになってるんだ、何の用だ」
ダン「偶然です、博士の家と知らずに」
岩村「ワシの家ではない、この辺一帯の調査のために借りているんだ。お前たちは今頃、何しに来た?」
ダン「はぁ、調査です、例の地震の……」
岩村「調査ぁ? 遅い、遅過ぎる!!」
ダン「……」
何を言っても怒られるので、いっそのこと撃ち殺そうかと思うダンであったが、嘘である。
フルハシ「いや、あの、しかしですね、我々防衛軍の任務は宇宙の侵略から地球を守ることで、つまり、今回の地震について……」
フルハシがしどろもどろで何か言いかけるが、
岩村「理屈を言うな、今度の連続地震が宇宙の侵略でないとどうしていえるんだ?」
フルハシ「するとやっぱり、宇宙からの? それは地震に関係があるんですね」
岩村が奥へ引っ込んだので、フルハシたちもぞろぞろその後について家の中に入る。
ちなみに、外観では明らかに電灯がついてるのに、内部に入ると停電になっている。
ひとり籐椅子に腰掛けた博士のまわりに、フルハシたちが所在なげに立っていると、

岩村「そこに湯が沸いている、コーヒーを入れろ」
博士が、召使にでも言うように、横柄に指示する。
フルハシとダンは勝手に籐椅子に座りながら、

フルハシ「いえ、我々は結構です、な?」
愛想笑いを浮かべて遠慮すると、

岩村「うん? ワシが飲むんじゃ!!」

フルハシ&ダン「え~っ?」
岩村の傍若無人ぶりにほとほと手を焼き、ウンザリした顔になる二人。
もっとも、ここはフルハシも悪いんであって、博士の言い方では明らかに自分ひとりが飲むためのコーヒーを入れろと言ってるのに、それを自分たちにもご馳走してくれると思い込むほうがおかしいのである。
せめて、アンヌに向かって、
岩村「何をボサッと突っ立っておる? そこに湯が沸いておる。コーヒーを入れろ、三人分じゃ」
アンヌ「はっ、はい」
フルハシ「あ、我々は結構ですから」
岩村「うん? 誰がお前らに飲ませると言った? ワシと、そこのお嬢さん方が飲むんじゃ」
みたいなやりとりなら分かるんだけどね。
などとやってると、二階から榊が降りてくる。
榊「先生、機械の準備が終わりました」
岩村「ええ、機械が来ても電気がないんじゃどうしようもない」
言われたとおりに博士にコーヒーを入れていたアンヌは、にこやかに榊に話しかける。
アンヌ「榊さん」
榊「やあ、早かったですね」
岩村「うん、お前たちは榊を知ってるのか」
アンヌ「はい」
岩村「うんー、この男はワシの右腕だ。若いが優秀な科学者だ」
彼らが榊と知り合いだと聞くと、急に機嫌が良くなり、目を細めて榊のことを褒める。
フルハシ「そうでしょう、博士の助手が務まるくらいなら、もうなんだって務まりますよ」
岩村「ふんっ」
フルハシが追従を装ったイヤミを言うが、博士は鼻を鳴らすだけ。
その博士の目が、玲子の持っていた例の鉱石を捉える。
岩村「うん? なんだそれは? どうしたんだ?」
光子「拾ったんです」
岩村「拾った?」
岩村は思わずそれを手に取ると、興奮気味に榊に見せる。

岩村「榊、これを見ろ」
榊「先生!!」
岩村「そうだ、ウルトニウムだ」
榊「ええ、こりゃ大変なことになりますよ」
二人だけで盛り上がっているところにアンヌが割り込んで、
アンヌ「ウルトニウムって?」
榊「地球を形作っている物質の中心、つまり核です」
岩村「こんなものがその辺に転がっている筈がない。地下深くから誰かが運び出した……大量に運び出されると、地球は核を失ってバラバラになるぞ」
翌日、事態を重く見たタケナカたちは、地下を本格的に調べるため、ソガとアマギにホーク3号でマグマライザーを青沢山岳地帯まで空輸させる。
アマギが操縦するマグマライザーを見た岩村は、

岩村「ああ、乗るぞ」
榊「いけません、あの地震で地下はどうなっているか分かりません、先生の身に万一のことがあると」
岩村「いや、ワシは行くんじゃ」
榊「早く行って下さい」
血気盛んにも自らマグマライザーで地下に行こうとするが、榊に必死に止められる。
だが、その正体がシャプレー星人である榊にしてみれば、むしろ岩村を地下に行かせた方が得策のような気もするが……
もっとも、榊が止めなくても、どうせダンたちが岩村を同乗させるようなことはしなかったろう。
それはそれとして、相変わらずアンヌの横パイが美味しそうなのである!!
色々あって、ダン、フルハシ、アマギの三人でマグマライザーで地下に潜ることになる。
しばらく進むと、彼らの耳にも、岩盤を破砕する音に混じって、怪獣の唸り声のようなものが聞こえてくる。

ダン「あれだ、ラリーの学生が聞いたのは」
フルハシ「うん、なんだろう? マグマライザーよりキリヤマ隊長へ……フルハシより作戦室へ……ダメだ、隊長ーっ!!」
フルハシ、通信機でキリヤマと連絡を取ろうとするが、雑音がひどくて全く通じない。
ついで、機内の温度がぐんぐん上昇していく。
屋敷に戻ったアンヌも、ダンと連絡を取ろうとするが、無論、通じない。

アンヌ「ダン、ダン!!」
岩村「貸せ、ワシがやろう。ダン、呼ばれたら返事をせんか」
ま、通じたところで、どうにもならないのだが……
それはそれとして、アンヌの横パイの素晴らしさよ!!
放送から半世紀以上たった今にして思えば、実は「ウルトラセブン」の真価とは、SFマインド溢れるシナリオでも、芸術的な特撮美術でもなく、アンヌの横パイにあるのではないかと、管理人の知り合いが言ってました。
榊「先生、事故が起きたんですよ、事故が」
岩村「ううん」
榊「ひょっとすると、マグマの中に突っ込んでドロドロに溶けたのかもしれません」
光子たちがラリー車を反対側から押して、道に戻そうとしているカットを挟んで、

榊「アンヌさん」
アンヌ「え?」
榊が、アンヌに囁いて、窓辺に立って外を眺めている岩村博士のほうを指差す。
アンヌが榊の指にあわせて視線を上から下、ついで、背後の壁に動かすと、

窓から差し込む光が、博士の影を作り出していたが、それは明らかに人間のものではなかった。
アンヌ「えっ」
榊「そっと出ましょう」
アンヌ「ええ」
榊に言われるまま、アンヌはこっそり部屋を抜け出る。
二人はそのまま家を出て、山の方へ向かうが、入れ違いに戻って来た光子たちが、榊が、奇妙な形をした金属片を落とすのを目撃する。
二人をそれを拾って、岩村博士に見せる。

岩村「これを榊が……榊がどうしてこれを?」

榊「長い間一緒にいた私でさえ、やっと気がついたんだから」
アンヌ「岩村博士が宇宙人だなんて」
榊「うん、隊員たちは罠に落ちたんだ」
アンヌ、すっかり榊に丸め込まれ、岩村博士が宇宙人だとばかり思い込んでいた。
ただ、よくよく考えると、そもそもなんでそんな詐術をアンヌに仕掛けねばならないのか、その辺がよく分からないのである。
さっきの時点では、榊は誰からも怪しまれていないのだし、岩村博士にしても、アンヌにしても、シャプレー星人の計画の障害になるとは思えない。
それを言うなら、榊が岩村の助手に成り済ましていること自体、特に意味がないように感じられるんだけどね。
と、早くも岩村博士が追いかけてきて、

アンヌ「近寄らないで、撃つわよ!!」
岩村「榊、これはなんだ?」
榊「はっ」
アンヌ、銃を向けて威嚇するが、博士は構わず榊を問い詰める。
岩村「これは地球の金属ではないぞぉ」
榊「ひゃっ、知らない、これは私のものではない」
岩村「じゃ捨てて良いんだな、捨てるぞ!!」
榊、岩村の手から金属片を毟り取ると、

榊「ふっははははっ、とうとう見付けたか」
二人から離れたところに立ち、金属片を胸に当てると、

小爆発が起き、その姿がシャプレー星人本来のものに変わる。
つまり、それはダンにとってのウルトラアイのような変身アイテムだったらしい。
そんな大事なもんポロッと落とすなよ。
シャプレー星人「暗黒星雲の惑星、シャプレー星人だ!!」
アンヌ「あっ!!」
岩村「やはりそうだったか」
これも今更のツッコミだけど、なんで星人ってこんな風に名乗るのだろう?
たとえばソガが、暇なのでどっかの星に侵略に行ったとして、
ソガ「太陽系第三惑星、地球星人だ!!」
なんて自己紹介をするだろうか?
普通は、
ソガ「太陽系第三惑星、地球から来たソガ様だぁっ!!」
だよね。
それはともかく、
アンヌ「でも、さっき、岩村博士の影が……」
岩村「うん?」
シャプレー星人「はっははっ、あれは簡単な催眠術だ、アンヌ、君の影を見てご覧」
アンヌ「え?」
シャプレー星人に指差されるまま自分の足元を見ると、

アンヌ「わっ、あっ」
自分の影が、さっきの化け物のようになっているではないか。
ちなみにこれ、さっきの岩村博士の影と、微妙に違うんだよね。
ま、どちらも過去の星人の着ぐるみを使ってるんだろうが。
シャプレー星人「分かったかね」
シャプレー星人、岩の上に飛び上がって銃を撃つが外れ、

ソガ「アンヌ、目を狙え!!」
アンヌ「ええ」
ホーク3号に乗ってきたソガが突然山の上にあらわれ、二人一緒にビームを撃ち、あっさりシャプレー星人を倒す。
ちなみに「目を狙え」と言われたアンヌでしたが、撃ったのは胸でした。
よっぽとソガのことを信用してないんだね(註・違いますっ!!)
シャプレー星人「ギラドラス、ギラドラス!!」
シャプレー星人、断末魔の悲鳴のように怪獣の名前を叫ぶと、火だるまとなって崖から転落する。

と、それに呼応して、ギラドラスと言う怪獣が山の稜線の向こうから顔を覗かす。

一方、マグマライザー、ギラドラスの起こした震動によるものか、それとも単に自重によるものか、足元が崩れて下の空洞に落ち、沸騰するマグマの池の手前でかろうじて停止する。

フルハシ「空洞に落ち込んだんだ」
ダン「ウルトニウムを掘り出したあとです。見てください、マグマが吹き出しています」
しかし、地球の核って簡単に言うけど、地表から3000キロ近く下にあるわけで、マグマライザーでちょっと進んだだけで到達できるような場所ではないんだけどね。
ましてやそれが生身の怪獣ならば、到底そんなことは不可能で、途中で窒息するか、圧死するのが関の山である。
もし、岩村博士が、簡単に核に到達できるようなメカor装置を開発していて、それをシャプレー星人がウルトニウム採掘のために利用しようとしていた……と言うのなら、シャプレー星人が榊助手に成り済ましていたことの、視聴者も十分納得できる動機にもなったと思うのだが。
マグマライザー内の気温がどんどん上昇し、酸素も少なくなったため、フルハシ、アマギは相次いで倒れ、意識を失う。

ダン「デュワッ!!」
ダン、朦朧とした意識の中、遂にウルトラアイを装着し、

機内が眩しい閃光に満たされるのだが、

ほんの一瞬、背後の壁に、明らかに人と思われる影が動くのが見えるのが、この番組にしては珍しいミステイク。

あと、変身後のウルトラセブンが、ウルトラアイを持ったポーズを保っていると言うのも、シリーズ通してこのシーンだけではないかと思う。

地上では、ギラドラスが「遊星からの物体X」ばりに大きく口を開けて暴れまくっていた。
考えれば、コイツも不憫な奴である。
何も知らずに異郷の星へ連れてこられ、キツい採掘作業に従事させられた上、最後は異星人に殺害されるのだから……
やがて、マグマライザーを両手で抱えたセブンが、地面から飛び出してくる。

いつの間にか、空は灰色の雲でくまなく覆い尽くされ、さらにはギラドラスが呼ぶのか、雷光が走り、砂嵐が吹き荒れ、遂には吹雪となって地表が白く塗り潰される。
ギラドラス、別に特別な攻撃手段があるわけではないが、何しろ図体が大きく、セブンも攻めあぐねていたが、そこに風雪が追い討ちを掛け、寒さに弱いセブンは急速にエネルギーを失い、

ギラドラスの巨体にのしかかられたまま、
「あと5分だけ寝かせて……」とでも言ってるような顔で意識を失いかける。

アンヌ「はっ、ウルトラセブン、立つのよ!!
立ったら、○○○○○あげる!!」
と、ここでアンヌが大声でセブンを叱咤激励する。
突然ですが、ここで問題です。
アンヌは一体何を「あげる」と言ったのでしょうか、以下の三つのうちからお選び下さい。
1……ラーメンライスセット
2……ロマンティック
3……今、あなたが想像したとおりのこと
正解はCMのあと!!
嘘はともかく、げにも女の力は偉大で、その一言でたちまちセブンは元気を取り戻して立ち上がる。
「立てるんだったら最初から立てや」などという、心無いツッコミはご遠慮願いたい。
セブン、ギラドラスの顎にアッパーを食らわすと、

セブン「デュワッ!!」

後方に倒れ込みながら、目にも止まらぬ早業でアイスラッガーを飛ばし、

ギラドラスの首を切り飛ばす。

その無残な切り口から、大量のウルトニウム鉱石が溢れ出し、同時にその後ろに首が落ちると言う、凝りに凝った虐殺シーン。
……
「最初からそうしろや」などと言う、心無いツッコミはご遠慮願いたい。
セブンが両腕を胸の前で左右に動かすと、それにあわせて雲が切れ、明るい日差しが戻り、積もっていた雪もみるみる溶けて行く。

で、少々やり過ぎの感もあるが、足元から伸びる虹の橋をくぐって、空の彼方へ帰っていくセブンであった。
事件解決後、ダンに揺り起こされて意識を取り戻すフルハシとアマギ。
フルハシ「地上だ、こりゃ一体どうなってるんだ」
ダン「僕も今目が覚めたんです」
マグマライザーの無事な姿を見たアンヌが、急いでキリヤマに報告する。
アンヌ「隊長、ウルトラセブンの働きで怪獣を倒し、宇宙人の侵略は終わりました」
キリヤマ「良かった、マグマライザーはどうした、無線が通じないんだ」
フルハシ「はい、こちらフルハシ、マグマライザーも無事、ウルトラセブンによって助け……られたらしいです」
キリヤマ「なんだ、らしいですとは」
フルハシ「残念ながら、気を失ってましたので、面目ありません」
キリヤマ「いやいや、みんな無事で何よりだ」

キリヤマ「すぐに帰還せよ、ただしフルハシは、岩村博士のボデーガード兼助手として残れ」
クレープ食ってるようにも見えるキリヤマの冗談に、

フルハシ「ええーっ? くわーっ、ついてねえや」
アマギ「先輩」
ダン「さあ、行きましょ、行きましょ」
思わず顔をしかめて唸るフルハシを笑いながら促して、ダンたちがマグマライザーを降り、博士たちと笑顔で再会するところで終わりです。
以上、岩村博士の強烈なキャラクターに振り回されるダンたちの様子が抜群に面白い、文句なしの力作であった。
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