第4話「悪魔のオートバイ暴走作戦!!」(1975年4月26日)
冒頭から、4人の暴走族風の若者が我が物顔で車線いっぱいに広がってバイクを飛ばしている。

そのうちの二人は、手塚茂夫さんと松坂雅治さんのMAC組であった。
まあ、地球のために頑張っていたと言うのにあんな惨めな死に方したら、そりゃグレたくもなりますわな。
4人組はただ暴走するだけでなく、トラックだろうと乗用車だろうと、手当たり次第にまとわりつき、騒ぎ立て、要するに今で言う「煽り運転」みたいなことをしてハンドル操作を誤らせ、次々事故を起こしていく。

トラックを仕留めたあと、カップルの乗るセダンに群がると、

若者「何処行くんだよーっ?」
男「新婚旅行だよ」
若者「お幸せに!!」 見掛けと違って、なかなか気のいい若者たちであったが、嘘である。
その車も結局事故り、4人は性懲りもなく三台目の車の前を蛇行運転して進路妨害するが、
女「しょうがないわねえ」 男「まったく」
お嬢さん、いま、笑うところじゃないです。 果たして、バイクは逆走して車に正面から激突し、フロントガラスが砕け散る。
正直、そんなことしたらバイクのほうもタダでは済まないと思うのだが、何故か彼らはピンピンしていた。
で、この暴走シーンがちっとも心に響かないのは、車やバイクの突っ込んでくるカットに悲鳴や衝突音、破砕音を被せるだけで、実際に車が壊れたり炎上したりするシーンはひとつもなく、

それを全部、全然関係のない事故の報道写真で誤魔化すと言う、思わずイスカンダルに旅立ちたくなるほどビンボー臭い、そのセコい演出のせいであろう。
言うまでもなく、彼らの後ろで糸を引いているのはブラックサタンであった。

タイタン「そうだ、その調子だ、次々と交通事故を起こし、人間どもを恐怖のどん底に陥れるんだ!! はっはっはっはっはっ……」
作戦の順調な滑り出しを、コンテナの上から見下ろして哄笑を響かせるタイタン様。
まあ、わざわざそんなことしなくても、当時は交通戦争といわれるほどめちゃくちゃ事故が多かった時代なので、十分人々は恐怖のズンドコに嵌まってたと思うんですけどね。
ともあれ、ワンパク4人組はその後も暴走行為を続け、着々と実績を積み上げていたが、彼らの耳たぶにブラックサタンのマークがあるのを見た茂、慌てて追いかける。
だが、

タイタン「やあ、失礼、フグ調理師免許を取ったばっかりでね」
茂(関係ねえだろっ!!) じゃなくて、
タイタン「やあ、失礼、免許を取ったばっかりでね」
すかさずタイタン様自ら車を割り込ませて茂の進路を塞ぎ、邪魔をする。
でも、ストロンガーの妨害をするのにカブト虫ことビートルを使うとは、タイタン様、なかなか洒落っ気のあるお方である。
これだけ何度も顔を合わせていれば、茂の興味はむしろタイタン様に向けられると思うのだが、
茂(怪しいオートバイ乗りだった、確かに普通の奴らじゃない……)
何故か、タイタン様には一顧だにせず、もっぱら暴走族のことに思いを馳せるのだった。
なお、このシーン、良く覚えておいて頂きたい。

続いて、車体に小西学園と書かれた送迎バスの中、ユリ子がまるで小学校の教師のような感じで、子供たちに歌わせている。
子供たち「僕らはみんな生きている、生きているから歌うんだ~♪」
まさかほんとに教師をやっているとも思えず、状況はさっぱり分からなかったが、

で、そんな歌を歌っているのが、いかにもビンボーな家に生まれ、人生に何の望みもなく、ただボーフラのように毎日無為に過ごしているような(註・そんなことありませんっ!!)お子様たちなのが、ちょっと笑えるのだった。
それはそれとして、例によって髪がボサボサで、若干カエルっぽい顔のユリ子が可愛いのである!!
と、そこへ例の4人組があらわれ、一旦追い越すと、こちらに向かって突っ込んでくる。
まあ、それこれ、バスなんかに喧嘩売ったら返り討ちに遭うのがオチなんじゃないかなぁ?

ユリ子「貸して、私に任せて」
運転手「
はい」
ここでユリ子姉さんが自ら運転を買って出るのだが、それに対する運転手の返事が妙に小さいと言うか、普通と言うか、緊張感ゼロなのが割りとツボなのだった。
バスの運転まで出来るユリ子姉さん、実にいなせで頼もしかったが、子供たちを乗せているのでそう無茶なことも出来ず、あえなくガラスを割られて路肩に突っ込んでしまうのだった。
ドライバーの交代、意味なし!! で、4人がバイクを止めて勝鬨を上げていると、画面の外から、自転車に乗った小柄なおまわりさんが「つーっ」と言う感じでやってくるのが、これまたかなりのツボである。
スタッフが経費をケチりたい気持ちは分かるが、せめて白バイぐらい出しましょうよ~。
つーか、こんな場所に派出所のお巡りさんが速攻で来るって、そっちのほうがよっぽど変だよ!!
バスの中では、ユリ子を含め、子供たちが全員ぐったりと倒れていた。
警官はすぐ救急車を呼ぼうとするが、

リーダー格の手塚さんの耳からサタン虫が這い出て、ゴロンガメと言う奇械人の姿になる。
警官はあっさり殺されるが、ここで漸くユリ子が目を覚まし、バスの外へ出てくる。

ユリ子「ブラックサタン、さてはお前たちの仕業ね」
戦闘員「俺たちのことを知ってる、何者だ?」(文弥さんの声っぽい)
文章では伝わらないが、ユリ子の喋り方がちょっと舌足らずで、猛烈にラブリーなのである!!

ユリ子「姓は岬、名はユリ子」
茂の真似(?)をして、堂々と名乗るユリ子姉さん。
……
惚れてまうやろっ!! うーん、ここまで可愛いとは、正直、計算外だった。
襲って来たピカチュウの腕を取り、
ユリ子「ありがとう、お陰で頭がスッキリするわ」

ユリ子「えい、えい、えいっ!!」
その後、場所を移して、苦手なアクションに果敢に挑むユリ子姉さん。
やがてゴロンガメがガメラの飛行形態のようになって飛んでくる。

ゴロンガメ「何者だ、貴様?」
タックル「レディーに向かって貴様はないでしょ。私は電波人間
タックル!!(エコー)」
ゴロンガメ「電波人間タックル?」
タックル「ブラックサタンの悪事を暴く、自由と平和の戦士!!」
ゴロンガメ「ガラパゴス島のゾウガメをブラックサタンの奇械人(製造)工場で特殊加工した俺の甲羅は鋼鉄よりも硬いんだぁっ!!」
戦闘員には勝てても奇械人には手も足も出ないタックル、たちまちピンチに陥るが、そこへ例によって例のごとく、キザな口笛を吹きながら茂が登場。

タックル「茂!!」
茂「どうしたい、タックル、そんな奴に梃子摺ることはないだろう」
ゴロンガメ「何者だ、貴様?」
茂「城茂!!」
ゴロンガメ「城茂?」
茂「覚えたって無駄だぜ、
お前との付き合いはこれっきりだろうからな!!」
名乗ってから、最低のナンパ師みたいな薄情な台詞を放つ茂ちゃん。
なお、もう4話目なのにいまだに敵に名前を覚えてもらえない茂たちであったが、無論、これはブラックサタンの皆さんの物覚えが悪いせいではなく、ちびっ子たちに名前を覚えてもらうため、しつこいのを承知で誰何&名乗りのシーンを入れているのである。
茂、タックルに子供たちを任せると、ストロンガーに変身してひとしきり戦い、ゴロンガメを撃退する。
人間の姿に戻ると、救急車の手配を済ませたユリ子がテントローで戻ってきて、

ユリ子「駄目ね、
また逃げられたんでしょう」
茂「俺のことより救急車はどうした?」
ユリ子「ご心配なく」
いや、「また」って、茂とゴロンガメはさっきのが初対面だったんですが……
さて、大幹部にしてはアウトドア派のタイタン様、4話目にして初めてそのアジトが登場する。

ゴロンガメ「申し訳ありません、タイタン様、邪魔が入りまして」
タイタン「うーん、ゴロンガメ、何のためにお前を使ったのか分かっているだろうな?」
ゴロンガメ「はい、それはもう、暴走族を使って数多くの交通事故を起こすためで、はい」
タイタン「そこまで分かっているならゆけ、ゴロンガメ、あの暴走族はまだ利用できるぞ」
逃げ戻って謝罪するゴロンガメに、地の底から響くような声で唸るタイタン様であったが、特に怒りを見せることなく、改めて作戦の続行を命じる。
外見はコワモテのタイタン様だが、意外と太っ腹なのである。
ストーリーはまるで進んでないのに、早くもCMです。
なお、既に察している読者もいるだろうが、今回の話、全然面白くないです。
ユリ子がいなけりゃ、とっととスルーしてるところである。
ここで、仮面ライダーらしからぬ、演歌調のイントロが流れてきたかと思うと、

清水の次郎長みたいな格好をしたおやっさんの旅姿にあわせて、
「誰が何と言っても俺は、俺は藤兵衛、立花藤衛兵だ~♪」 これまた地の底から響くような重低音で、小林さん本人の歌う、物凄い歌詞の挿入歌が流れ出す。
そう、小林さんの唯一の(?)持ち歌
「俺は立花藤兵ヱだ」である。
ちなみに、元々は前作「アマゾン」の挿入歌として作られたのだが、本作で初めて使われたものらしい。
と、ちょうどそこへ例の4人組があらわれ、おやっさんには目もくれず駆け抜けていく。
立花「おっ、俺の探している奴がいるやもしれん」
急に目の色を変えたおやっさん、急いでジープに乗り込んで追いかけるが、Uターンして戻ってきた4人は、何故かおやっさんの車は襲撃せず、その頭上を軽々と飛び越えて走り去る。

立花「あれだ、あれこそ俺の探している一流レーサーの候補だ!!」
てっきり、ブラックサタンの一味だと見抜いたのか思いきや、性懲りもなく、世界に通用する一流レーサーを発掘して育て上げるという、番組開始から抱いている自分の願望に基づく行動だったことが分かる。
つーか、ここまで来ると、とりあえずタイヤが二つあって真っ直ぐ走ってりゃ、それで良いのかとさえ思いたくなるいい加減さであった。
前回も、茂の走りを見て同じようなことを言っていたが、それっきりだもんね。

立花「皆さん、いやー、この体つきと言い、目の輝きと言い、俺が探していた奴にピッタリだ」
おやっさん、彼らに追いつくと、のこのこと彼らの中に飛び込み、親しげに話しかけ、その体に馴れ馴れしく触るが、
茂夫「なんだ、てめえは?」

予想されてしかるべきだが、警察に間違われ、よってたかってボコボコにされるのでした。
で、そこへ助けに駆けつけたのが、茂ではなくユリ子なのだった。
前回も書いたけど、妙にユリ子の出番が多いが、スタッフから贔屓されてたんだろうなぁ。
まあ、厚遇したくなる気持ちも分かるが。

ユリ子「お待ち、およしよ、みっともない。第一お年寄りのかたに失礼じゃないの」
若者「女は引っ込んでろよ!!」
ユリ子「えいっ」
掴みかかって来た手を取り、華麗に投げ飛ばすユリ子姉さんのかっこよさ!!
おっさん「野郎!!」
ユリ子「なにさっ」
殴りかかって来た、良く見たら意外と老けてる暴走族の腕を取り、

ユリ子「失礼ね、こう見えても私は女よ」
次々と野郎どもをぶちのめし、干物のように4枚に重ねて積み上げる。

ユリ子「これこそほんとに失礼!!」
……
だから、惚れてまうやろ!! 4人はほうほうのテイで逃げ出すが、おやっさんは礼を言うどころか、

立花「こら、なんだって余計なことしてくれるんだ?」
ユリ子「えっ?」
立花「俺は奴らを立派なオートバイ乗りに鍛えなおそうと思ってたんだ!!」
逆にユリ子に文句を言うと、そこにあったユリ子のテントローを勝手に拝借して、逃げる4人を追いかける。

ユリ子「あ、それは私の!! 待ってよーっ!!」
前回は人のトラックに強引に乗り込もうとしたり、今回は人のバイクを盗んだり、年を取って落ち着くどころか、逆に抑えが利かなくなってしまった感のあるおやっさんであった。
尾崎でも聴いてるのかしら?
ところが、おやっさんが走り出した途端、4人は掻き消すようにいなくなり、

立花「ありゃ、何処行っちまったんだ?」
おやっさんがバイクを止めて戸惑っていると、その背後に音もなくゴロンガメが立ち、サタン虫となって、こともあろうにおやっさんの体に憑依する。
うん、と言うことは、リーダーの体の中にはゴロンガメは入っていなかったと言うことか。
考えたら、奇械人がユリ子に負ける筈がないのだから、当然か。
でも、ゴロンガメがいない間も、リーダーの性格や言動が全然変わってないのは変だよなぁ。
茂「オートバイ乗りがこんなあくどい事故を引き起こすなんて……」
その頃、主人公なのに影の薄い茂は、公民館のような建物の庭で、まだ病院に搬送されていない子供たちの応急手当をしていた。
怪我人の数が多過ぎて、一度では救急車に入りきらなかったのだろう。
そこへユリ子が走ってやってくる。

茂「マシンはどうした?」
ユリ子「盗まれたわ」
茂「なに、盗られた?」
仮面ライダーにあるまじき失態であったが、今はユリ子をどやしつけている場合ではない。
やがて救急車が来て、子供たちは全員収容されるが、そのカーラジオのニュースが再び暴走族グループが暴走行為を開始したことを知らせる。
アナウンサー「目撃者の情報によりますと、その暴走族はみな耳に不思議なマークをつけていて、黒バラのヘルメットを被っているもようです」
茂「耳にマーク?」
ユリ子「ブラックサタン?」
茂「なるほど、そうだったのか、奴らオートバイ乗りを利用して暴走族に仕立てていたんだ」
……
これが今回、一番の突っ込みどころである。
読者の皆さんにはもうお忘れかと思いますが、序盤の時点で茂、あの4人の耳にブラックサタンのマークがあるのを見て、追いかけてるんだよね。
それをニュースで初めて知ったような顔で真相に辿り着くのは、どう考えても矛盾している。
あと、目撃者がマークに気付いたというが、ヘルメットを被ってたら耳は見えないと思うんだよね。茂の場合、ご丁寧に4人がヘルメットを外していたので、それで見えたという描写だったのに……
ともあれ、茂、その場でストロンガーに変身すると、触角を光らせ、カブトキャッチャーと言う特殊能力で暴走族の位置を探知する。
ナレ「カブトキャッチーとは、電気的に敵を探し出す装置である」 ただ、それについての説明が、あまりにテキトーなのが萎える。
「電気的に」って言われてもなぁ……
せめて「触角から大気中に微弱な電波を流し、その反応で敵の動きをキャッチする装置である」くらいのことは言って欲しい。

立花「おっ、行くぞーっ!!」
あの謹厳なおやっさんが、暴走族の先頭に立ってノリノリで暴走行為を働くと言う、元ライダー少年隊員たちが見たら泣き出しそうなショッキング映像。
もっとも、ニュースの内容からも、やってることは単に車にまとわりついて運転ミスを起こさせて事故らせる程度なので、少なくとも死人は出ていない様子。
うーん、はっきり言ってセコいなぁ……
今回に限らず、ブラックサタンの作戦全体がね。
参考までに今までの作戦をまとめてみると、
第1話→ホバークラフト強奪・伊良湖町の住民を皆殺し
第2話→東京湾内のタンカーを座礁させるために灯台を占拠
第3話→子供たちを6人ほど攫ってレインジャー部隊にする
第4話→暴走族4人に暴走させてドライバーを困らせる
ね? みみっちくて泣けてくるでしょう?
デストロンなんか、いきなり東京で核爆弾使おうとしてたからなぁ。
それはともかく、
ライダー(頼むぞ、カブトロー、早く行かないと救急車が襲われる)
愛車カブトローでひた走るストロンガーであったが、なんで暴走族があの救急車を狙っていることが分かるのか、これも謎である。
で、おやっさんたちは実際にその救急車を襲撃し、救急車を路肩に乗り上げさせるのだが、それで気が済んだのか、すぐ走り出してるんだよね。
……
【朗報】襲われても、どうってことなかった ま、子供の親御さん的には朗報でも、視聴者的には
大惨事である。

ライダー「とぉーっ!!」

その直後、仮面ライダーとおやっさんがバイクで一騎打ちするという、空前絶後の事態となるが、さすがにストロンガーの敵ではなく、バイクもろとも投げ出され、その体からゴロンガメが這い出てくる。
ここからラス殺陣となるが、ゴロンガメは口ほどにもなく、ガメラ形態になったところをラグビーボールのように蹴られて池に落ちる。

ゴロンガメ「ここまで来てみろ!!」
ゾウガメでも一応水の中は得意なのか、その場から動かずに挑発するが、
ライダー「ようし、行くぞ、電気ストリィイーム!!」 ライダーも岸辺に留まったまま、得意の電気技を使って水中に強力な電流を流し、

相手に触れもせずに豪快に吹っ飛ばすのだった。
ま、池の中の生物も全滅しただろうけど、気にしない!!
しかし、ライダーが相手の体に触れずに怪人を倒したのは、番組始まって以来、これが初めてじゃないかなぁ?
こうして、終わってみればストーリーらしいストーリーのない、ユリ子姉さんの可愛らしさ以外に見所のない、無味乾燥なシナリオであった。
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