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「西部警察」 第58話「狙われる」 前編


 第58話「狙われる」(1980年11月23日)

 「西部警察」のお時間です。

 まずはメンバーからのご挨拶……じゃなくて、OPです。

 
 何回見ても、暴力団の出入りにしか見えない大門軍団出動の図。

 まあ、自分たちで「軍団」って名乗ってるほどだから、暴力団より物騒なのは確かである。

 実際、OPを映像を見ずに音声だけ聞くと、バゴンドゴンとド派手な爆発音が鳴り響き、刑事ドラマと言うより戦争映画、いや、ほとんどガンダムの世界である。

 そもそも日本じゃ、警官が発砲すること自体まれだからね。

 さて本編、のっけから、歩行者天国にいた二人の男性とひとりの女性が、屋上から何者から狙撃されるというショッキングシーン。

 もっとも、男性二人は足、女性は腕に当たっただけで、命に別状はない。

 
 その現場検証のシーンだが、ただのドラマで、良くこんなに大掛かりな撮影が出来るものだと感心する。

 松田「狙撃地点はここに間違いないと思います」
 リュウ「男性二人はサラリーマン、女性はこの近くの南青山病院の看護婦です」
 大門「三人の関係は?」
 リュウ「全くないようです……通行人を無差別に狙ったってことは、変質者って可能性がありますね」
 大門「そうと決めるのはまだ早い」

 大門がベテランらしく、結論を急ぐリュウをたしなめる。

 その直後、署から無線が入り、

 二宮「大門くん、犯人が自首してきたよ。どう見ても変質者だ」
 大門「……」
 リュウ「……」

 なんことになったらまさに団の面目丸つぶれとなっていたところだが、お察しの通り、それが言いたかっただけである。

 松田「男二人はいずれも足を撃たれています、ところが女の方は左腕を撃たれてるんです、これひょっとすると狙撃者は女の心臓狙ったんじゃないでしょうか。それが狙いが外れて左腕を掠めてしまった」
 谷「するとリキ、なにか、狙いは女で男性ふたりを撃ったのは犯行の目的を隠すためってことになるのか?」
 松田「ええ、だからわざと足を狙った……」

 リキの鋭い推理だったが、現段階では何とも言えない。
 
 北条が男性二人から事情を聞く一方、源田は看護婦の山下典子から話を聞いていた。

 典子「うちの患者さんでもないし、全く知らない人たちです」
 源田「そうすか」
 典子「刑事さん、私、どうして撃たれたんですか? 悪いことしたおぼえ何もありません。私、怖いんです」
 源田「まあまあ、落ち着いて、あなただけが特別に狙われたってわけじゃないんですから」

 彼らの調べた限りでは、やはり三人に接点は全くないようであった。

 
 典子「あの、刑事さん、うちに帰りたいんですけど……」
 源田「ご家族は」
 典子「病院の酒井さんと二人で住んでます」
 源田「ああ、二人で」

 源田、親指と小指を立て、てっきり典子が彼氏と同棲しているのだと思い込む。

 それでも惚れっぽい源田は、ホクホク顔で彼女をアパートまで送っていく。

 典子を演じるのは「仮面ライダーX」の仁和令子さん。

 西部署では、二宮係長が変質者の仕業に違いないとまくし立てていたが、

 松田「ホシが撃ったのは三発です、もし頭のおかしい奴だったらもっと乱射してたと思います」
 谷「ワシもリキの意見に賛成です」

 
 二宮「大門君、どうなのかね」
 大門「……」

 旗色の悪くなった二宮は大門に意見を求めるが、大門はいつものようにシカトするのだった。

 しかし、「頭のおかしい奴」って、割りと問題発言だよなぁ。

 あと、リュウがずーっと「考える人」やってるのが、何気に笑える。

 二宮は溜息をつくと、

 二宮「どうしてこう、凶悪犯罪ばかり起こるのかねえ」

 そう言う番組だからです!!

 一方、源田は、無事に典子をアパートまで送り届けていた。

 典子「私、小さい時からとても臆病で」
 源田「いや、あんなことがあってケロッとするほうがおかしいんですよ。まあ今日のことは運の悪い事故に遭ったと思って忘れて下さい。犯人は必ず我々が捕まえる。安心して下さい」
 典子「はい」

 源田が引き揚げようとするのを、典子が思い出したように引き止め、部屋に上げてコーヒーを入れようとする。

 
 典子「……」

 と、ノブを動かす音がしたのでたちまち緊張する典子と源田であったが、

 
 久子「ただいま」
 典子「……」
 久子「典子、良かったね、軽い怪我ですんでさ」

 入ってきたのは、典子の同居人の女性であった。

 典子「あ、西部署の源田刑事さん」
 久子「はじめまして」
 典子「私と一緒に住んでる酒井久子さん、同じ看護婦です」
 源田「あ、女性だったんですか」
 典子「は?」
 源田「いや、同居してるって聞いたモンですから、てっきり男性だと思って」
 典子「まぁ」

 あけっぴろげに言う源田に、二人は顔を見合わせて笑う。

 久子は襖一枚隔てた隣の部屋に行き、着替えるが、

 
 久子「刑事さん、典子が迷惑掛けたでしょう、何しろ気が弱いんだから」
 源田「いやいや」

 タンスに背を向けて歩き出した直後、

 
 タンスが爆発する!!

 これ、一瞬、ワンカットで撮っているのかと思ったが、いくら「西部警察」でも女優さんにそんな危険なことをさせる筈がなく、これは二つのカットをつなげているのである。

 言い換えれば、これが男優だったらワンカットで撮りかねないのが「西部警察」の怖さなのである。

 なにしろ舘ひろしの背中を燃やす人たちだからね。

 
 典子のとばっちりを受け、重傷を受ける久子。

 ほんのチョイ役だが、この女優さんもなかなか綺麗なのである。

 名前は福岡由里子さん。

 無論これは仕掛け爆弾によるものだが、この爆発のタイミング、ちょっと変だよね。

 ターゲットを確実に仕留めようとするなら、扉の開け閉めと同時に起爆するようセットすべきである。

 久子は救急車で病院へ運ばれ、手術を受けるが、

 
 その手術に、典子が看護婦として参加すると言うのは、ちょっとやり過ぎであろう。

 しかも、後に、彼女にはとてもそんな仕事がつとまらない体であることが判明するというのに……

 また、その途中、典子が何かに驚いたように鉗子を落としたので、てっきり久子が死んだのかと思ったのだが、

 手術室の前と言う、「西部警察」お馴染みの場所にポジショニングしていた源田のところへ大門が来て、

 源田「自分がついていながら、済みませんでした」
 大門「どうだ、容態は」
 源田「は、命だけは助かるらしいです」

 助かるんかいっ!!

 思わず肩透かしを食う管理人であった。

 ともあれ、犯人の狙いが、リキの睨んだとおり、山下典子だということがはっきりした。

 大門「何か狙われる理由があるんだろう、ガードを兼ねて絶対に彼女のそばを離れるな。そして原因を探り出すんだ」
 源田「わかりました」

 やがて「手術中」のランプが消え、ストレッチャーに載せられた久子、ついで執刀医と典子が出てくる。

 医者「全身に破片を受けてますが、大丈夫、助かります」

 
 源田「良かったじゃないか」
 典子「怖いんです、私、私のために久子がこんなことになるなんて」
 源田「いや、君が悪いんじゃない、元気出せよ。今から自分がガードする。ホシには指一本触れさせん。安心しなさい」
 典子「すいません」

 心底怯えているらしい典子に縋りつくような目で頼られて、源田がますます張り切ったのは言うまでもない。

 翌日、ジョーから典子の身辺調査の結果を聞いている大門。

 北条「山下典子には不審な点は全くないんです」
 大門「男性関係はどうなんだ」
 北条「ないです」
 松田「誰かの恨みを買うようなことは」
 北条「それもありません、欠点がないのが欠点って言うか、あれじゃゲンさんの目の色が変わっちまっても無理ないです」

 正直、そんな短期間の調査でそこまで言い切っちゃっていいものかと思うが、ジョーによれば典子は完全無欠の看護婦さんで、彼女が狙われる理由は毛筋ほどもないと言う。

 北条「ただ……」
 大門「ただ?」
 北条「これはどうってことじゃないかもしれませんが、彼女、この一年間に二度も交通事故に遭ってるんです」
 大門「二度も?」
 北条「二度とも歩いていて車にぶつけられたんです……ツイてないんですね」

 北条は簡単に片付けるが、それには重大な意味が隠されていたことがのちに分かる。

 そこへ谷が入ってきて、新聞のとある記事を大門に見せる。

 それは乗用車が自損事故を起こして炎上し、ドライバーが焼死したというものだった。

 谷「三日前なんですが、その事故の現場ってのが山下典子が勤めている病院の前なんですわ」

 そして、事故で死んだ男と言うのが、松本と言うタチの悪い私立探偵だったことが、谷の刑事としての嗅覚に引っ掛かるのだと言う。

 大門たちは病院の典子を訪ね、その記事を見せる。

 典子「はい、この事故なら知ってます、松本さんはうちの患者だったんです、あの時、私はちょうど屋上にいて洗濯物干してました」
 谷「そのとき、何か変わったことありませんでしたか」

 
 谷に言われ、記憶を探るような目をしていたが、

 
 不意に、何かを思い出したように目を上げる。

 それにしても、子供っぽい女子大生だったチコが、6年ですっかり大人の女性になってしまったなぁ。

 嬉しいような、寂しいような……

 典子、ためらっていたが、源田に促されてそのときの模様を語り出す。

 典子の声「洗濯物を干してると、下の様子がおかしいんで覗いたんです」

 金網越しに下を覗き込むと、病院の目の前の路上で車が激しく炎上しているのが見えた。

 怖くなってその場から走り出すが、洗濯物の陰から飛び出してきた何者かに押され、その場に倒れ込んでしまう。

 
 彼女の目には、二人の男性の後ろ姿が急いで屋上から出て行くのが見えただけであった。

 谷「二人の顔を覚えてますか」

 谷の質問に典子は苦笑を浮かべ、

 典子「突然のことでしたし、強く転んだものですから……」

 ともあれ、大門たちは典子にその場所まで案内してもらう。

 屋上のすぐ横で、何かの工事が行われていた。

 
 大門「山下さん、この騒音は三日前もありましたか?」
 典子「ええ、もう一週間以上も続いてます」

 谷は、車がそのときの二人に狙撃されたのではないかと言う。

 谷「銃声は工事の音に掻き消された、そう考えて良いんじゃないでしょうか」
 大門「燃えた自動車の残骸、リュウに調べさせて下さい」

 果たして、スクラップ置き場に持ち込まれていた事故車両から弾丸が発見される。

 後編に続く。
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コメント

最初の出

確かに最初の軍団の当時シーンは暴力団にしか見えませんね😅毎回毎回人が死ぬのが当たり前のようですな

ドラマのために死・・・・・・俺に命を預けてくれ!

室内での爆破となると下手すりゃ耳やられますし、かといって安全距離をとってからだと不自然に爆破が遅すぎるのでどの道2カットの合成が正解だったんじゃないかと思います
でも1972年の『アイアンキング』での事(主演女優の降板理由が撮影中の事故で髪や服に火が付いた事による恐怖心)を思い出すと、7~8年前だったら本当にワンカットで撮ってそうな気がする・・・・・・

Re: 最初の出

軍団ですからねえ。

Re: ドラマのために死・・・・・・俺に命を預けてくれ!

> 室内での爆破となると下手すりゃ耳やられますし、かといって安全距離をとってからだと不自然に爆破が遅すぎるのでどの道2カットの合成が正解だったんじゃないかと思います

まあ、そうでしょうね。

> でも1972年の『アイアンキング』での事(主演女優の降板理由が撮影中の事故で髪や服に火が付いた事による恐怖心)を思い出すと、7~8年前だったら本当にワンカットで撮ってそうな気がする・・・・・・

え、そうなんですか。森川さん?

爆発物の脅威

そうです、森川千恵子さん
本当に急な降板だったらしく、軌道修正が間に合わなかったのか学年誌の漫画版では本来の予定通り不知火一族最後の刺客として戦いを挑んだらしいです

爆発物関係の降板でもう一つ思い出したのが1995年の『重甲ビーファイター』
ヒロインが特にイベントもなく代替わり(置手紙だけ残して海外支部に異動)しており、放送当時不思議に思っていたんですが、後から知ったところによるとアクションシーンの撮影中爆風で飛んできた小石が喉を直撃し、声が出なくなってしまったとの事
その後女優として活動する事は無かったらしいです(というより芸能活動自体翌年を最後に確認されていないらしい)
この辺の話を考えると近年爆発をCGで済ませる事があるのは一概に手抜きと言えないのかもしれない・・・・・・

Re: 爆発物の脅威

返信ありがとうございます。

> 本当に急な降板だったらしく、軌道修正が間に合わなかったのか学年誌の漫画版では本来の予定通り不知火一族最後の刺客として戦いを挑んだらしいです

もったいないですよねえ。

> 爆発物関係の降板でもう一つ思い出したのが1995年の『重甲ビーファイター』
> ヒロインが特にイベントもなく代替わり(置手紙だけ残して海外支部に異動)しており、放送当時不思議に思っていたんですが、後から知ったところによるとアクションシーンの撮影中爆風で飛んできた小石が喉を直撃し、声が出なくなってしまったとの事
> その後女優として活動する事は無かったらしいです(というより芸能活動自体翌年を最後に確認されていないらしい)

たいへん興味深いお話、ありがとうございます。

70年代にも似たようなことはたくさん起きてたのかもしれませんね。

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