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「西部警察」 第58話「狙われる」 後編


 第58話「狙われる」(1980年11月23日)
 の続きです。

 一方、源田は、典子に、容疑者の人相書きについて協力を要請するが、典子はいかにも気が進まない様子であった。

 
 源田「犯人は君を狙っただけじゃない、大勢の人が犠牲になってるんだ。協力してくれ」
 典子「覚えてないんです」
 源田「思い出すんだよ」

 
 明子「ぶつかったと言うことは、ほんの一瞬でも近くからその男の顔を見たってことでしょう? 何か特徴があったはずだけど」
 典子「それが……」
 源田「慌てなくていいよ、冷静にようく考えて思い出すんだ」
 典子「はい……」

 例によって大門の妹・明子が署に呼ばれ、彼女の証言を元に似顔絵を書こうとするが、なにしろデータが全くないので書きようがないのだった。

 しかし、明子はああ言ってるけど、背後からぶつかって来てそのまま走り去った人間の顔を見てる筈がないので、源田たちが典子に無理強いしているようにしか見えないのである。

 なので、ストーリー上、映像では、典子が二人のうちのひとりと正面から鉢合わせしたようにしておくべきだったと思う。

 そうすれば、視聴者としても、何故典子が証言したがらないのかと言う疑問が湧き、それが物語への興味にもつながるからね。

 ついでに言えば、犯人サイドからすれば、相手に顔を見られたと言う自覚があるからこそ典子を狙っていたということにもつながって、ストーリーに説得力が増すというものだ。

 それはともかく、明子のスケッチブックは白紙のまま閉じられる。

 典子「すいません」
 明子「兄貴、ちょっと」

 明子は大門を呼びつけると、

 
 明子「おかしいわよ、あの人、全然協力する気ないんだから……犯人庇ってんじゃないの」
 大門「……」
 明子「ちょっと美人だと兄貴も源田さんもすぐ鼻の下伸ばして……」

 明子が何か言いかけた途端、

 
 大門の左手がすかさず飛んできて、明子の顔面を強打する。

 あたかも、「トリック」で、生瀬勝久が仲間由紀恵の額を叩くように。

 
 明子「いったいっ!!」

 思わず声を上げてのけぞる明子。

 この古手川さんの反応が、演技じゃなくてガチっぽいのがツボである。

 まあ、なにしろマドレーヌみたいな小さな顔を、渡さんのごつい手が叩くのだから、痛くて当然であろう。

 
 明子「私は原稿書かなきゃならないから帰るわよ」

 演技を続行する古手川さんだが、なんとなく、笑いを堪えているように見えてしょうがない。

 そこへリュウから電話があり、例の弾丸が、狙撃に使われたものと同じライフルから発射されたものだと分かる。

 続いて、松本の家を調べて来た松田たちが戻ってきて、探偵の松本が、資源開発公団の役員・黒木を、その業務上横領をネタに恐喝していたことを示す証拠書類を大門に見せる。

 だが、肝心の公団は、自分たちに累が及ぶのを恐れてその事実を認めず、黒木を告訴しようとしない。

 
 松田「松本に脅された黒木が、誰かと一緒に病院の屋上から松本を狙った。それを偶然彼女が目撃してしまった。考えられるのはそんなところですね」

 大門は、黒木の写真を典子に見せるが、相変わらず「わかりません」の一点張り。

 そこへ公団に行っている谷から電話があり、黒木がヨーロッパに高飛びしようとしているとの情報を伝える。

 しかもあと2時間もしないうちに日本を発つと言う。

 谷「山下典子の殺害に失敗して逃亡を図ったとも考えられますし、なんとか参考人としてでも引っ張れればいいんですが」
 大門「黒木はこっちで何とかします、谷さんは一旦署に戻って下さい」

 電話を切って振り向くと、

 
 大門「どんなことをしても構わん、黒木を連行しろ」
 典子(どんなことをしても……?)

 大門の口から飛び出したとんでもない台詞に、思わず凍りつく典子であったが、嘘である。

 でも、仮にも民間人の前で、刑事が絶対言っちゃいけない台詞なのは確かである。

 さらに、

 北条「令状がありません」
 大門「いいから早く行け、時間がないんだ」
 典子(いくない、絶対いくなーいっ!!)

 当然の疑問を口にするジョーに対する大門の答えに、心の中で必死で抗議する典子であったが、嘘である。

 嘘であるが、いくないのは事実である。

 だいたい、この段階では、松本を殺したのが黒木の差し金だったと言う確固とした証拠がある訳じゃないからね。

 先に部下を成田に行かせた後、大門は小暮っちと二宮に直談判して、超法規的に黒木の出国を防がせて欲しいと懇願する。

 大門「黒木を逃亡させてしまうと松本殺し、狙撃、爆破事件、全部が迷宮入りになります」
 二宮「そんなこと言ったって、捜査には順序ってものが……」

 大門のごり押しに正論で応じる二宮であったが、

 小暮「まあまあまあ、団長さん、黒木を参考人としてしょっ引くのはいいんだがね、出発時間までギリギリだぞぉ」
 大門「全力を挙げてます」
 小暮「よし、この際、団長に任せよう」

 お任せかいっ!!

 寿司屋で注文してんじゃねえんだぞ。

 ……って、まあ、いつものことなんだけどね。

 それはさておき、ここからの大門軍団の行動は、違法捜査どころか、ただの犯罪行為に等しいめちゃくちゃなものであった。

 まず、空港で、ジョーが黒木のアタッシェケースをひったくる。

 そして壁時計を10分遅らせた空港の応接室に黒木を缶詰にし、松田と源田がジョーを連れてあらわれたときには、既に予約していた便は出発していたという寸法。

 はい、これ、やってることは完全に犯罪ですね。

 しかも黒木に対して隠そうともしておらず、本来なら、これだけで懲戒免職確定である。

 ともあれ、黒木は西部署に連れて行かれ、取調べを受ける。

 だが、典子の証言が得られなかったため、あっさり釈放となる。

 また、ここでは、

 源田「正直過ぎるんだよ、屋上で見たのはあいつだって一言だけでも言ってくれりゃ、どうにでもなったんだ」

 源田が、目撃者に偽証を唆すような問題発言をぶちかましている。

 しかも、大門の目の前で……

 松田とジョーは、大門の命令で黒木と弁護士の乗った車を尾行するのだが、

 
 助手席にふんぞり返ってる松田が、どう見てもヤクザにしか見えないのだった。

 つーか、実は西部署なんてものは存在せず、本物のヤクザが刑事ごっこしてるだけなんじゃないかとたまに思うことがある。

 さて、黒木はその足で旅行会社を訪れ、性懲りもなく国外逃亡を企てていることが分かる。

 
 小暮「公団が漸く黒木の業務上横領を認めたぞ」
 大門「じゃあ黒木の告訴は」
 小暮「これから大至急手続きをとるそうだ」

 その頃、直接公団に出向いていた小暮っちから、漸く朗報が届く。

 なにしろ、身代金5000万が必要とあれば涼しい顔で耳を揃えて用意したり、公安と一緒に動き回ったりすることもある、ショカツの一捜査課長とは到底思えない権能を持つ小暮っちのことである、公団の一つや二つ説伏させるなど朝飯前なのだった。

 ただし、今回ばかりは時間を掛け過ぎた。

 まだ告訴してないのに大門が「緊急逮捕せい」と松田に命じるが、それより先に、黒木の乗った車が爆発してしまったのである。

 
 松田「黒木、しっかりしろ」
 黒木「あうあう」
 松田「なんだ、はっきり言うんだ」
 黒木「ちくしょう、佐々木の奴……」
 松田「おい、佐々木ってのはなにもんだ、答えろ!!」
 北条「佐々木の住所は? おいっ!!」

 瀕死の黒木のために救急車を呼ぼうともせず、その首を絞めんばかりに情報を聞き出そうとする、鬼のような刑事たちであった。

 ちなみにそれは実行犯の仕掛けた爆弾だったのだが、一体いつ仕掛けたのか、その辺が良く分からない。

 映像を見る限り、黒木を迎えに来た弁護士の車が西部署の前に停まっていた間としか考えられないが、車にはずっと運転手がいたのだし、よりによって警察署の前でそんなことをするだろうか?

 この一件は突発的な出来事なのだから、あらかじめ爆弾を仕掛けておける筈がないし……

 なので、ここは爆弾ではなく、狙撃のほうが自然だったろう。

 
 薫「こぼれたお酒を指先で~♪」

 それはともかく、いつもの小粋なバーでギターの弾き語りをしている謎の女性。

 同じ歌ばっかりエンドレスで、ほとんど、人間リバースデッキと化している女性を見て、

 
 朝比奈(いい加減、帰ってくれないかな……)

 と思う朝比奈っちであったが、嘘である。

 謎も何も、彼女は朝比奈の姪で、このバーの専属歌手なのである。

 そこへ大門が、珍しく憔悴した様子で入ってくる。

 大門「申し訳ありません」
 小暮「まあ座れよ」
 大門「失礼します」

 そのやりとりが、捜査課長と部長刑事と言うより、ほとんど軍隊の上官と部下みたいである。

 あるいは、ヤクザの親分と若頭。

 
 小暮「で、佐々木ってやつの正体つかめたか」
 大門「いえ」
 小暮「疫病神だな、ひとつの犯罪の痕跡を消すために凶悪な犯罪を次々に繰り返し、血を流し続ける。我々が相手にしているのはまさに疫病神だ」

 翌日、源田と典子が、主治医の鎌田から、久子が危篤だと言う電話があったので病院へ向かったと知った大門は、不審に思って病院に電話してみるが、

 
 大門「鎌田先生を……昨夜から病院に帰ってない? 酒井久子さんが危篤と聞きましたが……順調に回復してる?」

 大門、慌てて受話器を置き、無線で源田に呼びかける。

 
 大門「ゲン、大門だ」
 源田「はい、ゲンです」

 だが、その直後、車の前にいきなり男が飛び出し、発砲してくる。

 
 典子「きゃあっ!!」

 一撃で砕けるフロントウィンドウ。

 ま、実際は、こんな風には割れないと思うんだけどね。

 男はガラスの割目からなおも撃ち込んで逃げるが、幸い、二人には命中しなかった。

 源田はすぐ追いかけようとするが、

 
 典子「いやーっ、いかないで、ひとりにしないで!!」
 源田「放せよ、今やんなきゃダメだ!!」

 ビビりまくった典子にしがみつかれるという羨ましい目に遭い、結局取り逃がしてしまう。

 ついで、ビルと民家の間の路地裏に倒れている鎌田医師の射殺死体が発見される。

 無論、佐々木と言う男が、鎌田に成りすまして電話を掛けるために殺したのである。

 ただ、ニセ電話をかけるためだけに、わざわざそこまでするだろうかと言う疑問が湧く。

 そんな電話があったら、普通は確認などせずに向かうだろうし、大門がやったように折り返し病院に確認すれば、それが嘘であることはすぐバレてしまうのだから、医者を殺しただけでは意味がないのだから。

 一方、典子の部屋を調べていた谷は、あるものを発見する。

 眼科の診察券である。

 その後、大門は、再び典子を呼び出し、一枚の写真を見せる。

 
 大門「この真ん中の人、誰だか分かりますか」

 
 典子「……」
 大門「分かりませんか」
 典子「はい」

 典子の答えに、考え深げに黙り込む大門。

 その場にいた源田が思わず身を乗り出し、

 源田「そんな馬鹿な、どうして……こら君だよ!!」

 
 そう、源田の太い指が示したのは、他ならぬ典子自身の顔であった。

 
 典子「……!!」

 自分が「罠」に引っ掛かったと知って、目を見開いておののく典子タン。

 谷「緑内障、それが君の病名だ」
 源田「……」

 診察券を取り出して告げる谷の声に、茫然となる源田。

 
 谷「君は、医者から再三手術を勧められてる、それほど君の視力は衰えてるんだ。屋上で擦れ違った二人の男の顔が見分けられなかったのも、この一年間で二度も交通事故に遭ったのもみんな緑内障のせいなんだ。問題はだよ、君が捜査に協力してくれるんなら、何故もっと早くそのことを言ってくれなかったということなんだ」
 典子「怖かったんです!! 手術をすれば一年、その間に病院をやめさせられます。生活が出来ないんです!! それに、手術をしても完全に治るとは限りません」

 
 谷「いや、違う、医者は治ると言ってるんだよ」
 典子「病気のことを知られたくなかったんです!! 申し訳ありません」
 源田「そんな、ばかげた話ってあるかよ、そんな簡単な理由で……」

 涙まじりの悲痛な叫びを上げ、深々と頭を下げる典子に、源田はたまりかねて声を荒げるが、

 大門「よせ、誰も彼女は責められやせん」

 大門が低い声でそれを制する。

 そう、問題は犯人の方ではなく、目撃者のほうにあったという、シリーズでも珍しい意外なオチなのだった。

 同時に、日本の労働環境が当時からいかに貧弱であったかを、端無くも示したシーンとなっている。

 ただ、そこまで視力が悪くなっていたのに、よく久子の手術に参加できたな、と……

 また、そのことを示唆するような伏線が、自動車事故以外に何かあったらなお良かった。

 あと、谷はああ言っているが、前記したように、回想シーンを見る限り、たとえ典子の目が正常であっても、二人の顔を見れた筈がないんだけどね。

 その後、佐々木から電話があり、午後1時、新宿の歩行者天国を典子に歩かせろ、さもなければ都内のどれかの車に爆弾を仕掛けると脅迫してくる。

 
 小暮「彼女に生きてられたんじゃ、枕を高くして眠れないってわけだ」
 源田「彼女は目の病気で実際には犯人を見てないってことをマスコミに発表したらどうですか」
 松田「そんなこと信じるタマかよ」
 リュウ「歩行者天国を歩かせてズドンか、よほど狙撃に自信のある奴ですね」
 小暮「どうするね、団長」
 大門「佐々木を逮捕する、最初で最後のチャンスだと思います」
 源田「待ってください、彼女を囮にするなんて無茶ですよ」

 大門の言葉に色を成して反対する源田であったが、当の典子が進み出て、

 
 典子「源田さん、私、行きます、行って犯人を捕まえることが出来るなら、囮にでも何でもなります」
 源田「君ぃ」
 典子「これ以上狙われ続けるのは耐えられません。私自身のためなんです」

 自ら囮役を買って出る。

 小暮「彼女を完璧に守れる自信、あるかい」
 大門「……」
 小暮「どうだ、みんな」

 小暮の問い掛けに、揺るぎない視線で応じる大門軍団の精鋭たち。

 大門「課長、どんなことがあっても彼女を守ります」
 源田「やります」
 小暮「よし、みんな頼むぞ」

 と言う訳で、大門軍団は、だいたい毎週やってる一か八かの賭けに出るのだった。

 でも、唯一の目撃者(見てないけど)を囮にするなど、日本の警察ではまずありえない話で、まずは顔立ちの良く似た婦警にやらせようとするのが(ドラマとしては)普通だろう。

 ついで、新宿の歩行者天国の映像となるのだが、

 
 当時も、こんなはっちゃけた人がいたんだなぁと言う発見がありました。

 で、この番組の凄いのは、

 
 源田と典子を、ほんとに歩かせてしまうことである!!

 しかも二人の後ろを大門が歩くので、通行人たちの目が釘付けになっている。

 
 実際、良くこんな大胆なロケが出来るものだと感心する。

 今なら、誰も彼もスマホを取り出して向けてくるから、撮影にならないだろうね。

 さて、歩行者天国が終わるあたりで佐々木が狙撃してくるが、源田が自らの体に銃弾を受けて典子を守る。

 
 典子「すいません、私の身代わりを」
 源田「まだそんなことを……もう終わったんだよ」

 そして、文字通りの衆人環視の中での演技、大門軍団の皆さんは慣れてるだろうが、仁和さん、大変だったろうなぁ。

 無駄にしつこい佐々木は、ビルの屋上から女装して逃げると、ナイフで典子を刺し殺そうとするが、直前で大門に撃たれて逮捕される。

 正直、ここまで来ると、犯人の目的と手段が完全に入れ替わってるような印象である。

 つまり、そこまでして典子の口を封じたがる理由が見当たらないのだ。

 顔を見られたからって、それですぐ身元が判明するわけじゃないし、まだ人相書きが発表されないことから、典子がはっきり見ていないことくらい分かりそうなもんだけどね。

 そもそも、まだ典子が警察に訴えてもいない段階で、彼女を狙撃したのがおかしいのだ。

 しかもそのせいで、事故として処理されていた松本殺しまで発覚したのだから、絵に描いたような「やぶへび」である。

 ともあれ事件は解決し、

 
 小暮「彼女のことなんだがね、安心して目の手術を受けられそうだ、たとえ治療に一年掛かろうと病院のほうはクビにしないと約束してくれた」
 大門「そうですか、どうも色々すいませんでした」

 ほとんど神に等しい力を持つ小暮っちの計らいで、典子の心配も払拭され、めでたしめでたしとなるのだった。

 
 最後は、救急車で運ばれる源田に付き添っている典子の美貌で締め括りましょう。

 以上、刑事や犯人や被害者ではなく、目撃者にドラマの焦点の当てられた、「西部警察」では珍しいプロットで、突っ込みどころは多いが、ヒロインの存在感でなかなかの力作になっているように思う。
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コメント

無理がある

緑内障の人間が他人の手術なんて出来るわけないですよね😅先ずは自分の治療をしてから臨むべきだと思うのですがね😖

Re: 無理がある

不自然ですよね。

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zura1980

Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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