第20話「落第オブラーの逆襲!」(1988年7月9日)
前回、必勝を期して臨んだ作戦が頓挫してしまった上、ライブマンの目の前で人間の姿に戻ってしまうという醜態を晒したオブラーであったが、それでもなんとかヅノーベースに帰還する。
だが、成果至上主義のビアスが、敗北者にいたわりの言葉を掛けてくれる筈もなく、

ビアス「オブラー、よくもおめおめと戻って来れたものだ、命を懸けた作戦を行うと言いながら、あのぶざまな姿はなんだ? もはやお前など私の弟子ではない」
口を極めてその無能さを罵ると、
オブラー「何を仰せられますか、ビアス様、今一度だけチャンスをお与えください」
ビアス「見苦しい!!」
なおもビアスの足に縋ろうとするオブラーを、思いっきり蹴飛ばすのだった。
ちなみに今回のオブラー、声が森篤夫さんではなく、尾村豪の坂井徹さんの声になっている。
サブタイトル表示後、いきなり爆発で吹き飛ばされる勇介たち。
パトロール中、ひとりのジンマー(戦闘員)に攻撃を受けたのだ。

(なんだ、この画像は?)
丈「やいジンマー、たったひとりで俺たちに勝てると思ってんのか?」
相手が戦闘員、それもたったひとりと知って丈はいきがった台詞を吐くと、変身もせずにそのキックを受け止め、ジャイアントスイングで投げ飛ばし、その体をバラバラにする。

丈「うん、頭脳獣?」
サイセイヅノー「サイセイヅノー!! 再生ビーム!!」
と、そこへ真っ白な、ジャミラみたいな姿をした頭脳獣があらわれ、頭部から特殊なビームを放ち、砕け散ったジンマーの部品に照射する。

すると、その名のとおり、バラバラにされたジンマーが一瞬で蘇り、しかも、部品ひとつひとつから一体のジンマーが再生して、その数が一挙に6人に増えてしまう。
サイセイヅノー「見たか、頭脳獣サイセイヅノーの再生パワー、やれ、ジンマー!!」

数が増えても所詮ジンマーはジンマー、イエローライオンに変身した丈に、またしても撃破される。
ライオン「どうだ、ここまで徹底的にやっつければ……」
ところが、真の恐怖はこれからであった。

サイセイヅノー「再生ビーム!!」
サイセイヅノーが再びあのビームを粉々になったジンマーの残骸に浴びせると、

さっきよりさらに増えて、約20体ものジンマーが復活してしまう。
質量保存の法則をやすやすと打ち破る、禁断のオーバーテクノロジーであった。
めぐみ「倒せば倒すほど増えてしまう、手のくだしようがないわ」
勇介「サイセイヅノーを倒すんだ」

二人も変身し、サイセイヅノーに剣を振り下ろすが、

その名に恥じず、切り裂かれた表皮が爬虫類が脱皮するように剥げ落ち、真新しい皮膚組織が瞬時に形成される。
サイセイヅノー「再生パワーを持った俺は自分自身をも再生できるのだ」
ライオン「なんだってぇ? なんて恐ろしいやつだ」
しかし、これって、世界中の化粧品会社and製薬会社が涎を垂らして欲しがりそうな夢の技術だよね。
無限再生&複製能力と言い、合法的な金儲けの手段として使ったほうが、地球支配を企むボルトにとって遥かに有益だと思うのだが……
金さえあれば、国家さえ操れるご時勢ですからねえ。
それはともかく、ライブマンはバイモーションバスターで跡形もなくサイセイヅノーを吹っ飛ばそうとするが、

そこへ光の球となってあらわれ、戦場を見下ろす崖の上に実体化したのが、前回にも登場した、正体不明の怪人であった。
怪人は、十字架の形をしたアイテムから六角形の光を出し、

それをサイセイヅノーの眼前に光のシールドとして展開し、バイモーションバスターのビームを弾き返してしまう。
つまり、アハメス様のハードウォールと同じく、遠隔操作できる光の盾のようなものである。
サイセイヅノー「どうした?」
ドルフィン「バイモーションバスターが効かないなんて」
と、ここであの怪人が、自分の存在をアピールするために哄笑を響かせる。

ギルドス「ぬっはっはっはっはっはっ」
ファルコン「貴様、あの時の……」
ギルドス「ギルド星人、ギルドス!!」
ライオン「ギルド星人のギルドスだと?」
ドルフィン「なんて安直なネーミングなのっ!!」 ギルドス「ほっとけ!!」 じゃなくて、
ファルコン「宇宙人だったのか」
ギルドス「俺が作った頭脳獣は無敵だ。ギルド星人の科学の凄さを思い知らせてやるぞ」
でもまあ、安直なネーミングではあるよね。
埼玉で生まれた子供に、「埼玉男」とかつけるようなもんだからね。
前回同様、ギルドスの出現には、ボルトのメンバーも激しい衝撃を受けていた。

アシュラ「おっ」
ケンプ「あのエイリアンが、いつ、何処で、あんな頭脳獣を作ったんだ?」
マゼンダ「この前と言い、また今度……一体あいつの目的はなんなの?」
戸惑い、顔を見合わせるケンプたち。
前にも書いた気がするが、ケンプとマゼンダがこうやってちょくちょく顔を見合わせるのが、普通に世間話しているようにも見えて、管理人の密かなツボなのである。

ビアス「……」
弟子たちの困惑を尻目に、例によってビアスだけが、何か企んでいるような笑みを浮べていた。
ライブマンはサイセイヅノーとジンマーの大群に苦しめられるが、そこへコロンがランドライオンに乗って救援に駆けつけ、敵を蹴散らす。
めぐみ「ありがとう、コロン」
コロン「頑張ってコロン!!」
……
つーか、勇介たちも最初からメカに乗って戦えば良いのでは?
市街地では無理だろうが、何もない山の中ならその機動力と火力を存分に発揮できただろう。
それはともかく、ギルドスはそのままヅノーベースにやってくる。
ギルドス「アルネッヒ……」
真っ直ぐビアスの前まで行くと、右手を挙げ、何語ともつかない奇妙な言葉を口にすれば、

ビアス「イグネマグンドラソ……」
ビアスも左手を上げてその手に触れながら、同じ言語で応対する。
宇宙人式挨拶なのであろう。
アシュラはアメリカ人のように両手を広げて上に向けると、

アシュラ「なんだって?」
ギルドス「大教授ビアス様の名は宇宙の果てまで鳴り響いている。その名を慕って遥々やってきた俺を是非弟子にしていただきたいとお願いしたのだ」
ギルドスの思いも掛けない言葉に、色めき立つケンプたち。
ちなみにこのギルドス、[
実は宇宙人ではなくビアスの作り出したロボットなのだが、自分の作ったロボットに自分を褒め称える言葉を言わせるとは、ビアスのナルシシズムもかなりの重症である。]
ビアス「サイセイヅノーの出来と言い、さすがギルド星人、オブラーごときとは比べ物にならないぐらい素晴らしい才能だ」
オブラー「ううぅ……」
名指しで無能呼ばわりされて、思わず呻き声を上げるオブラー。
ビアス「よかろう、弟子入り試験は合格だ。ケンプ、マゼンダ、アシュラ、これからは地球人の天才と宇宙人の天才が競い合うのだ」
続いてケンプたちに呼びかけるが、その中にはもうオブラーの名はなかった。
オブラー「見捨てないでください、ビアス様ぁ」
ビアス「まだいたのか……」
ビアス、冬場のゴキブリを見るような目付きでオブラーを見下ろすが、ここでオブラーの体が本来の尾村豪の姿になる。

ギルドス「これが地球人の天才か?」
マゼンダ「違う、こんな奴、仲間ではないわ」
ケンプ「見苦しい姿を晒しおって」
アシュラ「とっとと失せろ、失せろ」
かつての仲間たちの酷薄な言葉に、両手で頭を掴んでもがき苦しむ豪であったが、窮余の一策、ギルドスが身に付けていた十字架剣を奪い取ると、司令室から逃げ出す。
すぐガッシュが追いかけようとするが、
ギルドス「待て、俺の剣を一体どうする気なのだ?」
ギルドス本人がガッシュを押し留め、むしろ興味深そうにことの成り行きを見守ろうとする。
豪、ボルトの戦闘機を奪って地球に向かうが、追尾してきた戦闘機の攻撃を避けようとして海面に激突し、爆発する。
豪の死は確実と思われたが……

墜落地点の近く住んでいる中年女性が、写真立ての写真を見ながら、ひとりもそもそと食事を摂っている。
写真は、科学アカデミアの制服を着た尾村豪。
そう、その女性こそ、豪の母・尾村俊子であった。
と、庭に面した窓を誰かが叩く音がしたのでそちらに行き、カーテンを開けると、そこに、他ならぬ自分の息子が立っていた。

俊子「豪、帰ってきたんだね、今まで何処にいたの? 科学アカデミアから急にいなくなったと聞いてどれほど心配したか……でも、良かった、無事で」
豪「……」
俊子はすぐ豪を家に上げると、その肩を掴んで涙ながらに再会を喜ぶ。
だが、豪は母親のありがたい言葉も、その存在にも関心がないように、険しい顔つきのまま周囲を見回していたが、

豪「実験室は昔のままだろうね?」
俊子「もう勉強するのかい」
豪「誰が訪ねてきても、僕のことは知らないと言うんだ。いいね、これはとても大切な実験なんだからね」
俊子「ようく分かってるよ」
どう見ても尋常ではない豪の様子と目付きであったが、なにしろ幼少時から豪にスパルタ式天才教育を施してきたと言う、いささか変わった母親なので、豪の異様な言いつけにもさして不審を抱かず、
俊子「えらいわ、お前は……いつもいつも頭の中は勉強のことで一杯なんだね」
豪「……」
それどころか、嬉々として豪を後押しするような態度を見せる。
豪は、子供の頃から秘密の実験室として使っていた地下室に下りると、ギルドスから掠めてきた十字架剣を使って、より完璧なオブラーになるための実験を開始する。
CM後、海に沈んだボルトの戦闘機の調査をしていた勇介たちは、偶然、豪の実家を発見する。

丈「尾村豪……こんなところに豪の家があったなんて」
と、ナイスタイミングで「うわーっ!!」と言う豪の叫び声が聞こえてくる。
うーん、でも、実験室は地下にあり、しかも分厚いコンクリート製なので、俊子はともかく、外にいる勇介たちの耳にまで届くだろうか?
ともあれ、勇介たちは豪の家に押し掛け、豪を助けようと地下室への入り口に殺到するが、

俊子「邪魔しないでください、豪は大切な実験をしてるんです」
豪の声「ぐおおおおおーっ!!」
勇介「違う、あの声はただごとじゃない」
俊子「私は豪を信じてます、豪のことは豪を育てた、私が一番良く知っています」
俊子は身を以って勇介たちを阻止し、豪の幼少の頃からの神童ぶりを得々と話す。
俊子「遂には科学アカデミアにも合格した、大変な天才なんです。豪のやることに間違いがある筈ありません。豪は世界的な発明をしようとしてるんです!!」
ほとんど狂信者のように、毅然として俊子が断言した直後、
豪の声「やったーっ、遂にモザイクが取れたぞーっ!!」 勇介「……」
俊子「……」
じゃなくて、
勇介「違う!!」
俊子「どう違うんですか?」

勇介(言えない、どうして豪の実態が言えよう?)
母親に、愛する息子が「悪の組織」の一員となり、自らの体を化け物に改造しようとしているなどと言う訳にはいかず、苦悶の表情で押し黙る勇介。
と、一際大きな豪の雄叫びが聞こえたかと思うと、
豪「おおーっ!!」 半獣人と化した豪が飛び出してくる。
めぐみ「駄目、見てはいけません!!」
思わず俊子に飛びつくめぐみであったが、もう手遅れであった。
しかし、この豪の衝撃的な登場シーン、なんか笑っちゃうんだよね。
うまく言えないが、なんか、勢いが良過ぎると言うか……
あるいは、がっつり特殊メイクしている人の顔を明るいところでまじまじと見てるからなのかもしれない。

豪「俺は誰にも負けない、完全なドクターオブラーになるのだ!! おおおおーっ!!」
めぐみたちの気持ちも知らず、豪は十字架剣を握り締め、母親の目の前でオブラーに変身してしまう。
もっとも、大仰な実験をしていた割に、その姿は以前と全く同じようであった。

めぐみ「どおして……?」
俊子「豪……」

丈「おめえってやつは、おふくろさんの目の前でなんて酷いことを!!」
思わずオブラーに殴りかかる丈であったが、逆に払い飛ばされ、壁に背中を叩きつける。
オブラー「こうしなければ、俺はもうボルトには戻れんのだ」
勇介「なんだとぉっ」
オブラー「貴様らを倒し、ビアス様に見直していただくのだ」
オブラー、口から光る針のようなものを発射し、めぐみたちの足元で爆発させる。

めぐみ「ああっ」
……
めぐみがミニスカだったら、このシーンも、素晴らしいパンチラスポットになったであろうに……かえすがえすもコスチュームチェンジが恨めしい。
関係ないけど、今日、新聞のテレビ欄を見てたら、「パンドラTV」と言う文字が、「パンチラTV」に見えた管理人に、ハゲ増しのお便りを送ろう!!
オブラーから逃げながら海岸の岩場に出る勇介たちであったが、反対側からギルドスとサイセイヅノーがあらわれる。
オブラー「俺のパワーを見せてやる!!」

口から火球を吐き、三人の近くで爆発させるオブラー。
今、こういうシーンは許可が下りないんだろうなぁ。

そして、めぐみが立ち上がる際、前屈みになった胸元からブラが見えないかなぁとダメモトでコマ送りした管理人こそ、キャプ職人の鑑、あるいは本物のバカと言えるだろう。
三人もライブマンに変身し、ラス殺陣となるが、

ギルドス「俺の十字架剣でどれぐらい強くなったか、地球の天才とやらの力、見させてもらうか」
ギルドス、なかなか太っ腹な宇宙人で、オブラーから十字架剣を取り戻そうともせず、サイセイヅノーもオブラーに率いさせて、自由に戦わせる。
だが、オブラー、パワーアップしたと言っても、単に火炎放射攻撃などが使えるようになったくらいで大したことはなく、頼みのサイセイヅノーもあえなくバイモーションバスターで粉砕される。
ギルドス「俺の十字架剣を無駄にしおって!!」
オブラー、ギルドスの「期待」を裏切った上、サイセイヅノーを巨大化しにやってきたガッシュにまで「どけい!!」と、思いっきりぶっ飛ばされてます。
うう、みじめだ、みじめ過ぎる~っ!!
「ゴーグルファイブ」のザゾリヤ博士やイガアナ博士に匹敵する情けなさである。
この後、ライブロボがサイセイヅノーを流れ作業で倒し、事件はひとまず解決する。
しかし、サイセイヅノーの再生&複製能力、ビアスも特に重視していないようだったが、使い方によってはボルトの強力な武器になったのではあるまいか。
つまり、理屈から言えばジンマーだけでなく、頭脳獣だって無限に増やせる筈だし、巨大化した頭脳獣にも同じことをすれば、一挙に地球を征服できるほどの大軍団を作り出せただろうに。
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