第37話「バラバラ妖怪!死の船がよぶ!」(1972年12月15日)
冒頭、いつものように旅をしているハヤテたちであったが、今回は珍しく行き先がはっきりしていた。
月光院と言う寺である。
そこで、大魔神像を目撃したと言う、戸沢白雲斎の孫娘・さくらと、尼僧姿のくの一が待っているのである。
で、戸沢白雲斎って誰?って話なんだけど、全く何の説明もない。
まぁ、百地仙人と同じく、その土地に根を張る忍者集団の頭目か何かで、ハヤテたちとも親しい間柄なのであろう。
だが、彼らの行動は、既に西洋妖怪バラーラに知られていた。

物静かな山上に佇む、いかにも由緒ありげな月光院の本堂。
それは良いのだが、
その安っぽい表札はやめてもらえませんか? アパートじゃないんだから……
そこで働いている常吉という老人が、背中に薪を背負って長い石段を上がっていると、早くもバラーラがあらわれる。

常吉「おのれ、妖怪」
バラーラ「俺の毒を受けたものは高熱に苦しみ、ゆっくり死んで行くのだ! おおあおお……」
住持がくの一だけあって、常吉も武芸の心得があるのか、逃げずにナタを構えて立ち向かうが、西洋妖怪の敵ではなく、石段を転がり落ちて絶命する。
バラーラはその死体に入り込み、常吉になりすます。

月光院「常吉!」
さくら「どうしたの、今の声?」
その直後、本堂の方から月光院とさくらがあらわれ、

慌てて石段を降りてくる。
……
お二人には、このシーンを是非ミニスカで演じて欲しかったと、無理を承知でお願いしたい夢見がちな管理人であった。

常吉「ああ、いてえ、山犬でごぜえますだ。あっちに」
さくら「あたしが追っ払ってあげるわ!」
いかにも忍者の孫娘らしく、山犬と聞いてもさくらは恐れる色もなく、長い棒を手に常吉の示した方へ駆け出す。
まぁ、忍者と言うより、武家の娘っぽいが……
山の中に踏み込み、茂みがガサガサ揺れているのを見て棒を投げつけるが、

ツムジ「いてっ、いってぇーなー、やいやい、何の恨みがあって? それとも西洋妖怪の一味か?」
茂みから出てきたのは、山犬ではなくツムジであった。
たぶん、ウンコでもしてたのだろう。

さくら「えっ、西洋妖怪を知っている? それじゃ……」
ツムジの言葉に、ほっぺを薔薇のように紅潮させて驚くさくら。
演じるのは、西崎みどりさん。ロリロリ盛りの12才!!
管理人が選ぶ、この番組の三大ロリロリゲストのひとりである。
と、刀を抜いて身構えるツムジの後ろから、ハヤテとタツマキが悠然と姿を見せ、ツムジの代わりに答える。
ハヤテ「そうです、私はハヤテ……さくらさんですね」
さくら「まぁ、どうしましょ。あたし……」
自分のしくじりに、面目なさそうに目を伏せるさくらが可愛いのである!!
文章では伝わらないが、その声と喋り方がアニメ声優みたいでますます萌える。
具体的には島津冴子さんっぽい。
次のシーンでは、ご本尊の前でハヤテと月光院たちが対座している。
月光院「それでは、この中に天の巻が?」
ハヤテ「はい」
ハヤテが、袱紗に包んだ細長いものを月光院に渡した瞬間、
バラーラ「聞いたぞ、聞いたぞ……おわえおえおあ……」
どこからかバラーラの声がしたかと思うと、空中にその首が浮かび、同じく左手だけが空を飛んで、月光院の持っていた袱紗包みを奪う。
バラーラは自分の五体を自由自在に分離して動かすことができるのである。
パーツが合体して本来の姿になると、
バラーラ「ポルトガルのバラバラ妖怪バラーラだ、天の巻は貰ったぞ」
ハヤテ「はっはっはっ、ぬかったな、バラーラ、その中を見ろ」
バラーラ「ええっ? くそっ」
月光院「それは御仏に捧げるお経を記したもの」
バラーラ「くそう、女にまで図られたか!!」
しかし、このシーン、変である。
だって、ハヤテたちは大魔神像についての情報を教えてもらうためにここに来たのであって、忍者大秘巻・天の巻を渡すために来た訳じゃないからね。
それに、月光院から渡されたものならともかく、ハヤテから月光院に渡されたものがお経だったと言うのも、なんかピンと来ない。
あと、これ以降のシーンを見ても、彼女は明らかにこの寺の住持らしいのに、冒頭でタツマキは「尼僧姿のくの一」って明言していて、これもなんか違和感のある表現である。
かと言って、そもそもこのお寺の由来やら、月光院の素性についての説明が全くないので、推測のしようがないのがもどかしい。
それはさておき、さくらも月光院も忍術の心得があるので手裏剣を投げつけ、バラーラも多勢に無勢でその場から逃走する。
と、別の部屋に控えていたタツマキ親子、人の気配を感じて廊下に面した襖を開けると、

常吉「あっ!」
そこに、いかにも「盗み聞きしてました」と言う感じで常吉が立っていたが、
常吉「お化け、お化け、お化け……ああーっ!」 咄嗟に子供みたいなことを言って、その場にひっくり返る。
タツマキ「……」
ツムジ「……」
そのあまりにもバレバレな猿芝居ぶりに、思わず
「いい加減にしなさい!!」と、その頭をハリセンで殴りたくなったタツマキたちだったが、なんとか我慢する。
ハヤテ「タツマキ!! 逃げられた」
タツマキ「ハヤテ殿」
ツムジ「残念」
常吉「ふふふ」
ハヤテ「なんか言ったか?」
常吉「言ってません!」 途中から嘘だが、寝転がっている常吉が、
割と大きな声で笑っているのは事実で、ハヤテたちに気付かれやしないかと、視聴者をハラハラさせてどうすんだジジイ!!
その後、ハヤテとタツマキは、月光院と共に近くの沼へ行き、釣竿で、水の中の竹筒を引き揚げる。

ハヤテ「ひとまず助かったな」
月光院「まあ、こんなところに……」
ハヤテ「これが本当の忍者大秘巻」
月光院「天の巻ですね」
そう、用心深いハヤテたちはあらかじめ天の巻をそんなところに隠していたのである。

ハヤテ「そうです、人々の平和のために、奴らの手には絶対渡してはならんもんです」
月光院「じゃあ、燃やせば?」 ハヤテ「う゛っ……」
と言うのは嘘だが、燃やせば良いんじゃないと管理人が思ったことは事実である。
何故なら、見てるほうも忘れがちだが、そもそも忍者大秘巻とは、伊賀忍者たちが集めた全国のお城の戦略情報が書かれたものであり、日本を征服しようとしている血車党にとっては重要でも、ハヤテたちにとっては危険なだけで何の価値もない代物だからである。
この辺は、「仮面ライダーX」のRS装置の設計図に通じるものがあるな。
それはともかく、ハヤテの決意を込めた言葉に、
月光院「ええ、私もさくら様と共に密かにくの一の修業を積んでまいりましたが、御仏の見守り給うこの日本の大地を平和に保ちたいと心から願っているものでございます」
月光院も、長ったらしい割りに中身のない台詞で応じる。
しかし、なんでれっきとした尼さんが、くの一の修業しなきゃいけないの? その辺がさっぱり分からないのである。
この後、時間潰しのようなどうでもいいシーンを挟んで、ひとりで常吉の看病をしていたさくらが、正体をあらわしたバラーラに襲われる。
彼女の悲鳴を聞きつけてハヤテたちが駆けつけると、

常吉「さくら様ーっ!」
タツマキ「どうしたんじゃい?」
常吉「バケモノがさくら様を攫っていきましたじゃ」
既にさくらの姿はなく、常吉がひとりいるだけだったが、
ハヤテ「二度とその手は食わんぞ、バラーラ」
常吉「な、なにをなさる?」
ハヤテ、いきなり常吉の胸倉を掴み、その正体を喝破する。
しらばっくれる常吉であったが、

ハヤテに突き飛ばされて尻餅をつくと、その体からバラーラの体の一部が零れ落ち、あっさり露見する。
このシーンの問題点は、ハヤテが何故常吉の正体を見破ったのか、その理由や手掛かりが一切示されていないことである。
仮に、最初の猿芝居の時点で常吉を怪しんでいたのなら、なんで常吉とさくらを二人きりにしたのかと言う、新たな疑問が湧いてしまう。
ともあれ、常吉の姿がパッと消えると、代わりにバラーラがあらわれる。
ハヤテ「さくらさんを何処へやった?」
バラーラ「返して欲しくば、天の巻を持ってポルトガルの船に来い」
バラーラ、木の幹にポルトガル船までの道筋を書いた地図を貼り付けると、姿を消す。

で、一応、沖合いに停泊しているポルトガル船のミニチュアも出てくるのだが……
……
ま、何も言うまい。
ちなみに突然ポルトガル船が出てきて面食らうが、バラーラがこの船ではるばるポルトガルからやってきたと言うことなのだろう。
その割に、ポルトガル人の船員なんてのは一切出て来ないのが、いかにもビンボー臭い。
が、そんな不満も、

さくら「あっ、くっ……」
柱に縛り付けられたさくらが、色っぽく身をくねらせている映像で、たちまち何処かへ吹っ飛んでしまうのだった。
さくら(あたしだって、戸沢白雲斎の孫娘……縄抜けぐらい簡単と行きたいんだけど……)
それにしても、西崎さん、とても12歳とは思えぬ色っぽさである。

さくら「あっ」
さくら、背後の羽目板に穴が開いているのに気付き、その向こうにいるバラーラの様子を盗み見る。
うーん、アーモンド形で黒目がちの、実に奇麗なおめめである。

バラーラ「悪魔道人さま、必ず今度こそハヤテを倒し、天の巻を奪ってご覧にいれます」
バラーラは、大魔神像にいる悪魔道人に報告していた。
……
そう言えば、月光院たちが大魔神像を見たって話、何処行っちゃったの?
一応、さくらが拉致される前に、タツマキがひとりで大魔神像を探すカットがあるのだが、そこでは「大魔神像が出た噂」と、急に話の信憑性が低くなっている。

悪魔道人「バラーラよ、ハヤテがそのポルトガル船に着くまでをうまく使え、やつを仕留め、必ず天の巻を奪うのだ。ふっはははっはっ……」
相変わらず、長きに渡る難産の末にやっと快便を迎えた人のように世にも嬉しそうな笑みを浮かべて命じる悪魔道人。
着任以来、ずーっと負け続けていると言うのに、どうして毎回ヴァージンのように溌剌とした笑顔でポジティブに仕事が出来るのだろう?
それだけメンタルがタフなのか、あるいは、とっくの昔に発狂していたのかもしれない。
バラーラ「天の巻さえ奪えば、奴をここへ入れて閉じ込め、のああ、娘ごと爆破してみせる」
さくら「早くここを抜け出してハヤテさんに……」
彼らの恐ろしい目論見を知ったさくらは、懸命に体をよじらせていたが、

さくら「取れた! 手首の関節を外して縄を抜けるってほんとなんだわ」
割とあっさり縄抜けを成功させたことに、本人が驚いていた。
しかし、この言い方では実際にしたことはないのに、偶然関節が外れたようにも聞こえるが、体をくねらせているだけで関節が外れるだろうか?
おまけに、

さくら「はーっ」
外れた関節も、一瞬で元に戻ってしまうお手軽さ。
しかし、ほんと12歳とは思えない体つきだなぁ。
と、扉が開く気配に、さくらは咄嗟に縛られて眠っているふりを装う。

パラーラ「罠につけるエサは大切だ……」
バラーラ、自分の右耳を外すと、壁に突き刺す。
バラーラ「よーっうし、これで何をしても聞こえる。いいか、大人しくするんだ。ぬわああおあ……」
それにしても、毎度のことだが、12才のロリロリ美少女と二人きりで、邪魔するものもなく、好き放題できると言うのに、その体に触れようとさえしないバラーラ、漢(おとこ)である。
管理人だったら、とりあえず全裸にしてから、フンドシを締めさせるね。
それはさておき、
さくら(どうしよう?)
悩むさくらであったが、さっさと逃げれば良いのでは? 聞かれてるだけで、見られている訳じゃないんだから……
今気付いたんだけど、さくらが必死になって縄を抜けたことが、ストーリーにほとんど影響を及ぼしてないんだよね。
まぁ、この辺が真里ちゃんの脚本の限界であろうか?
CM後、バラーラに噛まれて寝込んでいるタツマキに、天の巻を見せて安心させると言う、どうでもいいシーンの後、

月光院「ハヤテさま、どうしたら良いのでしょう?」
ハヤテ「バラーラには渡しません。しかしさくらさんは助けに行きます」
月光院「かえって申し訳ないことになりました」
一応尼さんなのにグロスをたっぷり塗った月光院とツムジに後を任せ、ハヤテは単身、ポルトガル船へ向かう。
その途中、30メートルはあろうかという見事な滝の前に差し掛かるが、バラーラは、悪魔道人の助言に従ってハヤテに襲い掛かる。
……
いや、さっき、船の中に閉じ込めてどーのこーのと言ってませんでしたっけ?
それはともかく、バラーラ、石でハヤテの動きを封じると、

バラーラ「早く天の巻を出せ、出さぬと脳天ぶち抜くぞ……ぬはははは」
ハヤテ「くっ」
この番組では珍しく、短筒を向けて脅すが、

何を思ったか、ハヤテがまだ何もしてないのにいきなり引き金を引く。
これにはさすがのハヤテも、
ハヤテ「今、出そうと思ったのにぃーっ!!」 とでも言いたげな顔でのけぞり、

そのまま背後の滝壺にまっさかさま。
それを見たバラーラは、
バラーラ「しまった、逃げられた!!」 ……
なんか、頭痛くなってきた……
要するに、威嚇射撃のつもりがハヤテに当ててしまい、天の巻もろとも滝壺に沈めてしまったと言うことなのだろう。
もっとも、正直、忍者大秘巻などを手に入れることより、ハヤテの命を奪うことのほうが、血車党にとっては遥かに有益だったとは思うが。

ここでとりあえず、さくらの画像を貼っておく。
特に意味はない。貼りたいから貼っただけだ。
無論、ハヤテは死んでおらず、滝壺から這い上がって引き続きポルトガル船を目指して歩き続ける。
一方、さくらは縄を外して樽の上に立ち、なんとか抜け道を探していたが、

静かに扉が開いて、見たことのない
チンドン屋剣士が入ってくる。

すわ、新手の変態かと思わず身構えるさくらであったが、それはハヤテの盟友・月ノ輪であった。
月ノ輪「私はあなたの味方だ、さ、早く逃げなさい」
ね? さくらが縄を外しても外さなくても、カンケーなかったでしょ?
月ノ輪はさくらの体を樽の上から下ろすが、バラーラが置いていった耳の中から赤いガスが噴出する。

さくら「あれ!!」
月ノ輪「なんだ?」
ガスを吸ってその場に倒れる月ノ輪であったが、なんとか力を振り絞って耳を斬り裂き、ガスを止める。
バラーラは洞窟の中でハヤテと戦っていたが、月ノ輪の侵入を知ると、再び短筒を向けて、
バラーラ「早く天の巻を出さぬと船を爆発させるぞ」
ハヤテ「なに、船を?」
ハヤテ、やむなく天の巻を取り出すが、その場では渡さず、洞窟を抜けて海に面した岩場に出ると、

ハヤテ「見ろ、とりゃーっ!」
バラーラ「天の巻を船に……」
天の巻を放り投げ、ポルトガル船の中に落とす。
うーん、一歩間違えれば天の巻が海の中に落ちていたかも知れず、かなりリスキーな行為だったのではあるまいか?
あと、船を爆発させると脅してるけど、手下もいないのに、どうやって離れたところから爆発させるのか、その方法が示されないのが物足りない。
で、さすがにそれはないだろうと思うのだが、天の巻はそのまま月ノ輪たちの前に転がってくる。

月ノ輪「うん、天の巻がどうしてここに?」
ともあれさくらを連れて脱出しようとするが、そこへバラーラが甲板から降りてくる。

バラーラ「天の巻を渡せ、ぬおお」
月ノ輪「うう、くそう」
短筒を向けられ、月ノ輪は悔しそうにさくらを庇って後退する。
で、彼らの背後に火薬の詰まった樽が置いてあったので、バラーバが引火を恐れて銃を撃つのをためらう……ことはなく、いきなりぶちかましちゃうのである。
……
お前はアホか? と、その背後から嵐が飛び込んできてバラーラを突き飛ばす。

嵐「さ、早く」
月ノ輪「嵐、天の巻を」
嵐「おう」
変な格好した大人たちのそばで小さくなってるさくらが可愛いのである!

嵐「とおりゃっ!」
嵐、さくらと、銃を撃たれて負傷している月ノ輪を左右に抱いてその場で飛び上がる。
……
いや、嵐と月ノ輪だけならともかく、さくらが一緒ではまずいのでは?
ここは横着しないで階段を上がって欲しかった。

その直後、バラーラの短筒から出た炎が火薬に引火したのか、ポルトガル船が爆発炎上する。
なんか、空に黒い斑点がついてるように見えるが、目の錯覚であろう。
この後、岩場の上で嵐とバラーラの一騎打ちが行われ、苦戦の末、嵐の勝利に終わる。
今回もそのまま立ち去ろうとする月ノ輪の素性を、ハヤテがいつになくしつこく追及する。

ハヤテ「どうして君はいつも俺を助けてくれるんだ?」
月ノ輪「それは……」
ハヤテ「せめて本当の名を教えてくれ」
月ノ輪「……頑張るんだ、ハヤテ」
ハヤテ「月ノ輪!!」
月ノ輪「天狗岳の頂上で会おう」
ハヤテ「天狗岳?」
月ノ輪「そうだ」
月ノ輪、謎めいた言葉を残すと閃光を放って消えてしまう。
ともあれ、ラスト、大魔神像の話は結局最後まで触れられないまま、ハヤテたちはさくらたちに別れを告げると、月ノ輪が待つと言う天狗岳に向かうのだった。

ツムジ「さよなら」
さくら「さよならーっ!」
最後はもう一度さくらタンの画像で締めましょう!!
以上、相変わらずストーリーはわやくちゃだが、ゲストヒロインの魅力が堪能できる、なかなかの力作となっていた。
昔の特撮と言うのは、ストーリーがいまいちでも、ヒロインの可愛らしさでどうにかなってしまうものなのである。
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