第7話「ライダー大逆転!!」(1975年5月17日)
のっけから、
ガイド「みなさま、ここがかの有名な鶴岡八幡宮でございます」
と言う声と共に、鎌倉の鶴岡八幡宮が映し出される、まるで地獄のタイアップロケのような幕開け。

ガイド「これが鎌倉の大仏様でございます」
この導入部だけ見ると、ごりっごりのタイアップロケになりそうだが、鎌倉と言う近場のため、日帰りロケで済んだのか、ホテルなども出て来ず、かなりあっさりしたロケとなっている。

一方、その近く(?)のドライブインの中に今回の奇械人ワニーダがいて、ツアー客たちの様子を舌なめずりしながら観察していた。
ワニーダ「獲物がごっそり頂けるか……間もなくお前たちと同じ、奴隷人間になる連中が来る。お迎えの用意をしておけ。もし逆らえば、ひとり残らずそのボタンを押して殺す」

ワニーダの脅しに、階段の踊り場にしゃがんでかたまっていた数人の奴隷人間たちが、怯えたような顔を上向け、自分たちの務めを果たすために、あたふたとその場を離れる。
しかし、既に奴隷人間になっている、つまり、サタン虫に寄生されているのなら、ワニーダの言いなりになる筈であり、わざわざそんな脅しをかける必要はないと思うのだが?

で、そのドライブインの外観が映し出されるのだが、この、壁一面をびっしりと埋め尽くす蔦には見覚えがある。
そう、「イナズマンF」に出て来た、インターポールのアジトである。
しかし、アジトならともかく、とても観光地の近くのドライブインには見えんよなぁ。
周りの景色も、いかにもうらさびれた郊外と言う感じで、観光バスが立ち寄る場所としては明らかに場違いだ。
それはともかく、そこがブラックサタンのドライブインとも知らず、一台の観光バスが到着し、乗客たちが伸びをしながら降りてくる。

文太「起きなよ、父ちゃん、ドライブインで何か食べようよ」
大木「うん、メシか?」
その中に、大木と言う大男と、その息子で文太と言う可愛らしい少年がいた。
大木を演じるのは、何気に特撮ドラマに縁の深い大前均さん。

大木「はははははっ」
ドライブインの食堂で、何かの丼ものを前に、世にも嬉しそうに手を擦り合わせる大木。
かわいそうに、普段、ろくなもん食べてないんだね……

支配人「当ドライブインの特別料理」
が、そのドライブインの支配人と言うのが、悪人メイクをした江幡高志さんなので、それがろくでもない料理であることはほぼ察しがついた。
だが、察しのつかない大木は、クリスマスプレゼントを前にした子供のように底抜けにわくわくしながら丼の蓋を取るが、
はい、こんなんでしたーっ!! 虫嫌いの人が見たら「ウゲッ」となりそうな映像である。
ヘドリアン女王なら、大喜びしそうだが……

文太「虫!!」
大木「うわぁああっ!! こ、こんなもの、食えってのか?」
大木も身震いして飛び退き、支配人に食って掛かるが、

支配人「そうだ、いーっへっへっへっ」
大木「なんだとぉ?」
奴隷人間「さあ、食えーっ!! 仲間になるんだーっ!!」
周りにいた客たちがぞわぞわ集まってきて、そのサタン虫丼を無理やり食わせようとする。
ちょっと説明不足の感があるが、先に下りた乗客たちは既にサタン虫丼を振舞われて奴隷人間にされてしまい、正気を保っているのは、最後に食堂にあらわれた大木親子だけ、と言うことなのだろう。
奴隷人間たちは大木親子の体を押さえつけ、親切に、箸でサタン虫をつまんでその口に運ぼうとする。

文太「いやだ、そんなもの食いたくない、やだーっ!!」
ま、どうせなら、大木の子供は可愛い女の子にして欲しかったなぁ……
他意はない。
他意はないが、女の子が、大勢でよってたかって口の中になんか突っ込まれそうになっている姿は、管理人のようなダメ人間の劣情を激しく刺激するものがあるのは確かだ。
大木、元プロレスラーと言うことで大暴れするが、多勢に無勢、結局四方八方から伸びる手に押さえ込まれ、

支配人「おい、食え!!」
無理やり口を開けさせられ、サタン虫を放り込まれそうになると言う、人生最悪の瞬間を迎えるのだった。
当時、この強烈なシーンが頭に焼きついて極端な虫嫌いになり、さらには、丼ものの蓋を取るのが怖くなったちびっ子が、少なからずいたのではないかと思う。
罪作りな番組である。
ただ、サタン虫って口に入れるんじゃなくて、耳の穴から入り込むんじゃなかったっけ?
ま、耳の穴に入れられるより、口に押し込まれるほうが遥かに恐ろしいので、ドラマ的にはこれで正解なのだろう。
文太だけはなんとかドライブインから逃げ出すが、奴隷人間たちはしつこく追いかけてくる。
ちなみに彼らの走っている背後に、思いっきり団地のような建物が見えるのだが、ドライブインと団地との組み合わせが、これまたピンと来ないなぁ。
文太、車道に飛び出して通り掛かった車に助けを求めるが、人情紙風船の時代、どの車も無視して走り去る。
ぐずぐずしているうちに奴隷人間たちがすぐ後ろに迫ってくるが、

文太「おじさん、停まって、お願いだから停まって!!」
最後の最後にあらわれたのが、我らがおやっさんのジープであった。
無論、おやっさんは躊躇うことなく車を停め、
立花「おお、どうしたんだ」
文太「悪い奴が……」
立花「えっ、悪い奴?」
が、例によって例のごとく、おやっさんが周囲を見回したときには、既に奴隷人間たちは跡形もなく消えていた。
立花「どうしたんだ?」
文太「父ちゃんがドライブインで捕まってるんだ」
立花「よし、訳は車の中で聞こう」
だが、この手の事件に経験豊富なおやっさん、嘘やイタズラなどとは思わず、文太の体をジープに引っ張り上げてやる。

立花「虫のようなものを食べさせられた?」
文太「そうなんだ、父ちゃんは自分で捕まって俺を逃がしてくれたんだ」
と、文太は言うのだが、さっきのシーン、どう見ても大木が全力で抵抗しているようにしか見えず、わざと捕まったとは到底思えないのである。
ま、大木が暴れたことで逃げるチャンスが生じたのは確かだが。
立花「ほお、いい父ちゃんだな。なんだかわかんないけど、そのドライブインへ行ってみようや」
文太「うん、ありがとうおじちゃん」
だが、途中、ワニーダの待ち伏せ攻撃を受ける。
かつてはその豪腕でショッカーなどの戦闘員を震え上がらせて来たおやっさんであったが、寄る年波には勝てず、ピカチュウ戦闘たちにボコられてあえなくキャプチャーされる。
と、そこへバイクで突っ込んで来たのが、いなせな快男児・茂であった。

ワニーダ「貴様ぁ」
茂「ご存知、城茂よ」
ワニーダ「ブラックサタンの脱走者がどうしてここに?」
茂「答えはひとつ、ブラックサタンの奇械人のあるところ、必ずこの俺も現れるってことよ」
ワニーダ「ブラックサタンの脱走者を始末して、その名を高めよう」
ワニーダが茂に襲い掛かろうとすると、
ユリ子「お待ち!! ここにもブラックサタンの脱走者はいてよ!!」 横合いから愛しのユリ子姐さんがあらわれ、フィクションの世界でしか聞いたことのないお嬢様っぽい語尾で自分の存在をアピールする。
茂「ユリ子、ザコは任せるぜ」
ユリ子「ずるいわ、いつも」
茂「いいってことよ」 なんか、会話が噛み合ってないような……
茂、ストロンガーに変身するが、

ちょっとジャンプしただけで、いきなり浜辺に出てしまうのは、いくら大らかな昔の特撮とは言え、さすがにどうかと思う。
まあ、ロケーションが鎌倉だとすれば、海が近いからそんなに違和感はないけれど。
ここで無駄に長いアクションシーンとなるが、不利になったワニーダは、海の中へ逃げ込む。
ライダー「逃げ足の速い奴だ」
と、その横で、タックルが最後の戦闘員を地面に叩き付け、そのおみ足で戦闘員の胸を踏みつける。
羨ましい……

ライダー「タックル」
タックル「今度は私の勝ちね、見なさいよ、人質が一杯、何を企んでいるのか、白状させてやるんだ」
一転して乱暴な口調で、ぶちのめした戦闘員から情報を得ようと張り切るタックルであったが、

タイタン「タックル、君の最後だ、ふっふっふっ」
何処なのか不明だが、彼らを見下ろす場所にいるタイタンが、リモコンのスイッチを入れると、

ライダー「危ない、伏せろ!!」
戦闘員たちの体が一斉に吹っ飛ぶ。
万が一に備え、戦闘員の体には、自爆(註・正確には他爆だが)用の爆弾がセットされているのだろう。

ライダー「0.3秒タイミングがずれた、命冥加な二人め!!」
出ました!! 以前やったレビューで鮮明に覚えている、「命冥加」と言う死語。
ちなみにその意味は、「神仏のおかげで、命拾いをすること」である。
もっとも、これはタイタン様の専売特許ではなく、昭和ライダーシリーズではたまに耳にする言い回しである。
……
いや、だったら、ライダーと戦闘員が戦ってる時に爆発させれば勝てたんじゃないの?
ま、さすがにそんな非道なことをしたら、戦闘員の組合がストを起こすだろうから、あくまで戦いに敗れたものにしか使えないのだろう。
あるいは、戦闘員の体内ではなく、地面に仕掛けられていた爆弾を爆発させたとも考えられるが、その場所が戦場になることが前以て分かる筈がないので、やはり戦闘員が爆発したと見るのが自然か。
ろくに話も進んでないのにもうCMです。
間一髪で死地を逃れ、変身を解いて立ち上がる茂とユリ子。

茂「ちきしょう……あんまりいい気になると、長生きできないぞ」
ユリ子「なによ、私だって爆発することぐらい知ってたわよ」
ぶっきらぼうに忠告しつつ、ユリ子の服についた砂を払ってやる、最初の頃と比べると、だいぶ紳士的になった茂。

茂「おやおや、そりゃ悪うござんしたね。今度は絶対知らねえからな」
ユリ子「ほっといてよね」
売り言葉に買い言葉、二人が喧嘩した恋人同士のようにむくれて背中を向け合っていると、そこへバツの悪そうな顔でおやっさんがやってきて、
立花「おい、お二人さん、仲間喧嘩してる暇はないと思うがね」
茂「ほっといてくれ」
文太「父ちゃんが、ドライブインで捕まってるんだ」
ユリ子「え?」
茂「何処のドライブインだい?」
文太の訴えに、喧嘩を忘れてたちまち真顔になる二人であったが、そこへ捕まった筈の大木がドタドタ走ってきて、

大木「文太!!」
文太「父ちゃーん!!」
文太、すぐに父親に駆け寄るが、
大木「ばっかやろう、何処をうろついてたんだ? 心配させやがって……バスの皆さんたち、心配してるぞ」
文太「父ちゃん、あの虫は?」
大木「なにを夢みたいなこと言ってるんだ? さあ行こう」
大木、息子の言葉をこともなげに聞き流すと、その体を肩に担いで歩き出す。
立花「なんだー、どうなってんだ?」
茂「う~ん」
立花「ちぇっ、つうっ、人騒がせな」
狐に抓まれたような顔をしていたおやっさん、やがて、文太に担がれたのだと思って舌打ちする。
うーん、でも、ワニーダは明らかに文太を狙って襲って来たのだから、おやっさんの反応は元少年ライダー隊会長としては、あまりにお粗末であったろう。
文太「お兄ちゃ~ん」
だが、茂とユリ子は、連れられていく文太の心細い声を聞くや、顔を見合わせて頷き、密かに二人を追跡する。
もっとも、ユリ子はドライブインを調べることになったのだろう、次のシーンでは、大木親子を追跡するのは茂ひとりになっている。

鎌倉市扇ヶ谷の、寿福金剛禅寺という由緒あるお寺の中に入っていく大木親子。
実に慎ましやかなタイアップロケである。
ところが、寺内を抜けると、彼らはまた浜辺に出てしまう。
うーん、普通、お寺って山の上にあるものだから、寺を抜けて海岸に出るというのは、感覚的に受け入れがたいシーンとなっている。

ともあれ、大木が浜辺を走っていると、砂の中に埋まっていたピカチュウ戦闘員たちが出て来て襲ってくる。
茂、反射的に戦闘員たちと戦い、親子を先に行かせる。
これは、大木がブラックサタンの一味ではないということを茂にアピールするための、手の込んだ芝居なのである。
この後、再び山の中に入った茂は、いつの間にか縛られていた大木親子を解放しようとするが、やはり奴隷人間にされていた大木に、スリープガスと言う、茂専用に開発された催眠ガスを浴びせられ、あえなく意識を失う。

大木「ガスは成功だ、ブラックサタンの脱走者をドライブインへ連れて行け」
戦闘員「……ミュウッ!!」
「なんでこの人、奴隷人間なのに態度でかいのかな?」と、一瞬疑問に思うピカチュウたちであったが、
なんか怖いので大人しく命令に従うのだった。
続いて、

美しいおみ足が映し出され、管理人の期待が高まるが、
はい、ユリ子姐さんの婦警コスプレ、キターーーーーッ!! と言う訳で、スタッフの粋な計らいに小躍りして喜ぶ管理人であった。

ユリ子(なんとなく、怪しげなドライブインだわ……)
いや、ユリ子さん、なんとなく、じゃなくて……
堂々とドライブインの中を嗅ぎ回るユリ子であったが、ポンと肩を叩かれ、
支配人「何かお捜しですかな、婦人警官さん」
ユリ子「いえ、あの、お手洗いをお借りしたいんですけど」
支配人「ああ、そこですよ」
しかし、ドライブインの中、廃墟のようにがらんとして物音ひとつせず、客はおろか従業員の姿すら見えないというのは、ドラマの絵作りとして、いくらなんでも手を抜き過ぎだろう。

ユリ子「ああ、危ない、危ない……」
トイレに行き、とりあえず鏡の前で髪を整えていると、急に部屋が暗くなる。
続いて、鏡の中に、ワニーダの姿が浮かび上がる。
にしても、岡田さん、とても16才とは思えない大人っぽさで、これなら本物の婦警として十分通用する、素晴らしいコスプレである。

ワニーダ「ユリ子、ブラックサタン経営のドライブインにようこそ」
ユリ子「ワニーダ、やっぱりこのドライブインは……」
ワニーダ「そのとおり、一度店の中に入った客は出る時はブラックサタンの命令どおり動く奴隷人間になっているのだ。既に何百人がもう奴隷」
ユリ子「それも今日で終わりね、このドライブインはもう店じまいよ、とおっ!!」
そう言うと、いきなり拳で鏡を割る、無茶なユリ子婦警であったが、同時に足元がパカッと開いてまんまと落とし穴に落とされる。
さらに、落ちたところを四角い金属製のケージの中に閉じ込められる。
やがて穴の上からあの支配人がニタニタ笑いながら覗き込み、
支配人「向こう見ずなお嬢さんだ」
ユリ子「やっぱりお前は?」
支配人「そうさ、奇械人ワニーダさ」
支配人の耳からサタン虫が抜け出ると、その体がどさりと崩れ落ち、代わりにワニーダがあらわれる。

ユリ子「正体をあらわしたわね、それならこっちも」
ワニーダ「電波人間タックルになる? そううまくいくかな」
ユリ子「なってやるとも」
まさに向こう見ずなユリ子は、ワニーダの「忠告」も無視して変身しようとするが、

ユリ子「きゃあああーっ!!」
次の瞬間、ケージの中から激しい火花が噴き出し、ユリ子の悲鳴が響き渡る。

ワニーダ「やめろ、その柵はファラデーケージになっている、つまり電波は通さない、無理にタックルになろうとすれば、手足が千切れて死ぬ」
ユリ子「よくも……私がダメでも茂がいるのよ、おぼえてらっしゃい!!」
昔の(ドラマの中の)女の子は、怒っても言葉遣いが綺麗だから良いよね。
しかし、仮にケージが電波を通さなくても、変身はできるんじゃないかなぁ?
変身して、電波投げでケージを壊そうとしてこんな目に遭う……と言うのなら分かるけど。
ワニーダ「茂? ああ、あの城茂か、お前に会いたがっているかな?」
ユリ子「えっ、どういう意味?」
ワニーダ「奴は我々のものだ」
ユリ子「嘘だわ」
ワニーダ「その目で見ることだな」
ワニーダの勝ち誇った声に応じて、落とし穴の底の壁が「どんでん」して、その裏に拘束具で貼り付けられていた茂が姿をあらわす。
ユリ子「茂!!」
ワニーダ「呼んでも無駄だ、城茂の意識は既に我々の思いのままだ」
ワニーダが茂にユリ子抹殺を命じると、茂は目を覚まして拘束具を外し、

ユリ子「放してよ、バカッ!! 放して!!」
茂「むんっ」
ユリ子「うっ、茂……」
ケージを壊してユリ子の首をぐいぐい締め付けながら壁際に押していく。
ちなみに、茂、金属製の右手を露出させてケージに触れ、電気の力で壊しているのだが、あのー、ファラデーケージは「電波は通さない」んじゃなかったっけ?
それとも、電波はダメだけど、電気はOKってことなの?
なんか釈然としないなぁ。

鬼瓦のような顔でユリ子の首を絞めていた茂であったが、

不意に笑顔になり、
茂「でしゃばりのバツだ」
そう、案の定、茂は彼らの意のままになったと見せかけて、ユリ子をからかっていただけなのだった。

ユリ子「ああ」
驚いて、思わず目玉が零れ落ちそうになるユリ子さん。
しかし、これはちょっと笑えない冗談だよね。
ユリ子の反応からして、かなりの力で締めてたみたいだし……
茂、ユリ子をそこに置いたまま、ジャンプして一気に落とし穴を抜けると、

ライダーに変身して、その行く手に立ちはだかる。
ライダー「待っていたぞ、ワニーダ」
ワニーダ「なっ何故だ、何故あのガスが効かなかった?」
ライダー「そんなこと、俺が知るか!!」 動揺するワニーダの問い掛けに、「仮面ライダー」史上、最低にして最強の台詞で応じるストロンガーであった。
ちなみに、人生のどんな問題も、大体この一言で切り抜けられると言うことです。
妻「なんで浮気したの?」
夫「そんなこと、俺が知るか!!」
警官「はい、30キロオーバー、免許証見せて」
ドライバー「そんなこと、俺が知るか!!」
警備員「お客様、まだレジを通していない商品をお持ちですね」
客「そんなこと、俺が知るか!!」
教師「カンニングしたな?」
生徒「そんなこと、俺が知るか!!」
母親「お願いだから働いて」
ニート「そんなこと、俺が知るか!!」
検察「お金をばら撒きましたね?」
政治家「そんなこと、俺が知るか!!
秘書がやったんだ!!」
みたいにね。
それはともかく、強引に片付けているが、これって脚本家の怠慢以外の何物でもないよな。
ちなみにワニーダの台詞から、スリープガスには改造人間を眠らせるだけでなく、ブラックサタンの意のままにするという機能まであったらしい。
うーん、さすがにこれは便利過ぎて、眉唾である。
実際は、茂は眠ってさえいなかったことが分かるので、完全な欠陥アイテムであろう。
ワニーダ「くそう、こうなりゃ今までの奴隷人間を全部殺してやる」
怒り狂ったワニーダ、そう叫ぶと、冒頭に出て来たキルスイッチ目掛けて走り出す。
……
いや、なにが「こうなりゃ」なの? 茂の洗脳に失敗したとしても、慌てて奴隷人間たちを皆殺しにする必要はないではないか。
仮にこの施設を潰されたとしても、奴隷人間たちはサタン虫で操られているのだから関係あるまい。

ライダー「それが知りたかったのだ」
ワニーダ「う、そこまで読んでいたのか」
ライダー「でなければ、わざわざ捕えられるものか」
それはそれとして、ボタンを押そうとしたワニーダの腕を間一髪で押さえたストロンガー。
つまり、最初からそのボタンのありかを探すために眠ったふりをしていたらしいのだが、ひとつ大きな問題がある。
ドライブインで奴隷人間が作られていることまでは推測できたにしても、そんな皆殺しボタンがあることが、あの時点で茂に分かる筈がないということである。
ついでに言うと、ワニーダが逃げるのを見てストロンガーはスイッチをそのままにして追いかけるのだが、もし、その後で戦闘員にボタンを押されていたらどうするつもりだったのだろう?
ここでまたまたまたまた砂浜に場所を移し、ラス殺陣となるが、

長大な尻尾をつかまれてぶん回されているワニーダがちょっと可愛いということ以外、特筆すべきことはない……と思ったが、川の中に逃げ込んだワニーダに対し、

ライダー「電気ストリーム!! ようし、今度は電熱で川の水を蒸発させてやる」
右手を水につけて電気ストリームを使い、

ワニーダ「クェッ、クエッ!!」
さらには、電気を流すだけじゃなく、その熱で川の水を蒸発させるという、地元民や環境保護団体から絞め殺されそうなめちゃくちゃなことをするストロンガーの姿が強烈であった。
こうしてワニーダはストロンガーに蹴り殺され、それと同時に奴隷人間たちも元通りになってドライブインから解放され、大木親子も無事に再会を果たしてめでたし、めでたしとなるのだが、なんでワニーダが死ぬと奴隷人間たちが正気になったのか、さっぱり分かりません。
前記したように、彼らはワニーダに催眠術を掛けられていたのではなく、サタン虫に取り付かれていたのだから、ワニーダの生死とは関係ない筈である。
せめて、あの皆殺しボタンのほかに、「全員解放ボタン」みたいな、それ必要あります? 的なボタンがあって、それをユリ子が押すシーンがあれば、まだ納得できたのだが。
以上、無理やりサタン虫を食わせようとするトラウマシーンと、ユリ子の婦警コスプレ、そしてストロンガーの「名台詞」以外には見所のない凡作であった。
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