第3話「帰って来たジロー キカイダー」(1973年5月26日)
前回、ハカイダー基地を破壊したものの、ハカイダー4人衆の四段攻撃を受け、歩けなくなってしまった01。
そのことが前回の映像とナレーションで説明されるのだが、サブタイトル表示後、

本編が始まっているのに、泣きじゃくるアキラを励ましている01の声がスッポリ抜けているのは、明らかなミスであろう。
ハカイダーは部下に01とアキラの捜索を行わせるが、一向に見付からず、
ハカイダー「ええい、どいつもこいつも能無しめが!!」
腹立ち紛れにアンドロボット(戦闘員)たちを殴り飛ばす。
「01」のハカイダー、こういう駄々っ子みたいな粗暴さがイヤなんだよね。
部下に八つ当たりする前に、夜だと言うのにサーチライトどころか懐中電灯さえ使わずに01を探し出そうとしている自分の無策ぶりを反省すべきだろう。
そうこうしているうちに、東の空がぼんやりと明るくなる。
岩の隙間に隠れていた01は、
01「もうすぐ太陽が昇る、太陽電池さえ動き出せば……」
と、アキラを励ますが、

ハカイダー「ぬっはははは、見ろ、01は足がないも同然、これでは丸太だ」
次の瞬間、頭上にハカイダーが現れ、大股開きで岩の上に立ち、勝ち誇った笑いを上げる。
……
このポーズ、ミニスカを履いた可愛い女の子に演じて欲しかったなぁ。
ハカイダー「それ、丸太踊りを踊らせろ!!」
ハカイダー、嗜虐性を剥き出しにして銃を連射し、芋虫のように地面を転がって逃げる01を見て大はしゃぎするのだが、それを「丸太」と表現しているのがかなりヤバいです。
だが、すぐにトドメを刺さず、猫がネズミをもてあそぶように01をいたぶって時間を無駄にしたのは、ハカイダーにとって痛恨のミスであったろう。
何故なら、いよいよトドメを刺そうという段になって、突然足元から煙とも霧ともつかぬ気体が噴出して視界を遮り、ハカイダーたちが右往左往している間に、01とアキラの姿が忽然と消えてしまったからである。
続いて、ハカイダーにとっては忘れようにも忘れられないギターのかそけき音色が聞こえてきて、あの男の到来を予告する。
それに対する、

ハカイダー「ギターを弾いてる奴を探せ!!」
と言う台詞が、妙におかしく感じられる管理人であった。
これだと、なんか、目の前にたくさん人がいて、その中からギターを持っている人を探そうとしているように聞こえるではないか。

それはともかく、崖の上に姿を見せたのは、無論、前作の主人公ジローであった。
続編に、前作の主人公がセミレギュラーで参加すると言うのは異例のことだが、これは視聴率対策の一環なんだろうなぁ。
しかし、伴さんは嫌いじゃないが、前作の主人公が序盤から参加すると言うのは、あまり感心しない演出である。
ま、伴さんのギャラを差っ引いても、新しくスーツを作るよりは安く済むという予算上の都合もあったのだろう。

ジロー「ハカイダー、貴様が生きていたとはな」
あと、宿命のライバルが生きていたことに対する、ジローの反応があまりに軽いのも気になった。
それに、ハカイダーはキカイダーを倒すことに己の存在理由を見出していたのに、この作品では特に執着している様子がないのも腑に落ちない。
いくら、「キカイダー」のハカイダーと、「01」のハカイダーが厳密には別人だとしても、だ。
ジロー、キカイダーに変身してハカイダーたちと戦う。
その間に、01は自分の手で足を修理し、待ちに待った朝日の光を浴びてエネルギーを蓄え、完全復活を遂げる。
そして孤軍奮闘するキカイダーの元へ行き、
01「キカイダー」
キカイダー「兄さん」
まるで、生まれた時から一緒だったかのように、親しげに声を交わす。
うーん、でも、01は光明寺に作られてから仁王像の中に封印されていたのだから、その後に作られたキカイダーと知り合いと言うのは変だよなぁ。
ジローが光明寺から兄のことを聞かされており、イチローは仁王像の中にいても記録コンピューターで外部のことが分かるようだから、それでジローのことを知っていたにしても、初対面の人間(?)が交わす会話とはとても思えない。
なお、戦場には頑太もいて、

キカイダー兄弟にやられて体から火を吹いているハカイダーたちにびっくりするシーンがあるのだが、この二人のポーズが、まるでモデルみたいでちょっと笑ってしまった管理人だったが、
頑太「パーン、パーン、パーン、おお、やってみるもんね」
相変わらず、頑太のギャグにはクスリとも笑えないのだった。
色々あって、ハカイダー部隊は尻尾を巻いて退散する。
と、崖上の岩の陰に、リエコらしい女性がいるのに気付くが、二人が駆けつけたときには、既に彼女の姿は消えていた。

イチロー「確かにいたんだがな」
ジロー「うん」
なんだかんだで、この二人のツーショットは鼻血が出ますな……
次のシーンでは、何の変哲もない幼稚園で、幼稚園の制服を着たアキラが子供たちに混じって遊んでいる姿が映し出される。
ま、幼稚園児にしてはいささかトウが立っているが、さほど違和感はない。

ジロー「木の葉は森の中に隠せ」
頑太「木の葉ってなんですか」
ジロー「ここなら奴らもどれがアキラ君かわかりっこない」
頑太「はぁー、なるほど」
一緒にいた頑太が、ジローたちのアイディアに感心していると、

アキラ「ガンモー!!」
頑太「ガンモじゃありません、頑太」
アキラ「べーっ」
アキラがグレート・ムタのようなポーズで頑太のカメラのフィルムを抜き出し、パーにしてしまう。
普通なら、絞め殺されても文句の言えない悪行であったが、ハカイダーたちの姿を映したそんな写真を公表すれば、頑太の命が狙われていただろうから、むしろ頑太のためであったろう。
頑太「大傑作のフィルムを……ああ、めちゃくちゃだ」
頑太が茫然としていると、二人が笑いながら近付き、

イチロー「ガンモ君」
頑太「ガンモじゃありません、こう見えても甲賀流忍者・百地三太夫の子孫・百地頑太って言うんです」
イチロー「はっはははははっ」
いや、笑ってないで、保護者として全力で謝るべきだと思うんですが……
ちなみに頑太が忍者の子孫と言う設定、私立探偵のハンペイと違ってほとんど生かされることなく終わったなぁ。
何しろ、カメラマンだから、忍術なんて使い道がないのである。
二人は、三時までアキラの面倒を見てくれと頑太に頼むと、手分けをしてハカイダー基地の探索に出る。
色々どうでもいいシーンのあと、戦闘員たちは幼稚園児をまとめてお持ち帰りしようとするが、

そのほとんどが女児であることが、「悪の組織」の本質を何よりも雄弁に物語っていた。
そう、極論すれば、
「悪の組織」=「ロリコンの集団」だったのである!!(註・違います)
ついでに言えば、男性ヒーローも、多くの場合ロリコンなので、特撮番組=ロリコン番組だと言っても過言ではあるまい(註・あります)
しかし、幼稚園が舞台なのに、保母さんがひとりも出て来ないと言うのも、番組の台所が如何に厳しいかを示唆しているようである。
と、そこへ、意味もなく高いところに登ってトランペットとギターを演奏しているキカイダー兄弟が現れる。
煙とナントカは高いところが好きと言うが……

ジロー「むんっ」

イチロー「ジロー、行くぞ」
演奏後、互いに顔を見合わせてから、敵の目の前に飛び降りる二人。
こうして見比べると、顔の濃さと言う点では、池田さんの方が70年代の特撮ヒーローにふさわしい風貌だったことが分かる。
伴さんって、肉体派ヒーローと言うより、インテリっぽい顔つきなんだよね。
二人は戦闘員相手に暴れ回るが、いつの間にか、園児の中に紛れていたアキラの姿が消えていた。
戦闘員とは言え、倒しても倒しても湧いてくる敵に、さすがの二人もグロッキー気味。

ジロー「ハカイダーめ、いつの間にこんなにアンドロボットを増やした?」
イチロー「ジロー、油断するな」
それでもなんとか変身せずに敵を全滅させると、物陰に隠れていたリエコとアキラに気付いて駆け寄る。

イチロー「リエコさん、君はアキラ君を連れ去ろうとしたんだな」
まだリエコの素性を知らないイチローは、彼女に疑いの眼差しを向けるが、
アキラ「違うよ、お姉ちゃん、助けてくれた」
イチロー「本当か?」
リエコ「あんなところで遊んでいては必ず狙われると思ったので……」
ジロー「リエコさん、あなたはアキラ君の秘密を知ってますね」
リエコ「……」
イチロー「どんな秘密だ、アキラ君はどんな秘密を握ってるんですか」
口ごもるリエコをイチローが問い詰めようとするが、そのとき、アンドロボットの第二波攻撃が開始される。
イチロー「僕はあなたを信じる、アキラ君を無事なところに頼む」
二人はアキラをリエコに託し、変身してそれぞれのマシンに乗り、アンドロボットの追撃を振り切る。
そして、どうやって突き止めたのか不明だが、ハカイダー基地を発見して侵入する。

そこはただのアジトではなく、ベルトコンベアに乗せられたアンドロボットの部品が無数にあり、完全自動制御で次々と新しい戦闘員が製造される、アンドロボット製造工場だった。
これでは、いくら倒してもキリがない筈である。
と、作りたての戦闘員がラインオフされて01の前に出てくるのだが、

その動き方が、ベルトコンベアに乗ってると言うより、
「トテテ……」などの、可愛らしい擬音をつけたくなるような、明らかに自分で横歩きしているようにしか見えないのが、今回最大の笑いどころとなっております。
01「カニかっ!!」 その、人生を舐め切っている動きに思わず強引なツッコミを入れる01であったが、嘘である。
そこへハカイダー4人衆があらわれ、キカイダーと01を排除しようとするが、あえなく返り討ちに遭い、逆に自分たちの基地から追い出される。
……
「キカイダー」のレビューで、「01」のていたらくから、ハカイダーと言うキャラにあまり好感が持てないと書いた意味、少しはお分かり頂けたのではないかと思う。
ハカイダー部隊を登場させたのは、予算が財津一郎ばりに厳しい中、新しいスーツの代わりにハカイダーの予備のスーツを流用して敵キャラを水増しすると言う苦肉の策であったのだが、はっきり言って、色んな意味で失敗だったと思う。
ハカイダー三人衆に明確な個性が感じられず魅力に乏しく、また、キカイダー×2と、ハカイダー×4が戦うビジュアルに面白みが生まれる筈もなく、おまけに、束になってもキカイダーに勝てない彼らの比類なきヘッポコぶりのせいで、ハカイダーと言うキャラクターのブランドイメージも大きく下落してしまったように思えるからである。

01「よし、工場を爆破しよう」
キカイダー「うん」
01の言葉に、キカイダー、どうするのかと思ったら、
目の前にあったレバーをガコンと上げる。

すると、たちまち操作盤から火花が吹き出し、あちこちで爆発が起き始める。
……
その工場には、自爆スイッチでもあったんか?
一体何のために?
それはともかく、またしても重要な拠点を破壊されたハカイダーは怒り心頭で、

ハカイダー「うぬーっ、最新最鋭(最新鋭?)のアンドロボット工場までが01にやられるとは」
と、その傍らにいた戦闘員が、

戦闘員「秘密兵器を開発中だった緑ヶ丘基地、マジックレーダーを備えた基地に続いて、今回のアンドロボット工場基地を入れると、我がハカイダー部隊は3つの基地を爆破されことになります」
冷静に、自軍の損害を数え上げるが、

ハカイダー「ええい、うるさい、そのようなこと、いちいち言われなくても分かっておるわ!!」
苛立ちを爆発させると、いきなりハカイダーショットの引き金を引き、

戦闘員「ぐわぁああああーっ!!」
何の罪もない、むしろ、戦闘員ながら助言役も務まりそうな有能な部下をその場で射殺してしまう。
管理人が、ギル・ハカイダーのことを嫌いになった決定的な瞬間であった。
あと、どうでもいいけど、ハカイダーの後ろに見えている変な背景は、合成用のブルースクリーンをそのまま彼らの立っている山の後ろの空に見立てていると言うことなのだろうか?
だとしたら、いくらなんでも手ぇ抜き過ぎだが、さらに、

ハカイダー「見よ、キカイダーまであらわれた以上、我らハカイダー部隊は世界征服を急がねばならん。それには我らにとって重大な秘密を握る、アキラを捕らえなくてはならん、そしてこの女リエコだ、アキラとリエコを捕らえろ、二人を捕らえて秘密を吐かせるのだ」
第1話のハカイダー部隊初登場のシーンをそのまま流用し、そこに別の台詞を被せると言う、これまたみみっちい方法で尺を埋めるということをしている。
それだけ予算やスケジュールが逼迫していたのか、単に、新たに撮るのが面倒だったのか……
戦いが終わると、リエコは再びどこかへ消えていた。

ジロー「じゃ、兄さん」
イチロー「ジロー」
マシンにまたがり、がっちり手を握って一時の別れを惜しむと、それぞれの道を走り出す兄弟であったが、
別れとらんのかいっっっ!! 思わず極大文字で突っ込んでしまったが、二人は最後まで並んで走り続けるのだった。
もう、何がなんだか……
以上、ジロー初登場回と言うことで一応レビューしたが、やっぱり面白くなく、書くのが苦痛だった。
おまけ これを書いたあと、去年買った「地球防衛少女イコちゃん」のDVDをやっと見たのだが、その3作目に伴さんが出ていた。

しかも、次郎吉と言う、どっかで聞いたような名前で、おまけに一応時代劇なのに、額にサングラスをつけているという、マニアックなスタイル。

さらに、キリヤマ隊長演じる平賀源内に改造された機械人間と言う設定で、

伴「まともな医学ならともかく、源内のやろう、俺を半分機械にしちまったんだ。この次郎吉さんは、人間なのか、機械なのか、あ、いってえ、どっちなんだ?」
青と赤の二色の照明を浴びながら、ジローみたいな台詞を放つのだった。

終盤では、かなり遠慮がちにキカイダーに似せた巨大ロボットに変身して、悪いロボットと戦ったりする。

そして、人間の姿に戻ると、背中にギターならぬ三味線を背負っているという徹底ぶり。
なお「イコちゃん」三部作は、いずれレビューする予定なので、乞うご期待なのです。
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