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「ウルトラマンA」 第27話「奇跡!ウルトラの父」


 第27話「奇跡!ウルトラの父」(1972年10月6日)

 タイトルから分かるように、「ウルトラの父」が初めて登場した回である。

 つーか、「ウルトラの父」のファンっているの?

 せめて「ウルトラの乳」だったらなぁ……(言うと思った)

 それはともかく、ヒッポリト星人の策略によってAのみならず全員まとめてブロンズ像にされてしまったウルトラ5兄弟。

 13話・14話の時もそうだったが、「A」における過去のウルトラ戦士たちがおしなべて弱っちく見えるのが悲しいです。

 沈みゆく太陽を背に、物言わぬ彫像となって立ち並ぶウルトラ戦士たちの姿を、絶望的な眼差しで見上げているTACの隊員たち。

 
 今野「隊長!!」
 美川「違うわ、これは夢だわ、私たち悪い夢を見てるのよ、こんなことがあるもんですか」

 まさに悪夢のような光景に、リアリストの美川隊員さえ、それを現実の出来事として受け入れることを拒否する。

 竜「残念だが、これは夢でもなんでもない、非情な現実だ。ウルトラ5兄弟はもう、我々の前に帰ってくることはないだろう」
 吉村「Aが負けるなんて、そんな……」
 山中「A、すまない、俺たちがピンチになったとき、Aがきっと助けてくれると思っていたんだ、それでスペースがやられたとき、Aを星人に渡せなんて言っちまって……」

 激しく自分の軽率な言葉を悔やむ山中隊員。

 しかし、「きっと助けてくれると~」って、怪獣やっつけ隊の隊員が、腹の中では思っても、絶対口に出しちゃいけない言葉だよね。

 と、再びヒッポリト星人の姿が陽炎のように揺らめきあらわれ、改めてTACに降伏を迫る。

 
 ヒッポリト星人「地球人よ、TACよ、降伏しろ、地球を我々に渡せ。TACよ、無駄な抵抗をやめろ、さもなくば、地球は地獄と化し、地球人は我々ヒッポリトの奴隷となるのだ。TACよ、返事をするのだ、地球を我らに引き渡すか?」
 竜「……」

 無言でヒッポリト星人の最後通告を聞いていた竜隊長、つと前に出ると、

 
 竜「断る!! 君たちの要求は受け入れることはできない!! この地球は我々人間のものだ!! TACは自分たちの土地を死んでも守る!!」

 きっぱりと勧告をはねつける。

 さすが竜隊長、惚れ惚れするタンカ……と言いたいところだが、「この地球は我々のものだ」と言う驕りが、現在の不可逆的な環境破壊に繋がってることを考えると、素直には感動できない管理人であった。

 ヒッポリト星人「馬鹿者めが、もう一度考えるのだ、良い答えを出せるまで待ってやろう」

 だが、辛抱強い教師のように、ヒッポリト星人はモアベターな答えを欲しがって、なおも猶予を与えてくれる。

 なかなか優しい侵略者であった。

 かつてない危機的状況に、

 吉村「隊長、あんな返事をしていいんですか?」

 吉村隊員まで腑抜けた発言をするが、即座に山中が一喝する。

 山中「バカヤロウ、ウルトラ5兄弟を見ろ、彼らは自分のためでもない地球のために死んだんだ、我々も戦うんだ!!」

 とにかく一旦本部に戻ろうとする隊員たちであったが、途中、たくさんの住民が手を広げて道路を塞いでいるのにでくわす。

 
 住民「星人を攻撃するのはやめろ」
 山中「バカなこと言わないでください」
 住民「俺たちの町を焼かれるのはもうイヤだ」

 そう、前回も湧いて出た、今だけ、自分たちさえ助かればそれでいいんだという、近視眼の事なかれ主義の連中であった。

 
 山中「考えても見てください、地球を渡したら我々は奴隷になってしまうんです」
 住民「地球を渡すことと、我々が奴隷になることとは別のことだ」
 住民「第一、ウルトラ5兄弟までやられた相手に勝てる筈がないじゃないか」
 山中「……」

 山中、答えに窮して、隊長に助けを求めるような視線を向けると、

 竜「みなさん、我々にもう一度チャンスをください」
 住民「TACは星人に勝てるのか?」
 竜「TACではありません、これは人間と宇宙人の戦いです、もし私たちが負けたら、人間は宇宙人の支配を受けなければなりません。地球を渡すだけではなく、やがては心まで宇宙人に渡すことになるでしょう。みなさん、我々を信じてください、今度の星人との戦いでは、必ず勝ちます。我々5人、五つの魂を失っても、地球に住む36億の魂を星人に渡さなければそれはTACの勝利です!!

 感動的な竜隊長の演説だが、最後の最後で「んんっ?」となってしまう管理人であった。

 まあ、言いたいことは分かるが、勢いだけの台詞のようにも聞こえる。

 ともあれ、竜隊長の誠意溢れる言葉に住民たちも一応納得したのか、5人は無事に基地に戻り、深夜まで対策会議を行うが、

 
 梶「細胞破壊ミサイルまで効果がないとすると、いよいよこれは北斗隊員が言っていた、自分の姿をスモッグに映し出した、投影説としか考えられませんね」
 美川「そう言えば、Aが谷間に飛んだ途端、巨大な星人が消えてしまいました」
 今野「身長200メートルの生物が住んでいたとするとヒッポリト星と言うのは重力が地球の何倍も小さい……て言うことになりますね」
 梶「そうなんだよ、もしそうだとすると、彼らは地球には住めないと言うことになるんだ」
 竜「と言うことは、実際には200メートルもの大きさがないと言うことでもあるな」
 山中「敵より大きく見せて相手を脅かしてんのかも知れんな」
 竜「本物の星人を発見できれば、まだ勝ち目はある」

 竜隊長、なし崩し的に北斗隊員の意見が正しかったことを認め、携帯用の細胞破壊ミサイルを開発するよう梶に命じる。

 しかし、梶はあっさり地球には住めないって言ってるけど、200メートルまではいかずとも、50メートルくらいの宇宙人が地球上を平気な顔で活動していることを思えば、そう簡単に断言は出来ないのであるまいか。

 それにヒッポリト星人の科学力なら、自分の体にかかる重力をコントロールすることくらいのことは、朝飯前であったろう。

 隊員たちが次の攻撃に備えて散ったあと、竜隊長は、

 
 竜「さすがにそれ、早過ぎね?」

 行方不明の北斗と南の席に菊の花束を置こうとする美川隊員の行動に、思わずツッコミを入れたと言う。

 嘘だけど、管理人が心の中でそう突っ込んだのは事実である。

 竜「美川隊員、君の厚意に水を差すようで悪いが、その花をどけてくれないか」
 美川「は?」
 竜「いや、私は、北斗と南はまだ生きてるような気がするんだ、いや、きっとどこかで生きてるに違いないんだ」
 美川「……」

 美川も隊長の意を汲んで、無言で頷く。

 いや、そう思うんだったら、二人の捜索してやれよ……

 しかるに、竜隊長は二人を探しにいくどころか、「散歩」に出る始末であった。

 もっとも、竜の向かった先は前回、ヒッポリト星人に殺された運転手の家だった。

 竜が、娘の純子(仮名)に、やはり、彼女の父親はヒッポリト星人に殺されたらしいと話していると、息子のヒロシがズカズカ入ってきて、

 
 ヒロシ「そら見ろ、やっぱり父ちゃんは星人に殺されたんじゃないかぁ!!」
 純子「ヒロシちゃん」
 竜「いや、いいんですよ、責任はTACにあります」
 純子「でも」
 ヒロシ「Aもやられちゃったんだ、TACが星人と戦ったからいけないんだぜぇええっ!!」
 竜「……」

 竜が下手に出てるのを良いことに、調子に乗ってまくしたてるヒロシ少年を見て、

 
 竜「あの、いっぺんぶん殴ってもいいですか?」
 純子「ええ、是非!!」

 ヒロシ少年の教育方針に関して図らずも意見が一致する二人であったが、嘘である。

 ヒロシ「星人の言うことをはじめから聞いていれば、父ちゃんもAも死ななくても済んだんだよ」

 遂には、父親の死までTACのせいだと言い出すヒロシに対し、竜は穏やかな、だが厳然とした口調で教え諭す。

 
 竜「ヒロシ君、君の言うことは良くわかる、だが、地球は君だけのものじゃない。みんなのものなんだ、たくさんの人間が住んでるんだ。それなのになんの理由もなしに地球を自分のものにしようとしている星人は許すことは出来ないんだ、ヒロシ君、誰かが君の大切にしているものを黙って持って行こうとしたら、君は怒るだろう?」
 ヒロシ「……」
 竜「今、星人は、人間たちの宝物である地球を黙って自分のものにしようとしてるんだ。私たちは怒らなきゃいけない」
 ヒロシ「でも星人は強いんだよ」
 竜「星人にも命がある、私にも命がある。命と命を交換すれば、勝てる。君のお父さんの仇は必ず取ってあげる」

 例によって、いまひとつピンと来ないことを言って、ヒロシ少年に手を差し伸べる竜であったが、ヒロシ少年は握り返そうとしない。

 しかし、竜は「黙って」と言うが、ヒッポリト星人は堂々と世界征服宣言してるような……

 竜隊長が辞去しようとすると、

 
 純子「隊長さん!! ちょっと待ってください」

 不意に純子が呼び止める。

 ああ、かわええ……

 この連続エピソードの最大の収穫って、実はこの純子さんかもしれない。

 
 純子「お守りです」

 しかもミニスカ!!

 も、言うことなしデスね。

 
 純子「父はこのお守りを持って20年間無事故で過ごしてきたんです、ところがあの日、このお守りを忘れて出掛けてったんです。これを持ってってください、命のお守りです」
 竜「ありがとう」

 無論、そんな迷信を信じる竜ではなかったが、純子の気持ちをありがたく頂戴するのだった。

 と、同時に、同じ親から生まれた子供なのに、なんでこんなに性格が違うんだろうと心の底から疑問に思うのだった。

 竜が基地に戻ると同時に、ヒッポリト星人が再びあらわれたとの知らせが入る。

 まだ携帯式細胞破壊ミサイルはエネルギーの充填が済んでないとのことだったが、竜は構わずそれを持ってくるよう梶に命じる。

 山中「隊長、どういうことですか?」
 竜「エネルギーの少ない分だけ接近するんだ」

 つまり、エネルギーの不足分を距離を縮めることで補おうと言うことなのだが、いや、スピードが命の弾丸ならともかく、そう言うハイテクミサイルの場合、何処から撃ってもあまり関係ないのでは?

 ま、近くから撃ったほうが命中はしやすいだろうが。

 
 山中「俺にやらせてください、銃なら俺に任せてください」

 射撃の名人を自負する山中は、当然その任務に志願するが、

 竜「ダメだ」

 竜は一言で却下すると、

 竜「いいか、ウルトラ5兄弟以上の力を出さなかったら我々は負ける、そうなれば、地球は星人のものになってしまうんだ。星人に対して接近して銃を発射するには相当の危険が伴う。この役は私がやる」

 全然説明になってない説明を口にする。

 山中「要するに、目立ちたいんですね?」
 竜「そうだよ」

 じゃなくて、

 山中「しかし、隊長……」
 竜「山中隊員、君にはやってもらう役目がある。それは私が谷間の星人に向けて潜入する間、君たちは街の上空に浮かぶ幻の星人と派手に戦って欲しいんだ」

 すなわち、山中たちの陽動攻撃により、TACがまだトリックに気付いていないのだと思わせつつ、竜がヒッポリト星人本体を奇襲すると言う、TACにしては優れて戦術的な作戦であった。

 ま、それでも、なんでその役を竜隊長がやらねばならないのかと言う疑問は残る。責任感に突き動かされてのことだろうが、この場合は、射撃の名手である山中に委ねるのが合理的かつ最良の判断と言うものだろう。

 ついで言えば、その任務をたったひとりでやるというのも、勇敢と言うより無謀に思える。別に戦闘機による攻撃は竜以外の全員で当たる必要はないのだから、護衛役の隊員をひとり同行させるべきだったのではあるまいか。

 それはそれとして、山中たちもあっさり竜隊長の命令に従い、出動しようとするが、

 
 梶「待ってください、隊長、私も一緒に出動させてください、私だけ生き残るわけには行きません」

 ここで梶隊員が神妙な面持ちで同行を申し出る。

 
 竜「我々は死にに行くのではないぞ」
 梶「分かっています、連れて行ってください」
 竜「……」

 梶のひたむきな申し出に竜も折れ、無言で頷くのだった。

 で、梶、美川隊員たちの戦闘機に同乗するのだが、正直、梶が乗ってもあまり意味がなく、同行するのなら、それこそ竜隊長について行って、そのサポートをすべきではなかったか?

 細胞破壊ミサイルの開発者でもあるんだから。

 でも、梶が悲壮な覚悟で申し出ることで、いかにもTACが一丸となって大勝負を仕掛けようとしている感じがして、管理人は好きなシーンである。

 ま、ほんとは毎回、これくらいの覚悟で臨むべきなんだろうけどね……普段が軽過ぎるのだ。

 CM後、口から烈風を吐いて、街を廃墟にしているヒッポリト星人。

 
 ヒッポリト星人「TACも降伏したと見えるな、いいか、地球人、ウルトラ5兄弟は既にこの世にいない、地球人を助けてくれるものはもういないのだ。素直に我々の要求を聞け」

 焦れたように、はよ降伏せいと繰り返すヒッポリト星人。

 今更だけど、侵略者が地球規模で降伏を迫っているのに、その対応に当たるのがTACだけで、国連はおろか、日本政府さえ登場しないと言うのは、著しくリアリティーに欠けるなぁ。

 ありきたりだけど、せめて防衛軍の長官ぐらいは出して欲しかった気もする。

 ともあれ、山中たちは予定通りヒッポリト星人に無駄を承知の猛攻撃を仕掛ける。

 一方、竜隊長はパンサーで谷の近くまで行き、途中から徒歩で接近するが、果たして、谷間にチューブに入ったヒッポリト星人がいて、

 ヒッポリト星人「地球人は我々の奴隷となれ!!」

 そこから映像や音声を発信しているのが見えた。

 
 竜「やっぱりそうか、星人はこの谷からスモッグを利用して自分を空に映し出していたんだ」

 さっきはうっかり見過ごしてしまったけど、当時問題になっていた光化学スモッグをスクリーンとして使っていたと言うのは、実に面白いアイディアである。

 そう言えば、冒頭で光化学スモッグがどうこう言ってたが、あれはこのための伏線だったんだなぁと気付いて、思わず膝を叩いたものである。

 

 
 で、竜隊長は直ちに細胞破壊ミサイルを撃ち、見事にチューブを破壊する。

 ……

 いや、細胞破壊ミサイルでは、アクリル製(?)チューブは壊せないのでは?

 なんか、この辺、すっきりしない。

 もっとも、細胞破壊ミサイルでヒッポリト星人本体を倒してしまうと、Aの出番がなくなってしまうのだが、チューブを壊すだけなら、もっと適当な武器があったと思うんだけどね。

 また、前回、隊員たちが問題にしていた、200メートルのヒッポリト星人が影だとしたら、どうやって風や炎を吐き出しているのかと言う謎だが、結局はっきりと説明されないまま終わってしまったのは画竜点睛を欠くというものだろう。

 こちらで補えば、あのチューブは映像だけでなく、エネルギーも転送でき、それを風や炎に変えて放射していたと言うことか。

 それはさておき、竜隊長の作戦が珍しく図に当たり、チューブがなくなると同時に、工業地帯のヒッポリト星人もパッと消える。

 
 山中「星人が消えたぞ」
 梶「隊長が成功したんですね」

 梶の、ヘルメットと制服の色が合ってないのが、なんとなく間抜けだ。

 だが、喜ぶのはまだ早く、単にヒッポリト星人の本体を引き摺りだしただけで、本当の戦いはこれからであった。

 そして竜隊長は、ある重要な事実を忘れていたことに気付く。

 自分たちだけでは超獣に勝てないのだと言うことを……

 まあ、そのための細胞破壊ミサイルだったと思うのだが、無機物のチューブを壊すのにそれを撃っちゃった隊長のバカバカ!! と言うことになる。

 今回、必要以上に頼もしい竜隊長であったが、肝心なところが抜けているあたり、やっぱり竜ちゃんだなぁと言う感じである。

 この後、色々とどうでもいいシーンがあって、隊員たちは全員竜隊長と合流する。

 
 ヒッポリト星人「はっはっはっはっ、私の秘密を知った素晴らしい能力を褒め称えよう。だが諸君らには私を困らせるほどの力はないようだな、我々ヒッポリト星人の偉大なる力を見せてやろう」

 余裕綽々のヒッポリト星人、TACに賛辞を送ると、突風、そして火炎地獄をお見舞いする。

 しかし、いちいち「我々」って言ってるけど、みたところ地球に来てるのはこの一体だけみたいなんだけどね。

 あるいは目に見えないところで裏方のヒッポリト星人さんたちが頑張っているのだろうか?

 炎の輪の中に囲まれ、今にも焼き殺されそうになる隊員たち。

 
 竜、純子から貰ったお守りを取り出すと、

 竜「全然意味ねえっ!!」

 と、地面に叩きつけるのだったが、嘘である。

 でも、お守りが役に立ってないのはほんとなので、ここは竜隊長が藁にも縋る思いでお守りをヒッポリト星人に投げつけ、それに応える形でウルトラのパパがやってくる、と言う流れもあったのではないかと思うが、さすがに神頼みは隊長として情けないか。

 もっとも、結果的に全員助かったのだから、やはりお守りの効き目はあったと言うことか。

 話が前後したが、その時、突然空から緑色の光の球が隕石のように落ちてくる。

 山中「あ、あれはなんだ?」

 緊迫した声を上げる山中隊員と対照的に、

 
 今野「おっ、いよいよ最後かも知れんなぁ、ふぅーっ!!」

 
 今野「ナミアブダブツ!!」

 暢気に息を吐くと、前回からやってる全然笑えないネタをここでもかます、とても生死の境にいるとは思えない今野隊員であった。

 この後、どさくさ紛れに竜隊長に射殺されたそうですが、自業自得です。

 ま、ある意味、腹が据わっていると言えるかもしれないが。

 それはそれとして、

 
 ヒッポリト星人「……」

 
 その球が足元に落ちるのをじーっと目で追いかけるヒッポリト星人が可愛いのである!!

 で、ボーッと見てたらそれが足元に落ちて爆発して、その衝撃でひっくり返るところなんか、もう、最高にラブリー。

 それにしても、スーツアクターの目の動きと、光球の軌道がピッタリ合っているのが、さすが円谷プロと言った感じである。

 そして、その煙の中からあらわれたのが、

 
 来なくても良かったのに来ちゃった、モミアゲが凛々しいウルトラの父なのだった。

 要するに、ウルトラ兄弟のおとっつぁんである。

 しかし、だからって、名前が「ウルトラの父」はないよな、「ウルトラの父」は……

 是非やめて欲しかったキャラだが、来ちゃったものは仕方ない。

 
 とりあえず、鉄アレイのようなアイテムを翳して閃光を放ち、ヒッポリト星人の動きを封じると、両手から白いガスを噴射して火を消し、隊員たちを助ける。

 
 ついで、同じガスをAの体に噴射して、一瞬で元通りの姿に戻す。

 ただ、エネルギーが枯渇しているのか、肉体は戻っても、Aのカラータイマーは消えたままである。

 ここでヒッポリト星人が襲い掛かってくるが、さすがウルトラ5兄弟のおやじである、

 

 
 その強大なパワーは、ヒッポリト星人などものともしない。

 このままウルトラの父の楽勝かと思われたが、そうなるとAの見せ場がなくなるので、ヒッポリト星人が反撃に出るや、たちまち、やや作為的にピンチに陥るのであった。

 
 頼もしいパパが、急にチンピラ宇宙人にオヤジ狩りされているような「絵」になる。

 うーん、正直、ウルトラの父にそこまで戦わせる必要はなかったと思うのだが。

 Aだけ元に戻して、それで帰ったほうがすっきりして良かったと思う。

 やがて荘厳なBGMが流れ出し、岸田さんの重々しいナレーションが被さり、無理やり悲愴な雰囲気を醸し出す。

 ナレ「はるかM78星雲から息子たちを救いにやってきたウルトラの父は、今まさに力尽きようとしていた。長い長い旅の間にすっかりエネルギーを使い果たしてしまったのだった。こんなことなら出掛けにマカ飲んどくんだったなぁと後悔するウルトラの父であった

 じゃなくて、

 ナレ「頑張れ、ウルトラの父!!」

 要するに、年のせいじゃなくて、長旅のせいで疲れていたのが突然の不調の原因らしい。

 でも、それは他のウルトラ兄弟たちも同じだと思うのだが。

 どうでもいいが、自分で言いながら、岸田さん、「ウルトラの父ってなんだよwww」とか思ってたんじゃないかと思う。

 
 ウルトラの父「ぶわぁっ!!」(日本語訳・これでユンケル買って来い!!)

 そしてウルトラの父、初登場したばかりなのに、自分のカラータイマーを毟り取ってAに渡すと言う、無茶なことをする。

 
 ともあれ、そのエネルギーがAのカラータイマーに補給され、Aは遂に復活する。

 代わりにウルトラの父はあえなく死亡し、一応シリーズキャラなのに、初登場と同時に死ぬと言う、快挙を成し遂げる。

 
 美川「Aが生き返ったわ!!」
 竜「よし、帰るぞ!!」
 隊員「ズドドドドド!!」

 じゃなくて、

 竜「よし、Aを援護するんだ」

 ウルトラの父のパワーをもらったAは怒涛のラッシュでヒッポリト星人を攻め立てる。

 まあ、ヒッポリト星人からすれば、ウルトラの父との戦いでかなりのエネルギーを消耗していたから、苦戦するのも当然であったかもしれない。

 考えたら、ウルトラ戦士だけカラータイマーがあって、星人のほうはそう言う制約がないというのは変な話なんだけどね。

 

 
 それはともかく、Aに頭を掴まれてコテンと倒されたヒッポリト星人が、両足を揃えて上げるのが、これまた可愛いのである!!

 
 竜「星人の頭に向かって一斉攻撃だ!!」
 隊員たち「はいっ」

 水を得た魚のように、生き生きとAの援護をするTACの皆さん。

 なお、今野隊員、このムカつくポーズのせいで、後に軍法会議にかけられたそうです。合掌。

 最後はAのメタリウム光線が炸裂して、ヒッポリト星人の体を粉砕する。

 
 吉村「Aが勝った」
 美川「でも、4人の兄さんたちは死んでしまった。かわいそうなA」

 Aの気持ちを思いやる優しい美川隊員であったが、ヒッポリト星人の死と共に、ウルトラ兄弟たちの体も元に戻り、さらに、Aがウルトラの父のエネルギーを分配すると、4人はあっさり復活するのだった。

 
 互いの無事を喜び合うウルトラ戦士たち。

 考えたら、今回セブン以外は、銅像にされるためだけに来たようなもんだったな。

 
 続いて5人はウルトラの父の遺体の周りに集まり、その突然の死を悼む。

 ナレ「ウルトラの父は死んだ、5人の子供たちを助けるために死んだ、さようならウルトラの父、あなたは夜空の星になるのです!!」

 そこにまた岸田さんのハイテンションのナレーションが掛かるが、つい数分前にはこの世に存在すらしなかったキャラについてそんな思い入れたっぷりに語られても、視聴者のほうはポカーンと言う感じだったのではあるまいか。

 
 続いて、息子たちがオヤジの死体を直接抱えて運ぶと言う、イオンの格安葬式でもやらないような貧しい出棺となる。

 すすり泣くような音楽の中、ウルトラの父は息子たちによってウルトラの星へ連れて帰られるが、ユンケル飲んだらすぐ生き返ったそうです。

 嘘はさておき、厳粛な気持ちでその「葬列」を見送った竜隊長は、

 竜「さあ、帰ろう」

 北斗たちを探す気、まったくなし!! 清々しいほどになし!!

 だが、彼らが踵を返しかけたところに、今回は全然出番のなかった北斗と夕子が元気な姿を見せて駆けてきて、めでたしめでたしとなる。

 つーことは、Aだけ、父親の葬儀の途中で抜けてきたってことになるよね?

 いいのか、人として?

 ラスト、嬉しいことにもう一度純子タンのお顔が見れる。

 おそらく、ヒロシたちにヒッポリト星人を(Aが)倒したことを報告に来たのだろう、夕闇の中、彼らの家から出てくる竜隊長と北斗。

 
 竜「お守りどうもありがとう、これお返しします」
 純子「いえ、ずっと持ってて下さい、父の代わりに」
 竜「ありがとう、しかし、このお守りはヒロシ君が持つべきです。君のお父さんが生きていたら、きっと私と同じようにするだろう」

 純子の厚意に感謝しつつ、そう言ってヒロシ少年にお守りを押し付け、いや、握らせるのだった。

 ま、父親が生きていたら、ずーっと自分で持ってたと思いますけどね、イヒヒ……

 竜「揚げ足を取るんじゃないっ!!」
 管理人「へぶっ!!」

 す、すいませんでしたぁ……

 ちなみにどうでもいいことだが、彼らの後ろに「さかもと個人タクシー」と言う看板が見えるので、彼らの苗字がさかもとであることがわかる。

 
 純子「あら、一番星!!」
 北斗「ほお、綺麗な星だなぁ」
 ヒロシ「星のお父さんみたいだな」
 北斗「あれはウルトラの父の星だよ」
 ヒロシ「僕のお父さんの星は?」
 北斗「お父さんの星も同じさ」(註・手ぇ抜くなよ)
 ヒロシ「ふーん、おとうさーん!!」

 最後、みんなで綺麗な星空を見上げつつ、終わりです。

 以上、主人公がほとんど登場しない、異色の構成であったが、TACの巧妙な作戦や、ウルトラの父の乱入、純子さんのミニスカなど、見所の多い力作であった。
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コメント

突っ込みどころ

今回も幾つか突っ込むところがあるので書かせて頂きます
①山中隊員が勇ましく発言するものの、途中で答えに詰まる
②美川隊員が北斗と南の席に😇ったと思って菊の花を添える
③北斗と南か行方不明なのにも関わらず誰も捜索をしない
④生意気なクソガキ(ヒロシ)と姉さん(純子さん)が対照的な性格
⑤なんとかチューブを破壊するも自分達(TAC)だけでは勝てない事に気付く
⑥ウルトラの父が登場してAを助けてヒッポリト星人相手に健闘するも最後は力尽きる
⑦岸田さんのナレーションがシリアスなのに何故かコントと化す
以上であります。何だか纏まらなくて申し訳ありません😅

死ななきゃ安いし死んでも安い

これを言うのはちょっとどうかと思うのですが、昭和ウルトラシリーズ基準ではウルトラの父が死んでもそんな悲壮感ないんですよね、何しろウルトラマンが死んだと思ったらゾフィーが命二つ持ってきちゃうような世界なので(なんというか"不測の事態が生じて死んだ"よりも"今の力では勝てない"の方が事態が深刻な世界観)

余談ですが石川賢先生が『小学一年生』で連載していた方の漫画版『T』では後半は毎回誰かしらウルトラ兄弟が死んで、来月になると何もなかったかのようにまたタロウを助けに来るという驚きの命の軽さでした

竜隊長大活躍?

「レオ」のダンと並ぶネタ隊長ぶりですな。

>「A」における過去のウルトラ戦士たちが弱っちく見えるのが悲しい。
「A」は主人公も一緒に酷い目にあって兄さん達を引き立て役にしない分、
「タロウ」「レオ」の類似エピソードよりはマシだと思いますが…。

作戦の裏側

梶隊員が目立っているのは、今回でレギュラーを
降板するためだそうです(31話でのゲスト出演が
最後の出番)。

市民の言動は身勝手ですが、当時の中年以上の
世代の感覚では宇宙人による支配を受けることも
大きな問題ではなかったのかもしれません(敗戦
~アメリカによる占領でそれまでの価値観が一変
した経験を持っているので)。あるいは、毎日会社
で奴隷のようにコキ使われているのだから、支配
者が変わっても関係ないということでしょうか?
「地球を渡すことと奴隷になるのは別のこと」とい
う台詞には、庶民の偏狭さと同時に体制が変化
してもそれに適応して生き延びるというしぶとさや
ずるさが表れており、実にリアルだと思うのです。

今回、TACは5兄弟の全滅を前にして奮戦します。
危機に陥った防衛チームの活躍としては、「セブン
暗殺計画」のウルトラ警備隊以来といって良いで
しょう。ナックル星人編のMATやエースキラー編の
TACは事態の打開に殆ど貢献できませんでした。
ウルトラ戦士が他の惑星に囚われてしまったこと
を考えれば致し方ないのですが、第2次ウルトラ
では主役の危機を救うことがゲスト出演する他の
ウルトラ兄弟の役割になってしまい、防衛チーム
の存在感が低下していました。今回のTACの戦
闘シーンはあまり評判が良くないようですが、竜
隊長は玉砕を前提としているように見えます。こ
れは全くの想像ですが、TAC上層部から極東支
部が敗北した場合は核攻撃を行うという通達が
あったのではないでしょうか。市民を巻き添えに
し、後世に多大な害を及ぼしてでも星人を倒す
と。白兵戦で細胞破壊弾を使うという危険な作
戦は、命に代えても大惨事を回避するという
覚悟の表れだったのかもしれません。

そのほうがいいかも

>>Aだけ元に戻して、それで帰ったほうがすっきりして良かったと思う。
これはその通りかもしれませんね。個人的にはカプセルの罠を簡単に破りヒッポリト星人をボコボコにしてちびっ子たちに「ウルトラの父、すげぇ!」言わせて欲しかったですが。

ところでウルトラの父にカプセルを使わなかったのはカプセルの予備がなかった可能性があるので、帰ってきたウルトラマンかセブンがさっさとカプセルを破壊していれば負けることはなかったと思うのは私だけでしょうか?

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No title

ウルトラの父が初登場です。「ウルトラの乳」は失礼なので、是非削除して下さい。前話(第26話)で主人公のウルトラマンAに合体変身する北斗星司と南夕子の2人だけ聞こえる「Aになってはいけない、お前たちに勝てる相手ではない」という謎のテレパシーの声は一体何者だったのだろうか?

セブンと並行してみてた

エースの最重要イベント編で何回も再放送で見ましたが、朝比奈順子さんを認識したのはかなり後の時代でした。2009年のローカル放送の頃で、BS11でセブンがやっていてBGMの聞き比べを楽しんでいました。セブンの客演エピソードはセブンの流用曲が多くなります。ウルトラ兄弟セレクションは2009年の秋で、土曜日にセブンと連続して見ました。

Re: 突っ込みどころ

ご苦労様です。

> ③北斗と南か行方不明なのにも関わらず誰も捜索をしない

個人的にはこれが一番気になりました。

Re: 死ななきゃ安いし死んでも安い

> これを言うのはちょっとどうかと思うのですが、昭和ウルトラシリーズ基準ではウルトラの父が死んでもそんな悲壮感ないんですよね、何しろウルトラマンが死んだと思ったらゾフィーが命二つ持ってきちゃうような世界なので(なんというか"不測の事態が生じて死んだ"よりも"今の力では勝てない"の方が事態が深刻な世界観)

まあ、ないですよね。

しかも初登場キャラですからね。

Re: 竜隊長大活躍?

> 「レオ」のダンと並ぶネタ隊長ぶりですな。

ほとんど竜隊長が主役のエピソードでしたからね。

Re: 作戦の裏側

> 梶隊員が目立っているのは、今回でレギュラーを
> 降板するためだそうです(31話でのゲスト出演が
> 最後の出番)。

そうなんですか。納得です。

> 市民の言動は身勝手ですが、当時の中年以上の
> 世代の感覚では宇宙人による支配を受けることも
> 大きな問題ではなかったのかもしれません(敗戦
> ~アメリカによる占領でそれまでの価値観が一変
> した経験を持っているので)。あるいは、毎日会社
> で奴隷のようにコキ使われているのだから、支配
> 者が変わっても関係ないということでしょうか?

まあ、奴隷の方が気楽だという人が実際いますからね。

> 今回のTACの戦
> 闘シーンはあまり評判が良くないようですが、竜
> 隊長は玉砕を前提としているように見えます。こ
> れは全くの想像ですが、TAC上層部から極東支
> 部が敗北した場合は核攻撃を行うという通達が
> あったのではないでしょうか。

なるほど、ありそうな話ですね。

Re: そのほうがいいかも

> 個人的にはカプセルの罠を簡単に破りヒッポリト星人をボコボコにしてちびっ子たちに「ウルトラの父、すげぇ!」言わせて欲しかったですが。

なんか、活躍の仕方が中途半端ですよね。

Re: No title

> お前たちに勝てる相手ではない」という謎のテレパシーの声は一体何者だったのだろうか?

下書きには書いてましたが、ウルトラの父だったんじゃないですか。

Re: セブンと並行してみてた

前にも書いた気がしますが、ウルトラ戦士の客演はするべきじゃなかったと今でも思います。特にセブン。

ムカつく子供

エースぐらいからリアルにムカつくクソガキもとい子供が増えたような気がするのは小生の錯覚でしょうか?

Re: ムカつく子供

そう言えばそうですね。子供は基本的に要らないですね。

ムカつく子供

エースとレオの円盤生物シリーズが嫌な子どもが多いですね。タロウと前半のレオにはむかつくいじめっ子は意外と少ないですね。

No title

 この回の竜隊長のセリフは「ミラーマン」最終回の御手洗博士の演説に匹敵すると思います。個人的には「ID4」の大統領の演説を超えている気さえします。TACとウルトラの父が共闘するとかもっと熱い展開になればよかったと思いました。。

Re: ムカつく子供

女の子なら別にいいんですけどね。

Re: No title

しびれますよね。

ウルトラの父

ゾフィーよりは健闘したようですね😅Aがヒッポリト星人に勝ったのも半分は父のお陰(或いはアシスト)ですね

Re: ウルトラの父

親父の貫禄は見せましたね。

No title

次回はいよいよ、ウルトラマンエースに合体変身する一人で、満月超獣ルナチクスに滅ぼされた月星人の末裔だった南夕子が降板となる第28話をみんなで見よう!さようなら、南夕子!

Re: No title

もうしばらくお待ちください。

No title

次回は悲しく美しい別れですがどうも湯上り爺さんが興をそいでいる気がします。

Re: No title

あれは要らないですよね。

だったら探せよ

竜隊長の“北斗と南はまだ生きてるような気がするんだ”とそこまで言うのならだったら2人を探すのが筋だと思うのですがね😅

Re: だったら探せよ

いい加減ですよね。

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