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「ウルトラマンA」 第28話「さようなら夕子よ、月の妹よ」


 第28話「さようなら夕子よ、月の妹よ」(1972年10月13日)

 タイトルから分かるように、ヒロインである夕子が、何の伏線もなしに唐突に退場しちゃうエピソードである。

 要するに、星光子さんが途中降板された訳である。

 その理由……要するに、本人サイドの都合で降りたのか、番組サイドが降ろしたのか、については良く分からないのだが、どっちにしても男と女が「合体」して変身すると言う初期設定は、今回を最後に「なかったこと」にされてしまうのである。

 彼女の美しさに惹かれてレビューを始めた身としては非常に残念ではあるが、今更文句を言っても始まらないので大人しくレビューすることにしよう。

 冒頭、夜空に輝く美しく冴えた満月を愛でながら、竜隊長たちが各戦闘機で優雅にパトロールをしている。

 竜「みんな、月に見惚れて超獣を見損なうんじゃないぞ」
 山中「隊長、こんな明るい夜に出る超獣はそれこそ飛んで火にいる秋の虫ですよ、はっはっはっはっ……」
 隊員たち「シーン!!」

 山中隊員が大惨事を引き起こしている頃、北斗と夕子はパンサーで地上をパトロールしていた。

 
 吉村「北斗隊員、こんな夜に地上周りとはかわいそうだな」
 北斗「みんな好きなこと言ってるな」
 夕子「男の人ってみんなロマンティストなのよ……止めて、車を止めて!!」

 にこやかに北斗と談笑していた夕子だったが、夜空を見上げて何かを発見すると、急に鋭い声を出してパンサーを急停車させる。

 車から降りると、夕子は巨大な月に向かってひとり山の中に入り込み、

 
 夕子「わかりました、今夜こそルナチクスが姿を現すんですね? やります、必ず!!」

 月の表面に青白い光がまたたき、夕子はその光と交信しているかのように、謎めいた言葉を発する。

 やがて北斗が追いかけてくる。

 北斗「夕子、一体どうしたんだ?」
 夕子「……」

 だが夕子は何も答えない。

 
 美川「今野隊員」

 一方、美川隊員と今野(呼び捨て)だけは司令室に残っていたが、そこに容易ならざるデータが届けられ、俄かに緊張の色が濃くなる。

 ちなみにこの映像、ちょっとわかりにくいが、司令室のコントロールパネルをその内側から見た、斬新且つ大胆なアングルなのである。

 美川「こちら本部、隊長機、応答願います」
 竜「竜だ」
 美川「地殻変動系に異常発生、火山爆発の恐れがあります」

 
 今野「はい、こちらTAC本部……え、チャーハンの大盛りが出来ない? それはどういうことなんですかっ?」

 じゃなくて、

 今野「はい、こちらTAC本部……え、神山の北側斜面に超獣出現? 了解」

 
 美川「緊急情報、神山に超獣出現!!」

 また、今野隊員と美川隊員の、やや非常識なまでのアップが続くのも、映像的に面白い試みである。

 それと同時に、今野隊員のあとに美川隊員の顔を映すことで、後者の美しさをより引き立たせる効果を狙ったものであることは、言うまでもなく管理人が今考えた嘘である。

 竜隊長はただちに全機を箱根に向かわせる。

 北斗たちのパンサーも一路箱根を目指していたが、いつになく夕子が北斗をせかす。

 夕子「もっと早く走れないの?」
 北斗「これ以上は無理だ。夕子、さっきの君のおかしな振る舞いと、超獣出現は何か関係があるのか?」
 夕子「……」

 北斗が尋ねるが、相変わらず夕子は何も答えない。

 
 さて、芦ノ湖東岸に聳える神山のあちこちから尋常ならざる量の蒸気が噴き出したかと思うと、山肌が崩れ、その下からウサギとキングシーサーとメカゴジラを合体させたようなキュートな超獣があらわれ、月に向かって吠える。

 これが夕子の口にしていたルナチクスなのであった。

 
 超獣の出現に、近くのホテルの宿泊客たちが玄関にどっと押し出せ、団子状態になる。

 ちなみに背後に強羅温泉と見えるが、神山とはだいぶ距離があるのでちょっと矛盾。

 それはそれとして、左から二番目のガキ、こっち見んじゃねえ!! プロレス中継やってんじゃねえんだぞ!!

 やがて竜隊長たちの戦闘機が到着し、ルナチクスに猛攻撃を仕掛けるが、相変わらずTACはいっそ清々しいほど役立たずの集まりで、納税者の面前であえなく撃ち落とされる。

 
 煙を吹きながら超獣の眼前を墜落していくTACスペース。

 我々はさらっと見てしまうが、神業的な操演である。

 
 それを見て悔しがる宿泊客たち。

 こっちの女の子たちは、ちゃんと演技しようと言う気持ちが見て取れて、好感が持てる。

 しかし、これだけの出番に佐山俊二さんを呼ぶのは、ギャラの無駄遣いだよなぁ。

 一方、まだ現場に着かない北斗たち。

 
 夕子「早く、もっと早く!!」
 北斗「……」

 助手席で女王様のように舌をふるわせ、北斗を叱咤している夕子タン。

 競走馬のような扱いに、北斗もさすがにムカッとしたが、夕子の台詞を脳内変換(註1)することでストレスを発散させるのだった。

 註1……各自のご想像におまかせします。例「もっと、もっと奥まで突いて!!」

 それでも竜隊長は隊長の意地を見せ、なんとかルナチクスを地中に追い返すことに成功する。

 ちなみにルナチクス、赤い両目をギャグ漫画の登場人物のようにスポーンと飛び出させてTACスペースを攻撃しているのだが、こういう人形的なギミックも、なんとなくメカゴジラを連想させるのである。

 ……って、よくよく考えたら「ゴジラ対メカゴジラ」が公開されたのは1974年だった。

 と言うことは、逆にこっちが元ネタになってる可能性もあるわけか。

 ナレ「直径12700キロメールの地球はいくつかの層に分かれている。地表から約30キロメートルを地殻と言い、その下に岩がどろどろに溶けた状態のマグマがある。マグマの温度は1200度以上もある。超獣ルナチクスはそのマグマの中に生きていたのだ」

 ナレーションにあわせて、カメラがぐんぐん地中深くに潜って行き、マグマの滾る広大な地下世界と、そのマグマを長い管状の舌で吸っているルナチクスの姿が映し出される。

 ほどなく、パンサーが現地に到着する。

 
 北斗「すぐみんなに合流しよう」
 夕子「……」
 北斗「夕子!!」

 だが夕子は北斗の声を無視して、再び勝手に走り出し、山の中に入り込んでしまう。

 夕子を追いかけ、北斗は一面のススキが風にたなびいている草原に出る。

 
 北斗「どうしたと言うんだ?」

 夕子、キッと北斗の顔を正面から見据えると、

 夕子「変身するのよ!!」
 北斗「何を言うんだ? それはあの超獣の正体を掴んでからのことだ……」
 夕子「あの超獣は、年に一度地球の真ん中から表面に近付いてくるのよ、10月の満月の夜に!!」
 北斗「夕子!!」

 北斗の言葉を遮って、ほとんどヒステリックなまでに声を高めて叫ぶ夕子を、北斗が鋭く制し、

 北斗「君は今夜確かに超獣の出現を予感してた。君はあの超獣の正体を知ってるのか?」
 夕子「ほうっておけば、地球のマグマはあの超獣にみんな吸収され、遠からず月のようになるわ」
 北斗「月のように?」
 夕子「そう、月には空気がない、水もない、地球から見れば美しい月も、実際は恐ろしい死の砂漠なのよ」

 しかし、「ほうっておけば」って言うけど、番組開始前から、ずーっと「ほうってお」かれてたわけだろう、ルナチクスは?

 それを今になって急に騒ぎ出すと言うのは、いかにも嘘っぽい、ドロナワ式の説明である。

 まあ、ドロナワ式に書かれたシナリオだから、当然なんだけど。

 だいたい、超獣一体がいくら頑張ったところで、地球のマグマを吸い尽くすなんてことはまず不可能だと思うし、その蓄えたエネルギーでお前は何がしたいんだってことになるので、ここはもっと別の理由をこじつけて欲しかったところだ。

 たとえば、夕子が月族の王女で、月族を滅ぼし、自分の家族をも殺したルナチクスを追って地球に来ていたが、たまたまウルトラマンAにスカウトされてヒーローやってたけど、遂にルナチクスが出現したのでこれを倒し、宿願を果たしたので、月に帰って月族の再建を指導しなきゃいけないんでヒーローやめます、TACの給料は日割りで下さい、とかね。

 
 夕子「この地球を月のようにしちゃいけないわ」

 正直、突然パートナーからそんなこと言われても、普通の人なら全く理解できず、30分くらいは延々押し問答するところだと思うが、

 
 北斗「よしっ!!」

 分かっちゃったよ、この人!!

 信じがたいほどに物事を深く考えない性格……なのではなく、それだけ夕子のことを深く信頼している証なのだろう。

 北斗&夕子「ウルトラァータァーッチ!!」

 こうして、二人はその場で最後となるウルトラタッチを行い、Aに変身する。

 ……いや、リングが光らないと変身できないんじゃなかったっけ? まあいいんだけど。

 あと、今まで書き忘れていたが、夕子が「ウルトラタッチ」と叫ぶときの、「トラーッ」の部分がちょっと野太い感じなのが、なんか可愛いと思いました。

 ここから、CMを挟みつつ、ウンザリするほど長いラス殺陣となるのだが、いちいちそれを説明するのは面倒なので、簡単に片付けよう。

 
 マグマのエネルギーを吸収しているだけあって、ルナチクスのパワーと火力は凄まじく、手も足も出ないままAのカラータイマーが点滅し始める。

 
 それでも、ルナチクスの体を地上に溢れ出した溶岩の池に叩き込み、生きたまま焼き殺すと言う、ウルトラシリーズ史上でも極め付きの残酷な方法で殺すのだった。

 うーん、でも、誰しも思うことだろうが、マグマを餌にして生きているような豪傑が、マグマに浸かったからって焼け死ぬだろうかと言う疑問が湧く。

 彼らの死闘を、何もしないで見物していたTACの皆さん、Aが空を飛んで帰っていくのを眺めながら、

 
 山中「Aはやはり凄まじい!!」

 さては、仕事する気ねえな、コイツら……

 
 北斗「さあ、みんなのところへ行こう……どうした?」
 夕子「うっうっうっうっ……」
 
 一方、北斗は夕子を促して帰ろうとするが、夕子は俯いてすすり泣くばかり。

 
 北斗「何故泣く?」
 夕子「お別れのときが来たから……」
 北斗「別れ? どうした我々が別れることができるんだ?」
 夕子「星司さん、私、本当は宇宙人なの」

 ここで、夕子の可愛らしい唇から、とんでもない発言が飛び出す。

 まぁ、「セブン」の最終回の逆バージョンと言えないことはないが、最初から視聴者もそのことを知っているダンと違って、今の今まで何の伏線もなかったのに、いきなり、あたい宇宙人なのって言われてもねえ……

 ついでに言えば、そもそも彼らはウルトラマンAでもあるんだから、宇宙人なのは当たり前じゃないかと言う気もするのだが、

 北斗「宇宙人?」
 夕子「そ、地球にいちばぁん近い星である月に住む宇宙人」
 北斗「君は月星人?」

 今回は、番組の都合で、異様なほど察しの良い北斗さん。

 夕子「星司さん、月も地球から分かれたときは小さいながら地球そっくりに美しい山、美しい川に恵まれた星になる筈だった、それが超獣ルナチクスに襲われたためマグマのエネルギーを全部吸収され月星人のほとんどは死に絶えたの」
 北斗「しかし君は生きている、立派に生きている」
 夕子「ええ、太陽から送られるエネルギーだけを頼りに今でもほんの一握りの月星人が冥王星に逃れて生きています。私もそのひとりなの……」

 いや、なんで冥王星なの?

 火星でいいじゃん。

 つーか、夕子の言葉では、高度な文明を築く前に月はルナチクスに滅ぼされたように聞こえるのに、月星人はどうやって冥王星まで移動できる宇宙船を開発したの?

 北斗「それで君は何しに? そうか、あの超獣は月を滅ぼした後、地球にやってきた。そして君は……」
 夕子「そう、私はこの地球に超獣ルナチクスを滅ぼすために月星人を代表して派遣された。そしてそれは私たち月の兄である地球の命を救うことにもなったわ」
 北斗「知らなかった。君が地球人でないとは……」
 夕子「ええ、実は私も台本渡されるまで知らなかったのよ」
 北斗「えっ?」
 夕子「えっ?」

 嘘はさておき、夕子の言い方だと、夕子は月からじゃなくて冥王星から来たように聞こえるが、と言うことは、夕子は月から冥王星まで逃げ、それからまた地球にやってきたことになる。

 ……

 さすがにそんな奴おらへんやろ。

 せめて、夕子だけ(子供の頃に)月から直接地球に逃げて地球人として育ち、冥王星に逃げた本国の人たちからメッセージを受けて、自分が何者かを知った……と言う風にすべきだったと思う。

 あと、そんな科学力があるのに、なんでルナチクスごときに滅ぼされちゃったの?

 まだあるで、運よく夕子がウルトラマンAのひとりに選ばれたからいいようなものの、もしただの人間のままだったら、どうやってルナチクスを倒すつもりだったのか?

 とにかくこの話は叩けば叩くほど埃が無限に出てくる無理筋なので、自分もほどほどにしておこう。

 あと、前々から思うのだが、月に住んでる人を宇宙人と呼ぶのなら、地球人だって立派な宇宙人じゃなくね?

 
 夕子「ごめんなさいね、今まで黙っていて」
 北斗「しかし君が月の人なら、俺たち地球人の妹じゃないか」
 夕子「ええ、あなたの協力でウルトラマンAになって、私はやっと目的を果たしたわ……私たちには聞こえるわ、仲間たちが喜びの合唱をしている声が……」
 北斗「俺にも聞こえる」

 実際、北斗や竜隊長たちの耳にも、たくさんの子供が笑うような不気味な声が聞こえるのだが、でも、月星人は今、冥王星にいるんでしょ? しかるに、夕子の台詞や視線などから推し量るに、月にいるとしか考えられないのである。

 まあ、夕子が地球まで来ているのだから、冥王星の月星人が月に戻っていても不思議はないのだが……

 そしてさらに不可解なことに、夕子は強引に北斗に別れを切り出す。

 
 夕子「さようなら、もう二度と会うこともないわ。北斗隊員、これからはあなた一人でウルトラマンAになるのよ」
 北斗「……」

 いや、夕子が月星人だと言うことは分かるのだが、だからってなんで帰らなきゃいけないの?

 夕子、自分のウルトラリングを外して北斗の指に嵌めてやる。

 
 北斗「俺一人で、ウルトラマンAになれるだろうか?」
 夕子「なれるわ!!」

 当然の疑問を口にする北斗に、夕子がオバマ大統領のように即答する。

 さらに、

 夕子「私、もう僅かしか地球にいられないわ」
 北斗(……え、なんで?)

 なんででもです!!

 それにしても、いくらSFドラマとは言え、主役の一人が突然「実は私、宇宙人だったの、定時なので故郷に帰ります」って言っていなくなっちゃうって、空前絶後の椿事だよね。

 夕子「隊長たちとお別れしてきます……星司さん、さようなら」

 
 北斗「夕子!!」

 
 夕子「……」

 何がなんだか良く分からないまま、感極まって互いの目を見詰め合う北斗と夕子。

 ま、見てるほうも大概わかんないけど、演じてる俳優さんたちのほうがもっとワケわかんなかったのではないかと思う。

 
 北斗「俺は一人で見送る、長い間一緒に戦ってくれた妹を俺はここから見送る」
 夕子「ありがとう」

 夕子、割とあっさり踵を返すと、背丈ほどもある草薮の中を走り出し、走っているうちにその制服が真っ白な、白鳥の羽毛のような月星人の衣装に変わる。

 不満を挙げればキリがないが、今まではなんとなく友達以上恋人未満と言う感じの二人の間柄が、最後に来て急に兄と妹みたいな健全で面白みのない関係に格下げ(?)されてしまっているのもそのひとつである。

 あと、最初から最後までほぼナイトシーンなのも、めっちゃストレスが溜まる。せっかく最後の夕子タンの美貌なのに、ろくに見れないんだから。

 ともあれ、緩やかに傾斜する草原をかろやかに駆け下りてくる夕子の姿に最初に気付いたのは美川隊員だった。

 美川「あれは!!」
 夕子「隊長、超獣ルナチクスを滅ぼして、月から送られた私の使命は終わりました。今夜限り、私は月に帰らせていただきます」

 さっきは冥王星って言ったのに、ここでは月になってる。

 もうめちゃくちゃだな。

 夕子、竜たちに語りかけながら近付いてきて、芦ノ湖(?)の岸辺近くの水面に立つ。

 美川「南隊員!!」
 竜「今我々は君の不思議な力を見た。私は君の言うことをそのまま信じることができる」

 ……

 えーっと、「不思議な力」って何ですか?

 そんなシーン、ひとつもなかったように思うんですが……ひょっとして、水面に浮かんでること?

 
 夕子「ありがとう、隊長、色々とお世話になりました」
 竜「……」

 ともあれ、北斗同様、異様に察しの良い竜隊長、実にすんなり納得して、深々と頭を下げる夕子に対し、敬礼で応える。

 
 夕子「山中隊員、さようなら」
 山中「……」

 優しい夕子は、ひとりひとりに別れを告げていく。

 山中隊員も、あまりに突然のことで、何と言っていいかわからず、無言で敬礼する。

 
 夕子「さようなら、サモハン」
 今野「オイッッッ!!!」

 ま、最後の最後のお約束と言うやつで。

 夕子「今野隊員、さよなら」
 今野「……」

 
 夕子「吉村隊員、さようなら」
 吉村「……」

 隊員の顔と切り替わるたびに夕子の顔がだんだん大きくなるのだが、前述したように、夜明け前の薄暗い世界なので、その美しい顔がはっきり見れないのが実に勿体無い。

 
 夕子「さようなら、美川隊員」
 美川「……」

 で、読者の予想通り、美川隊員のアップだけ貼る管理人であった。

 あと、ついでに、みんなの反応が全部同じと言うのは、いくらなんでも芸がない。

 
 夕子「いつの日か、月も地球のように美しい星に戻る日が来るでしょう。その日のために私は月で努力します!!」

 隊員たちに向かって力強く宣言する夕子。

 
 夕子、両手を突き上げて空に舞い上がり、そのまま月に向かって飛んで行く。

 考えたら、こんな超能力があるのに、なんで夕子は今までそれを戦いに生かそうとしなかったのだろう?

 5話でアリジゴクの囮になってくれと北斗に頼まれたとき、怯えて逡巡していたが、空を飛べるんならアリジゴクなんか怖くも何ともなかった筈である。

 無論、これらはすべて後付けの設定なので、さかのぼってツッコミを入れるのはフェアではないのだが……

 北斗、自分の力を試すように、リングを接触させてウルトラマンAに変身する。

 でも、夕子がいなくなったら、その分、Aのパワーも半減するんじゃないかなぁ? 現に、7話・8話ではそうなってたし。

 
 別れを惜しむように、Aのまわりを天女のように飛ぶ夕子。

 ここで、「身勝手女!!」と言いながら叩き落したら面白いなぁと思いました。

 夕子はそのまま宇宙に向かって飛び去り、

 ナレ「こうして地球での任務を終えた南夕子は月星人の一族が待つ宇宙へ向けて帰って行った。この美しい地球を死の砂漠にしてはならない、そのために戦う我らのウルトラマンA」

 岸田さんも読んでてなんか釈然としなかったのではないかと思うが、そこに強引な締めのナレーションが被さる。

 が、時間が余ってしまったらしく、

 
 そろそろ夜が明けようかと言う頃、みんなでキャンプファイヤーを囲み、それで夕子の制服(何処にあったんだ?)を燃やして「お焚き上げ」すると言う、変なシーンが付け加えられる。

 ま、それは良いんだが、

 竜「さ、みんなでTACの歌を歌って南隊員に最後の別れを告げよう」

 急に幼稚園の先生みたいなことを言い出す竜隊長に違和感アリアリだったが、

 隊員たち「牧場の緑が左右に別れ~♪ 光るマシンがあらわれるぅ(早口)~♪」

 およそこういう場にふさわしくない歌を、隊員たちが素直に合唱すると言う、頭がおかしくなりそうなシーンとなるのだった。

 
 ラストは、これから唯一の心の支えになりそうな美川隊員のお顔で締めましょう!!

 以上、突然の夕子のカミングアウトと別れを力技で描き切った、最初から最後まで突っ込みどころだらけの珍作であった。

 うーん、こんな唐突ですっきりしない別れ方なら、まだ普通に殉職させといたほうが良かったと思うが……
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コメント

別の番組みたい

シリーズの整合性というところから議論の尽きない回ですよね。番組のカラーがここから大きく変わりましたよね。
超獣の描写が雑になった感が強いですね。

唐突な別れ

管理人様が仰る通り唐突な別れの上にワケの分からない展開でしたね😖どうせなら、夕子さんが殉職してその仇を北斗が討った方がまだ自然な流れだと思うのですがね😅

増えるでしょうね

ヤプールと超獣の全滅(正確には少し違いますが)に加えてエースの売りだった男女変身も解消されて魅力がかなり薄れてしまいましたね。以降はスルーされる話も増えると思いますが、いい話もあるのでレビューお願いします。
それにしても帰ってきたウルトラマンのザニカやレオのドドルは自力で仇を討ったわけではないのに南夕子はどうして自力で倒そうと考えたのでしょうね?

こういうのを含めるとコンプ難易度爆上がり

昔持っていた『ピコピコブックス13 輝け!ウルトラ戦士!!』という本に『南夕子物語』という絵物語が収録されておりまして、このエピソードを軸に夕子の出自を描いていました
まとめるとこんな感じです

1万年前の月には高度な文明が発達しており、ある時ルナチクスの出現を予見したが長い事平和だった為か軍事力を持っていなかったため、ルナチクスに月面都市を滅ぼされ冥王星へ脱出するのが精一杯だった
ルナチクスが月を滅ぼした後に狙うのが兄弟星の地球である事を知った月の指導者達はルナチクスの襲来に備え、指導者の一人の娘で神殿の巫女でもあった夕子を1万年後に目覚めるよう冷凍睡眠状態にして地球に送った(地球の文明がルナチクスと戦えるだけの兵器を作り上げるのに望みをかけていたらしい)
そして1万年後、冬眠状態の夕子が植物学者の南教授に拾われて、長期の冷凍睡眠の副作用で記憶を失っていた夕子は博士の養女として育てられた(ちなみに南教授は夕子が高校2年の時に病気で亡くなり、これをきっかけに看護婦を目指したとの事)
で、28話の冒頭に当たるところで月星人としての記憶を思い出したというストーリーになっていました

ちなみにこの本のシリーズには他にも昭和ウルトラシリーズを題材にした新規描き下ろしの漫画が収録されており、ウルトラ兄弟対怪獣軍団のようなオーソドックスなストーリーもあれば、桜ヶ岡中学の修学旅行先に怪獣が出現して矢的の秘密が生徒にばれてしまうなんてのもありました(ただしUGMの隊員という事の方というオチ)
そして多分管理人様が一番興味を惹かれると思われる漫画が、『ピコピコブックス14 激闘!ウルトラ大怪獣』収録の『アンヌのウルトラ警備隊日記』
ウルトラセブン本編終了後を舞台にアンヌ隊員がウルトラ警備隊の日常を紹介するというもので、それぞれ1コマずつですがなんとアンヌ隊員のシャワーシーンと下着姿が拝めます(それも大きめのコマで)

註1……に関しては

女性は早いよりも長いのを好むと思われます。
しかし、私はいつも早くしてしまいます。
何を言ってるかは、管理人様同様に各自のご想像におまかせします。

おはようございます

南夕子最後のウルトラマンA変身回であり、レギュラーとしては退場回でもあります。


南夕子役の星光子さんは、本話の撮影に入るまで降板の話は全く聞かされておらず驚いていたそうです。

南夕子はその後、38話と最終回(52話)にも登場します。

OP曲の歌詞の一部「北斗と南〜」は南夕子再登場のフラグでもあったんでしょうね。

すいません

間違えて同じ文章を2回投稿してしまいました…ごめんなさいm(__)m

北斗1人じゃ、物足りない!

男女合体変身…当初は番組のウリだった設定が、次第に足枷となりお荷物になってしまった…って感じなんでしょうかねぇ…まぁ、余り必然性のある設定でも無かったですし…でも勿体無いですね。(^◇^;)

降板

当時、ウルトラマンごっこをしていた子供達は南夕子役の女の子をエースに変身した後に用済みにしていたという噂を聞いたことがあります。それが問題になって降板の原因になったと聞いたこともあります。
勿論、ウルトラエピソードには後付け設定などが多いので個人的には鵜呑みにしてませんが。

モチロン…かつては月でも農耕や食文化が発展していてルナチクスに破壊された為に彼も餅に飢えて地球に餅を盗みにやって来たんですね。

No title

合体変身が途中で終わってしまったというのはウルトラタッチのバリュエーションを考えるのが大変になってしまったというのが一つの説としてあったような気がします。
もしも最後まで二人変身でやっていたらどうなっていたか、そう考えるのも楽しいです。ただ、最終回を迎えても結婚ENDにはならない気がします。

Re: 別の番組みたい

腰が定まらない作品になってしまいましたね。

Re: 唐突な別れ

まあ、ちゃんと別れのシーンを描いているだけマシですか。

Re: 増えるでしょうね

> 以降はスルーされる話も増えると思いますが、いい話もあるのでレビューお願いします。

はい、でも、増えることはないと思います。

まだ最後まで書いてませんが、たぶん、スルーは42話だけになると思います。

Re: こういうのを含めるとコンプ難易度爆上がり

詳細な解説ありがとうございます。

なるほど、だいぶ辻褄が合いますね。

なんで冥王星なの? と言う疑問は残りますが。

> ウルトラセブン本編終了後を舞台にアンヌ隊員がウルトラ警備隊の日常を紹介するというもので、それぞれ1コマずつですがなんとアンヌ隊員のシャワーシーンと下着姿が拝めます(それも大きめのコマで)

おお、貴重ですね。

しかし、色んな派生作品があるんですね。

Re: 註1……に関しては

> 何を言ってるかは、管理人様同様に各自のご想像におまかせします。

ここ、ほんとはもっとストレートに書いてたんですが、自主規制してしまいました。

註1の右側の余白が気になるが……

Re: おはようございます

こんばんは。

> 南夕子役の星光子さんは、本話の撮影に入るまで降板の話は全く聞かされておらず驚いていたそうです。

やっぱり番組サイドが一方的に決めたんでしょうね。

> 南夕子はその後、38話と最終回(52話)にも登場します。

降板したのにまた登場すると言うのが、なんか意外でした。

Re: すいません

お気になさらずに。2回目のコメントは削除させて頂きました。

Re: 北斗1人じゃ、物足りない!

改めて見ると、地味な顔してますもんね。

Re: 降板

> 当時、ウルトラマンごっこをしていた子供達は南夕子役の女の子をエースに変身した後に用済みにしていたという噂を聞いたことがあります。それが問題になって降板の原因になったと聞いたこともあります。

そうなんですか、初めて聞きました。

> モチロン…かつては月でも農耕や食文化が発展していてルナチクスに破壊された為に彼も餅に飢えて地球に餅を盗みにやって来たんですね。

一応つながってるんですよね。

Re: No title

> 合体変身が途中で終わってしまったというのはウルトラタッチのバリュエーションを考えるのが大変になってしまったというのが一つの説としてあったような気がします。

情報ありがとうございます。

> ただ、最終回を迎えても結婚ENDにはならない気がします。

でしょうね。

変身方法と運命に翻弄された二人

前作「帰マン」でも、当初の「郷秀樹の意思だけでは変身できない」という設定を貫くことができませんでした。二作続けて躓いたことを教訓としているのか、以後のウルトラシリーズは変身方法で新たな試みをすることをやめてしまいました。「一人の人物が、自分の意思で、アイテムを使って変身する」ことが現在まで続いています(アイテムを玩具として売り出したいという商業的な事情もあるでしょう)。

北斗と南はベロクロンの攻撃で命を落とした後、Aの「大いなる力」を与えられて共に戦うことになりました。ある日突然出会った二人が、突然別れることになるのは運命だったのでしょうか(石堂氏はそこまで考えて書いていないでしょうが)。ウルトラマンになることでそれまでの生活や人生を失った度合いが二人は特に大きいと思うのです。最終回で北斗は地球人として生きていくこともできなくなり、Aと融合したまま去っていきました。

元々ウルトラタッチに距離が影響しない(第14話)ことを考えると、重要なのは精神的な結び付きであって、肉体の有無は問題にならないのではないでしょうか?相手がリングをはめている必要すらないのかも知れません。北斗に渡したリングを通して、今回の話の後もずっと二人が合体変身をしていた・・・と考えるのは無茶でしょうか。

切ない

リアルタイム当時は何となく切なく悲しかったなあ。大人になって見るとツッコミどころ満載ですね。
でもこの年になって本編見たらやはり泣いてしまいました。
南夕子はウルトラヒロインでNo. 1ですね。

Re: 変身方法と運命に翻弄された二人

> 前作「帰マン」でも、当初の「郷秀樹の意思だけでは変身できない」という設定を貫くことができませんでした。

そう言えばそうでしたね。

> 元々ウルトラタッチに距離が影響しない(第14話)ことを考えると、重要なのは精神的な結び付きであって、肉体の有無は問題にならないのではないでしょうか?相手がリングをはめている必要すらないのかも知れません。北斗に渡したリングを通して、今回の話の後もずっと二人が合体変身をしていた・・・と考えるのは無茶でしょうか。

なるほど、面白い発想ですね。

でも、その場合、夕子は北斗が変身するたびに地球に召喚されて戦わないといけないので、大変ですね。

Re: 切ない

なんだかんだで別れは寂しいですよね。

ボロボロと…

市川森一、ヤプール、夕子と中盤に入りエース『らしさ』を
構成する要素が、どんどん零れ落ちていく感じです。
一方、最終回はこれらの要素を総動員、再集結していて
第二期ウルトラの中でもラストは有終の美を飾ったと思っていますが。

>「ゴジラ対メカゴジラ」が公開されたのは1974年だった。
>と言うことは、逆にこっちが元ネタになってる可能性もあるわけか。
「A」同年は「ゴジラ対ガイガン」でサイボーグ怪獣の登場が
メカゴジラに繋がったと言われていますから、
超獣の存在が同時期のゴジラ映画に影響を及ぼしたとも考えられますね。

Re: ボロボロと…

同時期にゴジラシリーズが作られていたかと思うと、なんとなく不思議な気がします。

No title

 TACは夕子がいなくなってそのあと梶もいなくなるのに誰も補充しなかったですね。(基地の椅子はそのままだった気がします)

Re: No title

まあ、良し悪しでしょうね。

変なキャラが加入したら、それまでの雰囲気が台無しですからね。

No title

これ変身ごっこができないという事情もあったらしいですね。ウルトラマリオさんのご指摘にもありますが、男子同士でもやっぱり夕子役は嫌がられたという側面もあったはず。

個人的な意見を言うと、やっぱり星さんはちょっと地味でしたかね。顔だけなら美川隊員よりいいと思いますが、前にも書きましたように西恵子さんのような華やかさ、男にもてそうな雰囲気というのに欠けたかなと思います。

Re: No title

> 個人的な意見を言うと、やっぱり星さんはちょっと地味でしたかね。顔だけなら美川隊員よりいいと思いますが、前にも書きましたように西恵子さんのような華やかさ、男にもてそうな雰囲気というのに欠けたかなと思います。

同感です。

自分もレビューをはじめる前は夕子しか眼中になかったですが、書いてるうちに美川隊員のほうが好きになってしまいました。

さよなら相棒

南隊員の正体は宇宙人だったんですね北斗隊員はそんな事は知らずに南隊員と一緒にウルトラマンAになって超獣達と戦ってきたんですねでも北斗隊員にとって南隊員はいい相棒だったと思います南隊員今までありがとうございました😊

Re: さよなら相棒

寂しいですね。

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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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