第13回「これっきり、もう………」(1976年12月29日)
の続きです。
続いて、料亭での忘年会のシーンとなるが、その場に榎本がいるのに、誰も辞表のことについて聞かないのが、これまた相当変である。
妙子がなかなか来ないので、榎本が部屋を出て探しに行くと、階段の下に妙子が佇んでいた。
二人はちょっとしたラウンジに移動するが、妙子は無言で退職願を榎本に差し出す。
榎本はそれをぽんと突き返すと、
榎本「やめろよ、くだらない」
妙子「自分も出したんでしょ、私、ほんとに辞めたいの」
榎本「どうしたんだよ、いつものターコらしくないな。ターコ、何があったんだ?」
妙子「……」
ここで、暗い目をしてむっつり黙り込んでいる妙子のアップとなり、そのフォーカスがぼけるので、てっきり、さっきの綾乃との会話を回想するのかと思ったら、そのまま宴会場に戻ってしまったので、いささか膝カックンとなる。
会場ではそれぞれ酒が進み、座がだいぶ荒れてきていた。

藤平「君はこの一年間、遂に二軍暮らしと言う感じだったなぁ、あはぁ……」
忍「お陰さまで」
藤平「お陰さまってことないだろうよ、それがいかんのよ、君ねえ、だから君はこの年になってねえ、嫁さんも探せんのだ」
すっかり出来上がった藤平は忍を呼びつけ、自分の無能を棚に上げ、ねちねちと説教し、絵に描いたようなパワハラをかましていた。
藤平「まったく君ってのはグズの能無しだねえ」
果ては、忍のもじゃもじゃ頭を掴んで、首振り人形のように上下させながら暴言を放つ。
「忍」が家訓の忍だが、ここに至って遂にキレる。

忍「部長、おひとついかがですか」
言葉遣いはあくまで丁寧に、酒を藤平の頭に掛け流す。
さらに、
藤平「ああーっ!!」
忍「どっちがグズの能無しだ、このウジ虫野郎!!」 日頃の鬱憤を込めて、藤平を罵倒する。
当時、横暴な上司の下で働いていたサラリーマンがこれを見て快哉を叫んだことは想像に難くない。
藤平も黙ってはおらず、あわや乱闘になりかけるが、

榎本「こっちも話があるんだよ!!」
いつの間にか戻って来た榎本が、忍の体を押さえて無理やり別室へ連れて行き、何とかその場は収まる。
だが、収まらないのは榎本の怒りで、

忍「放せよう」
榎本「この野郎!!」
忍「なんで俺を殴るんだよ!!」
二人きりになるや、問答無用で忍の頬を引っ叩く。
ちなみにこのシーンで、図らずも石立さんの頭のてっぺんが薄くなっているのがバレてしまい、「ああ、石立さんも年を取ったものだなぁ」と、ちょっとやるせない気持ちにさせられた管理人であった。

榎本「ターコの代わりだよ」
忍「ターコ? どういう意味だよ」
榎本「俺はね、先輩を見損なったよ、こんなことならね、がむしゃらにアタックしてターコを奪っちまえば良かったよ」
忍「俺が一体何をしたって言うんだよ?」
榎本「先輩はターコを裏切ったろう?」
榎本は、妙子から例のことを聞かされ、激怒しているのだが、当然身に覚えのない忍は、目を白黒させて戸惑うばかり。
しかし、このシーン、妙子がそんなことを軽率に他人に打ち明けるだろうかと言う疑問が残る。
それに、綾乃に虚言癖があることは、妙子だって忍から聞いて多少は知ってる筈だしね。
榎本、さすがにそれ以上暴力を振るうことはしなかったが、さも忌々しそうに、
榎本「全く呆れたよな、我が青葉高校サッカー部の恥だ、俺は絶対に許さないからね!!」

忍「だから俺が一体何をしたって言うんだよ」
榎本「そうじゃねえか、婚約者がありながら、他の娘に子供まで作らせやがって」
忍「誰が?」
榎本「先輩だよ!!」
忍「なにぃ、なんだそれは?」
榎本から事情を聞いた忍は、今度は自ら怒りの化身となり、タクシーを飛ばして下宿に向かう。
まっすぐ二階の綾乃たちの部屋に突入すると、

忍「この、クソババア、インチキババアの狸ババア、くたばりぞこないのエクソシストババアのオーメンババア!! 殺してやる」
綾乃「あ、目が回って来ました」
ありったけの雑言を並べながら綾乃を追いかけてコタツの周りをぐるぐる走り回り、
忍「このクソババア!!」
渚「どうしたのよ?」
忍「うるさいっ、お前も二人とも出て行け、今夜中に荷物をまとめて出て行けーっ!!」
渚「どうしたの、おっちゃん?」
怒りに任せて二人に最後通告を下す。
例によって、張本人の綾乃は大して悪びれる様子もなく、事情を知らない渚だけが、悲しそうな目をするのだった。

同じ頃、妙子は自分のマンションで、忍と一緒に貯めていた預金通帳を見詰めていた。
真紀「それ、加茂さんと二人で貯めたお金でしょ」
妙子「彼の分は返すわ」
真紀「どうして、もう話し合いの余地ないの?」
そばにいた真紀は、忍がそんな背信行為を働く筈がないと弁護するが、妙子は別に今度の一件が原因で別れる決心をしたのではないようだった。
真紀「彼、お姉ちゃんがいなきゃ何も出来ないんじゃない?」
妙子「私もそう思うわ。でもそれは愛情とは別のもんじゃないかしら……そんな気がするの」
そこへ榎本が訪ねて来て、
榎本「あれは根も葉もない嘘っぱちらしいじゃないか。先輩カンカンだぞ。あのおばあちゃん、いつも口から出任せ言うって」
妙子「やっぱりね……」
榎本「少し軽率だったな、君らしくなく」
と、さっきめちゃくちゃ軽率に先輩を殴っていた人がなんか言っておられます。
妙子、居ても立ってもいられなくなったように、榎本の相手を真紀に任せて、すぐ忍の下宿に向かう。
その下宿では、荻田がおろおろしたように二階に上がってきて、忍を説得しようとしていた。

荻田「出てっちまうよぉ」
忍「ほっとけばいいんだよ」
荻田「止めなさいよ、出て行くとこもないのに、かわいそうじゃないか」
忍「ほっとけばいいって言ってんだろ、あんなやつらね、野垂れ死にしたって構わないんだよ、我、一切関知せずだ」
荻田「小倉百人一首みたいな格好して、へっ、なんだかんだ言ってなんだ、そんなもの抱いて、やっぱり気になるんだろ」
忍「うるせえなっ」
家訓を書いた額を抱いて力む忍の心を荻田が見透かすように言うが、忍もあれだけ喚き立てた手前、引っ込みが付かなくなっているのだ。
二人はまだ自分たちの部屋で荷造りをしていた。

綾乃「まだ怒ってるみたいね」
渚「おっちゃんが怒るのも無理ないよ」
綾乃「女の人ってお喋りでやあねえ」
張本人の綾乃、まるで被害者のような口調でぼやいてみせる。
綾乃「おばあちゃんは渚のためを思って……」
渚「もうよそ」

渚「おばあちゃん、気をつけてね」
綾乃「ああ、あああーっ!!」
大きな風呂敷包みを抱えて階段を降りようとしている二人を、もと子たちが見上げていると、

もと子「あらあらあら」
先に風呂敷包みが雪崩のように落ちてきて、光政を押し潰す。

綾乃「ごめんくださいませね、坊や」
さらに、降りてきた綾乃が、ご丁寧に光政を風呂敷ごと踏み越えていくのが、綾乃の人間性を的確に表現したシーンとなっている。
これって、樹木さんのアドリブなのかなぁ?

もと子「まあまあ、ほんとにねえ、おばあちゃん出て行くの」
綾乃「ちょっとした誤解で……」
そう言えば、あれだけのことをしておいて、綾乃、一言も忍に詫びてないんだよね。
ある意味、立派である。
光政「何処行くの?」
綾乃「なんとでもなりますよ、東京広いから」
もと子「もしね、ほんとに困ることがあったらね、電話しなさいよ」
最初はあんなに二人のことを追い出したがっていたもと子だが、今ではすっかり愛着を覚え、本当の家族のようにその身を気遣う姿がうるわしい。

もと子「いいね、ほらっ」
そして、ぼーっとして二階を見上げている渚の頬を、ぺちんと音がするくらい強く叩く仕草が、独立する娘のことを心配する肝っ玉母さんみたいで、なんとなく好きなシーンである。
荻田「加茂さん!! 行っちゃうってば」
もと子「ねえ、加茂さん、何してんのよ」
荻田「いや、それがさ、今夜に限ってやたら頑固なんだよ」
渚「光政くん、いつかまた将棋教えてあげるからね」
光政「うん」
綾乃「何のお返しも出来ませんで、ありがとうございました」
二人が何かやらかして下宿を飛び出すというのは、中盤以降、一種の恒例行事のようになってしまうが、初回と言うことで、みんなの反応も初々しく、これっきり二度と会えないようなしんみりとした雰囲気が漂っている。
二人が出て行ってからほどなく、妙子が走って下宿の前までやってくるが、

渚「おばあちゃん、こんな近くじゃ家出じゃないよ、私恥ずかしいよー」
近くから、渚たちの声が聞こえてくる。

綾乃「お誂え向きにいいプレハブ住宅が建ってんですもの」
見れば、二人は、古本屋のすぐ隣にある、吹きさらしのモデルハウス(?)に勝手に上がり込んでいた。
あれだけ丹念に別れのシーンを描いた直後だけに、実に笑えるオチとなっている。
妙子「おばあちゃん」
綾乃「……」
そこに妙子があらわれたので、さすがに面の皮が厚い綾乃も思わず立ち上がる。
だが、海のように心の広い妙子は、綾乃に仕返しするどころか、二人を自分のマンションに連れて行く。

妙子「ここなのよ、狭いけど」
綾乃「まあ、ご親切にどうも……良かったわね、渚」
渚「おばあちゃん、やっぱりよそうよ、この人の世話になる訳に行かないよ」
綾乃「どうしてよ、一晩だけでもって仰って下すってるんだから」
渚「おばあちゃん、恥ずかしくないのー?」
例によって綾乃はケロリとして妙子の行為に甘えようとするが、これには、今度の一件には責任のない渚の方が決まり悪がり、祖母の節操のなさを非難する。
妙子「渚ちゃん、気にしなくていいのよ、うちのほうは全然構わないんだから」
二人はそのまま妙子の家に厄介になるのだが、家にいる筈の真紀と渚が顔を合わせるシーンはない。
もっと言えば、自分の記憶している限り、シリーズを通して二人が会話をかわすシーンは一度もなかった筈である。
忍が病気をしたときに、下宿に見舞いに来た真紀が、渚と同じ部屋にいるシーンはあるが、そこでも二人が絡むことはなかった。
単にストーリー上の都合なんだろうが、ひょっとして、秋野さんと坪田さんの仲が悪かったのではないかと、余計な勘繰りをしてしまう管理人であった。
まあ、年は同じくらいだが、全然タイプの異なる女優さんなので、なんとなく馬が合わないだろうなぁと言う気はするが……
閑話休題、今年最後のヤケ酒を八重で飲んだ忍は、自分の部屋に帰ってくるが、

ガランとした隣の部屋に立ち、親とはぐれた幼児のような悲しそうな顔をしていたが、畳の上にバタンと倒れ、

忍「バカヤロウ、どんなになったってしらねえからな!!」
自分で追い出しておきながら、出て行った二人を罵るのだった。
二人が忍のことを必要としているのと同じく、いや、それ以上に
忍が二人のことを必要としていることをありありと示した、胸に沁みるシーンである。
と、同時に、前作「水もれ甲介」の22話において、甲介が放った、
「俺たちはその時はっきりわかったんだ、人と人とを結びつけるのは血の繋がりなんかじゃない、もっと別の……その人にいて欲しいって気持ちだって」 と言う台詞が、まさに人の世の真理を言い当てていたことが分かるのだった。
ま、「真理」と言うのは大袈裟だが、「気まぐれ天使」と言う作品のメインテーマを、一言で言い表した台詞であることは間違いない。
それはともかく、翌日、傷心の忍に、さらにショックが出来事が降りかかる。

藤平「いま、社長との話し合いの結果、えー、彼女の希望もあってフランスのデザイナー、ルベールさんのところへ三年間、研修のため、出張することが決まったんだよ」
由利「えーっ!!」
そう、突然の妙子のパリ行き決定であった。
これまた、いささか唐突で、そこに至るまでの経緯がすっぽり省かれているのは物足りないが、こちらで補えば、やはり榎本が自分の進退を懸けて社長を口説き落としたと言うのが真相であろう。
忍にとっては寝耳に水、青天の霹靂の知らせであったが、

忍「おめでとう……煙草買って来なくちゃ」
形ばかりの祝福を口にすると、妙子の悲しそうな眼差しから逃げるように、そそくさと部屋を出ていくのだった。
さすがに忍が落ち込んでいるのを榎本が見つけ、屋上に誘う。

榎本「僕は彼女のためになると思うんですがね……先輩、これを機会に彼女を自由させてあげたらどうですか? ついでに言わせてもらえば、彼女の新しい旅立ちの背中から、余計なものを取り除いてやることですね」
忍「余計な荷物って一体どういうことだ」
榎本「婚約です」
忍「……」
榎本「先輩、お互いに愛し合ってんでしょ、だったら三年なんか大したことないじゃないですか。そんな形より、ターコを自由にさせて、ターコの才能を伸ばしてあげる、それが本当の愛情じゃないですか」
忍「この上、俺に婚約まで解消させようって言うのか」
榎本「理解してもらえないようですね、僕は、それもひとつの愛情だと思うんですよ。そうは思いませんか?」
忍「……」
榎本、忍の返事も待たずにさっさと立ち去る。
榎本に言われたからではないだろうが、忍、結局、妙子とはきっぱり別れることにする。
会社の近くの公園のベンチに腰掛け、沈鬱な顔で話している二人。

忍「俺にも分かって来たよ、婚約と言うことに拘りすぎて若さを失ってきたような生き方をした……君も俺も」
妙子「私のせいかもしれないわ。300万貯めるために二人で遊びもしなければ美味しいものも食べなかったし」
忍「それとは別さ」

忍「心の問題だよ、もっと自由な心で付き合うべきだった」
妙子「あのおばあちゃんや渚ちゃんみたいにね……あの二人に惹かれるのはその日その日を自由に生きてるからよ」
忍「かもしれないな……」
忍、さばさばしたような顔になり、吸いかけの煙草を思いっきり空に投げると、
忍「ははっ、幻の婚約か、でもいいや、俺はターコのお陰でいやな会社勤めも出来たし、疲れた体で童話を書くファイトも湧いてきたし……感謝してるよ」
妙子「ごめんなさい、ワガママ言って」
忍「いいよ」
キスだけで、肉体関係もない清い婚約だったせいか、別れ話につきものの修羅場は生じず、二人は終始大人の態度をキープする。
ほんとは、これで切るべきだったと思うが、続けて、
忍「三年経って、もしお互いの気持ちが今のまんまだったら、今度はすぐに結婚しよう」
と、忍が付け足すのだが、これはいかにも未練がましいので削った方が良かったと思う。
妙子「ええ、いいわ」
もっとも、そんなことがありえないことを承知で応じる、あくまで優しい妙子なのだった。
真紀と榎本が話しているシーンを挟み、妙子のマンション。
あのまま泊まってしまったらしい渚が暢気にファッション雑誌を読んでいると、忍と妙子が帰ってくる。

妙子「ただいま」
渚「おかえり……あ、おっちゃん」
忍「渚ちゃん!!」
渚「うふふ」
渚が舌を出して悪戯っぽく笑うと、

コタツの向こうから、綾乃がひょっこり顔を出す。

忍「バサマも……お前らなんでこんなところにいるんだよ」
綾乃「泊めて頂いたんですの、さすがに加茂さんが選んだお嬢さんですの、こんなご親切な方はじめて」
渚「ま、おっちゃん、座ったら」
忍「調子良いこと言いやがって、このぉ、お前らいつまで人の家に世話になってんだよぉ、さっさと自分の下宿へ帰れ!!」
忍、二人を叱り飛ばしつつ、さりげなく和解の意思を示すと、疲れた果てたように渚のすすめた椅子にまたがる。
綾乃「よろしいんですの?」
忍「よろしくも、よろしくないも、他にどこも行くところねえじゃねえか、二人とも」
渚「良かったねえ、おばあちゃん」
抱き合って喜ぶ渚と綾乃を見ながら、

切なそうな表情になる忍と、その様子をいかにも楽しそうに見る妙子。
口では文句を言いつつ、忍が二人に深い愛情を抱いていることを承知しているのである。
こうして、二人の初めての家出はほんの一日で終わってしまう。
それでも、二人が一晩家を空けたのは、かなり珍しいことである。

もと子「だからはじめっからね、追い出さなきゃいいのよ。まぁかっこつけてすぐ怒るんだから」
荻田「いいじゃないか、またこうして一緒に暮らせるんだから」

光政「勉強も教えてもらえるし」
渚「将棋もね」
二人の帰還を心から喜ぶ荻田家の人たち。
全編を通して、管理人が特に好きなシーンのひとつである。
ちなみに、固定で映している居間の一部分に綾乃がいて、そこにもと子、荻田、光政、渚の順で、カメラに映らないところから次々フレームインするのが、なかなか面白い演出。
この後、綾乃がまた手癖を働いて、妙子の家から栓抜きのようなものを失敬したことが分かるが、これは要らなかったなぁ。
一方、忍と妙子は、久しぶりに一緒に酒を飲み、「別れの盃」を交わしていた。
妙子「おおっぴらに腕組んで歩けば良かった、こんな風になるんだったら」
忍「だから俺が言ったろう」
妙子「仕方がなかったのよ」
忍「なんだか損したみてえだよなぁ、人に隠れてコソコソと……君のせいだぞ」
妙子「もう言わないでよ、しつこいわね、男の癖に」
忍「なんだよ、その言い方は……いけねえ、まただ」
妙子「今日はよしましょう」
今更になって、交際していることを周りに秘密してきたことを悔やむ二人、責任のなすりあいをして、思わずいつものように口論になりかける。
忍、むしろ寂しそうに、
忍「君と喧嘩するのも今日で仕納めか……」
人間のクズとして有名な管理人だったら、「どうせだから、最後に一発やらせて」と頼んでいるかもしれないが、快男児である忍がそんなさもしいことを言う筈がなく、妙子に指一本触れようとしない。
ま、これはこれで問題だと思うんだけどね。

忍「なんか喋ってなきゃ、寂しくてさ……」
妙子「ニンちゃん……」
その後も忍はひたすら酒を飲み続け、外が白々明るくなりかけたところで、ぽつりと漏らした本音に、妙子も耐え切れなくなってその腕に縋りつく。
忍「だいじょうぶだよ、30年間一人で気まぐれに暮らして来たんだよ。これからだって同じだよ……俺な、君と会って、いい童話が書けそうな気がしてるんだ」
妙子「私もやるわ、ニンちゃんも頑張って……」
懸命に涙を堪えながら、互いに励ましあっていた二人は、やがて正面から向き合い、

何気に、劇中初となるキスをかわすのだった。
……
って、いくらなんでも、スタッフ、腰が引け過ぎてないかい?
もっとも、昔のドラマを見てると、恋人同士がキスするときでさえも、俳優同士は実際にキスしない、擬似AVのようなふざけた演出がしばしば見られるので、大して驚くことではないのかもしれない。
どうでもいいが、本番とか擬似とか、もう完全な死語になってしまったなぁ……(遠い目)
ともあれ、ラスト、妙子を乗せた飛行機が飛び立つイメージで幕となり、妙子は永遠に忍のもとから去り、同時に大原さんも予定通り降板となるのだった。
以上、忍と妙子の破局に、綾乃たちの「はじめての家出」を絡めた佳作であったが、このクソ熱い最中(7/29~7/30執筆)、クーラーもない部屋でこんなレビューを書くのは、はっきり言って地獄以外の何物でもなかったことをつけくわえておきたい。
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