第23話「コンマ1秒に賭けた命」(1988年7月30日)
タイトルから分かるように、戦隊シリーズで恒例の、レッドの前にライバル的キャラが登場して苦しめ、それをレッドが主にスピード感によって倒すと言う、アレである。
なお、間違っても逆から読まないように。 さて冒頭、ああ、前回や前々回とまとめ撮りだったんだろうなぁと言うことがうかがえる、見覚えのある港町をバイクで疾走している勇介。

と、その行く手に、白いドレスに白いパラソル、白い手袋に白い靴と言う、全身白ずくめの女性が立っていて、堤防の上からひらりと舞い降りる。
一瞬、また、マゼンダが人間に化けて何か企んでいるのかと思ったが、

勇介「なんでしょう、お嬢様?」
女好きの勇介が、執事のような気取った声を掛けると、

コロン「うふふっ」

コロン「お嬢様ですって、うふふ」
その下からあらわれたのは、意外にもコロンであった。
しかも、頭部だけコロンのスーツを被り、下は普通の人間の状態と言う、ちょっと他では見たことのないスタイルであった。
正直、ロボットであるコロンがどうやってそんな姿になれるのか、良く分からないのだが、これって、なかなか良いよね。しかも、コロンの場合は、ちゃんと渡辺元子さんと言うJACの女性が入っていることがわかるから、後で中身が男だと知って興ざめすることもないし。
勇介「ああっ、コロン」
コロン「嬉しいコロン、うふふ」
唖然とする勇介をよそに、コロンはバイクの後ろにちょこんと腰掛けると、

コロン「ねえ、勇介、乗っけて」
勇介「おい、俺は今パトロール中なんだぞ、大体今どんな時か分かってるのか?」
コロン「勿論、分かってるわ。だから……ねえ、乗っけて」
勇介、バイクをひと揺すりしてコロンを下ろすと、
勇介「ボルトにはまた新たな宇宙人が加わり、ビアスがどんな手を打ってくるかわかんないんだぞ!! ったく」
コロン「あっ、ああ……」
コロンを叱り付けると、さっさと走り去ってしまう。
コロン「だから私もパトロールのお手伝いをしようと思ったのにぃ!! 勇介ったらちっとも分かってくれないんだから!!」
怒ったコロンはヒールを蹴り飛ばして近くのドラム缶にぶつけるが、本気でパトロールしたいのなら、こんな格好はしないよね。
よって、コロンは単に勇介とデートがしたかっただけと見た。
その頃、ヅノーベースでは、勇介が危惧したように、ビアスが次なる手を打っていた。
今まではひたすら弟子たちに好きなことをやらせていたが、今度は宇宙人組を加えた5人ひとりひとりに異なる課題を与え、その成果を競わせようと言うのだ。
5人は己の知能を傾けてその課題に取り組むが、最初にその課題をクリアしたのは、やはりケンプであった。

ケンプ「ビアス様、新合金ギガゾメタル!! 完成いたしました!!」
ビアス「おっ、さすがはドクター・ケンプ」
ケンプ「ありがとうございます」
そこへアシュラたちが雪崩れ込んできて、
アシュラ「こんなにも早く完成させるとは……」
ブッチー「あんたの宿題だけ簡単だったんじゃねえダスかー?」
ブッチーが悔し紛れにケンプにケチをつけようとするが、

ケンプ「ゲスなやつめ、貴様ら宇宙人とはな、地球の天才はここの出来が違うのだ」
ケンプ、一喝すると、バカにしたように、その弾力のある頭を人差し指で文字通り凹ませる。
ブッチー「ぐううっ、けえっ」
ケンプ「これでみんなもよーく分かっただろう、誰が真の天才か? 大教授ビアス様一番の弟子は誰か?」
ビアス「みなもケンプに負けずに宿題をやり遂げるのだ、お前たち5人の宿題が揃ったときこそ、我が念願のギガ計画が完成するのだっ」
5人「ギガ計画?」
初めて聞く言葉に、5人は声を揃えて聞き返すが、ビアスは一切説明しようとはせず、
ビアス「ケンプ、早速ギガゾメタルの凄さを見せてみよ」
ケンプ「はっ」
その後、勇介が引き続きバイクでパトロールしていると、いきなり剣を持った怪人が斬りかかってきて、かわす間もあればこそ、勇介のバイクは一太刀で真っ二つにされ、勇介の体が地面に投げ出される。

相手は、ケンヅノーと言う、例によってそのまんまのネーミングの頭脳獣であった。
すかさずケンプもその横に降り立ち、
ケンプ「見たか、新合金ギガゾメタルで作った、剣の威力!!」
勇介「ギガゾメタル?」
とりあえずレッドファルコンに変身してファルコンソードで立ち向かうが、

ファルコン「うわっ!!」
さすがにビアス直々の命で作り出された新合金の威力は凄まじく、受け止めようとしたファルコンの剣をへし折り、そのスーツをも切り裂く。

ファルコン「ファルコンソードまで……」
ケンプ「ふっはっはっはっはっはっ、ケンヅノーは剣の達人、レッドファルコン、今お前は初めて死の恐怖を覚えた筈だ」
ファルコン「はっ!!」
ケンプ「ふっ、青褪めた貴様の面が見たいぜ」
ファルコン「ううっ」
ファルコン、ベルトの光球の部分からファルコンセイバーと言う、より強力な専用剣を生成させ、もう一度勝負を挑む。
今度は簡単に折られることはなかったが、ケンヅノーは剣技にも優れていて、ファルコンは何度も攻撃を受けてしまう。
モニターで知っためぐみたちがすぐ応援に向かい、

コロン「合金成分、チタン2.05パーセント、ニッケル1.38パーセント、マンガン0.49パーセント……硬度556ポイント、凄い武器だわ!!」
コロンもコンピューターで直ちにケンヅノーの剣を分析する。
しかし、いくらコンピューターが優秀でも、映像だけでそこまで分かるだろうか? しかも瞬時に。

ファルコン「ぐわっ」
コロンの声「450、126、228、423、134……」
場所を変え、なおも激しく斬り結ぶ両雄……と言えば聞こえは良いが、実際はケンヅノーの一方的な攻勢であった。
ちなみにこの場所、滑らかな黒い岩の上を浅く水が流れ、四方八方から淵に注ぎ込んでいると言う、決闘シーンとしては実に理想的なロケーションだが、「少女コマンドーいづみ」の4話で、いづみと恵子が飛び込んだのと同じところだよね。
コロンの声「左30度、ジャンプ後方60度!! ファルコン危ない!!」
戦いの間、コロンが間断なくデータを読み上げたり、ファルコンに指示を出したりするが、

ファルコン「ごちゃごちゃ言わんでくれ!!」
今のファルコンにはそれを落ち着いて聞く余裕などなく、いたずらに集中力が乱されるだけであった。
ケンヅノーの剣で突かれて川床に叩きつけられた勇介、遂に変身が解ける。
そこへふらりとケンプがあらわれ、

ケンプ「ドクター・ケンプの才能、思い知ったか? 貴様ら、科学アカデミアの落ちこぼれが太刀打ちできる相手でないことが……もはや新合金ギガゾメタルの威力は証明されたも同然、これで俺が偉大なるギガ計画の第一歩を切り拓くことになるのだ!!」
勇介「ギガ計画? なんだ、ギガ計画とは?」
ケンプ「誰も分からぬ」 勇介「分からんのかいっっっ!!!」 分からんのに「偉大な計画」って言うんじゃねえと、勇介の渾身のツッコミが渓谷に轟き渡ったと言うが、嘘である。
ケンプ「ビアス様の胸のうちに秘められているだけで、誰もその実態は知らぬ。まあ、貴様も知ることはあるまい、何故なら、今、ここで死ぬからだ」
勇介「なにぃっ」
再びケンヅノーが斬りかかって来るが、勇介はいづみたち同様、咄嗟に身を躍らせ、滝壺に飛び込んでなんとか追撃をかわす。
ライブマンとなってから、初めて味わう屈辱的な敗北であった。
無傷で下流の岸辺に這い上がる勇介だったが、心はズタボロになっていた。
勇介「逃げた、俺は生まれて初めて敵に背を見せてしまった……」
手近にあった棒を掴むと、それをヤケクソ気味に振り回す勇介。
そこへやっとめぐみたちが駆けつけ、

丈「勇介、やめろ」
勇介「ケンプには負けられないんだ」
めぐみ「こんな体じゃ無理よ!!」

勇介「ビアスはギガ計画と言うのを企んでるんだ」
丈「ギガ計画?」
それにしても、美しいめぐみの横顔!! 思わず二枚も貼ってしまった。
勇介「ケンプの開発した新合金はそのギガ計画の一環なんだ、だからこそ!! ケンプのあの剣を打ち破らなければならないんだ」
めぐみ「でも一体どうやって?」
勇介「ケンヅノーに打ち勝つ技を編み出すんだ」

勇介「新しい技を!!」
そう言って闇雲に棒をふるう勇介を見て、

丈「なんでバイモーションバスターで倒そうって発想ができねえのかなぁ……」
めぐみ「よねえ……」
とでも言いたげな目を見交わすめぐみたちであった。
そこへコロンが来て、

コロン「違うわ、勇介、勇介が負けたのは、スピードの差よ」
勇介「なにっ?」
コロン「勇介とケンヅノーの戦いを分析してやっと分かったの、みんなも見て」
コロンが頭のお団子のひとつを外して開くと、その中が小型モニターつきのコンピューターになっていた。

コロン「ほら、0.1秒の差で常にケンヅノーの剣のほうが速いわ」
まあ、0.1秒とか0.5秒とか、特撮の世界では良く出てくる単位だが、100メートル走とかならともかく、その場その場で色んな条件が異なる実際の戦いでは、そんな数字など何の意味もないことは明らかである。
コロン「0.1秒だけ速く動けばいいのよ。0.1秒だけ速い瞬発力を生み出す訓練が必要なのよ」
コロン、データを並べて見せた上で、物凄く簡単そうにケンヅノーに勝つ方法を伝授するが、

勇介「コロン……数字ばかり、もう数字はたくさんだっ」
コロン(え゛え゛っ?) 全く予想できない角度からダメ出しをする勇介であった。
さすがビリから二番目で科学アカデミアに合格しただけのことはある。
勇介「戦いと言うものは、数字だけでは測りきれるものではないんだ。立ち向かったものにしか分からないものがあるんだ!!」
コロン「勇介……」
勇介「戦うのは俺だ、人間なんだ、君のような鋼鉄のような体とは違うんだっ」
コロン「……」
勇介、コロンの考え方を否定すると、ものの弾みで無神経なことを口走ってしまう。
CM後、公園の雑木林の中で、ひとり悲しみに暮れているコロン。

コロン「勇介ったら、私のこと、機械としか思ってないのね、心も何もないただのロボットとしか思ってないのね……」
そこへめぐみがあらわれ勇介の代わりに謝る。
めぐみ「コロン、ごめんね、勇介、気が立ってるのよ」
コロン「いいの、勇介の言うとおりかもしれない」
と、いきなりケンプがあの剣を振り上げて飛び込んでくる。

それをまんぐり、いや、でんぐり返しでかわすめぐみ。
……
ああ、これがミニスカだったら、どんなに素晴らしいシーンになっていたことか……って、前回も言ったか。
不意を衝かれためぐみ、あっさりケンプに捕まってしまうが、

ケンプ「勇介に伝えろ、めぐみを助けたくば、ひとりで来いとな!!」
剣をめぐみの首筋に擬しながら、コロンに伝言を告げてその場から走り去る。
……
いや、なんてその場でさっさと殺さないの?
ライブマンのひとりを殺す絶好の機会だったのに。
やっぱり、バカなの?
色々あって、海に突き出た高台にいるケンプたちの前に、約束どおりファルコンひとりがやってくる。
再びケンヅノーとの一騎打ちとなるが、まだ何の技も開発していないファルコンは、さっきと同じことを繰り返し、たちまち劣勢に追い込まれる。

ファルコン「ライブラスター!!」
ここでやっと飛び道具を使うことを思いつくが、

ギガゾメダルは、そのビームさえ受け止めて跳ね返してしまう。

勇介「うわーっ!!」
その爆発で吹っ飛ばされ、空中で変身が解ける勇介。
これも前回書いたけど、ライブマン、変身が解け易過ぎ!!
勇介、ケンヅノーに気を取られて背後から迫っていたケンプに気付かず、真っ二つにされそうになるが、

そこを予定調和的に身を挺して救ったのが、海の中から飛び出したコロンであった。
勇介、渾身のドロップキックでケンプを蹴り落とすと、

勇介「コロン!!」
コロン「勇介……」
勇介「なんてことを……コロン、君は戦いに臨んで何が大切かを今教えてくれたんだ、この体で……
戦いで大切なのは捨て身で戦うことなんだっ!!」
コロン(誰もそんなこと教えてないコロン……) じゃなくて、
コロン「……」
勇介「今なら0.1秒の壁を破れるような気がするぜっ、見ていてくれ、コロン!!」
なんだか良く分からないが、戦いの極意を掴んじゃったらしい勇介。
しかし、「気がする」で勝てりゃ、世話はないわな。
ともあれ、気合を入れなおして再度変身する勇介。
ファルコン「捨て身でぶつかることだ、あの剣を恐れぬことだ……」
いや、それはゲームやスポーツの世界ならそれで正解かもしれないが、これは現実に命と命の奪い合いをしているバトルなので、その考えは明らかに間違っている。
もっともこれは、ちびっ子に夢と勇気を与えるための番組なので、そんな小難しい理屈などどうでも良くて、

ファルコンは捨て身の攻撃とやらでケンヅノーを一刀のもとに斬り伏せ、遂にリベンジを果たすのだった。
これもねえ……互いにガードをせずに空中で剣を振り回したら、いくら相手より0.1秒速く斬ったところで、自分も斬られるのは自明の理なのだが、ま、これ以上野暮なことは言うまい。
この後、タンクトップ丈がめぐみを救い出し、バイモーションバスターでケンヅノーを粉砕して勝負あり。
……
いや、だから、最初からバイモーションバスターで撃てば良かったのでは?
戦いのあと、

めぐみ「たまにはデートも良いもんよ」
コロン「デートだなんて」
めぐみ「はーい、うふっ」
勇介「行くぞコロン」
コロン「嬉しいコロン」
めぐみたちは恥ずかしがるコロンを無理やり勇介のバイクの尻に乗せて、その願いを叶えてやるのだった。
大変微笑ましいエピローグであったが、ケンヅノーへの対策が、
勇介説1……技で勝つ
コロン説……0.1秒速く動く
勇介説2……捨て身で戦う
と言う風にバラバラで明確な答えの出ないまま、なし崩しで勝ってしまったのが、この手の話としてはいまひとつカタルシスに乏しい気がして、スカッと出来ないのである。
ま、たぶん、恐怖を捨てて「捨て身で戦う」ことが、結果的に「0.1秒速く動く」ことになってるんだと思うが、ちょっと分かりにくいよね。
勿論、精神面も大事だけど、頭の良さを競うと言うのが番組のコンセプトなんだから、少しは敵に勝つための科学的・合理的な工夫をして欲しかった。
それにしても、オンエア時には全然気にならなかった……と言うより、確実にウザいと思っていたと思うが、コロンってなかなか可愛いよね。
特に冒頭で見せた、頭だけスーツで下が人間の女性と言うバージョンがめっちゃエロ可愛くて、彼女への好感度がビビビッと上がった気がする管理人でありました。
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