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「熱中時代」傑作選 第12回「熱中先生と少年探偵団」 前編


 第12回「熱中先生と少年探偵団」(1978年12月22日)

 久しぶりの「熱中時代」のお時間です。

 冒頭、登校中の子供たちに混じって、広大が嫌がる小宮巡査を無理やり引っ張って学校に連れて行こうとしている。

 
 小宮「俺、やっぱりよすわ」
 広大「今更何言い出すんだよ!!」
 子供「先生、おはようございます」
 広大「あ、おはよー」

 
 広大「子供たちにはもう約束しちゃったんだから」
 小宮「俺、高いところ苦手だから……」
 広大「言い訳無用、公務員として約束はちゃんと守ってもらわなくちゃ……いいか、あんた聖職者なんだぞ!!」
 小宮「はい……」

 隙あらば逃げようとする小宮の腕をしっかと掴んで、ずるずる引き摺っていく広大。

 劇中では、教師も警察官も、広大の認識では「聖職者」と言うことになっているのだが、もろに時代を感じさせる言葉&発想だなぁ。

 教師はともかく、警察官のことを聖職者なんて思ってる人間など、今ではほとんどいないだろう。

 そもそも、悲しいことに「聖職者」と言う言葉自体がほぼ死語になっちゃってるからね。

 ちなみに二人の横をすり抜けていく子供たちは、すべて今回活躍する「少年探偵団」のメンバーである。つまり、このシーンは、最後の公園のシーンを撮影した時に、一緒に撮られたものなのだろう。

 
 ……

 それにしても、このシーンをキャプしていてつくづく思ったのは、真のキャプ職人たるもの、どんなに些細なカットにも可能性を追い求め、ヒトコマ、ヒトコマを忽(ゆるが)せにしてはいけないのだということである。

 それはともかく、広大が親友の小宮に何をさせようとしているのかは、次のシーンで明らかになる。

 広大「今日の社会科は、昨日約束したとおり、特別授業としてお巡りさんの仕事について勉強してみたいと思う。さあ、みんなで読んでみよう」

 
 子供たち「お巡りさんの仕事!!」

 広大に言われて、声を揃えて黒板の文字を読む子供たち。

 この真ん中に映っているのが、管理人イチオシの茂木由美子ちゃんと平山君子ちゃんなのである。

 広大「それでは本日の特別ゲスト、上代田八丁目の派出所の本物のお巡りさん、小宮新八郎巡査を紹介しよう、みんな、拍手」

 広大が戸を開けると、しゃちほこばった姿勢で小宮が入ってきて教壇に立つが、

 
 小宮「えー、ただいまご紹介に預かりました、小宮であります、えー、今日は皆様にお目にかかれて大変光栄であります……えー、今日お話しすることでありますが、えー………」

 のっけからあがりまくり、視線を宙に迷わせて固まってしまう。

 広大「お巡りさんの仕事」
 小宮「え、そうであります!!」

 広大に助け舟を出されて、やっと喋る内容を思い出した小宮に、子供たちがどっと笑う。

 小宮、あらかじめ用意していた巻紙を取り出し、

 
 小宮「えー、ですから、警察官と一口に言っても多種多様の警察官がいるのである、東京の警察機構は警視庁を中心に……」

 そこに書いてある堅苦しい文章をそのまま読み上げるという、芸のないことを始める。

 当然、子供たちには不評で、

 
 やがて、いかにも退屈そうに背伸びをしたり欠伸をしたりする子供たちが続出する。

 ちなみにちょっと分かりにくいが、画面中央、君子ちゃんが机の上で猫のように体をゴロゴロさせているのがめっちゃ可愛いのである!!

 
 広大「あの、お話中ですが、あの、子供たちにはちょっと難解すぎるので、もう少し分かりやすくお願いしたいんですが……」
 小宮「いや、しかし、北野さん……」

 見るに見かねて広大が口を挟むと、小宮は普段出したことのないような情けない声を出して、縋るように広大のジャージを掴む。

 男子「お巡りさん、犯人を逮捕したことありますか?」

 と、ひとりの男子が立ち上がって質問すると、急に元気を取り戻し、

 小宮「勿論あるよ、つい最近、下着泥棒を……」
 広大「小宮さん」
 小宮「すいませんでした、泥棒を逮捕したばっかりだ」

 広大に注意されると、阿吽の呼吸で「下着」の部分をカットする小宮であった。

 教育上よろしくないということなのだろうが、なんと言うか、ドラマ自体の持つ奥ゆかしさが凝縮されているようなシーンである。

 子供はあくまで子供らしく健全で……と言うのは、ともすれば大人が子供を鋳型を嵌め込むことにもなりかねない考え方なのだが、少なくともドラマの中での建前の上では、そうあるべきだと管理人は思う。

 ちなみにその下着泥棒を演じていたのが団巌さんなのである。

 
 女子「手錠嵌めたんですか?」
 小宮「そら、勿論あるよ、いいか、手錠をこう出す、逃げる犯人をとっ捕まえる。現行犯で逮捕する」
 広大「いや、いや……」

 舞い上がった小宮は、手錠を取り出すと、そばにいた広大の手首に実際に手錠を掛けてしまう。

 それを見て子供たちが大ウケするのを見て小宮はますます調子に乗り、

 
 カーテンコールに応える役者か、はたまた勝ち名乗りを上げるボクサーのように、広大と一緒に両手を挙げて教壇を右に左に駆け回り、最終的には「何の授業だコレ?」と言うことになるのだった。

 だが天城校長は、小宮の「出張授業」に大いに感心し、

 
 天城「大変結構でした、これで子供たちの社会的関心も一段と高まることでしょう」

 授業のあと、校長室に広大と小宮を招いてその労をねぎらうのだった。

 小宮「だといんですが、慣れないことで上がってしまいまして」
 広大「また良く言うよ、人に手錠なんか掛けておきながら」
 小宮「いや、けど、あれでだいぶ気分が楽になったんだから、勘弁して」

 そこへ桃子先生がお茶を持ってくるが、桃子先生からも「出張授業」をしてくれないかと頼まれ、ますます有頂天になる小宮であったが、ここで彼を奈落の底へ突き落とすことになる、ある事件が発生する。

 前田「校長先生、大変です、理科室に泥棒が!!」
 天城「泥棒が?」

 OP後、教師たちが右往左往している職員室に、体育の授業を終えた小嶋田先生が戻ってくる。

 桃子「あ、小嶋田先生、大変なんですよ、理科室に泥棒が入ったんですって」
 小嶋田「泥棒? はぁ、そうですか……」
 桃子「今ね、ちょうどいらしてた小宮さんが調べてるんですけど、色々と盗まれたらしいんですよね」
 小嶋田「はぁ」
 教頭「所轄署の刑事さんが今見えるそうだ、いやー、どうも大変なことになったねえ、もうすぐ冬休みだと言うのに……ねえ、小嶋田先生?」
 小嶋田「……」

 桃子先生が急いで注進するが、小嶋田先生は気のない返事をして席に着くと、教頭の呼びかけにも相槌すら打たず、いかにも心あらずという風情だった。

 一方、小宮は張り切って理科室で盗品のリストを作っていたが、そこへどやどやと子供たちが押し掛けてきて、小宮に事件についての見解を求める。

 さっきから調子に乗りっぱなしの小宮は、これはプロの窃盗犯による犯行、それも複数の人間によるものだと自信たっぷりに推理を披露する。

 と、そこへ所轄の刑事二人が到着するが、

 
 刑事「君は近くの交番?」
 小宮「いえ、本官は上代田八丁目派出所の小宮巡査であります」

 天城から小宮の「出張授業」について説明を受けた刑事は、

 刑事「すると何かね、君が学校にいる間に泥棒に入られたというのかね」
 小宮「はあ、そう言うことなんですが、その時私……」
 刑事「ああ、言い訳は良い、それよりなんだね、この現場保存の仕方は?」
 小宮「現場保存?」
 刑事「そう、現場保存は警察官のイロハだ、それなのに子供たちはいる、先生たちはいる、これじゃあ指紋、足跡、遺留品、手掛かりになりそうなもの、みんなパーじゃないか」
 小宮「申し訳ありません」

 刑事の指摘はもっともで弁解の余地はなく、小宮はさっきの勢いは何処へやら、悄然としおたれる。

 さらに、追い討ちをかけるように、

 
 刑事「君ねえ、ほんとに警察官?」
 小宮「……」
 刑事「いやいや、疑うわけじゃないけどさ、ちょっと警察手帳見せて」
 小宮「はい……」

 警官であることさえ疑われ、身分証の提示を求められるという、屈辱的な目に遭う。

 しかも、子供たちの目の前で……

 後に桃子先生が言ったように、まさに「天国から地獄」であった。

 男子「こりゃダメだ、帰ろうぜ」
 男子「帰ろう、帰ろう」

 それを見ていた子供たちも、容赦なく吐き捨てながらぞろぞろと教室に引き揚げていく。

 
 広大「ま、そう気にするなよ、誰だってミスなんてやるんだからさ、俺だって毎日毎日ミスの連続だよ」

 その後、さっきまでとは別人のように、しょんぼりと肩を落として廊下を歩いていく小宮を、広大が追いかけて何とか励まそうとするが、

 小宮「下手な同情はよしてくれよ!!」
 広大「……」
 小宮「あ、八つ当たりして済まん」

 小宮、やるせなさそうに溜息をつくと、

 
 小宮「熊本の両親にあわせる顔がないよ」
 広大「熊本?」
 小宮「うん、僕の父は熊本の田舎で警察署長してるんだよ、この不始末が父に知れたら……」
 広大「……」

 知り合ってから初めて見るような深刻な落ち込みぶりに、さすがの広大も掛ける言葉が見付からなかった。

 桃子「どうでした、小宮さん?」

 広大が、小宮と別れて職員室に戻ってくると、桃子先生も心配して聞いてくる。

 広大「いや、ダメですよ、あの、参ってるようですよ、すっかり自信なんかなくしちゃって」
 前田「そう」
 桃子「でも無理もないですよね、みんなの前でそんな風に言われたんじゃ、まるで天国から地獄じゃない」

 
 広大「すっ、まさか、あいつ……いや、こら思い過ごしだな、はっはっ、思い過ごしだわ……自殺なんかする訳ないですよねえ?」
 前田「あの人が?」

 席について、自分で自分の疑惑を打ち消して笑っていた広大だったが、我慢できなくなったように口に出し、温和な前田先生をヒヤッとさせる。

 広大「する訳ないですよね、ね、ね?」
 桃子「でも、ひょっとしたら、ひょっとするかもよ、自信たっぷりの人間が人前で恥を掻かされた為に死ぬって言うことあるでしょう?」

 桃子先生、なんとなく楽しそうにその可能性を指摘すると、

 
 桃子「それにあの人プライドが高いし、それにほら、身近に道具だってあるし……」

 右手をピストルの形に曲げると、それを自分のこめかみに当て、

 
 桃子「バーン!!」

 実際に撃つ真似をして、

 
 広大「……」

 どさくさ紛れに広大の体に倒れ掛かる桃子先生がお茶目で可愛いのある!!

 だが、桃子の「バーン!!」を聞いて、小嶋田先生がまるで自分がピストルで撃たれたかのように、ギュッと目をつぶって必死に何かに耐えていることには、誰も気付いていなかった。

 広大「また、そんな、冗談やめて下さいよ、小糸先生……しかし、辞表ぐらいは出しかねない様子だったなぁ」
 前田「大丈夫よ、私たちの思い過ごしよ」

 
 広大「だと良いんですけど……どうですかね、小嶋田先生?」
 小嶋田「は? さぁ、どうでしょう」

 広大に意見を求められた小嶋田先生だったが、相変わらず反応は鈍く、生返事をしてまたすぐ目を伏せてしまう。

 ここに到って、漸く小嶋田先生の様子がおかしいことに気付く広大であった。

 
 小宮が、ふらふらと歩いて帰って行くのを、ジャングルジムの上から子供たちが気の毒そうに眺めている。

 男子「かわいそうになぁ、あのお巡りさん」
 藤森「仕方がないじゃないか、ミスなんだから」
 ショウコ「でも、良い人だったわ」
 若宮「手帳も見せてくれたし、拳銃も抜く真似してくれたもんね」

 
 ブランコの周りの柵に引っ掛かってコケそうになった小宮の背中から、

 男子「世渡りが下手なタイプなんだよ、ああいうのは!!」

 と、子供らしい残酷さで容赦のない結論が飛んでくる。

 もっとも、小宮はショックと絶望のあまり、子供たちの声など耳に入らない様子だった。

 と、反対側から男の子が走ってきて、小宮の股を潜り抜けて子供たちと合流する。

 男子「お待たせ」
 上野「お、集まったか」
 男子「まあね、留守番してるお父さんにばれないように苦労しちゃった」
 上野「ごくろう、ごくろう」

 リーダー格の上野は男の子から紙袋を受け取ると、中に入っていた王冠をみんなに配る。

 
 上野「これが我が少年探偵団のバッジだ、団員は何時如何なる時にもこのバッジを持つ、緊急の時にはこのバッジを目印代わりに使うこと、いいな?」
 子供たち「OK!!」

 すなわち、ここに3年4組の少年探偵団が結成された訳で、彼らはさきほどの盗難事件の手掛かりを求めて、さっそく聞き込みを開始するのだった。

 どうせなら、茂木ちゃんや君子ちゃん、あるいのはのり子ちゃんあたりにも参加して欲しかったが、基本的にこういうのは男の子の遊びなので、ショウコちゃんがいるだけでも是としなければなるまい。

 ちなみに管理人は、勝手に茂木由美子、平山君子、鈴木ショウコちゃんの三人を3年4組の三大マドンナに認定しているのである。

 一方、広大は帰りがけに小嶋田先生に事情を聞こうとするが、小嶋田先生はただ「初体験」としか教えてくれない。

 正門の前で小嶋田先生と別れた広大、すぐ近くの路上で、上野たちが他の生徒を捕まえてごにょごにょやっているのに気付く。

 
 広大「おい、お前たち何やってんだ」
 男子「目撃者探しさ」
 広大「なんの」
 男子「決まってんだろ、今日の泥棒のさ」
 広大「僕たちの手できっと犯人を見付け出してみせるんだ。じゃあ急ぐから」

 そう言うと、上野たちは、広大が呼び止めるのも聞かずに風のように走り去る。

 下宿の夕食の席で、広大はそのことを話題にする。

 桃子「子供たちが?」
 広大「ええ、一応は解散させたんですけど、どうも今日の出来事に刺激されたらしくて」
 早苗「分かりますよねえ、子供たちの気持ち」
 広大「え、魚津先生、分かりますか」

 
 早苗「ええ、私も子供の頃、男たちに混じって探偵ごっこやった口ですから」

 魚津先生が言えば、

 
 桃子「あら、私も、スリリングなのよ、あれ」
 早苗「うふふふふ」

 桃子もすぐに反応して、華やいだ笑い声を立てる。

 ああ、かわええ……

 天城「私も子供の頃は良くやりましたね、怪盗ジゴマごっこ」
 育民「なにそれ」
 天城「昭和のはじめ頃に流行ったサイレント映画です」
 育民「話が古いんだよね」
 八代「僕なんか明智探偵だったけどね、広大君なんかどう?」
 広大「僕、怪人二十面相」
 八代「うんー、それじゃ君、ライバルだ」

 
 広大「良く追いかけられましたよ、明智探偵に、それで逃げる途中なんか転んで足なんか捻挫しちゃったりして……」
 綾子「危ないわねえ」

 それぞれの思い出話に花が咲いて和やかなムードになるが、天城は教育者の顔になって、

 天城「まあ、子供の遊びに危険はつきものだし、子供の夢を破るつもりはありませんがねえ……しかしこれは現実の事件ですから、捜査は警察に任せておかなければいけません」
 広大「はい」

 と、釘を一本差しておくことを忘れないのだった。

 
 八代「で、警察じゃなんて言ってんですか」
 天城「それがねえ、どうも素人の犯行じゃないかって……手口が幼稚過ぎるし、採取された指紋の中に前歴者はいなかったそうです。それに一人の犯行じゃないかとも言ってました」
 広大「……」

 天城の言葉に、自分の教え子が大事な場面でヘマをしたようないたたまれない気持ちになって、思わず下を向く広大。

 しかし、プロの窃盗犯なら、そもそも指紋なんて現場に残していかないと思うんだけどね。

 早苗「じゃ、小宮さんの推理はまるっきり外れてた訳ですか」
 天城「ま、残念ながらそう言うことになりますかね」
 綾子「あまり思い詰めなきゃいいけど……」
 桃子「北野先生もそれを心配してるんですよね、思い詰めて自殺でもしなければいいがってね」

 それを受けて広大が、帰りに小宮の寮に寄ってみたところ、不在だったと言うのを聞いて

 八代「おい、大丈夫か?」

 八代も思わず真顔になるが、

 育民「大丈夫じゃない? 小宮さんならね、さっき駅前の中華でね、ラーメンに餃子にチャーハンをね、こうやって並べて食べてたもん。あれはきっとね、やけ食いって奴だよ」
 広大「あーっ?」
 八代「はっはっはっはっ」

 育民に教えられて、心配して損したとでも言いたげにがっくりする広大であった。

 などと和気藹々やってると、玄関のチャイムが鳴ったので、桃子先生が出てみると、いかつい顎をした中年女性が立っていた。

 小嶋田先生のクラスの江沢カズオと言う生徒の母親だった。

 母親は強張った表情で天城校長に面会を求めると、

 
 天城「えっ、小嶋田先生が体罰を加えたと仰るんですか?」
 母親「ええ、これが医者の診断書です」

 意外な事実を告げ、広大たちを、極めて現実的で厄介な問題に直面させる。

 天城「口腔内裂傷?」
 母親「口の中が殴られた時に切れたって言うことなんです。かわいそうに、口の中を血だらけにして帰ってきたんですのよ、可愛い一人息子が……そりゃ私も体罰を全面的に否定するつもりはありませんけど、物には限度と言うのもがあると思うんです」
 天城「しかしですねえ、私には小嶋田先生がそこまでやられるとはとても信じられないんですがね」
 母親「でも、現にうちの子供は先生に殴られたって言ってるんですのよ……とにかくです、この決着がつくまで、子供は学校を休ませますので、その間に良識のある御処置を取って下さいませ、いざと言う場合には、こちらも考えがございます」

 かなり頭に血が昇っているらしい母親は、天城の反論にも耳を貸さず、自分の言いたいことだけ言うと、早々に帰っていく。

 
 桃子「まさか、小嶋田先生が……」

 桃子先生たちも俄かには信じられない顔であったが、広大はテーブルをバンと叩くと、

 広大「初体験かー」

 漸く小嶋田の言った言葉の意味が腑に落ちるのだった。

 翌日、天城はとにかく小嶋田を校長室に呼び出すと、診断書を見せて事情を尋ねる。

 
 小嶋田「口腔内裂傷?」
 天城「診断によると全治一週間だそうです」
 小嶋田「そんな、僕はただ……」
 天城「では、殴ったことは認めるんですね」
 小嶋田「申し訳ありません、あんまり言うことを聞かなかったもんですから、つい……」

 怪我の大きさに驚きを隠せない小嶋田であったが、素直に頭を下げて、体罰を加えたことを認めるが、

 
 小嶋田「しかし、口の中を切るなんて……」

 首を傾げつつ、昨日のことを思い返す。

 ここで回想シーンとなり、体育の授業中、江沢がいつまで経っても隣の女子をいじめているので、温厚な小嶋田もついカッとなってその頭を殴ったことが分かる。

 小嶋田「教師になって2年、まだ一度だって生徒を殴ったことはなかったんです、でも昨日はあの子に苦手な体育の授業をバカにされたような気がして……」

 え゛、小嶋田先生、まだ2年しか教師やってないの?

 うーん、それにしてはえらい落ち着き払って仕事してるように見えるが……

 それに、演じている小倉一郎さんは当時27歳で、しかも実年齢より老成して見えるから、余計違和感がある。

 ここは5年くらいにしといたほうが良かったんじゃないかと。

 
 天城「ちょっと待ってください、殴ったのは頭でしたね」
 小嶋田「すいません、よりによって頭なんか殴りまして、ほんとに後悔してるんです」
 天城「でも、そりゃ少し変ですね」
 小嶋田「何がですか」
 天城「だってそうじゃありませんか、顔を殴ったんならともかく、頭を殴って口の中が切れますかね?」

 天城は小嶋田先生の言葉を遮り、素朴な疑問を呈するが、

 小嶋田「でも、現実に切れたわけですから」
 天城「しかしですよ……」
 小嶋田「いえ、すべて僕に責任があるんです、ともかく放課後、あの子の家に行って謝って参りますから」

 小嶋田先生はひたすら「自分が悪い」の一点張りで、逃げるように校長室を出て行ってしまう。

 だが、どうにも納得の行かない天城は、自分で自分の頭を拳骨で殴り、実際に口の中が切れるかどうか試してみるのだった。

 
 前田「先生、あんまり気になさらないほうがいいですよ、誰も一度や二度、経験することなんですから……私なんかも何度か……」

 その後、前田先生がベテランらしく小嶋田先生を慰めようとするが、

 小嶋田「口腔内裂傷をですか?」
 前田「いえ、そこまでは行きませんけど……」

 小嶋田先生に挑みかかるように反論されると、戸惑ったように言葉を濁す。

 広大「でも、小嶋田先生、あの、そう言うことをね、僕だって何時やるか、そりゃまあねえ、教師だって人間ですから」
 小嶋田「でも、人間としてその感情を耐えるのが教師だと思ってきたんですよ、それなのに、僕はそれを破ってしまったんです」

 向かいの広大も、テキトーなことを言って励ますが、小嶋田先生の心には響かず、口をへの字に結んで、ガキ大将にいじめられた子供のような、今にも泣き出しそうな顔をして職員室を出て行くのだった。

 後編に続く。
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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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