皆さん、こんばんは。
約2ヶ月ぶりの鈴木彩子さんの布教活動のお時間です。
今回紹介するのは、ビデオスペシャル「けがれなき大人への道」。
同名の4thアルバムと同時期、1993年に発売されたミュージックビデオである。
ま、例によって、20年くらい前に買ってそれっきりにしておいたのを、つい最近になって初めて見たんだけどね。
スペシャルと銘打ってあるだけあって、彼女のビデオの中では最長と思われる82分の大作である。
内容的にも、冒頭、
ナレ「これは最近世間の注目を集め始めたある女性の、ライブドキュメントである」 と言う、プロの男性ナレーションが入ることからも分かるように、そのままテレビで流れてもおかしくないような構成となっている。
続いて、彼女のコンサートを聴きに来たファンへのインタビューと言う、珍しいことをやっているが、特にどうでもいいのでカット。

ナレ「鈴木彩子、21歳、愛称サボ、愛を歌い続ける唄歌いである」
とても21には見えない鈴木さんのお顔にタイトルが表示される。
今回は、前回紹介した「19才の鼓動」ではほとんど見られなかったライブの映像もふんだんに使われている。

彩子「おはようございます」
のっけから、93年4月27日に行われたライブ(5thツアー?)の前に、スタッフに向かってぺこりと挨拶する彩子タンの姿。
発声練習や、スタッフとの打ち合わせのあと、

思わず「総帥」とか「閣下」と呼びたくなるような衣装に着替えて、いざ出陣となる。

階段を上がってステージに向かう後ろ姿は、ほとんどタイトルマッチに臨む女子プロレスラーのようであった。

と言う訳で、一曲目はライブ映像からの代表曲のひとつ「COUNT DOWN」である。
こんなアムロ系のゴージャスな恰好で、
心臓の鼓動、体中に溢れて、スニーカーのままで空を飛びそうになる~♪ 静まり返る、誰もいないホールで夢見た日をもう一度思い出すよ~♪ 冷たい風吹く夜も、悲しいことあった日も、ああ、会いたかったよ、こんな気持ちには他じゃなれないよ~♪ 歌うのは、こういう真っ直ぐなメッセージロックと言うギャップが堪りません!!
と言っても、これは、コンサートに来たお客さんへの挨拶代わりのような歌なので、鈴木さん特有の強いメッセージ性はない。
その曲と並行して、担当ディレクターや、音楽ライターたちが鈴木さんについて語っているが、特に面白いことは言ってないのでカットします。

続いて、何故か、数学者の秋山仁が登場。
秋山「えーとね、鈴木さんは、僕はあの、ぜんぜん知らないんですけど……」
監督「帰れ!!」
じゃなくて、
秋山「えーとね、鈴木さんは、僕はあの、そんなにたくさんお目にかかってるんじゃないんだけど……」
ほんと、どういう接点があるのか不明だが、鈴木さんの書いた歌詞を褒める秋山さんであった。
しかし、今の若い人、知らんだろうなぁ。
ワシもあんまり知らんけど……
続いて、「この闇を越えて」と言う、今回ビデオを見るまで、管理人もそんな曲があるのをすっかり忘れていたヘビーな曲。
作詞は鈴木さんと鈴木光城と言う人の共作だが、確か、鈴木さんのお兄さんなんだっけ?
ただ、曲調と言い、歌詞と言い、あまりに重過ぎるので、個人的には好きではない。
今度は、スタジオ内での演奏である。

相変わらず魂の篭もった歌いっぷりは人を惹きつけるものがあるが、歌詞の一人称が「俺」と言うのは、やっぱり鈴木さんには向いてないと思う。

あと、気合入り過ぎて、途中でジャケットが脱げてしまうのが、なんかエッチだと思いました。
ここで一転、鈴木さんの生い立ちが、ナレーションと当時の写真によって説明される。
ナレ「鈴木彩子は1972年3月29日、宮城県○○市に生まれた……」
赤ちゃんの写真から始まって、幼女の頃の写真、小学校の運動会の写真と来て、

小学で水泳をやっていた頃の、貴重な、ロリコン殺し水着集合写真なんかもあります。

こう見えてスポーツウーマンの鈴木さん、中学時代にはバドミントンに打ち込み、中国に遠征したこともあるそうな。
だが、前回も書いたように、中三の時にライブで見たバンドの「未来は自分の手で開け~」云々と言う歌詞に触発され、幼い頃に抱いていた歌手になると言う夢を実現するため、家出をして東京に向かうが家族に見付かって断念したらしい。
ちなみにそのバンドと言うのが、
横山ホットブラザースだったらしいのだが、嘘である。

これは、中学の卒業式かなぁ?

で、高校入学後、東京でスカウトされ、モデルとして活動することになる。

管理人も知らなかったが、映画の主演の話もあったそうだが、このルックスなら当然であろう。
が、その映画が、河崎実のロリコン特撮映画だったので(註・嘘です)断り、やはり歌手になりたいと言うことで一旦宮城に帰り、白紙の状態から再スタート。

んで、色々あって、歌手・鈴木彩子の生みの親と言うべき新田ちゃんと運命的出会いをして、17歳で念願の歌手デビューを果たすのだった。
そして、現在の鈴木さんのインタビュー。

彩子「デビュー前の16、17の頃は、凄く、最悪な人間だったと思うんです、人の悪口とかも言うし、意地悪もするし、(中略)レコーディングの時もすぐ喧嘩になってそのまんま飛び出すって言う……周りに、そんな私でも愛そうとしてくれるひとがいて、それを、少しずつやってるうちに気付いたんですよ」
相変わらず謙虚で内省的に、かつての「駄目だった自分」を振り返る彩子タン。

続いて、このビデオの白眉と言うべき、鈴木さんの作詞・作曲による「月光」のスタジオバージョン。
曲も好きなんだけど、演出、ビジュアル、衣装など、各要素が完璧に近い。
夜空に咲いた、忘れられた満月は賑わう街を悲しそうに笑った~♪ 愛を楽しんで素肌にキスして偽りを抱き締めてる~♪ 優しさはどこへ? 明日の夢さえ瞳には映らないの、やむことのない都会の嵐~♪ 「19才の鼓動」を紹介した時、読者の方からZARDに似ていると言われたが、そう言われれば似てるかもしれない。
誰かの心に咲く、愛の花になれ、もう一度だけ信じてみるの~♪
心の目を覚ませ、果てしない空を見詰めていたあの日のままで~♪
全ての人に舞い降りてくる夜は孤独を誘う、いつからか一人きり~♪
綺麗になったと言われる数だけなくしてしまった自分~♪ 何かを探して右手を掲げてかき回しても、真実はそこにはない、今は~♪
誰かの心に咲く愛の花になれ、もう一度だけ信じてみるの~♪ 心が震えるような本当の声を月の光の中で聴いて~♪
大人になるほど寂しくなるほど強がって見せる自分~♪ 不安と孤独で壊れそうになる、押さえきれない気持ちを越えて~♪ 以上、ほとんど逐語的に紹介したが、鈴木彩子と言うひとりの人間の内面と揺れ動く気持ちをエッジの利いた歌詞に託して率直に吐露しつつ、自らをも鼓舞するような前向きなメッセージを疾走感のあるメロディーに乗せて歌い上げる、彼女の代表作のひとつと言って良い名曲である。
あと、管理人、これを見ていて思ったのは、これ、このまま現在の音楽番組、たとえばミュージックステーションとかで流しても、十分通用するんじゃないかと言うことである。
それだけ鈴木さんのパフォーマンスおよびルックス、なにより、そのひたむきな歌い方が素晴らしいということなんだけどね。
なんつーか、常に命削って歌ってます、みたいな感じで……
なんでもいいから話題になって、ユーチューブの再生回数を上げることしか眼中にないような最近のアイドル歌手(註・あくまで、昭和のガンコ親父の管理人の偏見です)に、少しは見習って欲しい姿勢である。
再び彩子インタビュー。

彩子「ひとりぼっちの意味って言う曲があるんですよ、イジメにあって自殺しちゃった女の子の歌で……そう言う曲を私が歌うことになって、でも振り返ってみると自分はそんなものを歌えるような人間じゃなくて、凄い悩んで……こういう歌を歌えるようになろうと努力すれば、色んな人にメッセージしたり、みんなを守ってあげたり、そう言う存在になれるかなって思って……」
前回も紹介した、「ひとりぼっちの意味」について、引き続き謙虚な姿勢で訥々と語る彩子タン。
続いて、その「ひとりぼっちの意味」のライブ版となるが、前回も取り上げたし、あまり映像が良くないのでカット。
それに続けて、泉谷しげるおやじの名曲「春夏秋冬」のカバーとなり、その泉谷しげる本人のコメントとなる。

しげる「一見なんか、あの、ジュリアナ東京みてえな顔して……」
今回も、鼻クソほじりながら、言いたい放題のしげるだが、例によって、しげるらしい表現で鈴木さんに声援を送るのだった。
嬉しいことに、鈴木さんのラジオ番組の収録風景も見られる。
事務所の先輩・嘉門さんとやっていた、「爆裂スーパーファンタジー」である。
自分はオンタイムで聞いたことはないが、後年、ネットに上げられているのをいくつか聞いたことがある。

彩子「なに言ってのよ、おじいちゃん、しっかりしてよ」
嘉門「最後にひとつやり残したことがあるんじゃ」
彩子「なあに、おじいちゃん」
嘉門「おばあちゃん……ポリデント」

彩子「あはははは」
嘉門さんとのお約束コントを演じて、ケラケラ笑う彩子タン。
歌っている時とはまるで別人のようで、こういうところが堪らんのです!!

勿論、嘉門さんのコメントも収録されている。
嘉門「こないだ5回目のツアーでしたっけね、5回とも全部見てるんですけど、立ち姿が随分かっこよくなりましたね、多分、自信のなせる業だと思うんですけど……若干21歳で、存在そのものに説得力が出て来たなと言うことで……結構ヘビーなこと歌ったりしてるんだよね、上辺だけの曲とかが最近流行ってますけど、
これから多分彩子みたいな血の通った歌と言うのが支持される時代が来るんじゃないかと思います(註1)」
註1……来ませんでした。
続いて、名古屋に住む、脳性麻痺の若い女性が、鈴木さんのライブを見て勇気付けられ、思い切って手術を受けたと言う、まるっきり、「24時間テレビ~愛は地球を救う」(註2)のようなエピソードが語られる。
実際に、その女性の家に行ってインタビューまでしているのだが、さすがにちょっとやり過ぎの感は否めない。
註2……救いません。
続いて、これも鈴木光城作詞の「VOICE~明日への滑走路」と言う曲のライブ版となるが、これも、あんまり好きな曲じゃないので割愛させて頂く。
「この闇を越えて」同様、なんつーか、あまりに歌詞がストレート過ぎると言うか、説教臭いのが、どうにも好きになれないのだ。
再び彩子インタビュー。
夢や目標は? と聞かれ、

彩子「すっごいでかいんですよ、自分の夢って言うか、目標ってのは、みんなが幸せになれるような歌を歌いたくて、地球とか全てが変わるぐらいの歌とか、そう言う気持ちでやっていきたいってのがあって、そのためには人間としての自分の心をキュキュッと磨かなきゃいけないんですけど、それが私の目標です」
……
管理人、真顔でこんなことが言えちゃう鈴木さんが大好きです!!
ほんと、ユーチューブの再生回数を上げることしか念頭にない……(以下略)
続いて、これも代表作のひとつ、鈴木さんが作詞・作曲した「葛藤」のライブ版。

ライブ版だが、今までと違って照明も凝っていて、ビジュアル的にも見応えがある。

歌詞の方は、ドラマ「積木くずし」の主題歌に採用されそうなヘビーなものだが、「この闇を越えて」などと比べると、小気味の良いアップテンポの曲なので、割りと抵抗なく聴ける。

ちなみに、二番の歌詞のこれ、ネットの煽り画像として使えそうだ。
実際は、鈴木さんが教師から言われた言葉……として使ってるんだけどね。
例によって、鈴木さんの歌いっぷりは鬼気迫るものがあり、
人の波と欲望に靡くな~♪ クライマックスのこのフレーズなんか、聞いてて鳥肌が立ってしまう。

続いて、なんと、あの高見沢さんまでコメントを下さっている。
実はデビュー曲の「天地創造」は、高見沢さんが提供したものなのである。

その流れで、「天地創造」のライブ版。

ヘソ出しルックで、これだけ真っ直ぐなメッセージロックを歌っちゃうのだから、何度も言うようだが、そのギャップが堪らんのです!!

これは他人の書いた曲だが、デビュー曲で「戦争をやめよう」なんて歌うところが、いかにも鈴木さんらしい。

こういうややキレイゴトの歌詞も、鈴木さんが文字通り渾身の力で歌うのを聞くと、素直に信じられるんだよね。
当時のティーンが熱中したのも頷ける。
キャプではそのパフォーマンスの凄さまでは伝わらないのが遺憾である。
この曲がトリだったようで、大盛り上がりの末にフィニッシュとなり、

バンドメンバーと仲良く手をつないで「カーテンコール」する鈴木さん。
彩子「今日はみんなありがとうーっ!!」 何事につけても一所懸命の鈴木さん、ファンへの感謝の言葉も絶叫調である。

ここでビデオ自体も一旦終わりとなり、エンドクレジットが流れ出す。
熱烈な声援と拍手を受けて舞台袖に引っ込む際も、

彩子「どうもありがとう」

うなじが見えるくらい深々と頭を下げて感謝する、礼儀正しい鈴木さんでした。

ラスト、鈴木さんのスチールに彼女のメッセージが重なるが、

話のスケールがだんだん大きくなっていくのも、これまた鈴木さんらしい生真面目さである。
だが、人類は、これ以降も30年近くにわたって「真剣に考え」ることなく、ずるずると欲望に流されるまま生き続け、ふと気付けば、社会も自然も回復不可能なまでに破壊されていたのであった。
最後は、
「私は自分のすべてをかけて唄い続けようと思っている 鈴木彩子」 と言う言葉で締めたあと、再びファンからの応援メッセージなど。
だが、まだ30分近く残ってるのでどうなるのかと思っていたら、ここからボーナストラックが始まる。
具体的には、鈴木さんのMVやライブ映像がいくつか収録されているのだが、ディレクターに恵まれておらず、どちらもイマイチである。
一曲目は「それぞれの探しもの」のMVだが、尾道を舞台に、その辺に転がっていたような高校生カップルの、惚れたの腫れたの切れるの別れるのと言う、しょうもない恋愛ドラマがイメージ的に描かれ、

その合間に、鈴木さんが尾道の町を元気良く歩きながら歌うシーンが流れるというもの。
映像では、ちゃんと登場人物が喋ったりもするのだが、それがいかにも声優に喋らせているような不自然な声で、興醒めも良いところである。
二曲目は「勇気のつぼみ」のライブ版だが、特筆すべきことはない。
三曲目は「好きと言おう」のMVで、
スタンドに紙吹雪が舞う、逆転のチャンスを迎えた~♪ メガホンを握り締めて見詰める、日に焼けた顔~♪ 九回裏のボールは白く、シュートを決めてキャッチーミット滑り込んだ~♪ 見ての通り、野球をテーマにした青春ソングだが、「シュートを決めて」って、サッカーと間違えてません?
で、せっかく鈴木さんがノースリーブのシャツを着ているのに、その体はろくに映してくれず、

前半は、妙に遠慮がちの距離&アングルで撮り、後半は、ほぼこのフレームで歌い続ける。
もったいないなぁ……
素人でも、もうちょっとマシな映像を撮ると思うぞ。
ま、鈴木さんの映像と、実際の少年野球の試合の映像が組み合わされてるんだけどね。
そんなもん要らないから、鈴木さんにユニフォーム着せてピッチャーさせるとか、いくらでもあるでしょおおおおおっ?
四曲目は「旅立つ朝に」の一応MV。
言わずと知れたアニメ映画「サイレントメビウス2」のテーマソングに使われた名曲(映画のほうは駄作)だが、これまた筆舌に尽くしがたいほどひどく、
二千年経ってもまだ信じあえない、人は何故また明日を迎えるの~♪ 眠りなさい、朝になればきっと出会える、誰かを愛する気持ちあるなら~♪ 戦いはいつも自分のため、誰かを傷付ける為じゃない~♪ あんなにひどく落ち込んでも決して逃げ出さずにいたのは、きっとそう君を知ったから~♪ ほぼ固定のアングルで歌う鈴木さんの映像に、申し訳程度に映画の1シーン……と言っても、舞台となっている近未来の都市の映像……が挿入されるだけと言う、客を舐めた内容。
曲自体の出来が良いだけに、もったいないお化けが出そうな、トホホなMVとなっている。
思えば、鈴木さんがブレイクできなかったのは、意外と、こういうところに原因があるのかもしれない。
おまけに、この後、カメラが引くどころか、どんどん鈴木さんの顔に寄って行って、顔の一部しか見えなくなると言う、センスのカケラも感じられない展開となるのである。
それに、鈴木さんの曲って全体的に長めで、5分とか6分とか平気であるから、ほぼ同じ画面で見続けるのは、ファンでもきついものがある。
五曲目は、これも名曲「あの時いっしょにいた瞳たち」のスタジオ版。
ボーナストラックの中ではビジュアル的に一番優れているが、スタジオ版がMVより良いって、さすがにどうかと思う。
懐かしい制服の背中、夕暮れのホームで見た、人込みの向こうに流れ出す日々~♪ あの頃は同じボタンを胸を張り話したね、何年か過ぎたら手に入れたい夢のこと~♪
仕事して終わっていく夜が窓ガラスに映るよ~♪ 少しだけあの日に戻りたくなる~♪
時間だけが過ぎてるみたい、このままじゃ掴めない~♪ 雨のように苛立ちが胸の中を揺らす夜~♪
あの時一緒にいた瞳たち、あの日の空を今も見てるかい~♪ 抱き締めていた夢を捨てないで、どんな風に前見て、どんな風に明日を迎えているの~♪ あの時一緒にいた瞳たち、あの日の空を今も見てるかい~♪ 埃だらけの靴を脱ぎ捨てて、思い切り笑っていつまでも見ていた風の吹く空~♪ いやぁ、胸に沁みる実に良い曲である。
鈴木さんの衣装や髪型も、シンプルで魅力的で、MVもこんな感じで撮れば良いのになぁ……
この後、改めてボーナストラック関連のクレジットが流れ出して、今度こそ終了となる。
以上、鈴木彩子ビデオスペシャル「けがれなき大人への道」でしたーっ!!
- 関連記事
-
スポンサーサイト