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「気まぐれ天使」 第15回「嗚呼!花の成人式」 前編


 第15回「嗚呼!花の成人式」(1977年1月12日)

 しばらく見ていなかったが、最近また見るようになった「気まぐれ天使」。

 もう50回くらい見てるんじゃないかと思うが、それでも面白い。

 間違いなく、自分にとってのライフタイムベストぶっちぎり1位のドラマである。

 さて、この15話とその前の14話は、大原麗子さんも酒井和歌子さんもいない、ヒロイン……と言うか、マドンナが不在のエピソードなのである。

 ちなみにサブタイトルは、当時人気だった、光政もたまにマネしているどおくまんの漫画「嗚呼!花の応援団」から来ているのは言うまでもない。

 朝、いつものように忍が寝坊して、隣の部屋の綾乃たちに何で起こしてくれなかったのかとブツブツ文句を言うが、部屋はもぬけの殻だった。

 二人はとっくの昔に一階に降りて、荻田たちと朝食を摂っていた。

 
 荻田「へーっ、成人式?」
 綾乃「そうなんでございますよ、子供だ子供だと思ってるうちに、もう二十歳だなんて月日の経つのはほんと早いもんでして」
 光政「じゃあお姉ちゃん15日にお祝いしてもらえるね、区民会館で、ね?」

 渚が今年成人式だと聞いて、光政が我がことのように喜ぶが、

 もと子「駄目じゃないの? 渚ちゃん、住民登録もしてないんだから」

 母親のもと子がホームドラマの登場人物らしからぬリアルな理由で否定する。

 綾乃「あら、そうなんでございますの? この子に成人式の招待来ないんでございますの? まぁ、税金ばっかり高くお取りになって……」
 もと子「あら、おばあちゃん、税金払ったことあるの?」
 綾乃「ええ、ございますよ、ほら、私どもの家は固定資産がとても多ございましたでしょ、ですから、もうね、税務署のほうでね、いくら払ってもらったら良いか分からないなんて……」

 もと子の鋭いツッコミに、いつもの与太話で応じる綾乃であったが、毎度のことなので、誰もその真偽を問い質そうとはしない。

 そこへどたどた階段を踏み鳴らしながら忍が降りてくる。

 忍「なんだよ、ひとりぐらい起こしてくれたっていいだろ? 全く薄情なんだから」
 光政「加茂さん、成人式だって」

 忍が駄々っ子のように喚き散らして飯も食わずに行こうとするのを、光政が呼び止める。

 
 忍「成人式? 誰の? 俺の?」

 
 荻田「図々しいねえ、まったく……渚ちゃん」

 忍のふざけた発言に、黙々と飯を掻き込んでいた荻田が、思わず振り返る。

 
 忍「渚ちゃん? 成人式って二十歳のか?」
 もと子「ほかにいくつの成人式があるのさ?」
 忍「二十歳ねえ、この顔で……5、6年間違えてるんじゃないの、生年月日? 光政とどっこいどっこいだもん」
 渚「……」

 忍、渚の顔をしげしげと見詰めて言いたい放題言うが、渚は最初から成人式自体に興味がないのか、何の反応も示さない。

 改めて会社に行こうとする忍を、綾乃が慌てて呼び止め、以前、忍に提供した童話の原作料を請求する。

 
 綾乃「あの、いつのぶんでもよございますから、原作料5万円ほど……」
 忍「5万?」
 綾乃「ええ、渚の成人式を祝ってやりたいと思いまして」

 金額の大きさにギョッとする忍だったが、渚のためと言われては無下に突っ撥ねる訳にも行かず、

 忍「お祝いね……そりゃほんとに二十歳だったらね。とにかく俺さ、急いでるから、その話は今晩帰ってからにしよう」

 適当にあしらって、逃げるように店を出て行く。

 綾乃「彼女に逃げられて結婚資金積み立てなくたって良ろしくなったのに、割にしぶちんでございますのね、あの方」

 みんなの前では興味なさそうに言っていた忍だが、都電に揺られている間に、やはり何かお祝いをすべきかと考え直すが、

 
 電車から降りて会社に向かう途中、偶然目に飛び込んで来たのが、35パーセント引き5万円で大安売りされている振袖であった。

 忍「なんだ、たったの5000円か、ようし、奮発するか……いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……駄目だ!」

 忍、それを5000円と勘違いしてその場で買おうとするが、よく見たら桁がひとつ違っていたことに気付くという、寅さんみたいなギャグをかますと、あっさり断念する。

 OP後、出社した忍を、更なる悲劇が襲う。

 担当した宣伝広告のポスターで、自分の会社の社名を間違えると言う致命的なミスが発覚し、重役に死ぬほど怒られ、危うくクビにされるところだったが、榎本のとりなしでなんとか免れる。ただし、4ヶ月減俸35パーセントと言うきつい処分を食らってしまう。

 一方、なんとかお金を手に入れたい綾乃は、アクセサリー売りの商売に出掛ける渚に無理やりついて行く。

 二人を見送った荻田夫妻は、

 
 荻田「考えてみるとさー、かわいそうだよな、あの二人」
 もと子「ほんとにねー、二十歳のお祝いだってのにね、あんなことしなきゃなんないんだもん」

 最初の頃はなんとかして二人を追い出したがっていたのが嘘のように、親身になって渚たちのことを考えるのだった。

 綾乃は必死になって渚の露天商の客引きをするが、かえって逆効果なのか、誰も足を止めてくれない。

 さすがに渚が見兼ねて、

 
 渚「おばあちゃん、もう、やめな!」
 綾乃「だって今日は何にも売れないんですもの」
 渚「こんなもんはね、気分で買うの、だからしつこくしたって駄目だよぉ」
 綾乃「だってお前の成人式……くしゅ、はっく! あーあー」
 渚「もう、うち帰って寝なよ、風邪がひどくなったら困るでしょ」
 綾乃「いいの、いいの、風邪なんてものは人に移しちまえば治っちゃうんだから」

 渚は風邪気味の綾乃の体を気遣うが、綾乃はなかなか帰ろうとしない。

 一方、忍の方は、残業まで手伝ってくれた榎本と意気投合、炉端焼き屋でしこたま飲んだ挙句、そのまま榎本のアパートに泊まることになる。

 同じ頃、綾乃は案の定風邪をこじらせ、下宿の二階で床に伏せっていた。

 
 渚「おばあちゃん、苦しいの?」
 綾乃「加茂さん、原稿料は……成人式のお祝い……へえううっ」
 渚「おかしいなぁ、熱もう下がったんだけどなぁ」

 渚の成人式のことがよほど気掛かりだったのか、寝言でもうわごとのようにそのことを繰り返し、孫を心配させる綾乃であった。

 荻田たちは忍の帰りが遅いの気にしていたが、

 荻田「あの人もなぁ、そろそろ身を固めねえとな」
 もと子「ほんと、もうちょっと気の利いたの拾ってくりゃ良いのにねー、ばあさんだのフーテンだのじゃなくてさ」
 荻田「お前、フーテン、フーテンって言うけねえ、彼女はあれでなかなか良い子だよぉ、ばあさんの面倒だってちゃんと見てるしさ……うちも余裕があったらなぁ、お祝いぐらいしてやりたいけどなぁ」

 渚が初めて来た時から彼女のことが気に入ってる荻田は、渚のことを褒め、父親のような心情を吐露するが、

 もと子「ほんと、そう!」
 荻田「びっくりするじゃねえか、お前」

 もと子がいきなり手を叩いて立ち上がったので、面食らう。

 もと子は何処からか、たとう紙に包まれた桜色の振袖を取り出してきて、亭主に見せる。

 
 もと子「ほら、さっき、こんなもの引っ張り出してみたんだよ」
 荻田「なんだい、そりゃ」
 もと子「なんだいそりゃって、いやだ、覚えてないの? あんたとお見合いした時に着た奴よ」
 荻田「あ、ああ、ああ、トンカツ屋の二階で?」
 もと子「そうよ、あんた、こんなんなっちゃって」
 荻田「これかー」
 もと子「仕立て直したらどうかと思って……いや、あの子によ、なんてったって成人式に着たっきりスズメじゃさぁ」
 荻田「そうだけどなぁ、でも、柄がどうかねえ?」

 自分のお古をわざわざ仕立て直して成人式の祝いに渚に贈ってやろうと言う、粋な計らいであった。

 口うるさくてがめついもと子だが、基本的にはイイ人なのだ。

 さて、翌朝、着物を着た、いかにも頑固そうな老人が榎本のアパートに押し掛け、二人を叩き起こす。

 榎本の実家の執事・長谷川である。

 
 榎本「大袈裟なんだからな、お前の話は」
 長谷川「嘘ではございません、奥様はもう十日以上、何も召し上がってらっしゃらないのです。そして朝から晩まで一光、一光と……坊ちゃまのお名前を」
 榎本「また兄貴の嫁さんと揉めたんだろ」
 長谷川「そんなことじゃございません!」

 榎本の母親の具合が悪いので、すぐ帰ってきてくれと言う嘆願であった。

 榎本は天下の榎本財閥の次男坊だが、父親とそりがあわず、早くに家を飛び出して自分ひとりの力で生きているのだ。

 いつものことなので、榎本はウンザリした顔で長谷川の話を聞き流していたが、忍の口添えもあって、結局母親に会いに実家に戻ることになる。

 長谷川の乗ってきた高級車で久しぶりの我が家の門を潜った榎本、母親の待つ居間に入るが、

 
 陽子「あら、お兄様、しばらく」

 そこには若く美しい、いかにもお嬢様風の女性がいて、榎本の母親のためにピアノを弾いていた。

 榎本の幼馴染みの陽子である。

 演じるのは、「ウィークエンダー」のリポーターをしていた岸じゅんこさん。

 榎本「やあ、陽子さん、いつ帰ってきたの?」
 陽子「一月ほど前かな」

 
 母親「一光、さ、早くこっちへ来て……どうしたの、クリスマスにもお正月にも顔見せないで、お母さん、心配で心配で……」
 榎本「なんだお母さん、随分元気そうじゃない」

 母親、待ち兼ねたように榎本をそばに呼んで、その手をしっかり握り締める。

 榎本が睨んだとおり、母親はいたって元気で、夫も長男夫婦も不在で、それで榎本を呼び寄せたことが分かる。

 榎本「でもね、お母さん、あんまり我儘ばかり言ってると、今にほんとにみんなから嫌われますよ」
 母親「母親が子供が帰ってくるのを待ってるのがどうして我儘なの?」

 母親、榎本に会えてよほど嬉しかったのだろう、長谷川に命じてコックに榎本のためにオムレツを作るよう指示するが、自分で焼いた方が良いと思い直し、いそいそとキッチンへ向かう。

 
 その様子を見て、にっこり顔を見合わせる二人。

 岸さん、あまり女性ゲストの出ないこの番組においては、貴重な美貌の主である。

 ま、芝居は下手だが……

 その後、庭に出て久しぶりの会話を楽しむ榎本と陽子。

 
 陽子「おばさまはね、私があなたが結婚するためにヨーロッパから帰ってきたと思ってるらしいのよ」
 榎本「まさか」
 陽子「ううん、だっておばさま、私たちの婚約、まだ有効だと思ってるらしいの」
 榎本「婚約と言ったって、あれは親同士が勝手に決めたことじゃないか! 僕は初めから……」
 陽子「その気はなかったって仰るの?」
 榎本「当たり前じゃないか、そんな子供の時の……」

 榎本、陽子の言葉を一笑に付すが、不意にハッとして陽子の顔を見直す。

 
 榎本「君、まさか?」
 陽子「15の年から、いずれは一光お兄様のお嫁さんになるんだって言い聞かされて育ったんですもの、そう簡単に割り切れないわ」

 
 榎本「陽子ちゃん……」

 初めて知った陽子の気持ちに、思わず言葉を失う榎本であった。

 忍の方は、おそるおそる「朝帰り」して荻田たちにからわれるが、綾乃の病気のことを知って慌てて二階に駆け上がる。

 
 忍「どうした、バサマ、熱出したんだって?」
 綾乃「ええ……悪い風邪でございますね、加茂さんに頂いた風邪は、えふっえふっ」
 忍「俺が移す訳ねえだろ、いい年してね、そんなフーテンの寅さんみたいな真似すっからいけねえんだよ」

 綾乃、渚が今日も商売に出掛けていると涙声で話し、

 綾乃「かわいそうにね、二十歳なのにどなたにもお祝いして頂けなくて」
 忍「……」
 綾乃「晩に帰って相談するって仰った方、なんですか、お逃げになって帰ってこられないし」
 忍「別に逃げたんじゃねえよ、わかった、わかったよ、俺だってちゃんと考えてんだから、なんとかお祝いしてやるよ」

 遠回しの綾乃の非難に、忍も不承不承約束する。

 
 綾乃「ほんとですか、ほんとでございますね? ふふふ」

 数え切れないほどドラマはあるが、この綾乃くらい可愛らしいおばあちゃんキャラって、ちょっと他では思い付かない。

 ま、演じてるのは30代半ばの樹木さんなんだけどね。

 忍、綾乃に約束したものの、先立つものがなく、かと言って減俸処分を受けた身では前借りもままならず、会社に行き、いつものように榎本を頼ろうとするが、榎本も忍に相談があるとかで、屋上へ誘われる。

 榎本の相談は、陽子との結婚問題についてだった。

 榎本の母親は、榎本に陽子と結婚して、同居して欲しいと考えているらしい。

 ちなみに陽子の家も超セレブで、持参金は5億だと言う。

 いまや持参金などと言う言葉は死語に近くなってしまったが、この場合は、陽子がやがて相続するであろう財産が約5億と言う意味なのだろう。

 榎本「兄貴夫婦とは初めから上手く行ってなかったからね、おふくろは陽子ちゃんのことお気に入りなんだよ」
 忍「お前はどうなのよ、嫌いなの、5億?」
 榎本「いやぁ、特別嫌いってわけじゃないけどさぁ」

 
 忍「それじゃ結構じゃないか、そうしろよ」
 榎本「そんな気安く……僕はね、なんでもかんでもそんな風に親から押し付けられるのがイヤだから家を飛び出して来たんですよ」
 忍「そんなにイヤだったら断ればいいじゃないか」
 榎本「そりゃ僕だって断りたいですよ」

 なんだかんだで母親には弱い榎本、母親の気持ちを考えると簡単には断れないと言うと、

 忍「はっはっ、じゃあ、帰ってお袋さんの言うこと聞くんだな」

 まるでパンチングボールのように、どんな意見をぶつけても真っ直ぐ戻ってくる忍のいい加減な態度に、

 
 榎本「あーあ、無責任だよな、ま、先輩に相談しても無駄だと思いましたけどね……」

 露骨に失望の表情を見せる榎本。

 榎本に金を借りようとしている忍は、ここで榎本の機嫌を損ねてはまずいと、揉み手をせんばかりの低姿勢になり、

 
 忍「いや、無駄だなんて、そんなことはないよ、俺はね、お前のためだったらなんでも色々相談に乗ってやってもいいつもりだよ、なに、陽子さん、資産が5億あって、そいでお袋……なに、どうすればいいの?」
 榎本「だから相談してるの!」
 忍「いや、だけどさぁ、あのお前の方は5億の相談けど、俺のは5万円の相談……」

 ここで、オフィスにかかってきた真紀からの電話を由利が受けるシーンを挟み、引き続き屋上で実りのない会話を交わしている二人。

 仕事しろよ……

 
 忍「いやぁ、困ったな、ほんとに難しいんだよな、そう言う話ってなぁ……あいにく俺にはね、帰ってきてくれって言うお袋もいないしね、だいたい俺ね、そう言う親子の情が絡んだ話ってのはとっても苦手なんだよ、俺クールな方だから」
 榎本「あーあー、先輩が羨ましいなぁ、自分勝手に生きられて」
 忍「ケッ、贅沢言ってやがら」

 天涯孤独の身を羨ましがられて、忍は思わず毒づくが、

 榎本「ねえ、ところで先輩の話って何?」

 ここで榎本が思い出したように聞いてくれる。

 忍「あっ、あの、それね、実はそのね、あのう、5億なんて大それたことじゃないんだよ。俺はその……」

 だが、忍が言い澱んでいるうちに、朝子が榎本に電話が掛かっていると伝えに来たので、結局話せずに終わる。

 
 榎本「おい、あ、どうもおまちどおさま、うん、うん、今何処? 下の喫茶店? オーケー、じゃ今行くよ」
 由利「……」

 榎本が、電話の向こうの真紀と親しげに話しているのを穏やかならぬ顔つきで聞いている由利。

 彼女は以前から榎本にご執心なのだが、榎本はまったく振り向いてくれないのだ。

 榎本、ウキウキしながらオフィスから出て行こうとするが、そこを信子に呼び止められ、喫茶ルームに陽子が来ていると知らされ、たちまち浮かない顔になる。

 榎本「先輩」
 忍「俺は知らねえよ」
 榎本「あれは嘘ですか?」
 忍「えっ」
 橋本「なんかあったら俺に任せろって言ってたじゃないですか」

 榎本に痛いところを突かれた忍、なにしろ5万円を借りる予定の相手なので、

 忍「わかった、わかった、じゃ、俺がひとり捌けばいいんだな?」
 榎本「そう」

 やむなく面倒臭い頼みを引き受ける。

 榎本は陽子の相手をして欲しいと頼んだつもりだったのだが、忍は勘違いして真紀のところへ行き、

 
 忍「よっ」
 真紀「加茂さんどうしたの?」
 忍「どうしたのはないだろう、いやね、エノが忙しくなって急用が出来ちゃってね、代わりに来たんだよ」
 真紀「だって今いたじゃない」
 忍「いや、だから、そこで社長に会ってね。あの社長ワンマンなもんだから、エノ、かわいそうだよ」

 忍、適当に真紀を言い包めて、食事を奢ってやると言って喫茶ルームから連れ出すが、近くに隠れていた榎本に呼び止められ、

 
 榎本「先輩、僕が頼んだのはね、もうひとりの女の子ですよ」
 真紀「もうひとり?」
 榎本「あ、いやいや、なぁ、昼飯食いに行こう、君の好きなコロッケライス」
 真紀「ちょっと待って、何か企んでる、加茂さん!」
 榎本「いや、そうだよ、先輩が悪いんだよ、冗談きついなぁ、もう」

 榎本、何もかも忍のせいにすると、強引に真紀をその場から遠ざける。

 忍「エノ~!」

 それでも忍、男の友情と5万円の為に、なんとか任務を果たそうと喫茶ルームの中を窺う。

 
 相手の顔は分からなかったが、いかにも育ちの良さそうな娘が人待ち顔でいるのを見て、その前に立ち、

 忍「あの、陽子さんでいらっしゃいますか?」
 陽子「はい」
 忍「あ、座ってよろしいですか」
 陽子「どうぞ」
 忍「あの、実はですね、私、エノイチ、いや、榎本君の友達で加茂と申します」
 陽子「加茂……さん?」
 忍「はい、あの、実はですね、榎本君はですね、後一時間、いや二時間ぐらい帰って来ないと思いますが……」
 陽子「でも、よろしいんですの私、ちょっと通り掛かったもんですから」
 忍「ああ、そうですか」
 陽子「別に用があったわけじゃございませんし、どんなところかな? なんて思って」
 忍「ああ、そうですか、はっはっはっはっ」
 陽子「でもお忙しいのに恐れ入ります」
 忍「あ、いえいえいえ」

 
 忍「良い子だなぁ、品があって優しくて……あんなじゃじゃ馬娘よりよっぽどいい」
 陽子「はぁ?」

 セレブなのに慎ましやかで、初対面の忍にも丁寧に応対する陽子の人柄に、すっかり惚れ込む忍であった。

 後編に続く。
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コメント

ちょんわちょんわ〜!

まぁ…フィクションと言えば、フィクションなんですけど…時々、昔のテレビドラマとか映画を見てると、この世界で泣いて笑いながら生きて、そして死にたいなぁ…とか思う事は有りますね。(^_^)

Re: ちょんわちょんわ〜!

> 昔のテレビドラマとか映画を見てると、この世界で泣いて笑いながら生きて、そして死にたいなぁ…とか思う事は有りますね。(^_^)

そう、まさにそんな気持ちにさせられるドラマなんです。

もう、一種のファンタジーですよね。駄洒落を言うオッサンは居ても、魔王も英雄もいない…でも、この何でも無さそうな日常の風景、人の営みが愛おしく感じられます。(^_^)

Re: タイトルなし

主人公が童話作家だけあって、作風が全体的に優しいんですよね。

次回からは酒井和歌子さんが上司になるので、まさに天国のような職場になるのです。

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zura1980

Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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