第12話「10年目の疑惑」(1982年8月29日)
ゲンさんこと浜刑事の自宅から、浜とその娘・幸子(ゆきこ)が連れ立って出てくると言う、およそ、男の血と汗と銃弾と車が飛び交う「西部警察」らしからぬ幕開け。

幸子「良いわね、お父さん、11時に渋谷のハチ公の前、いつもみたいにすっぽかしはなしよ」
浜「わかってるよ」
んで、この幸子役の女の子がめっちゃ可愛いのである!!
それもその筈、演じる荒井玉青(なんて読むの?)さんは、ユージロウ夫人・北原三枝の姪っ子なのである。
要するに、プロデューサーの親戚ってわけね。

それはそれとして、13歳と言う設定の幸子とほぼ背丈が一緒の浜がちっちゃくて可愛いのである!!
幸子「大門に言って、ちゃんと早退させて貰ってね」
浜(呼び捨て……)
さすが、Pの姪である。Pの舎弟の大門など、召使同然なのである!!
……嘘である。
幸子「大門さんに言って、ちゃんと早退させて貰ってね」
浜「ああ……」
幸子「お父さん!! ゲンマン!!」
いかにも気のない返事をする父親に、怒ったように右手の小指を突き出し、浜もやる気なさそうに小指を絡めるのだった。
続いて、白昼、東光金融と言うサラ金にピストルを持った男が押しかけ、二人の人間を射殺するという西部署好みの事件が起きる。
しかし、まあ、よく毎週毎週飽きずにこの手の凶悪事件が起きるものだ。
ひょっとして、そんな事件が起きるように、大門軍団が武器弾薬を市中に横流ししてるんじゃないのかとさえ思えてくる。

ハチ公前で父親の来るのを待っている幸子タン。
12時近くになったところで電話ボックスに入り、西部署に問い合わせる。

二宮「そうなんだよ、急に事件が起こったもんでね。浜君も外へ出てるんだ」
幸子「あ、分かりました、どうも」
いやぁ、ほんと美人だなぁ。
しかもこれで13歳ってんだから、全国のロリコン戦士たちも大喜びの逸材である。
ま、実際はもっと行ってると思うが。

二宮「なんだ、浜君も水臭いじゃないか」
大門「どうしたんですか」
二宮「今日、幸子ちゃんとお墓参りに行く約束だったそうだ。亡くなった奥さんの命日らしいんだ。それなら遠慮せずに早引けすりゃいいものを……」
そこへその浜から無線が入り、被害者は東光金融の社長と社員で、社長の榎本は、10年前に解散した竜神会と言う暴力団の幹部だと言うことだった。
その後、聞き込みを行っていた刑事たちの報告を受ける大門。

沖田「事務所にいたのは二人だけで、他の社員は外出中の出来事です、それに金を取られた形跡はありませんね」
鳩村「目撃者の方なんですが、さっぱりです」
一兵「東光金融ですがね、あれは典型的な悪徳サラ金ですね」
鳩村「貸し金の回収のためなら情け容赦なく阿漕な手を使う、連中に脅されて一家心中あるいは自殺に追い込まれた被害者も一件や二件じゃないそうです」
二宮「ホシはその被害者の中の誰か、動機は怨恨じゃないのかね、大門君」
大門「……」
大門が、いつものように二宮をシカトしていると、六さんが入ってきて、
六さん「犯行に使用された拳銃ですが、前がありました」
大門「前が?
じゃあ後ろは?」
一同「……」
前々から温めていた渾身のギャグをぶちかます大門だったが、盛大に滑り倒す。
じゃなくて、
大門「前が?」
六さん「ええ、10年前に青山の英宝堂宝石店に入った強盗が使用したものです」

浜「英宝堂? ちょっとすいません……」
何か心当たりがあるのか、六さんの持ってきた書類を食い入るように見詰める浜。
大門「ゲンさん、どうしたんです」
浜「あ、ああ……この事件のホシは死んでるんです、10年前に……こらぁなにかの間違いじゃ」
六さん「ゲンさん、同一拳銃なのは確かですよ」
浜「これはワシが城南署にいた頃に担当した事件です。事件発生は10年前の今日、昭和47年7月29日……被害者は宝石店の社長と城西警備保障のガードマン1名、店内に陳列されていた合計80点、約8億円相当の宝石・貴金属類が強奪されました」
浜、よほどその事件に思い入れがあるのか、発生日は勿論、被害金額まで覚えていた。
大門「それで、犯人は?」
浜「安井良次40才、ですが、奴は死にました。犯行から三日後、晴海の造成地の崖下から奴の炎上した車が見付かり、死体は丸焦げでした」
だが、結局、宝石と拳銃は何処からも発見されなかったと言う。

一方、幸子は父親抜きで墓参りに訪れていた。
墓前でペンダントロケットを開くと、そこには亡き母親の写真が貼ってあった。

明子「綺麗な人だったのね、ユキちゃんのお母さんって」
幸子「でも私、顔も覚えてないのよ」
明子「そっか、死んだのがまだ三つの時じゃ、覚えてるほうが無理よね」
幸子「だから私の知ってるのは形見のロケットの中の写真のお母さんだけなんだ」
偶然一緒になったのか、傍らには大門の妹・明子の姿があった。
その後、八巻と言う、これまた元龍神会の幹部が理髪店で射殺されるという事件が起きる。

犯人・安井良次を演じるのは、part1では小暮っちの先輩刑事を演じたこともある深江章喜さん。
浜たちは現場に急行する。

鳩村「店の主人がホシのツラ見てます」
沖田「年齢50歳前後の目付きの鋭い男だったそうです」
浜(まずい、本物のヤクザだ、目を合わせないようにしよう……桑原桑原) と言うのは嘘だが、二人がヤクザにしか見えないのは事実である。
そもそも刑事がグラサン掛けてる時点でアウトだよね。
ちなみに八巻は即死ではなく、瀕死の状態で病院に担ぎ込まれ、手術を受けている。
で、その後、スタッフも忘れちゃったのか、助かったのかどうか不明のまま話が終わるという、大変気の毒な被害者であった。
その八巻がうわ言のように安井の名を口にしていたことから、犯人はやはり安井ではないのかと言うことになる。

二宮「一体どういうことだね」
沖田「奴は生きてるんじゃ?」
浜「そんな筈はない、奴は死んだんだ」
そこへジョーが目撃者の証言を基に作られたモンタージュ写真を持ってくるが、
【朗報】めちゃくちゃ出来が良かった!! いや、さすがに無理がないか?
なお、残る龍神会の幹部は、朝倉と丸山と言う男だけであった。
大門は安井および朝倉たちの捜索を命じる。
昔の仲間が次々殺されていることを、朝倉たちも知る。

朝倉「なに、八巻も撃たれたってのか」
丸山「重体だそうで……一体誰が」
朝倉「そんなこと俺が知るかっ!!」
丸山「ところで、あのでっかい将棋の駒はなんですか? 修学旅行のお土産?」
朝倉「そんなこと俺が知るかっ!!」 じゃなくて、
丸山「しかし、榎本も八巻もやられたんだぞ、サツだって黙っちゃいねえ、きっとここにも」
朝倉「情報屋を使ってサツの動きを探るんだ、誰がやったか探り出せ」

一方、大門は、愛しのミーコに10年前の新聞を持ってこさせ、問題の事件を知らせる新聞記事を読んでいた。
大門「焼死体は宝石店強盗、安井良次と断定……」
その顔写真は、モンタージュ写真と瓜二つだった。
大門は小暮っちにそれを示し、犯人は安井に間違いないと断言する。
小暮「しかし、何故ゲンさんがこのモンタージュの男は安井じゃないと言ったのか……」
大門「恐らくゲンさんと安井に個人的な繋がりがあったんじゃないかと」
小暮「いずれにしても10年前のこの事件、もう一度調べる必要があるな、俺がやってみるか」
大門「お願いします」
何しろ可愛い姪っ子の絡んだ事件である。小暮御自ら調査に乗り出すことになる。
やっと自宅に戻った浜、仏壇の前に立ったところを娘になじられる。

幸子「お父さん、ダメじゃない、また約束破って」
浜「すまん」
幸子「お墓参り、明子さんに付き合ってもらったわ」
浜「そうか」
幸子「なんかあったの、お父さん、なんだか元気ないみたい」
浜「別に、何もないよ」
……
いやぁ、たまりませんなぁ、この控え目な胸のふくらみ!!
浜、機械的に線香に火をつけながら、
浜「今夜は大さんのところへ泊めてもらえ」
幸子「どうしてー?」
浜「事件で帰れんかもしれんからな」
幸子「変よ、今まで泊まりの時だって、そんなこと一度も言ったことなかったじゃない」
不満そうに反論する幸子であったが、浜は有無を言わせぬ口調で、
浜「良いから、黙って言うとおりにしなさい」

幸子「……」
いつもと明らかに様子の違う父親を、心配そうに見送る幸子であった。
ただ、実際に幸子が大門の家にお泊りするシーンはなく、ちょっと残念。
鳩村たちは朝倉の居所を突き止め、その会社に乗り込むが、朝倉たちは既に拠点を別に移したあとで、もぬけの殻だった。
一方、沖田の調べで、浜と安井との意外な繋がりが判明する。
二人は
プリキュア だったのだ。
間違えました。
二人は戦友だったのだ。
沖田は一枚の色褪せた写真を見せ、

沖田「これを見てください、これがおやっさん、こっちが安井です」
大門(なんか、顔ズレてるけど……) ちなみに真ん中の人の顔も合成されているが、これは、後に出てくるゲンさんの友人なのかなぁ?

沖田「37年前に鹿児島の鹿屋海軍航空隊で撮ったものだそうです」
二宮「そう言えば、浜君は少年航空兵の生き残りだったな」
二宮は、戦友を庇いたい一心で浜がそんな嘘を言ったのだと決め付けるが、
沖田「しかし、おやっさんがそれくらいの理由で嘘つきますかね」
二宮「もっと深い何かがあるって言うのかね」
ほどなく、容疑者が安井だと言う情報を朝倉たちも掴むが、彼らも安井が死んだものとばかり思っていたようで、激しい驚きに打たれていた。
朝倉「生きてやがったか……」
丸山「復讐する気だぜ、あの野郎」
朝倉「ほんとに奴に間違いなけりゃ、サツよりも先に見付け出して口をふさぐ」
一方、優秀過ぎる小暮っちは、早くも事件の核心に繋がる事実を突き止める。

大門「安井の女房が殺されてるんですか」
小暮「詳しいことはこの調書を見てくれ、やはり10年前、宝石強盗があった日に何者かに射殺されてる」
大門「課長、その殺しなんですが、もしかしたら、朝倉たちが絡んでたんじゃないでしょうか」
小暮「ああ、おそらくな、その仲間割れで女房が殺されたのかも知れん」
大門「その上に安井は犯行の一切をひとりで背負わされた。あるいは奪った宝石も連中が独り占めにした可能性が」
小暮「今度の二つの殺しはその復讐、安井は10年間、その機会を狙ってた」
ただの憶測だけで、どんどん事件の全体像を描いてしまう二人。
現職の刑事が見たら杜撰そのものだろうが、それがバッチリ事実を言い当てているのだから世話はない。
小暮「それから言い忘れたが、当時三歳だった安井の子供が姿を消してるんだ」
大門「子供が……」
勘の良い人なら、これで大体分かってしまうと思うが……
同じ頃、浜はさっきの写真の真ん中の人だと思われる西脇と言う男に会って、安井のことを聞き出そうとしていた。
何か深い事情があるらしい浜は、実弾入りの拳銃を突きつけてまで西脇の口を割らせようとする。
現実なら、これだけで懲戒免職確定である。
ま、それを言えば、西部署の刑事は、毎週全員懲戒免職になってないとおかしいのだが。
「8時だよ、全員免職!!」 いえ、なんでもありません。ただの独り言です。

浜「いくら戦友だからって手加減はしないぞ」
西脇「待ってくれ……香港から帰ってきたといってな、三日前に突然あらわれた」
浜「それで?」
西脇「娘の行方を探してた」
浜「貴様、喋ったのか」
西脇「そんなこと、ワシが喋る訳ないじゃないかよ」
どうやら西脇は、安井の娘のことも知っているらしい。
浜は、安井が竹芝の廃工場に潜伏していると聞くと、大門にも告げずにひとりで向かう。
果たして、安井はそこにいた。
浜の背後から銃を突きつけながら、

浜「やっぱり生きてたんだな」
安井「あの世から舞い戻って来たんだ。朝倉たちに落とし前をつけるためにな」
浜「馬鹿な考えはやめろ」
安井「余計な口出しをするな!! この10年、俺がどんな気持ちで生きてきたか、貴様なんかに分かってたまるか!!」
反抗期の中学生みたいなことを言うと、回想モードに入るヤッさん。
安井「朝倉たちはな、手引きした俺の口を塞ぎ、宝石を独り占めしやがった」
ちなみに書くのを忘れていたが、安井は当時、宝石店で警備員の仕事をしていたのだ。
もっとも、犯行に使われたのは安井の銃なので、やはり社長と同僚の警備員を殺したのは安井だったのだろう。
朝倉たちは安井に銃を与え、宝石の処分や逃走の手助けをする手筈になっていたと思われる。

犯行直後、アパートから急いで逃げ出そうとしていた安井の前に朝倉たちがあらわれ、安井の妻を射殺する。

安井は娘の体を担いでその場から逃走。
安井「奴らから逃げ切るには娘がどうしても足手まといになった。捨てたくて捨てたんじゃない、浜、娘の居所を知らんか、ひと目会いたいんだ」
安井の質問に、露骨に目を泳がせる浜。
浜「お前の替え玉の死体は何処の誰だ?」
安井「そんなの知らん、ドヤの行き倒れの男だ、血液型も体型も似てたんでな……浜、東京湾の第八埠頭に捨てた娘なんだ、警察なら分かるだろう、教えてくれ」
浜「知らん!! それより復讐なんて馬鹿な考えは捨てて今すぐ日本を離れろ、ニ度と戻ってこないと約束しろ」
安井「戦友のよしみで逃がしてくれるというのか」
浜「約束を守れば貴様のしたことは忘れてやる」
刑事の権化とも言うべき浜とは思えない取引を持ち出すが、そこへ朝倉たちが到着したので、安井は浜の左腕を撃ってから逃げ、朝倉たちも浜には目もくれず安井を追いかける。
ちなみに現場に沖田たちが駆けつけたシーンの後に、幸子が自宅で一人で勉強しているシーンが出てくるので、結局幸子は大門の家には行かなかったようである。
大門は、浜に何もかも打ち明けて欲しいと頼むが、浜はあくまで昔手掛けた事件を自分の手で解決したかっただけだと言い張り、

浜「日頃若いモンに、えらそうなことばっかり言ってて……全く、見られたざまじゃないです」
大門「ゲンさん、ほんとのことを言ってください」
浜「ワケは今話したとおりです」
大門「……」
そこへ沖田が、元龍神会のメンバーが射殺されたと知らせに来るので、結局うやむやになる。
被害者は朝倉の部下で、安井を殺そうとして逆に撃ち殺されたと思われる。
しかし、安井が今まで何処で何をしていたのか、どうして今になって日本に戻って来たのか、その辺の説明が全くないのは物足りないなぁ。
再び、小暮っちが耳寄りな情報を持ってくる。

小暮「安井の女房のことだがね、37年も昔の古い話だ、当時彼女は女学生だった、鹿児島県鹿屋で勤労奉仕に動員されてて、少年航空兵だったゲンさんや安井たちの間でかなり人気があったらしい、その彼女がどういう理由か知らんが、安井と結婚したんだ」
そう前置きした上で、小暮は、朝倉たちに殺されたその女性を、浜が自分の墓に入れちゃったと告げる。
二宮「えっ、すると亡くなったと言っていた浜君の奥さんって言うのは……」
小暮「そう、安井の女房だ」
二宮「……」
小暮「それに娘の消息だが、東京湾第八埠頭に捨てられていたのを発見され、その後、養護施設に預けられたそうだ」
大門「養護施設に?」
小暮「明日にでもその施設に行けば全てがはっきりするだろう」
しかし、小暮っちはさらっと片付けているが、いくら娘のため(後述)とは言え、他人の遺骨を自分ちの墓に入れるのは、さすがにまずいのでは?
仮に、安井にも安井の妻にも係累がなく、遺骨の行き場がなかったとしても、だ。
浜が屋台のおでんで一杯やってる頃、幸子は父親の机の中を
金目のものはないかと引っ掻き回していた。

幸子「……」
ノートの中に挟んであった昔の新聞の切抜きを見た途端、その目が
「なんじゃこりゃああああーっ!!」とばかりに剥かれる。
それもその筈、

そこには、自分の母親そっくりの女性の顔写真が、強盗殺人犯の妻としてでかでかと載っていたからである。
念のため、ロケットの写真と比べると、全く同じ。
幸子「お母さん!!」
さらに、同じ紙面の下のほうに、東京湾第八埠頭で三才くらいの女の子が捨てられていたと言う記事があった。
うーむ、しかし、捨て子くらいで、いちいち記事になるかなぁ?
それはともかく、勘のいい幸子タンは、その捨て子こそ自分ではないかと恐ろしい想像を巡らせる。
一方、朝倉たちは安井が渋谷のホテルに潜伏していることを突き止めるが、警察の目があるので簡単には始末できない。
後編に続く。
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