第26話「憎しみの罠 メイクアップ大戦争」(1983年9月2日)
冒頭、電が玉淀大橋を走行中、前方に、エンジンルームから煙を吐いて立ち往生している車が見えた。
これが野郎だったら0.01秒も悩むことなく走り抜けるところだが、

運転していたのがギャル、それも、ホットパンツから尻肉をはみ出したギャルだったので、電は0.01秒も悩むことなくジープを停めて駆け寄るのだった。

電「どうしました?」
ギャル「急に噴き出しちゃったの~」
電「ああ、こりゃオーバーヒートだ、冷やせば直りますよ、ちょっと水貰ってきます」
まるでJAFの人みたいに、とびきりにこやかに応対する電に対し、

ギャル「すいませ~ん」
いかにもギャルっぽく礼を言う女の子を演じるのは、大沢ゆかりさん。
だが、電が数歩進んだところで、動かない筈の車が、タイヤを軋らせながら猛スピードで電目掛けて突っ込んでくる。
何とかフロントに乗っかった電だったが、

四方からロープのようなものが伸びて電の体をボンネットに縛り付け、そのまま走り続ける。
車はいつの間にか、採石場のようなだだっ広い空き地に入り、

崖から勢いよく飛び出し、鼻先から大地に向かって突っ込んでいく。
電、空中で何とかロープを振りほどいたらしいのだが、
これ、どう見ても死んでるねーっ!!by小峠
だが、電が死ぬと番組が終わってしまうので、今のは見なかったことにして、

電、猫のようにしなやかに身を躍らせて前方に飛び込み、

間一髪、車の爆発から逃れる。
電「はっ」
一息つく暇もなく、崖の上を見上げると、

再びさっきのギャルが仁王立ちしており、こちらを見下ろしていた。

電「なにもんだっ?」
ここでもきっちりお尻を映してくれるのが尻フェチ的にはありがたい。
……
お恥ずかしい話ですが、管理人、このシーンを見て、ホットパンツを思いっきり引っ張り上げて尻に食い込ませ、Tバックみたいにしたいと言う妄想に駆られてしまいました。
いい年して何考えてんだか……

それはともかく、ゆかりさんには、引き続き活躍して欲しかったのだが、両手を顔の前でクロスさせると、

カイキビーストと言う、ユメもチボーもないその正体を明らかにする。
しかも、これっきりギャル形態にはなってくれず、まことに残念である。
管理人だったらやる気をなくして家に帰るところだが、真面目な電はシャリバンに変身して戦う。
が、その空間が奇妙な色に染まったかと思うと、

いつの間にか、自分が遊園地のど真ん中に立っていることに気付くのだった。
サブタイトル表示後、目立つので人間の姿に戻って遊園地の中を歩き回っている電。
それを変装したガイラーとポルターが高所から満足そうに眺めていた。

ガイラー「飛んで火に入るなんとやら……まんまと引っ掛かってきよった」
ポルター「もうこっちのものだ」
と言うのだが、シャリバンは強制的にこの場所に転移させられたとしか思えないので、ガイラーの比喩はちょっと的外れだと思う。
それに、遊園地に誘いこんだだけで、「こっちのものだ」と勝利を確信するポルター様の気持ちが理解できない。
ここがただの遊園地ではなく、マドーの作り出した巨大な罠だと言うのならともかく……

手始めに、三体の着ぐるみが太鼓を叩きながら電の周りをぐるぐる回っていたかと思うと、スティックを武器に変えて電に襲い掛かってくる。
続いて、西部劇のガンマンのような格好をした男が銃を撃ってくる。
銃撃を避けて、走行中のジェットコースターに飛び乗ると、背後からカイキビーストがあらわれて首を絞めてくる。
なんとか彼らの攻撃をかわすと、電は物陰に身を潜め、リリィに連絡する。

電「こちらシャリバン、リリィ、聞こえるか」
リリィ「えっ、マドーの罠?」
電「変幻自在になんにでも変われるビーストなんだ。遊園地の雰囲気を利用して巧みに攻めて来る」
リリィ「シャリバンが大暴れできないことまで計算してるのよ」
電「そうなんだ、広い遊園地で目が届かない。応援頼む」
電の要請に対し、

リリィ「了解!!
行けたら行きます!!」
電「来れなくても来い!!!」 ふざけたことを言うリリィに、電の怒りが爆発するのだったが、嘘である。
その後、電がピエロに変装して玉に乗っていると、最悪のタイミングで小次郎さんたちがあらわれる。

小次郎「ピエロだー」
千恵「可愛いーっ!!」
……
千恵ちゃんのほうがずっと可愛いよ!! ……あ、すいません、うっかり心の中の野獣を解き放ってしまいました。

電(まずいなぁ、こんなところに(マドーが)出て来ちゃったりしてぇ~)
内心ハラハラの電は、玉から滑り落ちると、不満そうな顔で連続後方回転しながら建物の中に消える。
こういうシーンをスタントなしでやれちゃうというのは、やっぱり強みだよね。
小次郎「いやいや、どうもありがとう」
幸いと言うべきか、小次郎さんたちはメイクのせいでそれが電だとはちっとも気付かない。

小次郎「おお、なんと美しいご婦人だこと……ああ、綺麗だやなぁ、まるっきりビクトリア王朝から抜け出してきたみたいだな」
小次郎さん、今度はお姫様みたいな格好をしたポルターを見て逆上せ上がり、臆面もなく賛辞を並べ立てながらその後についていく。
小次郎さんの性癖には慣れっこの千秋たちは、呼び止めようともしない。

千恵「ついてっちゃった」
明「飛び切り美人だモンなぁ、お姉ちゃんとダンチだ」
千秋「ばーかっ!!」
失礼なことを言う明の頭をぶん殴る千秋であった。
ポルターは、お化け屋敷のような建物に入り、ガイラーと会う。

ガイラー「シャリバンめが姿を消しおった」
ポルター「もしかすると変装しているかも知れん。せっかく誘い込んだんだ、なんとしても見付け出して……」
いや、帰ったのでは? 冷静に考えれば、電が遊園地に留まり続ける義理はないので、まずはその可能性を考えるべきだと思うんだけどね。
と、何も知らない小次郎さんがポルターに話しかけるが、カイキビーストに脅かされてすっ飛んで逃げる。
その後も美女だと思ったらカイキビーストだったという目に遭った小次郎さん、

小次郎「この格好だば、誰も襲われる心配なかべ」
何故かインディアンの格好をして、敵の目を逃れようとする。
襲われる心配はないが、警察に連行される可能性が大だと思います。
だが、安心したのも束の間、たちまちカイキビーストに見付かって逃げ出す。

しまいには、警官の制服を着て園内を駆け回ることになる。
……
小次郎さんの七変化なんかどうでもいいから、ゆかりタンの七変化が見たかったな。
つーか、そもそもカイキビーストが執拗に小次郎さんを追い回す意味が分からない。
と、向こうから警官が来たので助けを求めるが、逆に怪しまれて手錠を掛けられてしまう。
これが本物の警官だったら面白いのだが、判で押したようにカイキビーストの化けたものだったのは芸がない。
ガイラーたちが小次郎さんを処刑しようとしていると、

ポルター「お待ちなさい、そんなザコに関わっている暇はない、それよりも早くシャリバンめを」
ポルターがやってきて処刑を中止させる。
しかし、小次郎さん一人殺すくらい、カイキビーストがちょいと首を捻れば済むことなのでいちいちポルターが割って入る必然性は限りなく薄い。
それに、これだけおおっぴらにカイキビーストが姿を見せているのに、他の客が全然騒がないと言うのはおかしくないか?
それはともかく、
偽ポルター「そのとおりよ!!」
横から飛んできた声に振り向けば、ポルターと瓜二つの姿をした女が、パラソルをくるくる回しながらにこやかに立っていた。
これにはさしものポルターたちも仰天して後ずさる。

ガイラー「どっちがドクターポルターだ?」
二人のポルターを前に目を白黒させるガイラー。
ここも、新たに登場したほうが本物で、最初のポルターがリリィの化けた偽者だった……と言うオチの方が面白かったと思う。
それなら、最初のポルターが小次郎さんを助けたのも納得が行く。
で、実際は二人目のポルターが偽者で、直ちにリリィの姿に変わる。
何でそんなに急いで正体を明かすのかと言うと、いつまでもポルターが二人いては、撮影が大変になるからである!!
リリィが小次郎さんを逃がした後、ピエロ姿の電が駆けつけ、ひとまずポルターたちを追い払う。
幻夢城に報告に戻ったポルターのシーンをはさんで、再び遊園地。

リリィ「ここから逃げ出したのかしら、マドーは?」
電「いや、そんな筈はない、なんとしても叩き出してやる」
電はそう言うのだが、何もわざわざ不利な場所で戦い続けることはあるまい。
それに、マドーの狙いはあくまで電なのだから、電が遊園地を出れば、向こうから姿を見せた筈である。
なので、月並みだが、千秋や千恵がマドーに捕まってるとか、どうしても電が遊園地を離れられない理由付けが欲しかった。
と、電とリリィの視線の先に、時代劇に出てくる剣豪のような格好の小次郎さんがいた。

電「小次郎さん!!」
小次郎「小次郎だなんてとんでもねえ、拙者、宮本武蔵でござる」
電の顔を見ても警戒を解かず、据わった目で大真面目に名乗る小次郎さん。
管理人、迂闊にも今初めて気付いたが、「佐々木」小次郎じゃなくて、宮本武蔵だと言う、ちょっとしたシャレになってたんだね。
しかし、鉢巻に小柄(?)をさしてるのは、武蔵と言うより、荒木又衛門っぽいが……
電「どうしたの、小次郎さん、俺だよ、電、伊賀電だよ」
小次郎「でんでん違うでござる、また騙す気だろ? あーっ、でたーっ、お化けだーっ!!」
小次郎さん、何度も騙されたせいで誰も信じられなくなっているようで、電の言葉にも耳を貸さず、奇声を発しながら向こうへすっ飛んでいく。

電「小次郎さん!!」
リリィ「よっぽど怖い目にあったんだわ」
電(帰れば良いのに……) と言うのは嘘だが、ほんと、なんで小次郎さんが遊園地から逃げようとしないのか、謎である。
ここも、出ようとしても遊園地そのものがサイコゾーンのようになっていて出られない、みたいなシーンが欲しかった。
園内を彷徨っていた小次郎さん、お化け屋敷のチケットを買おうとしていた千秋たちに出くわす。

千秋「きゃっ、どうしたの、その格好?」
小次郎「おお、探したよ」
明「かっこいいー」
小次郎「ありがとう」
千秋「カッコ悪いわよ、あっち行ってよ、もういや」
小次郎「そっだらこと言わねえで、連れてってくれよ」
決まり悪がって小次郎さんを突き飛ばす千秋だったが、小次郎さんは恥も外聞もなく女子供に縋るようにして一緒にお化け屋敷の中へ。

……
いや、なんでよりによって、そんなところに入るの?
拉致されたいの?
案の定、暗闇の中でカイキビーストが待ち構えていたが、襲われたのは小次郎さんではなく千秋であった。
電は千秋を助けるためにお化け屋敷に突入するが、入った途端、空間が歪んだかと思うと、全く別の場所に転送される。
すぐそばの、大学のような建物から千秋の悲鳴が聞こえたのでその中に入るが、千秋の姿はなく、代わりに様々な罠が電を待ち受けていた。

CM後、建物の地下、洞窟、屋外へと場所を変えつつ、次々と敵が攻撃を仕掛けてくる。

渡さんは大変だが、見てるほうは、あんまり面白くない。
なんつーか、道具立てが全体的に地味で、敵キャラにも魅力がないんだよね。
ちょこちょこ、あのギャルが顔を出してくれれば目も冴えてくるのだが、平板なアクションシーンの連続に、だんだん眠くなってくる。
さらに、

地下道での街頭ロケなんかも行われているのだが、これも、何もそこまでやらなくても……と、見てる方が引いてしまう、スタッフの苦労が報われない残念なシーンとなっている。
電がビルの屋上に出てカイキビーストと戦っていると、

ガイラー「抵抗して見ろ、このロープを切るぞ!!」
見上げれば、隣接する別のビルの屋上から、千秋が縛られて吊るされていた。
おっぱい二段挟み方式ではないものの、これはこれで、おっぱいが下から押し上げられるような形になり、目に心地よい。
で、このシーン、

千秋「電さーん!!」

スタントではなく、女優本人を吊るしているのである!!
男でも尻込みしそうな撮影なのに、ようやるわ……
ガイラー「さあ、カイキビースト、トドメを刺せ!!」
だが、抵抗できない筈の電が
うっかり抵抗してしまったため、
ガイラー「おのれぇええっ!!」
千秋「きゃああーっ!!」
ガイラーはロープを剣で切り、容赦なく千秋を落とす。

電「赤射!!」
電、叫びながら金網を乗り越えると、赤い光球となって千秋の体を空中で受け止め、

シャリバンとなって、デリケートゾーンに触れないように留意しながら千秋の体を抱いて元の場所に飛び降りる。
こうなればもう書くことはない。
長くて長くて脳死しそうになるラス殺陣をつつがなくこなして事件解決。
終わってみれば、電を遊園地に誘い入れたことが途中からどうでも良くなっていた、アクション偏重の凡作であった。
何度も言うように、冒頭のギャルをさっさと退場させてしまったのが最大の敗因だろう。
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