第41話「母のない子と嵐の母!!」(1973年1月12日)
六助と言う、「嵐」のみならず、特撮史上、これほどにくたらしいガキはいないだろうと思われる、伝説級の子供が登場する第41話である。

シノブ「ハヤテ、何処にいるの? ハヤテ、ハヤテ!」
冒頭、大魔王サタンによって視力を奪われたシノブが、息子ハヤテの名前を呼びながら荒野をさ迷い歩いている。
足袋から爪先が露出して、そこから痛々しく出血している。
もっとも、前回、円盤の上から突き落とされた上に崖から転落したことを思えば、命があるだけでも奇跡的と言えるのだが。
それにしても、このシノブ役の女優さん、なかなかの美形だが、南城さんの母親にしてはちょっと若過ぎるような気もする。
一方、それとは関係なく、野里村と言う農村が、前回の平山村とはうってかわって食糧難に喘ぎ、お腹ペコペコの村人たちがカラスの死体を奪い合うほどの惨状を呈していた。

ジャワラ「俺様の力によって、いまや、この野里村は完全に野獣どもの群れとなった。これからも次々と田や畑を破壊して行き、日本中をこの野里村のように野獣の村にしてやるわ」
それは、蝋燭が溶けたような異様な姿をした西洋妖怪ジャワラの仕業だった。
ジャワラは硫黄妖怪で、その体から出る硫黄ガスによって、田畑を枯らし、作物を腐らせ、人工的な飢饉状態を作り出しているらしい。
ナレ「その頃、母を見失ったハヤテは、傷心の面持ちで先を急いでいた」

ナレーションにあわせて、飴売りに扮したハヤテが街道を歩いている姿が映し出されるが、飴売りがこんなところ歩いているのは変じゃないか?
飴売りと言うのは街中を練り歩いて子供たちに飴を売るのが商売であろう。
あと、うっかり聞き流してしまうところだったが、
「先」ってなに?
ハヤテ、現時点では、どう考えても目的地があるとは思えないのだが……
ハヤテ(この鈴は、これは一体何を意味してるんだ? 妖怪城とどう関係があると言うのだ?)
立ち止まり、前回インデゴの体から出てきた鈴を取り出して見詰めるハヤテ。
母シノブから、それが妖怪城の秘密に関する重要なアイテムだとは聞かされたが、具体的にどんな働きがあるのか、さっぱり分からないでいるハヤテであった。

カゲリ「いらっしゃいませ……」
ハヤテ「ああ」
ハヤテ、峠の茶屋に腰掛け、一休みしようとするが、ハヤテの前に慎ましやかに茶碗を置いたのは、

町娘に扮したカゲリであった。
うう、やっぱり菊さんは可愛い!
ハヤテ「ああっ?」
ハヤテ、ふと視線を上げ、相手が誰か気付いて、思わず声を上げる。

カゲリ「うふっ」
カゲリは悪戯っぽく微笑むと、店の奥へ戻る。
うう、やっぱり菊さんは可愛い!
あ、さっきも言ったか。

無論、店には妹のツユハの姿もあった。
でも、考えたらカゲリもツユハもただの無職のくノ一なのに、偽装とは言え、こんな茶店を開けるだけの資金を、何処から調達しているのだろう?
父親である鬼目の源十郎が、そんなに金を貯め込んでいたとも思えないし……
あるいは、この店は別に彼女たちのものではなく、単に雇われているに過ぎないのかもしれないが。

母親「六助、そんなに食べたら胸につかえますよ」
六助「平気だーい」
店には、武家らしい母親と小さな男の子の親子連れがいて、仲睦まじそうに話していた。
この大変可愛らしい男の子を演じるのは、「猿の軍団」のレギュラーだった梶正昭さん。
と言っても、こっちの方が先だけどね。
ハヤテ、その微笑ましい様子を見て晴れやかな気持ちになるが、お茶を飲もうとして、ふと茶碗の中を見ると、

茶碗の底に、カゲリからのメッセージが記されていた。
いや、そんな七面倒臭いことせずに、口頭で伝えれば良いのでは?
あと、これどう見てもお茶じゃなくて水だよね……

それはそれとして、茶店の横で、二人の男が黒い犬を押さえつけて殴る蹴るの乱暴を働いていた。
しかもそれが芝居じゃなくてほんとに足蹴にしているように見えて、今だったら動物虐待と言うことで、炎上騒ぎになること間違いなしである。
そんな非道なことを看過できるようなハヤテではなく、すぐ止めに入る。
ハヤテ「やめないか、お前たち」
男「やめられるかってんだ、この犬はな、俺たちの飯時を狙って飯掻っ攫っていく泥棒犬なんだよ」
男「そうだ、この犬はな、親なしのはぐれ犬」
ハヤテ「やめろ!」
男たちがなおも犬に乱暴するのを鋭く制すと、

ハヤテ「この親なしはぐれ犬、俺に売ってはくれぬか?」
男「なんだとぉ」
ハヤテ「親がいればこの犬もこんな悲しい仕打ちを受けずに済んだろうに……俺が買った、良いな?」
ハヤテ、小判二枚でその犬を貰い受けると言う、これまた無職の忍者とは思えない太っ腹なところを見せる。
男たちは素直に金を受け取るとその場から離れるが、数歩離れたところで振り向き、ハヤテが犬を抱いて可愛がっているのを見て、不気味な笑みを浮かべる。
カゲリ「ハヤテ、危ない!」
目敏くそれに気付いたカゲリが注意すると、ハヤテも、犬の体内からカチカチと言う秒針の音が聞こえるのに気付き、慌てて犬から離れる。

その直後、犬は爆発し、近くにいたあの親子が巻き添えを食って吹っ飛ぶ。
それはジャワラの仕掛けた罠だったのだが、さすがに時代劇で、「時限爆弾」はないんじゃない?
ハヤテは逃げていく男たちをカゲリたちに追わせ、自分は倒れている母親を抱き起こすが、

六助「さわるな!」
ハヤテ「なに?」
六助「お前が母さんをやったんだ」
ハヤテ「……」
誰がどう見ても命を狙われたのはハヤテなのに、六助は一方的にハヤテのせいだと決め付け、敵意の篭った目を向ける。
特撮ドラマ史上、最凶最悪のクソガキ、六助が爆誕した瞬間であった。
一方、カゲリたちは、野原の中で男たちを見失うが、黄色いガスが立ち込めたかと思うと、その向こうから医者らしい男とその従者が逃げるように駆けて来る。

玄庵「バケモノが、向こうのほうへ逃げていきましたぞ」
カゲリ「お待ち、追っても無駄だ」
ツユハはすぐ走り出そうとするが、冷静沈着なカゲリに止められる。
カゲリ「それより、お医者さまですね」
玄庵「そうじゃ、私の名は玄庵」
カゲリ「怪我人がいます。来るんだ、来ておくれ!」
「地獄に仏」とばかり、カゲリはパッと顔を輝かせて玄庵をせかすが、さすがのカゲリもその医者こそがバケモノの仮の姿とは気付かなかった。
つまり、最初の男二人が、医者と従者に化けたと言うことなのだろう。
でも、ジャワラが自由自在に姿を変えられるのは分かるが、その部下の男は一体何者なのだろう?
ジャワラに金で雇われた悪人か、あるいはジャワラに操られているのか……
どっちにしても、普通の人間まで姿形が変わるとは思えず、この辺はちょっと説明不足の感がある。
あるいは、最初の男たちは別にいて、彼らと入れ替わりにジャワラたちがカゲリたちの前に姿を見せたのか?
ともあれ、カゲリに同行した玄庵は茶屋の縁台に母親を寝かせて診察する。
玄庵「これはひどい出血じゃ」
六助「母さんが死んだら、お前も殺してやる!!」 医者の言葉に、憎々しげにハヤテを睨みつける六助。
ハヤテ「……」
そのふてぶてしい面構えに、新鮮な殺意がモリモリ湧くハヤテであったが、嘘である。
やがて六助は、我慢できなくなったようにハヤテに向かって殴りかかる。

カゲリ「およしよ、坊や、悪いのはハヤテじゃない、サタンの一味だよ」
ツユハ「ほんとだよ、サタンが悪いんだ」
見兼ねてカゲリとツユハが六助をなだめようとするが、
六助「違うわい、こいつだ!」

ハヤテ「ああ……」
ハヤテ、「オージーザス!」とでも言いたげに、嘆かわしげに顔を細かく左右に振る。
きっと、
「どうやったらこんな性根のひん曲がった子供が出来上がるのだろう?」と、考えていたに違いない。

玄庵(この女を殺して、六助にハヤテを殺させるように仕向けてやる)
玄庵、卑劣なことを考え付くと、毒薬を母親の口の中に流し込む。
突然母親が苦しみ出したので、慌てて六助が駆け寄る。
母親「お願いがございます、六助を……薩摩藩の江戸屋敷までお送り下さいまし」
ハヤテ「お父さんのところへですね?」
母親「はい、六助を……」
ハヤテ「ご安心下さい、このハヤテ、命に換えてもご子息を江戸までお送りします」
苦しい息の下から、息子のことをハヤテに託すと、母親はお守り袋を形見として六助に渡し、あえなく絶命する。

六助「殺してやる、えい、えい!」
六助、母親の死を悲しんだのも束の間、刀を抜いてハヤテに斬りかかってくる。

カゲリ「お待ちよ」
ツユハ「えいっ」
カゲリ「ハヤテ、何故黙ってる? 弁解するんだ、俺じゃないって言うんだ」
ツユハ「ハヤテさんをいじめるな」
六助「なにーっ」
ここでもカゲリたちが割って入り、六助の誤解を解こうとするが、
ハヤテ「ツユハ、カゲリ、消えてくれ!」
ハヤテの口から出たのは意外な言葉だった。

カゲリ「なんだって?」
信じられないとでも言いたげな顔で振り向くカゲリ。
ハヤテ「俺はこの子の思うとおりのことをしてやりたい、母を探してる今の俺には母を失ったこの子の気持ちが痛いように分かるんだ」

ツユハ「でも……」
ツユハが何か言い返そうとするが、
ハヤテ「失せろっ!」 いや、さすがにそれは言い過ぎでは?
つーか、喧嘩売ってるんですか?
ここはせめて「俺の好きなようにさせてくれ!」くらいの表現に抑えるべきだったと思う。

カゲリ「ちぇっ、甘いよ、ハヤテは……ツユハ」
さすがに懐の深いカゲリも、忌々しそうな顔で忍び装束の襟を直すと、ツユハを促してその場から走り去る。
何しろ、まだ知り合って間もない間柄なので、タツマキやツムジのようには行かないのだった。
ハヤテはしゃがんで背中を六助に向けると、

ハヤテ「さあ、乗るんだ」
六助「……」
ハヤテ「さあ……六助、俺はお前を無事に江戸屋敷に送り届けるとお前のお母さんに約束した。さ、早く乗るんだ」
メソメソ泣いていた六助であったが、ハヤテが辛抱強く言い聞かせていると、やがて足を引き摺ってハヤテの背中におぶさる。
言い忘れたが、六助は爆発のせいで足を怪我していたのだ。
ハヤテ、六助を背負って立ち上がろうとするが、その拍子に懐からあの鈴が転げ落ちる。

六助「その鈴が欲しい」
ハヤテ「うん? これは……」
六助「ハヤテ、さっき言ったことは嘘か、俺の言うことは何でも聞くといっただろう?」 ハヤテ(いっぺん絞め○したろか、このガキ……) とても武士の子供とは思えないクソ生意気な六助の態度と物言いに、再びハラワタが煮え繰り返るハヤテであったが、何とか堪え、譲ることはできないが、江戸に着くまで持たせてやると鈴を握らせる。
で、ハヤテは親切ごかしに同行を申し出た玄庵たちと茶店を出発するのだが……
いや、母親の遺体はどうすんのよっ!! さすがに遺体をそのままにして旅を続けるというのは、いくらなんでも無茶苦茶である。
ともあれ、小鳥の囀る山間を進むハヤテたちであったが、一方が切り立った崖になった道を歩いていると、また六助がダダをこねはじめる。
いや、「ウルトラマンは強い!」のダダじゃなくて、駄々のほうです。
六助「ハヤテ、下ろせ、ひとりで江戸に帰る」
ハヤテ「無理なことを言うな、その足で江戸までは無理だ」

六助「お前の命令なんて聞くもんか、おろせ、おろせったらーっ!」
ハヤテ「こらっ」
まさに駄々っ子のようにハヤテの背中の上で暴れる六助であったが、その拍子に母親から貰ったお守り袋を崖下に落としてしまう。

六助「あっ、母さんのお守り袋が……
ハヤテ、取って来い」
ハヤテ「そんな、自分で落としておいて……」
そのあまりに傲慢な命令に、さすがのハヤテも異議を唱えるが、

六助「早く!」
ハヤテ(いっそ、お守り袋のところまで放り投げてやろうか?) そのほうが、日本の将来のためになるのではないかと一瞬思うハヤテであったが、なんとか堪え、六助を下ろして急な斜面を降りていく。

玄庵「今だ、今こそハヤテを殺して母親の仇を討つんだ」
六助「……」
玄庵「何をしている、早くしないと奴は逃げてしまうぞ。奴は何とかして逃げようと思っているんじゃ。奴は卑怯者だ、ほれ」
と、すかさず玄庵が六助をそそのかし、従者が六助の足元に蹴りごろの岩を置く。
まあ、ほんとの卑怯者なら、最初から六助を背負って江戸まで送り届けようなどと言い出す筈がないのだが、憎しみで目が眩んでいるのか、あるいは最初から
バカだったのか、六助は大して迷うことなくその石を蹴落とし、ハヤテを圧殺しようとする。
岩が直撃したハヤテは、一気に谷底まで滑り落ちる。
六助「あれー、何処行ったんだろう、お医者さん?」
崖下を覗き込んでいた六助、いつの間にか玄庵たちの姿が消えていることに気付く。
そして、そこにちょうど通り掛かったのが、杖を突いたシノブであった。
シノブ「あの、ハヤテを知りませんか、息子のハヤテを?」
六助「ハヤテ?」
シノブ「知ってるんですか?」

六助「知らないよ! ハヤテなんて言う人」
まさか、「今殺したところです」と言う訳にも行かず、六助は素知らぬ顔でしらばっくれる。
シノブ「そうですか、どうも……」
シノブはいかにも落胆した様子で、先を急ぐ。
そのハヤテ、死んではいなかったが、ジャワラとその部下によって痛めつけられ、再び落石に遭う。
ジャワラは迂闊にもハヤテが死んだものと思い込み、玄庵の姿になって六助のところに戻ってくる。
玄庵は自分が代わりに江戸まで連れて行ってやると六助に申し出るが、その目的は、六助がハヤテから預かったサタンの鈴を奪うことだった。

ハヤテ「あ、ああーっ!」
一方、ハヤテ、不屈の闘志で斜面を這い上がり、もう少しで道の上まで手が届くというところで力尽き、再び落ちそうになるが、

イタチ「おーっとっとっとっとっ、いっへへへへっ」
ハヤテ「イタチ?」
イタチ「さ、しっかりと掴まって下さいよ」
そのハヤテの手を掴んだのが、意外にもイタチ小僧であった。
基本的にあまり戦力にはならないイタチ小僧だが、こういう時は実に頼もしく見えるから不思議である。
やっぱり演じている潮さん自身の魅力のせいだろうか。
ちなみに、「なんで嵐に変身しないの?」と素人は思いがちだが、ハヤテが嵐に変身するとシノブに多大な迷惑が掛かるので、不用意に変身することが出来なくなっているのだ。

イタチ「はぁー、一体どうしたんですか?」
ハヤテ「ああ、すまんな、イタチ」
イタチ「なあに、大恩あるハヤテ殿のことだ、礼には及びませんよ、へい」
ちなみにイタチ小僧って、「キカイダー」の半平に似てるよね。
金や女に目がなく、臆病でお調子者で、たまに仲間を裏切ることもあるが、意外と義理人情に篤く、すばしっこくて抜け目がなく、時と場合によっては思わぬ活躍を見せるところなど、そっくりである。
一息ついたハヤテ、道の上に黒い、焦げたような足跡が続いているのを見て、

ハヤテ「これはジャワラの足跡?」
イタチ「ジャワラ?」
ハヤテ「サタンの恐るべき妖怪だ。ここに六助がいた筈だが?」
イタチ「さあ、六助かなんか知りませんけどね、さっき、侍姿の小僧が医者と一緒にあっちのほうへ行きましたよ」
ハヤテ「医者? 玄庵だ……そうか、玄庵がジャワラだ。サタンの鈴を持った六助が危ない」
漸く玄庵の正体を見抜くハヤテだった。
しかし、ハヤテがジャワラと会ったのはさっきが初めてなのに、なんでジャワラの足跡のことを知っていたのだろう?
さっきの戦いの際に見たとも考えられるが、危うく死に掛けた上、崖を這い登るのに夢中だったハヤテにそんな余裕はなかったと思うが……
さて、玄庵は人気のない場所に六助を連れて行くと、ジェット浪越みたいなポーズでジャワラに変身し、

ジャワラ「母親のように死にたくなかったら、大人しくするんだーっ」
六助「それじゃ母さんを殺したのはお前か?」
親切にも、わざわざ自分が真犯人だと暴露しつつ、六助を脅すのだった。
いや、子供一人殺すのに、なんでわざわざ正体を見せねばならんのだ?
つーか、それこそ母親を殺すのに使った毒薬を飲ませれば、簡単じゃないか。
六助「何故、殺した? 何故だ?」
ノーメイクで「猿の軍団」に出れそうな形相で、ジャワラに問い掛ける六助。
色々あって、ハヤテが駆けつけ、六助を助けると、

カゲリ「今のうちに早く!」
ハヤテと袂を分かった筈のカゲリたちも加勢する。
菊さん、泣きたくなるほど美しい……
この後、ハヤテが嵐に変身し、サクッとジャワラを倒して事件解決。

六助「ハヤテさーん、ごめんなさい、てっきりハヤテさんが母さんを……ごめんなさい」
自分の勘違いに気付いた六助は、今までと打って変わった素直な子供になり、誠心誠意ハヤテに謝罪する。
ハヤテ「うん、はははっ」
ハヤテ、「判ればいいんだ」とばかりに白い歯を覗かせて笑う。
六助「それに俺、ハヤテさんのお母さんに」
ハヤテ「えっ、会ったのか」
六助「うん、だけどあの時、ハヤテなんて人知らないって……すいません、すいません」
さらに自ら告白して詫びる六助に対し、
ハヤテ「ははっ、すいませんで済めば代官所は要らないんだよ?」 六助「……」
これから世の中の厳しさをとっくりと「教育」してやろうとするハヤテだったが、嘘である。
ハヤテ「いやぁ、いいんだ、君が悪いんじゃない、悪いのはサタンだ」
六助「さよなら」
六助は申し訳なさそうな顔でつぶやくと、背中を向けてとぼとぼと歩き出す。
その背中を労わるような目で見ていたハヤテは、
ハヤテ「カゲリ、江戸まで頼む」
ツユハ「任せといて、行こう、六助ちゃん」
カゲリとツユハが六助のところに行くと、突然イタチ小僧があらわれ、

イタチ「あいや、お待ちあれ、カゲリ殿、へへへっ、カゲリ殿が江戸に行くとそれがしもお供を、へへへ、さあ、どうぞ六ちゃん」
露骨にカゲリに気があることを示すと、進んで六助を背中に背負う。
ハヤテ「こら、イタチ、お前が行くと足手まといだ、はははっ」

イタチ「いーっ、またまた、年甲斐もなく焼餅なんか焼いて……さ、行きましょう。変身変身かげうつし~」
イタチ、それこそイタチのように鼻をうごめかし、表記しがたい含み笑いをまじえつつ、OP主題歌を口ずさみながら走り出す。
それにしても、このイタチ小僧、マイナー作品で、しかも登場期間が短かったせいか、知名度はほとんどないが、潮さんのキャラクターにジャストフィットした、実に愛すべきキャラだと思う。
かえすがえすも、サタン編が8話しかないことが惜しまれる。
一人残ったハヤテは、大地に落ちていた二つのサタンの鈴……ジャワラが六助から奪ったインデゴの鈴と、ジャワラ自身が持っていた鈴のふたつを持ち上げ、

ハヤテ「……」
前回、シノブが言い残した「そのサタンの鈴こそ、妖怪城の謎を解く大切な品……」と言う言葉を思い起こすのだった。
以上、とても島田真之さんの書いたシナリオとは思えぬ(失礼!!)面白さであった。
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