第2話「侵略者を撃て」(1966年7月24日)
と言う訳で、久しぶりの「ウルトラマン」のお時間です。
10年くらい前に、レビューと言うほどではないが紹介したことがあり、それ以来の記事化である。
別に理由はないのだが、ま、ネタ不足解消の一環である。
もっとも、何度も言うように、管理人、この作品にはあまり思い入れがないので、厳選したエピソードだけをつまみ食い的にレビューしていくつもりであり、目下のところ、何を書くかは白紙の状態である。
DVDをチェックしたのは、たぶん、以前ブログで取り上げて以来のことではないかと思うが、

あまりに久しぶりなので、OPタイトルバックが、赤い煙がもくもく噴き出しているような背景だったことをすっかり忘れていたほどである。
ついでに、主題歌を基本的に少年合唱団が歌ってることにも、軽い驚きを覚えたものである。
放送から50年以上経ち、それを歌っていた子供たちも、今ではアラ還かと思うと、感慨深いものは……別にないのだが、ここはあると言っておいたほうが無難であろう。

あと、最後に出てくるカネゴンが可愛いと思いました。
さて、本編。
科学特捜隊の日本支部基地の外観から、
フジ「イデ君、電話よ」
イデ「お」

イデ「はいはい」
司令室にて、フジ・アキコ隊員に呼ばれたイデ隊員が電話を取る。
ちなみにファンには周知の事実だが、実はこの第2話が、記念すべき最初に製作されたエピソードなのである。
イデ「あれは隕石じゃなかったですよ、ただの軽石でした」
何処からかの問い合わせに、アドリブ臭い軽口で応じ、元の席に戻ろうとしたイデであったが、

イデ「いやぁ、これですか、いや、こりゃどうも……そんなに目立ちます? うひひ」
カメラの向こうの視聴者に気付いた「てい」で、申し訳なさそうに頭を掻く。
最初の撮影から、こんなメタフィクション的な演出をぶっこんで来るスタッフのハイセンスには脱帽するしかない。
そう言えば、「気まぐれ天使」のDVDに、石立さんがカメラに向かって話し掛けたのはテレビドラマ界初の演出だと書いてあったが、その10年前にやってたんだよなぁ。
もっとも、石立さんは「今回はこの話で行こう」のように、劇中の人物ではなく俳優として語り掛けていたので、イデ隊員の場合とは、微妙に意味が違うんだけどね。
さらに、

フジ「目立つもんじゃないわよ、ねえ?」
イデがはけたあと、フジ隊員までカメラに向かって語り掛けるのが、ユニーク極まりない。
これはまあ、始まったばかりの番組なので、視聴者に、早く登場人物に対する親しみを持って欲しいと言う意図なんだろう。
それはそれとして、フジ隊員の可愛らしいこと!!
正直、今までフジ隊員には何の興味も抱いていなかったので、今回DVDをチェックして、目から鱗が落ちた思いであった。
あと、前にも書いたかもしれないが、後ろに見える壁時計、時刻がわかりにくいっ!!

カメラは再び、右目に大きな痣を作ったイデ隊員の顔をとらえる。
イデ「何故こんなになったか、君にだけ話してあげよう、おっと、友達には内緒だぜ。話は今から38時間前、つまり真夜中に始まるんだ、うん」
そしてイデが痣の原因を語ると言う形で、今回のストーリーが始まるのだが、これなんか、最初に結果を示し、それから過去の出来事を描いて行く、スタイリッシュな洋画にありがちの構成で、これを50年以上前に特撮の中でやっていたというのが、信じられないほど先駆的である。
あと、当たり前だが、二瓶さんの若いこと、細いこと!!
なお、管理人、事前にDVDを見ていた際、二瓶さんが、某ハリウッド俳優に似てるなぁと思ったのだが、いざレビューを書く段になって、誰に似ているのかすっかり忘れてしまいました。
もうボケが始まっとるな……

ナレ「平和な夜だった、気温も快適、湿度も快適、さすがに夜更かしの東京もすやすやと眠っている夜だった」
ともあれ、ここからやっと本題となり、夜のビル街をバックにナレーションが落ち着いた声音で語り出す。
これもすっかり忘れていたが、ナレーターは石坂さんなんだよね。
金田一がウルトラシリーズのナレーションやってるというのは、考えたら凄いことである。
ナレ「だがここに不幸な男が一人いた……」

イデ「12516匹の羊、12517匹の羊……ちくしょーっ!!」
続いて、科特隊の仮眠室の二段ベッドの上で、下で寝ているアラシ隊員の物凄い鼾で一向に寝付けず、ひたすら羊の数を数えて気が狂いそうになっているイデ隊員の図となる。
と、ここでけたたましい警報が鳴り響き、熟睡していたアラシが即座にベッドから出る。

アラシ「急げ」
イデ隊員をせかしつつ、消防隊員の出動のように、ポールに掴まって下に降りるアラシ。
で、これまた今回「発見」してしまったのだが、科特隊の制服、かなりダサい。
俳優たちは、その派手な色がイヤだったらしいが、上がネクタイのあるスーツっぽいデザインなのに、下がスラックスじゃなくて、ジャージみたいな感じなのが、かなり情けない。
それに、ベルトを上着の上から巻いているのも、是非やめていただきたかった。
もっともこれは初回の撮影なので、この後、多少は改良されていくのかな?
ともあれ、ハヤタをのぞく4人は速やかに司令室(作戦室?)に集合する。

アラシ「何が起こったんです、キャップ」
ムラマツ「防衛基地から連絡があった、東京上空に強烈な電波を発する物体が飛来したので警戒中、突如電波を感じなくなったというんだ」
イデ「つまり、空飛ぶ円盤でも飛んできたって言うんですかね」
フジ「あるいは隕石の仕業かもしれませんね」
たまたまパトロール中だったハヤタは、防衛基地で情報収集に当たっていた。

ハヤタ「こちら、ハヤタ、電波の止まった位置は、北緯○○……詳しくは電子計算機が調べております」
当たり前だが、黒部さんが若い!! そして細い!!
と言っても、当時既に26才で、(現在の感覚では)ヒーロー俳優としては決して若くない。
その後、怪電波の消失地点が、御殿場の科学センターだと言うことが判明する。
ムラマツはアラシを呼ぶと、

ムラマツ「アラシ君、君は優秀な科学特捜隊員だ」
アラシ「僕もそう思っております」
ムラマツ「ただし……」
アラシ「はぁ?」

ムラマツ「……」
一旦アラシを持ち上げてから、意味ありげな視線をアラシの足元に向ける。
いちいち騒ぐことでもないが、小林さんが若い!!
何しろ当時35才だもんね。

アラシ、その視線を辿って自分のミスに気付き、泣きそうな顔になる。
それにしても、毒蝮さんの顔がでかい!!

アラシ「しまった」
イデ「あははははは」
そう、慌ててスリッパを履いて来てしまったのである。
ムラマツ「冷静に、常に冷静に……これが我々のモットーだ」
アラシ「はい」
ムラマツ「よって、銃殺刑に処す」 アラシ「ギャアアアアアアーッ!!」 そう、科特隊は、デスパー軍団も真っ青のスパルタ組織だったのである!!
嘘はさておき、アラシはムラマツの命で、ひとりで科学センターに向かうが、普通、こういうのは、二人組にやらせるもんだよね。
その途中、ホシノ少年が「密航」していることに気づくが、引き返すわけにも行かないのでそのまま科学センターまで車を走らせる。
ホシノ少年と言うのは、科特隊に出入りを許されている謎の少年である。
アラシ、ホシノ少年を車に残して単身、科学センターに足を踏み入れる。
受付の電話が鳴っていたが、誰も出るものがない。

アラシ「はっ」
それもその筈、受付の警備員は、電話を取ろうとしたまま、人形のように固まっていたのである。
ちなみにハヤタは後に「命を奪った」と言ってるが、その生死は最後まで分からない。
普通に考えれば、単に時間を停止されているだけだと思われるが……
アラシ、スーパーガンを手に、油断なく建物内部の調査を開始する。

階段を、壁にへばりつくように上がっていると、

背後の通路上に、いきなりバルタン星人があらわれる。
驚いて銃を向けるが、一瞬で消え、

今度は目の前にあらわれ、ハサミ状の手から赤い光線を放ち、その顔に浴びせる。

アラシ「ああ……」
赤い照明の中、まるでタンスの角で小指をぶつけたような、世にも切ない表情を浮かべて悶えるアラシ。
やがて、受付の警備員と同じく、緑色の照明の中、彫像のように固まってしまう。

と、バルタン星人が二体に分離し、

向かって右側のバルタン星人が、体を透過・分裂させながら左側に向かって歩き出し、

やがて左側のバルタン星人と同化してしまう。
以前にも書いたと思うが、一体どうやって撮ってるのか、何度も見てもさっぱりわからない。

バルタン「ヴァッファッファッファッ……
あ、誰も見てないのか」
独特の笑い声を上げてから、重大なことに気付くバルやんであったが、嘘である。
嘘であるが、どうせやるなら、アラシ隊員に見せてから固めた方が良かったかなと言う気はする。
その後、ハヤタが防衛軍の隊員を引き連れて駆けつける。

ハヤタ「ホシノ君」
ホシノ「ハヤタさん、アラシさんが中に入ったまんま、何の連絡もしてこないので弱ってるんです」
ハヤタ「うん?」
ホシノ「本部から、うるさいお姉ちゃんがワーワー言ってくるし」
フジ「ホシノ君、こちら本部、アラシ隊員からの連絡は?」
ホシノ少年の言葉が終わらないうちに、通信機からフジ隊員の声がキンキン鳴り響く。
ちなみにアラシは建物に入ってから一度ホシノ少年に連絡しているのだが、バルタン星人の発している電波のせいで、届かなかったものと思われる。
ホシノ「30秒おきに呼び出されたんじゃあ、報告することなんてありゃしないよ、競馬の中継じゃないんだから」
ハヤタ「よし、よし」
ぼやくホシノ少年に理解を示すと、ハヤタは建物に向かって歩き出す。

ホシノ「こちらホシノ、ただいまハヤタ隊員到着、防衛軍に続いて建物に向かっています。玄関まであと20メートル、19メートル……」
フジ「了解、了解、報告は簡単明瞭に、競馬の中継じゃないんだから」
ホシノ「ちぇっ……」
ホシノ少年、フジ隊員へのイヤミのつもりか、事細かに状況を説明していたが、途中で遮られ、同じような表現でたしなめられるのだった。
この軽妙なやりとり、今回チェックするまですっかり忘れていたが、良い意味で「ウルトラマン」のイメージを裏切られた感じである。
あくまで自分の管見だが、「ウルトラマン」って、全体的に生真面目な印象があるんだよね。
さて、防衛隊員たちは銃を構えて構内を探索していたが、

赤い柱の前を通り過ぎたあと、

そこにバルタン星人が出現し、

二つに分裂して、それぞれのハサミから赤いビームを放つ。
この合成自体は見事なのだが、背後にかかっている時計が、2時10分、3時15分、3時20分(?)と言うように、合成カットのたびにジャンプしているのが惜しいミス。

あと、背後からビームを浴びた隊員が、

ピョコンと右足を上げ、その状態で固まってしまうのが、何度見ても笑ってしまう。
その動作自体もおかしいのだが、歩き方としても変だよね。
後ろじゃなくて、前に出さないと……
無論、前に出した状態では体を止めることが難しいからなのだが。
一方、ハヤタはアラシを発見し、

その奥に立っているバルタン星人に向かってスーパーガンを撃つ。

ビームは、稲妻のような複雑な軌道を描いてバルタン星人の額に命中するが、パッと消える。
相変わらず、芸術的なまでに美しい光学作画である。
慎重なハヤタ、一旦退却する。

続いて、防衛会議が開かれる。
ナレ「宇宙人らしいものの正体、攻撃の方法に論議が集中したが宇宙船の所在もつかめない現状ではどうにも結論が出なかった」
と言うことなのだが、背後の黒板に、しっかりバルタン星人って書いてあるんですが……
藤田進演じる幕僚長から諮問されたムラマツは、今のところ有効な対策はないと前置きした上で、

ムラマツ「彼らと話し合ってみてはどうかと考えています」
幕僚「そんな悠長なことを言ってる場合じゃありませんよ、君」
ムラマツの意外な発言に、列席した幕僚たちは一様に失笑の声を上げる。
幕僚「真面目になろうじゃないか、ムラマツ君」

ムラマツ「真面目にそう思っているんです」
幕僚「しかし、奴らは君、なんか見たこともない恐ろしい武器を使ったというじゃないか」
で、これも今回チェックしてて気付いたのだが、この強硬派の幕僚を演じているのが幸田宗丸さんなのだった。
チョビ髭つけてるので分からなかったのだ。
もっとも、その場にいるのはタカ派ばっかりで、
幕僚「宇宙船のあり場所さえ確認できれば直ちに核ミサイル・ハゲタカを撃ち込むんだが」
ムラマツの横にいた男など、東京のど真ん中で核ミサイル・ハゲタカを使おうなどと、物騒なことを言い出す。
タカ派だけに!!(うるせえ)
ムラマツ「もし、ハゲタカが通用しなかったら、その時はどうするんです」
幕僚「君、ハゲタカは大丈夫だよ」
何の根拠があるのか知らないが、ムラマツの懸念を一蹴する幕僚。
だが、ムラマツは軍人たちを前にしても怯むことなく持論を述べる。

ムラマツ「まず連中の欲しいものを知り、与えられるもんであれば与えて、そして帰ってもらうんです」
幕僚「そんなバカな」
幕僚「君は奴らに降伏しろと言うのか、そうじゃないのか、君の言ってることは」
ムラマツの怪獣やっつけ隊の隊長としては異例の、平和的且つ合理的な意見に対し、たちまち非難の声が上がり、ムラマツの意見を曲解したような反論も飛び出す。
この辺、いかにも古今東西で見られる軍人の愚かしさが良く出ているとともに、相手が誰であれ、とりあえず対話を試みることが重要だと言う、将来日本を背負うちびっ子たちへの、脚本も手掛けた飯島監督からのメッセージのようにも受け取れる。
ただ、普通考えれば、結局、ハゲタカによる攻撃が多数決で採用されそうなものだが、何故かムラマツの案が採用されたことがナレーションで語られるので、若干「うん?」となる。
もっとも、ハゲタカで攻撃しようにも、宇宙船の場所が分からなければ攻撃のしようがないので、時間稼ぎの意味も込めて、消極的にムラマツ案が採用されたと言うことなのかもしれない。
後編に続く。
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