第27話「娘よ! ギガ計画を射て」(1988年8月27日)
冒頭から、ボルトの本拠地ヅノーベースで異変が起きている。
なんと、主であるビアスの姿が何処にも見えないのだ。
勿論、トイレの中にもいない。

ケンプ「見当たらぬ、ビアス様のお姿、何処にも見当たらぬぞ」
マゼンダ「こっちもよ……これだけ探してもいらっしゃらないなんて、一体どういうことなの?」
アシュラ「もしやギガ計画を実行に移すために自らお出ましになられたのか?」
ケンプたちが右往左往して、あれこれ憶測をたくまゅうしていると、一枚のファックス(笑)が送られてくる。
ギルドス「これはビアス様から我らへの作戦指示書だ、行くぞブッチー」
ブッチー「おう」
だが、それは宇宙人にしか読めない文字で書かれたもので、意気揚々と出撃するギルドスたちに、ケンプたちは置いてけぼりを食う。
ケンプ「ビアス様は我らを差し置いて宇宙人どもをギガ計画にお使いになると言うのか?」
屈辱に歯噛みするケンプであったが、
ケンプ「つーか、俺たち宇宙人と一緒に働いてるんだよね。凄くね?」 その悔しさを、ポジティブシンキングで見事に乗り切るのであった。

ビアス「ふっふっはっはっはっはっ……」
そのビアスは、何処とも知れない巨大な工場のような空間で、不気味に胎動する巨人のシルエットの前に立ち、高らかな笑い声を響かせていた。

続いて、各地で次々と地震が起き、大地がいたるところで裂けていく。
勇介「いつもの地震と波形が違うぞ」
めぐみ「もしかして、いよいよギガ計画が始まったんじゃ?」
それは震源地が生き物のように絶えず動いていると言う、普通では考えられないような地震で、グラントータスのコンピューターでも分析できず、三人は現地に行って調べることにする。

駆けつけた三人の前に、地中からジシンヅノーと言う渋い声(渡部猛)の頭脳獣が飛び出してくる。
ファルコン「地震を起こしていたのは貴様か」
ジシンヅノー「いかにもその名のとおり、ジシンヅノー」
ライオン「一体なに企んでんだ?」
ジシンヅノー「俺たちはビアス様の命じられたとおり動くだけだ。バイオレーションハンド!!」
ジシンヅノー、いきなり両手を地面につけ、巨大なドリルで道路工事をしているかのように、その周辺に激しい振動を起こす。
三人はその場から振り落とされるが、何故か、ジシンヅノーはそれ以上攻撃を仕掛けようとはせず、スタコラサッサとその場から走り去ろうとする。
そうはさせじと、三人はすぐ追いかけて果敢に攻め立てるが、結果的には、ビアスの仕掛けた策にまんまと引っ掛かってしまったことになる。

と、少し離れたところにジープに乗ったサングラスの男があらわれ、じっと彼らの戦いぶりを見詰めていた。
なんとか攻勢に転じるライブマンであったが、そこへエネルギー体となったギルドスとブッチーが飛んできてジシンヅノーを守るように実体化すると、強烈なビームを撃って三人の動きを止める。

ギルドス「行け、ジシンヅノー」
ブッチー「急ぐダス」
ジシンヅノー「わかった、わかった」
何か重大な使命があるように匂わせつつ、ジシンヅノーはその場から離脱し、三人もブッチーの力で吹っ飛ばされ、変身が解ける。

ギルドス「ギガ計画の邪魔はさせん」
勇介「やはりギガ計画か」
ブッチー「死んでもらうダス」
こんな緊迫したシーンでも、管理人の興味は、前屈みになっためぐみのブラが見えないかなぁと言うことだけ。
前々回からひたすら同じことを言ってる自分の根気を、褒めてやりたいと思う。
でもねえ、めぐみの衣装が変わって(たとえ見せパンであっても)チラの可能性が絶無になった後半においては、それくらいしか楽しみがないんだよね(註1)
それを考えると、「チェンジマン」のさやかが、最後まで乙女の純潔を白いパンツと言う形で表現し続けたのは、ほんと立派だと思う。
註1……後で知ったが、この後、めぐみはまた最初のスタイルに戻ってくれる。ただし、チラの頻度は激減する。
三人の、いや、正確にはめぐみのピンチを見た謎の男は、慌ててアクセルを踏み込み、ギルドスたちの背後から突っ込んで左右に弾き飛ばすと、
与一郎「めぐみ!!」
めぐみ「お父さん!!」
ジープを運転しながら、めぐみに手を差し伸べて引っ張り上げると、勇介たちには目もくれずに走り去ってしまう。

勇介「お父さん?」
丈「じゃあ、今の、めぐみのオヤジ?」
突然の父兄の乱入に、二人は唖然とした顔でその場に立ち尽くすのであった。

めぐみ「お父さん、熊本におったんじゃなかと? なんしにきたんね?」
与一郎「知れたこつ、ボルトを倒すとたい」
そして、めぐみの父・岬与一郎を演じるのは、「ダイナマン」の夢野総司令として一度は地球を悪の手から守り抜いたことのある島田順司さん!!
ちなみに彼らの出身地は熊本らしいが、いくら父親に会ったからって、それまで綺麗な標準語を話し、なおかつ熊本訛りなど一度も見せなかっためぐみが、一瞬でゴリゴリの熊本弁になると言うのは、いかにもリアリティーがないが、ちびっ子向け特撮番組においては、何よりも分かりやすさが大事なのである!!
ただ、レビュアーとしては、方言は台詞を書き写すのが大変なので、是非二人には標準語を話して欲しかったところである。
与一郎「あぎゃんやつらにいつまでてまどっとかい? ワシが手ぇ貸しちゃるけん、一気にやっつけるんくさ」
めぐみ「お父さん!!
いい加減、就職したら?」
与一郎「この世に悪の栄えたためしはなかつ!!」
与一郎、前方に走って逃げているジシンヅノーを発見すると、どっかで聞いたような台詞を吐きながら、ハンドルから手を離して弓矢を構え、
与一郎「肥後岬流弓術・岬与一郎、天に代わって成敗いたす」

めぐみ「お父さん、そげなばかんことはやめてよ!!」
慌てて横からハンドルを取りながら、必死に父親を止めようとするが、絵に描いたような頑固一徹オヤジの与一郎は、全く耳を貸そうとしない。
何しろ、この年になるまで、妻や娘の「働け」と言う、氷の刃のような言葉をものともしなかったオヤジなので、ちょっとやそっとのことで自分の意思を曲げたりはしないのである!!
だが、闘志満々でも体がついていかず、矢を放つ前に振動でジープから投げ出されてしまう。
と、続いて前方から幼稚園の送迎バスが来るが、めぐみはなんとかハンドルを操作してギリギリで衝突を免れる。

保母「だいじょうぶ、ね、だいじょうぶ?」
心配そうに園児たちに怪我はないか聞いている保母さん。
どうでもいいが、この右端の女の子がちょっと可愛いって、管理人のはす向かいに住んでる人が言ってました。
勿論、怪人が大好物の送迎バスを見逃す筈がなく、ジシンヅノーは迷うことなくバスに乗り込み、ジャックする。

ジシンヅノー「さあ走れ、じゃねえと命はないぞ、急げ!!」
運転手「はっ、はっ、はいっ」
そして、バスの運転手と来れば、鎌田功さんと相場が決まっているのである!!
ジシンヅノー、去り際にドリルミサイルを発射してめぐみの乗っていたジープを爆破する。
だが、寸前でジープから飛び出しためぐみは、そのままバスの上に飛び乗る。

与一郎「めぐみーっ!!」
それを見た与一郎、バスの先回りをしようと老骨に鞭打って走り出す。

バスの上で腹這いになるめぐみ。
これ、低速ながら、ちゃんとバスを走らせて演技させてるのがエライ。

屋根から身を乗り出し、窓を叩いて保母さんとコミュニケーションをとろうとするが、そんな状況ではなかなか上手く行かない。
めぐみ「あっ、お父さん!!」
と、カーブを曲がると、その先に与一郎が立っていて、こちらに向かって弓矢を構えているではないか。
こんな緊迫のシーンでも、管理人の考えることは……(以下略)
矢はサイドミラーのひとつに命中しただけだが、バスはなんとなく停車する。
与一郎「ワシの矢が外れた!!」
いや、ナニに当てる気だったんだ、お前は?
ひょっとして、運転手?
考えたら、車内にはたくさんの園児がいたのだから、何を狙っていたかは知らないが、結構危ない行為だったのではあるまいか。
あるいは、タイヤをパンクさせるつもりだったのか?
うーん、さすがにそれは無理じゃないかなぁ。
それはともかく、再び何処からかあらわれたブッチーたちによって、めぐみ親子はあえなく御用となる。
ここで漸く勇介たちが追いつくが、

ブッチー「めぐみを捕まえたダス!! 止まれ!! これ以上邪魔すると、子供たちのみならず、めぐみたちの命もないダス」
ブッチーたちは勇介たちを脅すと、めぐみと与一郎を縛り上げて後部座席に放り込む。
……
いや、めぐみを殺せる機会を得たのなら、ちゃっちゃと殺しましょうよ~。
どうせ彼らの任務はライブマンの目をギガ計画から逸らすための陽動なんだから。
勇介たちも、人質を取られてはどうすることも出来ず、送迎バスが走り去るのを手を束ねて見送るしかなかった。
だが、その直後、再びあの地震が彼らを襲い、
勇介「変だと思わないか? ジシンヅノーはバスに乗っているのに、どうして地震が起きるんだ?」
丈「一体どうなってんだ?」
漸く彼らも、今回の事件に裏があることに気付く。

その頃、某所に立つ巨大なシルエットは、まるで巨神兵のように目を真っ赤に点滅させながら、周囲に振動を伝え、ついで、その両目が獲物を狙うサーチライトのように床を駆け巡る。
CM後、引き続き山の中の何もない道を走っている送迎バス。
冷静に考えて、幼稚園の送迎バスがそんなところを走る訳がないのだが、めぐみも与一郎も全く不審に思わない。

めぐみ「お父さん、ほんなこつなんしにきたと? あやんこせんなら、頭脳獣ば倒す自信あったっつよ」
森さんの話す熊本弁があまりにたどたどしいので、当時のちびっ子たちには、何を言ってるのか分からなかったのではあるまいか?
めぐみ「みんなば助けることができたてから……」
と、バスが一際大きく揺れ、

その拍子に与一郎のたもとから、何枚もの若い男性の写真や履歴書のようなものが出てくる。
一瞬しか映らないが、実際のドラマのオーディションの応募書類みたいな感じである。
で、その中の一枚が、ダイナレッドの沖田さんのようにも見えるのだが、さすがに違うかな?
めぐみ「なんね、これ?」
与一郎「う、うう、うん……」
めぐみ「ひょっとして、お見合い写真?」
与一郎「すまん、はようボルト倒したら、お前が熊本に戻ってくると思ったけん」
父親の真意を知って、めぐみは呆れ果てたような顔になり、嘆かわしげな声で、
めぐみ「もう、いまはそやんときやなかでしょう? ボルトがギガ計画と言う何か得体の知れないおそろしか作戦ば始めようと必死になってんのに」
与一郎「なに、ギガ計画? ワシがばかじゃった、取り返しのつかんことをしてしもうた。めぐみ、許してくれ」
与一郎、がっくり肩を落として詫びるが、そんな姿を見ているうちに、幼い頃、父親に弓術を仕込まれた時のことを思い出すめぐみであった。

めぐみ「的中!!」
父親の見事な弓の腕前を間近で見て、目を輝かせて歓声を上げる幼き日のめぐみ。
めぐみ「わー、ものすごかー、お父ちゃん、日本一、めぐみの父ちゃんは、日本一
のニートたい!!」
かつての自分が無邪気に賞賛の眼差しを注いでいた颯爽とした父親の姿と引き比べ、疲れたような顔で目を閉じている父親の様子や、ジープから放り出されたり、矢を外したりした時の醜態を思い出し、

めぐみ(お父さん、ほんなこつ年取ったんね……)
悲しそうに心の中でつぶやくめぐみであった。
と、項垂れていた与一郎がめぐみの視線に気付いて目を上げたので、めぐみは照れ臭そうに視線を逸らすと、

めぐみ「お父さん、私たちは戦士になるとき、親子の縁は切ったのよ」
与一郎「……」

めぐみ「勇介や丈たちも、親や兄弟のことは忘れて必死に戦ってるの……お父さん、分かって」

めぐみ、父親に諭すように語りかけながら、父親の持っていたライターで手首に巻かれたロープを焼き切ろうと言う、ランボー顔負けのハードな脱出方法を試みる。
その臭いをブッチーに気付かれそうになるが、たまたまバスが激しく揺れた一瞬の隙に、めぐみはロープを解いて彼らに体当たりして、三人まとめてバスから叩き落す。
繰り返しになるが、めぐみの命を奪う絶好の機会を逃したのは、ボルトにとっては痛恨のミスであったと言えるだろう。
極端な話、ギガ計画なんか一時中止にしても良いから、めぐみを殺しておいたほうがボルトにとっては遥かに有益だったろう。

めぐみ「お父さん」
与一郎「ようやった、だが喜ぶのは早いぞ。ワシは腕は落ちても、目までは腐っとらん」
娘に助けられる与一郎であったが、このままではほんとにただの使えないオヤジで終わってしまい、夢野司令の面子も一緒に潰れてしまうので、

与一郎がロープを保母さんに投げつけると、

実はその正体がジンマーだったことが分かると言う、「正直、どうでも良くね?」的な見せ場が用意されていた。
ついでに、運転手も園児も、全員がジンマーだったと分かるのだが……
いや、だったらそれこそなんで速やかにめぐみの命を奪わなかったのぉおおおおっ?
確かにブッチーたちの与えられた任務は陽動だったかもしれないが、その対象であるライブマンのひとりを殺してしまえば、陽動自体、必要なくなると思うのだが……
まあ、やはりこの辺が、与えられた命令どおりにしか動けない頭脳獣や、ロボット(ブッチー、ギルドス)の限界であろうか。
もしビアスがこの任務をケンプたちに与えていれば、結果は大きく違っていたのではあるまいか……
話が先走ったが、

めぐみ「一体どういうことなの?」
与一郎「陽動作戦たい、ギガ計画とやらをカムフラージュするために引っ張り回されたんじゃ」
さすが夢野司令、勇介たちが見抜けなかった敵の意図を正確に指摘して面目を施す。
ただ、陽動作戦はともかく、保母たちがジンマーだとどうやって気付いたのか、その説明が全くないのが物足りない。
ともあれ、この暴露もストーリーには特に影響はなく、ここからラス殺陣&巨大ロボバトルとなり、戦いはひとまずライブマンの勝利に終わる。

めぐみ「お父さん」
与一郎「ワシはもうお前を嫁にやったつとを忘れとったたい」
めぐみ「ええっ?」
再会するなり、与一郎は意外な言葉を口にしてめぐみを戸惑わせる。
勇介たちも目の色を変えて二人に駆け寄り、
勇介「あ、あの、お父さん、めぐみは一体誰の?」
丈「うん」
勇介「わーっ、ふふふ」
丈「えーっ、いいよー、俺」
勇介にニタニタしながら指をさされた丈、めぐみの花婿と言うポジションを即座に辞退する。
……
正気ですか? いや、要らないのなら俺にくれっ!!

与一郎「この大自然たい。ブルードルフィンはこの大自然と……結婚したつ」
だが与一郎は勇介たちなどハナから眼中になく、周囲に広がる緑を眺めながら、自分に言い聞かせるようにつぶやく。

めぐみ「そう、お父さんのいうとおり、愛する大自然を守るために私は戦う……肥後のおなごは強かけん!!」
めぐみも父親の気持ちを汲み取り、涙を堪えながら、無理に笑顔を作って熊本弁で応じる。
与一郎「ライブマンは負けん、どぎゃんこつがあっても、絶対にライブマンは負けん!! ワシはそう信じとります」
与一郎、勇介たちに力強くエールを送ると、ドラマの演出上、一人で歩いて帰って行くのだったが、素直に送って貰いましょう。
今回、戦術的には勝ったが、戦略的にはビアスにしてやられたライブマン。
そのビアスは、誰にも邪魔されずに着々とギガ計画を進めることが出来、最後は、あのシルエットが巨大ロボットのような骨格をチラ見せするまでになっていた。
ビアス「ギガ計画、準備完了!!」
以上、ビアスの陽動作戦とライブマンの苦闘にめぐみ親子の情愛を絡めた、戦隊シリーズとしては珍しいパターンのエピソードであったが、三週続けて湿っぽい話が続くのは、レビュアー的にはちょっとつらかった。
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