第33話「恐怖!キングダークの復しゅう!!」(1974年9月28日)
冒頭、川べりの松並木で、チャイナ服を着た女の子を、敬介が追いかけている。

ああ、理性及びヒーローとしての責任感とで、なんとか押さえ込んでいたロリコン魂を遂に解き放ってしまったのかとヒヤッとしたが、そうではなく、単に追いかけっ子をして遊んでいただけであることが分かる。

それにしても、もうちょっとこの子が可愛かったらなぁ……
いや、これくらいのルックスだから、何とか敬介が自制心を喪わずに済んだとも言えるのだが。
もっとも、このチャイナ服と髪型が、子役本来の可愛らしさを損ねているのも確かである。
チャイナ服なんてのは、もっと色気のある大人の女性が着て初めて生きるものなのだ。
まあ、彼女の正体がムカデヨウキヒと言う中国産の怪人なので、それに合わせてのチョイスなのだろうが。
えー、で、何の話だったか?
チャイナドレスのスリットの偉大さについてだっけか?
え、違う?
少女「キャーッ!!」
と、突然少女がけたたましい悲鳴を上げる。
てっきり、敬介がズボンを下ろしたのかと思ったが、そうではなく、

敬介「むっ」
そもそも、それは現実の出来事ではなく、昼寝中の敬介が見ていた淫夢(註・淫夢じゃないです)であったことが分かる。
ただ、夢の中とは言え、彼女が何を見て驚いたかぐらいは見せて欲しかった。
敬介「いてっ!!」 勢い良く起き上がった敬介、目の前にあった幹に思いっきり頭をぶつけてしまう。
と言うのは嘘だが、頭が当たりそうな位置に木が生えているのは事実である。
敬介「夢か、びっくりしたぜ」
ちなみにこの夢、さすがに偶然とは思えず、ムカデヨウキヒが何らかの方法で敬介に見させたものと思われる。
ただ、それがストーリー上、
全く意味がないことから、早くも今回の話がクソつまんないことが予想される。
続いて、少女の悲鳴が聞こえ、まさに夢の続きを見ているかのように、川のそばで彼女がチャイナ服を着た戦闘員たちに襲われているのが見えた。

敬介「女の子に何しやがる!!」
無論、敬介がそんな美味しいシチュエーションを見逃す筈がなく、かっこよく少女の前に立ち、タンカを切る。
軽く敵を蹴散らしたあと、
敬介「うん、君はさっき夢ん中……」
それが夢で見た少女とそっくり同じであることに気付き、怪訝な顔になる敬介。
ただ、前述のように、だからと言ってストーリーには何の関係もないのだった。わお!!
その後、敬介はひとまず彼女をコルに連れて行く。

立花「え、じゃあ、あの子が有名なヤン博士のお嬢さんなのか」
敬介「そうなんですよ、ヤン博士は南原博士の設計図を持っていたらしいんですよ。それでGODに狙われ、奥さんと一緒に殺されちまったらしいんです」
と言うのだが、場末の(註・場末じゃないです)コーヒーショップのオヤジさえ知っていたヤン博士が殺されたというのに、それがニュースになってないのは明らかにおかしく、この時点で彼女の話がデタラメだと気付くべきであった。
立花「しかし、GODはどうしてあの子を狙ったんだ」
敬介「奴らはきっと設計図はあの子が持ってると思ってるんですよ」
立花「うーん」
ここで彼女を預かってくれないかと言う敬介の頼みを、快く引き受けるおやっさんだった。
ちなみに敬介が自分のマンションで保護しようとしなかったのは、「好みのタイプじゃなかったから」と言う説が有力である。

立花「おい、みんな、この子、当分ここで預かることにしたからな」
チコ&マコ「わーっはっはっ」
おやっさんの言葉が終わらぬうちで歓声を上げて喜ぶ二人。
チコ「良かったわね」
マコ「ね、仲良くしましょう」
少女「はい」
立花「なー、こんな可愛い子がそばにいてみろ、俺のマグナムは24時間ギンギンだぞ」
じゃなくて、
立花「なー、こんな可愛い子がそばにいてみろ、パーッと花が咲いたみたいで明るくていいぞ」
いや、花ならもう、この上なく綺麗なのが二つも咲いてるじゃないですか。
続いて、よみうりランドで、他愛なく遊んでいる敬介たち。
しかし、目下GODに狙われているというのに、おおっぴらにこんなところに連れ出すというのは、あまりに軽率ではないか?
あと、敬介たちがヤン博士が持っていたであろう設計図について、少女に問い質さないのも変といえば変である。
これでは、彼女が本当に設計図を持っているのかどうかも分からず、見ていて実にもどかしい。
それはそれとして、

嬉しくって嬉しくて仕方のない敬介。
もう、好きなんだからぁ……
だが、その一方で、さっきはもろ手を挙げて歓迎していたチコたちの空模様がおかしい。
敬介と二人きりでティーカップに乗っている少女を見て、

チコ「あの子、ちょっと馴れ馴れしすぎるんじゃない?」
マコ「ほんとよね、敬介さんも敬介さんだわ、いくら今日はヤン博士のお嬢さんを慰める会だって、あんなにサービスすることないと思うけどな」
分かりやすく焼餅を焼いていた。
なお、いまだに彼女の名前が出てこないのも相当不自然であるが、結局、最後まで彼女が名前で呼ばれることはなく、自分もただ「少女」としか書けないのが歯痒いのであった。
子役の名前の澄江だと、日本人になっちゃうからね。
不満たらたらの二人の背後におやっさんが来て、ジュースをサービスする。
立花「まあ、そうカッカしないで、これでも飲んで頭冷やしてくれ」
どうでもいいが、ティーカップの映像の中に、若い男二人で乗ってる客がいるが、悲しすぎる。
だが、当然と言うべきか、彼らの動きはGODにマークされていた。
キングダーク「神敬介め、いい気になりやがって、吠え面かくのは、もうじきだ」 隠しカメラでその映像を見て、およそ「悪の組織」の首領とも思えぬ、チンピラ同然の野卑な言葉を口にするキングダーク。
なんでこの台詞にダメ出しがされないのか、謎である。
その後、おやっさんたちは池の畔の柳の木の下でお弁当を食べようということになるが、肝心の敬介の姿が見えない。

立花「おい、敬介何処行ったんだ?」
チコ「おかしいわね」

チコ「さっきまでいたのに」
長い髪が風に吹かれて顔にへばりつき、とんと、柳の下の幽霊みたいな顔であたりを見回すチコ。

立花「まあいい、
ロリコンはほっといて弁当開こうや」
チコ&マコ「はい」
立花「あ、敬介」
などとやってると、ふらりと敬介があらわれる。
敬介「ごめんごめん、ちょっと用事を思い出したもんだから」
にこやかに言ってから、不意に怖い顔になって少女に射竦めるような視線を向ける。

少女「……」
と、少女も何か後ろめたいことがあるかのように、あからさまに気まずい顔になって俯く。
これは、敬介が少女がニセモノだと見抜き、少女も見破られたのではないかとドギマギしていることを表現したシーンなのだが、

敬介「……」
敬介の、相手の体を嘗め回すような目付きと、

怯えて口を噤んでいる少女の画像を並べると、おやっさんたちの目を盗んで少女に悪戯しようとしているようにしか見えないのだが、ぜんぶ頭のおかしい管理人の幻覚なので忘れて下さい。
と、少女はわざとらしくよろけて見せ、気分が悪くなったふりをして、この場を切り抜けようとする。
しかし、このシーン、敬介がどうやってヤン博士の娘のことを知ったのか、その説明が全くないのが、物足りない……と言うより、片手落ちのような気がする。
全部ばらさなくても良いけど、敬介がどこかに電話して誰かと話しているシーンだけでも入れておかないと、敬介の豹変がめちゃくちゃ唐突に見えてしまうからだ。
また、その正体がGODの怪人である少女が、敬介に見破られたことを薄々察しながら、この後も平然と芝居を続けるのも、考えてみれば妙な話である。
立花「どうしたんだ、だいじょぶか」
少女「ちょっと、めまいが」
立花「めまい? そりゃいかん、じゃすぐ病院だ」
「めまい」ぐらいで病院に行くんじゃない!! 少女「いいえ、だいじょぶです、ちょっと横になれば」
立花「あ、そうだ、敬介、お前の部屋に連れてってやれ」

敬介「えっ、俺の部屋?」
立花「そうさ、こっからならお前の部屋が一番近いからな」
何食わぬ顔で、野獣の檻に子羊を放り込むようなデンジャラスな提案をするおやっさんであったが、渡りに舟と飛びつく筈の敬介が、いかにも気乗りしない顔になるのは、
「これ、ひょっとしてモニタリング?」などと疑っているわけでも、
「少女が好みのタイプではないから」でもなく、少女がGODの一味であることを知っているからである。
だが、こんなところで騒ぎ立てるのも大人気ないと見たのか、あるいは、敵の出方を見ようとしたのか、結局、おやっさんの指示に従う。
ただ、ここ、あんなに心配していたおやっさんが付き添わず、敬介一人に任せるというのも、なんか不自然なんだよね。
それに相手は仮にも女の子なんだから、こんな場合。チコやマコを一緒に行かせるのが筋と言うものだろう。
ともあれ、敬介はなんとなく不承不承と言う感じで、少女を抱きかかえて自分の部屋に連れ帰り、

まるで自分の子供の世話をするように、てきぱきとベッドに寝かせてやる。
少女「私ひとりにさせてください」
敬介「……」
いたいけな少女と二人きりと言う、長い間夢にまで見たシチュエーションにいるというのに、敬介が浮かない顔をしているのは、くどいようだが、
「少女が好みのタイプではないから」ではなく、相手がGODの一味だからである。
敬介は言われたとおり自分の部屋を明け渡して出て行くが、いささか解せない態度である。
そりゃ、相手にボロを出させるのが目的なんだろうし、設計図は別の場所に隠してあるので部屋をいくら引っ掻き回されても平気だということなんだろうが、腹いせに、部屋の中に汚物を撒き散らされたり、放火されたりしたらどうするつもりだったのだろう?

と、敬介と入れ替わりにチコとマコが部屋の前までやってきて、鍵穴から部屋の中を覗き込むのだが、これまた唐突に感じられる。
何故なら、彼女に焼餅は焼いても、その正体を怪しんでいるような素振りは一切見せなかったからである。
あと、この廊下の感じや部屋の並び方が、マンションと言うより、まるっきり病院か研究所みたいに見えるのがご愛嬌。
さて、少女はひとりになるや否や、ベッドから起き上がって部屋の中を空き巣のように引っ掻き回し始める。
チコ「何してるのかしら、あの子」
マコ「泥棒!!」
チコ「まさか」
二人がそっとドアを開けて中に入ると、

気配に気付いた少女が振り向くのだが、

チコ&マコ「あっ」
それを見て、目玉が飛び出るほど驚く二人。
小姑みたいに細かいと文句を言われそうだが、このシーンも、ちょっと分かりにくい。
仔細に見れば、少女の口から牙が生えているのが分かるのだが、

まず、このように、正面から少女の異相をはっきり映してから、二人の驚くカットに繋ぐべきだったと思うのだ。
少女「見たな、二人とも」
チコ「あなたは」
少女「お前たちは運のいい子だね、あたしの素顔が拝めるなんて」
少女は、大人の声で喋りながら、扇子で顔を隠し、

その下から、ムカデヨウキヒの姿となってあらわれる。
……
仮にも世界四大美女の楊貴妃をモチーフにしてるんだから、もうちょっと綺麗な造型にして欲しかったデス。
あと、楊貴妃って別に悪人じゃないと思うんだけどね。

チコ&マコ「きゃあっ!!」
てか、襲われている二人のほうがよっぽど綺麗だっての。
と、何処に行っていたのか、敬介がバイクで戻ってくるのだが、二人の悲鳴を聞いて振り仰ぐ。
うーん、少女が怪しいと睨んでいながら、その出方を見るでもなく「どっか行ってた」と言うのは、物凄く納得いかない行動である。
敬介、自分の部屋に飛び込むと、チコとマコの姿はなく、ムカデヨウキヒがいるだけだった。
敬介「貴様、GOD」
ムカデ「いかにも私はGODの悪人軍団のひとり、ムカデヨウキヒさ」
敬介「ヤン博士のお嬢さんは何処だ?」 えっ、敬介、少女の正体に気付いてたんじゃないの?
まあ、考えれば少女がGODの一味と睨んでも、怪人が化けているとまでは分からないだろうから、とりあえず聞いてみたのだろう。
あ、ちなみに、ムカデのよっちゃんの声は、スプーンおばさんの能瀬礼子さんです。
この後、川の堤防の上で戦闘員たちと戦う敬介。

チャイナ服を着ているだけでなく、武器もヌンチャクを振り回しているのが芸が細かい。
敬介、ライダーに変身してムカデヨウキヒと戦うが、途中で逃げられる。
キングダークはえらいお冠で、

キングダーク「ばかものめ、誰が力尽くで設計図を奪えといった? お前のその美貌にものをいわせ、神敬介から騙し取れといったのだ」

「その美貌」ねえ……極上のイヤミにしか聞こえない。
キングダーク「もうお前たちには任せられん、神敬介の設計図はこのワシが奪ってやる」
ムカデ「えーっ、キングダーク様が?」
キングダーク「ムカデヨウキヒよ、直ちに神敬介を悪魔の墓穴におびきだせ」
どうでもいいが、「神敬介の設計図」って言うと、RS装置の設計図じゃなく、Xライダーの設計図みたいに聞こえるなぁ。
後編に続く。
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