第10話「野球の敵を場外へ飛ばせ」(1977年4月6日)
原作者・石森章太郎さんをゲストに迎えたスペシャル回である。
冒頭、

とあるビルの屋上から、副都心の高層ビル群を眺めながら、今回、いやと言うほどリフレインされることになる「二人の地平線」を弾いている早川。
ついで、おそらく同じビルの一室と思われるが、ホワイトゴーグルズと言うバンドが、同じ曲の練習をしているシーンに飛ぶ。
川口「いいぞ、調子が出てきた、石森選手の誕生パーティーはあさってだ、頑張ろう」
バンマスである川口と言うドラマーが仲間を励ます。
と、そこへ、挨拶もなしに無断で早川が入ってきて、ギターで彼らの演奏に加わる。

高らかにトランペットを吹き鳴らしていた島田と言う青年が、早川の存在に気付いて目で笑って見せる。

早川が、それに応えて微笑み、いかにも楽しそうにギターを弾く姿が、妙に可愛いのだった。
演奏が一区切りすると、島田は待ちかねたように早川に握手を求める。

早川もその手をがっちり握り、二人して愉快そうに笑った後、
島田「で、誰?」 早川「……」
じゃなくて、
早川「突然入ってきて失礼しました」
島田「いいえ、とんでもない。でも、この曲をどうしてご存知なんですか」
早川「私の親友の作曲なんです」
川口「飛鳥さんの親友? こいつは意外だ。飛鳥さん、今どうしてます?」
バンマスが懐かしそうに尋ねると、早川は急に暗い面持ちになって、
早川「死にました」
川口「死んだ?」
早川「いいえ、殺されたんです。私は犯人を追ってます」
川口「そうですか……」
しんみりした雰囲気となるが、そのとき、銃声が鳴り響き、島田は心臓を撃たれてもんどりうって倒れる。

天井のハッチからピストルで島田を狙い撃った黒やもり組の組長・黒やもりは、スタコラサッサと逃げ出す。
組織のボス自ら手を下すとは珍しい。
ちなみに黒やもり組と言う組織名は設定上の名称で、劇中では一度も使われない。
早川「待て!!」
早川が急いで追いかけるが、その行く手に立ち塞がり、ボスを逃がしたのが今回の用心棒トミーであった。
用心棒が用心棒らしい仕事をした、シリーズでは稀有な事例である。

トミー「よしな、無理して通ると怪我するぜ」
早川「なるほど、黒やもりの用心棒・トミーさんの御出現ですか」
トミー「ヒューッ、それじゃ俺が日本一のペット吹きだって言うことも知ってるだろうな」
早川「ふっ、ちょっと違いますね……」
と言う訳で、いつもの珍芸対決となるのだが、日本一のペット吹きが、なんでヤクザの用心棒なんかしてるのよっ!!
普通にトランペッターやったほうがよっぽど実入りがいいだろうに……
あと、そういうパターンとは言え、意気投合した青年がたった今殺されたばかりだと言うのに、トミーがあらわれた途端、早川がケロッとそのことを忘れて笑顔になるのは、どうにも解せないのである。
ともあれ、先攻のトミーは、特殊なトランペットから吹き矢を放つが、あっさり早川にキャッチされる。
しかし、これでは吹き矢を吹いてるのと大差なく、わざわざトランペットを武器にする必然性が感じられない。
殺傷力なら、普通に銃を使ったほうがよほど高いだろうし。

早川「今度は俺の番だぜ」
早川に要求されて、律儀にトランペットを投げ渡すトミー。
早川は気取った手付きでベルから吹き矢を入れると、舌なめずりをしてマウスピースに口をつけ、トミーにトランペットを向ける。
トミー(あれ、ひょっとして、俺、人生最大のピンチ迎えてない?) ここで漸く重大な事実に気づくトミーであったが、もはや手遅れ。
……と言うのは嘘だが、早川がその気になれば簡単にトミーを殺せていたのは確かで、何も考えずにトランペットを人手に渡しているトミーがアホに見えるのは確かである。
無論、早川がそんな不粋な真似をする筈がなく、くるりと後ろを向いて吹き矢を二本放ち、一旦雨樋に当てて、その跳弾でトミーの帽子と胸ポケットのハンカチを飛ばすと言う、早川にしてはパンチの弱い技を披露する。

早川はそのまま「二人の地平線」を少し吹くと、ご丁寧にマウスピースをスカーフで拭ってから返してやる。
早川「ボクちゃんの勝ちね」
トミー「くっ」
尻尾を巻いて逃げるトミーに投げキッスまでしてやる早川だったが、急に思い出したようにさっきの部屋に引き返すと、すでに島田は冷たくなっていた。

川口「とてもイイ奴だったのに……」
いや、なにはともあれ、救急車呼べよ……
早川、神妙な顔で帽子を脱ぐと、
早川「お気持ちは分かります……」
そう言って、飛鳥が惨殺された時のことを回想するのだった。
ただねえ……直前まで投げキッスまでして浮かれてた人にそんな沈痛な表情でお悔やみを言われても、なんか素直に受け取れないんだよね。
川口は拳を握り締め、
川口「犯人を捕まえてやりたい、でも、こいつの言い残した遺言は……俺のパソコンのデータを消去してくれと……ただそれだけだったんですっ!!」
早川「……」
じゃなくて、
川口「……石森選手の誕生パーティーを成功させてくれと、ただそれだけだったんですっ!!」
早川「……」
しかし、なにも遺言でそんなこと言い残さなくても……
言うても、ただの誕生パーティーやで?
石森選手の方で気兼ねするで。
それはともかく、次のシーンでは、早くもその誕生パーティーのシーンとなっていて、

司会「全国の良い子の為に、テレビ局が贈るささやかなプレゼント、石森選手の誕生パーティーです。演奏はホワイトゴーグルズ!!」
司会の掛け声にあわせて、花束を手に椅子に座っている石森選手のバックで、トランペッターが立ち上がり、「二人の地平線」を吹き始める。
司会「日本一のホームラン王であり、名三塁手でもあった石森選手、栄光のビッグハンズは永遠に不滅です、の名言を残した石森選手に心からの拍手と声援を送ろうではありませんか」
それにしても、劇中の話とは言え、引退した野球選手の誕生パーティーだけで単発の番組が作られるほどに、当時はプロ野球が大人気だったのだなぁ。
ところが、演奏の途中で、トランペットの先から吹き矢が発射されて石森選手の体に刺さる。
石森「ぐわっ、助けてくれ~」
毒が塗ってあったのだろう、石森選手は苦しそうに呻きながら椅子から転げ落ちるが、何故か、司会者もバンドメンバーも、平然とその様子を眺めている。
それどころか、石森選手が二本目の吹き矢でトドメを刺されると、メンバーは立ち上がって喝采を上げる。
それもその筈、彼らは黒やもりの下っ端たちの変装で、トランペッターはあのトミーであった。
さらに、照明が明るくなると、

L「リハーサルは大成功だ、本番もその調子で頼むぞ」
そこがテレビ局のスタジオではなく、Lの執務室であることが分かる。
そう、彼らは石森選手暗殺の予行演習をしていたのだ。
だからって、何も首領の部屋でやらなくても良いと思うんだけどね……

L「黒やもり」
石森「ふっはははははっ」
と、死んだはずの石森選手が起き上がり、不敵な笑いを放つと、

自ら変装用のマスクを剥がし、黒やもりの顔になる。
黒やもり「ぬかりはございません、首領L、すでにホワイトゴーグルズのペット吹きは私が始末してあります、その後釜にこの殺し屋ペット吹きのトミーが入れば」
トミー「万に一つもしくじることはねえぜ」
そう、島田青年を殺したのは、そのためだったのである。
島田「そんなことで殺すなよぉおおおっ!!」 と言う、島田っちの魂の叫び声が聞こえてきそうである。
だったら、別に殺さなくても、腕を怪我させるとかでいいじゃん。
L「ただ殺すのではないぞぉ、うーんと苦しめろ、憧れの石森選手が醜く殺されるさまをテレビに映し出し、全国の少年たちの夢をぶっ壊してやるのだ!! ふっはっはっはっ」 原作者と共演と言うことで、いつになくテンション↑↑のエルやんでした。
要するに今回の暗殺計画、何か具体的な実利がある訳ではなく、ひたすら子供たちを嫌な気持ちにさせるためだけにスター選手を殺そうと言う、まるでオクトパスやテンタクル、あるいはヘドリアン女王がやるような、功利的なダッカーには珍しい、形而上的な作戦なのである。
ちなみにシナリオでは、一応、石森選手がダッカーへの献金を断ったからと言う理由付けがしてあったらしい。
ところがぎっちょん、

トミー「なんだと、ここでペット吹きを探しているというから来たんだぜ」
川口「せっかくおいで頂いたのに申し訳ありません。ペットはたった今決まったところです」
トミーが意気揚々と面接に行ったら、すでに後任のトランペッターは決まっていたという、見てるほうまで気恥ずかしくなるようなバツの悪い展開となる。
追い討ちを掛けるように、トミーがその場で腕前を披露しようとすると、
川口「その必要はありません、うちのペットはこの竜一君以外にはありません」
トミー「くそおっ!!」
にべもなく断られ、トミーは悪態をついて退場する。
トミーにとって、これから死ぬまでつきまとうであろう、屈辱的な出来事であった。
もっとも、後任のペット吹きに自分が選ばれる筈だと思い込んでいたことがまず間違いなんだよね。
別に世の中にペット吹きがひとりしかいないわけじゃないし、仮に選ぶとしたら、見ず知らずのトミーより、知り合いのトランペッターを選ぶのが人情だからね。
それ以前に、すでに早川にその正体を見破られているのだから、早川がこの場にいれば一発でアウトになっていただろう。
まあ、「悪の組織」の立てる計画と言うのは、往々にしてこういう独善的なものが多い。
竜一「うわーっ、やったぞーっ!!」
それはさておき、後任に抜擢された竜一は、トランペットを手に小躍りしながら歩道を駆け抜ける。
ここでやっと今回の主役と言うべき竜一が登場するのだが、はっきり言って遅過ぎる。
リハーサルのシーンなどは視聴者の意表を突いてなかなか面白いのだが、その分、竜一&テツオ兄弟の描写に当てられる時間が削られ、ドラマとして中途半端になっていることは否めない。
なので、島田青年は出さず、最初から竜一がトランペッターと言うことにして、黒やもりに狙われて負傷するが、弟の為に怪我を押してペットを吹こうとする……みたいな話にすべきだったのではあるまいか。
さて、竜一が息を弾ませて向かった先は、意外にも病院だった。
竜一「テツオ、決まったぞ、兄ちゃん、テレビに出るんだぞ、石森選手の前でペットを吹くんだぞ」

テツオ「えっ、ほんと? 凄いや、兄ちゃん!!」
兄の言葉に、思わず上半身を起こし、目を輝かせる弟テツオ。
演じるのは、当時の色んな作品に出ている大栗清史さん。

竜一「兄ちゃん頑張るからな、お前も頑張って手術受けるんだぞ」
テツオ「うん!!」
そして、兄・竜一を演じるのが、TACの吉村隊員こと佐野光洋さんなのだった。
「A」と比べると、だいぶ顔が丸くなったなぁ。
その後、竜一が病院近くの川べりで「二人の地平線」を吹いていると、例によって例のごとく、ダッカーのチンピラたちが絡んでくる。

竜一「なんだよ、俺が何したって言うんだよ」
戦闘員「静かにしな、今殺してやる、ただし、散々痛めつけたあとでな」
島田青年の時のようにさっさと射殺すればいいものを、首領Lの変なところに感化されたのか、意味もなく竜一をいたぶろうとしているうちに、今度はギターバージョンの「二人の地平線」が流れてくる。
無論、早川であった。
戦闘員「なんだ貴様」
早川「地獄から来た渡り鳥」
戦闘員「なんだと」
早川「よしな、景色が逆さに見えるようになるぜ」
早川はあっという間に彼らをぶちのめし、そのうちの二人をスケキヨ状態にして、ほんとに逆さになった景色を見せてやるのだった。

早川「君は狙われてるんだ、つらいだろうが、しばらくは弟さんのところに顔を出さないほうがいいな」
竜一「それじゃ、テツオが?」
早川「君が殺されたら、弟さんはもっと悲しむだろ」
前記したように、二人に割かれる時間が短いので、すでに早川が彼ら兄弟のことを知ってる設定になっているが、あまりに駆け足過ぎて、彼らに感情移入するのが難しくなっている。
たとえば、ここで竜一に、自分たち兄弟がどんな風に生きてきたのか語らせれば、多少は違ったと思うんだけどね。
が、その暇もなく、今度はテツオが竜一を探しにやってくる。

竜一「馬鹿、お前、そんな体で」
テツオ「だって、だって俺心配だったんだもん」
竜一「テツオ!!」
テツオ「兄ちゃーん」
竜一の体にしがみついて泣きじゃくるテツオ。
ここも、あまりに展開が急過ぎて、視聴者がおいてけぼりにされている印象がある。
早川「テツオ君、心配しなくていい、兄ちゃんは僕が責任を持って守ってあげる。だから君は勇気を出して手術を受けるんだ。いいね」
テツオ「うん!! 」
見ず知らずの人にそんなこと言われて、テツオが何の迷いもなく頷くのも、なんか雑である。
などとやってると、みどりさんとオサム(呼び捨て)が息せき切って駆けつける。
みどり「早川さーん」
オサム「探したんだよ、随分」
二人の様子から、てっきり早川に何か重要なことを伝えに来たのかと思いきや、特にそう言うことはなく、

川口「え、代わりにあなたがペットを?」
早川「ええ、奴らの計画を防ぐにはそれしかありません。奴ら、石森選手を狙ってるんです」
川口「……」
次のシーンでは、早川が竜一の代わりに自分がペットを吹くと申し出ているシーンになっていて、軽く肩透かしを食ってしまう。
要するに、二人は久しぶりに早川に会えたので、興奮していただけだったのである。
また、この段階で早川が敵の狙いを見抜くというのも、やや唐突な感じがする。
川口から、トミーが面接に来たと聞かされた後なら分かるんだけどね。
第一、竜一の身を守るために早川が代役を務めると言うのは本末転倒の気がするのである。
早川自身が言っていたように、本番まで「責任を持って」竜一の安全を図るのがヒーローとしての本務であろう。
一方、竜一は、早川の指示で、ビルの機械室のよう部屋に隠れていた。

オサム「ダメだ、出ちゃダメだって早川さんが言ったじゃないか」
竜一「放せよ、ペットの練習をしなきゃならないんだ」
ふらふらと出て行こうとするのを、見張り役のオサムが必死に止める。
オサム「そのペットも早川さんが代わりにやるからって……」
竜一「それじゃテツオはどうなる、テツオはな、俺がテレビに出るのを楽しみにしてるんだ、石森選手の前でペットを吹く俺を見たら勇気を出して手術を受けるって言ってるんだ」
オサム「ダメだ、表に出たら殺されちゃうよ」
この手の話、「ウルトラセブン」の「勇気ある戦い」など、特撮ドラマでは定番中の定番のプロットだが、正直、あまり好きではない。
なんつーか、上手く言えないのだが、
我儘言うな、手術して貰えるだけでもありがたいと思えっ!! って、感じですかね。
まあ、手術の成功率が低く、失敗すれば死ぬ可能性が高い場合ならともかく、このテツオの場合、そもそも一体何の手術を受けるのか、成功率はどのくらいなのか、などの基礎的データが一切開示されていないので、見てるほうも判断に困るのだ。
CM後、結局竜一はオサムを振り切って外へ出るが、たちまち戦闘員に見付かってしまう。
考えれば、これも変な話ではある。

みどり「今日はいよいよ手術ね、頑張るのよ」
一方、テツオは羨ましいことにみどりさんにつきっきりで看病してもらっていた。
が、
テツオ「お兄ちゃんのテレビ見てからじゃなきゃイヤだ~」
と、駄々をこね、みどりさんを困らせる。
みどり「でもぉ」
おそらく、早川が身代わりになっていると知られてはまずいから、テレビは見せないように言われているのだろう。
早川はホワイトゴーグルズのメンバーとしてテレビに出る準備をしていたが、オサムが竜一がいなくなったと知らせに来たので慌てて外へ飛び出す。
そして戦闘員に囲まれていた竜一を助け出すが、そのあいだに、トミーはホワイトゴーグルズの衣装を着てまんまと早川になりすまし、所定の席に着く。
なにしろ、その名のとおり、メンバーは大きなゴーグルを顔につけているので、ちょっと見ただけでは区別がつかないのだ。
要するに、誰が吹いていようとテツオにはそれが兄かどうか確かめる術はなかった訳で、なんか、この話、根本的におかしくないか? と思ったり思わなかったりする管理人であった。
ともあれ、いよいよ本番開始。

司会「お聞きください、全国30万人のファンに代わってホワイトゴーグルズが石森選手に捧げるのはこのメロディーです」
司会の言葉にあわせて、竜一に扮した早川に扮したトミーが立ち上がり、高らかにペットを吹き鳴らす。

テツオ「兄ちゃんだ、兄ちゃんが石森選手の前で吹いてるんだ」
それをテレビで見て、露ほども疑わず歓声を上げるテツオ。
それもその筈、

テレビと言ってもこーんなちっちゃなテレビなので、その顔がアップになりさえしなければ、まず見破られることはないのである。

その曲を「うんうん」と頷きながら聴いている石森選手。
テツオ&みどり(長い……) ……と言うのは嘘だが、管理人がそう思ったのは事実である。
なにしろ、それまでにもトランペットやギターで、いやと言うほど同じメロディーを聞かされているので、いい加減に耳タコなのである。
こういう演奏シーンがやたら多いことも、ドラマ要素が希薄になってしまった原因だろう。
と、メロディーが佳境に入ったところでトミーがいよいよ殺人トランペットを吹こうとするが、その前に立ちはだかったのが、同じ衣装をまとった竜一であった。

テツオ「兄ちゃんが二人になった!!」
竜一「そのトランペッターはニセモノだ!!」 と、叫ぶのだが、そう言う台詞は素顔を見せて言わないとダメだろう。

で、ややこしいことに、さらに早川まで同じ恰好でトランペットを吹きながら登場。

こうして、ヒーローと悪人が競うように同じ曲を吹くと言う、珍シーンとなる。
しかし、トミーがすぐやらなかったから良いようなものの、演奏開始と同時に吹き矢を放っていたら、早川はどうするつもりだったのだろう?
ホワイトゴーグルズの衣装に着替えている暇があるなら、さっさと来んかと言いたくなる。
その後、スタジオに潜り込んでいた戦闘員たちがロープで早川の体を押さえている間に、黒やもりたちが石森選手を屋上へ連れて行く。
いや、石森選手が死ぬところをテレビで子供たちに見せ付けるんじゃなかったの?
竜一が、弟を鼓舞する為に石森選手の前でペットを吹くと言う話もどっか行っちゃったし、はっきり言ってもうめちゃくちゃである。

ついでに、肝心の処刑方法が、あんなに張り切っていたトミーの吹き矢じゃなく、銃殺刑と言うのもなぁ……
つーか、そんな簡単にスタジオに入り込めるのなら、何もトランペッターに成り済まさなくても、放送中にピストルで撃てば良かったのである。
ここで、ズバッカーが飛んできて、ズバットは石森選手の前に着地すると、

ムチを振り回して戦闘員たちのピストルを弾き飛ばし、生みの親の命を救う。
ズバット「石森選手、早く(はけて)!!」
石森「はいっ」
石森選手を逃がしてから、より高い場所に飛び上がると、

黒やもり「なんだ、貴様」
ズバット「ふっはっはっはっはっ、ズバッと参上、ズバっと解決……」
いつもの決め台詞を放ち、ポーズを決める。
こうなればもう書くことはないのだが、

調子に乗って殺人トランペットで戦いを挑んだトミーが、あっという間にぶちのめされていたことを笑いを堪えながら読者の皆様にご報告したい。
いやね、その前に戦闘員がピストルをガンガン撃ち、その弾をズバットがムチで叩き落しているだけに、それより明らかに殺傷力の劣る武器で立ち向かった僕らのトミーが、稀代の勇者か、あるいは
底抜けのバカにしか見えないのである。
この後、バイクで逃げ出した黒やもりをズバットがズバッカーで追いかけるという、余計なチェイスシーンの末、

今にも、筑波洋が出て来て
「よお、みんな、元気でやってるか? (中略)次週はこれだ!!」などと言いそうな場所で追い詰めると、ムチを首に巻きつけて痛めつけながら「飛鳥五郎と言う男を殺したのは貴様だな?」と、いつもの尋問を行う。
が、黒やもりは拷問されてもひたすら「知らん」と言うだけなので、ズバットは犯人にするのを諦めてズバットアタックで倒す。
その後、東条が駆けつけるが、出番がこれだけと言うのは悲しい。
そう言えば、黒やもり、せっかくの天知先生ばりの変装技術も、リハーサルのときの石森選手と言う、無理にやる必要なくね? 的なことにしか使ってないのが残念である。
地平線の向こうに沈み行く夕陽を眺める早川の後ろ姿に続き、みどりさん、オサム、竜一が走ってきて土手の上に上がり、

三人「早川さーん!!」
と、口々に叫ぶシーンでエンディングとなり、視聴者はまたしても「二人の地平線」を聞かされるハメとなる。
せめてこういう回くらい、2番を使うとか、ちょっとした工夫が欲しかったところである。
以上、石森先生のゲスト出演回だというのに、ツッコミどころがやたら多い凡作であった。
最大の問題点は、石森選手暗殺計画と、竜一とテツオの兄弟愛の物語とがうまく融合しておらず、ドラマとしての焦点がぼけてしまったことだろう。さらに、冒頭のトランペッター殺しや殺人リハーサルなど、余計なエピソードを盛り込み過ぎたため、演出に余裕がなくなり、あらゆる要素が中途半端になってしまった印象だ。
……
つーか、手術はどうなったんだよっ!! そう、一番忘れちゃいけないテツオの手術が、全くフォローされることなく終わっていたのである。
ま、ほんとは竜一の口から「テツオは勇気を出して手術を受けてくれました」みたいなことを言わせたかったのだろうが、なにしろ、竜一、結局ペット吹かなかったからなぁ……
時間の余裕があれば、戦いの後、改めて竜一が石森選手の前でペットを吹く……なんてシーンを入れられたかもしれないのに。
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