第7話「デンジ星の大悲劇」(1980年3月15日)
冒頭、意味もなくケラーとミラーがベリーダンスを踊る中、ヘドリアンが意味もなく仰々しい儀式を行い、伝説の怪人ウミツラーを誕生させる。

ヘドリアン「お前の祖先はデンジ星を滅ぼした最強のベーダー怪物であった。お前も祖先に負けぬよう、しっかりと働くことじゃ」
そう、ウミツラーは、3000年前、デンジ星を滅ぼしたウミツラーの末裔なのである。
ちなみに初代ウミツラーは地球に向かうデンジランドに侵入し、デンジ星人たちを皆殺しにしたが、その際、自分も命を落としてしまったのだろう……か?
ウミツラーはケラーたちと一緒に、東京に水を供給しているダムにやってくる。

ウミツラー「水よ、腐れ、湖も川も、海も腐ってしまえ」
ウミツラー、体から、赤い、アメーバのような物体をダム湖に投げ落とすと、それがたちまち増殖し、まるで赤潮が発生したかのように、水面が真っ赤になってしまう。
ちなみにウミツラー、伝説の怪人の末裔と言う割りに、フィッシングジャケットにクーラーボックスを肩にかけた、休日のお父さん的緊張感のない姿をしている。
ケラー「おお、素晴らしい繁殖力だ」
ウミツラー「48時間もすれば腐敗指数98度となる」
三人は次にダム水質検査所に行く。
何の説明もないのだが、これはダムサイトの施設の一部で、ベーダーが乗っ取っているのだろうか。
しかし、ダムの職員が一人も出て来ないのはちと物足りない気もする。

ウミツラー「ウミツラーバクテリアの繁殖力はたいしたものです、今にダムの水も川の水も海の水も腐りきってしまいます」
ケラー「ダムの水、川の水、東京湾の海水、これらの腐った水を東京に集中させてヘドロの海に沈めてしまう」
ウミツラー「はい、そのためには腐敗指数98度以上の腐った水が必要です。98度になり次第、行動いたします」
さて、その利き目は早くもダムの下流であらわれ、釣りをしていた男性がアメーバに襲われて石膏のようになって死んでしまう。
ついで、

シャワールームの排水溝からアメーバが溢れ出し、生き物が手を伸ばすように、標的に向かって行くのだが、

その先にいたのがこんなの↑だったので、全裸美女が襲われるのを股間を熱くして待っていた全国のおっきなお友達が怒り狂い、
「てめえ、ふざけんじゃねえっ、金返せっ!!」などとテレビに向かって怒号した声が、ピョンヤンまで届いたと言う。
しかし、実際、これは萎えるよなぁ。
特撮でシャワー中に襲われるのは、若くて綺麗な美少女に限るってことは、六波羅探題が設置された頃からの常識でしょおおおおっ?
それはともかく、雨の降る中、傘も差さずに用水路のそばで事件について話している赤城と黄山。

赤城「顔が石膏のようになる……」
黄山「念のため、この一帯の下水道を調べた方がいいな」
赤城「うん……おい、この雨、肌を刺さないか?」
黄山は拳についた雨を舐めて、
黄山「酸性の雨だ」
赤城「おい、見ろ」
赤城の指差した方を見ると、通行人の持っているビニール傘がぼろぼろに溶けていた。
しかし、ビニールが溶けるくらいなら、赤城たちの肌にもかなりダメージがないとおかしいんだけどね。
ついで、下水道の中を青梅と緑川が歩いて調べているシーンとなるのだが、あちこちで蠢いているアメーバに気付かないのはともかく、水質を調べる為のサンプル採取さえしないと言うのは物足りない。
彼らが気付かないあいだに、ウミツラーバクテリアは都会のマンホールから溢れ出るほどに増殖し、

高速道路を支えるコンクリートの柱を腐食させ、大惨事を引き起こす。
それらの事件を伝える新聞を眉間に皺を寄せて読んでいる赤城。
赤城「軟体物大量に出現……ビル、道路を次々と破壊」

あきら「はい、学校も休校だそうよ」
そこへ相変わらず美しいあきらがコーヒーを運んでくる。

緑川「このところ不可解なことばかりだな」
あきら「そうね」
赤城「おい、釣り人が襲われてるぞ、やはり石膏化してる」
あきら「○○○ダムの近くね」
などとやってると、源一が慌てた様子でやってきて、
源一「コーチ、ちょっと来てくれよ」
赤城「どうした?」
赤城と黄山は、源一と一緒にゆみ子の住んでる団地へ行く。
部屋にはレギュラー子役たちが集まって、ゆみ子がしくしく泣いていた。

赤城「どうした?」
三太「見てよ」
ゆみ子「金魚が……」
赤城「石膏になってる」
水槽を見ると、金魚が石膏化して浮かんでいた。
石膏が浮く……?
ま、それはともかく、水槽にはあのウミツラーバクテリアがうようよしていた。
赤城は、ゆみ子に水槽の水を流しに捨てさせるのだが、捨てた直後、排水口からアメーバが逆流していた。
もっとも、その後、ゆみ子たちがアメーバに襲われたと言うようなことはなく、なんだかなぁと言う感じである。

赤城と黄山が問題のダムへ行くと、貯水池がほとんど固形状のアメーバによって埋め尽くされていた。
赤城「死んでしまってる、ダムが……」
しかし、ここまで腐敗してしまうと、水が流れなくなって逆に拡散しにくくなるような気もする。
アメーバは海にも広がりつつあった。
とある浜辺に、残りの三名が立って周囲を眺めている。

あきら「いつもの海と違うわ」
青梅「変な臭いがするなぁ」
緑川「下水道で聞いた音だ」
青梅が海辺を歩いていると、ウミツラーが自分の体をばらばらにして音もなく近付き、その手足と口を封じて押さえつける。
ちょうどアンパンを口に入れていたので叫ぶことも出来ず、あきらと緑川は全く気付かない。

緑川「おかしいな」
下水道でも聞こえた、唸り声のような、地響きのような奇妙な音に気を取られる緑川であったが、

異変は彼らの背後で進行中であり、青梅が誰にも知られず窒息死させられそうになっていた。

緑川「なあ、ブルー? ブルー? ブルー!!」
ここでやっと緑川が青梅の不在に気付き、怪物に絡みつかれて地中に引き摺り込まれそうになっているのを知る。

二人は慌てて走り出し、デンジマンに変身してウミツラーに飛び蹴りを食らわせる。

ウミツラー「ヘヘ、ドド、へードド、ヘードド、ドドヘイ、ドドヘイ」
人を小馬鹿にしたような掛け声を上げつつ、前を向いたり後ろを向いたり、せわしくなく動きながら逃げていくウミツラー。
ついで、干潟の上に横たわると、自分の体をアメーバ状に変えて、泥の中に吸い込まれるように消えてしまう。
要するに、ウミツラーは、ウミツラーバクテリアの巨大な親株のような存在なのだろう。

ウミツラー「あー、忙しい、忙しい……」
続いてウミツラー、「忙しい」を繰り返しながら、海岸近くに座礁している廃船の中にある、アジトにやってくる。
ウミツラー「腐敗指数はどうかな?」

ウミツラーがスイッチを入れると、モニターに各地の腐敗指数が表示される。
ウミツラー、98に拘ってるようだが、正直、97.5と98に何の違いがあるのか分からず、さっさと行動を起こせば良かったのではないかと思う。
ま、行動と言っても、すでに各地の水源が腐敗しているのだから、これで十分作戦は成功しているように見える。
現に、水道や下水からアメーバが溢れるくらいなのだから、都内の給水網にアメーバが蔓延していることは明らかであろう。
デンジマンは遅蒔きながらアメーバの分析を行う。
黄山「バクテリアの性質と、プランクトンの性質を同時に備えている」
赤城「こいつのためにダムも川も海もまるで赤潮のようになってしまったんだ」

青梅「恐ろしい奴だな」
緑川「恐ろしいと言えばあの怪物だ、まるで捉えどころがない」

あきら「分散したわね、軟体状に……」
今更だけど、常に若い女性のフトモモが目に飛び込んでくる職場って、サイコーですね!!
赤城はあきらに命じて、ウツミラーと戦ったときの記録映像をスクリーンに投射させる。
と、それを見ていたアイシーが威嚇するように唸り始める。
青梅「うるさいぞ、アイシー」
赤城「アイシー、どうした」
青梅「こいつ変だな、急に」
赤城たちが不思議がっていると、AIの落ち着いた声が喋り出す。
声「ベーダー怪物ウミツラーだ」
赤城「ウミツラー? あの怪物のことか」
声「デンジ星はウミツラーに襲われたのだ」

赤城「えっ、デンジ星はあの怪物に?」
声「アイシー、お前の記憶装置を作動させ、デンジ星の記録を映し出せ」
AIの指示で、アイシーの目から記録映像が投射され、デンジ星滅亡の模様がつぶさに語られる。

声「デンジ星は平和な星だった、科学と自然がマッチし、人々の顔には常に笑顔があった」
赤城「笑顔なんだから、顔にあるのは当たり前では?」 声「やかましい!!!」 時と場所をわきまえない赤城の揚げ足取りに、感情のないAIでさえブチ切れるが、嘘である。

声「ある日、水道から軟体物が出た、海が腐り、霧雨が降り続いた、花や植物が全て枯れ果てた。霧雨には酸が混じっていた。そのためにビルや高速道路の鉄骨が腐った」

声「ウミツラーは腐った海を津波にした。人も街も全てが溶けてしまった」
巨大な初代ウミツラーが暴れ回っている図となるが、初代の時点でフィッシングジャケットとクーラーボックスを持ってるというのは、さすがにおかしくないか?

声「デンジ星の科学者たちはベーダー一族の侵略に気付いて……」
3000年前から、全然顔が変わってないヘドリアンとヘドラーの図。
完全な化け物である。
あと、衣装まで3000年前と同じって、どんだけ物持ちがええねん。

声「ダイデンジンを組み立てた、だが、時すでに遅く、デンジ星の科学者と生き残った僅かな住民は完成したダイデンジンと共に太陽系の地球に向けて脱出した。地球に移住しようと思ったのだ。だが、デンジランドにも軟体物が紛れ込んでいたのだ」
赤城「え、それじゃ人々は?」
声「全員戦って死んだ。アイシーだけがカプセルの中にいて助かったのだ」
しかし、ダイデンジン(とデンジタイガー)が完成したのなら、それでベーダーと戦えば良いのでは?
多分、楽勝でベーダー城を潰せていたと思うが。
あと、軟体物が入り込み、人々が全滅したほどなのだから、当然、デンジランド内のメカにも多大な損傷が生じていたと思われるのに、無事に地球まで到着しているのは解せないなぁ。
赤城たちが初めて入ったときも、内部は全く無傷だったからね。
ついでに、デンジ星、地球よりかなり科学が発達した星だと思われるのに、ベーダーの侵略とまでは気付かないにしても、軟体物を除去することが出来なかったと言うのは、これまた不思議な話である。
ともあれ、デンジ星の悲劇を聞いた5人は厳粛な面持ちとなるが、
5人(イラストやん……) どうにもその点が気になったのだが、口に出して言うと、なんかとんでもないことが起こりそうな気がしたので、無言を貫くのだった。

赤城「そうだったのか、デンジ星はあの怪物にやられたのか」
緑川「そういや、奴が言ってたな、今にヘドロの海に沈めてやるって」 言ってませんが……
とにかく、軟体物の発生源と思われるウミツラーを倒すしかないと言うことになるが、
緑川「しかし、どうやって倒す?」
赤城「陽動作戦だ、わざと隙を見せるんだ、きっと食いついてくる」
黄山「そこで逆に尾行」
と言う訳で、陽動作戦とやらが開始される。
具体的には、

赤城とあきらが、お似合いのカップルのようにショッピングに興じたり、

青梅たちが子供たちとバスケをしたり、完全に油断している姿を示すのである。
……いや、これ、陽動作戦じゃないのでは?
単に油断させてるだけだよね。
第一、現に高速道路やビルの崩壊、人間の石膏化現象が至るところで起きている筈なのに、デンジマンが何事もないように遊び興じているのはめちゃくちゃ不自然で、かえってベーダーを警戒させるだけのようにも見える。
なお、管理人が二枚目の画像をチョイスした理由は、良い子のみんなには言わなくても分かるよね?
だが、彼らを見張っていたケラーとミラーは、全く怪しまず、

ミラー「ダムは腐敗した。後は海だけよ」
ケラー「デンジマンたちのうろたえる顔が見えるようだわ」
勝ち誇った顔で車を飛ばし、ダム水質検査所に行き、各エリアの腐敗の状況を確認する。
で、それをレッドたちが尾行してその場所を突き止めるのだが、ケラーたちがアジトに寄らず、じかにベーダー城に戻っていたらどうするつもりだったのだろう?
そもそも、ケラーたちはただ腐敗指数が98になるまで待っていれば良いのであって、別にデンジマンたちの動きをマークする必要はなかったのではあるまいか?
あれこれ考えると、このくだり、あまりにデンジマンに都合のいいように話が進んでいるように見えて、いささか白ける。
ともあれ、二人はベーダー城に戻り、ヘドラーに報告する。

ヘドラー「どうだ、奴らの動きは?」
ケラー「はい、バスケットをしたり、ショッピングをしたり、すっかり安心しきった様子です」
ヘドラー「そうか、ウミツラーなど問題にもせぬか」
いや、問題は全く解決してないのに、安心するっておかしいだろ……
3000年以上前から侵略やらせて貰ってるヘドラーなら、そのおかしさに気付く筈だが、
ヘドラー「攻めるなら今だ!!」 案の定、全然気付かないのだった。チーン。
デンジ星、なんでこんなアホの集団に滅ぼされてしまったのか?
さて、ヘドラー、自らウミツラーのアジトへ行き、作戦の開始を指示するが、いつの間にか、ダムの腐敗指数が97.5に落ちている。
ウミツラー、慌ててダムに行き、
ウミツラー「貴様一体、何をやっとる?」
ダム水質検査所で作業をしている戦闘員を怒鳴りつけると、自ら腐敗状況を確認する。

ウミツラー「これはただの水だ、一体こりゃどういうことだ?」
怒り狂ったウミツラー、腹いせに戦闘員をボコボコにしていたが、ひとりの戦闘員がその右手を押さえる。

ウミツラー「なにもの?」
その手を振りほどき、そのマスクを剥がすと、
レッド「それは私のお稲荷さんだ」 ……みたいな台詞を言わせたくなるようなポーズで、レッドが踏ん反り返っていた。
そう、すでにデンジマンがダム水質検査所を占拠していたのだ。
この後、ラス殺陣&巨大ロボバトルとなるのだが、巨大ロボバルト移行の際に、
ヘドラー「しまったぁ、デンジマンめ、わざと隙を見せてウミツラーをおびき寄せおったか」
と、ヘドラーがヘドリアンに聞こえるように、芝居がかった口調で言うのだが、厳密に言えば、おびき寄せられたのはウミツラーではなく、ケラーやミラーたちであり、また、その報告を聞いて何の疑問も感じなかったへドラーにこそ罪があると思うのだが、なんとなく、ウミツラーのせいにして敗北の責任を回避しようとしているにも聞こえるのである。
そして、それが分かっていながら、巨大ウミツラーを引き揚げさせることもせず、ただウミツラーがダイデンジンに倒されるのを黙って見ているヘドリアンとヘドラーが底抜けのスットコドッコイに見えてしまう。

ヘドリアン「ああ、デンジ星の夢、再びならず」
ヘドラー「デンジ星には電子戦隊など存在しなかった、ああ、にっくき電子戦隊め」
ラスト、悔しがるヘドラーであったが、ポロッと漏らしたその台詞、聞き捨てならない。
何故なら、第2話で、
ヘドリアン「まさか、この地球にまで電子戦隊がいようとは、あの忌まわしいロボットがいようとは……デンジ星人が送り込んだに違いない、おのれ、おのれーっ!!」 と、真逆のことをヘドリアンが言っているからである。
また、2話でも指摘したように、そのときの口ぶりでは、彼らは完成したダイデンジンとも戦って、痛い目に遭ったことがあるように聞こえるが、これも、さっきのAIの説明と矛盾する。
ま、多分これは、デンジ星滅亡の時に(初代)デンジマンが活動していたことにすると、デンジマンがベーダーに負けたことになってしまい、ヒーローとしての沽券に関わると言うことで、本当はまだ存在しなかったことに、歴史が「改竄」されてしまったのだろう。
ダイデンジンについても同様である。
さて、ウミツラーの敗北と共に、汚染された海や川もダムも元通りになってしまうのだが、これも考えればおかしな話である。
あれだけ汚れていた水が短期間に浄化される筈がない。
親分であるウミツラーが死ねば、他のウミツラーバクテリアも全滅したと言うことなのかもしれないが、それも変だよなぁ。
別に彼らはウミツラーの指令電波とかを受けて活動していたわけではないようだし……
特にダムなど、貯水池がほとんどゼリー状の物質で埋まっていたのだから、あれが一瞬で満々と清水をたたえたダムに戻るなど、ありえない話だ。
せめて、デンジシャワーで浄化したとか、台詞だけでも良いから何らかの説明が欲しかったが、その場合、だったらなんでデンジ星の汚染も同じ方法で除去できなかったのか? と言う新たな疑問が湧いてしまうからね。
以上、デンジ星滅亡の経緯が詳しく語られる重要なエピソードであったが、ストーリー自体は平凡であった。
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