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「西部警察」 第32話「俺の愛した小さい奴」 後編

 一方、小暮に何か頼まれていた薫は、小暮が言っていたように、もっと大きなクラブで弾き語りをしていた。

 
 薫「三つ目の春~♪」

 この後、「同じ曲ばっかり歌ってんじゃねえ!! オートリバースデッキかお前はっ?」と、客から大ブーイングを浴びたと言うが、嘘である。

 別に本当に店を鞍替えしたわけではなく、ある人物が店に来るのを待ち、もし来たらそれを電話で小暮に知らせるのが役目なのだった。

 で、都合よくその人物があらわれので、いつものバーにいる小暮に伝えると、小暮もその店にやってくる。

 薫の合図でターゲットの位置を確認すると、カウンターに腰掛ける。

 
 小暮「ああ、水割り頂戴」

 そして、さりげなくライターを取り出し、それに仕込んである隠しカメラで、問題の人物を盗み撮りする。

 
 小暮「右にいるのが代議士の小株、左にいるのが黒川の片腕の田上だ。恐らく善後策の協議だろう」

 次のシーンでは、その写真を見せつつ、小暮が大門と二宮に説明している。

 しかし、恐らくその店は小株が常連にしている店なのだろうが、薫が張り込みを始めてすぐに事件の核心に繋がる人物と密会するなど、あまりに都合が良過ぎる話である。

 だいたい、殺しの請負業をやってることが公然の秘密となっている新陽青年隊の幹部と、仮にも代議士がそんなあけっぴろげな、人目の多い場所で会うだろうか?

 それに、薫が渡されていたのは小株の写真だけなので、今度の事件とは全然関係ない人物と飲んでいても、いちいち小暮が呼び出されることになり、非効率的ではないか。

 二宮「これだけ証拠があれば十分です」
 小暮「いや、いくら証拠を揃えても志村を捕まえて吐かさなければ何の役にも立たん」

 二宮は自信たっぷりに言うが、小暮はあくまで慎重であった。

 まあ、二人が会ってる写真だけでは何の証拠にもならないので、小暮が正しい。

 その後も辛抱強く張り込みを続けるリキであったが、遂に、その苦労が報われる時が来る。

 その夜、志村家の裏口に、三年ぶりに志村弘三があらわれたのだ。

 
 志村「涼子、しばらくだったな」

 
 涼子「……」

 そそけ立ったような顔で、突然戻って来た亭主を声もなく見詰める涼子。

 うう、ほんま、なんちゅう美人だ……

 志村「学、元気か、ちょっと会わせてくれねえかな」
 涼子「お断りします、帰って下さい」

 志村、殺し屋らしからぬ子煩悩な表情で頼むが、涼子は後ろ手に戸を閉めながら、きっぱりと断る。

 志村「涼子……」
 涼子「あなたは死んだんです、学はそう信じてます。このまま帰って下さい」
 リキ「志村!!」

 
 リキ「動くな」

 名を呼ばれて振り向けば、いつの間にかリキが志村の背後に立って、銃口を向けていた。

 これぞまさに「志村、後ろ!!」状態である。

 だが、志村は咄嗟に妻を人質にして、布か何かを巻いて隠してあるライフル銃を突きつける。

 
 志村「涼子、てめえ、デカに売りやがったな」

 
 涼子「……」

 夫の言葉で、リキが刑事であることを知り、愕然とする涼子。

 その瞳が世にも悲しそうに歪むが、今のリキに、彼女の気持ちを気遣う余裕などなかった。

 しかし、志村が妻と一緒にいるところを押さえたのは、リキにしてはいささか軽率だったように思える。

 待ちに待ったターゲットがあらわれたのだから、焦る気持ちは分かるが、ここは志村が諦めて家を立ち去るまで待つべきだったろう。

 ついでに言えば、そんな重要な張り込みを、負傷しているリキひとりにやらせていた大門のミスとも言えるだろう。

 
 リキ「志村、手を離せ」
 志村「銃を捨てろ、さもないとこの女、ぶち殺すぞ」
 リキ「お前はもう逃げられん、黒川もお前を狙ってる、馬鹿な真似はやめるんだ」
 志村「うるせえ、早く銃捨てろ、ほんとにやるぞぉ」
 リキ「わかった」

 志村の目を見て、本当に撃ちかねないと見たリキは、大人しく銃を置く。

 幸い、志村はリキを撃とうとはせず、リキを蹴り倒すと、妻を置いて逃げ出す。

 リキはすぐ立ち上がって追いかけようとするが、涼子がリキの銃を拾ってリキに向ける。

 
 リキ「奥さん、拳銃を渡すんだ」
 涼子「追わないで下さい、学のために、学のために逃がして下さい」

 リキ、構わず志村を追いかけるが、既に志村は闇の中に消えていた。

 リキは涼子のところに戻ってきて、銃を取り上げる。

 
 リキ「志村とどんな話をしたんです」
 涼子「……」
 リキ「黙ってちゃ、分かりません。話してください」
 涼子「刑事さんにお話しするようなことはありません」
 リキ「志村と連絡取り合ってたんですね」
 涼子「そう言う目でずーっと私たちを見ていたんですか」
 リキ「聞いたことにちゃんと答えてください」
 涼子「こんなことのために、今まで優しくしてくれたんですか」
 リキ「そんなことありません!!」

 深くリキのことを信用し、愛情さえ感じ始めていた涼子だけに、裏切られたことへのショックは大きく、以前のように心のドアをピッタリと閉めてしまい、リキの誠意も通じない。

 
 涼子「松田さん、あなたのこと、学には言いません。騙し続けてやって下さい」
 リキ「……」
 涼子「たとえ見せかけの愛情でもあの子には掛け替えのないものなんです。お願いします」
 リキ「……」

 それでも息子のために、悔しさを堪えてお願いする涼子であった。

 リキ、あなたたちへの愛情は見せ掛けじゃないと言いたかったが、今の涼子には何を言っても無駄だと引き下がる。

 リキの報告を受けた二宮は、

 二宮「何、拳銃を取られて妨害された? なんと言う女だ、公務執行妨害じゃないか」

 声を荒げ、杓子定規な対応をしようとするが、花も実もある小暮っちが割って入り、

 小暮「なぁ、係長、子供を思う母親の気持ちとしては、まぁ、わからんこともないがね」
 二宮「はぁ……」

 
 二宮「それで、大門君、どうするね、刑事と分かってしまった以上、張り込みを続けても無駄だと思うんだが」
 大門「続けます」
 リキ「しかし、志村はもう現れないと思いますが……」
 大門「いや、もう一度来るな、最終的に犯罪者は肉親のところへ帰ってくる。リキ、続けろ」

 大門、途中で物事を投げ出すのが大嫌いなので、なおもリキに続行を命じるが、

 リキ「団長、刑事失格と言われても構いません、俺、もうあの子に会いたくないんです」

 リキにして珍しく弱音を吐く。

 大門「捜査に私情は禁物だっ!!」

 だが、それくらいで許してくれるほど団長は甘くないのだった。

 にしても、上司の肩書きが団長って……サーカスじゃないんだから。

 大門「リキ、行け!!」
 リキ「はい」

 犬にでも言うようにリキに命じる大門。

 断ると射殺されるので、リキもしぶしぶアパートに戻るしかなかった。

 翌日、何も知らない学が来て、動物園に行こうとしきりに誘いかけるが、リキはひたすら無視を決め込む。

 任務とは言え、真意を隠して志村親子と親しくしていた自分がどうしても許せないのだ。

 
 諦めて、とぼとぼと家に帰っていく学。

 
 リキ「……」

 その寂しそうな後ろ姿を見て、心が引き裂かれそうになるリキであった。

 
 涼子「もしもし、志村ですが」
 志村「涼子、俺だ。頼む、なんとか金の都合つけてくれねえか。いくらでもいいんだよ」

 大門の睨んだとおり、その日のうちに志村から涼子に電話が掛かってくる。

 
 涼子「……」
 志村「俺にはもう逃げるところがねえんだ、頼むよ、このままじゃ殺されちまうよ。なんとかデカまいて、○○の廃工場まで来てくれ」

 再び眼鏡を掛けて、以前のように取り澄ました表情になった涼子。

 ……

 もう、ほんと、綺麗過ぎやろっ!!

 スタッフも同じ気持ちだったのか、ゲストヒロインとしても、これだけアップが多い女優さんは珍しい気がする。

 黙って夫の言葉を聞いていた涼子だったが、

 涼子「お断りします」
 志村「待ってくれ、1時に廃工場まで来てくれ、待ってるぞ」

 志村は相手の返事も待たずに電話を切る。

 だが、志村の声は、隣の電話ボックスにいたチンピラ風の男にばっちり聞かれていた。

 亭主にすっかり愛想を尽かしているらしい涼子であったが、結局、学を連れて裏口から家を出て、指定された廃工場へ向かう。

 しかし、わざわざそんなところに、息子を連れて行くだろうか?

 ひとりにしておけないというほど幼くはないのだし……

 リキは、不貞腐れたように畳の上に寝転がり、見張りもろくにしていなかったので、それに気付いたのは、二人が出掛けたしばらく後だった。

 一方、さっきの男はフリーの情報屋だったようで、すぐ黒川のところへ行き、廃工場のことを密告して何がしかの金を貰う。

 色々あって、涼子は廃工場の前まで来ると、学を外に待たせてひとりで夫に会う。

 
 志村「良く来てくれたな」
 涼子「家にあるお金は、これだけです」
 志村「すまねえな」
 涼子「その前に、これに名前を書いてください」
 志村「なんだい?」

 
 涼子「離婚届です。二度と学の前にあらわれないって、約束して下さい」
 志村「わかったよ」

 志村は大してショックを受けた様子も見せず、その場でサインをする。

 だが、外で待っていた学が、黒川の部下に捕まって連れて来られる。

 
 涼子「学ーっ!!」
 学「お母さーん!!」

 ついで反対側から黒川たちがあらわれ、田上がいきなり志村の足を撃つ。

 しかし、別に志村に恨みがあるわけでも、志村から情報を聞き出したりする必要もないのに、なんですぐ殺さなかったのか、その辺が謎である。

 田上は志村にトドメを刺そうとするが、そこへやっと大門軍団が駆けつける。

 大門たちが敵をひきつけているうちに、リキが銃弾の雨をかいくぐって涼子たちの元へ走る。

 
 涼子「松田さん!!」
 学「おじさーん!!」
 リキ「動くな、伏せるんだ」
 涼子「来ないで、来ないでーっ!!」

 リキの身を案じて叫ぶ涼子だったが、リキは拳銃を弾き飛ばされながらも、二人のところに辿り着く。

 志村も大門に助けられ、黒川たちは一網打尽となる。

 
 リキ「僕、だいじょうぶか」
 学「うん、おじさーん!!」

 学、実の父親にするようにリキの体にしがみつく。

 涼子「松田さん、すいませんでした」
 リキ「ようし、さあ行こうか」

 パトカーに乗せられる際、志村が物悲しそうな目で学を見ていたが、大門はさっさと車に押し込め、リキに合図して学に見させまいとする。

 結局、リキたちの配慮で、学は志村が自分の父親とは知らないままで済んだのだ。

 一方、小暮は、ふらりと小株代議士の屋敷を訪れる。

 
 小株「誰だね、君は」
 小暮「西部署の小暮です、志村を逮捕しました。参りますか」

 懐から逮捕状を取り出し、小株に引導を渡す小暮っち。

 相変わらず、ショカツの捜査課長と言うより、マフィアのボスのような風格である。

 リキも当然アパートを引き払うことになる。

 
 学「おじさん、行っちゃうの」
 リキ「ああ」
 学「なんでだよー、ずーっとここにいるって約束じゃないかー」
 リキ「また遊びに来るさ。おい、耳貸せ……男の約束だ、お母さんに優しくしてやれよ」
 学「……」

 学、涙を堪えつつ、リキと最後の指きりをする。

 
 ちなみにその様子を、大門が電柱の陰からじっと見守っているカットが入るのだが、これは要らなかったと思う。

 これじゃ、子供(リキ)のことが心配なお母さんだよ。

 学「おじさーん!!」

 走り出したリキの車を、泣きながら何処までも追いかけてくる学。

 リキは断腸の思いで、あえて振り返ろうとはしなかった。

 ま、そんなのはどうでも良くて、

 
 最後は悲しそうな目でリキを見送る涼子の美しいお顔で締めましょう!!

 以上、リキと孤独な親子との交流をしっとりと描いた、「西部警察」では異色とも呼べるリリカルなエピソードであった。

 レビューでは省いたが、それでもちゃんとカーチェイスや銃撃戦も行われているのだが、普段と比べると実に大人しいものであった。

 個人的には、小野恵子さんの気品のある美貌と佇まいを思う存分貼れたので、大満足の一本であった。
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コメント

ワケが分からん

裏家業の男と代議士がクラブで打ち合わせするのも思いっきり不自然なシーンですね😅あれじゃ(秘密を)バラされても仕方ないですね😖

U-nextで配信中

せっかく小野恵子さんが出てるなら見ないといけないですね。レンタル版DVDには未収録だったかもしれないです。

Re: ワケが分からん

まあ、刑事ドラマのお約束ですね。

Re: U-nextで配信中

西部警察にしては珍しく、ドラマ重視のエピソードでした。

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zura1980

Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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