第51話「ナナよ!伝えて!」 (1986年1月25日)
まずは余談から。
現在「スーパードラマTV」で放送されている
「トワイライトゾーン」 を毎日楽しみにしている管理人である。
どれもこれも面白いのだが、特に昨日放送された「みにくい顔」(原題・Eye of the Beholder)は、ひっくり返るくらい面白かった。
まあ、序盤でオチは分かったけど、分かっていても、最後のあのビジュアルは強烈であった。
子供の頃に見たらトラウマ確定である。
ちなみに、「マタンゴ」の冒頭とラストは、この話が元ネタじゃないかなぁと思う。
登場人物の顔をはっきり見せないところとか、窓から見える街の光(ネオン)とか、共通する部分が多い気がする。
さて、本題である。
タイトルから分かるように、再びナナが物語に戻ってくるのである。
戻ってこなくて良いのに……
あと、柴田時江さんの名前のほうが、おとっつぁんの山本昌平さんや黒田さんの名前より大きな字でクレジットでされているのは、さすがにどうかと思う。
ナレ「セーラー服を脱いだナナは、その後、ひとりで生活していた」
と言うナレーションだけで、ナナがすっかり人間社会に溶け込んでいることが説明される。
ちなみに「セーラー服を~」と、変に気取った言い方をしてるのは、当時ヒットしていた「セーラー服を脱がさないで」とかいう、しょうもない歌のもじりである。
凍えるような寒さの中、新聞配達をしているナナが、楽しそうにおしゃべりしながら登校している女子高生たちを羨ましそうな目で見詰めている。
と、特に意味もなく、可愛い猫が映し出されたので、管理人も特に意味もなく貼るのだった。
で、さすがにそんな偶然ねえだろうと思うのだが、たまたまナナがその前を横切ろうとした教会の中から、ゲーターの息子ワラジーの声が聞こえて来たのである。
ナナが教会の中に入ると、
ナナ「どうかしたの?」
ワラジー「ああっ」
ナナ「ゲーターと同じナビ星人ね。
キモッ!! 」
ゾーリー「ゲーターを知ってはるんですか? そやったら、ゲーターに伝えてくんなはれ、赤ちゃんが生まれるんですっ」
ナナ「ええっ?」
突然の告白に、素っ頓狂な声を上げるナナ。
おいおいおい、ただでさえ気持ち悪い連中なのに、この上また、頭数を増やすんかいっ!!
一体、誰が得するの、この展開?
だいたい、ガキはもうワラジーがいるんだから、そこでまた子供をひり出されてもねえ……
ぶっちゃけ、この作品が終盤に来て急につまんなくなるのは、ゲーター親子とナナの存在が最大の原因であろう。
ゾーリーにしてもワラジーにしてもナナにしても、メルル星人のさくらのように、最終回あたりにちょろっと出しておけばいいんであって、何もいちいちメインストーリーに絡めることはないのである。
それが魅力的なキャラならまだしも、気持ち悪い宇宙生物と、垢抜けない女子高生なんかに活躍されても、見てるほうはちっとも嬉しくない。
要するに、その分、さやかタンの出番を増やせと言いたいのである。
さて、引き受けたものの、ゲーターとどうやってコンタクトを取れば良いのか分からず途方に暮れるナナであったが、ちょうどその目の前の空を、とある任務を帯びて地上に降りて来たゲーターの乗るゴズマ戦闘機が横切るのが見えた。
……
偶然にもさぁ、ホドってもんがあるんじゃない? ホドが?
同じ頃、地中から次々と火の玉が飛び出して爆発し、火災や事故を引き起こすと言う怪事件が発生していた。
調査に乗り出したチェンジマンもそれに巻き込まれるが、地面に、卵の破片のような奇妙なモノが散らばっているのを発見する。
5人が持ち帰ったそれを一目見るなり、
伊吹「これはジャンゲランの卵だ」
宇宙のことなら何でも知ってる伊吹っちがその正体を見抜く。
矢継ぎ早に、電撃戦隊のレーダーがゴズマ戦闘機の機影をキャッチする。
鈴木「鬼火山の方向に向かっています」
伊吹「よし、鬼火山の一帯を探るんだ」
しかし、ゴズマともあろうものが、レーダー対策も施さずにのこのこ戦闘機を直接目的地に飛ばすというのは、あまりに迂闊ではなかったか。
一方、ナナは、雑木林に着陸したそのゴズマ戦闘機、そして、たくさんの銀色の卵のようなものを網に入れて担いで運んでいるゲーターの姿を発見する。
ナナ「ゲーター!!」
ゲーター「セーラー服を脱がさないで~♪」
で、そのゲーターが歌っているのが、これまた「セーラー服を脱がさないで」と言う、クソしょうもない歌なのだった。
ゲーター「あ、アハメス様」
ナナが声を掛けようとしたその時、ゲーターの目の前にアハメス様が降臨される。
これほどハイセンスなキャラが、おニャン子クラブなどという野暮を煮詰めて鋳型に流し入れたような恥ずかしい集団と同じ時代を生きていたとは、俄かには信じがたいことである。
アハメス「ゲーター、一体何をしているの」
ゲーター「あ、いや……」
アハメス「その卵は?」
ゲーター「いや、これは……」
アハメス「ブーバたちは何処にいるの?」
アハメス、このことについては何も知らされていないらしい。
事実上、ギルークが司令官の座に復帰したことで、アハメス様は、ゴズマードの中でも浮いた存在になってしまっているのである。
と、樹上から、ギルーク、ブーバ、シーマたちが降りてくる。
ナナ「あっ、お父さん!!」 なんて恥ずかしいカッコしてんのよもう~と、いたたまれない気持ちになるナナであったが、嘘である。
ナナ「あっ、スーパーギルーク!!」
自分が我慢できずに迸らせてしまった二度目のリゲルオーラで作り出されたスーパーギルークの出現に目を見張るナナ。
アハメス「スーパーギルーク、何の真似?」
ギルーク「ふふふふふ、来れば分かる」
この場で争う気はないようで、ギルークは不敵な笑みを浮かべて言うと、マントを翻して山奥へ向かって歩き出す。
アハメス「……」
アハメスも彼らが何を企んでいるのか知りたいので、大人しくついていく。
にしても、フランス人形のように美しいお顔と、このごつい、獣のような指先とのギャップが堪らんのです!!
ギルークたちが向かったのは、丸太で組まれた小さな入り口で、その奥は洞窟になっていた。
どんづまりには、ジャンゲランから生まれた宇宙獣士ゲランがいて、待ち兼ねたようにゲーターの運んで来た卵を両手で持ち、
ゲラン「可愛いジャンゲランの卵よ、ネオジャンゲランとなるのだぞ」
頬ずりせんばかりに、熱っぽく語り掛ける。
ゲランは、元々アハメスの忠実なしもべだったのだが、今はギルークの言いなりになっているのである。
アハメス「なに、ネオジャンゲランだと?」
ギルーク「ふふふふふふ、いかにアハメスと言えどもネオジャンゲランの誕生のさせ方までは知らなかったと見えるな」
アハメス「……」
驚きを隠せないアハメスの肩を、杖でポンポン叩きながら心地よげに笑うギルークおやじ。
アハメスは、誇りを傷付けられたような顔になり、黙って肩をそびやかす。
彼らの前には火山の噴火口のような縦穴が口を開けており、その底には煮えたぎるマグマが渦巻いていた。
ギルーク「ジャンゲランの卵はゲランの吐く炎で目覚め、高熱・高温のマグマの中に送り込まれる。しかしほとんど卵はマグマに耐え切れず地上に出現するのだが、この試練に耐えたたった一つの卵からジャンゲランよりも恐ろしいネオジャンゲランが誕生するのだ」
ギルークの説明にあわせ、実際にゲランが卵を火口に投げ入れ、マグマに熱せられた卵が地上に飛び出て爆発する様子が描かれる。
つまり、さきほどの異変は、マグマに耐えられなかったジャンゲランの卵たちの末路だったのである。
……
いや、フツーにジャンゲランを孵化させれば良いのでは?
一体のネオジャンゲランより、10体のジャンゲランの方がよほど戦力になると思うのだが。
だいたい、ゲランは、ついこないだジャンゲランがバズーの手で宇宙獣士に作り変えられた生き物の片割れなのに、なんでそのゲランの炎で熱せられた卵が伝説のネオジャンゲランの卵となる資格を得るのか、どうにも納得できない。
アハメスに代わって、バズーに作戦のプレゼンをしているギルーク。
ギルーク「恐らく町が廃墟となったとき、ネオジャンゲランが誕生するでありましょう」
バズー「廃墟に生まれる命か、まさに大星団ゴズマの地球征服を象徴するような光景だ」
ギルーク(ちょっと何言ってるか分からない) ナナ「ゲーター早く出てきて、お願い」
洞窟(坑道?)の前では、ナナが祈るようにゲーターに呼びかけていたが、そのナナが背中を向けている間に、ゲーターが数個の卵を持っていそいそと洞窟を出て行くという、コントみたいなことが起きる。
そのゲーター、ちょうど駆けつけたチェンジマンの前に卵と一緒に降って来る。
正直、ゲーターが何をしていたのか、良く分からない。
剣「ゲーター!!」
ゲーター「ギャアッ、チェンジマン!!」
……
ほんと、こんな美味しそうなフトモモが目の前にあるというのに、なんでこんな気持ち悪い生き物を撮らねばならないのかと、キャメラマンも忸怩たる思いであったろう。
疾風「これはネオジャンゲランの卵だろう? どうする気だ」
ゲーター「邪魔せんといてや」
ゲーターが口からビームを放って疾風たちを追い払おうとするが、そこへナナがあらわれる。
しかし、疾風がうっかり「ネオジャンゲラン」って言ってしまってるのは明らかなミスだよね。伊吹長官は「ジャンゲランの卵」としか言ってないんだから。
ナナ「ゲーターの赤ちゃんが生まれるんです」
剣「なにぃっ?」
あの不気味な一族がまた増えるのかと、思わず背筋が凍る剣であった。
ゲーター「な、なんやてーっ!!」
疾風「あ、赤ん坊……」
勇馬「ってことは……」
さやか&麻衣「うげぇーっ!!」 反射的に、ゲーターとゾーリーがまぐわってるところを想像してしまい、思わず吐きそうになるさやかたちであったが、嘘である。
管理人が吐きそうになったのはほんとだが。
ナナ「ゾーリーに伝えてと頼まれたの」
ナナは恐れる色もなくゲーターの前に立つと、
ナナ「あなたの赤ちゃんが生まれるのよ。早く行って上げて、ゾーリーとワラジーが待ってるわ」
ゲーター「ワイの赤ちゃんが……」
……
改めてつくづく見ると、エグい顔しとるなぁ。
人を見掛けで判断してはいけないと言うが、こんな不気味な生き物たちの家族愛を見せ付けられても、当方としても対処に困るのである。
ゲーター「ワイに、ワイに赤ん坊がーっ!! いや、嬉しいなぁ」
たちまち父親の顔になって狂喜乱舞するゲーターであったが、さっきも言ったように、初めての子供ならともかく、既にワラジーと言う気持ち悪いガキがいるんだから、そんなに新鮮な気持ちで感激されても、当方としても対処に困るのである。
そりゃ子供は何人目だろうと可愛いだろうが……
つーか、なんで「悪の組織」の航海士の家族の話を延々見せられなきゃいけないの、我々は?
出すんなら、さやかたちの家族を出さんかいっ!!
それはともかく、そんなゲーターの様子を微笑ましそうに見ていたさやかタンは、
さやか「……」
勇馬「……」
さやか「抹殺」 (ぼそっ)
勇馬「えっ?」
と言うのは嘘だが、ゲーターの家族に加え、ナナまで出すものだから、さやかたちがただの背景に成り下がっているのは事実である。
ナナ「みどり町の教会にいるわ、早く行って上げて」
ゲーター「おおきに」
だが、そこへギルークに率いられたゴズマ軍があらわれ、彼らを包囲する。
ギルーク「ゲーター、さっさと卵を運べ」
ゲーター「は、はいーっ!!」
反射的に敬礼してギルークの命令に従おうとするゲーターを、剣が慌てて引き止める。
剣「ゲーター、お前、その手で赤ちゃんを抱きたいとは思わないのか」
ゲーター「ああ、どないしたらええのやろう……」
しかし、ゲーターは何処に卵を運ぶつもりだったのだろう。
と言うか、あの場所から何故卵を移さなければならないのか、謎である。
ギルークの放ったビームで剣がもんどりうち、
疾風「剣、だいじょぶか」
それを庇うように前に出るさやかたち。
……
ああ、ほんと、ゲーター一家の家族物語を見せられるくらいなら、ただひたすらさやかタンのフトモモを映してくれていた方がよっぽど有意義であったろう。
結局ゲーターは大量の卵を抱えてその場から走り去る。
この卵も謎なんだよね。
一体何処から湧いてきたのか。
あの戦闘機に積まれていた残りとしても、ゲーターが洞窟から出てくるとき、網の中に卵がいくつか入ってるのがおかしい。
だいたい、座席に積んであったことからして、網で何度も運ばねばならないほどの量には到底思えない。
ま、ぶっちゃけ、ゲーターをひとりで洞窟から出すための苦し紛れの展開だったのだろう。
ここで剣たちがチェンジマンに変身し、しばしのアクションタイムとなるので、トイレに行きたい人は今のうちに行っておくように。
CM後、チェンジマンを蹴散らしたあと、再び洞窟の中に戻ったギルークたち。
ゲラン「ジャンゲランの卵はみどり町に出現しています」
ゲーター「あれは教会や、ゾーリーがおる言う教会はあそこか」
ゲラン「みどり町が廃墟となるのもあと僅か、そしてその時にネオジャンゲランが誕生するでありましょう」
ゲーター「なんやて!!」
ゲランの言葉に驚き、思わず手にした卵を落として割ってしまうゲーター。
ギルーク「貴様ぁ、大切な卵を!!」
ゲーター「堪忍どす」
ギルーク「このバカモノが!!」
何もそこまで怒らなくても良いのにと思うが、ギルークは厳しくゲーターを怒鳴りつけながら殴り続け、遂には洞窟の外へ叩き出してしまう。
なおも怒りは収まらず、ゲーターの体にビームを浴びせるギルーク。
そこへ剣たちが戻ってきて、剣がゲーターのそばに飛んで、自らの体でビームを受け止める。
剣「ゲーター、頑張れ、お前の愛する家族はお前を待ってるんだ」
ギルーク「黙れーっ!!」
剣「やっと生まれてくる小さな子供のために頑張るんだ、本当の父親になるのは今だぞーっ!!」
ゲーターの体に背中を貼り付けるようにして、絶叫する剣であったが、「本当の父親」も何も、ゲーター、もうワラジーの立派な父親やん。
ま、確かに以前、ワラジーの諌めを無視してゴズマから足を洗おうとせず、ワラジーから父親失格の烙印を押されてはいるが、それと今度の赤ん坊のこととは関係ないからねえ。
4人「ブレスレーザー!!」
ともあれ、剣を助けようと、4人が一斉にブレスレーザーを撃つ。
ついで、ギルーク目掛けて走り出す。
変身しろよ……
もっとも、変身されてしまうとさやかタンのお顔や足が見れなくなるので、管理人的には大歓迎であったが。
疾風&勇馬「でやぁああああーっ」
さやか&麻衣「えいっ」
横から、ギルークの体を思いっきり押す4人。
その際、さやかタンの顔が明らかに笑っているのが見えるが、たぶん、「どうせ見えないから表情はテキトーで良いよ」って監督から言われていたのだろう。
まさかその30数年後に、(自称)西日本一のキャプ職人にその瞬間を抜かれるとは夢にも思っていなかっただろう。
あと、
4人に押されてひっくり返ったギルークの姿が、とても情けないのであった。
しかし、押されただけでひっくり返るって、仮にもスーパーギルークなのに……
疾風「剣、だいじょぶか」
さやか「剣さん」
急いで剣の周りに集まる4人。
ほんと、今回の見所は、さやかタンの足だけだなぁ。
続いて、実に慎ましやかな、チラとも呼べないようなかそけきチラを披露されるが、終盤においてはこの程度でも貴重なのである。
ゴズマへの忠誠と人情との板ばさみになるゲーターであったが、ヤケクソになったように坑道に飛び込むと、残った卵を踏み潰し、手当たり次第にビームを放って機材を破壊してしまう。
そう、行動によって遂にゴズマへの決別を宣言して見せたのである。
要するに、終盤になってエエモンに寝返るという、悪の風上にもおけない行為に出たのである。
これがモグラ獣人みたいに可愛けりゃまだ許せるけど、悪人面のゲーターじゃねえ……
せめて、ゾーリーたちを庇ってギルークに殺される、みたいな結末なら許せたのだが。
だいたい、いくら脅されていたからと言って、今まで散々悪事に加担しといて、今更それはないだろう、と。
ゲーター「子供はワイの命や」
さやか「ゲーター……」
とりあえず、ゲーターの改心に、穏やかに微笑むさやかタンの顔でも貼っておこう。
この後、ラス殺陣となり、ゲランを倒して事件解決。
だが、戦いのあと、わいのわいの言いながら5人が教会に駆けつけると、
麻衣「ナナちゃん、ゾーリーとワラジーは?」
ナナ「……」
崩れかけた教会の前に、ナナとゲーターがしょんぼりと立っているだけだった。
剣「間に合わなかったのか……」
ゲーター「うう、うう……」
無論、ゲーターならともかく、たとえ気持ち悪い生き物でも女子供が無残に死ぬような結末になる筈がなく、やがて、瓦礫の下から赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。
そう、ゾーリーたちは生きていて、赤ん坊も無事生み落とされたのだった。
チッ。
それはともかく、赤ん坊を抱いて、星空に向かって歓喜の声を上げるゲーター。
ゲーター「ワイの赤ちゃんなんや、女の子や、女の子やでーっ!!」
その赤ん坊を見て、
さやか「かわいいーっ!!」
思わず顔をほころばせるさやかタン。
……
さやかタンのほうが100兆倍綺麗だよ!! 以上、ゲーターに二人目の子供が生まれ、さらにゴズマと縁を切るという、心底どうでもいいエピソードであった。
もうこうなったら、シーマもブーバもギョダーイもギルークもアハメスも、なんだったらバズーも、みんなまとめてエエモンになればいいんじゃっ!! と、ほとんどヤケクソになって叫ぶ管理人でありました。
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