第45話「白髪鬼!恐怖バリヤー攻撃!!」(1973年2月9日)
冒頭、サタンがお隣中国へ行き、白髪鬼と言う、オリエンタルな妖怪を復活させる。
続いて、

ナレ「その頃、日本各地を荒らしまわる凶悪な盗賊三人組があった、彼らは自らを黒雲党と名乗った」
と言うナレーションと共に、荒野を馬で疾走する武装した三人の盗賊たちの姿。
うーん、でも、戦国時代ならともかく、既に徳川家によって天下が統一され、結構な年月が経ってると思われるこの世界において、そんな盗賊が大手を振るって暴れているというのは、いまひとつピンと来ない。
おまけに日本各地って……江戸幕府の統制って、そんなに緩かったのだろうか?
ま、盗賊がいること自体はなんらおかしくはないが、

彼らは白昼堂々、顔を隠すこともせずに、通りすがりの岡田勝さんなどを理由もなく惨殺したりして、盗賊と言うより、まるっきり殺人鬼の集団であった。
その場にはハヤテの母シノブもいたが、盗賊たちは彼女には目もくれず駆け抜けていく。
一方、越中富山の薬売りに扮したハヤテは、既に手に入れた五つのサタンの鈴を懐に入れ、サタンおよびシノブの行方を探してあてのない旅を続けていた。
と、そのハヤテの行く手に大勢の人々が集まっているのが見えたが、あっさり役人に捕まった黒雲党の処刑が行われようとしているのだった。
弱っ!! ナレーションの口ぶりでは、結構長いあいだ暴れまわっていたらしいのに、捕縛シーンすらないまま御用となって斬首されようとしているとは、強いのか弱いのかさっぱり分からない人たちであった。
その埋め合わせと言うわけではあるまいが、

その処刑場のシーンにはかつてないほど大量のエキストラ(当社比)が動員され、それなりに物々しい雰囲気を出すのに成功していた。

んが、例によって役人が読み上げる死刑執行の文書が、二葉亭四迷を嚆矢とする言文一致運動を300年くらい先取りしたような、ちびっ子にも読めそうな、大変分かりやすい文体で書かれているのが、せっかくの雰囲気を自分たちでぶち壊しているような気がするのだった。
ちなみにその文面によって、彼らの名前が陣内、伴作、禰八であること、役人が岩槻藩の郡奉行支配の役人であることが分かる。
無論、岩槻藩などと言う藩は実在しないが、埼玉県に同じ地名があるので、ぼんやりとその辺りをイメージしているのかもしれない。
これから首を斬られようとしているのに、三人は怯えの色ひとつ見せず、

陣内「俺たちはやりてえ放題のことをやって来たんだ、今更何の未練もねえ、首を斬るなら、早くすっぱりとやってもらおうじゃねえか」
頭領の陣内などは、まるで死ぬ前のラオウみたいに清々しい表情で、盗賊らしからぬカッコイイ台詞を放ち、役人に催促するほどであった。
ちなみに陣内を演じるのは、嵐五郎さん(たぶん)
つまり、ヒーローと同じ名前なのである。
役人たちは容赦なく三人を斬ろうとするが、その時、上空にサタンのUFOが飛んできて、処刑場に閃光を走らせると、その一瞬のうちに陣内たちを別の場所へ移動させてしまう。
訳が分からず、ともかく陣内たちが一緒に落ちてきた武器を身に付けていると、

白髪鬼「ハフハフハフ……ニーハオ、黒雲党の三悪人ども、ワシが術を使ってお前たちを助けてやったのじゃ」
近くの茂みの中から、真っ白なロン毛に、異様に長い首を持った怪人があらわれる。

禰八「誰だ、貴様」
白髪鬼「世紀の悪魔・白髪鬼だ」
陣内「そのおめえさんがどうして俺たちを?」
白髪鬼「お前たちをワシの家来にするのだ」
陣内「俺たちを家来にだって? ふん、舐めるな!!」
さすが稀代の悪党・陣内、命の恩人の首を、手にした斧でスパッと跳ね飛ばしてしまう。

白髪鬼「うう、ぐが……」
白髪鬼、あっけなく首を斬られて倒れ伏すが、無論、それくらいで死ぬような白髪鬼ではなく、三人が立ち去ろうとすると、首が笑いながら浮かんで胴体にくっつき、たちまち蘇る。

伴作「化け物だ!!」
さっきのカッコイイ台詞は何処へやら、腰を抜かしてその場に座り込んでしまう陣内たち。
白髪鬼「どうだ、お前たち、ワシの家来になるのなら、ワシはお前たちに殺されても死なぬ不死身の体を与えてやろう。いやなら、この場でひとり残らずワシが食ってしまう。どうだ」
陣内「へいっ、恐れ入りました。家来になりやす」
さらに、白髪鬼に脅されると、ペコペコ蛙のように平伏してその申し出を受け入れる。
陣内のそんな姿、見たくなかったよ…… ともあれ、最初からそのつもりで処刑場から攫ったのだろう、白髪鬼が中国風の曲刀をかざして気合を放つと、

伴作「兄貴、髪の毛が」
禰八「お前もだ」
三人の髪が一瞬で真っ白になり、顔にも歌舞伎のような隈取が入る。
白髪鬼「ようし、これでお前たちの体は不死身となったのだ」
白髪鬼、物は試しとばかり、

白髪鬼「見ろ」
陣内「うっ、あっあっああーっ!!」
その刀をいきなり陣内の首筋に叩き込む。
思わず頭を抱えて絶叫する陣内であったが、

伴作「兄貴!! どう?」
陣内「めちゃくちゃ痛え……」 じゃなくて、
伴作「兄貴!!」
禰八「死なねえ」
伴作「不死身になったんだ」
と、その場から編み笠姿の武士が逃げようとしているのに気付き、

伴作「待てい」
陣内「待てい」
武士「何をいたす? 無礼者!!」
三人が追いかけて取り囲むが、武士は鋭く叫んで、胸に擬せられた伴作の弓を払い除ける。
陣内「俺たちの秘密を見たな、生かしちゃおけねえ」
武士「なにぃ、馬鹿め、小悪党ども、本来ならば叩き切ってやるところだが、武士の情け、今日のところは見逃してやる。早くうせろ」
いかにも腕に自信があるように、武士は大言壮語して彼らを追い払おうとするが、
伴作「なにを言ってやがる、てめえが見逃してもこっちが見逃さねえや。貴様も武士なら武士らしく勝負しろ」
禰八「抜けえっ」
不死身になったばかりの陣内たちがそんな脅し文句に怯む筈もなく、どうしてもこの場で決着をつけようと口々に吠え立てる。
武士「やもえん、無益な殺生はしたくないが、望みとあらば斬る」
武士も仕方なく刀を抜くが、時代劇の主人公のように気取った口上とは裏腹に、刀を持つ手がぶるぶる震え、あえなく刀を叩き落される。
それもその筈、

編み笠の下から出てきたのは、剣士ではなく、侍の格好をしたイタチ小僧だった。
イタチ「待ってくださいよ、あたしゃ言ってみりゃあなた方のお仲間なんで……へへへっ、イタチ小僧ってね、ケチな泥棒なんですよ。へへへ」
陣内「イタチ小僧だと?」
さっきとは別人のように卑屈な態度で慈悲を乞うイタチであったが、武士のふりをしていたときの堂々たる態度は、まるっきり地獄大使のそれであった。

イタチ「あ、なんなら、証拠をお見せしましょうか、ね、ふうっ!! うっ」
イタチ小僧、宙を見据えて何やら気合を入れていたが、やがてお尻を彼らに向けて拳で叩き、プープーと音を立てておならをする。

禰八「お前、屁を出したな」
伴作「くせえや」
美八「よくもこんなくせえ屁を」
陣内「おめえはまさしくイタチ小僧だよ」
その臭いは強烈で、不死身になった陣内たちさえ思わず顔をしかめるほどであった。
そう、初めて見せたイタチの得意技(?)であったが、これこそイタチ小僧と言う名の由来だったのである!!

イタチ「へっへっへっ、お分かりで? じゃ、さいなら」
プライドなどと言うものはこれっぽっちも持ち合わせていないイタチ、そんな屈辱的なことまでして見せて、円満に陣内たちから放免してもらおうとするが、もうちょっとのところで白髪鬼に捕まり、

白髪鬼「これ、イタチ、ワシの言うとおりにすれば命は助けてやる。金も欲しいだけくれてやるが、どうじゃ」
イタチ「やりますか」
前回同様、小判をちらつかされると、気持ちが良いほどあっさり白髪鬼の言いなりになる。
前回は、それでも狙う相手がカゲリだったので良心と欲心の間でうろうろしていたイタチであったが、

ナレ「お人好しだが、強欲なのが玉に瑕のイタチ小僧、白髪鬼の怖さも手伝ってハヤテを騙し、山中へ誘った」
今回は、標的がハヤテだったので、なんの良心の呵責も感じず、ぬけぬけとハヤテを命じられた場所までおびき出す役をこなすのであった。
もっとも、イタチは、黒雲党がハヤテと勝負をしたがっていると言う事実を告げてハヤテを連れ出しているので、少なくとも嘘は言っておらず、そう言う点ではやりやすかっただろう。
ハヤテ「イタチ、そろそろ黒雲党の出迎えが始まったな」
イタチ「へっ、いや、連中がハヤテさんにあいてえと約束した場所は、もう少し先でやんすが」
ハヤテ「はっはっはっはっ」
その後、待ち伏せていた陣内たちがハヤテに襲い掛かる。
無論、盗賊ごときの腕でハヤテにかなう筈もなく、ハヤテの槍が禰八の腹に深々と突き刺さるが、

禰八「ぐわーっ!!」
ハヤテ「どうだ?」
禰八「めちゃくちゃ痛え……」 ハヤテ(気の毒に……)
じゃなくて、
禰八「ぐわーっ!! ……いたかねえ」
ハヤテ「なにっ?」
陣内「あたりめえよ、俺たちは不死身なんだ」
これにはさすがのハヤテも驚き、

陣内「ふふふふ、上手く罠に嵌まりやがったな」
不覚にも、盗賊たちの手に落ちてしまう。

イタチ「命あってのこの小判、小判あってのこの命、ハヤテさん、悪く思わないでね」
イタチはさっさとその場を離れると、報酬の小判の冷ややかな感触を楽しんでいたが、今まで何度もハヤテに命を助けられて来たにしては、いささかその態度が薄情に過ぎるようである。
ツムジ「悪く思うぞ、イタチ!!」
イタチ「ヒヤーッ!! あ、ツムジ」
ツムジ「その小判、どうしたんだ? まさかハヤテさんを?」
イタチ「い、いけねえ」
その場をツムジに目撃されたイタチ、泡を食って逃げ出すが、ツムジの合図を受けて待ち構えていたカゲリたちに足を掬われる。

イタチ「誰だ? ああーっ、カ、カゲリ殿、恥ずかしい……」
相手がカゲリだと知るや、たちまち青菜に塩とばかりしょげ返るイタチ。
ヒーローを陥れても平気だが、愛する女にそれを見られるのは耐えられないという、実に人間味に溢れる脇役なのである。
カゲリもだが、こんな魅力的なキャラがほんの10話足らずの出番しかないのは、特撮史上における大いなる損失ではないかと、管理人は本気で思うのである。

カゲリ「イタチ、その小判はどうやって手に入れたんだよ? 言ってご覧」
で、イタチを詰問するカゲリの口調が、なんとなく、バルをとっちめてる時の月ひかるのように聞こえ、嬉しくなってしまう管理人であった。
今更だが、菊さんの早過ぎる死も、日本の芸能界における大きな損失であったなぁ。
イタチ「そ、そ、そ、そ、そそそ」
カゲリ「どもるんじゃないよ」
イタチ「すいません」
いやー、やっぱり、カゲリとイタチの掛け合いは最高だね。

イタチ「話せば長いことながら、実はハヤテさんを白髪鬼と黒雲党の連中に売りやして」
ツムジ「やっぱりこいつぅ」
イタチ「ううーっ」
イタチ、すっかり観念してかしこまり、洗い浚いぶちまける。
CM後、

陣内「まったく、白髪鬼サマサマだな」
捕まえたのならさっさと殺せば良いのに、例によって例のごとく、ハヤテの命よりサタンの鈴を奪うことを優先させるという、大魔王サタンの頓珍漢な命令が末端まで行き届いているせいか、確実にハヤテを殺せる機会をみすみすどぶに捨てる三バカトリオであった。
ハヤテ、ふと崖上を見ると、カゲリとツユハの姿があった。

ツユハ「姉ちゃん、どうしよう」
カゲリ「お待ち、とハヤテが言ってる」
ツユハ「なんでそんなこと分かるの」
カゲリ「ハヤテの唇の動きを読んだのさ」
菊さん、若党風の髪型がキリッとした容貌に良く似合い、番組がもっと長く続くか、早い段階からレギュラーとして参加していれば、「魔女先生」に並ぶ彼女の代表作になったかもしれないと思うと、早期終了が実に残念である。
カゲリ「しばらく様子を見るのだ……こいつらを操る白髪鬼を突き止めるのだ」
ツユハ「白髪鬼?」
と、伴作がハヤテの懐に手を突っ込み、サタンの鈴をひとつ抓み出す。
陣内「やい、ハヤテ、残りの4個はどこへ隠しやがったんだ」
禰八「言わねば、刺す」
ハヤテ「刺せるかな?」
でも、さっき書いたように、ハヤテは5つの鈴を自分の懐に捻じ込んでいたのに、他の鈴は何処に行ったのだろう?
あれから、カゲリにもツムジにも会った様子はないから、誰かに預けているとも思えないが。

ツユハ「姉ちゃん!!」
ハヤテの顔に槍が突きつけられるのを見て、若いツユハは思わず立ち上がるが、

カゲリ「お待ち」

冷静沈着な姉に刀の鞘で抑えられる。
この辺、経験豊かでなおかつハヤテの実力を知り抜いているカゲリと、(色んな意味で)経験不足で忍びの腕も未熟なツユハの違いを鮮明に描いた好シーンとなっている。
陣内「おい、伴作、その鈴を白髪鬼に渡して来い」
伴作「へい、この鈴がサタンの鈴かね……じゃっ!!」
陣内の命を受けて、伴作はサタンの鈴をひとつ持ってその場から走り出す。

ハヤテの合図を受けたカゲリたちは、伴作の後をつけ、道々、目印代わりに手裏剣を突き立てていくのだった。
しかし、ハヤテが敵に捕まってると言うのに、二人揃ってその場を離れるというのはちょっと危険ではあるまいか?
まあ、ハヤテのことだから心配ないと見たにしても、ひとりが尾行して、ひとりはその場に留まるのが普通だろう。
つーか、肝心のツムジとイタチは何してるのよ?

ともあれ、二人は伴作を尾行して、小さな神社に続く石段を上がっていく。
……
このシーンは是非ミニスカで演じて欲しかったものだが、時代劇だからなぁ。
時代劇の悲しいところは、理論上、どう足掻いてもパンチラが起きないことであるが、「ライオン丸」の沙織さんの刺激的な腰巻チラや、カスミの掟破りの見せパンチラなど、特撮時代劇においては、その可能性がゼロではないことが人類にとっての大いなる希望である。
ああ、いつの日か、沙織さんのクソエロいチラ画像を貼りたいものだ……

石段を登りきった二人であったが、そこにいた白髪鬼の作り出したバリアの中に閉じ込められてしまう。
白髪鬼「ハフハフハフハフ……」
一方、ハヤテは陣内たちから殴る蹴るの暴行を受けるが、頑として鈴のありかを吐こうとしない。
面倒になった陣内は、思い切ってハヤテを斬り殺そうとするが、ハヤテは変わり身の術を使って難なく逃れ、カゲリの残した手裏剣を辿ってあの神社へ辿り着く。

境内にはカゲリたちの姿はなく、白髪鬼と、いつの間にか白髪鬼に捕まったシノブがいた。
白髪鬼「バリアー!!」
ハヤテ「うっ」
白髪鬼「ハフハフハフ、いくら足掻いてもそのバリアーからは永遠に出られないのだ。ワシの声以外は何も聞こえないのだ」
ハヤテも白髪鬼の作り出した特殊な空間に閉じ込められる。

ハヤテ「母さーん!!」
シノブ「ハヤテ」
ハヤテ「何も聞こえない、母さーん!!」
シノブ「ハヤテ、良くお聞き……」
シノブ、自分の口元に指を当ててハヤテの注意を引きつけると、さっきカゲリがやったように、ハヤテに口の動きを読ませてメッセージを伝えようとする。
ハヤテ「……サタンの鈴が7個揃う時、妖怪城への道が開ける……
いや、それ、今言う必要あります?」
シノブ「……」
と言うのは嘘だが、てっきり、バリアを破る方法を教えてくれるのかと思ったら、サタンの鈴の使い方だったので、管理人がズッコケたのは事実である。
第一、サタンの鈴が妖怪城の場所を示すアイテムであることは、ハヤテたちもとっくの昔に知ってることだしね。
ハヤテ「分かった、母さん」
白髪鬼「さあ来るんだ」
ハヤテ「母さーん!!」
白髪鬼、シノブを引っ立ててその場を離れるが、カゲリたちをそうしたように、何故ハヤテの身柄を押さえなかったのか、謎である。
肝心のサタンの鈴は、まだ全部手に入れていないというのに……

続いて、カゲリの胸のアップから、

由緒正しい、おっぱい上下二段挟み方式で木に縛り付けられているカゲリとツユハの姿が映し出される。

陣内「良いか、一気に殺すな」
禰八「たっぷり楽しませてもらうぜーっ!!」
陣内たちの台詞から、てっきり菊さんの神聖なおっぱいが揉まれたり吸われたりするのかと
期待心配したが、

陣内「ハイヤーッ!!」
根っからの体育会系と言うか、腕白小僧がそのまま大きくなったような黒雲党の皆さんは、馬に乗ってヒャッハーッ的な掛け声を上げて二人の前を走り抜けながら、

ツユハ「ああっ」
恐怖に怯える二人の体スレスレに、矢や槍を投げつけるという、それの何処が楽しいんだ? と言う遊びに興じるのみであった。
……
君たちにはがっかりだよ!! 
と、ここでやっとイタチとツムジの凸凹コンビが駆けつけ、
イタチ「ああ、カゲリ殿、あんなにきつく縛られて……」
ツムジ「みんなお前のせいだぞ」
イタチ「はい、責任感じてます。よし、断固助けなきゃ」
金のためなら平気で仲間を売るイタチであったが、一方で、愛する女のためなら自分の命を投げだしても構わないという、さっきも言ったが、こういうニ面性がイタチと言うキャラに特撮ドラマの登場人物らしからぬ人間味とリアリティーを与えることに成功しており、はっきり言って、清く正しく勇ましくと言う、類型的なヒーロー像から一歩も出ないハヤテより、よっぽど魅力的に感じられるのである。
それに、ハヤテって、大魔王サタン編になると、急にマザコンキャラになっちゃうからね。
カゲリ「危ない、来るな!!」
屁っ放り腰で斜面を降りようとするイタチに、凛呼たる声で叫ぶカゲリ。
こんな状況でも自分のことよりイタチたちのことを気遣う、イタチよりよっぽどヒロイックなキャラなのであった。
イタチ「絶対助けて、出来たらお嫁さんにするんだ」 そして、崖を這い登ろうとしながらイタチが口にした台詞の、なんと一途で感動的なことか。
と、同時に、菊さんも潮さんみたいな人と結婚していれば、あんな目に遭わずに済んだであろうにと、せめてフィクションの世界だけでも、二人が結ばれて幸せになることを夢見る管理人であった。
けれど、

イタチ「あああ……」
陣内たちが戻ってくると、たちまち尻尾を巻いて逃げ出すトホホなイタチであった。
イタチとツムジのコンビのおっちょこちょいぶりも、見ていて実に楽しく、この二人の掛け合いをもっと見たかったなぁと言うのが管理人の素朴な願いである。

ハヤテ「髪の毛だ。白髪鬼の髪の毛が偶然に一本、バリアーに挟まったのだ。ようし、こいつを狙い撃ちだ」
一方、引き続き白髪鬼のバリアの中でもがいていたハヤテだったが、白髪鬼の髪の毛がバリアの境目に巻き込まれて小さな穴が開いているのを見つけ、そこにサイのような武器を叩き込んで、一気にバリアを打ち砕く。
ハヤテ、嵐に変身すると、なにはともあれカゲリたちのところへ飛び、陣内たちを次々と倒していく。
不死身の体を与えられた陣内たちであったが、どうやらただのカツラだったらしい白髪頭を剥ぎ取られると、たちまち神通力を失ってしまう。
嵐「奴らの急所は白髪だな」
陣内たちがその場で嵐に斬られたのかどうか不明だが、いずれにしても、彼らも漸く年貢の納め時を迎えるのだった。
その間にカゲリたちはイタチたちに助けられるが、

カゲリ「すまん」
イタチ「カゲリさん、もうだいじょぶです」
手を握らんばかりにカゲリに寄り添うイタチがめっちゃ可愛いのである!!

この後、白髪鬼との斬り合いになるが、今回は敵の数が多かったせいか、ラス殺陣が長引き、バックに流れる主題歌が、三番まで流れるという異例の事態となっている。
不死身が売りの白髪鬼であったが、頭を刎ね飛ばされたところを、

胴体にガンビームを受け、あっけなく倒される。
看板倒れも良いところである。
なんでもう一度バリアを使おうとしなかったのかも謎である。

ツムジ「やった」
カゲリ「やった」
イタチ「やりましたな」
嵐の勝利を、生クリームのようにたっぷり雪を被った霊峰富士をバックにことほぐカゲリたち。
管理人、サタン編のレギュラー5人が紡ぎ出す、このアットホームな雰囲気が大好きなのである!!
で、ラスト、ハヤテが、陣内たちに奪われた鈴と、白髪鬼が持っていた鈴を手にしつつ、何事もなかったように、残り4つの鈴を懐から取り出して、計6つの鈴を地面に並べるのだが、一体その鈴は今まで何処にあったのか、どうして陣内たちに見付けられなかったのか、その説明が
一切ないのがいかにもこの番組らしい放りっ放しジャーマンみたいな雑な処理なのであった。
以上、妖怪が人間の悪党を配下にしてハヤテたちと戦わせるという、作戦的にもドラマ的にも優れた内容の力作で、サタン編では一番面白いエピソードだったかもしれない。
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