第16話「吸血ブブンガー 悪魔のプレゼント!」(1975年7月19日)
さて、今回も下田ロケが行われているが、全体的にタイアップ縛りは緩く、下田ビューホテル以外に、これといったタイアップ物件は出て来ない。
冒頭、そのホテルの近くの山で、東西新聞社主催のオリエンテーリング大会が開かれている。
で、その中には暇を持て余しているおやっさんとユリ子もいて、

ユリ子「とうとう来なかったわね、茂ったら」
立花「オリエンテーリングなら俺に任せとけ、なあ、ヒロシ」
ヒロシ「うん」
ユリ子「よし、じゃあ行こうか」
さらに、ヒロシと言う見知らぬ男の子も一緒だったが、二人との関係は最後まで説明されないまま。
ま、同じホテルの宿泊客と言うことで、なんとなく仲良くなったと言うことなのだろう。
演じるのは「キカイダー」のマサルでおなじみ、神谷政治さん。
おやっさん、年々ちゃらんぽらんになっていくようで、二人がいなくなってから、
立花「だけど俺は初めてだからなぁ……あいつアテにしてたんだ」
未経験なのに「俺に任せとけ」などとでかい口を叩いていたことが判明する。
ともあれ、オリエンテーリングが始まり、おやっさんは覚束ない様子で地図とコンパスを見ながら山道を進むが、

立花「さあて、どっちかな、右か左か」
ヒロシ「おじさん、コース分からないんじゃない?」
立花「生意気なこと言うんじゃないよ、いいか、オリエンテーリングってものはだな……」
ヒロシ「地図はこっちから見るの」
ユリ子「頼りにならないみたい」
立花「いやっ、たっ……」
スタート付近で立ち往生して、早くも馬脚をあらわしてしまう。
と、すぐ後ろに赤い三角の旗のようなものが立っているのに気付き、名誉挽回とばかりに飛びつくが、
子供「おじさんのグループじゃマークが違うよ」
他のグループの子供たちに冷たく指摘されて、あえなく失敗。

ユリ子&ヒロシ「あーあ、頼りにならないの」
左右の肩を叩かれ、二人同時にダメ出しをされると、

目だけ動かして二人を見て、

立花「……」
面目なさそうに地図で顔を覆うお茶目なおやっさんだった。
この滑り出しだけは、ちょっと期待できたのだが……
ナレ「オリエンテーリングとは地図と磁石だけを頼りに定められたチェックポイントを通過して目的地にゴールインするスポーツである」
ここで、ちびっ子のために、ナレーションが簡単な説明を加える。
この後、例によって例のごとく、数人の戦闘員が現れて三人に襲い掛かる。

ユリ子「えい、やっ、えいっ!!」
二人を守って戦闘員を蹴散らすユリ子タン。
いやぁ、張りのあるお尻ですねえ!!

ユリ子「行くわよ、えい、やっ!!」
ここでタックルに変身するが、ほんと、今回はユリ子の可愛い画像を貼る以外にすることがないんだよなぁ。
で、三人と戦闘員たちの戦いが繰り広げられるのだが、これがまた無駄に長いのよ……
色々あって、ヒロシは今回の奇械人ブブンガーに捕まってしまう。
「スカイライダー」のアブンガーは、この名前が元ネタになってるんだろうなぁ。

タックル「ヒロシ君を返せ」
ブブンガー「この子は奇械人ブブンガー様が頂いた。タックル、貴様などに用はない」
タックル「なにぃ」
ここで漸く茂があらわれ、ヒロシを助けると、無謀にもブブンガーに立ち向かおうとするヒロシを引き止め、
茂「よしなさい、坊や、ここは俺ひとりでたくさんだ。坊やのためにオリエンテーリングを続けてくれ」
タックル「分かった、ヒロシ君、行こ」
オリエンテーリングを続行するよう指示する。
そんなに大事か、オリエンテーリング?
つーか、そんなことしてる場合じゃないと思うんですが……
だが、ヒロシは異様なほど好戦的で、おやっさんと合流すると、

ヒロシ「おじさん、一緒にやっつけに行こうよ」
懲りずにブブンガーとの戦いを切望するが、
立花「よしきた」
タックル「ヒロシ君、オリエンテーリングを続けなさいって言われたでしょ」
タックルに厳しくたしなめられたので、やむなく諦めるのだった。
くどいようだが、そんなに大事か、オリエンテーリング?
ひょっとして、全日本オリエンテーリング協会とかが臨時に協賛してるんじゃないだろうな。
この後、茂がストロンガーに変身し、ブブンガーと無駄に長く戦う。
おやっさんたちは、なんとかゴールに辿り着くが、道草を食ったせいで最下位に沈む。
それでも、先にゴールした真面目な少年少女たちは、三人に惜しみない拍手を送ってくれる。

立花「あーああー」
係員「やあ、良く頑張りましたねえ」
ユリ子「くたくたよもう」
係員も、精根尽きた様子でその場に座り込んだ三人を優しく労ってくれる。
立花「どうやら私たちが一番ビリのようですな」
係員「いえ、順位は関係ありませんよ、参加することに意味があるんですから」
その後、係員が大声で子供たちを呼び集め、何か賞品をくれるという。

ヒロシ「あーっ、あそこでみんな何か貰ってる、ちょっと行ってくるね」
ユリ子「ダメよ、私たちはビリじゃないの」
ヒロシ「そうか、ビリだもんなぁ」
変なところで厳しいユリ子に言われて残念そうに諦めるヒロシであったが、
立花「いやいや、ヒロシ、お前は最後までちゃんと歩きとおしたんだ、立派だったぞ、遠慮することはない、貰って来い」
ヒロシ「うん!!」
おやっさんに言われると、目を輝かせて貰いに行くのだった。
この後、
ユリ子「ダメよ」
ヒロシ「そうか」
立花「貰って来い」
ヒロシ「うん!!」
ユリ子「ダメよ」
ヒロシ「そうか」
立花「貰って来い」
ヒロシ「うん!!」
と言うように、人の意見に左右されっぱなしのヒロシの無間地獄が始まったら面白いと思いました。
それは良いのだが、

肝心のプレゼントが、タツノオトシゴのプレートの付いた、緑色の液体の詰まったビニール袋と言う、泣きたくなるほどビンボー臭いアイテムなのが悲しいのだった。
子供「タツノオトシゴの卵だって」
子供「ないなぁ、どこにもないよ」
ビニール袋をためつすがめつする子供たちだったが、それぞれ自分の部屋に持ち帰る。
言い忘れたが、今回のオリエンテーリングは、下田ビューホテルの宿泊客を対象に行われたものらしい。

深夜、水槽か何かに移されていた液体から、巨大な毛むくじゃらの虫のようなものが這い出てきて、すやすや眠っているヒロシに近づいていく。
このままの姿で迫れば、それなりにホラーな展開になったと思うが、

次のシーンでは、あっさりブブンガーの姿になってヒロシの枕元に立ってしまい、せっかくの怪奇ムードが台無しになる。
で、眠っている子供たちの首筋に管を差し込み、何か毒液を注入する。
そして、同じ現象が、他の子供たちの部屋でも起きるのだが、これでは、ブブンガーが「仮面ライダー」76話のシードラゴンのように複数いるのかと思ってしまうが、あくまでブブンガーは一体だけである。
ただ、映像を見ると、どう見てもそれぞれの液体から虫が生まれて、それがブブンガーになっているようにしか見えないので、頭が混乱してしまう。
ともあれ、毒液のせいでブブンガーの言いになりになったヒロシたち4人の子供は、寝巻きから平服に着替え、隊列を組んで何処かへ行ってしまう。
翌朝、子供の姿がないと言うことで、当然親たちは恐慌状態になって、茂の部屋に押し掛ける。

立花「大変だ、ヒロシがいなくなった」
茂「そんなこと俺が知るかっ!!」 朝っぱらから叩き起こされて不機嫌な茂、思わずそう怒鳴りたくなったが、何とか自制するのだった。
ちなみに、ここで浜辺を歩いているヒロシたちの姿が映し出されるのだが、夜中じゅう歩いてまだ目的地に着かないって、いくら子供の足だからってさすがに時間が掛かり過ぎじゃないか?
この後のシーンを見ると、アジトの洞窟はホテルからそんなに遠くない場所にあるようだし。
タックルが海辺をバイクで走り回って捜索していると、おやっさんもジープで追ってきて、

立花「タックル」
タックル「おじさん」
立花「子供たちはどうした、茂は何処行った?」
タックル「見失ってしまった。茂が見つけてくれるといいけど」
立花「そんなこと言ってる場合じゃない、俺たちで探そう。乗ってくれ」
タックル「オッケイ」
おやっさんに言われて、一もニもなく助手席に乗り込むタックルだったが、いや、タックルにはバイクがあるんだから、手分けして探したほうがよくね?
と言うか、こんな場所を走るのなら、むしろバイクのほうが便利だろうと思うのだが。
一方、茂はストロンガーに変身してアジトの洞窟に潜入し、巨大な幼虫のようなものが天井から吊るされているのを発見するが、カブトキャッチャーで調べると、中には子供たちが入っていることが分かる。

ヒロシたちは自分で殻を破って出てくるのだが、はっきり言って説明不足で分かりにくいシーンである。
前半でブブンガーが「お前たちは俺と同じ、ブブンガーになるのだ」と言っていたことから、このままにしていたら、遂にはヒロシたちが身も心もブブンガーになっていたと思われるが、それにしては、子供の姿のまま、自分で殻から出てくるのは変である。
洞窟の外へ出て、戦闘員に襲われているおやっさんたちを助けに行こうとするストロンガーだったが、

子供「ライダーをやっつけろ」
子供「ようし、こんにゃろめ!!」
あろうことか、子供たちが一斉に殴りかかってきて、それを邪魔する。
ブブンガー「もう手遅れだ、子供たちは貴様の敵だ。はっはっはっはっ」
高笑いを響かせるブブンガーだったが、子供たちが殻に入って何か身体的に強化されたようにも見えないので、これでは、ブブンガーの言いになりになっていた昨夜の状態から何も変化していないではないか。
まあ、子供たちに子供用ブブンガースーツをあてがうなんて贅沢は言わないが、せめて悪人風メイクくらいはして欲しかったものだ。

立花「ライダー、俺たちはどうなっても良い、助けてくれ」
ストロンガーに向かって叫びつつ、どさくさ紛れにタックルの腰に手を回すおやっさんであった。
ストロンガー、ひたすら無抵抗で子供たちに殴られていたが、素早く体を回転させて子供たちの輪から飛び出すと、おやっさんたちを助けに行く。
ブブンガーもストロンガーを追ってジャンプするが、

ストロンガーもブブンガーも何もしてないのに、暴れていた子供たちが突然意識を失い、その場に倒れてしまうのだった。
……
はい、さっぱり意味が分かりません!! しかし、これ、実際のシナリオのト書きにはなんて書いてあったのか、ちょっと興味がある。
まんま、「子供たち、特に意味もなく倒れる」とか書いてあったりして……
こんなの、ストロンガーが威力を弱めた電ショックで眠らせるとか、いくらでもあるだろうに……

砂浜に横たわる巨岩の上に着地し、高みに立つストロンガーと対峙するブブンガー。
ビジュアル
は素晴らしいんだけどなぁ~
ただ、この後、ブブンガーが岩から降りてこちらに向かって全力疾走してくるのを、ストロンガーがただ突っ立って待っているのは、敵に対して失礼ではないかと思う。
ストロンガー、優位のうちに戦いを進めるが、

シャドウ「ストロンガー、これまでだ、この二人がどうなっても良いのか?」
いつの間にか、ユリ子とおやっさんがシャドウに捕まり、その足元に座らされていた。
タックル「ライダー」
立花「すまん」
ライダー「くっそお」
やむなく抵抗をやめ、戦闘員たちに取り押さえられたところを、ブブンガーが左手から伸びる注射針のような長い針で、その分厚い胸板に突き刺す。
ライダー「う、うう……」
ブブンガー「ビビビビ」

ストロンガー、針を両手で掴んだまま仰向けになり、なんとか耐えていたが、ブブンガーが体重をかけて押し込むと、針は背中まで一気に貫き、ストロンガーはがっくりと頭を落とす。
立花「ううっ、くぅううう……」
ライダーが殺されるのを正視できず、目を瞑ったまま呻くおやっさんだったが、どっこいストロンガーは生きていた。
ライダー「エレクトロファイヤー!!」
大の字のまま、ブブンガーの金属製の針に高圧電流を流し、その体を痙攣させる。
しかし、なんで胸(心臓)をぶっすり刺されてなんともないのか、これまた何の説明もないのが物足りない。
もっとも、問題はここから先で、
ライダー「タックル、オヤジさんを連れて逃げるんだ!!」 ストロンガーの叫びに、
タックル「無理です!!」 即座に叫び返すタックルであったとさ。
……と言うのは嘘だが、無理なのは誰が見ても明らかである。
だって、状況は全然変わってないんだもの。
ちなみに実際には、おやっさんが、
立花「おお……」
と応じているのだが、これも、若干無茶振りをされて戸惑っているように見えなくもない。
ストロンガーが、人質のことを忘れて敵を全員殴り倒したのを見て、

立花「ああ、やった!!」
こちらも負けじと、真後ろに立っているシャドウのことを忘れて笑顔を見せ合うおやっさんたちであった。

シャドウ「トランプフェード!!」
で、この業界にはやたら負けん気の強い人が多いのか、当のシャドウも、目の前に人質がいるのを忘れてトランプフェードで姿を消してしまうのだった。
……
誰かバファリン持ってない?
さすがに、これ、めちゃくちゃだろう。
島田さんだって、ここまで杜撰な話は書かなかったぞ。
つーか、監督さんは、撮影に入る前にちゃんと台本読んでるの?
この後、ストロンガーがブブンガーを倒して事件解決。
終わってみれば、ブブンガー、結局何がしたかったのやら……
ま、子供たちをブブンガーのような奇械人にしてしまおうということだったのだろうが、その作戦が上手く行ったのかどうかも良く分からないままなし崩しに終わってしまった観がある。

ライダー「ぐっ、ああっ」
立花「ストロンガー、ダメだ、いっぺんに四人もなんて無茶だ」
ライダー「いや、この子達、少しでも早くブブンガーの毒液を体から出してやらねば」
その後、自分の体と眠っている子供たちをチューブでつなぎ、ブブンガーの注入した毒を吸い取っているストロンガー。
しかし、一度体内に注入された毒だけを、選別して吸い取るなんてことが可能だろうか?
正直、そんなのは「奇械人が死ぬ」=「子供たちが元に戻る」と言う、ショッカー方式で片付けてしまえばいいのであり、そんなどうでもいいことに力を入れるより、さっきの人質の件について納得の行く説明をして貰いたかった。

やがて子供たちも元気になり、それぞれの親と歓喜の再会を果たすのだった。
……
最近、良いお尻画像に巡り合っていない尻フェチの管理人、禁断症状が出そうになったので、この、顔もさだかではないお母さんの肉感的なお尻をやむなくキャプした次第である。
子供「ストロンガーに助けてもらったんだ」
父親「ストロンガー?」
子供「ほら」
子供の指差す方を見れば、

穏やかな湾内を、意味もなくモーターボートで突っ切るストロンガーの姿があった。
ほんっっっっっっと、意味なし!!
せっかくモーターボート借りたんなら、それを使ってアクション撮ればいいのに……
以上、とにかくこれほどひどいシナリオにはなかなかお目にかかれないだろうと思われる、凄まじい駄作であった。
せめて、ユリ子の水着姿でもあればなぁ……
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