第27話「海を泳ぐ怪物の手」(1984年7月13日)
冒頭、オクトパスのアジトでは、トンチンカンが、特製バースデーケーキを用意して、レディーMの誕生日をお祝いしようとしていた。
およそ「悪の組織」らしからぬほのぼのさである。

M「ありがとう」
トンチンカン「ヨーロッパにおいでのプロフェッサーKからまたエアメールが参りました」
M「まあ、おじ様から素敵な誕生日のプレゼントよ。おじさまが新しく開発した戦闘用のアンドロイドを送ったって書いてあるの!! 私にとっては何よりのプレゼント」
トンチンカン「そのアンドロイドを使って、今度こそ憎いマシンマンを……」
M「必ず倒すのよ、アンドロイドは今日貨物船で横浜に運ばれてくるわ」
と言う訳で、18話以来、久しぶりに戦闘アンドロイドが登場することになる。
もっとも、例によって、過去のスーツの使い回しだけどね。
一方、葉山家の庭は、ビーチパラソルにデッキチェアが並べられ、即席のリゾート地のようになっていたが、そこで釣りの練習をしていた勝の投げた釣り針が健のシャツに引っ掛かり、それを引っ張り上げる。

真紀「あーっ!!」
と、ちょうどそこにあらわれた真紀がそれを見て大きな声を出して指差し、子供のようにはしゃぎながら健に駆け寄る。

真紀「あっははは、みーちゃった、みーちゃった!! 健さんのおへそって可愛いのね」
健「参ったなぁ」
真紀にからかわれて、照れ臭そうに頭を掻きながら、いそいそとシャツを捻じ込む健。
※下書きでは、ここにとても下品なギャグを書いていましたが、公開時に削除しました。 内容は各自で察するように。 
真紀「今日留守番頼むわね、うちの編集長とっちめてやるんだから」
健「えっ?」
真紀「わからずやの編集長、今年は夏休みをとらないで仕事をするって言うのよ。あったまに来ちゃう」
勝「お姉ちゃん、夏休みがないとバカンスに行けないぜ」
真紀「そうなのよ、これから交渉してくるわ」
真紀が出勤した後、勝も横浜港で釣りをするのだと言って出掛けてしまう。
健は念のため、ボールボーイに勝たちの監視を頼むと、自分はデッキチェアの上に長々と体を伸ばして骨休みとしゃれ込むのだった。
横浜埠頭では、勝たちのほかにも釣りをしている子供たちがいたが、

トラオ「おう、誰に断ってここで釣りやってやがんだ」
そこにあらわれたのが、トラオとユカと言う、凄みのカケラもない、1980年の原宿の歩行者天国からタイムスリップして来たような恰好をした不良コンビであった。

子供たち「ええーっ」
ユカ「釣りたきゃね、ショバ代出しな」
二人はショバ代と称して彼らからなけなしのお小遣いを巻き上げると言う、第19話に出てきた番長たちに勝るとも劣らぬセコいことをする。
一方、同じ横浜港で、陸揚げされた数個の木箱を、トンチンカンが作業員にフォークリフトで運ばせていたが、運悪くブロックに乗り上げて傾き、木箱のひとつが地面に落ちて壊れ、中に入っていたマネキン人形のような人形のパーツが海に落ちてしまう。

作業員「ああーっ、すいません」
トンチンカン「首がない、ない、ない、首……」
おそらくそれが戦闘用アンドロイドのパーツなのだろう、トンチンカンはあたふたと周囲を見回していたが、上半身が水面に浮かんでいるのを見て、

パンツ一丁になって、迷わず海に飛び込む。
ここ、ちゃんと俳優さん本人が飛び込んでいるのがえらいが、見てる方はちっとも楽しくない。
トンチンカンはパーツを掻き集めて岸壁に這い上がるが、
作業員「だいじょぶですか、すいませんどうもー」
トンチンカン「あ、左腕がない……あの左腕は大事なものなんだ、すぐ探せ!!」
作業員「あっ、はいっ!!」
普通の善良な作業員が、「悪の組織」の大幹部に全力で謝罪すると言う、世にも珍しいシーンであった。
結局、左腕は見付からず、トンチンカンは残りのパーツと共にアジトに戻ってくる。

なお、オクトパスの戦闘アンドロイド製造工場では、フルチンの美青年たちがポーズをつけて並んでいた。
冷静に考えれば、かなりのお下劣空間である。
トンチンカンは当然レディーMにしこたま怒られるが、管理人はここで、
M「とにかく、合体の準備をしなさい」
トンチンカン「えっ、いいんですか? じゃ、遠慮なく……」
M「キャーッ、何するのよ、トンチンカン、その合体じゃないわようっ!!」
と言うようなお下劣なギャグを書こうとして寸前で踏み止まったことを報告しておきたい。
そして読者の皆様には「きっちり書いてるだろ!!」と言うツッコミを入れて頂きたい。

とにかく、Mの指示で、トンチンカンは回収したパーツを手術台の上に並べ、メカのスイッチを入れると特殊な光線が人形に照射され、

アンカー男「レディーM、ヨーロッパにおいでのプロフェッサーKからあなたのことはよく聞かされている、俺はマシンマンを倒す為にやってきた」
どういう仕組みか不明だが、ただのマネキン人形がオクトパス初の戦闘アンドロイド・アンカー男の姿となる。
M「勝てる? マシンマンに……」
アンカー男「ま、無理っすね~っ」
M「……」
たいへん正直者の戦闘アンドロイドであった。
じゃなくて、
M「勝てる? マシンマンに……」
アンカー男「勿論だとも」
自信たっぷりに答えるアンカー男であったが、左腕がないのに気付いて慌てる。
でも、実際問題、このアンカー男が、過去に何体も倒された戦闘アンドロイドと外見上の違いがまったくなく、お世辞にもマシンマンに勝てそうにないのは事実なので、せっかくプロフェッサーKの新作と言う触れ込みなのだから、せめてカラーリングぐらいはアレンジして、テンタクルのアンドロイドとの差別化を図って欲しかったところだ。
それはともかく、

トンチンカン「思わぬ手違いから、海の中に……」
アンカー男「なんだとぉ、俺のメカハンドをすぐに拾って来い」
トンチンカンが申し訳なさそうに言うと、アンカー男はたちまち喧嘩腰になる。
トンチンカン「なんだ、その言い方は、俺はレディーMの側近ナンバー1だぞ」
アンカー男「元々ひとりしかいねえだろうがっ!!」 トンチンカン「うっ!!」
M(それを言っちゃあ……)
おしまいなのだが、途中から嘘である。
二人はその場で戦い始めるが、Mが割って入り、アンカー男に左腕の回収とマシンマン抹殺を命じる。
アンカー男は手近にあった別のアンドロイドの左腕をとりあえずくっつけると、船長or航海士風の人間に化け、
アンカー男「俺の体のパートは独立した意思を持っている。だからこのレーダーで探せば何処にあるのか行方が分かる」
そういって小型レーダー装置を取り出す。
アンカー男が出撃した後、
M「言うてる意味分かった?」
トンチンカン「いいえ」
と言う会話が交わされたと言うが、嘘である。
嘘であるが、言うてる意味が良くわからないのは事実である。
さて、勝たちはなかなか釣れずにいたが、遂に美佐の竿にヒットする。

だが、力を合わせて釣り上げたのが魚ではなく、切断された人間の左腕だったので思わず悲鳴を上げる美佐たち。
と、それを見ていた勝が不意に笑い出し、

勝「これマネキン人形の手じゃねーか」
美佐「はーっ、びっくりした」
勝はそれを投げ捨てるが、それはたまたまベンチの陰で休んでいたボールボーイの目の前に飛んでくる。
ボールボーイ「なんだ、マネキン人形の手か……」
一瞬ギョッとしたボールボーイだったが、ただの人形だと分かると再び目を閉じて居眠りを再開する。

だが、それこそアンカー男の探している左腕で、ひとりでに動き出してボールボーイを掴もうと這い寄って来る。
ボールボーイ「ぎゃーっ、手が生きてるーっ!!」
ボールボーイは肝を潰して空中に逃げ、テレパシーで健に応援を頼む。
その頃、週刊ヒット編集部では、編集長が社員たちから吊るし上げを食っていた。

真紀「編集長、夏休みは取れるの、取れないの?」
真紀が編集長がいつも手にしている入れ歯のオモチャを突きつけて迫れば、
ルミ子「どっちなんですかっ?」
ルミ子も机を叩いて問い詰める。
社員総出の包囲網にはさすがの編集長もたじたじとなり、

編集長「このところ、週刊ヒットの売れ行きが芳しくなくてな、社長が夏休みを返上して働けって……」
机の下に隠れるようにして言い訳するが、

真紀「私たちには夏休みをとる権利があるわ、それに週刊ヒットが売れないのは編集長のせいですよ」
ルミ子「そのとおり!!」
真紀たちは引き下がらず、あくまで夏休みを要求するのだった。
しかし、まあ、特撮ドラマとは言え、会社が経営不振だからって人員整理しようと言う声が一切出て来ないのは、隔世の感があるなぁ。
CM後、あの不良カップルが今度は勝たちをカツアゲしようとするが、アンカー男の左腕に捕まって投げられたボールボーイがトラオの頭に命中する。
トラオがうずくまっている隙に勝たちは逃げ出すが、

ベンチの下にいた左腕が、そばを走り抜けようとした美佐のスカートを鷲掴みにする。

が、パニクッている美佐は気付かず、スカートに腕をぶら下げたまま走り続ける。
ちなみに5人の中でわざわざ美佐を選んだのは、別にスタッフの中に真性ロリコン戦士が混じっていたわけではなく、単に腕をつかまらせるのに都合が良かっただけである。
……そう信じたい。

美佐「ああーっ!!」
やがて、腕に引っ張られたのか、美佐がバンザイして倒れ込む。
さすがにこの距離では確認できないが、どうせブルマを履いていたと思われる。
美佐の悲鳴に勝たちが戻ってきて、
勝「女の子のスカートめくりするなんてエッチな奴だ」
男子「そうだ、こいつ!!」
浩か、豊か、三郎か、名前分からんけど、とにかく男子の一人がその腕を蹴飛ばして美佐を助ける。
勝がその腕を拾っていじっていると、手首の部分の蓋が開き、内部の複雑なメカが露出する。

勝「おい、みんな見てくれよ」
美佐「これ、密輸品じゃない?」
勝「そうかー、マネキンの中に密輸の宝石を詰めて貨物船で運ばれて来たんだよ」
だが、子供の勝たちには、その電子部品が宝石に見えたらしく、穿った推理までして見せる。
しかし、あえて画像は貼らないが、それは誰がどう見ても電子部品にしか見えず、勝たちがそれを宝石だと勘違いしたと言うのは、説得力がない。
と、誰かがその左腕を横取りする。

トラオ「密輸の宝石か、良いことを聞いたぜ」
勝「ああ、それは警察に……」
トラオ「つべこべ抜かすと、一発ぶちかますぞ」
ユカ「ショバ代の代わりにもらっとくよ」
竹の子族の生き残り二人は、勝たちの言葉を鵜呑みにしてそれを持ち去ってしまう。
良い子の勝たちは、わざわざ警官にそのことを訴える。

勝「嘘じゃないよ、お巡りさん、密輸のマネキン人形の手なんだよ」
警官「分かった、わかった、どこにあるんだね、それは」
勝「それがそのう……」
警官「君たちに、夢でも見てるんじゃないのかい」
だが、現物が手元になくては警官も真面目に取り合ってくれず、ただの悪戯としか思われない。

アンカー男「君たち、ちょっと聞きたいことがあるんだ」
勝たちがぶーぶー不満を漏らしていると、彼らのやりとりをジュリーのように背中で聞いていたアンカー男の人間態がにこやかに話し掛ける。
アンカー男はコンテナ置き場の物陰に勝たちを連れて行くと、本性をあらわし、
アンカー男「俺のメカハンドを何処にやった?」
勝たち「えーっ?」
アンカー男「メカハンドを返せと言ってるのが、分からないのか?」
勝たちは脅されてトラオ(一応番長らしい)に奪われたと白状し、とっとと逃げ出す。
ちょうどそこに健があらわれ、事情を聞くと、
健「あとは俺に任せるんだ、君たちは釣りをしに来たんだろ、だったら楽しまなきゃね」
勝「うん、みんな、今度こそ大物を釣ろうぜ」
健に促されると、一瞬で気持ちを切り替える勝たちであったが、若干違和感がある。
好奇心旺盛な子供なら、事件の顛末を見届けたいと思うのが普通だと思うんだけどね。
さて、トラオたちは、腕の中の電子部品を見るが、目が悪いのか、それともバカなのか、
トラオ「こいつを売り払って豪遊だ」
ユカ「ごきげん!!」
彼らも疑うことなくそれが宝石だと信じ、鉄パイプで壊して取り出そうとする。
ま、よくよく映像を見ると、電子部品の間に、宝石っぽい鉱石がいくつか見えるが、とても価値のある宝石には見えないのは確かである。

だが、鉄パイプの打撃ぐらいでアンドロイドのボディーが壊れる筈もなく、逆に左腕に鉄パイプを奪われて、殴られそうになる。

慌てて逃げようとするが、今度は本体のアンカー男が立ち塞がり、二人を突き倒す。
アンカー男「メカハンド!!」
男の声に、左腕は宙を飛んで、あるべき場所に収まる。

アンカー男「俺の秘密を知った以上、生かしてはおけん」
この、アンカー男が「完全体」になるシーンはなかなかカッコイイのだが、続くアンカー男の台詞には首を傾げてしまう。
何故なら、彼は別にこの姿で何か悪事を企んでいるわけではなく、その任務はマシンマンを倒すことなので、その姿を竹の子族に見られようと、痛くも痒くもない筈だからである。

それはともかく、本来の姿になったアンカー男を見て二人は慌てて逃げ出すが、ガントリークレーンの上で捕まり、そこから落とされそうになる。
それを見ていたボールボーイの連絡を受け、健はドルフィンに乗って飛んでくる。

マシンマン「マシンバリヤー!!」
マシンマン、ちょうど高所から落ちてきた二人の下にレーザーサーベルで足場を作り、ゆっくりと地面に降ろす。
ここからラス殺陣となるが、でかいことを言っていた割りに、アンカー男はあっさりマシンサンダーの餌食となり、爆死する。
……
なんつーか、手間隙掛けて作った料理を、5秒で食われたシェフのような気持ちにさせられるのは、管理人だけだろうか?
これなら25話のミイラ男や、26話のマリオンのほうがよっぽど善戦してたぞ。
プロフェッサーKも、いい加減、レーザーサーベルの対策を講じろよ。
まあ、この辺は、毎回怪人をレーザーブレードで倒されるのにその対策を一向に立てないマクーやマドーにも言えることだが。
マシンマン、ついでトラオとユカにカタルシスウェーブを浴びせる。

マシンマン「弱いものいじめをし、小さい子供たちからお金を巻き上げるとは……」
トラオ「すいません、弱いものいじめは金輪際やりません」
ユカ「もう、ツッパリもやめます」
トラオ「許して下さい」
一瞬でイイ子になってしまった二人は、代わる代わる反省の弁を述べ、頭を下げるのだった。
しかし、悪人を改心させるのは良いけど、こういう不良まで精神改造してイイ子にしちゃうと言うのは、果たして許されることなのであろうか?
それにこれでは、マシンマンがカタルシスウェーブなしでは不良少年も改心させられないへっぽこヒーローに見えてしまうではないか。
19話の番長たちもそうだが、無理にカタルシスウェーブを使わず、単に怖い目にあって反省し、自ら改心する……と言う程度で良かったのではあるまいか。
そりゃ、少年院とか、校内暴力で悩む学校では重宝されるビームではあるが、そんなもので片っ端から子供を矯正していくのは、ほとんどファシズムにつながりかねない危うさを孕んでいるような気がするのである。
無論、マシンマンは別にそんなことはしないけどね。
それはそれとして、

ツッパリメイクをやめて「素」になったユカと言う女の子が、意外と可愛いことに気づいた管理人であった。
エピローグ。
改めてみんなで一緒に釣りを楽しんでる子供たち。
その中にはすっかりイイ子になったトラオとユカの姿もあった。
そこへ真紀と亀太も駆けつける。

真紀「凄いわね~」
勝たちの釣果を見て、とろけるような笑顔を見せる真紀。
ああ、かわええ……
勝「お姉ちゃん、夏休み取れたの?」
勝が思い出したように聞くと、

真紀「ばっちりよ」
指で丸を作って見せる真紀。
編集長も遂に屈服したのだろう。
亀太「だから、ご馳走してくれるんだってさ」
勝「ほんとー」
真紀「もうみんなに好きなものジャンジャン奢っちゃうから」
真紀の景気のいい言葉に飛び上がって喜ぶ子供たち。
管理人はこれに続けて、
真紀「ね、みんな、何食べたい?」
健「女体盛り」
勝「女体盛り」
亀太「女体盛り」
豊「女体盛り」
三郎「女体盛り」
浩「女体盛り」
トラオ「女体盛り」
真紀「……」
と言う下品なギャグを書こうとして、寸前で思いとどまったものである。
しかし、真面目な話、ボーナスが出たとか宝くじが当たったとかならともかく、夏休みが取れたからってみんなに奢ると言うのは、なんか話の流れとしておかしいような気がするのである。
これが29話や30話の前なら、
亀太「だから、みんなでバカンスorキャンプに連れてってくれるんだってさ」
と言うように、次のエピソードに繋げられたんだけどね。
子供たちはさっさと釣りを切り上げてその場から駆け出すが、

真紀「健さん」
健「え?」
真紀「いこっ」
真紀はそう言って健の腕に自分の手をからませるのだった。
勝「お姉ちゃん、早……」
亀太「あ、ああーっ!!」
振り返って、まるっきり恋人同士のような二人の姿に思わず声を上げる勝たち。

真紀も可愛いが、恥ずかしそうに両手で顔を覆う美佐も可愛いのである!!
以上、はっきり言って、面白くも何ともない凡作であった。
トラオとユカの不良コンビも、終わってみればただの被害者に過ぎず、いてもいなくてもあまりストーリーに影響はなかったと思われる。
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