第2話「激突!バロンブレイク」(1973年7月11日)
前回のラストの続きから、十字架に縛り付けられた兄・健一郎をなんとか助けようとしている健。
兄から託されたリモコンで、レッドバロンを呼び出し、

ジャンプして、レッドバロンの右手に乗る。
これは、トランポリンで跳ねている役者を合成しているのだが、円谷プロ並みのクオリティーである。
まあ、周知のように、この作品には円谷プロのスタッフが参加しているので、当たり前といえば当たり前なんだけどね。

レッドバロンの左肩に降り、顔(首?)の横のハッチから中に入ろうとするが、

健一郎「健、レッドバロンを……(以下、よく聞き取れない)」
健一郎、健に最後の言葉を伝えると、

首の自爆装置が作動して、凄まじい衝撃音を発して、跡形もなく砕け飛ぶ。
80年代以降のぬるい特撮を見慣れている人にはショッキングなシーンだが、この手の話を書き慣れている上原さんからすれば「爆死させましたが、何か?」と言う感じだろ。
ただ、健一郎が命令に背いたからと言って、この場であっさり殺してしまったのは、あまりに軽率な行為ではなかったかと、デビラーの判断には大いに疑問が残る。
健一郎を生かしておけば、レッドバロンと同程度のロボットを作らせることも可能だったろうし、よし従わずとも、レッドバロンの唯一の操縦者となった健に対する、これ以上ない人質になった筈だからである。
しかもその直後、
デビラー「大人しくレッドバロンを我々に渡せ」
健「ちくしょう」
どう考えても通りそうのない要求を突きつけるあたり、デビラー、ロボットの作り過ぎで既に頭が黄昏ちゃってた可能性が急浮上する。
その要求を出すのなら、健一郎を殺す前にやらないと……
怒りに燃える健、レッドバロンに乗ってビッグバイソンと戦うが、さすがアメ車の発祥地のロボットだけあって、ビッグバイソンはやたらに頑丈で、どんな攻撃も効かず、必殺技エレクトリッガーを受けても涼しい顔をしている。
健「どうすりゃいいんだ」
ビッグバイソンの猛攻に手も足も出ず、泣きそうになる健であったが、まだ操縦経験も浅く、指南役の兄を失ったばかりとあっては致し方あるまい。
一方、SSI本部では、

ボス「真理、ビッグバイソンの資料をコンピューターに入れろ」
真理「了解」
元々、鉄面党のロボットは、万国ロボット博覧会に出品されていたものを強奪し、戦闘用ロボットに改造したものがほとんどなので、そのデータをSSIも持っているのである。

ピアノ型コンピューターの譜面台には、レッドバロンとビッグバイソンの戦いが映し出されているが、これは、このシーンだけシネスコで撮って、それから合成してるのかなぁ?
シネスコにしても、ちょっと長過ぎる気もするが……
やがて真理がコンピューターの弾き出したデータを持ってくる。
ボス「こちらSSI本部、ビックバイソンの設計図を調べてみた、作動方式はフルオートマチック、電子頭脳は後頭部中央にある。正面からいくら攻撃しても駄目だ」
健「了解」
貴重なアドバイスを受けた健、バイソンの背後に回り、バロンミサイルを撃つのだが、

格納されているミサイルが、発射口のカタパルトの高さまでリフトされ、

レールにそって発射口まで送り出される映像を見せてから、

発射口のハッチが開き、ミサイルが発射されるシーンとなる。
これほど精巧で説得力のあるミサイル発射シークエンスは、本家ウルトラシリーズでしか見たことがない。
ただ、そのミサイル一発で、ビッグバイソンが粉々に吹っ飛んでしまうのはちょっと「?」だけど。
ここは、後頭部を攻撃してその動きを止め、それからバロンパンチあたりで撃破するのがモアベターだったろう。
それでも、こうやって、ヒーローが根性とかやる気とか勢いとか雰囲気とかに頼らず、合理的な作戦で敵を倒すのを見るのは、一種の快感である。
どうでもいいことだが、ボスは真理に資料を入れてくれと言ってるのに、真理が打ち出された資料を持ってくるのが、なんか引っ掛かるんだよね。
「コンピューターから資料を出してくれ」なら分かるんだけど。
さて、短時間に二体のロボットを破壊されたデビラーであったが、悔しいぐらいに前向きで、
デビラー「これで良い、これで次の打つ手が生きるというものだ」
まるで予定通りとで言いたげに、不敵な笑みを浮かべていた。
その後、健一郎の墓参りに訪れている健。

健(父さん、母さん、兄さん、健三、鉄面党は俺の手で必ず叩きつぶしてやる)
健が、鉄面党に殺された家族みんなに心の中で誓っていると、そこへSSIのメンバーも顔を出す。

ボス「お前の兄さんは4年前に鉄面党の侵略を予感していた、SSIもこの墓前で誓いたい、徹底的に戦うことをな!!」
健の心を見透かしたように言って、自分も手を合わせるボスであったが、そんなことより、真理の純白ミニスカワンピが最高なのです!!
おまけにロングブーツ!!
あと、以前のレビューでも書いたと思うが、
墓石に書かれてる名前、多過ぎね? ま、両親のみならず、祖父母もその墓に入っているということなんだろうが、別にそこまでリアリティーを追及しなくても良いと思うんだ。
また、健一郎の名前が、健三の名前より先に書かれているのは、まるで健一郎が死ぬことがあらかじめ分かっていたようにも見えるのだが、よくよく考えたら、三人はあくまで行方不明扱いであって、健一郎の言葉でやっと死亡を確信し、今回、健一郎の名前を彫る際に、初めて両親と健三の名前を刻んだとすれば、年齢順に並んでいても不思議はないことに気付いた。
それにしても、特撮の主人公が、家族を「悪の組織」に殺されるというのは70年代ではお約束の設定だが、健のように4人も殺されたと言うのは最多記録ではあるまいか?
それに続くのは「V3」の志郎と「スカイライダー」の洋の、両親プラス妹くらいか?
ついでに、前回言い忘れていたが、紅三兄弟の名前も変だよね。
長男……健一郎 次男……健 三男……健三 普通は、健二だよねえ。
なんか、思春期になった健が、俺だけよそから貰われて来た子なんじゃないかと余計な心配をしそうな、罪作りな命名法である。
さて、墓参りを終えて健たちが石段を降りていくと、眼下に工事現場があり、マンションのような建物の建設が急ピッチで進められているのが見えた。

大作「何作ってんだろ? ここんとこ、突貫工事みたいだぜ」
ボス「真理、あのトラックの積荷、赤外線フィルムで撮っとけよ」
何を思ったか、普段はカメラマンをしている真理に命じるボスであったが、何故その工事を怪しいと睨んだのか、その理由が呈示されないのは物足りない。
それはそれとして、

真理の画像なら、何の理由がなくても貼る管理人であった。
その後、いてもいなくても差し支えないレギュラー子役4人が、ラジコン飛行機を飛ばして遊んでいるうちにその工事現場に迷い込んでしまい、そこで働いている作業員がメカロボであることを知り、慌てて逃げ出して熊野警部に報告すると言う事件が起きる。
熊野警部はことの真偽を確かめに、子供たちを連れて現場に行くが、

女「ああ、それでしたら、溶接中の作業員を見たんじゃありませんか」
熊野「溶接中?」
女「ええ、ほら」
応対した、当時としては珍しい女性現場監督(?)に言われてそのほうを見ると、

遮光マスクを被って作業している作業員の姿があり、確かに、パッと見、子供たちがメカロボと間違えても不思議はないように思えた。
熊野「なーるほど、きっとそうだ、そうですよー」
子供「違うよー、あんな顔じゃなかった」
子供たちは抗議の声を上げるが、
熊野「子供ってのは空想力が豊かなんですよ、では、失礼」
熊野、その声を無視して不自然なほどあっさり引き下がる。
だが、熊野は見掛けほどボンクラではなく、

子供「調べなくて良いのかよ、本当に」
熊野「今夜密かに捜査をするんだ」
子供「ええっ」
熊野「騙されたと見せて、実は……これが刑事テクニックだ」
騙されたふりをして相手を油断させる策略だったことが分かる。
ところが、鉄面党は二枚も三枚も上で、熊野警部の魂胆はすっかり見抜かれており、夜、真理の写真からそこが鉄面党の基地だと知った健がひとりで潜入した時は、既に熊野警部も敵の手に落ちていた。
健もあえなく捕まるが、

女「ふふふふ、ここがお前の死に場所だ」
例によって例のごとく、指揮官である女は、健を縦長の檻にぶちこみ、トゲの生えた天井を降ろして串刺しにするという、手の込んだ処刑方法を選ぶのだった。
健は知る由もなかったが、健の両親と末弟・健三は、それと全く同じ方法で鉄面党に殺されたのである。
ちなみにこの女を演じているのは田代千鶴子さんと言い、ゲストの中ではなかなかの美女なのだが、このシーン以降、全部声が依田英助さんの吹き替えになってしまうのが激烈に残念だ。
やがて、容赦なく天井が落ちてくるが、

それを、よくある横からではなく、健目線で撮っているのが、かなりの怖さ。
先端恐怖症の人には正視できないだろう。
窮余の一策、リモコンでレッドバロンを呼ぶ健であったが、到底間に合わないように見えた。

だが、女は何故かぎりぎりのところで天井を止める。
女「紅健、まんまと罠に掛かったな」
健「なにぃ」

女「ははははは、レッドバロンを引き出す為にお前を利用したのだ。これさえあればレッドバロンは我々のもの」
女は愉快そうにケラケラ笑うと、健の手からリモコン装置を奪い取る。
そう、健をピンチに追い込んでわざとレッドバロンを呼ばせ、その操作方法を知ると共に、レッドバロンを自分たちのものにしようと言う、巧妙な作戦だったのである。
ただ、どうせならそのまま健を穴だらけにしてしまったほうが、鉄面党のためであったろう。
それに、この時点では、健にしかレッドバロンを操縦できないことは知らないのだから、用済みとばかり殺してしまうのが筋だろう。
健一郎をあんなに簡単に処刑した割りには、鉄面党のやり方が不自然なほど手ぬるいようにも感じられる。
それはともかく、女はメカロボのひとりにレッドバロンを操作させようとするが、当然、健以外の人間が触っても、ウンともスンとも言わない。
それは良いのだが、
健「レッドバロンには俺の指紋を記録させてある、そのブレスレットも俺の声以外、通さないのだ」 健が、わざわざそのことを敵にバラしてしまったのは、あまりに迂闊ではなかったか。
要するに、健さえいなければレッドバロンはただの鉄の塊になってしまうのだから、世界征服を狙う鉄面党にとっては、健を殺すのに躊躇は要らない筈である。
実際は、レッドバロンに惚れ込んでいるデビラーは、あくまでレッドバロンの奪取を目指しているので、そんなことはさせないのだが、レッドバロンを自分たちのものにするという欲さえ捨てれば、この時点で鉄面党の大勝利だったと思われ、デビラーがくだらないことに拘って大局を見失い、みすみすチャンスをドブに捨てているスットコドッコイに見えてならないのだ。
それに、鉄面党の技術力なら、無理にレッドバロン初号機に執着せずとも、それを持ち帰って分解して構造を解析すれば、同等のロボットくらい簡単に作れると思うんだけどね。
ともあれ、女は健を奴隷人間にして鉄面党のパイロットにしてやると言い、朝になるのを待って(なんで?)、健を移送しようとする。
と、階段の途中に、熊野警部が吊り下げられていた。
これも、健一郎さえ殺したのに、熊野警部を生かしておくのは、道理に合わない。

健「警部を逃がしてやれ、そうでなければ俺は動かん」
女「逃がしてやれ」
地上に降ろされた警部は、健を見捨ててとっとと逃げ出すのだが、結局、警部の存在は、ストーリーにほとんど影響を及ぼしてないんだよね。
せめて、健が侵入した時、熊野警部を人質に取られてやむなく抵抗をやめる……みたいなシーンが欲しかった。
ちなみにこの女性、ミニスカを履いているようなのだが、ろくに下半身を映してくれないのではっきり確認できなかった。
この後はずーっと車に乗ってるし……
健、隙を見て女の持っていたリモコン装置に向かって叫び、工事現場に佇立していたレッドバロンを操作して建設中のビルをゲシゲシ壊させる。
だが、建物の中にはブラックマサイと言う、アフリカ産のロボットが隠れており、凄まじいパワーでレッドバロンを殴り倒す。
トレーラーにロボットの部品を積んで運び入れていたことから、ここでブラックマサイが組み立てられていたのは確かだろうが、この施設自体は、健をこの場所におびき出す為の囮に過ぎなかったと思われる。
ちなみにブラックマサイ、ご丁寧に唇が長介みたいに分厚くなってるのは、今では何かと物議を醸しそうな描写である。

女「はははは、ブラックマサイ、破壊活動を開始せよ」
悪役にしては、笑った顔がなかなかキュートな千鶴子さんだが、声が相変わらず伊田さんの怪人声と言うのは興醒めも良いところである。
やがて自衛隊の戦車や戦闘機が大挙して押し寄せ、ブラックマサイに砲火を浴びせるが、全く歯が立たず、あっという間に全滅させられる。

女「暴れろ、暴れろ、鉄面党の威力を見せてやれ」
鉄面党は、ブラックマサイのコントロール装置を積んだ車に健を乗せ、その周辺を走り回る。
だが、その間に健がロープをナイフで切り、車から飛び降りる。
鉄面党もしつこく健を追いかけ、砲撃を加えるが、ボスの操縦するヘリコプターが飛んできて、縄梯子を降ろし、それに健が掴まって空中に引っ張り上げられるという、「ルパン三世」みたいな方法で逃げ切る。

女「撃て、撃つんだ!!」
逃がすくらいなら殺してしまえということなのだろうが、だったら最初からサクッと息の根を止めておけば、鉄面党の大勝利だったのに……
悔しそうに空を見上げる女であったが、続いて他のSSIが駆けつけたので今度は自分たちが逃げ出す羽目となる。

哲也「真理、健のお返しをしてやれ」
真理「オーケイ、ゴー!!」
真理、楽しそうにレバーを倒して、フロントに内蔵されたニ連装ロケット弾を発射する。
一方、健はヘリにぶら下がったまま、倒れているレッドバロンのところへ運ばれ、リモコンでレッドバロンを起こすと、その肩に降り立ち、顔の横のハッチから操縦室に入る。
ブラックマサイと戦い、エレクトリッガーでその頭部を吹き飛ばすが、胴体から新たな顔が出て来て、何事もなかったように向かってくる。
健「こいつはバケモンだ。ボス、こいつはコントロールマシーンで操作されています!!」
健の言葉を受けて、ボスはコントロール車を破壊するよう哲也たちに命じる。
つまり、パイロットがいないので、いくら頭を吹き飛ばしても平気と言うことなのだろうが、だったら無理に頭を生やす必要はないと思うんだけどね。
無論、スーツアクターの頭は外せないので、いちいち頭を生やさざるを得ないのだが……
女も必死になって、部下にバズーカ砲などをドカドカ撃たせて追跡を阻止しようとする。

女「はははははは」
やがてSSIの姿が見えなくなったので、安堵の笑みを浮かべる女。
だが、それはSSIの策略で、十字路に差し掛かると、いつの間にか先回りしていた真理と大作が左右から突っ込んできて、後方からは哲也のジープが、さらに前方から熊野警部の自転車が来て、四方を取り囲まれる形となる。

女「はっ」
異変に気付いて驚く女。

女「突っ込めーっ!!」
ヤケクソになった女は、正面からの強行突破を命じる。

女「ううーっ」
だが、熊野警部が逃げようともせず走ってくるので、泣きそうになる女。
……
さっきから同じような画像ばっかり貼ってるような気がしますが、気のせいじゃないです。

だが、熊野警部は衝突寸前に空中に飛び上がってかわし、車はハンドル操作を誤って土手下に落ち、爆発炎上する。
その際、顔だけメカロボの女が車から投げ出されてうつ伏せに倒れ、パンツが見えているようなカットがあるのだが、あいにく、雑草が多くてはっきり見えない。
それに、たぶん、スタントだと思うので、仮に見えても追い風参考記録にしかならない。
あと、土手の上に立ってる真理のスカートが風でヒラヒラするのだが、チラ発生までは行かなかったことをご報告しておきたい。
ちくしょう。
この後、レッドバロンがブラックマサイを倒して事件解決。
ラスト、琥珀色に染まった川原に集まり、健闘を讃えあうSSIメンバー。

大作「さすがだよ」
真理「まさに我らがエースね」
真理がガッツポーズをして叫ぶと、熊野警部が加わり、
熊野「なに、エースねえ?」
大作「またぁ、レッドバロン!!」
自分のことかと勘違いして照れたような顔をしていると、大作に肩を小突かれる。
振り仰げば、夕陽を浴びて輝くレッドバロンの雄姿が聳えていた。

ボス「鉄面党はこれからも改造ロボットを送り込んでくるに違いない、みんな頼むぞ」
真理「はいっ!!」
ボスに肩を叩かれ、小学生のように元気よく返事をする真理が可愛いのである!!
それに牧さん、女性としては決して背が低い方ではないのだが、ボスや熊野警部をはじめ、健も大作もみんな大柄なので、彼らの間にいると、めっちゃ小柄に見えて、その可愛らしさが3割増しになるのである。
健の岡田さん、元々モデルをやっていたそうで、こう見えて180センチ近くあるらしい。
ペペさんも、子役上がりで小柄なイメージがあるが、実際は180センチあるのである。
- 関連記事
-
スポンサーサイト