第17話「怪談 悪魔の復活祭」(1975年7月26日)
冒頭、お化け屋敷で子供たちを散々脅かしたあと、幽霊役のキャストたちが集まって和やかに雑談していたが、村野と言う男が、ひとりだけ被り物を取らないお化けの姿をしげしげと見ながら、

村野「しかし、こんなお化けいたかなぁ……飛び入りかぁ、こっち来い、こっち来い、しかし良く出来てんねえ」
コウモリ「キィーッ!!」
村野「ぬいぐるみじゃない~っ!!」
コウモリ「その通り、俺はコウモリ奇械人よ。この町内の人間はみんな死んでもらう」
ありがちな展開だが、それは正真正銘、ブラックサタンの怪人だったのである。
しかし、こんなところに潜り込んで一体何がしたかったのか、その辺が良く分からない。
この後、茂の出現にシャドウが驚いてるくらいだから、茂をおびき出すためでもないし。
かと言って、タイタンの復活の儀式とも関係なさそうだし。
あと、「この町内」って台詞、世界征服を企む「悪の組織」の人の口から出ると、急に話がローカルな雰囲気になっちゃうので、是非やめて頂きたかった。
コウモリ奇械人、この後一切使わなくなる溶解液を吐き散らしてキャストたちを次々殺していく。
ひとり逃げ出した村野は、偶然にも茂と出会う。

茂「どうしたんです」
村野「うう、あんた、人間?」
茂「おかしなことを聞く人だな」
村野「お化け大会に紛れ込んだ本物、あたし、見ちゃった」
茂「え、本物のお化け? はっ、まさか」
村野「ほんとなんですよ、コウモリ奇械人、だってよ」
茂「コウモリ奇械人、やはり奇械人はこの辺りに」
茂、どうやら奇械人の気配を感じて探していたらしいのだが、だからってこんな有料施設にまで入ってくるか、普通?
あと、せっかく小島三児さんという芸達者を起用しながら、その出番がこれで終わりと言うのはあまりに勿体無い。
ともあれ、茂が奥に進むと、先にシャドウがあらわれる。
シャドウ「城茂、ここでお前に会うとは思わなかった」
茂「俺もだ、ちょうどいいや、タイタンに代わる大幹部、今ここで始末してやる」
茂、果敢にシャドウに戦いを挑むが、シャドウはトランプをばら撒いて姿を消す。
……あんた、ここで何してたの?
ついでコウモリ奇械人が樹木の上にあらわれ、
コウモリ「シャドウ様が、お前ごときザコとじきじきに戦うか」
茂「お前さんがコウモリ奇械人か」
コウモリ「貴様が城茂か」
と、そこへいきなりユリ子が駆けつけ、
ユリ子「岬ユリ子!!」
これも、一緒に行動していたのなら最初からそばにいる筈だし、別行動を取っていたのなら、なんでこの場所が分かったのかと言う謎が謎呼ぶ迷シーンである。
この後、コウモリ奇械人、戦闘員を相手の乱戦となるが、
暗くて何やってんだかわかんねえんだよっ!! ま、昔の特撮のお約束ですね。

ライダー「さあ言え、シャドウのアジトは」
コウモリ「言うもんか~」
コウモリの背中の羽を掴み、足でフェンスに押さえつけながらアジトの場所を吐かせようとするストロンガー。
途中から屋外に場所を移すのだが、外は昼間と言うか、朝っぱらのような明るさであった。
まあ、お化け大会だから外が明るくても不思議はないのだが……なんか釈然としないのは、管理人だけだろうか?
ともあれ、コウモリ奇械人には逃げられるが、シャドウが目印のように落として行ったカードを辿って、霧のけぶる森の中を進む茂たち。

茂「怪しいお堂だ」
ゆったりとした鐘の音が響く中、藁葺き屋根のあばら家のようなお堂の前に立った二人が振り返ると、そこに四角い教会が建っていた。
お寺なのか教会なのか、どっちだよ……
ユリ子「あの中にシャドウがいるのかしら」
茂「しっ、隠れろ」
何者かが、お堂の右手からやってくる気配に、二人は急いで物陰に身を隠す。

あらわれたのは、「ブラックサタン~」と唱えながら鈴を鳴らすトンガリ頭巾たちに先導された、西洋風の棺を運ぶ異形のものたちであった。
そう、メカゴリラやハゲタカンなど、過去に倒された奇械人たちの頭部を持ち、首から下は黒い礼服を着た普通の人間の体と言う、タイタンの怪人バージョンのような連中である。
その装束といい、立ち込める霧といい、荘厳且つ神秘的な雰囲気を醸し出すことに成功している。
声「天なる精霊、血の悪霊、万物の呪いによってタイタンの死を悼みたまえ」
ついで、誰が喋っているのか不明だが、地の底から響くような声が聞こえてくる。
一瞬、睦五郎さんかと思ったが、シャドウの中の人の河原崎さんかなぁ?
二人が建物の中に入ると、さっきの連中は影も形もなく、ただ棺が祭壇の前に置かれ、代わりにおやっさんがオルガンの前に座って演奏しているではないか。

茂「おやじさん」
ユリ子「どうしたの」
慌てて駆け寄って話し掛けるが、催眠術でも掛けられているのか、おやっさんは何の反応も見せない。
やがて棺の蓋がひとりでに開く。
ユリ子「茂、お棺が」
茂「中身を調べてみろ」
ユリ子「いやよ、茂が見てきてよ」
意外と怖がりのユリ子、オルガンの陰に隠れて動こうとしない。
茂、棺のそばにしゃがんで覗き込むと、
茂「来てみろ、ユリ子」

棺の中には赤い花が敷き詰められ、その中に、タイタンの遺体が横たわっていた。

ユリ子「タイタン!!」
茂「ああ、驚いた、爆発で五体バラバラだと思ったが……」
と、茂は言うのだが、15話でも、五体満足のタイタンの死体を見てる筈なんだけどね。
花の中に、巨大な目玉の付いた不気味な花があるのを見て、茂は何の気なしに手に取るが、茎に生えている棘がグローブ越しに突き刺さり、指の又の間からぽたぽたと鮮血が落ちる。

タイタン「……」
その血がタイタンの唇に落ちると、死んだ筈のタイタンの舌がぬめりと動いて、その血を味わうように舐める。

ユリ子「タイタンが変!!」
茂「なにっ」
と、頭上から首領の高笑いが聞こえてくる。
首領「はっはっはっはっ、ブラックサタンの呪いの棺は手を下した相手の血が流れる時、悪魔の復活祭となる。蘇れ、タイタンよ」

首領の呼びかけに、ゆっくりと棺の中から立ち上がるタイタン。
茂「図ったな!!」
タイタン「シャア!!」 茂「……」
ユリ子「……」
首領「……」
タイタン「……あれ?」
生還一発目のギャグがものの見事に滑ったため、タイタンは即座にあの世に送り返されたということです。
じゃなくて、
茂「図ったな!! ブラックサタンめ」
ユリ子「今なら間に合う、やっちゃいましょう」
茂「待て」
何が「今なら」なのか良く分からないのだが、逸るユリ子を茂が制していると、

タイタン「はっはっはっはっ、ふっふっふっふっ」
タイタンは目玉の付いた花を足元に投げつけて爆発させ、その炎の中で、本来の姿に変化する。
ただし、ただ蘇ったのでは芸がないと考えたのか、つるつるだった頭の余白にたくさんのちっちゃな目が追加された、その名も「百目タイタン」として復活する。
……
うーむ、これは、正直失敗アレンジだったと思う。フツーに気持ち悪いし、前のデザインのほうがすっきりして、あっちのほうが絶対良かった。
タイタンが闇の中に消えたあと、ピカチュウオートバイ部隊に守られた車が教会から走り去るのを見て、茂はてっきりタイタンが乗っているものと思い込み、おやっさんをユリ子に任せてバイクで追跡する。
色々あって車の上に飛び移る茂だったが、車に乗っていたタイタンではなくコウモリ奇械人だった。

走る車の上で掴み合う両者。
これだけ見るとなかなか凄いが、実際は、車の速度がめちゃくちゃ遅いので、いまひとつ盛り上がらない。
それでも、これは一応スタントなんだろうが……

コウモリ「今頃、裏切り者の小娘はタイタンの手に掛かっている頃よ」
茂「ユリ子が危ない」
ちゃんと、俳優本人が車の上で演じてるカットもあるんだけどね。
コウモリ奇械人、車から突き落とされるのだが、
コウモリ「さあ来い!!」
見る見る車が遠ざかっているのに、茂にこう呼びかけるのが、妙に間が抜けている。

茂「変身、ストロンガー!!」
ともあれ、茂、屋根の上に仁王立ちして豪快に変身ポーズを決める。
茂、ストロンガーになるものの、コウモリ奇械人を捨て置き、ユリ子たちの救出に向かう。
CM後、ユリ子にカツを入れられて、やっとおやっさんが正気に返る。

立花「なんだ、ユリ子か……こんなところで何やってんだ」
ユリ子「何をやってたのはおじさんのほうじゃない、ブラックサタンに踊らされていたのよ」
立花「え、俺が?」
おやっさんによると、食堂でメシ食ってるときにシャドウに術を掛けられたらしい。

ユリ子「ま、無事で良かったわ」

ユリ子「早く出ましょ!!」
意味もなく、似たような画像を貼ってしまう、表情豊かなユリ子のカエルっぽいお顔。
ああ、かわええ……
出口に向かう二人だったが、すかさずタイタンが立ちはだかり、
タイタン「当分いて頂きましょうか」
ユリ子「逃げて、早く茂に」
自分が盾となっておやっさんを行かせる健気なユリ子であったが、

当然ながらタイタンにはかなわない。
……
ああ、せっかく良いお尻を持ってらっしゃるのに、こんな色気のないサロペットでは、その威力も半減してしまうではないか。
ユリ子がタックルに変身すると、タイタンも百目タイタンとなる。

タックル「行くわよ、電波投げーっ!!」

タックル「電波投げーっ!!」
死にそうな顔で電波投げを連発するタックルだったが、タイタンは微動だにしない。

タイタン「ふっふっふっ」
タックル「くやしーっ!!」
タイタン「俺が休んでる間に少しはましになったと思ったが、少しも進歩してないようだな、タックル君」
全力で悔しがるタックルを、教師のような口調で小馬鹿にすると、デコピンを食らわせる。
さらに、タックルのスカーフを掴んで無理やり立たせ、一撃で昏倒させて自分が寝ていた棺に納めるのだった。
次のシーンでは、タックルをお姫様抱っこしてアジトに帰ってくるタイタン。

戦闘員「タイタン様、よくぞお戻りで」
タイタン「俺が留守中、たるんでおらんだったろうな」
戦闘員「みゅうっ!!」
人望の厚いタイタン、戦闘員に心から歓迎されるが、

シャドウ「大きな口を叩くな」
タイタン「なにぃ」
そこへ、シャドウがあらわれ、気絶したおやっさんの体を降ろす。
タイタン「お前が俺の代わりをやっていた歩道、いや、シャドウか」
シャドウ「……」
戦闘員「……」
首領「……」
タイタン「……あれ?」
帰還後一発目のギャグがものの見事に滑ったタイタン、この後、田舎に帰って親孝行に励んだそうです。
じゃなくて、
タイタン「お前が俺の代わりをやっていたシャドウか。俺が蘇ったからにはもう役目は終わったな」
タイタン、お役御免とばかりにシャドウの肩に手を置くが、シャドウはそれを払い除けると、

シャドウ「笑わせてはいけない、大首領のお情けで生き返った貴様だ、それも俺が手を貸してやったからだ、有り難く思え」
タイタン「なにをーっ、タイタンが蘇ったからにはもう出る幕ではない。その人質を寄越せ」
シャドウ「お前こそ渡せ」
タイタン「イヤといえば?」
シャドウ「面白い、腕尽くで来るか?」
謙譲の精神をカケラも持ち合わせていない二人、刺々しい会話の果てに、その場で決闘を始めかねない雰囲気となるが、
首領「やめるのだ、二人とも」
見兼ねた首領が仲裁に入る。

タイタン「大首領」
シャドウ「お言葉ですが……」
首領「黙らぬか、ブラックサタンの大幹部二人が争ってなんになる。戦う相手は仮面ライダーストロンガーただひとり、二人のどちらがストロンガーを倒すか、それを競争してみろ」
タイタンとシャドウのツーショットのインパクトも相当なものだが、納谷悟朗さん、柴田秀勝さん、そして浜田晃さんと、これだけ渋い声が揃った「悪の組織」って、なかなかないよね。
ともあれ、今回はタイタンが指揮を取ることになるが、みんな、タックルやおやっさんを人質にはするが、この場で処刑しようとは1ミリも考えないのは、番組の都合上とは言え、不自然だ。
だいたい、人質は一人いれば十分なんだから、少なからぬ戦力になるタックルは、さっさと処刑するか、改造手術をしてブラックサタンの忠実な戦士にすべきだったのではあるまいか。
あるいは、裸にひん剥いて戦闘員たちに……(以下略)
首領「シャドウ、立花藤兵衛をタイタンに譲ってやれ」
シャドウ「……」
シャドウ、いかにも不服そうであったが、首領の命令には逆らえず、寝ているおやっさんの体を足で起こしてタイタンのほうへ押しやる。

タイタン「シャドウ、ストロンガーは今日限りであの世行きだ。ふっふっ、悪く思うなよ」
シャドウ「ふん、カード占いによれば、お前の今日のラッキーアイテムは、
アメリカンクラッカーだ」
タイタン「ほんとだろうなっ!!」 じゃなくて、
シャドウ「ふん、カード占いによればストロンガーの運命は、お前の手では死なないな」
タイタン「うー、そんな占いが当たるものか!!」
色々あって、ストロンガーは人質を助けに悪魔ヶ原へ急行するが、

その途中、一面に毒々しい赤い花が咲き乱れているところに差し掛かる。
コウモリ奇械人がばら撒いた悪魔の花である。
ライダー「綺麗な花だ……」

ストロンガーが、何も知らずにそのひとつをタイヤでメリッと押し潰した瞬間、

花が地雷のように大爆発を起こす。
ストロンガー、バイクから飛び上がって着地するが、またもや花をぶしっと押し潰してしまう。
「綺麗な花だ」って言った直後だけに、ストロンガーの行動がなんとなく引っ掛かる管理人であった。

花も怒ったのか、その周囲で連続的に爆発が起き、ストロンガーが一回転して立ち上がろうとしたところで、

その真下にあった花が爆発し、土煙でストロンガーの姿が見えなくなる。
特に最後の爆発は、スーツアクターのすぐそばで爆発しているだけに、まさにスタッフの殺る気がビンビン伝わってくる強烈なショットとなっている。

タイタン「はっはっはっはっ、花畑だ、地雷の花の、ふっふっふっ」
濛々と立ち込める砂埃を見下ろしながら、花の形をしたオシャレなマイクでカラオケに興じている中年サラリーマンのように笑うタイタン様。

勝利を確信すると、おやっさんとユリ子を縛った上でジープに座らせ、強制的に車を地雷原に向けて走らせる。

ユリ子「おじさん、もうダメ」
立花「馬鹿な、俺は諦めるもんか」
目隠しされたままどうにかこうにかハンドルを操るおやっさん、弱音を吐くユリ子を叱咤するように叫ぶ。

……
つーか、ブレーキ踏めば? まあ、ブレーキが利かないよう細工されているのだろうが、その説明or描写が欲しかった。
地雷原に入ろうとしたジープを、やはり生きていたストロンガーが剛力で引っ張り、間一髪で二人を救う。
この後、コウモリ奇械人とのバトルとなるが、そんなのはどうでも良くて、

ユリ子「えい、やあ、とぉーっ!!」

ユリ子がタックルに変身する際の、生地が引っ張られて胸の形が透けて見えるところや、腕の動きに合わせてサロペットからはみ出た乳がぷるるんと揺れる様を目に焼き付けておく管理人であった。
以上、そんなに面白い訳ではないが、直近の15話や16話と比べると、まるで別の番組のように生彩が感じられる伊上脚本でした。
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